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3.1 装着型カメラロガーがとらえたヨーロッパヒメウの採食 ハビタットと餌獲得 Watanuki et al. 2008 MEPS 綿貫豊(北大水産)、高橋晃周(極地研)、F, Daunt, S. Wanless(英国環境研究所)、 佐藤克文、宮崎信之(東大海洋研) 潜水動物が何を見ているか?ヨーロッパヒメウの背中に静止画像 記録データロガー(Digital Still-image Logger) を装着し、潜水記録 と画像からマイクロハビタットと餌獲得を明らかにした。1)海底で採 食し、 2005年は、ニシキギンポの仲間(Pholis spp)を岩とソフトコラ ルのハビタットで捕食した。また、砂地でもよく採食した。潜水バウト 毎にマイクロハビタットが変わった。2)水面に上がってギンポを飲 み込んだ。失敗した潜水では、底時間は潜水深度に比例して長く なったが、ギンポを捕食した潜水では深度に対する底滞在時間は バラつき、平均的に短かかった。餌発見が確率的で捕獲後浮上し て餌を飲み込む場合は、最適潜水モデルに従わない、と考えられ た。 個体2の潜水と海底のハビタット 深度(m) 10 20 潜水バウト1 8:00 2005/06/20 潜水バウト2 9:00 10:00 11:00 DSLを装着したヨーロッパヒメウ 2005年スコットランドのメイ島で育雛中のヨーロッパヒメウ のオス2個体(2kg)に76gのDSLを装着した。遊泳速度は 16gの加速度ロガーで測定した場合と同じであった。画像は 15秒毎、深度は1秒毎に記録した。 0 30 Photo by A Takahahsi 潜水バウト3 12:00 13:00 日時刻 バウト1 バウト2 バウト3 ソフトコラル(Deadman’s finger)が密生した海底 海草が生えた岩場 潜 水 回 数 個体 バ ウ ト Bird1 1 Bird1 2 Bird1 3 Bird1 4 4 Bird2 1 48 Bird2 2 Bird2 3 ハビタット 潜水深 度 餌獲得 潜水 失敗 潜水 26 ソフトコラル 30±1 5 5 11 海草と岩 22±11 0 4 10 ソフトコラル 29±11 3 2 不明 28±13 0 1 ソフトコラル 19±1 5 13 19 ソフトコラル 22±2 0 1 64 海草と岩 11±3 1 7 表面時間 0 10 ギンポを捕獲し水面で飲み込もうとする。ギンポはく ねっており、まだ生きている。右の画像には、メイ島と その灯台が写っている。 浮上時間 20 沈降時間 30 底時間 40 4400 4450 4500 4550 4600 4650 4700 採食効率と繁殖成績 潜水深度と底滞在時間 赤は魚をくわえていた潜水で青はくわえていなかった潜水 年 1991 a 2005 餌 潜水あたり 捕獲数 巣あたり巣立 ち数 イカナゴ 2.7 0.86 ギンポ 0.2-0.4 0.48 最適潜水モデルは潜水サイクル(底時間+沈降浮上時間+表面時間)に対する 底時間(=採食時間と仮定される)比を最大化するよう、各深度ごとに底時間が 決まると予測するb。ギンポを食った場合は、底時間が大きくばらつき、最適潜水 モデルにあてはまらないかもしれない。 a) Wanless et al. 1993 Ibis135:19-24, b)Houston & Carbone 1992 Behav. Ecol.3:255-265.