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2 - 経済産業省

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2 - 経済産業省
経済産業省委託
平成25年度産業技術調査事業
産業技術人材の流動化に関する調査 報告書
2014年2月
目次
第1章.調査の概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2
1.調査の目的
2.本調査における基本方針
3.本調査におけるフレームワーク
4.調査の内容・方法
5.調査の構造
第2章.各種統計データにみる技術者の推移・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
1.分野別技術者数
2.研究開発部門の従業者数
3.技術者の多様な就業形態
4.技術者の労働移動(転職)
5.理工学の学生数
6.2章のサマリー・考察
第3章.技術者を取り巻く環境変化・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
1.製品ライフサイクルの短縮化・技術の陳腐化
2.技術の専門分化
3.研究開発におけるアウトソーシングの進展
4.グローバル化への対応
5.能力開発とオープンイノベーション
6.3章のサマリー・考察
第4章.技術者のキャリア形成や転職等に関する実態(技術者向けアンケート調査結果)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36
0.アンケート回答者の状況
1.技術者に対する雇用管理の状況
2.技術者の内部・外部労働市場における移動状況
3.移動経験者におけるスキル・知識の連続性
4.技術者の環境変化を踏まえたキャリア形成に関する意識・取組
5.技術者のスキル活用拡大のために今後求められること
6.4章のサマリー・考察
第5章.諸外国(米国、ドイツ)の技術者の実態・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47
1.各国の技術者動向の把握
2.海外の技術者コミュニティの新たな取組
3.5章のサマリー・考察
第6章.技術者のシフト・スキル活用拡大のための取組事例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・62
1.取組事例一覧
2.内部労働市場における人材のシフト・スキル活用拡大の取組ケース
3.外部労働市場における人材のシフト・スキル活用拡大の取組ケース
第7章.技術人材の移動とスキル活用拡大に関する課題と今後求められる施策・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・78
1.技術人材の移動とスキル活用拡大に関する課題
2.課題解決のための施策モデル案
参考資料 アンケート調査票・集計表
1
第1章.調査の概要
2
1.調査の目的
我が国の産業構造の変化は加速しており、成熟産業からの技術人材の大量流出による技術の人的資源の散
逸が危惧されている。今後、我が国の産業競争力を維持するためには、イノベーションに資する技術人材の継
続的な確保が必要不可欠である。
成熟産業(分野)から流出する技術人材の中には、今後のキャリアパスが見えなく、不本意ながら、これまでの
キャリアの蓄積とは無縁な職務に就かざるを得ない者も少なくない。
一方、成長分野の企業には、既存事業の延長線上のみで人材の要件定義を行うため、イノベーションに必要な
真の人材を確保できていない可能性がある。
我が国に蓄積されてきた高度な技術力を維持・発展させるためには、企業内外によらず、成熟産業の技術人材
を次に成長が期待される隣接産業において活用する方策を検討していくことが求められている。
しかし、技術人材の動向については、定量的及び定性的に現状が把握されておらず、有効な施策を講じること
が難しい状況にある。そのため、本調査では、まず、可能な限り、技術人材の現状について定量的・定性的な
現状把握を行う。その上で、技術人材の確保と育成に必要な施策の提案を行うことを目的とする。
3
2.本調査における基本方針
本調査は、下記の基本的な考え方を踏まえ実施した。
基本方針1~技術者の定量的把握~
技術人材移動の定量的把な把握は、わが国特有の労働市場の特徴を踏まえ内部・外部労働市場の別に移動状況を把握する。また、その際、技術者としての分野間の移
動だけでなく、職種間の移動(職種チェンジを伴う移動)についても把握できる設計とする。
基本方針2~隣接成長分野への技術者のシフト事例・技術人材のスキル活用の拡大事例の把握~
隣接成長分野への技術者のシフト事例・技術人材のスキル活用の拡大事例の収集について、下記の2点に着目した収集・実態把握を行う。
(1)①企業等の社内・社内グループ内の労働市場における人材のシフト・スキル活用拡大の取組と②外部労働市場におけるシフト、スキル活用拡大の取組の双方
の観点から収集する。
(2)技術者が多様な就業形態で活躍することを想定し、①雇用、②創業/社内起業、③特定労働者派遣、④フリーランス(クラウドソーシング活用)に類する事例を把
握する。
移動・スキル活用拡大を捉える視点
①労働市場の視点
・内部労働市場・外部労働市場
移動前
移動後
②分野領域・職種チェンジ
の視点
③ワークスタイル
(就業形態)の視点
・技術分野チェンジ
・職種チェンジ
・雇用者
・創業・社内起業
・特定労働者派遣
・フリーランス・個人
4
3.本調査におけるフレームワーク
前述の基本方針を踏まえ、本調査において産業技術人材を把握するためのフレームワークとして、下記を用意した。
(1)産業技術人材
本調査では、産業技術人材について「①業種や研究開発プロセスを問わず、②「専門的・技術的職業」を主な職務として、③概ね10年以上のキャリアを有するミドル層の人
材(30代~50代)」として捉える。
技術者は、基礎研究、応用研究、開発研究、商品化、量産化のそれぞれのプロセスに従事する可能性が高いが、いずれのプロセスも想定する。
産業技術人材とは、いわゆる「専門的・技術的職業」を主な職務とする人材であり、具体的には農林水産・食品技術者、電気・電子・電気通信技術者、機械・航空機・造船
技術者金属技術者、化学技術者、建築技術者、土木・測量技術者、情報処理技術者等を想定する。
ただし、「技術営業」や「技術的なバックグラウンドを強みとした生産関連事務」等については、キャリアパスの先としては想定を行うが、調査の起点である産業技術人材の
定義としては、「技術職」であることを先ず重視する。
本調査で想定した「産業技術人材」像
項目
業種
研究開発プロセス
職種
経験年数
概要
・
・
・
・
業種は問わない
基礎研究、応用研究、開発、製造技術のそれぞれ
のプロセスに従事
「専門的・技術的職業」を主な職務とする人材
概ね10年以上のキャリアを有するミドル層の人材
(30代~50代)」
5
3.本調査におけるフレームワーク
(2)技術の人的資源の「散逸」
技術の人的資源の「散逸」については、①技術人材の海外への流動化(外国資本企業への転職)、②技術人材がこれまで培ってきたスキル・経験に連続性が見られない
流動化の2点に着目する。
技術の人的資源の「散逸」をみる着眼点
テクニカルスキル・経験の
連続性あり
人的資源の
「活用拡大]
※技術職のままと
技術職以外(職種転換)
の流動化ケースがある
外国資本
企業
人的資源の
「散逸」
国内企業
人的資源の
「散逸」
テクニカルスキル・経験の
連続性なし
6
3.本調査におけるフレームワーク
(3)産業技術人材の「移動」
産業技術人材の流動化について、(A)労働市場別、(B)職種チェンジの有無別の観点から補足可能な枠組みをつくる。
(A)労働市場別は、①社内・グループ内労働市場における移動(異動)と②外部労働市場における移動(転職)の双方の観点から捉える。
(B)職種チェンジの有無別は、異動・移動に伴い「技術職」としての職種が同じままであるか、事務職や営業職等への職種チェンジを伴うかという観点から捉える。
技術職のまま、流動化することが技術の人的資源が「散逸しない」最も望ましいケースだと思われるが、技術職としてのスキルや経験を生かした他の職種への転換を果た
すケース(例えば、豊富な知識等を生かした技術営業)は、「散逸」とは評価できないことから、職種チェンジを伴うスキル・経験の連続ケースも把握できる枠組みを用意した
。
産業技術人材の「移動(シフト)」パターン
技術職として(同職種)での異動・移動
社内・グループ内労働市場
外部労働市場
T
【パターンⅠ】
・
企業等における隣接の重点分野
(領域)の開発等への異動 など
【パターンⅢ】
・
同業他社への転職(ヘッドハンティ
ング等)
・
成長分野等のVB等への転職
・
特定労働者派遣 など
・
海外企業への転職[※]
・
創業(起業家)
技術職からの転換(異なる職種へ
の異動・移動)
【パターンⅡ】
・
技術営業、生産に係る事務
職、知財等に係る企画・調
査職への異動 など
・
技術とは関係ない営業や販
売等への異動[※]
【パターンⅣ】
・
これまでの技術人材のキャ
リアを生かした異なる職種
への転職(技術営業等)
・
創業(起業家)
・
これまでの技術人材のキャ
リアとは関係の薄い新たな
チャレンジとしての職種転換
(ヘルパー等)[※]
【※】技術の人的資源の「散逸」例
【産業技術人材の移動(シフト)】
本調査では、人材の移動(シフト)を、技術者の転職と社内・グループ内の異動の双方を対象として捉えた。
7
4.調査の内容・方法
4-1.アンケート調査
(1)調査目的
これまでに調査が存在しなかった技術人材の流動化に関する情報を収集する。
技術人材の培ったスキル・経験が彼らのその後のキャリアに連続しているか、調査する。
技術人材の流動化支援策の検討に資する情報を収集する。
(2)調査方法
(株)楽天リサーチのモニターを対象としたWEBアンケート調査。
スクリーニング調査で対象を絞り込み、本調査を実施した。
(3)調査対象
【スクリーニング調査】(株)楽天リサーチのモニター登録者のうち、30代~50代の者(20,000件回収)。
【本調査】スクリーニング調査回答者のうち、下記①~③に該当する者(計2,000件回収)。
①現在技術系職種に従事しており、5年以内に転職もしくは異動の経験がない者(500件)
②現在技術系職種に従事しており、5年以内に転職もしくは異動の経験がある者(1,000件)
③現在は技術系職種に従事しておらず、過去5年以内に技術系職種に従事していた者(500件)
(4)調査時期
2014年1月29日~31日
(5)調査内容
回答者について
回答者の働き方について
過去5年以内の転職・異動について
今後の転職希望について
等
8
4.調査の内容・方法
4-2.事例収集調査(ヒアリング調査等)
(1)調査目的
隣接成長分野への技術者のシフト事例・技術人材のスキル活用の拡大事例の収集について、内部・外部労働市場及び技術者の活躍する就業形態(ワークスタイル)に留
意して、実態や先進的な取組を把握するためにヒアリングを実施する。
(2)調査対象
新聞・雑誌検索等により抽出した企業・機関 12社
(3)調査方法
文献・資料調査
訪問によるヒアリング調査
(4)調査時期
2013年9月~2014年2月
(5)調査内容
取組の背景や目的について
事業実施の背景や目的、問題意識
事業の内容、構成
事業実施主体、連携先、関係するプレイヤー
取組の具体的な内容
実施内容、参加者の構成、問題意識
開催(実施)の効果(事例など)、参加者の感想(アンケート等)
開催・運営上の工夫点、課題
今後、技術者のスキル活用拡大のために必要なことについて
今後、(産業構造の変化、技術革新のスピード等に対応していくために)技術者のキャリアの形成や幅広い分野で活用していく上で、企業内及び企業外でどのような取組が
必要であるのか。
企業内の取組(成長企業のキャリア採用の工夫、技術者のスキル標準活用による柔軟な配置、20%ルールなどの技術者のスキルの幅を広げる施策等)
企業外の取組(ものづくりハッカソン、大学等と連携した複合領域における人材育成、他流試合のセット等)
国等に求めること
技術者のスキル活用拡大のために国に求めること
9
4.調査の内容・方法
4-3.海外文献調査
(1)調査目的
わが国の技術者の流動化等の動向を把握するため、参考となる海外における技術者動向に関する統計データについて整理を行う。また、技術者のスキル活用拡大やイノ
ベーション誘発等を目的とするファブラボ等の最新の動きを把握する。
(2)調査対象・調査方法
各国の技術者動向の把握について、欧州と米国の公的調査・統計の整備状況を調査した。
海外技術者コミュニティの新たな取組について調査した。
調査は、インターネットを通じた文献調査にて行った。
(3)調査内容
欧州の公的調査・統計としては、Eurostatによる科学技術人材(HRST)に関する統計の整備状況を調査した。また、実際にドイツのデータを採り、そこからHRSTの動態がど
のように読み取れるかを検討した。
米国の公的調査・統計としては、連邦政府による人口動態調査(CPS)およびその追加調査、求人・転職調査(JOLTS)について調査した。
海外技術者コミュニティの新たな取組については、国際的な活動である「ファブラボ」の米独における展開状況と、米国の技術者団体である「SAEインターナショナル」の活
動概要について調査した。
10
5.調査の構造
調査は、①技術者動向の把握、②技術者のキャリアに関する意識の把握、③技術者のシフト・スキル活用拡大の事例把握を行い、それら結果を踏まえ、技術人材の確保
と育成に関する課題、今後の施策の方向性について検討を行った。
調査の全体構造
•統計・文献による資料調査
•技術者数の推移、就業形態、転入職の状況等
①技術者の動向把 •技術者を取り巻く環境変化
•海外における技術者の統計的把握、新たなコミュニティ
握
【第2章・第3章・第5章】
•個人向けWEBアンケート調査
•雇用管理状況
•内部・外部労働市場における移動状況
•移動経験者におけるスキル・知識の連続性
②技術者のキャリ
アに関する意識把
•環境変化を踏まえたキャリア形成に関する意識・取組
握
•スキル活用拡大のために今後求められること
【第4章】
•文献・ヒアリング調査
•内部労働市場におけるシフト・スキル活用拡大事例
③技術者のシフト・
•外部労働市場におけるシフト・スキル活用拡大事例
スキル活用拡大の
事例把握
【第6章】
技術人材の確保と育成に係る課題と今後の求められる施策モデルの検討(第7章)
11
第2章.各種統計データにみる
技術者の推移
12
1.分野別技術者数
わが国の技術者総数は、約215万人(平成22年国勢調査抽出集計(総務省統計局))。2000年時252万人、2005年時214万人。総数としては2000年から2005年に
かけて40万人弱減少したが、2005年から2010年は横ばいである。技術者を多く擁する製造業の就業者数の減少も一要因であると考えられる。
技術者約215万人のうち、「情報処理技術者」90万人と情報系が40%を占める。「電気・電子・電気通信技術者(通信ネットワーク技術者を除く)」29万人、「機械・
航空機・造船技術者」30万人である.
