Comments
Description
Transcript
御船小学校 [PDF:359KB]
管内名 1 上益城 学校名 御船町立御船小学校 徹底指導と能動型学習とのめりはりをつけた熊本型授業の推進 「 読 解 力 の 向 上 」を め ざ し て 、 研 究を 進 めて い る国 語 の授 業 にお い て、 学 校全 体 で徹 底 指導 と 能 動型学習のポイントを明確にして、共通実践を行いながら取組を進めている。ポイントがはっきり させたことで、共通した授業づくりを進めることができ、熊本型授業を学校全体として深めること ができている。 (徹底指導のポイント) ○ ○ ○ ○ 学習指導要領に照らし合わせ、目標や単元を通して習得させる内容の整理 学習内容に関する実態調査と個に応じたきめ細かな指導 学習のめあてや見通しを確実に把握させるための指導 学習内容の確実な定着を図るための指導や学習の成就感を感じさせる指導 (能動型学習のポイント) ○ ○ ○ ○ ○ 学習目標(めあて)の把握のさせ方等を工夫し、児童の学び意欲を喚起する。 自分の考えを持つための一人学びの時間を確保する。 児童の思考をゆさぶったり、新たな見方・考え方を生み出す発問を工夫する。 自分や友だちのよさを発揮するために、自他の考えを表現できる場を設定する。 自分の考えがどう変わり、何がわかったかを振りかえらせ、成就感を味わわせる。 〔具体的な授業実践〕 ◎「平和のとりでを築く 」(6年) 1 単元名 筆者の考えを受け止め、自分の考えをつたえよう 教材名 平和のとりでを築く 自分の考えを発信しよう/インターネットと学習(光村図書・6年下) 2 単元について (1)教材について 本単元は 、 「 平和のとりでを築く 」と「 自分の考えを発信しよう 」から構成されている 。 「 平和 」 に関する説明文教材を事実と意見を区別しながら読み、筆者の主張をつかむとともに、それにつ いて自分の考えをもつこと、必要な材料を集めて文章にまとめること、それを発信することが主 な学習内容となっている。 「 平和のとりでを築く 」は 、戦争で広島に原子爆弾が投下され 、傷だらけになった原爆ドームが 、 多 く の 人 々の 平 和 を 願う 心 によ っ て世 界 遺 産と な った 経 緯を 述 べた 説 明文 で ある 。 本教 材 は「 話 題 提 示 ー 説 明 ー ま と め 」 と い う 大 き く 3 つ の ま と ま り で 構 成 さ れ て い る 。「 話 題 提 示 」 で は 原 爆 ド ー ムの 存 在と 筆 者の 思 いを 紹 介し 、「 説明 」で は「日 本の 遺産 として 原爆 ドー ムがた どっ た歴 史 」 と 「 世 界 遺 産 と な っ た 原 爆 ド ー ム 」 の 2 つ に 分 け て 説 明 し て い る 。「 ま と め 」 で は 、 原 爆 ド ー ム が 世 界の 人 々 に とっ て 平和 を 願う 大 切 な遺 産 であ る こと が 述べ ら れ、 最 後に 、 原爆 ド ーム を 大 切 に し なが ら 、 原 爆ド ー ムを 世 界に 向 か って 発 信し て いく こ とで 、 世界 の 平和 を 築い て いき た い と い う筆 者 の強 い 思い の 文で し めく く ら れて い る。 原 爆ド ー ムの 話 題か ら 世界 平 和を 強 く願 う 筆 者 の 思い が 題名 や まと め に凝 縮 され て い るこ の 教材 は 、未 来 を担 う 一員 で ある 6 年生 の 子ど も 達 に 、 世界 に 目を 向 けさ せ これ か らの 社 会 の在 り 方は 自 分達 自 身の 課 題で も ある と いう 視 点か ら 「平和」について考えさせることができる作品である。 「 自 分 の 考 え を 発 信 し よ う 」 は 、「 平 和 」 と い う テ ー マ に 関 す る 多 様 な 材 料 を 集 め 、 自 分 の 考 え を 持 ち 発 信し て い く 学習 で ある 。 様々 な 情 報を 集 め、 そ れに 学 ぶだ け でな く 、そ れ をも と に自 分 の考えを深め、外部に発信することで表現能力を高めることもできると考える . (2)単元の系統は次の通りである。 ニュース作りの現場から 5年下 ○ ◎ ○読イ 学習指導要領に照らし合わせ、目標や単元を通 して習得させる内容を明確にする。(徹底) 本単元 生き物はつながりの中に 6年上 6年下 目的や意図などに応じて、文章の内容を的確に押さえながら要旨を -1- ◎ ◎読エ とらえること。 