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2007 年 7 月 11 日 ゲストスピーカー講話 『自立した個人と超活性化組織

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2007 年 7 月 11 日 ゲストスピーカー講話 『自立した個人と超活性化組織
2007 年 7 月 11 日
ゲストスピーカー講話
『自立した個人と超活性化組織の創り方』
株式会社リンクアンドモチベーション
モチベーションマネジメント・ウエスト事業部
事業部長
水田道男氏
はじめに、当社が若い人たちからどのように認知されているのかということをご紹介さ
せていただくことから話をはじめたい。
大学生の就職志望企業ランキング
1位
みずほフィナンシャルグループ
2位
全日本空輸
3位
三菱東京 UFJ 銀行
4位
トヨタ自動車
5位
日立製作所
6位
電通
7位
東海旅客鉄道
8位
ジェイティービー
9位
博報堂
10 位 松下電器産業
就職活動をしている大学三年生あるいは大学院生一年生を中心に自由想起で自分が入
りたい会社を 5 社挙げてもらい、その 5 社に挙がった会社の数をカウントしたランキング
(リクルートによる調査)。
当然、知名度があり会社基盤もしっかりしている企業がランキングしている。その中で
私どもは 38 位と健闘させていただいている(前後の 37 位は日産自動車、39 位は日本放
送協会)。大学生のランキングというのが一つのポイントで、社会人の方の認知はまだまだ
だが、学生や入社数年くらいの方にはそこそこ認知をいただいている会社ということ。
そこで、どのように認知されているのかというところをあわせてご紹介したい。
若いうちから活躍できる企業ランキング
1位
リンクアンドモチベーション
2位
リクルート
3位
アサツー・ディ・ケイ
4位
第一生命保険
5位
ユナイテッドアローズ
6位
トランスコスモス
7位
伊藤忠商事
8位
アミューズ
9位
エイベックスグループ
10 位 東急エージェンシー
これは、就職活動をある程度経験された学生、時期で言うと四月くらいに企業説明会を
経た結果どのような印象を持っているかについてとられたランキング(東洋経済によるラ
ンキング)。
以上のランキングにあるように、いわゆる若手、入社間もない社員が「いきいきと働け
る」
「やりがいを感じながら仕事が出来る」会社であるという印象を持っていただいている
ものと思っている。
モチベーションをキーワードにした研究会とうかがっているが、若い人からそのように
認知をされているということで、おそらく何かしらのヒントとなることがお話出来るので
はないかと思う。
1 会社の概要
組織人事のコンサルティングを行なっている会社。その際に、様々なサービスをモチベ
ーションを切り口として展開している。モチベーションを一つの事業、より大きな視界で
言えば、一つの産業というくらいの影響力を持っていくような会社、あるいは起点になっ
ていきたいと思っている。
創業:2000 年 4 月 7 日
事業内容:モチベーションエンジニアリングによる企業と個人の変革コンサルティング
・ サーベイリサーチ事業(組織診断・個人診断)
・ モチベーションマネジメント事業(組織戦略)
・ エントリーマネジメント事業(採用戦略)
・ ブランドマネジメント事業(ブランド戦略)
・ プレイスマネジメント事業(プレイス戦略)
2 超活性化組織の創り方
「それでうちの会社儲かるようになるの?」という問いが多い。「モチベーションは大
事だけれども、それを上げることでうちの売上げや利益にどう繋がるの?」と問い詰めら
れるケースが多い。しかしながら、その問いに対して計量的にしっかりと分析するのは難
しい。
私が考えとしては、組織の活性化の度合いというのは、「従業員のモチベーションは事
業上の競争優位の源泉になる」との信憑が組織の中、あるいは構成する一人ひとりの中に
どれだけ根付いているのかによって左右されるということ。そのモチベーションの高さと、
いくら売上げがあがるか、いくら利益があがるかというところの繋がりを詳細に分析する
と言うことではなく、まず、そういうことが大事だと。その結果、売上げ、利益がついて
くるということを従業員の一人ひとりが信憑を持てているのかということがつきつめてい
くと大事なのではないかと思っている。従業員のモチベーションの大事さには反対しない
が、日々の事業運営やマネジメントといったドロドロした世界の話になると、どうしても
モチベーションが一つの手段となってしまったり、あるいは非常に優先順位が下がってし
まったりということが、日々現場で起きていると思うが、活性化している組織と言うのは、
そこの信憑が確立されている、あるいは、経営者がモチベーションが重要だと言うことに
対して、末端の従業員一人ひとりが信頼感を覚えられていると言うことが重要なのではな
いかと思う。
その際に
・スキルへの信頼:施策・技術に対する信頼
・動機への信頼:うちの社長は本気で言っているのかという信頼
この両方がセットにならないと組織の中での信憑が確立されない。
3 スキルへの信頼
ポイント:施策を信念を持ってやり続ける
・ 効果検証の仕組みを導入する(定点観測をする)
・ コンセプトを共通言語にし、定着を図る(何をやっても良いということではなく、一
定の世界観を企業ごとに描く)