分野別技術者数の推移
2000年
(人)
2005年
2010年
58,603
47,965
49,810
電気・電子・電気通信技術者
351,564
303,710
292,130
機械・航空機・造船技術者
282,935
284,038
299,510
金属技術者
18,908
16,375
20,660
化学技術者
66,913
66,994
73,690
建築技術者
387,284
232,686
215,650
土木・測量技術者
510,196
306,797
242,830
情報処理技術者
777,487
819,984
902,760
その他の技術者
69,995
62,063
56,640
2,523,885
2,140,612
2,153,680
農林水産・食品技術者
技術者計
出所:総務省「国勢調査」
13
1.分野別技術者数
前項で記載した「技術者」とは、日本標準産業分類において、大分類B【専門的・技術的職業従事者】のうち、中分類06【農林水産技術者】、07【製造技術者(開発)
】、08【製造技術者(開発を除く)】、09【建築・土木・測量技術者】、10【情報処理・通信技術者】、11【その他の技術者】に該当するものとして整理している。研究者は
含まれない。
技術者総数推移
(万人)
300
(注)「技術者」とは、
日本標準職業分類(平成21年12月統計局基準改定)の大分類
B【専門的・技術的職業従事者】のうち、中分類06~11に該当す
るもの。(中分類05及び12~24は含まない。下記参照。)
250
05 研究者
100
051 自然科学系研究者
15 その他の保健医療従事者
052 人文・社会科学系等研究者
16 社会福祉専門職業従事者
06 農林水産技術者
17 法務従事者
07 製造技術者(開発)
18 経営・金融・保険専門職業従事者
08 製造技術者(開発を除く)
19 教員
09 建築・土木・測量技術者
20 宗教家
10 情報処理・通信技術者
21 著述家,記者,編集者
その他の技術者
11 その他の技術者
22 美術家,デザイナー,写真家,映像撮影者
情報処理技術者
12 医師,歯科医師,獣医師,薬剤師
23 音楽家,舞台芸術家
土木・測量技術者
13 保健師,助産師,看護師
24 その他の専門的職業従事者
200
150
14 医療技術者
建築技術者
化学技術者
金属技術者
50
機械・航空機・造船技術者
グラフ上の分類名
(2000年調査での分類名)
機械・航空機・造船技術者
電気・電子・電気通信技術者
農林水産・食品技術者
0
2000年
2005年
出所:総務省「国勢調査」
2010年
2005・2010年調査での新分類名
機械技術者
輸送用機器技術者
情報処理技術者
システムコンサルタント・設計者
ソフトウェア作成者
その他の情報処理・通信技術者
14
2.研究開発部門の従業者数
経済産業省「企業活動基本調査」によると、本社研究開発部門と国内の研究所における従業者は、合計で約49万人。産業別にみると製造業が約41万人、卸売業
が約3.5万人を占めている。総数は2003年頃までは約37万人でほぼ横ばいだったが、2004年頃から徐々に増加。2007年から2011年にかけては再び横ばいのまま
推移している。
研究開発部門従業者の正社員数に占める割合は、合計で5.5%である。2000年時は4.5%で、こちらも2004年頃から増加。特に製造業で増加の割合が高く、2000
年時は6.8%、2004年時7.6%、2011年時9.0%である。製造業では、正社員の1割弱が、研究開発部門従業者である。
研究開発部門従業者の正社員数に占める割合(%)
主要産業別研究開発部門従業者数
(人)
製造業
電気・ガス業
情報通信業
卸売業
小売業
サービス業(*)
その他
(注)2005年度の正社員数は「(常時従業者数)-(パート従業者)」によって算出。
300,000
250,000
本社研究開発部門
従事者
研究所従事者
(%)
製造業
電気・ガス業
情報通信業
小売業
サービス業(*)
合計
卸売業
10.0
9.0
200,000
8.0
7.0
150,000
6.0
5.0
100,000
4.0
3.0
50,000
2.0
1.0
0
0.0
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011
(年度)
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
出所:経済産業省「企業活動基本調査」
2008
2009
2010
2011
(年度)
※研究開発部門従業者 = 本社・本店の本社機能部門の研究開発部門常時従業者 + 本社・本店以外の国内の研究所常時従業者
本社・本店の本社機能部門の研究開発部門:基礎研究、応用研究、開発研究(設計、デザインを含む新製品の試作等)を行っている部門。
国内の研究所:基礎研究、応用研究、開発研究(設計、デザインを含む新製品の試作等)を行っている事業所。
15
3.技術者の多様な就業形態
わが国の技術者は、企業に直接雇用される者に加えて、一般労働者派遣や特定労働者派遣(派遣元企業に常用雇用されている者)の形態で、派遣される技術
者も含まれ、その市場は拡大している。2008年度から2010年度にかけて、派遣市場全体の市場は7.8兆円から5.3兆円へと減少し、2010年度の前年比成長率
-15.2%に対して、技術者の派遣市場成長率は前年比10.8%となっている。
平成24年6月1日現在の人材派遣市場は、派遣労働者数約135万人のうち、技術者派遣として従事する労働者数は約26.5万人である。国勢調査(平成22年)によ
る技術者総数215万人のうち、おおよそ1割強に相当する技術者が、企業の開発現場等で働いている。
また、最近では組織に属さないフリーランスの技術者(エンジニア)についても、クラウドソーシング市場の急成長を背景に増加していると思われる。
技術者派遣市場の推移
(億円) 90,000
50.0%
全体
技術者派遣市場
全体成長率
技術者派遣市場成長率
80,000
40.0%
70,000
30.0%
60,000
20.0%
50,000
10.0%
40,000
0.0%
30,000
-10.0%
20,000
-20.0%
10,000
0
全体
2000年度 2001年度 2002年度 2003年度 2004年度 2005年度 2006年度 2007年度 2008年度 2009年度 2010年度
16,717
19,462
22,472
23,614
28,615
40,351
54,189
64,645
77,892
63,055
53,468
技術者派遣市場
4,089
4,249
4,930
5,125
6,277
6,987
9,534
11,159
12,660
10,228
11,331
全体成長率
14.5%
16.4%
15.5%
5.1%
21.2%
41.0%
34.3%
19.3%
20.5%
-19.0%
-15.2%
技術者派遣市場成長率
4.4%
3.9%
16.0%
4.0%
22.5%
11.3%
36.5%
17.0%
13.4%
-19.2%
10.8%
出所:厚生労働省「労働者派遣事業報告」により、メイテック試算
-30.0%
※技術者派遣市場とは、一般労働・特定派遣含めた 1ソフトウェア開発、2機械設計、
17.研究開発の市場規模を合計した数値
16
3.技術者の多様な就業形態
2014年初めには、クラウドソーシング協議会が設立される予定である。準備協議会段階で既に31のクラウドソーシング事業者が加盟。矢野経済研究所によ
ると、2013年度の市場規模(クラウドソーシングシステム上で依頼された仕事の総額を指し、成約に至らなかった仕事の金額も含む)は前年度比230.9%とな
る246億円が見込まれている。
クラウドソーシング協会の設立
技術者として派遣される派遣労働者数
一般労働者
派遣事業
特定労働者
派遣事業
名称
一般社団法人クラウドソーシング協会
目的
クラウドソーシング協会は、クラウドソーシングを活用
することにより、 日本全国の個人に就労機会を提供
し、社会全体の発展に寄与していくことを目的とする
設立
2014年初頭(予定)
組織
吉田浩一郎(株式会社クラウドワークス)
森本宏一(株式会社パソナテック)
城戸康行(株式会社ライフネス)
秋好陽介(ランサーズ株式会社)
菊池誠晃(株式会社リアルワールド)
会員
正会員:クラウドソーシングを事業として行なっている
法人または団体
賛助会員:クラウドソーシングに関連する、もしくは支
援する法人または団体
計
ソフトウェア
開発
40,581
100,031
140,612
機械設計
18,875
48,517
67,392
研究開発
22,270
34,225
56,495
合計
81,726
182,773
264,499
出所:厚生労働省「労働者派遣事業報告書(平成24年6月1日の状況)」(平
成25年12月20日発表)
(注)ソフトウェア開発=電子計算機を使用することにより機能するシステム
の設計者若しくは保守又はプログラム(の設計、作成若しくは保守の
業務
機械設計=機械、装置若しくは器具又は機械等により構成される設備
の設計又は製図の業務。
研究開発=科学に関する研究又は科学に関する知識若しくは科学を
応用した技術を用いて製造する新製品若しくは科学に関する知識若し
くは科学を応用した技術を用いて製造する製品の新たな製造方法の
開発の業務
出所:クラウドソーシング協議会ホームページ
https://crowdsourcing.jp/orientation.html
(注)インターネットを利用して不特定多数の人に業務を発注したり、受
注者の募集を行うこと。また、そのような受発注ができるWebサービス。
企業などがクラウドソーシングサービスのサイト上に業務の内容や発注
条件などを告知し、サービスの加入者の中で希望する人が応募する。
発注元は応募者の中から適任と思われる人物に業務を発注する。ま
た、制作物の依頼などでは希望者が作品を投稿し、気に入ったものを
選んで買い取る、いわゆるコンペ形式の発注形態が取られることもあ
る。
17
4.技術者の労働移動(転職)
中田喜文(2011)「日本の技術者」の研究によると、技術者の転入職比率は、全職種平均とあまり変わらない7.6%である。ただし、一般技術者と情報技術者とに
分けると、情報技術者の転入職比率は、一般技術者の2倍の10.2%である。97年と07年を比較すると各年齢層で転職率は上昇している。
一方、分野は限定されるが、日経BP社、日経BPコンサルティング「技術者の転職/再就職に関する調査」によると、半導体業界における転職/再就職の環境に
ついて、約6割が「希望の転職先・再就職先に移ることが難しくなっている」と回答している。また、その主な理由として「年齢が高くなった」、「半導体業界の求人が
全体として減っている」と回答している。
技術者の転入職比率
半導体業界における転職環境
Q:半導体業界における転職/再就
職の環境は従来に比べてどのよう
に変化していると感じますか。
Q:「希望の転職先/再就職先に移
ることが難しくなっている」と感じる
最大の理由は何ですか。
※技術者アンケートの回答者248人の回答
希望の転職先/
再就職先に移
ることが容易に
なっている
5.7%
従来とあまり
変わらない
25%
その他・無回
答
5.6%
希望の転職先/
再就職先に移
ることが難しく
なっている
63.3%
自分と似た専門
性やスキルを持
つ転職希望者
が増えて競争が
激化している
7.6%
給与/待遇面で
自分の条件に
合う転職先が
減っている
4.5%
自分の専門性
やスキルを求め
てくれる転職先
が減っている
10.2%
その他
2.6%
「年齢」
自分の年齢が
高くなった
38.2%
半導体業界の
求人が全体とし
て減っている
36.9%
「スキル」
「産業構造
出所:日経BP社、日経BPコンサルティング「技術者の転職/再就職に関
する調査」(2013年9月9日~10月7日)
出所:中田喜文(2011)「日本の技術者」日本労働研究雑誌NO606
※就業構造基本調査(総務省統計局)特別集計
18
4.技術者の労働移動(転入職)
厚生労働省「雇用動向調査(平成24年)」によると、技術者が含まれる「専門的・技術的職業従事者」の入職経路を全経路計(19.0%)での割合と比較する
と、学校(42.4%)、民営職業紹介所(34.2%)、出向先からの復帰(30.0%) 、出向(29.8%)、での入職の割合が高い。
技術者の労働移動に関しては、民間の人材ビジネス事業者や学校等の果たす役割が大きい。
入職経路別にみた入職後の職業の割合
(%)
計
全経路計
職業計
管理的職業従事者
専門的・技術的職業従事者
事務従事者
販売従事者
サービス職業従事者
保安職業従事者
生産工程従事者
輸送・機械運転従事者
建設採掘従事者
運搬・清掃・包装等従事者
その他の職業従事者
100.0
2.6
19.0
16.6
13.5
25.0
1.6
11.1
3.0
1.7
5.7
0.2
安定所
HWイン
民営職業
ターネット
紹介所
サービス
100.0
1.1
15.8
20.2
8.5
21.5
1.8
16.8
4.0
3.4
6.6
0.2
100.0
1.0
17.8
16.7
12.6
27.5
1.2
13.2
4.0
1.0
5.0
0.0
100.0
3.4
34.2
26.0
10.3
6.1
0.6
17.6
0.2
0.8
0.6
0.2
学校
広告
100.0
0.6
42.4
19.2
8.2
15.5
0.7
9.3
0.5
2.0
1.5
0.0
100.0
0.8
11.0
13.6
20.4
35.3
1.0
7.9
2.5
0.5
6.9
0.2
その他
100.0
5.2
29.8
15.5
12.3
20.0
2.8
8.2
1.2
0.8
3.8
0.3
縁故
100.0
3.6
18.6
15.3
11.0
23.1
2.0
11.7
4.9
2.8
6.8
0.4
うち前の
会社
100.0
6.0
15.9
24.9
6.5
12.3
3.9
17.8
4.6
2.5
5.3
0.1
出向
100.0
22.3
29.8
26.8
7.4
4.0
0.7
5.2
0.8
1.2
1.6
0.4
出向先か
らの復帰
100.0
21.6
30.0
18.2
13.9
0.8
0.6
12.5
0.2
1.5
0.4
0.4
出所:厚生労働省「雇用動向調査(平成24年)」
※入職者(未就業者及び既就業者)について集計
19
5.理工学の学生数
学部別学生数の推移をみると、工学系の学生数は、1995年の45.7万人(19.6%)から2013年には39.0万人(15.2%)と約6.7万人減少している。理学系の学生数は
1995年の8.3万人(3.6%)から2013年には8.0万人(3.1%)と0.3万人減少している。
技術者としての労働市場への流入数の減少は避けて通れない状況である。
学部別学生数
(人)
800,000
理学系
工学系
理学系学生の割合
工学系学生の割合
(%)
20.0
19.6
18.0
15.2
16.0
600,000
14.0
12.0
45.7万人
400,000
10.0
39.0万人
8.0
6.0
200,000
3.6
3.1
4.0
2.0
8.3万人
8.0万人
0
0.0
1995
1997
1999
2001
出所:文部科学省「学校基本調査」
2003
2005
2007
2009
2011
2013
(人)
20
5.理工学の学生数
学部別学生数の推移
(万人)
1995年 1996年 1997年 1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年
人文科学
37.5
38.5
39.3
40.2
40.8
41.1
41.2
41.1 40.9571
40.8
40.5
40.0
39.8
39.4
39.0
38.9
38.5
37.9
37.7
社会科学
93.4
94.9
96.2
97.1
97.8
98.6
98.5
98.3
98.0
96.2
94.6
92.6
91.3
90.2
89.3
89.3
87.9
86.2
84.9
理学
8.3
8.4
8.5
8.6
8.7
8.8
8.9
8.8
8.8
8.7
8.7
8.6
8.4
8.3
8.2
8.1
8.1
8.1
8.0
工学
45.7
46.4
46.8
47.2
47.1
46.7
46.3
45.7
44.7
43.9
43.3
42.6
41.9
41.1
40.3
40.1
39.4
39.1
39.0
農学
7.2
7.2
7.2
7.1
