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広島市公募提案型協働モデル事業報告書(本編)
広島市公募提案型協働モデル事業 報告書 平成26年3月 広島市市民局市民活動推進課 目 次 1 公募提案型協働モデル事業の制度概要…………………1 (1)目的…………………………………………………………………1 (2)事業の流れ…………………………………………………………1 (3)提案の募集…………………………………………………………2 (4)モデル事業の選考…………………………………………………4 (5)モデル事業の実施スケジュール…………………………………6 (6)評価・事業報告会…………………………………………………7 2 各モデル事業の実施結果…………………………………8 (1)各年度のモデル事業………………………………………………8 (2)各提案事業における役割分担…………………………………・13 (3)各提案事業の協働による事業効果及び気づき・留意点……・14 3 公募提案型協働モデル事業に関する評価……………・18 4 まとめ……………………………………………………・21 (1)モデル事業を終えて……………………………………………・21 (2)各審査委員からの意見等………………………………………・21 (3)今後に向けて……………………………………………………・23 資料 1 資料 2 資料 3 資料 4 資料 5 資料 6 資料 7 資料 8 資料 9 資料10 資料11 広島市公募提案型協働モデル事業実施要綱 広島市公募提案型協働モデル事業審査委員会設置要綱 広島市公募提案型協働モデル事業審査委員会委員名簿 広島市公募提案型協働モデル事業審査要領 広島市公募提案型協働モデル事業採点表(様式) 公募提案型協働モデル事業 応募の手引き 公募提案型協働モデル事業 募集チラシ 公募提案型協働モデル事業 協働協定書(作成例) 公募提案型協働モデル事業 事業結果報告書 公募提案型協働モデル事業 評価チェックシート 公募提案型協働モデル事業 評価一覧 1.公募提案型協働モデル事業の制度概要 1.公募提案型協働モデル事業の制度概要 (1) 目的 公募提案型協働モデル事業は、市民活動団体の専門性、柔軟性等を活かし、よりきめ細かく、効 果的な公共サービスを市民に提供するとともに、協働についての理解を広め、協働の機会を拡充す ることを目的として実施しました。 上記の目的のもと、平成21年度から平成23年度までの3年間に市民活動団体から提案を募 集・選考し、選考した翌年度に、市民活動団体と市とが対等な協力関係となるよう協定を結んだ上 で市が市民活動団体に委託して事業を実施しました。 (注)協働:共通する目的のために、役割を分担し、協力して活動すること。 (2) 事業の流れ 募集開始から事業評価までの流れは次のとおりです(平成23年度募集の場合) 。 平成23年度 ◇募集テーマの設定 ◇提案募集 審 査 委 員 に よ る 審 査 市 の 予 算 措 置 一次審査(書類審査) 一次審査で選考された事業の提案 団体と市の事業担当課による協 議・調整Ⅰ 市の平成24年度予算 要求の内容について、協 働モデル事業候補の提 案団体と市の事業担当 課で協議・調整Ⅱ 平成24年度当初予算 案を市議会で審議 ↓可決した後 協働モデル事業として 二次審査(公開プレゼンテーション) 協働モデル事業候補の選考 (モデル事業候補を絞り込めない場合 にはさらに最終審査を実施) 採択決定 平成24年度 平成25年度 協定書・ 委託契約書締結 協働モデル事業 の実施 1 事業報告・ 事業の評価 事業 報告会 1.公募提案型協働モデル事業の制度概要 市民活動団体から市の設定したテーマに沿った協働事業の提案を募集し、審査委員会において 選考された提案を市が協働モデル事業として市民活動団体に委託して実施しました。 事業実施後は、市民活動団体・市・審査委員会が協働の効果等について評価しました。 ※ 審査委員会において協働モデル事業候補として選考された提案は、市において翌年度の予算措置 を講じ、市議会で一般会計当初予算案が可決された後に、正式に実施が決定しました。 (3) 提案の募集 ア 募集テーマの設定 募集テーマは、各クロスセクション(CS)(※)が設定しました〔平成23年度は、CS のほか、全庁にテーマの照会を行い、1つのテーマをCS以外が設定しました(下表平成23 年度④マンパワーを活用した学校ICT化の支援) 。 〕 。 募集テーマの設定に当たっては、市民生活上の課題等の解決のためにどのような取組が必要 か、どのようなことが協働して取り組めるかなどについて考えるために、市が設定したテーマ 案について、事前に市民活動団体と市の制度担当課(市民活動推進課)及び各CS(平成22 年度のみ)で意見交換を行い、参考としました。 (※)複数の局の部署にまたがる市政の重要施策を総合的に推進するため、平成20年度から 平成23年度まで設置していた組織。 募集 テーマ 年度 番号 21 ① 生涯を通じた女性(特に更年期)の健康づくり ② 高齢者又は現役世代の人が高齢期になった時のセカン ドライフ応援 ③ 障害者の健康づくりの支援 ④ 子どもの遊び場づくり ⑤ 地域の魅力・資源を活かした、農山村地域の活性化や地 球温暖化対策 ① ② ③ 22 募集テーマ ④ ⑤ ⑥ 地域における行事・活動を通じた男女共同参画の意識づ くり 高齢者又は現役世代の人が高齢期になった時のセカン ドライフ応援 新たな技術の活用等による障害者の就労モデルや就労 支援プログラムの開発 子どもの社会参画を支援するための取組 地域住民の環境意識の向上や環境学習を目的とした環 境保全活動 農山村地域の住民と連携した里ライフの創造 2 CS又は 応募 担当課 件数 男女共同参画施策 2件 総合推進担当 高齢者施策 5件 総合推進担当 障害者施策 4件 総合推進担当 こども施策 5件 総合推進担当 エネルギー・温暖化対策 総合推進担当、 1件 里ライフ創造施策 総合推進担当 計17件 男女共同参画施策 1件 総合推進担当 高齢者施策 3件 総合推進担当 障害者施策 0件 総合推進担当 こども施策総合推進担当 1件 エネルギー・温暖化対策 2件 総合推進担当 里ライフ創造施策 2件 総合推進担当 計9件 1.