風土を変えるということは、会社の中に新しい言葉を作るということ。人間はものの見
方を言葉によって分節して認識している。言葉の分け方を変える、言葉のラベリングを変
えるということは、その人の認識を変える、風土を変えて行くということに繋がる。その
ため、「モチベーションを大事にしていきましょう」「モチベーションを上げるようなマネ
ジメントをしていきましょう」という時には、その会社ごとに新しい言葉を作っていくこ
とで浸透の深さや早さが変わってくる。
3.1 効果検証
社内で一年に一度、健康診断としてモチベーション・サーベイを行なっている。ぜひ意
識をしていただきたいのは、やりっぱなしにしないこと。必ず、具体的なアクションに繋
げる。結果の共有と共有結果に基づく具体的なアクションのセットでサイクルを回すとい
うことが重要。
サーベイの結果は、経営や人事に対する通信簿的なものにもなる。情報の共有について
慎重になられる会社も多いが、組織の中に信頼関係を築いていくという意味では、情報を
オープンにして、経営として、人事として約束して、その約束を履行するというサイクル
でしか信頼関係は高まっていかないと思う。約束と履行、その履行に対してさらに期待が
高まるというサイクルの起点をどのように作るのかというと、まずは、人事として、経営
として情報をオープンにしてそれに対してコミットしていくというサイクルを回す。その
起点として効果検証を取り入れることが重要。
我々が実施しているサーベイは、満足度調査ではなく、敢えて「モチベーション・サー
ベイ」という名前にしている。モチベーション・サーベイでは、
「従業員」と「モチベーシ
ョンファクター」の関係性を把握することを目的としている。
・モチベーションファクター
大きくは「BIRD’S VIEW」「INSECT’S VIEW」の 2 つに分けることが出来る。
BIRD’S VIEW:従業員の方と会社との関係。より俯瞰的な視界で関係性を図る。
(会社や仕事の魅力)
INSECT’S VIEW:よりミクロな視点。より現場レベルでの関係性を図る。
(上司の言動)
(職場の状態)
人事として、経営として具体的な打ち手に繋げるために、以上の関係性を重要度と満足
度の二軸で把握する。二軸で見ることによって施策の優先順位がつけやすい。
重要度
重要度(高)×満足度(低)
重要度(高)×満足度(高)
組織のモチベーション向上のために
組織のモチベーション維持のため
優先的に取り組むべき
継続的に注力
満足度
重要度(低)×満足度(低)
重要度(低)×満足度(高)
対応の緊急性は低いが潜在的課題の
強化してもモチベーション向上には
可能性あり
繋がらない
質問項目の重要度、満足度の平均点を中点に X 軸、Y 軸を作る。
一番気をつけるべきは、左上の部分。モチベーションを上げるうえでは重要だが、満た
されていないという部分。ここに関してしっかりと手を打っていくことが必要。
下の部分は色々な解釈が出来るが、左下の部分は、何らかの要因によって重要度があが
れば、すぐモチベーションを下げることになるので、ここは要注意。右下の部分は、あま
り重要視していない部分なので経営人事としてはあまり意識する必要はない。
なお、満足度をあげるということだけを意識するのではなく、実は重要度を下げるとい
うアクションもある。たとえば、今の会社のフェーズを考えると、ここはそんなに期待し
てくれるなという部分がある。限られたリソースの中で経営人事を行っていくうえで、従
業員の期待値の方を調整することも大切。
3.2 共通言語
モチベーションが大切ということをお題目的に言うのではなく、本当に重要だというパ
ラダイムチェンジを図るうえでは、社内に共通言語を作ることが重要。
LMG(リンクアンドモチベーショングループ)流としては、大きく分類して以下の 3 種類の共通言語
を社内で作っている。
(1)MUST 系「やらなきゃ」
(2)WANT 系「やりたい」
(3)CAN 系「できそう」
言葉を埋め込むというのは時間がかかるが、一旦流通し出すと、ただ単にモチベーショ
ンをあげましょうというお題目が非常に現実感を持ってくる。
以上の第一水準での言葉をさらに、第二水準に落として具体的なイメージが湧く言葉を
作っている。
(1)MUST 系:どうすれば「やらなきゃ」という気持ちを醸成させられるか。
①ライバル効果:同僚、後輩、上司と競争関係を作っていく。
②リンク効果:業務上の繋がりを意識させる。自分が頑張らなければ他部署やお客様に対
してどのような影響が及んでしまうのか、自分が手を抜くことによってどのような悪いこ
とが起こるのかを明確にして意識させる。
③コミットメント効果:自分自身、有言実行という世界に身をおかせる。何かしら自分で
宣言することによってやらざるを得ない状況を作る。
(2)WANT 系
①ラダー効果:今の仕事と上位目的との接合をはかる。ただ単なる営業の飛び込みという
ことではなく、その飛び込むことがどういう意味があるのかということを、少し上の目線
で接続する。
②スポットライト効果:ハイパフォーマーに光をあてる。
③オプション効果:自己選択をさせる。
(3)CAN 系
①フィードバック効果:その人が出来ていること、出来ていないことをフィードバックす
る。人事考課ということだけではなく、その人のことを思って本音でフィードバックして
いく。
②ロールプレイング効果:自分の仕事の届け先、相手の立場に立つ。
③ナレッジ効果:成功事例、失敗事例を含めナレッジをいかに溜め込んでいくことによっ
