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8章 ILAS-II後継機計画

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8章 ILAS-II後継機計画
第 8 章
I L A S - I I 後継機計画
第 8 章 SOFIS 後継機計画
第 8 章 ILAS-II 後継機計画
ILAS および ILAS-II を用いた大気観測による、地球規模の環境監視、およびオゾン層破壊
のメカニズムの解明等を初めとする様々な大気研究を推進するためには、長期的な観測デー
タの取得が極めて重要である。そのため、環境省、および国立環境研究所では、現在 ILAS お
よび ILAS-II プロジェクトを継承する ILAS-II 後継機計画として、傾斜軌道衛星搭載太陽掩蔽
法フーリエ変換分光器(SOFIS:Solar Occultation FTS for Inclined orbit Satellite)プロジェクト
が進められている。
SOFIS は、ILAS、ILAS-II と同様に、衛星日の出/日の入り時に対流圏上層部および成層圏
を透過する太陽光を観測し、大気微量成分等の鉛直分布を測定するセンサであり、2008 年頃
に打ち上げが予定されている NASDA の地球環境変動観測ミッション/オゾン・温室効果気
体観測衛星(GCOM-A1:Global Change Observation Mission-A1)に搭載される。SOFIS は、可
視・赤外の観測波長において、高い分解能を持ち、地球大気中の温室効果ガスおよびオゾン
層破壊に関連する物質等を高感度に観測できる大気センサである。また、GCOM-A1 は、太陽
非同期の傾斜軌道(高度 650 km、軌道傾斜角 69˚)に投入されるため、SOFIS は高緯度域だけ
でなく、全球の大気観測を行うことが可能であり、大気研究の分野において極めて有効なデー
タとなることが期待される。
SOFIS は、O3 、HNO3 、NO2 、N2O、H2O、CH4 、CFC-11、ClONO2 CO2 、およびエアロゾル
の全球高度分布を観測対象とし、3∼13 µm の波長域において、スペクトル分解能 0.2 cm-1、高
度分解能約 1 km での大気成分鉛直プロファイルを観測する。また SOFIS には、気圧・気温リ
トリーバルのための可視分光計、および接線高位置を決定するための太陽輪郭センサが搭載
されている。
8.1 観測の特徴
(1) 掩蔽観測および校正
太陽掩蔽法の利点は、高輝度の光源を利用することにより、高い SN 比での高スペクト
ル分解能観測を可能とすること、および同一の大気観測の中で、100%太陽参照光と 0%出
力値(深宇宙観測)の校正が可能なことである。SOFIS は、対流圏雲の影響を受けない場
合、高度 5 km∼120 km の範囲を対象とした観測を行うことができる。
129
ILAS-II プロジェクトレファレンスブック
図 8.1-1 SOFIS の観測原理
(2) 観測スペクトル範囲
SOFIS による観測データは、ILAS および ILAS-II による観測データとの継続性を維持す
る必要がある。このため、SOFIS は 3.25∼6.5 µm、および 6.5∼13 µm の 2 つのスペクトル
バンドで大気観測を実施する。なお、これらのスペクトル範囲は、ClONO2(12.8 µm)およ
び HCl(3.5 µm)の吸収スペクトルをカバーするために選定されている。3
3.25mm
3080cm-1
mm
-1
1540cm
Band 1
HCl
2843cm-1
Band 2
-1
CO 2150cm
-1
CO 2 2300cm
-1
CH 4 3020cm
6.5
13mm
-1
770cm
-1
N 2O 1280cm
-1
CFC12 1161cm
NO 1900cm-1
ClONO 2
780cm-1
-1
O 3 1100cm
HNO
3
-1
896cm
-1
CFC11 846cm
-1
NO 2 1608cm
aerosol
図 8.1-2 SOFIS 観測スペクトル範囲
(3) 高分解能/スペクトル分解能
ClONO2 および HCl リトリーバルを行う際には、0.2 cm-1 以上のスペクトル分解能が必要
である。このような 0.2 cm-1 スペクトル分解能の分光計は、主要な大気成分のリトリーバル
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第 8 章 SOFIS 後継機計画