公募提案型協働モデル事業の制度概要 募集 テーマ 年度 番号 ① ② 23 ③ ④ イ CS又は 応募 担当課 件数 男女共同参画施策 男性の家庭生活・地域活動などへの参画支援 4件 総合推進担当 ソーシャルビジネスなどによる障害者雇用モデルの提 障害者施策 3件 案 総合推進担当 家庭における環境に配慮した自主的な行動・取組につな エネルギー・温暖化対策 0件 がる地球温暖化対策 総合推進担当 教育委員会 総務課 マンパワーを活用した学校ICT化の支援 0件 教育 ICT 化推進担当 計7件 募集テーマ 募集説明会・個別事前相談の実施 協働モデル事業の主旨や募集テーマを理解してもらい、実施効果を高めるため、提案の募集(資 料6、資料7参照)に併せて、次のような取組を行いました。 ・募集説明会の開催(平成21年度及び平成22年度) 市民活動団体を対象とした、市の制度担当課(市民活動推進課)及び各CSによる募集説明 会を行いました。 ・個別事前相談の実施(平成23年度) より深く協働モデル事業の趣旨や募集テーマを理解してもらい、行政サービスとして取り組 む必要性の高い事業や、協働することでより高い効果が見込める事業を提案してもらうため、 応募を検討・希望する市民活動団体に対して、提案受付前に、市の事業担当課との個別事前相 談を行いました。 この個別事前相談の場で、市の施策に関する情報提供や、協働事業として実施可能かどうか 等の協議を行うとともに、必要に応じて、市民活動団体に対し、協働事業の趣旨や制度的制約、 委託と補助の違い等について、具体的に説明しました。 ウ 対象となるモデル事業の要件 提案の募集に当たっては、市が定めるテーマに該当するものであることに加え、次の要件を満 たす事業であることとしました。 ① 公益性が高く、協働して取り組む必要性があること。 ② 具体的な効果や成果が期待できること。 ③ 協働の役割分担が明確かつ妥当で、相乗効果が高まること。 ④ 提案する団体が事業を実施すること。 ⑤ その他次のいずれにも該当しないこと。 ア 営利を目的としたもの イ 政治、宗教、選挙活動 ウ 施設等の建設及び整備を目的とするもの エ 政策の提案(政策立案のための調査など) オ 学術的な研究事業 カ 地区住民の交流行事等の親睦会的なイベント 3 1.公募提案型協働モデル事業の制度概要 (4) モデル事業の選考 提案された事業は、一次審査及び二次審査(平成21年度及び平成22年度はモデル事業候補を 絞り込めなかったため、さらに最終審査を実施)を経て、協働モデル事業候補として選考しました。 協働モデル事業候補は、予算案が市議会において議決された後に正式決定しました。 (一次審査) 公募提案型協働モデル事業審査委員会(以下「審査委員会」という。)を開催し、市民 活動団体から提出されたモデル事業提案書類を審査し、二次審査対象事業を選考する。 (二次審査) 公開プレゼンテーションを行い、審査委員会委員(以下「審査委員」という。)の審査 によりモデル事業候補又は最終審査が必要な場合は最終審査対象事業を選考する。 (最終審査) 必要に応じて審査委員会を開催し、モデル事業候補を選考する。 また、審査は次の観点で行いました。 評価項目 行政サービスと しての優先度 協働の必要性・ 効果 実現可能性 ⑥ ① 市民から見て行政サービスとしての重要性・緊急性があるか。 ② 行政サービスとしての公平性・公正性が保たれているか。 ③ 課題解決のために市との協働が必要とされ、委託事業として実施する ことが妥当か。 ④ 既存事業と比較して効果が認められるか。 ⑤ 事業期間内に確実に終了できる方法、計画となっているか。 ①~⑤の評価項目とは別に、新規性・独自性等の評価すべき点があるか。 公募提案型協働モデル事業では、市民活動団体が提案した事業を市の事業として提案団体に委託 して実施することになるため、審査委員会において協働モデル事業候補として選考された後も、事 業内容等について提案団体と市との間で協議を重ねました。 4 1.公募提案型協働モデル事業の制度概要 (参考)平成21~23年度の公募・選考過程 平成21年度 平成22年度 平成23年度 ※市民活動団体との意見交換 会を開催(6月3日) ⑴ 募集(7月1日~7月30日) ⑴ 募集(7月25日~8月25日) ※募集説明会を開催 ※募集説明会を開催 ⑴ 募集(6月15日~7月29日) (7月12日) (8月18日) ※提案団体は、応募前に提案 ↓ ↓ 内容について市のテーマ担 ↓ ↓ 当課へ事前相談 ↓ ↓ ↓ ⑵ 一次審査(9月7日) ⑵ 一次審査(9月4日) ⑵ 一次審査(9月13日) ↓ ↓ ↓ 一次審査で選考された事業 ↓ 一次審査で選考された事業 の提案団体と市の事業担当課 ↓ の提案団体と市の事業担当課 との協議・調整Ⅰ ↓ との協議・調整Ⅰ ↓ ↓ ↓ ⑶ 公開プレゼンテーション、 ⑶ 公開プレゼンテーション、 ⑶ 公開プレゼンテーション、 二次審査(10月2日) 二次審査(9月13日) 二次審査(最終審査) ↓ ↓ (10月14日) ↓ ↓ ↓ 二次審査で選考された事業 二次審査で選考された事業 協働モデル事業候補の提案 の提案団体と市の事業担当課 の提案団体と市の事業担当課 団体と市の事業担当課との協 との協議・調整Ⅱ との協議・調整 議・調整Ⅱ ↓ ↓ ↓ ⑷ 最終審査(11月4日) ⑷ 最終審査(10月28日) ↓ ↓ ↓ ↓ ⑸ 選考結果を市へ報告 ⑸ 選考結果を市へ報告 ⑷ 選考結果を市へ報告 (12月7日) (12月1日) (11月18日) ↓ 協働モデル事業候補の提案 団体と市の事業担当課との協 議・調整Ⅲ(予算案作成) 5 1.公募提案型協働モデル事業の制度概要 (5) モデル事業の実施スケジュール 決定したモデル事業は以下のような流れで行いました。 予算案が議会で可決⇒モデル事業として採択決定 3 月 4 月 ★事業実施内容、役割分担について、市民活動団体 と市事業担当課で擦り合わせ 協定書・委託契約書締結 ★ 協働に関する基本的事項を明示した協定書を締結するととも に、地方自治法、広島市契約規則等に基づき委託契約を締結 5 月 6 月 協働モデル事業開始 ※協議・調整のイラスト ★事業内容について必要に応じて市民活動団体と市事業 担当課で協議・協力しつつ事業実施 7 月 8 月 ★次年度の事業実施について検討 ⇒実施予定となった場合、事業担当課が予算要求 9 月 中間報告会 1 0 月 ★報告会で審査委員からでた意見・アドバイス等 を踏まえて後半の実施内容を検討 1 1 月 1 2 月 1 月 2 月 協働モデル事業終了 3 月 4 月 事業報告・事業の評価(自己評価) 事業報告会 6 1.