て、自分でも出来そうということを引き上げていく。
3.2.1 MUST 系施策
①ライバル効果
・LMA ライセンスコース:社内共通の資格認定制度(「学士コース→修士コース→博士コ
ース」という資格を作っている)
役職に関わらず、全ての人にアセスメント系の試験を受けさせる。その点数の多い、少
ないで合格・不合格を厳格に決めている。
これは、ライバル効果を煽るために平場で勝負をする場を作っているということ。経験
の多さだけでなんとなくえらくなってしまっているということや、経験の多さだけで認め
られているということを壊すような緊張関係を作ることが重要。
この資格認定制度の試験結果に関しては、全社員が集まる総会の場で発表している。
・DNA テスト
LMG に関する理解度を問う試験。三ヶ月に一度のペースで行っている。
具体的な試験の内容としては、会社の歴史や会社のミッション、ビジョン、ワーキング
スタイル、会社のロゴや創業の経緯といった会社の DNA に関すること、会社の商品に関
すること。部署や年齢に関係なく、全員が統一した世界観を持てるようになることを意図
している。
この試験に関してもランキングを発表している。
また、役員も受けていることも重要なことである。ベンチャー企業では役員が別格にな
りがちであるが、彼らも受けているところが肝。勝ち負けにこだわる意識を醸成するため
に役員に一役買ってもらう形で運営を図っている。
②リンク効果
・社内留学制度
特にスタッフ系の人間とライン系の人間の人事交流を意識して行なっている。ポイント
は一週間から二週間と短期で行なうこと。
部署間連携に問題が起きている部署同士の社内留学を基本的には考える。先程のサーベ
イでどことどこの部署間がうまくいっていないのか、ということが分かってくるため、そ
の部署間関係の問題解決を当事者として図らせていく。部署間連携というと他人事になり
がちだが、当事者として悪いと思っているところに行かせる。自分たちが手を抜くことで
どのような悪影響が起きるのかということもリアルに感じさせることが出来る。
③コミットメント効果
・全社活動としての新卒採用
当社では、異常なコストをかけて新卒採用に取り組んでいる。実際にキャッシュアウト
していくお金だけではなく、目に見えないコストとして社員の時間を採用にかなりあてて
いる。
新卒採用は営業活動と同じだと思っている。お客様に対する感化力やコミュニケーショ
ン力を身に付けていく。自分で考える貴重な機会になっているいのだが、何も知らない学
生に対して、我々の会社のこと、自分自身のことを語って影響力を及ぼしていく。実際に
入ってくる後輩に対して、当事者として語った内容を実現化させていくというコミットメ
ントを持たせる。我々のところに入ってくる学生は大手企業からの内定とどちらにするか
迷って入社してくる学生が多い。そのような学生の人生を預かる立場として、語ったこと
をどれだけ実現させて行けるのかという責任感をリアルな世界で感じてもらう。
現場の数字を預かっている私たちの立場で言うと、この期間、かなりの人数を採用に動
員されるのは痛いのだが、長い目で見るとメリットの方が大きいと判断している。人事が
採用するのではなく、採用は全社マターであるというパラダイムの中で採用活動を行って
いる。結果として、良い学生に出会えるということ以上に、社員のコミットメント効果を
高めるという効果があると思っている。
「コミットメントリクルーティング」という言葉も
良く使っている。
3.2.2 WANT 系
①ラダー効果
・ TOP によるビジョンシェアリング
「伝えたこと」と「伝わったこと」は違う。トップの方は「伝えているじゃないか」
、
「あ
そこに書いてあるじゃないか」ということをよくおっしゃるが、残念ながら伝えたことの
何割かしか伝わっていない。
コミュニケーションギャップを大前提に徹底的にやるというのが、上位目的を語るもの
の役割ではないかと思っている。そのため、あらゆる機会、あらゆるメディアをミックス
させる形でビジョンシェアリングをやっている。具体的には、
a) 日報:300 人の社員に紙ベースで配っている。メールで配信することも出来るが敢え
て机の上に配ることによって社員の認識率が劇的にあがるため、そこのコストは敢え
てかけている。
b) Top Comment:一週間に一回、代表の小笹が全社員に向けてコメントを発信している。
c) 社内報:全従業員向けの社内報を月一回配布している。管理職限定の社内報も同様に
月一回配布している。このように何を誰に伝えるのかを切り分けた方が良い。
d) 全社総会:現在 300 名くらいの会社だが、三ヶ月に一回、全社員を集めて総会を行な
っている。交通費がかかるという議論もあるが、同じ温度感、同じ空気感で言葉を伝
えるというトップの意向があり、必ずリアルの場で三ヶ月に一度行なっている。
e) DNABOOK:Top Comment を本にまとめている。Web のメリットとして即時性が挙げ
られるが、デメリットとして一覧性がないことが考えられる。つまり、過去にどのよ
うなことを発信していたのかというのを知る時に不便である。そのため、一覧性を確
保することを目的として、まとまった時点で本にしている。
f) モチベーションスタジオ:プラズマディスプレイをおいて、リアルタイムで共有した
いことがあったときに共有できるようにしている。
②スポットライト効果
・表彰制度
全社レベルで行なう「業績表彰」と、業績として顕在化しにくい「プロセスの表彰」を