7.1
7.0
7.0
7.0
6.9
7.0
7.0
7.2
7.3
7.5
7.5
7.6
7.6
7.6
7.6
(薬科学)
(3.8) (3.8) (3.8) (3.8) (3.8) (3.8) (3.8) (3.9)
(4.0) (4.3) (4.6) (5.0) (5.3) (5.5) (5.4) (6.2) (7.2) (7.4) (7.5)
(看護学)
(0.5) (0.7) (0.9) (1.2) (1.4) (1.7) (2.0) (2.3)
(2.5) (2.7) (3.0) (3.4) (3.9) (4.4) (4.9) (5.4) (5.8) (6.2) (6.6)
(その他)
(1.3) (1.5) (1.6) (1.9) (2.1) (2.4) (2.7) (3.2)
(3.6) (4.1) (4.7) (5.3) (5.9) (6.4) (6.8) (7.3) (7.6) (8.0) (8.5)
保健
12.2
12.5
12.9
13.4
13.8
14.4
15.0
15.7
16.4
17.4
18.7
20.0
21.5
22.6
23.5
25.3
27.1
28.2
29.3
商船
0.1
0.1
0.1
0.1
0.1
0.1
0.1
0.1
0.1
0.1
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
-
-
-
家政
4.1
4.1
4.2
4.2
4.3
4.4
4.7
5.0
5.3
5.7
6.0
6.3
6.5
6.6
6.7
6.8
7.0
7.0
7.1
教育
14.7
14.6
14.5
14.2
14.0
13.8
13.5
13.5
13.7
13.9
14.2
14.5
14.9
15.3
16.0
16.7
17.3
17.8
18.4
芸術
6.0
6.1
6.2
6.3
6.3
6.5
6.7
6.9
7.2
7.2
7.3
7.3
7.3
7.3
7.3
7.3
7.2
7.1
7.0
その他
4.0
3.9
4.1
4.5
4.9
5.8
6.8
7.8
9
9.6
10.4
11.5
12.6
13.8
14.9
15.9
16.8
17.1
17.1
計
233.1 236.9 240.0 242.8 244.9 247.2 248.7 249.9
250.9 250.6 250.8 250.5 251.4 252.1 252.7 255.9 256.9 256.1 256.2
出所:文部科学省「学校基本調査」
21
6.2章のサマリー
(技術者数の推移)
わが国の技術者総数は、約215万人(2010年)。2000年時252万人、2005年時214万人。総数としては2000年から2005年にかけて40万人弱減少したが
、2005年から2010年は横ばい。
技術者約215万人のうち、「情報処理技術者」90万人と情報系が40%を占める。「電気・電子・電気通信技術者(通信ネットワーク技術者を除く)
」29万人、「機械・航空機・造船技術者」30万人。
(技術者数の就業形態)
わが国の技術者は、企業に直接雇用される者に加えて、一般労働者派遣や特定労働者派遣(派遣元企業に常用雇用されている者)の形態で、派遣
される技術者も含まれ、その市場は拡大している。
人材派遣市場は、派遣労働者数約135万人のうち、技術者派遣として従事する労働者数は約26.5万人。
最近では組織に属さないフリーランスの技術者(エンジニア)についても、クラウドソーシング市場の急成長を背景に増加していると思われる。
(技術者数の転入職比率)
中田喜文(2011)「日本の技術者」の研究によると、技術者の転入職比率は、全職種平均とあまり変わらない7.6%である。ただし、一般技術者と情報
技術者とに分けると、情報技術者の転入職比率は、一般技術者の2倍の10.2%である。97年と07年を比較すると各年齢層で転職率は上昇している。
厚生労働省「雇用動向調査(平成24年)」によると、技術者が含まれる「専門的・技術的職業従事者」の入職経路を職業計と比較すると、学校(
42.4%)、民営職業紹介所(34.2%)、出向先からの復帰(30.0%) 、出向(29.8%)、での入職の割合が高い。技術者の労働移動に関しては、民
間の人材ビジネス事業者や学校等の果たす役割が大きい。
(理工学系の学生数の推移)
学部別学生数の推移をみると、工学
系の学生数は、1995年の47.2万人(
19.6%)から2013年には39.0万人(
15.2%)と約8.2万人減少。理学系の
学生数は1995年の8.6万人(3.6%)か
ら2013年には8.0万人(3.1%)と0.6万
人減少。技術者としての労働市場へ
の流入数の減少は避けて通れない
状況である。
(万人)
300
(注)「技術者」とは、
250
日本標準職業分類(平成21年12月統計局基準改定)の大分類
B【専門的・技術的職業従事者】のうち、中分類06~11に該当す
るもの。(中分類05及び12~24は含まない。下記参照。)
200
05 研究者
150
その他の技術者
50
2000年
2005年
2010年
その他の保健医療従事者
052 人文・社会科学系等研究者
16 社会福祉専門職業従事者
17 法務従事者
07 製造技術者(開発)
18
経営・金融・保険専門職業従事者
08 製造技術者(開発を除く)
19
教員
土木・測量技術者
09 建築・土木・測量技術者
20 宗教家
10 情報処理・通信技術者
21 著述家,記者,編集者
建築技術者
11 その他の技術者
22 美術家,デザイナー,写真家,映像撮影者
12 医師,歯科医師,獣医師,薬剤師
23
音楽家,舞台芸術家
13 保健師,助産師,看護師
24
その他の専門的職業従事者
化学技術者
0
医療技術者
15
06 農林水産技術者
情報処理技術者
100
14
051 自然科学系研究者
出所:総務省「国勢調査」
22
第3章.技術者を取り巻く環境変化
23
1.製品ライフサイクルの短縮化・技術の陳腐化
中小企業研究所「製造販売活動実態調査」によると、自社にとっての売れ筋商品(ヒット商品)のライフサイクルは、2000年代になると「1年未満」や「1~2年未満」で
あると回答した比率が増えている。
ものづくり白書(2007年)よると、業界別に製品ライフサイクル年数の短縮率(5年前と比較)をみると、家電業界では約6割に短縮している。
一部の業界では、たとえ、売れ筋商品を開発したとしても、そのライフサイクルは短く、当該技術の陳腐化のスピードも早くなっていることが伺える。
ヒット商品のライフサイクル
0
製品サイクルの短縮率
(%)
10 20 30 40 50 60 70 80 90 100
(%)
120
100.8
1.6
1970年代以前
6.3 5.1
27.7
100
59.4
1年未満
1~2年未満
1980年代 1.7 9.8 12.4
29.6
46.5
2~3年未満
3~5年未満
1990年代 4.8 16.4
2000年代
19.6
32.5
80
5年越し
26.8
93.3
93 90.6 90.6
89.4
88
87.4
83.3 82.7
76.5
72.6
59.9
60
40
20
18.9
32.9
23.1
19.6
5.6
0
出所:(社)中小企業研究所「製造業販売活動実態調査」(2004年11月)
※ヒット商品の定義は、自社にとって売れ筋商品のことをヒット商品としている。
ここでは、かつてヒットしていたが、現在は売れなくなった商品を集計している。
出所:経済産業省「2007年ものづくり白書」
※主力製品の現在のライフサイクル年数(産業別平均値)/主力製品の5年前
のライフサイクル年数(産業別平均値)
24
1.製品ライフサイクルの短縮化・技術の陳腐化
10年前との比較においては、全体として短期の研究開発の比率が上がり、中長期の研究開発の比率が下がっている。
研究開発の短期化の原因としては、「短期成果に関する上層部の要求」、「製品ライフサイクルの短期化」、「中長期テーマ立案の困難さ」、「中長期テーマのリ
スクへの懸念」がある。
研究開発投資の配分比率
ア.現状の比率
0
10
20
30
40
50
60
70
全体(n=901)
10.8
25.8
63.4
大企業(n=479)
11.9
25.3
62.8
中堅企業(n=285)
9.6
中小企業(n=135)
9.9
25.3
80
100 (%)
90
研究開発における短期化傾向の原因
65.1
-10%
28.3
基礎研究
応用研究
開発
基礎研究(n=754)
10
20
30
18.0
10%
20%
60
80
研究開発費の削減に伴う長期テーマの縮小
イ.10年前との比較
0
0%
40
50
70
58.0
26.0
90
100 (%)
製品サイクルの短期化に伴う研究開発期間の短
縮
58.7
31.1
15.0
43.4%
53.5%
10
20
ほぼ現状と同程度
30
40
50
33.3%
60
比率は下がった
70
80
90
9.8%
研究開発者の水準の低下
ウ.5年後への期待
0
100 (%)
13.4%
中長期テーマ立案の困難さ
48.1%
中長期テーマのリスクへの懸念
44.4%
研究開発者一人当たりの業務増加
基礎研究(n=755)
38.0
56.6
開発(n=879)
43.3
25.7
比率を上げたい
51.4
55.5
ほぼ現状と同程度
28.7%
5.4
その他
応用研究(n=825)
60%
15.3
54.0
比率は上がった
50%
短期成果を出すことに対する上層部の要求
24.0
研究開発者個人の成果評価への懸念
開発(n=876)
40%
31.5%
短期成果を出すことに対する事業部の要求
応用研究(n=816)
30%
61.8
4.0%
5.3
18.8
出所:経済産業省平成23年産業技術調査「イノベーション創出に資
するわが国企業の中長期的な研究開発に関する実態調査」
比率は下げたい
出所:経済産業省平成23年産業技術調査「イノベーション創出に資するわが
国企業の中長期的な研究開発に関する実態調査」
25
2.技術の高度化・専門分化
アンケート回答者のうち61.5%が、「ビジネスサイクルの短期化、技術の陳腐化が加速していると思う」との意識を持っている。
また、57.1%が「技術の高度化、専門化が進展していると思う」との意識を持っている。
技術の高度化、専門化が進展していると思うか(N=2,000)
ビジネスサイクルの短期化、技術の陳腐化が加速していると思うか
(N=2,000)
0%
20%
40%
60%
80%
0%
100%
20%
40%
60%
80%
進展していると思う
加速していると思う
61.5
57.1
38.5
思わない
ビジネスサイクルの短期化、技術の陳腐化が加速していると思う
具体例 ※自由回答
•10年前なら1年単位の開発で間に合ったが、今は半年かけてもビジネスチャ
ンスを逃してしまう。
•2~3年前の技術が、すでに時代遅れとなっている。その期間もだんだん短く
なっている。
•コスト意識が優先されて新しい技術に挑戦できない。新規技術開発に従事す
る時間がとれない。
•プロジェクトのキックオフから実施までの期間が10年前の半分くらいの期間に
なってきた。
•海外ライバル企業の技術力が上がり、業界競争力が求められるため、新規技
術・開発のスピードアップが必要になった。
•韓国企業との強烈な価格競争により、商品が安さ第一になっている。目新し
い物を次々に生み出さないと生き残れない。
•利益を第一に優先し、無駄な作業や経費の削減が徹底されるため、技術・知
識などを身につけるための時間や経費を会社が与えてくれない。
出所:みずほ情報総研「技術人材の流動化に関するWEBアンケート調査」2014年
100%
42.9
思わない
ビジネスサイクルの短期化、技術の陳腐化が加速していると思う
具体例 ※自由回答
•1社では対応できないテーマが多くなっている。
•サービスが高度化・専門化しており、それに伴い技術も高度化・専門化が要
求されている。
•ちょっと分野が違うと全くわからない。
•ブラックボックス化が進んでいる。
•悪い意味で専門化が進むため縦割りになり、全体のことが分かる者が減って
いる。
•以前は一人ですべての技術領域を把握できたが、今は使用する部品ごとに
高度な知識を要求され、狭い領域ごとに担当者がつかなければ仕事が回らな
くなっている。
•各社社内に外部のコンサルタントを請負で雇い、チームの一員としてさらに専
門的にプロジェクトを遂行している。
•各分野が細分化され、専門業者が業務を行うことが多くなってきた。
•他社との差別化を図るため、自社に特化した技術が必要となった。
26
3.研究開発におけるアウトソーシングの進展
経済産業省「企業活動基本査」によると、 製造業の研究開発費に占める自社研究開費比の割合は1994年度91.5%から2010年度85.9%へと減少しているのに
対し、委託研究開発費の割合は1994年度8.5%から2010年度14.1%へと大きく増加している。特に1999年から2006年にかけての増加が顕著である。
自社の研究開発比率については、2006年まで落ち込んだが、その後は増加し、ここ数年は横ばいである。
製造業の研究開発費の推移
(%)
自社研究開発費比率
100.0
40.0
委託研究開発費比率(右目盛)
95.0
35.0
受託研究費比率(右目盛)
90.0
30.0
85.9
85.0
25.0
80.0
20.0
14.1
75.0
70.0
15.0
10.0
2.8
65.0
60.0
5.0
0.0
1994
1996
1998
2000
出所:経済産業省「企業活動基本調査」
2002
2004
2006
2008
2010
(年度)
※自社研究開発費比率=自社研究開発費/研究開発費×100
委託研究開発費比率=委託研究開発費/研究開発費×100
受託研究費比率=受託研究費/(自社研究開発費+受託研究費)×100
27
3.研究開発におけるアウトソーシングの進展
経済産業省「研究開発サービス業研究会報告書」によると、市場規模は1.6兆円(平成17年度)で拡大基調にある。平成13年度から平成17年度で平均11%伸
びている。
研究開発サービス業とは、「研究開発の代行、設計・試作の請負、検査・分析、研究者の派遣、技術調査等によって、顧客(企業等)が本来内部で行う研究開発
プロセスの一部もしくは全部を代行する業態」を指す。
企業が研究開発サービスを活用することにより、企業内の技術者には、当該サービスのマネジメント業務や別の業務へシフトすることが求められていく。
研究開発サービス業の分類
産業活力再生特別措置法に基づく「研究開発サービス業の活力の再生にむけた基本指針」
サービス分類
中分類
小分類
研究開発受託サービス
研究開発受託サービス
・研究受託サービス
・医薬品開発・評価サービス
・機器開発受託サービス
検査・分析サービス
検査・分析サービス
・環境計測サービス
・データ解析サービス
・試料分析サービス
設計・試作サービス
設計及び設計支援サービス
・設計サービス
・設計用解析サービス
試作加工サービス
・試作サービス
・材料試作合成サービス
・加工サービス
ソフト開発サービス
・研究用ソフト受託開発
・研究用システム受託開発
特許・地財サービス
・特許出願支援サービス
・特許移転仲介サービス
・知財権行使支援
・特許データベース
技術調査
・研究開発情報の収集支援
コンサルティング
・事業等評価サービス
・市場調査サービス
広報・編集・出版サービス
・総合学術雑誌の発行による情報提供サービス
・技術図書の出版、研究者向け講習会の企画、開催サービス
研究施設整備
・研究施設設計・建設
研究設備整備
・研究機器リースサービス
人材支援サービス
技術者派遣
人材育成(研修)サービス
技術情報サービス
研究環境整備サービス
・知財コンサルティングサービス
・研究開発仲介サービス
・経営コンサルティングサービス
・研究設備保守サービス
28
4.グローバル化への対応
企業は、グローバル化の進展に伴い、生産拠点やサービス拠点にとどまらず、より市場に近い場所に研究開発機能を置くという戦略で、研究開発拠点も海外
へシフトする動きが見られている。
また、オフショア開発のように、ソフトウェア開発について開発期間の短縮化やコスト削減の要求により、安価な労働力を求める動きも依然として認められる。企
業が研究開発サービスを活用することにより、企業内の技術者には、当該サービスのマネジメント業務や別の業務へシフトすることが求められていく。
技術者においても、ダイバーシティな環境の下で、能力や経験を発揮することが求められている。
研究開発拠点の海外シフトの動き
Q:グローバル化に対応できる人材を十分に有しているとお考えでしょうか?