公募提案型協働モデル事業の制度概要 (6) 評価・事業報告会 協働モデル事業実施後には、 「協働」を行う上での課題を共有し、今後の協働事業につなげ ていくことを狙いとして、市民活動団体と市の事業担当課が、それぞれの視点で、「協働によ る事業の進め方」 、 「事業の成果」 、 「協働の効果」について自己評価を行い、この評価をお互い で確認するというプロセスを設けました。 【参考:自己評価チェック項目】 (協働による事業の進め方について) ・ 定期的に情報交換・意見交換の機会を設け、互いに事業の情報を共有するとともに事業の 振り返り・見直しを行いましたか。 ・ 事業の過程や結果などの情報を公開し、第三者に対する透明性の確保に努めましたか。 ・ 協定書に掲げる役割分担に基づき、双方がそれぞれの役割を果たせましたか。 (事業の成果について) ・ 事業計画(事業内容、スケジュール、予算等)どおり実施するとともに、不測の事態に協 力して対応できましたか。 ・ 事業の目的及び目標は達成されましたか。 ・ 事業効果とコストのバランスはとれていましたか。 (協働の効果について) ・ 協働することにより、どちらかが単独で実施するよりも高い効果が得られましたか。 ・ 協働事業のノウハウが取得できましたか。 また、自己評価を踏まえて、審査委員や市民活動団体関係者、市職員等に報告するための事業 報告会を開催しました。 7 2.各モデル事業の実施結果 2.各モデル事業の実施結果 (1) 各年度のモデル事業 ■平成21年度選考事業(平成22年度実施) 市民活動団体 提案事業 事業担当課 事業概要・実施結果 【事業概要】 シニアの今後の人生設計を支援するため、シニア世代の意識・動 向調査を行い、その結果を踏まえ、シニアが関心を持つ情報を提供す るイベントの開催及びボランティア体験事業を実施する。 ひろしま市民活 【決算額】 148 万円 動ネットワーク HEARTtoHEA 【実施結果】 RT シニアのための“こ れからの豊かな生 活”設計応援プログ 団体HP http://blog.c anpan.info/ heart-to-he art/ ① シニア層へのアンケート調査 50 歳~64 歳の市民 1,000 人を対象に、セカンドライフにお ける今後の豊かな生活に関する意識調査を実施し、シニア世代の 志向の分析結果をとりまとめた報告書を作成して市HP等で公 開した。(回答数 376 人) ② ラム 市民局 つながりづくり事業(フェア)の開催 ①の調査結果をもとに、シニアが関心を持つ行政情報や市民活 動情報等を提供するためのフェアを開催した。 (来場者約 150 人 参加団体 16 団体) 市民活動推進課 ③ ボランティア体験活動プログラムの実施 シニアを対象に市民活動団体等でのボランティア活動体験事 業を実施し、体験終了後には、感想や今後の抱負等について参加 者が意見交換するための振り返り会議を開催した。 (参加者 18 人 受入団体 11 団体) 【事業の継続】 23 年度継続実施。 ほのぼの広島会 民間施設等を主とし たバリアフリートイ レマップの作成 【事業概要】 移動弱者に外出しやすい生活環境を提供するため、民間施設等を主 としたバリアフリートイレマップを作成するとともに、マップの作成 要領を作り、同様のマップ作りが全国で行われるよう発信する。 【決算額】 団体HP http://hono 154 万 7 千円 bono-hiroshi makai.com/ 【実施結果】 ① バリアフリー・トイレマップの作成 健康福祉局 バリアフリートイレ情報を入手した上で、各施設の現地調査を 行い、繁華街版、広島旧市内版、宮島街道版を作成し、区役所、 健康福祉企画課 社会福祉協議会の窓口等に配架した。 (掲載施設数約300施設 印刷部数 30,000 部) また、マップ作りで注意すべきことやノウハウをまとめた作成 要領を作った。 8 2.各モデル事業の実施結果 市民活動団体 事業担当課 提案事業 事業概要・実施結果 【事業の継続】 市民活動団体の独自事業として実施。 特定非営利活 【事業概要】 高次脳機能障害についての理解促進と、適切な福祉サービスが受け られていない方の掘り起こしのため、普及啓発活動及び相談支援活動 を実施する。 【決算額】 高次脳機能障 87 万 2 千円 動法人 害サポートネ 【実施結果】 ① 相談事業の実施 ットひろしま 家族のこころの健康 ソーシャルワーカー、ピアスタッフ等による生活相談及び個別 団体HP 相談を毎月第2火曜日に実施した。 (生活相談 132 人 個別相談 のために-交流と学 http://ww 18 人) 習の場づくり- w.koujinou 高次脳機能障害者と -net.com/ 健康福祉局 精神保健福祉 課 ② 普及啓発事業の実施 高次脳機能障害についての理解促進を図るため、体験事例集及 び啓発用パンフレットを作成し、市の相談機関等で活用した。 (事 例集 700 部 パンフレット 4,000 部) 【事業の継続】 ①について、25 年度まで継続して事業実施中。 ・相談実績 23 年度 生活相談 159 人 個別相談 20 人 24 年度 生活相談 134 人 個別相談 17 人 シニアのための“これからの豊かな生活”応援フェア バリアフリートイレマップ (民間施設等を主としたバリアフリートイレマップの作成) (シニアのための“これからの豊かな生活”設計応援プログラム) パンフレット (高次脳機能障害者と家族のこころの健康のために-交流と学習の場づくり-) 9 2.各モデル事業の実施結果 ■平成22年度選考事業(平成23年度実施) 市民活動団体 提案事業 事業担当課 事業概要・実施結果 【事業概要】 広島市内に組織されている子どもエコクラブ(幼児~高校生で環 境に興味のある人なら、誰でも参加できる環境活動のクラブ)単位 で、参画型環境保全活動を推進する子どもリーダー(アースキッズ) を養成する。 