部署レベルで行なっている。このように二つのレベルでの表彰を行なっているのは、表彰
された側の納得感を高めることを目的としている。というのも、顕在化した業績に関して
は、普段関わっていない全社の人に表彰されてもうれしいものである。しかしながら、プ
ロセスに関しては、自分のことを見てくれていない人にほめられてもうれしくないため、
自分のことを見てくれている、目の届く範囲の人からの表彰を行なっている。
部署ごとのプロセスの表彰では、最も自分のモチベーションを刺激した人に「星」(星
の形をしたもの)の授与を行なっている。これは紙代だけしかかからない。
③オプション効果
・I カンパニーブランディングシート:自己申告のことだが、共通言語にこだわってあえ
てこのような言い方をしている。日本語で言うと「自分株式会社」という言い方をよくし
ている。会社と従業員の関係は雇い−雇われではなく、お互い対等な関係のものと考え、
従業員一人ひとりが自分の会社を経営する経営者として会社と対峙しようということで、
このような言葉を流通させている。
このシートは、半年に一度、直属の上司を通さないで人事へ直接提出している。自身の
ビジョン、希望部署、身に付けたいスキルなどを記入している。
大事なのは、象徴的な人事を年に一度くらいきっちりとやること。全員の希望を聞くこ
とは現実的には無理だが、何か意味づけができるような象徴的な人事異動を行なうことで、
自分でしっかりブランディングをし、意思表示をすることでかなえられるということを示
すことが重要。
3.2.3 CAN 系施策
①フィードバック効果
・360 度評価
人事考課とは切り分けて、人材開発に目的を絞って取り入れている。人の評価というこ
とになると、多様な意見を取り入れるということはある意味、納得性を高めることになる
と思うが、評価者側のスキルクオリティの問題もあるので、我々の現在の会社での人材レ
ベルから考えると人事評価には入れない方が良いと判断した。
大事なことは利他意識を徹底すること。サーベイを付ける側に、その人のことを思って
本音で書きましょうということを徹底しているのが特徴。
年に一回必ず行なっている。サーベイ結果をメンバーの所に持ち帰って、今回の結果は
このようになりました。自分の強み・弱みはこうで、弱みをこう解決して行きたいと思い
ますということを発表する。能力向上のためには、その人の立ち位置を自覚させるのが大
切。
②ロールプレイング効果
・ユーザーグループインタビュー
提供したサービスに対して、どうですかということを非常に親しくさせていただいてい
るお客様にお集まりいただいて、非常に狭い空間の中で本音の指摘を頂く。あるいは、新
しい商品やサービスの開発に対してご意見を頂くという場を頻繁に作っている。
③ナレッジ効果
・失敗事例集
成功例だけではなく、失敗例にこだわっている。経営として何が一番こわいかというと、
再発。再発しないために情報をオープンにして、なぜその失敗が起きたのか、それが起き
ないためにどのような施策が必要なのかという、未来に向けたアクションを失敗を起点に
とれるように、失敗事例をあえて集めている。失敗を隠さないでオープンにするという文
化を作るためにこのようなことを行なっている。
4 動機への信頼
採用においては、スキル採用ではなくモチベーション採用を信念としている。スキルに
はあえて目をつぶっている。
モチベーションの重要性を過去の経験から十分に知っている学生、あるいは、そのよう
な経験をしたキャリアの方を採用すると言うことにこだわっている。いわゆる達成動機の
高い人が集まると思っている。
学生から、若手が活躍できると言う認知をいったん得ると、若いうちから活躍したい、
つまり達成動機の高い学生は自然と集まってくる。すると、そのことを活かす経営をやっ
ていくということがマストとなる。目先のスキル向上ということを考えると、専門スキル
を持った方を採用したいという思いが現場としてはあるが、会社としてはそこはゆるがな
い。ひたすら、達成動機が高い、あるいは、動機に対して持論を持っている人に徹底して
こだわるということについて、ぶれることなくやっている。
新卒採用において求める人材像は「あつい」「つよい」「気持ちいい」。
中間管理職のマネジャーに対してはモチベーションマネジャーという言葉を作ってい
る。目指す方向に対して人を動かしていくという役割。組織内モチベーションを自家発電
できる人材をモチベーションマネジャーと定義している。いわゆる給料などは経営として
のリソースなので、中間管理職が左右するのは難しいが、コミュニケーション報酬は無尽
蔵であるため、コミュニケーション報酬を積み上げることは出来る。
質疑応答
Q:人事の役割としては、どのようなことが考えられるか。
A:会社の中に物語を作るのが人事の役割だと思う。それは、個人のキャリアという意味
での物語りを作ることもそうかもしれないし、組織戦略をどのように人事戦略にマッチさ
せていくのかという接続の物語もそうかもしれない。機能を切り分けて、機能を高めてい
くというのが仕事ではなく、何故、その機能を高める必要があるのか、その機能が高まっ
たことによって何に繋がっていくのかという全体の物語を作るのが、人事の役割だと我々
は考えているので、ある種、キャリアや会社の戦略の語り部になる人たちが人事部だと我々
は置いている。
Q:モチベーションが大切なのは分かるが、業績とどのように関連があるのかと問われた
ら?