の実施に十分な観測データを与えるのみならず、適度な光学的厚さでの吸収スペクトルを
観測する機会を増加させる。
また SOFIS の高度分解能は、現段階の設計において、1.1 km であり、高度 1.18 km 毎に
インターフェログラムを得ることが出来る。
(4) 全球観測
GCOM-A1 の軌道は、非太陽同期であり、その傾斜角および高度は SOFIS による赤道か
ら高緯度地域の観測に対して最適となるように設定される。
Latitude coverage of occult ation for 1st year
Latitude
Inc.=68.3゜, Al t.=650km, Launch 8:00, Jan. 1, 2004
1 st year
90
75
60
45
30
15
0
-15
-30
-45
-60
-75
-90
0
30
60
90
120
150
180
2 10
2 40
2 70
300
330
360
Day of the year
図 8.1-3 SOFIS による観測緯度範囲
(5) 気温・気圧リトリーバル
大気成分のリトリーバルを行うためには、気団の気温、および気圧を特定することが必
要である。SOFIS においては、ILAS および ILAS-II と同様に、可視分光計による O2-A バン
ドスペクトルを気温、および気圧のリトリーバルに使用する。
(6) 太陽像および IFOV 位置
SOFIS による観測の、幾何学的な位置を決定するために、太陽の輪郭位置と、瞬時視野
(IFOV:Instantaneous Field Of View)位置を、太陽輪郭センサにより検出する。また、黒点
の位置を把握するために、1 回の観測につき、1 つの太陽像データが取得される。
8.2 SOFIS の主要諸元
ここで、SOFIS の内部構造、および主要諸元を図 8.2-1 および表 8.2-1 に示す。
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ILAS-II プロジェクトレファレンスブック
表 8.2-1 SOFIS 主要諸元
項 目
搭載衛星
タイプ
軌道
傾斜角
高度
観測
波長帯
赤外分光計
分解能
赤外分光計
可視分光計
可視分光計
瞬時視野
観測範囲
諸 元
GCOM-A1
太陽非同期
69˚
650 km
6.25 ∼ 6.5 µm,
6.5 ∼ 13 µm
753∼784 nm
0.2 cm-1
(ノン・アポダイズド)
0.06 nm
接線高 1.1 km
5 km∼120 km 程度
Visible
Spectrometer
Gimbal
FTS
FTS controller
Heater controller
Sun Edge
Sensor
DSP
Gimbal Driver
Gimbal controller
ASP (Preamp)
Cooler Electronics
Detector and
Cooler Mechanics
dewar
図 8.2-1 SOFIS 内部構造
8.3 SOFIS プロジェクトの現状と今後
SOFIS 機器開発については、1999 年 10 月より EM の設計が開始された。EM の設計および
製作、試験は、GCOM-A1 の打ち上げが 2008 年頃にまで延期されたことを受けての休止期間
(2002 年度)を挟んで 2004 年度まで実施される。また PFM の製作・評価は、2004 年度から
2007 年度までの期間で実施され、その後 PQR を経て NASDA へ提供される予定である。また、
SOFIS DHF の開発については、1999 年度に基礎調査が実施され、今後は、基本的に ILAS-II DHF
の開発手法を踏襲したシステム開発、およびアルゴリズム開発等が実施される予定である。
表 8.3-1 SOFIS 開発スケジュール
1996
H8
1997
H9
1998
H10
1999
H11
2000
H12
2001
H13
2002
H14
2003
H15
マイル
ストーン
設計
EM
PFM
地上支援/
射場支援
初期運用
支援
定常運用
132
2004
H16
2005
H17
PDR
概念検討
基礎調査
基本設計
維持設計
基本設計
詳細設計
2006
H18
2007
H19
2008
H18
CDR
PQR
打上げ
(TBD)
維持設計
EM 設計・製作・評価
PFM 設計・製作・評価
地上支援/射場支援
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