(社会人基礎力、外国語でのコミュニケ―ション能力、異文化理解・活用力など)
建設(n=33)
75.8%
金属製品(n=41)
68.3%
29.3%
非鉄金属(n=15)
73.3%
26.7%
鉄鋼(n=24)
ガラス・土石製品(n=17)
ゴム製品(n=11)
87.5%
64.7%
繊維製品(n=18)
食料品(n445)
その他食品(n=32)
60.0%
40.0%
十分に有し
ている
100.0%
55.0%
45.0%
83.3%
61.4%
16.7%
38.6%
62.5%
34.4%
精密機器(n=30)
80.0%
20.0%
機械(n=92)
73.3%
21.7%
医薬品(n=27)
出所:経済産業省製造産業局公表資料 平成23年10月「ものづくり
産業に起こっていること―製造業の海外展開の実態―」
18.2%
100.0%
電気・ガス(n=5)
情報・通信(n=20)
12.5%
35.3%
81.8%
石油・石炭(n=1)
パルプ・紙(n=5)
24.2%
化学(n=81)
輸送用機器(自動車以…
輸送用機器(自動車)…
電気機器(n=75)
全体(n=636)
88.9%
81.5%
75.0%
80.5%
82.7%
76.3%
有しているが
十分ではない
有していな
い
11.1%
17.3%
12.5%
19.5%
16.0%
23.0%
0%
50%
100%
出所:経済産業省平成22年度産業技術調査「我が国企業の研究開発投
資効率に係るオープン・イノベーションの定量的評価等に関する調査」
29
4.グローバル化への対応
日本貿易振興機構(ジェトロ)「平成23年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」によると、海外拠点のある企業のうち海外に研究開発の機能を
持つ企業の割合は、2011年度で10.6%。2010年度から2011年度にかけて、どの地域においても研究開発拠点を置く企業の数が増加している。
生産、品質管理、販売・マーケティング職だけでなく、研究開発を担う技術者の働くフィールドも、グローバル化が進展している。
海外拠点の機能(複数回答)
研究開発拠点 設置国・地域の推移
(複数回答)
(%)
0
10
20
30
40
50
60
70
(%)
9.8
10.0
販売拠点
64.4
10年度調査(n=663)
8.4
11年度調査(n=674)
8.0
生産拠点
地域統括拠点
9.0
57.7
14.7
7.0
6.0
6.4
6.0
4.7
5.0
研究開発拠点
10.6
3.9
4.0
2.3 2.5
3.0
その他
19.4
1.5 1.6
2.0
1.0
出所:日本貿易振興機構(ジェトロ)「平成23年度日本企業の海外事
業展開に関するアンケート調査」
0.0
中国
米国
西欧
タイ
韓国
出所:日本貿易振興機構(ジェトロ)「平成23年度日本企業の海外事
業展開に関するアンケート調査」
30
5.能力開発とオープンイノベーション
経済産業省平成22年度産業技術調査「我が国企業の研究開発投資効率に係るオープン・イノベーションの定量的評価等に関する調査」によると、研究開発に
おける取組みや環境整備としては、「市場ニーズの把握」のほか、「技術者の確保」、「グローバル化に対応可能な人材の育成」など人材に関する問題、「チャレ
ンジできる風土」、「投資の強化」などが重要であると捉えられている。
研究開発における外部との連携については、収益面の良好な企業の方が積極的な姿勢を見せている。また、どの企業においても、役職が上がるほどより積極
的な考えを持っていることが分かる。
Q:研究開発をより身のあるものにするためには、どのような取組みや
環境整備が重要とお考えですか?
Q:研究開発における外部との連携には積極的でしょうか?
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
業界内での連携・共同(n=855)
21.4%
異業種との連携・共同(n=857)
54.6%
33.5%
15.9%
81.1%
大学・公的機関の強化(n=857)
23.8%
企業支援・ベンチャー支援(n=853) 11.6%
連携先探し機能の強化(n=855)
16.7%2.2%
59.5%
49.6%
26.3%
38.8%
70.8%
連携に向けた人材の育成(n=859)
29.2%
チャレンジできる風土(n=859)
研究開発に関連したDBの整備(n=851)
53.6%
6.0%
9.9%
32.7%
62.4%
32.8%
5.5%
28.2%
60.9%
13.6%
部長・課長・マネージャークラス1(n=198)
担当者クラス(n=198)
33.1%
59.0%
4.5%
役員・部門長クラス(n=658)
部長・課長・マネージャークラス(n=657)
担当者クラス(n=656)
やや重要
38.7%
40.4%
24.2%
50.5%
57.1%
4.0%
9.1%
18.7%
44.1%
34.1%
23.8%
47.1%
57.4%
59.5%
8.8%
8.5%
16.8%
8.2%
積極的
かなり重要
57.3%
20.7%
38.2%
65.8%
社内の人材流動化(n=857)
役員・部門長クラス(n=199)
26.4% 2.8%
56.3%
グローバル化に対応可能な人材の育成…
16.7%
53.0%
技術者の確保(n=863)
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90%100%
3.2%
24.0%
50.6%
市場ニーズの把握(n=862)
国全体での人材の流動化(n=852)
36.1%
収益面では良好
60.6%
収益面では苦戦
投資の強化(n=864)
どちらともいえない
消極的
重要ではない
出所:経済産業省平成22年度産業技術調査「我が国企業の研究開
発投資効率に係るオープン・イノベーションの定量的評価等に関する
調査」
出所:経済産業省平成22年度産業技術調査「我が国企業の研究開
発投資効率に係るオープン・イノベーションの定量的評価等に関する
調査」
31
5.能力開発とオープンイノベーション
企業の支出する教育訓練費は1,038円/人・月、現金給与を除く労働費用全体に占める教育訓練費の割合は1.6%である。現金給与を除く労働費用全体に占め
る教育訓練費の割合は1980年代においては上昇を続けていたが、1990年以降は低下・横ばい傾向にある。
企業の支出する教育訓練費の推移
教育訓練費(円/人・月)
労働費用全体に占める割合
現金給与を除く労働費用全体に占める教育訓練費の割合
(円) 1800
3
1670
1600
2.2
1400
1200
2.1
1541
1521
1464
2.4
2.1
2.2
1236
1.9
(%)
2.5
1305
2
1256
1.8
1000
1065
1.8
1.6
1.6
800
1038
1.6
1.5
1.5
775
600
1
590
400
200
346
0.28
0.27
0.28
0.32
0.34
0.38
0.36
0.27
0.29
0.28
0.33
1998年
2002年
2006年
0.5
0.25
0
0
1973年
1976年
1979年
1982年
1985年
1988年
1991年
1995年
2011年
出所:労働省「労働者福祉施設制度等調査報告」、「賃金労働時間制度等総合調査報告」、厚生労働省「就労条件総合調査報告」(抽出調査)
※ここでいう教育訓練費とは、労働者の教育訓練施設に関する費用、訓練指導員に対する手当や謝金、委託訓練に要する費用等の合計額をいう。
現金給与以外の労働費用には、退職金等の費用、現物給与の費用、法定福利費、法定外福利費、募集費、教育訓練費、その他の労働費用が含まれる。
32
5.能力開発とオープンイノベーション
電機連合総合研究企画室「調査時報No.374」(2008年10月)によると、管理職は8割以上が「今後10年間、自信をもって取り組める技術・分野がある」と回答し
ているが、組合員で「自身の持てる技術・分野がある」と回答した人は全体の67.5%で、3割強の人は「自身の持てる技術・分野がない」と答えている。
一方で、「技術者としての能力の限界と将来不安を感じている」と回答した人は<担当者レベル>(37.9%)よりも<主任・係長レベル>(49.5%)の方が多い。職
種別では、<調査・企画、技術・特許管理>(50.8%)、<情報処理・ソフト開発>(46.8%)で「限界と不安を感じる」と回答した人が多く、<基盤・応用研究>(
36.8%)では比較的少なくなっている。
技術者としての能力の限界と将来不安(組合員)
今後10年間、自信をもって取り組める技術・分野の有無
(%)
十分自信をもてる技術・分野がある
あまり自信もてる技術・分野はない
無回答
0
職責
組合員計(n=3657件)
ある程度地震がある技術・分野がある
自信をもてる技術・分野はない
20
11.4
担当者レベル(n=1741)
7.8
主任・係長レベル(n=1908)
14.8
40
60
56.1
48.7
80
(%)
100
27.9
4.3
36.5
62.8
6.8
20.2 1.9
管理職計(n=616)
23.1
64.3
11.9
管理業務中心(n=258)
21.7
23.8
63.2
65.3
14.0
10.4
31.5
27.0
21.8
20.1
56.5
56.8
66.7
65.8
10.9
16.2
10.2
14.1
現
在
感
す
じ
で
て
に
い
限
る
界
を
組合員計
職 調査・企画、技術・特許管理
種
別 基盤・応用研究
情報処理・ソフト開発
開発・設計
職責
生産技術・生産管理
管理と開発業務の兼務(n=357)
役職
部長(ライン管理職)(n=92)
部長相当(n=37)
課長(ライン管理職)(n=303)
課長相当(n=184)
営業・技術サービス
職 担当者レベル
責
主任・係長レベル
9.1
12.3
4.1
13.9
8.3
8.7
9.2
9.5
8.8
現
じ
在
る
時
こ
々
と
限
が
界
あ
を
る
感
34.8
38.5
32.3
32.9
35.0
35.0
30.5
28.4
40.7
現
い
在
が
限
将
界
来
は
が
感
不
じ
安
な
42.9
33.1
49.2
39.3
43.3
45.0
46.8
47.7
38.6
将限
来界
のを
不感
安じ
もな
ない
いし
12.6
14.6
12.8
13.9
13.1
10.8
12.8
13.8
11.5
※
て
現
い
在
る
限
・
界
1
を
+
感
2
じ
無
回
答
0.5
1.5
1.5
0.3
0.5
0.7
0.5
0.5
43.9
50.8
36.4
46.8
43.3
43.7
39.7
37.9
49.5
※
じ
現
な
在
い
は
・
限
3
界
+
を
4
感
1
+
2
+
3
55.6
47.7
62.1
53.2
56.4
55.8
59.6
61.6
50.1
※
不
安
を
感
じ
る
・
件
数
86.8
83.8
85.6
86.1
86.6
88.7
86.5
85.6
88.1
3,657
130
195
346
2,140
575
141
1,741
1,908
出所:電機連合総合研究企画室「調査時報No.374」(2008年10月)
出所:電機連合総合研究企画室「調査時報No.374」(2008年10月)
33
5.能力開発とオープンイノベーション
技術者が能力の限界を感じたり、将来に不安を感じる理由としては、組合員・管理職共に「業務に追われ専門性向上が図れない」(組合員計:52.4%、管理職計
62.7%)、「技術の進歩に能力がついていていけない」(組合員計:36.0%、管理職計33.1%)と回答した人が多い。管理職については年齢の問題もあり、「体力面
や集中力の面で限界を感じる」(管理職計:48.8%)との回答も多かった。
技術者における過去と今後5年間の従業員の能力開発に対する見方は、「現職務に対応した教育・能力開発」から「長期的な視野に立った能力開発」へと変化
している。更に、特に正社員数1000人未満の企業において、「全社員と対象に教育」から「社員を選抜して教育」に方針を転換していることが伺える。
能力の限界を感じたり、将来に不安を感じる理由
(%) 70
60
<過去5年間>
62.7
52.4
管理職計
36.0
33.1 34.1
40
30
20
26.8
11.2
22.2
12.1
16.6 19.2
6.8 7.3
10
業
務
上に
が追
図わ
れれ
な専
い 門
性
向
技
術
い の
て 進
い 歩
けに
な能
い 力
が
つ
体
力
限面
界や
を集
感中
じ力
るの
面
で
管
理
自職
信と
し
がて
なや
い っ
て
い
く
仕
事
発を
に続
なけ
らて
なも
い 能
力
開
こ
れ
がま
活で
かの
せ知
な識
い や
経
験
出所:電機連合総合研究企画室「調査時報No.374」(2008年10月)
そ
の
他
(%)
立長
っ 期
た的
能な
力視
開野
発に
組合員計
48.8
50
0
[技術者]における過去と今後5年間の従業員の能力開発に関する見方
正
社
員
人
数
技
術
者
比
率
現
教
職
育
務
・
に
能
対
力
応
開
し
発
た
無
回
答
従
は業
企員
業の
の教
責育
任訓
練
従
業
尊
員
重
の
す
自
べ
主
き
性
を
無
回
答
社
員
を
教
選
育
抜
し
て
全
社
員
教
を
育
対
象
に
個
人
教能
育力
訓を
練高
め
る
無
回
答
をチ
高ー
めム
る ・
教組
育織
訓能
練力
無
回
答
件
数
総計
23.8
50.8
25.4
34.9
38.1
27.0
25.4
49.2
25.4
49.2
23.8
27.0
63
1000人未満
30.0
45.0
25.0
55.0
20.0
25.0
20.0
55.0
25.0
50.0
25.0
25.0
20
1000人以上
18.5
63.0
18.5
22.2
55.6
22.2
22.2
59.3
18.5
55.6
25.9
18.5
27
5000人以上
20.0
40.0
40.0
26.7
33.3
40.0
40.0
26.7
33.3
40.0
20.0
40.0
15
50%未満
28.6
50.0
21.4
38.1
38.1
23.8
26.2
52.4
21.4
50.0
28.6
21.4
42
50%以上
14.3
57.1
28.6
28.6
42.9
28.6
28.6
50.0
21.4
50.0
21.4
28.6
14
<今後5年間>
立長
っ 期
た的
能な
力視
開野
発に
正
社
員
人
数
技
術
者
比
率
た現
教職
育務
発 ・ に
能対
力応
開 し
無
回
答
練従
は業
企員
業の
の教
責育
任訓
従
を
業
尊
員
重
の
す
自
べ
主
き
性
無
回
答
社
員
を
教
選
育
抜
し
て
全
社
員
教
を
育
対
象
に
個
る人
教能
育力
訓を
練高
め
無
回
答
力チ
をー
高ム
訓
め ・
練
る組
教織
育能
無
回
答
件
数
総計
54.0
22.2
23.8
41.3
33.3
25.4
44.4
31.7
23.8
39.7
34.9
25.4
63
1000人未満
50.0
30.0
20.0
40.0
40.0
20.0
55.0
25.0
20.0
55.0
25.0
20.0
20
1000人以上
59.3
22.2
18.5
44.4
33.3
22.2
40.7
40.7
18.5
37.0
44.4
18.5
27
5000人以上
46.7
13.3
40.0
33.3
26.7
40.0
40.0
26.7
33.3
26.7
33.3
40.0
15
50%未満
57.1
23.8
19.0
47.6
31.0
21.4
52.4
28.6
19.0
45.2
35.7
19.0
42
50%以上
50.0
21.4
28.6
21.4
50.0
28.6
28.6
50.0
21
35.7
35.7
28.6
14
出所:電機連合総合研究企画室「調査時報No.374」(2008年10月)
34
6.3章のサマリー・考察
(製品ライフサイクルの短縮化・技術の陳腐化)
ものづくり白書(2007年)よると、業界別に製品ライフサイクル年数の短縮率(5年前と比較)をみると、家電業界では約6割に短縮している。一部の業
界では、たとえ、売れ筋商品を開発したとしても、そのライフサイクルは短く、当該技術の陳腐化のスピードも早くなっていることが伺える。
10年前との比較においては、全体として短期の研究開発の比率が上がり、中長期の研究開発の比率が低下。研究開発の短期化の原因としては、「
短期成果に関する上層部の要求」、「製品ライフサイクルの短期化」、「中長期テーマ立案の困難さ」、「中長期テーマのリスクへの懸念」がある。
(技術の高度化・専門分化)
技術者の61.5%が、「ビジネスサイクルの短期化、技術の陳腐化が加速していると思う」との意識を持っている。また、57.1%が「技術の高度化、専門
化が進展していると思う」との意識を持っている(本アンケート調査結果)。
(研究開発におけるアウトソーシングの進展)
製造業の研究開発費に占める自社研究開費比の割合は1994年度91.5%から2010年度85.9%へと減少しているのに対し、委託研究開発費の割合は
1994年度8.5%から2010年度14.1%へと大きく増加している。一方で、研究開発サービスの市場も拡大してきた。
(グローバル化への対応)