A:そこはつきつめるのは難しいかなと、ある種あきらめている。そのため、最初のとこ
ろで、敢えて信憑という言葉を使った。業績を上げる必要十分条件ではないかもしれない
が、業績を上げ続けるための必要条件ではあると思う。それがあることによって、必ず業
績が上がるかどうかは分からないが、従業員のモチベーションをないがしろにしている会
社で、長期的な業績をあげ続けられる会社はないと思う。あとは、十分条件として、限ら
れたリソースをどこに配分するのかというのは会社ごとのご判断があると思うので、敢え
て我々はそこに対して、正面から議論をするというのは、あまりしていない。そこは思想
として共感していただけるのかどうかというところで我々はビジネスをしているため、直
接的な答えにはならないが、信憑、信頼性ということにつきてしまうのではないかという
のが、現場としての感覚。
Q:御社で進められているモチベーションという切り口の中に、体の健康というものはど
のように位置づけられているか。
A:動機付けの要素として、よく衛生要因と動機付け要因という話があるが、健康の話や
ライフワークバランスの話は、ある意味、衛生要因的なものではないかと我々なりに考え
ている。それが損なわれることによって、間違いなく負の影響はあるが、それが満たされ
ることによって達成欲求がずっと高まっていくかというと、そういうものではないとも思
っている。我々はどちらかと言うと、衛生要因を満たして行きましょうというよりも、動
機付け要因、仕事の意味づけや成長欲求に対してアプローチをしていくことを大事にして
いる会社であるため、衛生要因的な部分に対しては会社としては取組みが非常に弱いとこ
ろ。お客様からメンタルヘルスのご相談を受けることが最近、非常に増えてきているため、
むしろ、我々も会社として取り組んでいかなければいけないという問題意識を持っている
ところ。
Q:会社の中での人事の役割や存在感は、どのようなものと考えられているか。
A:人事の役割はラインマネジャーのサポートと明確においている。要するに我々のサポ
ート役。例えば、今日の文脈で言うと、共通言語を作るまでは人事の仕事。全社としてこ
ういう文脈の中でモチベーションが重要です。そのモチベーション施策を現場の人に考え
てもらうために、共通の世界観として MUST、WANT、CAN という世界観を作りました。
MUST に関しては、こういう三つの効果を働かせながら、皆のやらなきゃという気持ちを
引き出しましょうという所までが人事の役割。それに対して、その三つの効果をそれぞれ
の部署で、具体的な施策としてどのように落とし込むのかというのがラインマネジャーの
仕事になる。
もう一つ重要なのが、トップのコミットメント。何をやるにしても、上がはしごを外さ
ないというのが、信頼関係の基本中の基本だと思う。色々なメディアを使って社員のやる
気というところを常に経営トップとして意識しているということを発信してもらう。ライ
ンマネジャーのサポートをするために、トップもうまく活用していくというのが、人事の
役割としてあると思う。
Q:熱い人がいれば、冷めた人もいる。強い人がいれば、弱い人もいる。そのような会社
でこういったことをやっていく際には、人事がどれくらい表にでて行けばよいのか。
A:これは、おそらくどこの会社でもそうだと思うが、実は私のような中途採用で入った
人間というのは、今の新卒採用の方の高い達成動機には、自分とは違ったものを感じるよ
うな時もある。ただ、よく言うのが、これも会社の中の共通言語だが、51 パーセントのメ
リットと 49 パーセントのデメリットという言葉をよく言っており、批判的な人、無関心
な人もいるが、51 パーセントの人がやりたいというのならやりましょうということ。10
人全員に拍手をしてもらう施策というのは人事としては、なかなか難しいと思うので、色々
なことを勘案した上で、メリットの方が大きいと判断すれば、そこは信念を持ってやると
いうことで、やっていく。その結果がうまくいかなければ、トライアンドエラーで次に活
かして行けば良いということではないかと思う。正解を指し示すのが人事の役割ではない
と思うので、現場の人がトライアンドエラーをするインフラを作るという役割だという認
識や立ち位置が明確になれば、そこは踏み出しやすくなるのではと我々なりに考えている。
また、全ての職場で同じ施策を導入する必要もない。施策はどんどん派生していく。星
の授与式に関しても、最初は星の授与式ということで、自分のモチベーションを刺激して
くれた人に対して星をあげようということで始まったが、だんだんと、例えば、ありがと
うという感謝の気持ちを渡したいと星の内容が変わってきたり、あるいは、モチベーショ
ンよりも、もっと分かりやすいスキルに対してスポットを当てようということで、何々力