また、子どもリーダーの活動を支援するサポーター(大人)の養 成を並行して行い、事業終了後の各単位エコクラブ活動の充実に寄 与する。 特定非営利活動法 人 アースキッズ・プ ロジェクト (子ども環境保全 活動リーダー養成 プロジェクト) 【決算額】 156 万 8 千円 ひろしま自然学校 【実施結果】 ① 子どもリーダー養成会(アースキーパーズ・プログラム)の 団体HP 実施 http://morica 小学5・6年生・中学1年生の子ども2~3人と大人1人を fe.sakura.ne. 1グループとして、1か月にわたる家庭での取組、自然体験合 jp/ 宿など綿密にデザインされた2か月のプログラムを通じて、 「ア ースキーパー(地球を守る人)」を育てるプロジェクトを行った。 (全5回 参加者子ども9人・大人3人(3グループ) ) 環境局 企画課 (温暖化対策課) ② サポーター養成会の実施 「アースキッズ・プロジェクト」のサポーターとして活動す る大人を対象に、 「アースキッズ・プロジェクト」の内容や実施 方法、子どもをサポートするための具体的な役割についての説 明会を開催した。(参加者 4 人) 【事業の継続】 一部事業内容を変更し 24 年度継続実施。 ・自然体験学習会「こども環境講座」を実施し、小学 4~6 年生・ 中学 1 年生の子ども 6 人とカウンセラー4 人を 1 グループとし て、子ども環境リーダーを養成するプログラムを行った。 (参加者 24 人(4 グループ)) 【事業概要】 主に中年層(40 代~60 代)を対象に、農業体験や交流会などへ の参加を通して農山村地域への関心・理解を深めてもらうことで、 過疎化、人口減少にある農山村地域への定住促進を図る。 特定非営利活動法 人 【決算額】 194 万1千円 ふぞろいプロジェ 【実施結果】 ① 農業体験の開催 参加者を対象に、広島市内の農家等において、農作業のサポ ートを行う農業体験(たくあん作り、苺の株分け作業、稲刈り 団体HP 等)を開催した。(全 12 回 参加者延 109 人) http://fuzoroi クト Always 里ライフ プロジェクト project.web.f c2.com/fuzor oi/index.html 都市活性化局 都市活性推進課 ② 交流イベントの開催 参加者と農家及び農山村地域の方々を対象に、市の施設を利 用して、農業や食育に関する講演会、料理教室などの交流イベ ントを開催した。(全 4 回 参加者延 99 人) ③ 定住コーディネートの実施 参加者のうち、農山村地域への定住を希望する方を対象に、 農家や地域の状況の見学などを行い、定住に向けた支援を行っ た。(実施回数 4 回 定住希望者数 2 組 3 名) 【事業の継続】 市民活動団体の独自事業として実施。 ・モデル事業時の就農希望者をサポートし、市外における就農を 支援している。 10 2.各モデル事業の実施結果 子どもリーダー養成会 (アースキッズ・プロジェクト) 農業体験 (Always 里ライフプロジェクト) 11 2.各モデル事業の実施結果 ■平成23年度選考事業(平成24年度実施) 市民活動団体 事業概要・実施結果 提案事業 事業担当課 【事業概要】 20 代~40 代の働く男性を主なターゲットとして「講座」、 「実践(体 験) 」、 「意見交換等のワークショップ」を実施する。募集は授業ごとに行 うが、参加者が授業の枠を超えて横断的に繋がり、事業終了後もお互いに 意見交換等を図れるよう、ソーシャル・メディアを活用するとともに、専 用の WEB サイト(ブログ)を立ち上げ、活動の状況を適宜共有できる仕 組みをつくる。 イクメン・カ 特定非営利活動 ジダン養成講 法人 【決算額】 154 万円 ひろしまジン大 【実施結果】 ① 講座・ワークショップの開催 学 男性による料理、家事等の実践と定着を図るための、体験型の講座 及びワークショップを開催した。(全7回 参加者延 141 人) 団体HP http://hirojin. ② ソーシャルメディア(SNS)の活用 講座参加者を中心とした日常的な繋がりづくりのため、SNS 上に univnet.jp/) コミュニティサイトを開設した。(参加者約 60 人) ③ 世代間連携 下記の健康デザイン研究所との共催で、子育てをテーマに様々な世 代を参加者とする座談会を開催した。 (参加者 31 人) 市民局 座 男女共同参画課 【事業の継続】 市民活動団体の独自事業として継続実施。 【事業概要】 地域社会において、プラチナ世代(55 歳以上、もしくは定年退職後) がその知識や経験を活かして活躍し、家庭生活において家事、育児、趣味、 地域活動を両立したライフスタイルを実現し、心豊かに暮らすためのセミ ナーを開催するほか、ガイドブックを出版する。 【決算額】 112 万2千円 プラチナ世代 男性の家庭生 活・地域活動 健康デザイン研 などへの参画 究所 を支援するた 団体HP めのセミナー http://blog.g oo.ne.jp/yok の開催とガイ a-optimal ドブックの出 版 市民局 【実施結果】 ① セミナーの開催 プラチナ世代の男性を対象に、健康、生きがい、余暇、家事、子育 て支援など生活全体から家事の知恵を学ぶことができるセミナー(い きいきプラチナ塾)を開催した。(全 11 回 参加者延331人) ② ガイドブックの作成・出版 生活全体から家事の知恵及びコツを盛り込み、家庭生活・地域活動 などへ男性が参画する上で参考となるガイドブックを制作・出版し、 公民館などの市公共施設等で配布した。 (出版部数 5,000 部) ③ 世代間連携 上記のひろしまジン大学との共催で、子育てをテーマに様々な世代 を参加者とする座談会を開催した。 (参加者 31 人) 男女共同参画課 【事業の継続】 市民活動団体の独自事業として継続実施。 ・複数の公民館と連携してセミナーを実施している。 ・セミナーでは今回の事業で作成したガイドブックを活用している。 パパと作る手作りおもちゃ いきいきプラチナ塾(プラチナ世代男性の家庭生活・地域活動などへ (イクメン・カジダン養成講座) の参画を支援するためのセミナーの開催とガイドブックの出版) 12 2.