グローバル化の進展に伴い、生産拠点やサービス拠点にとどまらず、より市場に近い場所に研究開発機能を置くという戦略で、研究開発拠点も海外
へシフトする動きが見られている。生産、品質管理、販売・マーケティング職だけでなく、研究開発を担う技術者の働くフィールドも、グローバル化が進
展している。
日本貿易振興機構(ジェトロ)「平成23年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」によると、海外拠点のある企業のうち海外に研
究開発の機能を持つ企業の割合は、2011年度で10.6%。2010年度から2011年度にかけて、どの地域においても研究開発拠点を置く企業の数
が増加
(能力開発とオープンイノベーション)
わが国の技術者は、急激な外部環境の変化を受けて、自身の役割や将来
の見通しについて不安や懸念を抱く者も少なくない。
技術者が能力の限界を感じたり、将来に不安を感じる理由としては
、「業務に追われ専門性向上が図れない」、「技術の進歩に能力が
ついていていけない」との回答が多い。
(%) 70
60
62.7 能力の限界を感じたり、将来に不安を感じる理由
52.4
組合員計
48.8
50
管理職計
36.0
33.1 34.1
40
30
20
26.8
11.2
22.2
12.1
16.6 19.2
6.8 7.3
10
技術者の声(アンケート結果より)
プロジェクトのキックオフから実施までの期間が10年前の半分くらいの期間になって
きた
利益を第一に優先し、無駄な作業や経費の削減が徹底されるため、技術・知識などを
身につけるための時間や経費を会社が与えてくれない
以前は一人ですべての技術領域を把握できたが、今は使用する部品ごとに高度な知識
を要求され、狭い領域ごとに担当者がつかなければ仕事が回らなくなっている
0
業
務
上に
が追
図わ
れれ
な専
い 門
性
向
技
術
い の
て 進
い 歩
けに
な能
い 力
が
つ
体
力
限面
界や
を集
感中
じ力
るの
面
で
管
理
自職
信と
し
がて
なや
い っ
て
い
く
仕
事
発を
に続
なけ
らて
なも
い 能
力
開
こ
れ
がま
活で
かの
せ知
な識
い や
経
験
そ
の
他
出所:電機連合総合研究企画室「調査時報No.374」(2008年10月)
35
第4章.技術者のキャリア形成や
転職等に関する実態
(技術者向けアンケート調査結果)
36
0.アンケート回答者の状況
 アンケート回答者のうち、所属する企業と直接雇用を結んで働いている者は全体の83.1%と最も多い。派遣労働者が、一般労働者派遣と特定労働者派遣を合わせて
6.1%(3.7+2.4)、フリーランスが4.3%、企業を経営している者が4.7%であった。
 勤務先企業の従業員規模は、300人未満が46.5%と半数近くに上る。
 技術者の種別としては、「その他」を除くと、「開発従事者」が29.5%と最も多く、次に「製造技術者」(16.9%)が多い。
雇用形態(N=2,000)
0%
10%
20%
30%
40%
50%
60%
70%
80%
90%
100%
直接雇用(所属する企業と直接雇用契約を結んでいる)
一般労働者派遣
特定労働者派遣
4.7
83.1
3.7 4.3
2.4
2.0
フリーランス
経営者
その他
勤務先企業の従業員規模(N=2,000)
0%
20%
40%
60%
80%
30人未満
100%
30人~100人未満
100人~300人未満
300人~1,000人未満
20.5
12.4
13.6
14.3
11.6
12.7
15.1
1,000人~3,000人未満
3,000人~10,000人未満
10,000人以上
技術職の種別 ※現在技術職でない者は、技術職に従事していた時について回答(N=2,000)
0%
2.8 4.6
20%
29.5
40%
60%
16.9
80%
100%
基礎研究従事者
応用研究従事者
開発従事者
製造技術者
46.3
その他
37
1.技術者に対する雇用管理の状況
現在技術職に従事する者に、客観的な基準に基づくスキル評価の有無を尋ねたところ、「定期的に行われている」との回答は3割程度であり、「不定期だが行われてい
る」を合わせても、スキル評価が行われているという回答は全体の約5割にとどまる(30.7%+24.4%)。
今後のキャリアについて上長と話す機会の有無については、「頻繁にあった」が4.7%、「時々あった」が34.5%であり、「全くなかった」との回答も3割程度みられる。
現在の勤め先で受けられる研修の量については、「とても満足」と「やや満足」を合わせて4割(4.9%+35.1%)、同じく質については「とても満足」と「やや満足」を合わ
せて35.8%であった(4.2%+31.6%)。
☞技術職従事者の半数に対しては、勤務先の雇用管理の一環としてのスキル評価やキャリア展望に関する面談等が十分に行われておらず、自身の能力や経験を
客観的に認識することができていない可能性がある。
☞勤務先で提供される教育訓練機会(研修)について、量・質ともに「満足」との回答が「不満」との回答を下回っており、勤務先で十分に教育訓練を受けられていない
との意識を持つ技術者が半数以上いることが分かる。
現在の勤め先で受けられる研修の量に満足しているか
(現在技術職:N=1500)
客観的な基準に基づくスキル評価が行われているか
(現在技術職:N=1500))
0%
20%
30.7
40%
60%
24.4
80%
100%
定期的に行われている
不定期だが行われて
いる
44.9
0%
20%
40%
60%
80%
100%
とても満足
やや満足
4.9
35.1
42.8
17.3
あまり満足していない
行われていない
全く満足していない
今後のキャリアについて上長と話をする機会があったか
(現在技術職:N=1,500)
0%
20%
40%
60%
80%
100%
頻繁にあった
時々あった
4.7
34.5
31.5
29.3
現在の勤め先で受けられる研修の質に満足しているか
(現在技術職:N=1500)
0%
20%
40%
60%
80%
100%
やや満足
稀にあった
全くなかった
とても満足
4.2
31.6
44.6
19.6
あまり満足していない
全く満足していない
38
2.技術者の内部・外部労働市場における移動状況(技術職→技術職の転職)
 技術者の転職/社内・グループ内の異動(以下、「移動」と表記)について、公統計による詳細なデータは少ない。
 アンケート調査によると、技術職として転職した者(技術職→技術職)の分野間移動の状況は下表の通りであった。「その他」を除くと、同じ分野の中での転職が最も多い
ものの、①「素材、食品、メディカル系」から「ソフトウェア、ネットワーク、社内情報システム系」 への転職(12.5%)、② 「素材、食品、メディカル系」から「電気、電子、機械
系」への転職(18.8%)、は転職者の1割を超える。
 「その他」からの転職先としては、「ソフトウェア、ネットワーク、社内情報システム系」(26.5%)および「電気、電子、機械系」(26.5%)が多い。
☞技術職から技術職への転職としては、同じ分野への転職傾向が強いが、「素材、食品、メディカル系」から他分野へ転職するケースは一部見られる。
現在の職種
(技術職→技術職へ転職:N=515)
全
体
全体
転職・異動前の技術系職種
クソ
、 フ
社ト
内ウ
情ェ
報ア
、
シネ
スッ
テト
ムワ
系ー
電
気
、
電
子
、
機
械
系
素
材
、
食
品
系、
メ
デ
ィ
カ
ル
建
築
、
土
木
系
そ
の
他
N
%
515
100.0
224
43.5
147
28.5
28
5.4
98
19.0
18
3.5
ソフトウェア、ネットワーク、社内
N
情報システム系
%
電気、電子、機械系
N
%
素材、食品、メディカル系
N
%
建築、土木系
N
%
その他
N
%
215
100.0
141
100.0
32
100.0
93
100.0
34
100.0
193
89.8
13
9.2
4
12.5
5
5.4
9
26.5
17
7.9
113
80.1
6
18.8
2
2.2
9
26.5
0
0.0
6
4.3
20
62.5
1
1.1
1
2.9
3
1.4
5
3.5
1
3.1
82
88.2
7
20.6
2
0.9
4
2.8
1
3.1
3
3.2
8
23.5
※N数が少ないことに留意が必要
39
2.技術者の内部・外部労働市場における移動状況(技術職→非技術職の転職)
 技術職から職種転換して転職した者の移動先の職種をみると、全体では「営業・事務・企画系」(29.3%)が最も多く、「その他」(25.1%)、「サービス・販売系」(15.7%)、
「専門職」(11.5%)が続く。
 転職前の技術系職種別では、①「素材、食品、メディカル系」から「専門職」への転職、②「ソフトウェア、ネットワーク、社内情報システム系」から「営業・事務・企画系」への
転職、③「電気、電子、機械系」から「営業・事務・企画系」への転職パターンが、転職者の3割を超える。
 転職先を業種別にみると、「サービス業(他に分類されないもの)」が13.1%と最も多い。
☞技術職から非技術職への転職の場合、「営業・事務・企画系」職種への転職が多く、また転職先企業はサービス業(他に分類されないもの)の企業が多い。
N
%
ソフトウェア、ネットワーク、
N
社内情報システム系
電気、電子、機械系
転職前の
技術系職種
素材、食品、メディカル系
建築、土木系
その他
191
100.0
56
29.3
30
15.7
53
100.0
51
100.0
23
100.0
17
100.0
47
100.0
21
39.6
16
31.4
5
21.7
5
29.4
9
19.1
6
11.3
11
21.6
4
17.4
2
11.8
7
14.9
4
7.5
1
2.0
0
0.0
2
11.8
4
8.5
全
体
現在の職種
全体
ク
生製
リ
産造
エ
イ 者現(
工
テ ) 場場
の
ィ
従な
ブ
事ど
系
11
12
5.8
6.3
%
N
%
N
%
N
%
N
%
営
業
・
事
系務
・
企
画
サ
ー
ビ
ス
・
販
売
系
現在の勤務先の業種
→
(技術職→非技術職へ転職:N=191)
2
3.8
5
9.8
0
0.0
1
5.9
4
8.5
建
認専
設
会門
者/
格計職
・
職建 職士(
医
人設 ) な師
従
ど、
資公
事
12
22
6.3
11.5
3
5.7
1
2.0
0
0.0
5
29.4
3
6.4
8
15.1
2
3.9
12
52.2
0
0.0
0
0.0
←現在の職種
(技術職→非技術職へ転職:N=191)
そ
の
他
48
25.1
9
17.0
15
29.4
2
8.7
2
11.8
20
42.6
※N数が少ないことに留意が必要
0%
5%
10%
15%
サービス業(他に分類されないもの)
13.1%
建設業
11.0%
その他
11.0%
医療、福祉
10.5%
卸売業、小売業
その他の製造業
20%
8.9%
5.2%
※N=10以上の選択肢のみ表示
40
2.技術者の内部・外部労働市場における移動状況(技術職→非技術職の異動)
 社内・グループ内で非技術職へ異動した者の異動先職種をみると、全体では「営業・事務・企画系」への異動者が47.1%と全体の半数近くに上る。
 転職前の技術系職種別では、①「ソフトウェア、ネットワーク、社内情報システム系」から「営業・事務・企画系」への異動、②「電気、電子、機械系」から「営業・事務・企画
系」への異動、③「素材、食品、メディカル系」から「専門職」への異動、④「その他」から「営業・事務・企画系」への異動パターンが、異動者の3割を超える。
 また、技術職から非技術職への異動が自発的だったか尋ねた質問では、約4割が自発的理由、約6割が非自発的理由であったと回答した。
☞技術職から非技術職への異動では、「営業・事務・企画系」への異動が多く、また社内公募等、自発的理由で異動したケースは4割に満たない。
現在の職種(技術職→非技術職へ異動:N=155)
155
100.0
73
47.1
16
10.3
6
3.9
建
設
/
職建
人設
従
事
者
・
18
4
11.6
2.6
50
100.0
43
100.0
17
100.0
15
100.0
30
100.0
34
68.0
14
32.6
4
23.5
11
73.3
10
33.3
3
6.0
9
20.9
1
5.9
1
6.7
2
6.7
2
4.0
2
4.7
0
0.0
0
0.0
2
6.7
2
4.0
9
20.9
3
17.6
0
0.0
4
13.3
全
体
全体
異動前の技術系職種
N
%
ソフトウェア、ネットワーク、社内
N
情報システム系
電気、電子、機械系
素材、食品、メディカル系
建築、土木系
その他
%
N
%
N
%
N
%
N
%
営
業
・事
務
・企
画
系
サ
ー
ビ
ス
・販
売
系
ク
リ
エ
イ
テ
ィ
ブ
系
製
現造
場(
工
の場
従
事な
者ど
) 生
産
0
0.0
1
2.3
0
0.0
1
6.7
2
6.7
会専
計門
士職
な(
ど医
資師
格、
公
職認
)
14
9.0
4
8.0
1
2.3
8
47.1
0
0.0
1
3.3
そ
の
他
24
15.5
5
10.0
7
16.3
1
5.9
2
13.3
9
30.0
※N数が少ないことに留意が必要
社内・グループ内での異動理由(技術職→非技術職へ異動:N=155)
0%
20%
39%
40%
60%
80%
61%
100%
自発的理由(社内公募制度の利用、
異動希望等)
非自発的理由
41
3.移動経験者におけるスキル・知識の連続性
技術職から技術職へ移動(転職もしくは異動、以下同様に表記)した人のうち78.4%が、移動前に技術職として培ったスキル・知識を移動後も「活用している」と回答して
いる。また、「活用している」と回答した人に、活用しているスキル・知識が何かをたずねたところ、「これまでに専門としてきた技術領域に関する知識・ノウハウ」との回答
が88.9%と最も多く、「問題発見・ 解決スキル」(33.2%)、「これまで専門としてきていない技術領域に関する知識・ノウハウ」(24.3%)が続く。
技術職から非技術職へ移動した人のうち61.3%が、移動前に技術職として培ったスキル・知識を移動後も「活用している」と回答している。また、 「活用している」と回答
した人に、活用しているスキル・知識が何かをたずねたところ、「これまでに専門としてきた技術領域に関する知識・ノウハウ」が76.1%と最も多く、 「問題発見・
解決スキル」(27.4%)、「コミュニケーションのスキル」(27.4%)が続く。
☞技術職から非技術職へ移動した場合は、技術職から技術職へ移動した場合に比べて転職前のスキル・知識の連続性が低いが、それでも6割以上がスキル・知識を
連続させたキャリアを歩んでおり、またその中の多くの人が、「専門技術領域に関する知識・ノウハウ」を異職種に移動後も活用している。
☞一方で、技術職として培ったスキル・知識を移動後に活用できていない層(技術職への移動で2割超、非技術職への移動で4割弱)については、技術の「散逸」という
観点から課題であるといえる。
転職前のスキル・知識を、移動後も活用しているか
(技術職→非技術職へ移動:N=191)
転職前のスキル・知識を、移動後も活用しているか
(技術職→技術職へ移動:N=515)
0%
20%
40%
60%
80%
100%
0%
20%
40%
60%
80%
活用している
78.4
活用している
21.6
61.3
38.7
活用していない
1
2
3
4
5
6
100%
活用していない
転職/異動後も活用しているスキル・知識
(技術職→技術職へ異動:N=404) ※複数回答
転職/異動後も活用しているスキル・知識
(技術職→非技術職へ異動:N=117) ※複数回答
<選択肢>
1:これまでに専門としてきた技術領域に関する知識・ノウハウ
2:これまで専門としてきていない技術領域に関する知識・ノウハウ
3:技術領域以外の知識・ノウハウ(会計、デザイン、マーケティング、事業計画立案等)
4:問題発見・解決スキル
5:プロジェクト・マネジメントのスキル
6:コミュニケーションのスキル
0%
20%
40%
60%
80%
100%
<選択肢>
1:これまでに専門としてきた技術領域に関する知識・ノウハウ
2:これまで専門としてきていない技術領域に関する知識・ノウハウ
3:技術領域以外の知識・ノウハウ(会計、デザイン、マーケティング、事業計画立案等)
4:問題発見・解決スキル
5:プロジェクト・マネジメントのスキル
6:コミュニケーションのスキル
0%
20%
40%
60%
80%
100%
88.9
24.3
13.1
33.2
21.5
25.5
1
2
3
4
5
6
76.1
23.1
25.6
27.4
18.8
27.4
42
4.技術職の環境変化を踏まえたキャリア形成に関する意識・取組
「技術者としての今後のキャリアの見通しは明るいか」という質問に対し、「そう思わない」という回答が最も多く(51.2%)、「どちらともいえない」が38.7%、「そう思う」が
10.1%であった。
「そう思わない」との回答は、学卒後16年以上の回答者では5割を超えている。40代以上の技術者では、若年層と比較して今後のキャリアに対して消極的な意識を
持っていることがわかる。
また、この割合は、移動(転職/異動)の経験がある技術者とない技術者との間で、ほとんど差がみられない。