に対して星をあげますというように、どんどん進化していく、派生していくような事例も
ある。そのため、共通の言語から逸脱しない範囲で現場ごとに工夫をこらしていくという
のはむしろ良いことではないかと思う。
Q:若い社員をモチベートするのはわりと簡単だが、管理職への登用の際に、非常に優秀
な社員が管理職はしんどそうだからやりたくないと言い出している人が当社には若干いる
が、どのようにしたらよいと思うか。
A:共通の特効薬というのは難しいと思う。実際、短期間で考えれば、得るものと自分が
果たさなければいけない役割のバランスがとれていないというのはある意味事実かもしれ
ない。ただ、もう少し長期的な視点で自分のキャリアを考えて頂く必要があると思う。長
期的な視点で考えると、特にこれだけ変化の速度が速くなっているときに、プレイヤーで
自分が旬であり続けられる期間は実はそんなに長くないはずだと思う。今の自分の視界か
らは「自分的にはわりとひとり立ちしているし、少し上の上司をみると、明らかにオーバ
ーパフォームしている」という世界しか見えないのだとすると、やりたくないという選択
肢はある意味合理的だと思うが、もう少し長期で物語を見せてあげれば、そういう合理的
な判断をする人は納得するのではないか。自分のキャリアの旬を考えた時に、やはり後輩
にどう伝えていくのかであったり、後進の指導をどのようにしていくのかという所へおそ
らく目が向くのではないかというのが、私自身の考え。人事として長い視点に立ったキャ
リアの物語をどのように示していけるのかというところが、共通の薬としてはありえるの
かなという気がする。
Q:360 度サーベイは耳の痛いことも聞かされることになると思うが、そこで、
「ありがと
う、君たちのおかげで成長できるよ」と素直に言える人はあまりいなく、
「評価は関係ない」
と言う人もやはりいる。あまり、そこにプレッシャーをかけていくと、やはり評価なんで
すかとなってしまうきらいもある。御社でされている 360 度サーベイの本人の成長につな
がる仕掛けのようなものがあるのか、それとも、本人のモチベーションにかかっていると
お考えなのか。
A:当社の 360 度評価は、その人そのものに関する良い悪いというサーベイではない。と
いうのも、良い悪いというのは相対的なものだと捉えている。つまり、上司と部下との「間」
に問題があるという考え方をしている。A 課長のここが悪いという話ではなく、A 課長と
A 課長ひきいるグループメンバーとの間のどこに問題があるのかという調査をする。その
課長については「メンバーとの間にこういう問題が起きているとすれば、上司としてはど
のような働きかけが出来るのか」という問題、フィードバックをしている部下については
「あなた自身はそれに対してどのような働きかけが出来るのか」という問題を解決してい
く場をつくっていく。
マネジャーに対する 360 度評価のフィードバックに関しては、マネジャー陣だけが集ま
り、五名一チームくらいのチームを作り、そこに役員などが入る。その役員がコーディネ
ーター的な役割で議事進行や皆の受け止め方に対してゆがみがないのかということに対す
る仕切りを行なう。メンバークラスのサーベイに関しては、サーベイをつけたメンバーが
直接集まり、そこに部長やマネジャーが入りアドバイスをするという形で運営を行なって
いる。そのため、フィードバックを行なう側も受ける側もお互いに当事者となる。サーベ
イをつけて課長のここが悪いで終わるのではなく、あなたと課長の間の問題でしょうと。
ただ、そもそもの社員のスタンスというところは大きいと思う。実際、そのようなこと
を我々も研修でさせて頂いているが、サーベイを見て固まってしまうような方もいらっし
ゃるので、その辺りをほぐしていくのは難しいことではある。
Q:当社では経営統合をスムーズに行なっていくために、意識的に、日常会話や会議の中
で以前の会社名を絶対出してはいけないという形で進めてきた。その影響もあり、統合は
スムーズに進んできたが、逆に、それまでに自社に対して持っていた誇りやブランドイメ
ージが逆になくなってしまった。新たな会社のブランド理念の構築や、その浸透のための
うまい仕掛けみたいなものはあるか。
A:旧何々系という言語を出さないというのは非常に良かったのではないかと思うが、当
然、今までのものを壊した以上、何かしら目指すべきビジョンというものをもたれていた
のではないかと思うので、当たり前の答えになるが、新たに目指すものに対して、皆がど
こまでコミットされているのかということだと思う。二つのものを一つにするということ
が目的となってしまうと、旧何々系という言葉を出さないというのは手段としては非常に
優れたものだと思うが、融合するというのが目的ではない。組織融合を図った上で、ある
いは融合した結果、別の新しい価値を生み出すためにあくまでも手段として統合された、