書かれている内容について事象と感想、意見の関係を押さえ、自分 の考えを明確にしながら読むこと。 学習内容に関する実態調査と個に応じたき (3)児童の実態について(32名) め細かな指導をめざしていく。(徹底) (4)指導にあたっては、次の点に留意したい。 ○<学習意欲の喚起>児童が意欲的に学習に取り組むととともに、自分の感じ方や考え方を明ら か に して い くこ と がで き るよ う に 、「 長 崎の へ 修学 旅 行」 や 「戦 争 や平 和 に関 す るニ ュース 」 とつないだり、学習発表会と関連付けながら学習を進めていく。 ○<課題設定の工夫>原爆ドームがたどった足跡と平和のとりでを築くための人々の行動とを年 表に表す活動をさせることにより、平和のとりでを築く上での二つの節目と、その時の人々の 行動に着目させ、課題をつかませる。 ○<一人学びの時間>朝自習で一人読みの時間を確保し、行間に読み取った内容についての自分 の考えや疑問、文章から想像される情景等を書き込ませていくことで、自分なりの読みの時間 を確保することで主体的な読みへとつなげていく。 ○< 新 たな 見 方・ 考 え方 を 生み 出 す発 問 の工 夫 >「 原 爆ド ー ムの 永 久保 存 に立 ち 上が る時 」「 世 界遺産に指定される時」の人々の議論の様子を、賛成と反対の立場からシナリオに書き直させ 議論させることで、文章の行間に込められた様々な人々の思いや保存へ同意していった気持ち の変化を想像させる。 ○<自他の考えを表現する場>一人一人の読みとりや考え・発言をしっかり認めるとともに、お 互いの考えを聞き合う中で、より確かに筆者の伝えたいことを受けとめさせていきたい。 ○<成就感>「自分の考えを発信しよう」では、世界の平和への取り組みについて調べる活動を 位置づけるとともに、学習発表会での発表にもつなげ、平和のとりでを築く一人としての主体 的な活動を保障していく。 指導の留意点に能動型学習のポイントを明 3 単元の目標 確にして授業づくりを行う。(能動) ○作品に書かれた歴史的事実や意見を区別して読み、筆者の考えを受けとめながら自分なりの考 えをもつことができる。 ○「平和」についてさらに考えるために、調べて深まった考えをわかりやすくまとめ発信する。 4 単元の指導計画(全14時間 本時6/14) 次 学習内容 教師の指導・支援 評価基準・方法 (時) 1 ① 題 名 読 み を す る 。 全 文 を 通 読 し 、 ○ 題 名 か ら 文 章 の 内 容 に つ い て 予 想 ・文章全体を読んだ感想 ( 2 ) 心 に 残 っ た こ と や も っ と 知 り た い こ さ せ る 。 初 発 の 感 想 を 書 か せ る こ と を書いている。<読>学 となどを書く。 ②1段落を読み、筆者の問いかけに ついて考える。年表作りを行う。 2 ①2・3段落を読み、原爆が投下さ (6) れ る 前 の 物 産 陳 列 館 に つ い て 読 み 取 る。 課題意識を持たせる。 ○1段落に込められた筆者の思いを 読み取らせるとともに、原爆ドーム の足跡とそれに対する人々の行動を 年表にまとめさせる。 ○叙述に即してて本文を読み取りや すくするために、写真と本文を対応 させる。 ○叙述に沿って、事実や人々の思い を書き込ませながら読み取らせる。 ②4・5段落を読み、原爆が投下さ れた後の物産陳列館について読み取 るとともに、広島の人々の気持ちに ついて考える。 ③段落6~8を読み、原爆ドーム永 久保存について自分の考えをシナリ オに表現する。 ④シナリオをもとに原爆ドーム永久 保存について議論する。 3 (1) ⑤段落9~13を読みユネスコ会議 ○永久保存について自分の考えを深 めるために 、シナリオに表現させる 。 ○原爆ドームのたどってきた歴史や 人々の思いが筆者の伝えたいことに つながっていることを押さえる。 ○自分の考えを広げたり深めたりす るために、議論させる。 ○世界遺産について自分の考えを深 -2- 習シート ・1段落に込められた筆 者の思いについて自分な りの考えをまとめてい る。<読>学習シート ・書かれている事象や人 々の思いに触れながら、 物産陳列館について自分 の考えをまとめている。 <読>学習シート ・あらゆるものを破壊し た原爆について自分の考 えをまとめている。 <読>学習シート ・書かれている事象や人 々の思いに触れながら、 原爆ドームを保存するこ とについて自分の考えを まとめている。 <読>学習シート ・たくさんの人々の平和 の議論について自分の考えをシナリ オに表現する。 ⑥シナリオをもとに世界遺産にする のかしないのかについて議論する。 めさせるために、シナリオに表現さ せる. ○自分考えを広げたり、深めたりす るために、議論させる。 ① 文 章 全 体 を 読 み 、「 平 和 の と り で を 築く」に込められた筆者の思いにつ いて読み取り、自分の考えをまとめ る。 ○叙述を丁寧に読み取りながら、筆 者の伝えたいことについて書いてま とめさせる。 4 平和について発信する。 (5) 修 学 旅 行 で 学 ん だ こ と 、 平 和 に つ い ○平和の願いを発信するための方法 を自由に考えさせ、実現できそうな ものに取り組ませていく。 ての資料や考えたこと等を発信する。 への願いで原爆ドームが 世界遺産に決定されたこ とについて自分の考えを まとめている。 <読>学習シート ・文章全体に着目し、根 拠を明らかにして、筆者 の伝えたいことについて 書くことができる。 <読>学習シート ・平和への願いを自 分のこととして主体 的に発信することが できる。 <書>学習シート 5 本時の学習 (1)目標 原 爆ド ー ムを 保 存す る かし な いか に つい て 議論 し 、「 原爆ド ーム 永久 保存」 に立 ち上 がるま で の人々の様々な思いや願いを深く想像することができる。 (2)展開 過程 学習活動 時間 教師の指導・支援 評価基準・方法 み ①前時の学習をふりかえる。 3分 ○前時の学習をふり返る中で、約1 見通しをもって学習できるように「学習のめあて」 と 徹底 5年もの間議論が続いたことや保 お ②本時のめあてを確認する。 存反対意見、賛成意見があったこ を明確にして子どもたちに提示する。(徹底) す とをを確認する。 ○自分が書いた賛成意見・反対意見 を確認させる。 「原爆ドーム永久保存」に立ち上がるまでの、人々の思いや 願いを読み取ろう。 ふ ③「原爆ドーム永久保存」について 議論する。 20 分 もう悲しい出来事を二度と思 能動 い出したくない。だから取り か こわしてほしい。 め る 二度と このような悲しみを繰 り返さないために原爆ドームを残 して伝えていくことが大切だと思 う。 ○議長は教師が行う。 ○前時に書いたシナリオをもとに賛 成と反対の立場から議論させる。 ○シナリオをもとに議論を進める が、議論の中で思ったことや考え たことも発言して良いことを確認 する。 ○意見を絡み合わせるために、前の 人のどの部分に対しての意見なの かをはっきりさせて発言していく よう助言する。 ○児童の発言でキーワードになるも のを板書していく。 ・シナリオをもと に原爆ドームを保 存することについ て自分の意見を伝 えることができ る。 <読> 学習シート・発表 学習内容の定着 を図り、学習の 成就感を感じさ せるために意見 を効果的に板書 する。(徹底) (議論をしている様子) ④永久保存が決定した時、人々は何 を願って立ち上がっていったのかを 考えて発表する。 ね 忘れてしまいたい。でも、この 苦しみを後世に生きる人達に忘れ ず伝えていってほしい。 10 分 徹底 能動 ○議論を通してお互いの意見・思い を聞く中で何に共感していったの か・どんな願いが確認されていっ たのかを考えさせることで、反対 ・賛成の両者がお互いの思いを十 分ふまえながら永久保存に立ち上 がったことを捉えさせる。 -3- り ○自分の意見がまとめにくい場合は 二 人 組 で 相 談 さ せ た り、 一 人 読 み 用 の シ ー ト に 書 き 込 ませ る よ う に する。 二度とこのような悲しみを繰り あ 返さないために原爆ドームを残し げ そしてただ残すだけではなく る 方々の思いを伝えていくことが て伝えていくことが大切だと思う 。 とりこわしてほしいと言われた 徹底 本当の意味で原爆ドームを保存し ていくということになる。 ⑤長い議論の末、永久保存が決まっ た時原爆ドームは何を私たちに訴え かけているのかを考えシートに書 く。 ⑥自分が書いた原爆ドームの声を発 表する。 7分 能動 5分 徹底 ○原爆ドームがどんな気持ちで永久 保存決定までの議論を見守ってい たのかという視点で今日の議論を ふり返らせることで、永久保存に 立ち上がった人々の思いや願いを より主体的に捉えることができる ようにする。 -4- ・議論をふまえ、 永久保存に立ち上 がった人々の思い や願いにふれなが ら、原爆ドームを 保存することにつ いて自分の考えを 原爆ドームの声と してまとめること ができる。 <読>学習シート