☞技術者としての今後のキャリアについて、特に40代以上の技術者では消極的な見通しを持つ傾向にある。
技術者としてのキャリアを考えた時、今後の見通しは明るいか(N=1,500) ※現在技術者のみ回答
そ
う
思
わ
な
い
そ
う
思
う
全体
学卒後年数 1~10年
11~15年
16~20年
21~25年
26~30年
31年以上
N
%
N
%
N
%
N
%
N
%
N
%
1500
100.0
150
100.0
190
100.0
269
100.0
317
100.0
310
100.0
264
100.0
ど
ち
ら
と
も
い
え
な
い
151
10.1
26
17.3
21
11.1
22
8.2
25
7.9
26
8.4
31
11.7
768
51.2
56
37.3
94
49.5
148
55.0
173
54.6
165
53.2
132
50.0
581
38.7
68
45.3
75
39.5
99
36.8
119
37.5
119
38.4
101
38.3
43
5.技術者のスキル活用拡大のために今後求められること(1)
転職希望の有無については、全体の55.8%が「ない」と回答している。今後転職を希望しない理由としては、「現在の仕事内容に満足しているため(36.6%)」、「現在の
勤務条件に満足しているため(33.1%)、「現在所属している企業で十分に自身の能力や技術の拡大が図れるため(26.1%)」といった「積極的非転職」が多い。
一方で、「家族など周囲の反対や、転職に対して漠然とした不安があるため(24.1%)」、「現在の勤務先で自身の能力や技術を活かせていないが、それらを他社で
どのように活かせるのか、わからないため(21.2%)」といった「消極的非転職」もそれぞれ2割を超えている。
また、転職経験者に対して、転職の際に困ったことを尋ねたところ、「専門分野以外に関する知識・スキルが不足している(32.7%)」との回答が最も多く、「転職先での
自身の能力や経験の活かし方がわからない(31.4%)」、「自己評価、自身の能力や経験の棚卸しができない(30.2%)」が続く。
☞技術者の円滑な移動やスキル活用拡大を考える上で、技術者が自身の能力や技術、経験を客観的に認識し、それらを他社でどのように活かしていくのかを考える支援
が必要である。
転職希望の有無(N=2,000)
転職の際に困ったこと(N=706)※複数回答
0%
20%
40%
60%
44.3
80%
100%
ある
55.8
<選択肢>
1:自己評価、自身の能力や経験の棚卸しができない
2:転職先での自身の能力や経験の活かし方がわからない
3:専門とする技術分野に関する知識・スキルが不足している
4:専門以外の分野に関する知識・スキルが不足している
5:その他
ない
転職を希望しない理由(N=1,115)※複数回答
<選択肢>
1:現在所属している企業で十分に自身の能力や技術の拡大が図れるため
2:現在の仕事内容に満足しているため
3:現在の勤務条件に満足しているため
4:家族など周囲の反対や、転職に対して漠然とした不安があるため
5:現在の勤務先で自身の能力や技術を活かせていないが、それらを他社でどのように
活かせるのか、わからないため
6:その他
0%
1
2
3
4
5
6
5%
10%
15%
20%
25%
30%
35%
40%
45%
0%
5%
15%
20%
25%
30%
35%
40%
45%
50%
30.2
31.4
29.7
32.7
1
2
3
4
5
10%
12.9
50%
26.1
36.6
33.1
24.1
21.2
7.4
44
5.技術者のスキル活用拡大のために今後求められること(2)
転職前(技術職)に培ったスキル・知識を転職後に活用している者と、活用していない者の別に「日頃から取り組んでいること」をみたところ、いずれの項目も「転職前の
知識・スキルを転職後も活用している」グループのほうが取り組んでいる割合が高い。
特に、「専門とする技術に関する学習」、「リーダーシップ、コミュニケーション力、プレゼンテーション力向上のための学習」、「社外人材との交流」については、「転職前の
知識・スキルを転職後も活用している」グループは、「活用していない」グループの2倍程度の者が「取り組んでいる」と回答している。
☞転職後も技術職として培ったスキル・知識を活用している者は、専門技術に関する学習だけでなく、リーダーシップやコミュニケーション力等に関する学習、社外の人材
との交流等、あらゆる角度からの自己研鑽に努める傾向にあり、これらの学習と円滑な人材移動の間には関連がみられる。
転職後に転職前のスキル・知識を活用しているか×日頃から取り組んでいること(N=1,276)
0%
転職前の知識・スキル活用
(N=923)
10%
20%
30%
専門とする技術に関する学習
転職前の知識・スキルを活用
せず(N=353)
26.1%
専門以外の技術に関する学習
起業に向けた学習
9.3%
3.1%
リーダーシップ、コミュニケーション力、
プレゼンテーション力向上のための学習
論文執筆、学会発表
キャリアカウンセリング
20.7%
15.0%
社外セミナーへの参加
インターンシップ、職場体験
49.2%
17.5%
7.4%
14.4%
3.1%
60%
8.3%
社内研修参加
社外人材との交流
50%
27.3%
15.9%
技術関連以外の学習
40%
23.8%
22.7%
9.3%
1.2%
0.8%
4.6%
2.0%
1.7%
1.1%
45
6.4章のサマリー・考察
「客観的基準に基づくスキル評価」を定期的に受けていると回答する技術者は3割程度であり(不定期に受けているとの回答を合わせて5割程度)、また、今後のキ
ャリアについて上長と話をする機会が頻繁に/時々あった、との回答も4割に満たない。自身の培ってきたスキルや経験を客観的に整理・認識し、今後のキャリア
展望をどのように描いていくかを考えるための支援が、企業内に不足している可能性がある。さらに、勤務先で提供される教育訓練機会(研修)について、量・質と
もに「満足」との回答が「不満」との回答を下回っており、勤務先で十分に教育訓練を受けられていないと考える技術者が多い。
技術職に従事する人材の移動に関しては、これまで政府統計等で把握されてこなかった。本事業においてWEBアンケート調査を実施したところ、次の 3点が明ら
かになった。
技術職から技術職への転職では、転職前と同じ技術分野の職に転職する傾向が強い。「素材、食品、メディカル系」から他分野への転職ケースも一部見られる。
技術職から非技術職への転職の場合、「営業・事務・企画系」職種への転職が多く、また転職先企業はサービス業(他に分類されないもの)の企業が多い。
技術職から非技術職への異動(社内・グループ内での異動)では、技術職から「営業・事務・企画系」職種への異動が多く、また非自発的理由での異動が多い。
技術職から非技術職へ移動した場合は、技術職から技術職へ移動した場合に比べて転職前のスキル・知識の連続性が低いが、それでも6割以上がスキル・知識
を連続させたキャリアを歩んでおり、またその中の多くの人が、「専門技術領域に関する知識・ノウハウ」を異職種に移動後も活用している。6ページに人的資源の「
散逸」について整理したが、この整理に従うと、技術職から非技術職へ移動したケースの6割以上は、人的資源の散逸には当たらない。一方で、移動後に以前のキ
ャリアで培ったスキル・知識を活用できていないとの回答も一定数あり(技術職への移動で3割程度、非技術職への移動で4割程度)、これまでのキャリアの延長線
上に移動後の展望を描けるよう、支援が必要であるといえる。
技術者としての今後のキャリアについて、特に40代以上の技術者では消極的な見通しを持つ傾向にあり、半数以上が「今後の見通しは明るくない」と回答している
。「どちらともいえない」との回答も多く、「明るい」との回答は若年層を合わせても全体の1割程度にとどまる。1章で見たような様々な環境変化があり、しかし勤務先
でのスキル評価やキャリアを考える機会、研修は不十分である中で、特にミドル層以上の中で、今後の技術者としてのキャリアに対する不安感が生まれているので
はないか。
「今後、転職を希望しない」と答える者は全体の5割を超える。その理由としては、現在の勤務先に満足しているといった積極的な理由のほかに、自身の能力をどの
ように他社で活かせるかわからないといった消極的な理由も3割程度みられる。また、転職経験者では、転職の際に困ったこととして、「自身の能力や経験の棚卸し
」、「転職先での自身の能力や経験の活かし方」、「専門以外の分野に関する知識・スキルの不足」を挙げる者が3割を超えている。「技術者の円滑な移動やスキル
活用拡大を考える上で、技術者が自身の能力や技術、経験を客観的に認識し、それらを他社でどのように活かしていくのかを考える支援が必要である。
転職後も技術職として培ったスキル・知識を活用している者は、専門技術に関する学習だけでなく、リーダーシップやコミュニケーション力等に関する学習、社外の
人材との交流等、あらゆる角度からの自己研鑽に努める傾向にあり、これらの学習と円滑な人材移動の間には関連がみられる。
環境変化
転職後
企業内における
能力開発機会
スキル評価
キャリアを考える機会
の不足
転職後
技術職としての
今後のキャリアが
不安・・
自分のスキルや経験
が他社でどう活かせ
るかわからず、転職
に踏み切れない
活用し
ていな
い
転職前
の知
識・ス
キルを
活用
日頃から、自身の専門
分野の学習に加え、社
外人材との交流等、多
方面からの自己研鑚に
努める技術者に多い
46
第5章.諸外国(米国・ドイツ)の
技術者の実態
47
1.各国の技術者動向の把握
1.1 欧州における技術者動向の統計的把握
(1) 「科学技術人材」(HRST)としての把握(注1)
欧州における技術者の動向は、欧州連合(European Union: EU)の統計部門であるユーロスタット(Eurostat)により、科学技術人材(human resources in science
and technology: HRST)のカテゴリーにおいて統計的に把握・公表されている。
HRSTは、 経済開発協力機構(Organisation for Economic Co-operation and Development: OECD)、国際連合教育科学文化機関(United Nations
Educational, Scientific and Cultural Organization: UNESCO)、国際労働機関(International Labour Organization: ILO)、 Eurostatが1995年に共同作成した
“Manual on the Measurement of Human Resources devoted to Science and Technology”(通称Canberra Manual)により定義される。
HRSTの定義は、①大学レベルの教育を修了している(Human resources in terms of education)、②科学技術職においてProfessionalsあるいはTechnicians
and associate professionalsとして雇用されている(Human resources in terms of occupation)――のいずれかに該当する個人、というものである。①と②には重
複があり、両者に該当する個人をHRST Core(中核科学技術人材)と呼ぶ。
(注1)http://epp.eurostat.ec.europa.eu/statistics_explained/index.php/Human_resources_in_science_and_technology
(2) HRSTデータのサブカテゴリー(注2)
カテゴリー
EurostatのHRSTデータは、大別すると「ストック」(Stocks)と
ストック
「フロー」(Flows)に分かれ、フローはさらに「教育機関からの HRST
流入」(Education inflows)と「転職」(Job-to-job mobility)に
分かれる(右表)。
フロー
「教育機関からの流入」は、さらに「実流入」(Actual inflows:
大学レベル教育修了者)と「潜在的流入」(Potential inflows:
大学レベル教育機関在籍者)の2カテゴリーから成る。データ
はEurostatの教育データベースから得られており、原出所は
UNESCO/OECD/Eurostat実施の教育に関する調査票調査
である。
転職
教育機関
からの流入
基本属性
データ出所
科学技術職にあって
前年から職の変化なし
EU労働力調査
科学技術職にあって
前年から職の変化あり
実流入
大学レベル教育修了者
潜在的流入
大学レベル教育機関在籍者
教育に関する調査
「転職」のデータは、前年と調査年の両方でHRSTに該当しつつ、前年から調査年にかけて職(Job)が変化している人数を捕捉するもので、前年か調査年のいずれ
かにおいて失業(unemployed)あるいはinactiveの人数は捕捉しない。
「教育機関からの流入」のデータは Eurostatの教育データベースから得られており、原出所はUNESCO/OECD/Eurostat実施の教育に関する調査票調査である。
「ストック」および「転職」のデータはEU労働力調査(European Union Labour Force Survey: EU LFS)から得られている。EU LFS、はEU加盟国やその他欧州諸
国で四半期に一度実施されている、大規模な世帯サンプル調査である。
(注2)http://epp.eurostat.ec.europa.eu/portal/page/portal/science_technology_innovation/data/database
48
1.各国の技術者動向の把握
1.1 欧州における技術者動向の統計的把握
(3) ドイツにおけるHRSTのストック・フロー人数
このEurostatのHRSTデータベースから、ドイツのHRSTのストックおよびフローの人数推移を把握すると、下表の通りである。
「教育機関からの実流入」(Education actual inflows:大学レベル教育修了者)で説明できないストックの増減は「流出」(Outflows)であると仮定できる。例えば、
2010年のHRSTストックは20,806千人で前年比203千人増であるが、これに対し同年の「教育機関からの実流入」は573千人あるので、その差分である370千人は
流出人数と推計される。
HRSTの定義(大学レベルの教育を修了している、あるいは科学技術職においてProfessionalsあるいはTechnicians and associate professionalsとして雇用され
ている個人)に照らすと、HRSTからの流出とは、①大学レベル教育未修了者の科学技術職からの離職、②国外への移動、③死亡――の何れかに該当すると考え
られる。
一方、下表の通り「流出」が負値になる年もあり(2005年、2007年、2008年)、これは「教育機関からの実流入」 (大学等からの新卒者)以外のHRSTへの流入があ
ることを意味する。このような流入は、 ①大学レベル教育未修了者の科学技術職への就職、②国外からの移動――の何れかにすると考えられる。
こうした「大学等からの新卒者以外のHRSTへの流入」は毎年一定量あると考えられるので、HRSTからの(純流出ではなく)実流出は、上記方法で推計される人数
より多いと考えられる。
<EurostatによるドイツのHRST動態>
GERMANY
HRST stocks (15-74 yrs)
Education
Occupation
Core
<Stock increase>
HRST education actual inflows: Graduation
<Ratio to stocks>
HRST intraflows: Job-to-job mobil. (25-64 yrs)
<Ratio to stocks>
HRST Outflows (Inflows - Increase)
<Ratio to stocks>
2003
18,423
11,893
12,574
6,044
-
305
1.7%
738
4.0%
-
-
2004
18,691
12,328
12,551
6,188
268
320
1.7%
730
3.9%
52
0.3%
2005
19,439
12,786
13,202
6,550
748
344
1.8%
729
3.8%
▲ 404
-2.1%
2006
19,397
12,376
13,612
6,591
▲ 42
415
2.1%
824
4.2%
457
2.4%
2007
19,882
12,870
13,835
6,824
485
439
2.2%
852
4.3%
▲ 46
-0.2%
2008
20,399
13,458
13,888
6,948
517
467
2.3%
913
4.5%
▲ 50
-0.2%
2009
20,603
13,857
13,982
7,236
204
542
2.6%
876
4.3%
338
1.6%
2010
20,806
13,929
14,210
7,333
203
573
2.8%
928
4.5%
370
1.8%
2011
20,780
14,621
14,972
8,814
▲ 26
610
2.9%
959
4.6%
636
3.1%
2012
21,398
14,923
15,599
9,124
618
N.A.