合併をされたということだと思うので、その目的と手段のところをもう一度、皆で認識を
されるのが、最初のステップとして重要ではないか。
「モチベーション」にまつわるテーマ討議
(以下、A ∼F は参加者の方の発言)
金井先生:リンクアンドモチベーションではエンジニアリングという言葉を用いられてい
るが、どうして、そのような言葉を用いられるのか。
水田氏:モチベーションと言うと、最後はどうしても精神論に行き着いてしまうかもしれ
ないという恐れを感じており、それに対するアンチテーゼ。精神論ではなく再現可能な技
術としてモチベーションを引き上げるアプローチが出来るはずだという考えがそのベース
にある。
金井先生:(参加者に対して)モチベーションはエンジニアリングが可能か。
A:モチベーションは自分で選んだ結果である。そのため、上げるも下げるも自分次第の
ことと思われる。ただ、それを気付かせるということで、上げる方法はあるのではないか。
そこで、どのような時にモチベーションが上がるかを考えると、ロールモデルが必要のよ
うに思われる。そのため、そのようなモデルを紹介するところにも人事の役割があるので
はないだろうか。人と人とを会わせることによってモチベーションを上げさせることが出
来るのではないかと思われる。
B:モチベーションは周りがどうこうして上がるものでもない。ただ、モチベーションを
上げるための環境作りをエンジニアリングすることが出来るのではないだろうか。
金井先生:モチベーションというカタカナ言葉を大和言葉にする時にどのように訳すかと
いうことに関して神戸大学でモチベーションの議論をした時に、ラグビーの林敏之さんは、
絶対に内側から湧き出るものですと言った。だから、動機付けという訳語には違和感があ
ると。無いものに付けることは出来ない。しかし、自己実現という難しいことを言ってい
るマズローでも、下位の欲望については、欠乏している時には満たしたいと思うものであ
る、と言っている。例えば、皆さんが、データの打ち込みの仕事があって、その仕事がも
しかしたら七時か八時までかかるけれども、遅くなる分、八時までやって終わったら今日
はうな重をおごってあげると言ったときに、動機付けているという感じがしないだろうか。
それをエンジニアリングとは呼ばないまでも、確かに内から湧き出るものが一番ではある
が、内から湧き出るから何も外から出来ないと思ったらもったいない。だとしたら、環境
作りというのはすごく良い言葉だと思う。環境作りというのはエンジニアリングという言
葉に馴染む。
ハーズバーグではモティベーターではなく、衛生要因と言っているが、このようなこと
をエンジニアリングできると言っているリンクアンドモチベーションさんで手がつけられ
るところで言うと、会議室や物理的レイアウトの工夫がある。そのように、テンションが
高くなりやすいような環境を作ることが出来るというのであれば、エンジニアリングに近
いと思う。
会社がモチベーションをエンジニアリングするには、どのようにしたら良いと思われる
か。
C:キャリアや仕事に対する思いは、短期的なものというよりも長期的なものとなる可能
性が高い。そのために会社が出来ることとしては、魅力的な仕事を作ること。新しい目標
や新しい事業を作るということが欠かせない。そのことによって、皆、
「あのような仕事を
やってみたい」
「あのようなことにチャレンジしてみたい」ということになれば、そこに向
かってエネルギーが高まってくるし、モチベーションが高まってくる。
また、途中でのフィードバックが必要。上司がフィードバックをする、三十や四十とい
う節目でフィードバックの機会を持つというように、フィードバックをする仕組みを会社
としてたくさん用意しておくことによって、そのような成長へのエネルギーを持つことが
可能なのではないかと思う。
金井先生:私の長い友人で、エンジニアリングカルチャーといって組織文化をエンジニア
リング出来るというタイトルの本を書いた人がいるが、エンジニアリングカルチャーとい
うのは二重の意味を持っている。一つは、エンジニアリング的な発想で会社が動いており、
エンジニアのパラダイスのような会社だった。そのため、コンテンツを指してエンジニア
リングカルチャーと言っている部分。もう一つは、創業者と教育担当者が、人に頑張って
もらうために文化が濃いということを上手に活かした方が良いということを指しており、
エンジニアリング・モチベーションするカルチャーというイメージ。
もし、私たちが、組織文化の博物館が出来た時に、何を陳列出来るのかという時の中身
として、実際に触れられるもののうち、何割くらいがモチベーションに関わりのある道具
かということを考えると、例えば、松下のところに行ったら巻物が置いてある、シャープ
のところに行ったらシャープペンのレプリカが置いてあるといったことが考えられる。そ