各モデル事業の実施結果 (2) 各提案事業における役割分担 提案事業名 市民活動団体への 委託部分 委託部分以外に 市民活動団体が 実施した部分 市が実施した部分 ・アンケート調査 シ ニ ア の た め の ・応援フェア・ボラン “これからの豊 ティア活動体験の かな生活”設計応 企画・実施 援プログラム ・事業終了後の参加者 に対する市民活動情 報の提供等(ボラン ティア活動を継続す るよう支援) ・アンケート調査対象者抽出 ・市 HP でのアンケート結果公 開 ・アンケート実施に係る郵送料 ・会場の確保 ・事業の広報(広報紙、HP 等) ・バリアフリートイレ 調査票の作成 ・マップ作成 ・団体のイベント参加 等におけるマップ配 布(平和記念式典、 フラワーフェスティ バル他) ・市関係団体からマップ掲載情 報の収集 ・各公共施設の窓口等における マップの配布 高 次 脳 機 能 障 害 ・相談事業(生活相 談・個別相談) 者と家族のここ ろ の 健 康 の た め ・普及啓発事業:パン に-交流と学習 フレット、体験事例 の場づくり- 集の作成 ・市職員研修について の助言・講師の派遣 ・事業の広報(市広報紙等) ・作成したパンフレットを利用 した啓発活動 ・会場の確保 民間施設等を主 としたバリアフ リートイレマッ プの作成 アースキッズ・プ ・子どもリーダー養成 会(アースキーパー ロジェクト ズ・プログラム)の (子ども環境保 全活動リーダー 実施 養 成 プ ロ ジ ェ ク ・サポーター養成会の ト) 実施 ・事業の広報 ・参加者募集(エコクラブ登録 者への告知) ・事業の広報 ・参加者募集 ・農業体験の開催 Always 里ライフ ・交流イベントの開催 プロジェクト ・定住コーディネート の実施 ・参加者募集 ・事業の広報 ・会場の確保 ・事業の広報と参加者 募集 ・講座・ワークショッ プの開催 イクメン・カジダ ン養成講座 ・WEBサイト開設・ 運営管理 ・SNS による参加者 の繋がりづくり ・事業の広報 ・会場の確保 プラチナ世代男 性の家庭生活・地 域活動などへの 参画を支援する ためのセミナー の開催とガイド ブックの出版 ・事業の広報 ・会場の確保 ・ガイドブックの製 作・出版・配布 ・セミナーの開催 13 2.各モデル事業の実施結果 (3) 各提案事業の協働による事業効果及び気づき・留意点 (各項目内容の内訳 ○:市事業担当課意見 ◇:市民活動団体意見) 提案事業名 協働による事業効果 団体・事業担当課 シニアのための “これからの豊か な生活”設計応援 プログラム 気づき・留意点 ○市民活動団体の幅広いネットワークにより、イベント ○事業に係る業務量の割に やボランティア活動体験に多くの市民活動団体の参 イベントへの参加者が少 なく、費用対効果が低くな 加を得ることができた。 った。 ○市民活動団体による、ボランティア活動体験の参加者 と受入先団体とのコーディネート、参加者へのアドバ イス及びきめ細かいフォローにより、活動体験終了後 ◇イベントなど市民参加者 を募る機会への市職員の もボランティア活動を継続する参加者が増えた。 ひろしま市民活動 ネットワーク HEARTtoHEART 参加が少なく、市内部での ○市民活動団体の活動目的に沿った事業であったため、 協働意識啓発の必要性を 市が細かい仕様を決めず、市と市民活動団体が協議を 感じた。 市民局 しながら内容を決めていくことにより、活動現場の感 市民活動推進課 覚を活かした内容となった。 ◇事業が単年度に限定され、 ◇市の広報紙・HPによる広報や市の施設の手配、アン モデル事業自体も時限的 ケート調査の対象者抽出などを市が役割分担して行 であるなど、協働事業の仕 うことで、効果的に事業を進めることが出来た。 組み自体が市民活動団体 側にとってやりにくい部 ◇当事業をきっかけに、受託団体が他の市民活動団体と の新たなネットワークを広げることができた。 分があった。協働事業の仕 組みを構築する段階でも 市民活動団体の意見を聞 ◇アンケート調査結果など事業の成果物やノウハウを いてほしい。 市民活動団体でも活用し、その後の活動に活かすこと が出来た。 ○市民活動団体の現地調査は、バリアフリートイレの鏡 民間施設等を主と の位置やトイレットペーパーの取り易さなど、障害者 したバリアフリー 等の利用者の立場に立った細やかな視点で行われて トイレマップの作 おり、より効果的できめ細かな公共サービスの提供と 成 いう協働事業の趣旨に沿ったマップの作成につなが った。 ほのぼの広島会 健康福祉局 健康福祉企画課 ◇市民活動団体がマスコミを通して情報を募集しても 効果が薄かったが、市が関係機関等とのネットワーク を通じて情報収集することで多数の新情報を得るな どの効果があった。 ○ボランティア参加者の都 合や天候不順等の理由に より、現地調査や調査結果 の取りまとめ作業に予想 以上に時間を要してしま った。 ◇事業の性質上、単年度では なく3年毎に継続的に(マ ップの更新を)実施した方 が協働による事業効果が 更に高まると思う。 14 2.各モデル事業の実施結果 提案事業名 協働による事業効果 団体・事業担当課 気づき・留意点 ○市の職員が相談会に参加することにより、事業内容 高次脳機能障害者 の把握とともに市職員の研修効果が得られた。また、 と家族のこころの 利用者に的確な情報提供がなされ、事業への問い合 健康のために-交 わせや参加者の増加につながった。 流と学習の場づく り- ○市の相談窓口での相談と、団体が実施する専門性の ある相談・支援が、互いに連携を取りながら高次脳 機能障害者及び家族の支援を進めることができた。 特定非営利活動法人 高次脳機能障害サポ ートネットひろしま 健康福祉局 精神保健福祉課 ◇相談事業実施の市の広報媒体によるPRや、作成し たパンフレット、体験事例集を市の相談機関等で活 用することで、高次脳機能障害の理解を促進するこ とができた。 ◇県内では高次脳機能障害の 講演会などが少ないことか ら、市と協働で事業啓発の 講演会や、家族をケアする ための講座などが開催でき ◇市広報紙に高次脳機能障害についての記事を掲載し たらよかった。 たことで、総合リハビリテーションセンターや区へ の問い合わせが増加し、市民活動団体の活動が広く 知られるようになった。 ◇モデル事業終了後も継続的に事業を実施したこと で、年々参加者が増えていき、事業を始めた当初は 悩みを相談する立場だった方が、自らの体験談を他 の参加者へ伝えるなど支援者となっていくという良 いサイクルが生まれた。 ○通常の委託事業との違いが アースキッズ・プ ロジェクト(子ど も環境保全活動リ ーダー養成プロジ ェクト) 特定非営利活動法人 ひろしま自然学校 明確でなく、事務手続きも ○単発の自然体験学習ではなく、体験したことが身に 付き実践できるように考えられたプログラムを、市 煩雑になりその分のコスト が発生した。 が所管する「こどもエコクラブ」の組織強化や活動 の充実に活かすことができた。 ○当初想定より参加者が少な く、事業の費用対効果が低 ◇市と協働することで、市が所管する「こどもエコク くなってしまった。 ラブ」に対して参加者を募集することができた。ま 環境局 た、市の広報紙に掲載することで、事業を周知する ◇協働主体にマスコミなど第 企画課 ことができた。 三者を加えて実施すること で事業効果を高めようとし (温暖化対策課) ◇NPO と市がこれからの環境教育についての方向性 やノウハウを共有することができた。 たが、市の事業としての制 約もあり、実現できなかっ た。 15 2.各モデル事業の実施結果 提案事業名 協働による事業効果 団体・事業担当課 気づき・留意点 ○市民活動団体のノウハウを活かし事業を行うことで Always 里ライフ プロジェクト 単発の農業体験等とは異なり、農業体験(=きっかけ ◇農山村地域への定住者を づくり)から定住コーディネート(=定住の入口)ま 増やすという事業目的は でを実施してもらうことができた。 実現できず、単年度事業で 成果を出すのは難しいと 特定非営利活動法人 ふぞろいプロジェ クト 都市活性化局 ○市民活動団体のネットワークを活かした講師の招聘 感じた。 などの事業展開や、参加者の活動や相談に対してきめ 細かくフォローをするなど、市民活動団体の強みを活 ◇より成果を出すためには、 かすことができた。 今回芽生えた、市民・生産 都市活性推進課 者・企業・行政・NPO 等 ○市民活動団体と参加者が継続的に関わりをもつこと で、参加者のニーズ把握とフォローができた。 との連携を単年度で終わ ることなく、継続・拡大し て実施していくことが重 ◇市と協働することで、短期間で市内の農業関係者、地 要だと思う。 域の方々と市民活動団体との関係が深くなり、円滑に 事業を進めることができた。 ○20 代~40 代の働く男性という、これまで市があま イクメン・カジダ ン養成講座 り事業対象としてこなかった人々に対して、市民活動 団体の持つ人的ネットワークや雑誌、ブログ等の広報 媒体を活かして事業の周知を図ることができた。 ○講座の内容について、市民活動団体のノウハウを活か ◇参加者を増やすことによ 特定非営利活動法人 ひろしまジン大学 市民局 男女共同参画課 し、参加者が楽しみながら気軽に家事・育児に取り組 り、コストパフォーマンス めるよう工夫されており、テーマ展開も所期の目的の を高める必要がある。ま 達成に向けて効果的なものとなっている。 た、コストは具体的な評価 の指標があるとよい。 ○ソーシャル・メディアを通じて参加者同士の交流も深 めるなど、市民活動団体との協働によりITを上手く 活用した取り組みができた。 ◇単年度のみでなく、複数年 度で取り組む事業なども ◇協働事業の実施をきっかけに、広島県や教育・育児等 実施できれば、お互いによ 関連企業、テレビ局等とタイアップした子育て関係事 り定着した取組にしてい 業の企画が拡がるなど、新たな事業展開につながろう くことができると思う。 としている。 ◇市側から事業についてのアドバイスをもらったり、市 民活動団体だけではアプローチできないような施設 やサークルにも市から広範に広報してもらうことが できた。 16 2.各モデル事業の実施結果 提案事業名 協働による事業効果 団体・事業担当課 プラチナ世代男性 の家庭生活・地域 活動などへの参画 を支援するための セミナーの開催と ガイドブックの出 版 健康デザイン研究所 市民局 男女共同参画課 気づき・留意点 ○市民活動団体が培ってきた企画力、広報力を活かして 事業の周知を図ったことで多くの参加者を集めるこ とが出来た。 ○広報や会場手配等は公民 館の協力が大きく、事業担 ○セミナーの内容もプラチナ世代の方にとって非常に 身近で有意義なものとなるよう工夫されており、テー 当課の関与は予定より小 さくなった。 マ展開も所期の目的の達成に向けて効果的なものと することができた。 ◇委託料に事務費を計上し ◇中間報告会などでの振り返りにより、その後の事業の 充実につながった。 17 ていなかったので、団体で 負担することとなった。 3.公募提案型協働モデル事業制度に関する評価 3.公募提案型協働モデル事業制度に関する評価 今回の公募提案型協働モデル事業では、各年度の事業実施後に市民活動団体と市による自己評価や 事業報告会を行い、審査委員から意見をいただきました。 これらに加えて、事業の実施方法など事業全般についての審査委員や市民活動団体・市の意見を項 目別に整理し、今回のモデル事業における効果や気づき・留意点を以下のとおりまとめました。 (各項目内容の内訳 項目 ○:市事業担当課意見 ◇:市民活動団体意見 効果 ☆:審査委員意見) 気づき・留意点 ○市民活動団体のノウハウやネットワーク、事業実 施に当たってのきめ細かいフォローといった強 ○市と市民活動団体それぞれの役割の線引 みを十分活かしてもらい、事業の効果が高まっ きが難しい。また、協働による委託事業 た。 と通常の委託事業がどう違うのか、役割 分担がわかりにくい部分があった。 ○市民活動団体が培ってきた企画力やネットワー ク、広報力を活かすことで、従来まで市の取組に あまり関心のなかった人々に対しても事業の周 ○仕様書に記載してない細かい部分につい 知を図ることができた。 ても意見交換を重ねながら事業を実施し た結果、時間がかかりすぎてしまい、ス ○行政の取組には堅いイメージがあるが、市民活動 ケジュールに遅れが生じてしまった。意 団体が実施することでソフトなイメージとなり、 見交換の過程も事業実施のために必要な 市民に受け入れてもらいやすかった。 部分なので、予めその時間も充分に組み ◇市が広報や事業の周知を行ったことで、市民活動 込んだ上で計画を立てた方がよい。 