N.A.
1,007
4.7%
-
-
(注)単位は千人、%。
(資料)Eurostat: http://epp.eurostat.ec.europa.eu/portal/page/portal/science_technology_innovation/data/database
49
1.各国の技術者動向の把握
1.2 米国における技術者動向の統計的把握
(1) 「人口動態調査」(CPS)による把握(注1)
米国の労働力統計の基礎的データは、商務省国勢調査局(Census Bureau, Department of Commerce)と労働省労働統計局(BLS: Bureau of Labor Statistics,
Department of Labor)が共同で毎月行っている「人口動態調査」(Current Population Survey: CPS)から得られる。
CPSは世帯サンプル調査で、全米から抽出された60,000世帯を対象とする。対象世帯は、まず4か月連続して毎月19日を含む週に調査を受け(その前週の状況に
ついて回答)、その後8か月を空けて再び4か月(すなわち最初の4か月の丁度1年後となる4か月)調査を受ける。
CPSの職業分類は細かく、そのうち「技術人材」に該当すると考えられるのは、「大分類Management, professional, and related occupations」下の「中分類
Professional and related occupations」下、下表に示す3つの小分類に属するもの(一部に社会科学者等を含む)。
(注1)http://www.census.gov/cps/
Computer and mathematical occupations
Architecture and engineering occupations
Life, physical, and social science occupations
Computer and information research scientists
Architects, except naval
Agricultural and food scientists
Computer systems analysts
Surveyors, cartographers, and photogrammetrists
Biological scientists
Information security analysts
Aerospace engineers
Conservation scientists and foresters
Computer programmers
Agricultural engineers
Medical scientists
Software developers, applications and systems software
Biomedical engineers
Life scientists, all other
Web developers
Chemical engineers
Astronomers and physicists
Computer support specialists
Civil engineers
Computer hardware engineers
Atmospheric and space scientists
Database administrators
Network and computer systems administrators
Computer network architects
Computer occupations, all other
Actuaries
Mathematicians
Operations research analysts
Statisticians
Miscellaneous mathematical science occupations
Electrical and electronics engineers
Environmental engineers
Industrial engineers, including health and safety
Marine engineers and naval architects
Materials engineers
Mechanical engineers
Mining and geological engineers, including mining safety engineers
Nuclear engineers
Petroleum engineers
Engineers, all other
Drafters
Engineering technicians, except drafters
Surveying and mapping technicians
(資料)Labor Force Statistics from the Current Population Survey page, US Department of Labor website,
http://www.stats.bls.gov/cps/cpsaat11.htm より抜粋。
Chemists and materials scientists
Environmental scientists and geoscientists
Physical scientists, all other
Economists
Survey researchers
Psychologists
Sociologists
Urban and regional planners
Miscellaneous social scientists and related workers
Agricultural and food science technicians
Biological technicians
Chemical technicians
Geological and petroleum technicians
Nuclear technicians
Social science research assistants
Miscellaneous life, physical, and social science technicians
50
1.各国の技術者動向の把握
1.2 米国における技術者動向の統計的把握
(1) 「人口動態調査」(CPS)による把握(承前)
CPSの失業に関するデータには、失業者数の属性として、
職業(ウェブ公開の統計表では中分類まで)、産業、失業
期間等が含まれる。右上表は職業中分類Professional and
related occupations等の失業期間別の失業者数である。
CPSは、過去4週間における求職方法について、以下の
選択肢で調査している。
1. 雇用主に直接コンタクト・面接。
2. 公立職業紹介機関にコンタクト。
3. 私立職業紹介機関にコンタクト。
4. 友人・親戚にコンタクト。
5. 学校・大学の就職センターにコンタクト。
6. 応募書類を送付。
7. 労働組合や職業団体の求職情報をチェック。
8. 広告を出す・広告に応じる。
9. その他の活動。
10. 求人広告を見る。
11. 職業訓練プログラム/コースに参加する。
12. 特になし。
13. その他の受動的活動。
<CPSによる失業期間別失業者数>
失業者合計 5週間未満
Management,
professional, and related
occupations
Management, business,
and financial
operations occupations
Professional and
related occupations
15週間以上
5-14週間
15-26週間 27週間以上
合計
2,318
445
511
1,362
340
1,022
935
146
189
601
144
456
1,383
299
322
762
196
566
(資料)Labor Force Statistics from the Current Population Survey page, US Department of Labor website,
http://www.stats.bls.gov/cps/cpsaat32.htm より抜粋。
<CPSによる求職者の求職方法別利用割合>
失業者(人)
求職者の求職方法の利用割合のデータも公開されている
(右下表)。ただし、その職業別のデータはウェブ公開の
統計表には無い。
求職者
Total unemployed
Job losers and persons who
completed temporary jobs
Job leavers
Reentrants
New entrants
12,506 11,322
採っている求職方法(%)
採
っ
て
い
る
求
職
方
法
の
平
均
数
雇
用
主
に
直
接
コ
ン
タ
ク
ト
応
募
書
類
を
送
付
広
告
を
出
す
・広
告
に
応
じ
る
51.3
56.3
18.4
28.5
19.3
8.6
15.4
2.0
友
人
・親
戚
に
コ
ン
タ
ク
ト
公
立
職
業
紹
介
機
関
を
利
用
私
立
職
業
紹
介
機
関
を
利
用
そ
の
他
6,877
5,694
54.0
55.5
20.4
32.6
23.3
10.6
16.3
2.1
967
3,345
1,316
967
3,345
1,316
52.2
47.8
47.4
59.4
55.7
58.7
19.4
16.2
14.3
24.1
24.7
23.8
16.6
16.1
12.7
7.7
6.8
5.1
16.5
15.3
11.2
2.0
1.8
1.7
(資料)Labor Force Statistics from the Current Population Survey page, US Department of Labor website,
http://www.stats.bls.gov/cps/cpsaat34.htmより抜粋。
51
1.各国の技術者動向の把握
1.2 米国における技術者動向の統計的把握
(2) CPSの労働力関連追加調査(注1)
月次のCPSには、時々に同時実施される追加調査(supplement survey)が何種類もあり、そのうち労働力移動に関するものが “Displaced Workers, Employee
(Job) Tenure, and Occupational Mobility supplement” である。その概要は下表の通りで、Displaced Workers調査とJob Tenure/Occupational Mobility調査は
別のものとされるが、どちらも2006年から隔年1月に一体的に行われてきている。実施者はBLSである。
Displaced Workers
過去5年間に工場閉鎖、勤務シフト調整(shift elimination)など労働関連の理由で失職した労働者に関するデータを収集。隔年。
Job Tenure/Occupational Mobility
労働者の現在の雇用主および職種での在職期間(tenure)を計測するためのデータを収集。随時。
(資料)Current Population Survey page, US Census Bureau website, http://www.census.gov/cps/about/supplemental.html より抜粋。
同追加調査の(CPSの通常調査項目に追加される)調査項目で、本件調査に関連しうる項目は、以下等である。
1. 過去3年間に、工場・会社の閉鎖や移動、ポジションの変更や廃止、業務量の不足、その他の類似した理由により、失職・離職したか。
2. 失職・離職の理由(選択肢は右表)。
選択肢(失職・離職の理由)
3. 働いていた企業・団体名。
4. 働いていた際の職種・職務内容。
工場・会社の閉鎖や移動。
5. 労働組合等に加入していたか。
(工場・会社は存続しているが)業務量の不足。
集計結果は公開されておらず、SASやSPSSによる解析用のローデータがダウンロードできる。
(注1)http://www.icpsr.umich.edu/icpsrweb/ICPSR/studies/34435
(同)ポジションやシフトの廃止。
(同)期間性職務の完了。
自営業の失敗。
その他。
(資料)Labor Force Statistics from the Current Population Survey page, US Department of Labor website,
http://www.stats.bls.gov/cps/cpsaat11.htm より抜粋。
52
1.各国の技術者動向の把握
1.2
米国における技術者動向の統計的把握
(3) 求人・転職調査(JOLTS)(注1)
BLSは、「求人・転職調査」(Job Openings and Labor Turnover Survey: JOLTS)も実施している。これは、各月の最終営業日時点での求人数(Job openings)、
月間の新規雇用数(Hires)、月間の失職数(Separations)――辞職(Quits)、解雇(Layoffs and Discharges)、その他失職(Other Separations)の合計数――の
データを調査・発表しているものである。 全米の2009年1月~2013年9月における月末求人数、月間新規雇用数、月間失職数(その内数として辞職数)は、下表の
通りである。
<JOLTSによる月末求人数、月間新規雇用数、月間失職数>
ただし、公表ベースでは産業区分が大括りであり、技術人材に
該当する「Professional, Scientific, and Technical Services」
セクターではなく、それを含む「Professional and Business
Services」大セクターのデータしか入手できない。
(注1)http://www.bls.gov/jlt/
Professional and Business Services
2009 月末求人数
実数(千人)
対総雇用数比(%)
月間新規雇用数 実数(千人)
対総雇用数比(%)
月間失職数
実数(千人)
対総雇用数比(%)
月間辞職数
実数(千人)
対総雇用数比(%)
2010 月末求人数
実数(千人)
対総雇用数比(%)
月間新規雇用数 実数(千人)
対総雇用数比(%)
月間失職数
実数(千人)
対総雇用数比(%)
月間辞職数
実数(千人)
対総雇用数比(%)
2011 月末求人数
実数(千人)
対総雇用数比(%)
月間新規雇用数 実数(千人)
対総雇用数比(%)
月間失職数
実数(千人)
対総雇用数比(%)
月間辞職数
実数(千人)
対総雇用数比(%)
2012 月末求人数
実数(千人)
対総雇用数比(%)
月間新規雇用数 実数(千人)
対総雇用数比(%)
月間失職数
実数(千人)
対総雇用数比(%)
月間辞職数
実数(千人)
対総雇用数比(%)
2013 月末求人数
実数(千人)
対総雇用数比(%)
月間新規雇用数 実数(千人)
対総雇用数比(%)
月間失職数
実数(千人)
対総雇用数比(%)
月間辞職数
実数(千人)
対総雇用数比(%)
(資料) http://www.bls.gov/jlt/
1月
502
2.9
736
4.3
876
5.1
356
2.1
431
2.5
751
4.5
692
4.2
273
1.7
467
2.7
819
4.8
777
4.6
361
2.1
674
3.7
791
4.5
700
4.0
369
2.1
690
3.7
878
4.8
845
4.7
375
2.1
2月
535
3.1
710
4.2
881
5.2
286
1.7
401
2.4
746
4.5
711
4.3
287
1.7
607
3.4
838
4.9
770
4.5
381
2.2
668
3.6
985
5.5
906
5.1
385
2.2
709
3.7
845
4.6
770
4.2
385
2.1
3月
448
2.6
648
3.9
774
4.6
277
1.7
388
2.3
759
4.6
750
4.5
302
1.8
591
3.3
891
5.2
788
4.6
371
2.2
786
4.2
896
5.0
849
4.8
392
2.2
692
3.6
831
4.5
780
4.2
372
2.0
4月
421
2.5
693
4.2
862
5.2
300
1.8
516
3.0
772
4.6
704
4.2
305
1.8
556
3.1
830
4.8
785
4.6
356
2.1
668
3.6
859
4.8
806
4.5
383
2.1
731
3.8
912
5.0
858
4.7
410
2.2
5月
401
2.4
669
4.0
713
4.3
297
1.8
579
3.4
769
4.6
730
4.4
294
1.8
556
3.1
873
5.0
826
4.8
356
2.1
746
4.0
968
5.4
964
5.4
427
2.4
632
3.3
890
4.8
848
4.6
418
2.3
6月
370
2.2
592
3.6
714
4.3
274
1.7
483
2.8
807
4.8
746
4.5
357
2.1
620
3.5
776
4.5
794
4.6
335
1.9
751
4.0
921
5.1
895
5.0
389
2.2
685
3.6
928
5.0
891
4.8
455
2.5
7月
425
2.5
695
4.2
733
4.5
262
1.6
518
3.0
782
4.7
782
4.7
330
2.0
674
3.7
820
4.7
794
4.6
383
2.2
625
3.4
823
4.6
766
4.3
369
2.1
664
3.5
1,001
5.4
934
5.0
541
2.9
8月
345
2.1
654
4.0
700
4.3
254
1.5
596
3.4
761
4.5
714
4.3
335
2.0
589
3.3
893
5.1
840
4.8
389
2.2
709
3.8
897
5.0
895
5.0
376
2.1
658
3.4
979
5.3
947
5.1
490
2.6
9月
441
2.6
691
4.2
688
4.2
255
1.6
552
3.2
746
4.4
737
4.4
340
2.0
706
3.9
892
5.1
829
4.7
391
2.2
609
3.3
857
4.8
846
4.7
372
2.1
672
3.5
1,012
5.4
967
5.2
487
2.6
10月
425
2.5
697
4.2
699
4.3
274
1.7
595
3.4
768
4.6
719
4.3
368
2.2
593
3.3
871
5.0
826
4.7
357
2.0
661
3.5
864
4.8
784
4.3
360
2.0
11月
422
2.5
800
4.9
721
4.4
272
1.6
718
4.1
803
4.7
687
4.1
301
1.8
505
2.8
852
4.9
798
4.6
371
2.1
649
3.5
912
5.0
849
4.7
394
2.2
12月
439
2.6
679
4.1
666
4.0
268
1.6
599
3.4
886
5.2
827
4.9
366
2.1
628
3.4
842
4.8
789
4.5
363
2.1
575
3.1
798
4.4
813
4.5
413
2.3
53
1.各国の技術者動向の把握
1.3
フランスにおける技術者動向の統計的把握
(1) フランス国家技術化学者協会CNISF(Conseil national des ingénieurs et scientifiques de France)によるエンジニアの