のように、人々の頑張りに働きかけるもので、本当に形になる部分があったら、学生がま
ず就職活動でリンクアンドモチベーションをお訪ねしたら、お部屋を見てびっくりすると
いう時にも、そういうものは展示可能だし写真にすることも出来る。
実際に、エンジニアの方にとって、モチベーションをエンジニアリングするというのは、
どのように感じられるか。
D:エンジニアリングという言葉は、モノづくりの時に使うものというイメージがあった
ため、人や組織に対して使うということに違和感があった。ただ、話を聞けば、確かに分
析をして、系統立てて原因が何なのか、それに対してアプローチの手法は何なのか、どう
いうアウトプットを要求するのかというように系統立てれば確かにエンジニアリングには
違いないなと思った。
E:つきつめて行くと、それで儲かるのかということに関しては答えがでない。そのため、
信じてやるしかないというスピリチュアルなところに結局はすがっているところがあると
思う。確かに環境整備は出来ると思うが、本当の意味で実現するところはエンジニアリン
グなところではなく、スピリチュアルなところでやっていかないといけないのかなという
思いはある。確かに可能だという意味では賛同するが、一方で、スピリチュアルなところ
をどのようにエンジニアリングできるのかというのを感じた。
金井先生:管理会計の人がよく言う言葉に No measure, no control という言葉がある。測
定できないと制御できないという発想は、かなりエンジニアリング的なところがあると思
う。組織の中の人間行動にまつわる分野も煩雑になるため普通の入門書では書かないだけ
で、測定は意地でもしようと思う人がたくさんいる。我々が質問表調査で、組織の行動を
測定する時に、例えば標準化や公式化の度合いを測定する時には、この会社では文書にな
っているルールを参照しないと仕事が進まないというような項目で測定するが、それより
以前は、イギリスのグループの人たちは、会社に行って、マニュアルを出してもらいペー
ジ数、重さ、字数をカウントしたりしていた。
そもそも何らかの手立てで、系列がいくつかあって、系列ごとに変数が三個あって、そ
の三個の変数に関しては、私たちが測定も可能だし、働きかけることも出来るパラメータ
ーがあって、そのパラメーターの推定が出来たりしてきたら、エンジニアに近いようなこ
ともあるが、しかし、最後の最後はスピリチュアルな部分が残る。ただ、だから情けない
と思うのか、余計におもしろいと思うのかが分かれ道となる。本物の超一流のサイエンテ
ィストやエンジニアは大事な場面でスピリチュアルなことを言う。
モチベーションに対して働きかけを行おうとする際に、問題となるのはどのようなこと
があるか。
F:一番、困っているのは、若手層は理論的なことを言えば聞くのかなというイメージを
持っているが、中高年の方は自分なりのモデルであったり仕事のやり方を完成されていて、
それでも現状に不満でモチベーションを下げているということ。それに対して、効果的な
働きかけが見つかっていないというのが現状。
金井先生:個人的な観察でまだ自信を持って言えることではないが、豊富な文献領域で、
日本ではあまり研究が進んでいないが、アメリカの大学や大学院でよく使われるテキスト
で Adult Learning や Adult Education という分野がある。日本の大学の教育学部では学校教
育以外には社会教育という科目しかない。社会教育では、コミュニティの活動で何を学ん
でいるのかというような話だけになってしまい、企業での教育の話は出てこない。しかし、
仕事の世界の中でも学習していることはたくさんある。
Adult learning の中で一番重視しているのは、経験が既にある人に教える時に、頭ごなし
に教えるということ自体が間違っているということ。若い人の方が「そのような見方があ
るのか」という気付きがあるのに比べ高齢の人の方が経験豊かな分だけ自分の考えに凝り
固まっているので理論が効きにくいとみるのか、経験豊かな人がもし自分なりの理論を持
っているのだったら、それをもう一度検証するために、経験が大事ですよと言いつつ、こ
ういう理論もあるんですよというやり取りをするのか。私自身がモチベーションやリーダ
ーシップで経験が豊かな人に学んでいただく時に、その人が持つ持論がむしろ大事だと言
っている理由は、持論が現実にあっていなくて不都合ですよということを教える面もある
し、今の持論の中で自信を持って良い面があれば、そこはむしろ自信を持って若手に語っ
てほしいという両面があるという気がしているから。
また、モチベーションを考えていく時には、この人と一緒だったらとか、この人のよう
になりたいといった関係性が大切な視点の一つだと思った。
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