団体だけではアプローチできないような施設や 団体など幅広い層へ声掛けして、新たなニーズを ◇市と市民活動団体では立場の違いによる 掘り起こすことができた。 協働するこ 考え方や仕事の進め方、ルールの違いが とについて ◇市の所管施設を安定的に使用することができ、コ ストの削減につながった。 あるので、事業実施においては、互いに ◇市の持つ繋がりや信頼感を活かすことで、短期間 で市内の関係者、地域の方々との関係を深めるこ とができ、円滑に事業を進めることができた。 と、信頼関係を築くことが必要だと思う。 ◇市から受けた事業をやり遂げたことは市民活動 団体にとっては貴重な経験である上、市民活動団 体の信頼感やイメージアップにもつながる。 妥協せず考え方をぶつけて理解するこ ☆一つの事業にかける行政側のコストとい う観点で見た場合、今回の方法は選考や 事業実施段階において通常の協働事業と 比べてコストがかかることから、今後の 協働事業のプロトタイプとするために ◇今回の事業を通じて、市の業務の進め方を知り、 は、改善が必要と思われる。 市と協働事業を行うためのノウハウを得ること ができたので、次回以降の協働事業をスムーズに ☆モデル事業は終了するが、市民活動団体 進めることができる。 が市の関係機関と協働しようとする際に ☆市民活動団体が市と協働した実績を活かせば、企 業への協力を求めるといったアプローチもより 効果的に行えるものと期待できる。 18 両者を繋ぐなど、市が引き続き携わる仕 組みがあるとよい。 3.公募提案型協働モデル事業制度に関する評価 項目 気づき・留意点 効果 ○市民活動団体側の思いが強い事業である ため、提案内容を市の事業とするための調 整が難しかった。 ○実施した事業は、市民活動団体自身が提案した ものなので、企画検討・参加団体の募集をはじ め事業に積極的かつ自発的に取り組んでもらう ことができた。 提案を公募 す る こ と に ○市民活動団体が過去に実績のある分野の事業で ついて あり、実施のノウハウを持っていたため、スム ーズに事業を進めることができた。 ○市民の目線で事業を提案できるため、市民が主 体となってサービスを提供する活動ができる。 ○今後、各課が今回のモデル事業の仕組みで 行おうとしても、予算の担保がないため、 前年度に公募することが難しい。 ☆市民活動団体からの提案と市担当課のマ ッチング作業は重要であり、それだけに事 業提案する市民活動団体と行政双方の情 報提供・情報交換が事前にされることが必 要である。 ☆応募段階ですでに細かなテーマが設定さ れているため、市民活動団体側が持ってい る創造性や柔軟性を活かしきれていなか った面がある。 ○市民目線の自由な発想による提案を活か すという観点から、事業内容によっては、 委託よりも補助金による事業支援の方が 望ましい場合などもあるので、事業内容に 応じて協働の効果が高い手法を選択する ようにしても良いと思う。 委 託 及 び 協 ○協定書を作成することで、事業としてやりたい ○契約締結や経費の支出などのルールや、事 定・契約につ ことやお互いの役割分担が明確になった。 いて 業スケジュールについての事前確認が不 十分で、事業を進める中で行き違いがあっ たことから、事業実施段階までに予めよく 説明や擦り合わせをする必要がある。 ○事業実施にあたり、事業の目標や互いの目 的、役割分担が曖昧で連携がうまくいかな いところがあったため、これらを協定締結 前にしっかり話し合い、協定書に明記した 方がよい。 19 3.公募提案型協働モデル事業制度に関する評価 項目 気づき・留意点 効果 ○市民活動団体との新たなつながりができたことで、今後も連携し て取り組むなど双方の事業展開の幅が広がることが期待できる。 ○市民活動団体の事業に市の職員が一緒に参加することで、市の職 員が事業のノウハウを得たり、新たな知識を吸収するといった研 修効果を得ることができた。 ○協働事業の実施を通じて、他の自治体や企業などへのネットワー クが拡がり、新たな事業展開につながろうとしている。 ○協働事業を通じて得たノウハウを、市民活動団体独自の事業内容 にもフィードバックすることができた。 ○今回の事業への参加をきっかけに、参加者の中から主体的に市民 活動を始めたグループや市民活動団体にスタッフとして加わる 人がでるなど、活動に拡がりが生まれた。 協働事業か ら派生した 効果につい て ○選考外となった提案の中にも、委託以外の方法で協働出来る内容 もあり、実際に、事業所管課が個別に市民活動団体と協議・調整 し、提案内容を一部修正した上で、事業化した例がある。 ◇公募提案型協働モデル事業実施の翌年度以降も協働事業を継続 することで、徐々に事業への参加者が増えていき、事業を始めた 当初は参加者だった方が支援者として参加者をサポートする立 場となったり、参加者の自立が促進されるなど大きな成果を上げ ることができた。 ◇同時期にモデル事業を行った市民活動団体同士(ひろしまジン大 学、健康デザイン研究所)が、中間報告会で互いの事業の進捗状 況を知る中で、当初予定していなかった交流会を共催した。これ により、行政との一対一の事業実施では得られなかっただろう視 野の広がり、共感がもたらされ、互いの事業により良い結果を残 した。 ☆社会参画したいと考えている人が参画するきっかけ(場所、情報) を提供することができた。 ☆信頼関係が構築されたことから、今後、市が事業実施する際に市 民活動団体をパートナーに思い浮かべることができる。 20 4.まとめ 4.まとめ (1) モデル事業を終えて 今回の公募提案型協働モデル事業では、期待していた様々な効果もあれば、今後の参考となる気 づきや留意点もありました(P18、19) 。それとともに、協働事業を実施することで当初は想 定していなかった効果(派生効果)がありました(P20) 。 なお、公募提案型協働モデル事業としての事業実施は一年のみでしたが、翌年度以降もこの事業 を通じて得たノウハウや経験を活かして、市及び市民活動団体が協働で、あるいは市民活動団体の 自主的な活動として事業を実施する事例もありました(P8~12) 。これも今回のモデル事業に よる効果の一つです。 (2) 各審査委員からの意見等 また、今回の公募提案型協働モデル事業を振り返って、審査委員からは次のような御意見等をい ただきました。 今回の協働モデル事業では、市民活動団体の独自アイディア・ノウハウ・ネットワークと、 行政の資源提供がうまくかみ合って、既存の市事業では届かなかった市民にアプローチが出来 たと評価しています。各事業の規模は決して大きくはありませんが、ほとんどの事業で計画を 上回る実績があったこと、モデル事業の終了後も継続される例があったこと、広島市内外で反 響が生まれたことなど、当初想定以上の成果がありました。 事業の直接的な成果以上に印象的であったのは、市民活動団体と行政がお互いの立場を尊重 しつつ信頼関係を築くなかで事業を進めてきたプロセスでした。本協働モデル事業は、市民活 動団体と行政が今後さまざまな場面で協働作業を進めていく上で求められる、コミュニケーシ ョンやパートナーシップの望ましいあり方を示せたと思います。 一方、市民活動団体の報告を聞くと、単年度事業では十分な成果を出せないという消化不良 も感じました。実質の事業期間は半年程度であり、地域社会に対するインパクトを感じるまで には至らなかったというのが実情のようです。複数年度でじっくり取り組める協働事業の検討 も求められると言えるでしょう。 こうした課題も見えてきましたが、本協働モデル事業では、既存の公共サービスをブラッシ ュアップするためには市民活動団体の関与が有効であることが示されると同時に、市民活動団 体の潜在力を発揮させるためには行政の協力が重要であることが示されました。こうした実践 が着実に積み重ねられていくことを願います。 (金谷委員長) 21 4.まとめ 現場を熟知した上での団体からの提案事業は、柔軟性、迅速性、専門性の特性を生かし、創 意工夫のうえ努力された活動実績に基づいたもので、多様化する市民ニーズのためにという熱 意、自信を感じました。事業進行を図りながら、実施団体間で連携し新講座を開催できたこと は今後の前進、拡大、深耕が期待できます。 今回のモデル事業は市から市民活動団体側への委託という形式でしたが、将来的には団体側 から事業提案するという方法も良いと思います。また、活動時期、内容に制限がある単年度事 業でなく、継続事業になれば、短・中・長期計画に基づき事業の継続、拡充が図られ、団体の 活動の場や幅が広がり雇用機会の拡大も期待できます。 市では一つの事業でも事業内容が数課にまたがる場合は、関係課からの予算の持ち寄りで事 業遂行を可能にすること、また、職員からの協働に係る企画・事業案を俎上に挙げ、団体との 意見交換を随時実施し「現場の共有化」ができれば、事業の継続、拡大へとつながると思いま す。 両者が知識・情報・人脈等を駆使し良い刺激を受けることで相乗効果が上がり、意識、行動 の変化へつながり、両者の自律・承認・希望が見えました。 両者の今後の活動が新しい花を開き実をつけること確信しています。 (井手口委員) 今回の事業は、新しい公共のあり方を創り出すためのモデルとして、意義のある3年間の取 り組みだったと思います。 年を追うごとに、応募者が少なくなったのが大変残念でしたが、これは協働事業についての 認識に、広島市と市民活動団体の間で隔たりがあったためだと感じています。このような事業 を進めるにあたっては、行政側・市民団体側が立場を明確にして十分に意見交換した上で、 「協 働とは」 「委託とは」という基本的な概念について、共通認識を持って最初の一歩を踏み出すこ とが何よりも重要なことだと思います。 また、今後、市民協働での事業を展開するにあたっては、行政側の会計年度との兼ね合いや 体制整備、市民団体側の事務的なスキルアップや人材の確保などさまざまな課題が明らかにな ったことも大きな収穫だと思います。 この事業の成果が、今後の広島市の行政施策の中で「新しい公共」の礎になることを願って います。 (秦野委員) 22 4.まとめ 事業費の制約や委託事業の考え方、行政のしくみに由来する調整手続きと、事業の趣旨にあ る「市民活動団体の専門性や柔軟性を活かす」ことを両立させるのは難しいですが、 “協働”は 避けて通れません。市民活動団体・行政ともに、引き続きのチャレンジを期待しています。 また、今回のモデル事業をきっかけに、市のすべての業務を協働ベースで見直してみてはい かがでしょうか。公募前の段階で、市の業務がどのように進められているか、新たに想定して いる課題や業務は何か、市民に情報公開・情報提供し、その上で、オープンに多様な提案を受 け、具体的な協働テーマ、内容や方法(委託・補助・共催等)を決め、団体を選定していくと いったプロセスも必要になると思います。 (毛利委員) 行政内部でも担当課を越えての連携や、事業を活かした幅広い市民活動団体とのつながり作 り、ノウハウの他部署との共有など、今後も色々な形での協働が拡がってほしいと思います。 また、新たに別の事業を作るばかりが協働ではありません。例えば市の既存事業についても、 何年も続ける中での課題があり、そこに市民活動団体のノウハウをうまく絡めながら改善してい くという協働の方法もあるのではないかと思います。 (山本委員) (3) 今後に向けて 今回の事業を通じて、市と市民活動団体の協働における様々な効果や留意点を知るとともに、審 査委員から御意見のあった、市と市民活動団体の信頼関係の構築、協働についての認識の擦り合わ せ、そのための市民活動団体に対する市の事業の積極的な情報公開・情報提供なども重要であると 再認識しました。 本市では、市民のニーズを把握すること、市民の主体的な活動を的確に支援すること、またそれ らの活動が継続するよう支援することを重視して市民と行政の協働によるまちづくりに取り組ん でいます。今後、今回の事業で得たノウハウや審査委員の御意見等を本市の諸事業に活かしていき たいと思います。 また、市民活動団体の皆さんには、今回の事業の実績やノウハウ、他団体とのつながりなどを今 後の活動に幅広く活かし、継続してくださることを期待しています。 23 登 録 番 号 名 主 所 管 在 広G1-2013-672 称 広島市公募提案型協働モデル事業 課 地 市民局市民活動推進課 広島市中区国泰寺町一丁目6番34号 ( 〒 730-8586) TEL 082-504- 2113( 直 通 ) 発 行 年 月 平成26年3月 24 報告書