実態調査
23e Enquête(2012)の概要
実施時期
・第一四半期(アンケートは毎年実施) 実施機関は、IESF(フランス技術者科学連合)
調査対象
・技師称号委員会(CTI)から認定を受けたエンジニア養成校の免状を持つ65歳以下のエンジニア(71.5万人)
・2012年のアンケート回答者は4.5万人
調査内容
・エンジニアの性別、性別
・エンジニアの専門分野、雇用形態、卒業後の進路、若手エンジニアの評価制度、能力開発
・企業におけるエンジニアの活躍状況(地域、企業の属性、業務の範囲、転職状況)
・2011年のエンジニアの労働市場(採用、企業内での異動状況、満足度)
・2011年のエンジニアの給与の状況
【参考】“Loi Dutreil (起業促進法)”2003年8月制定 :企業設立プロセスの簡便化、被雇用者の副業・起業を支援
目的
概要
企業設立の
プロセス
・EARL(有限会社)及びEURL(有限責任一人起業)の資本金最低額(7,500ユーロ)の制限を撤廃した
・インターネットによる会社設立届け出を可能にした
・自宅を本店所在地として登録できることを法律上明記した
被雇用者の
副業や起業
を支援
・最初の1年間は、被雇用者が雇用主に忠誠心を示す場合は、被雇用者の立場のまま起業準備をすること
ができる
・給与所得者が起業または起業買い取りを行った場合、1年間はその新規の業務に関する社会保障負担金
を免除される
・「起業休暇」の取得は入社後2年経過で可能にし、雇用者への事前通知期限も2カ月前に条件緩和。さらに
「起業休暇」に加えて最長2年間はパートタイムでの勤務形態が選択可能
参照:APCE
54
2.海外の技術者コミュニティの新たな取組
2.1 ファブラボ
技術者コミュニティの新たな取組として世界的に展開されているものの代表例は、ファブラボであろう。
ファブラボの国際団体としてはInternational Fab Lab Association(注1)、国別団体としては例えば米国にUS Fab Lab Netowork (注2)が存在する(ドイツでは同様の
団体を確認できず)。ただ、これらの団体のサイトにも、世界ないし米国のファブラボ活動の全体像を俯瞰する情報は確認されない。
(注1)http://www.fablabinternational.org/
(注2) http://usfln.org/
ファブラボは米国発祥であり、米マサチューセッツ工科大学センター・フォー・ビッツ・アンド・アトムズ(Center for Bits and Atoms, Massachusetts Institute of
Technology)のニール・ガーシェンフェルド所長が提唱し、1998年に米ボストン市とインドのパバル村に設置したのが嚆矢である。サイト「FABWIKI」の世界のファブ
ラボ一覧(http://wiki.fablab.is/wiki/Portal:Labs)によれば、米国には44のファブラボが存在する。
米オバマ政権は、製造業におけるイノベーションの推進と、その基礎としてのSTEM(science, technology, engineering, mathematics:理数系)教育の強化を重要
政策課題としており(注3)、そうした中で2013年には「全国ファブラボ・ネットワーク法」(National Fab Lab Network Act of 2013)も超党派で提案されている(注4) 。ファ
ブラボ・ネットワークは人口70万人に一つのファブラボを作ることを目標としており、ファブラボを国民にとって「図書館」のように身近で気軽に利用できる存在とするこ
とが、国策として追求されている(注5)。
(注3)千田有一「米国における科学技術人材育成戦略」、『科学技術動向』2013年1・2月号 http://www.nistep.go.jp/wp/wp-content/uploads/NISTEP-STT133J-2.pdf ほか
(注4) U.S. Representative Bill Foster website, http://foster.house.gov/media-center/press-releases/rep-foster-introduces-bipartisan-legislation-to-promote-advanced
(注5)総務省『平成25年版情報通信白書』http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h25/html/nc111330.html
ドイツには、「FABWIKI」によれば20のファブラボあり、人口が米国の3分の
1に満たないこと(ドイツの人口は8千万人強、米国は3億人強)を考えれば
高密度に存在するといえる。
<各国公共図書館の設置密度>
ドイツでは、米国のようにファブラボを国策として推進する動きは特に見られ
ないが、ファブラボを包含する概念である「ハッカースペース」(あるいは「メイ
カースペース」)の発祥はドイツ・ベルリンの「c-base」とされる(注6)。
また、ファブラボを「図書館」に喩える考え方にちなんで言えば、ドイツは公共
図書館が多い国として知られ(右図)(注7)、そうした公共施設の設置に積極的
な社会であるということはできよう。
(注6)http://makezine.jp/blog/2013/06/the-difference-between-hackerspacesmakerspaces-techshops-and-fablabs.html
(注7)文部科学省『諸外国の公共図書館に関する調査報告書』2005年
http://www.mext.go.jp/a_menu/shougai/tosho/houkoku/06082211/002.pdf
(資料) 注7に同じ
55
2.海外の技術者コミュニティの新たな取組(承前)
2.1 ファブラボ(承前)
起業活動を行う人が多いどうかもファブラボの多寡と関連がありそうだが、起業活動従事者シェア(18~64歳人口のうち起業活動を行った者の割合)は、米国は日
本の2倍を超えるが、ドイツは日本を若干上回る程度である(左下図)(注1)。
ちなみに日本のファブラボは、2014年開設予定のものも含め右下表の8か所である(注2)。
(注1)内閣府『平成23年度年次経済財政報告』
http://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je11/h05_hz030101.html
(注2)『新ものづくり研究会 報告書』 2014年2月 http://www.meti.go.jp/press/2013/02/20140221001/20140221001-3.pdf
<起業活動従事者シェアの国際比較>
<日本国内のファブラボ>
名称
(資料) 注1に同じ
所在地
設立年
FabLab Kamakura
神奈川県鎌倉市
2011年
FabLab Tsukuba
茨城県つくば市
2011年
FabLab Shibuya
東京都渋谷区
2012年
FabLab Kitakagaya
大阪府大阪市
2013年
FabLab SENDAI – FLAT
宮城県仙台市
2013年
FabLab Kannai
神奈川県横浜市
2013年
FabLab Oita
大分県大分市
2014年
FabLab Hiroshima
広島県安芸高田市
2014年
(4月開所予定)
(資料) 注2に同じ
56
2.海外の技術者コミュニティの新たな取組(承前)
2.1 ファブラボ(承前)
ドイツおよび米国に存在するファブラボは、サイト「FABWIKI」 (http://wiki.fablab.is/wiki/)によれば以下の通り。両国とも日本よりはるかに多いファブラボを持つ。
<ドイツのファブラボ>
所在都市
ラボ名
ウェブサイト
Aachen
Berlin
Fab Lab Aachen
Fab Lab Berlin
http://fablab.rwth-aachen.de
http://fablab-berlin.org
Wildau, Brandenburg
ViNN:Lab
http://www.facebook.com/vinnlab
Berlin
Open Design City
Halle (Saale)
Potsdam
Bottrop
Bremen
Darmstadt
Erlangen
Hamburg
Leipzig
Köln
München
Nürnberg
Paderborn
Eigenbaukombinat Halle
Fab Lab Potsdam - Science Shop Potsdam
HRW FabLab
FabLab Bremen Initiative
L1A Makerspace
FAU FabLab
Fab Lab Fabulous St. Pauli
Hackstatt
DingFabrik Köln e.V.
FabLab München e.V.
Fab Lab Region Nürnberg e.V.
FabLab Paderborn e.V.
Karlsruhe
FabLab Karlsruhe
Bayreuth
Rothenburg ob der Tauber
Regensburg
FabLab-Bayreuth
FabLab Region Rothenburg ob der Tauber (e.V.)
FabLab Regensburg
http://www.eigenbaukombinat.de
http://www.wissenschaftsladen-potsdam.de/
http://fablab.hochschule-ruhr-west.de
http://fablabbremen.de/
http://www.l1a.deFacebook
http://fablab.fau.de
http://fablab-hamburg.org/
http://hackstatt.org/
http://www.dingfabrik.de/
http://www.fablab-muenchen.de/
http://www.fablab-nuernberg.de
http://www.fablab-paderborn.de
http://www.fablab-bayreuth.de
http://www.fablab-rothenburg.de
http://www.fablab-regensburg.de
57
2.海外の技術者コミュニティの新たな取組
2.1 ファブラボ(承前)
<米国のファブラボ>
所在都市
ラボ名
California, Palo Alto
California, San Diego
Stanford Learning FabLab
FabLab SD
California, San Francisco
FabLab SF
California, San Jose
District of Columbia
Florida, Sarasota
Florida
Georgia, Savannah
Idaho, Bonners Ferry
Illinois, Chicago
Illinois, Urbana-Champaign
Iowa, Iowa City
Kansas, Overland Park
Louisiana, New Orleans
Maine, Deer Isle
Maryland, Catonsville
Massachusetts, Boston
Massachusetts, Roxbury
Michigan, Ann Arbor
Michigan, Detroit
Michigan, Detroit
Michigan, Flint
Michigan, Niles
Michigan, Southfield
Minnesota, White Bear Lake
The Tech Museum
FAB LAB DC
GWIZ
A2 Fab Lab, University of Florida
Savannah College of Art and Design
Boundary County Library
Wanger Family Fab Lab
Champaign-Urbana Community Fab Lab
The S.T.E.A.M. Room Fab Lab
Center For Advanced Professional Studies
FabLab NOLA
Haystack Mountain School of Crafts
Community College of Baltimore County - Catonsville
South End Technology Center
The TIE Project
Taubman College Digital Fab Lab
Incite Focus Fab Lab
Mt Elliott Makerspace
Mott Community College Fab Lab
Bertrand Crossing Fab Lab
makeLab
Century Community and Technical College
Missouri, Kansas City
Hammerspace
Missouri, Kansas City
Nebraska, Omaha
Metropolitan Community College
Metropolitan Community College
ウェブサイト
http://www.fablabsf.orghttp://www.facebook.com/FabLab.SanFran
ciscohttps://twitter.com/FabLabSF
http://www.thetech.org
fablabdc.org ;
http://www.gwiz.org
http://arts.ufl.edu/aafablab/
????
www.msichicago.org/whats-here/fab-lab/
cucfablab.org
www.thesteamroom.org
http://www.haystack-mtn.org/FabLab.php
TheTIEProject.org
http://www.incite-focus.org
http://mtelliottmakerspace.com
http://mcc.edu/FABlab
http://make-lab.org
http://www.meetup.com/Cowtown-ComputerCongress/ http://c3kc.org/
http://mcckc.edu/FabLab
http://www.mccneb.edu/
58
2.海外の技術者コミュニティの新たな取組
2.1 ファブラボ(承前)
<米国のファブラボ>(承前)
所在都市
New Mexico, Albuquerque
New York, New York
New York, New York
North Carolina, Durham
Ohio, Cincinnati
Ohio, Cleveland
Ohio, East Cleveland
Ohio, Elyria
Ohio, Milan
Oklahoma, Tulsa
Rhode Island, Providence
Texas, Austin
Virginia, Martinsville
Wisconsin,Appleton
Wisconsin, Oshkosh
Wisconsin, Menomonie
ラボ名
Fablab ABQ
Marymount School Fab Lab
Sustainable South Bronx
Fab Labs Carolinas, A project of the Piedmont Conservation
Council
University of Cincinnati DAAP Rapid Prototyping Center
MC2STEM HS's Mobile Lab, at the Great Lakes Science
Center
MC2STEM High School, GE Nela Park
Lorain County Community College
EHOVE Career Center Fab Lab
Fab Lab Tulsa
AS220
Fab Lab ATX
Patrick Henry Community College
Fox Valley Technical College Program/Inovation/Mobile Lab
Fox Valley Technical College Program Lab
University of Wisconsin–Stout
ウェブサイト
http://fablabcarolinas.org/
http://www.lorainccc.edu/fab
http://www.ehove.net/fablab
http://fablabtulsa.org/
http://labs.as220.org/
http://fablabatx.com/
http://www.patrickhenry.edu
http://www.fvtc.edu/fablab
http://www.fvtc.edu/fablab
59
2.海外の技術者コミュニティの新たな取組
2.2 SAEインターナショナル
この他、技術者の団体として海外で著名な事例として、米国の「SAEインターナショナル」が挙げられる(注1) 。
SAEインターナショナル(Society of Automotive Engineers International)は、モビリティ専門家を会員とする非営利団体で、日本を含む各国に支部を持つ。ちなみ
に、 “automotive” は一般的には「自動車」を指すが、SEAインターナショナルの言う “automotive” とは「自力で推進する乗り物すべて」を指すとされる。
SAEインターナショナルは SAE Professional Development Learning Center を設置して教育訓練事業を手がけており(注2) 、年間4,000人の技術者を訓練してい
る。米国、欧州、中国、インドでのオフラインの授業(1~3日間のセミナー、5日間のアカデミー)、オンライン(ないしCD-ROM)でのセミナー、企業から受託しての社
内研修などを実施している。
(注1)http://www.sae.org/
(注2) http://training.sae.org/
60
3.5章のサマリー・考察
(1) 欧州における技術者動向の把握
Eurostatにより、科学技術人材(human resources in science and technology: HRST)のカテゴリーにおいて統計的に把握・公表されている。 HRSTとは、①大学レベル
の教育を修了している②科学技術職において雇用されている――のいずれかに該当する個人であり、①②共に該当する個人をHRST Core(中核科学技術人材)と呼ぶ。
国別のHRST動態は、公表データによれば、①科学技術職間での転職②大学レベル教育機関からの人材流入③大学レベル教育未修了人材の流出入あるいは死亡・国
際移動――の3カテゴリーで把握できる。
(2) 米国における技術者動向の把握
「人口動態統計」(CPS)およびその追加調査により、失業者について、①失業期間②利用している求職方法③失職・離職の理由④働いていた企業・団体名⑤働いていた
際の職種・職務内容⑥労働組合等への加入如何――が把握できる。職種は(公表データにはないが)細分化されたカテゴリーで把握可能である。
「求人・転職調査」(JOLTS)では、各月の最終営業日時点での求人数、月間の新規雇用数(Hires)、月間の失職数(Separations)――辞職(Quits)、解雇(Layoffs and
Discharges)、その他失職(Other Separations)の合計数――が把握できる。ただし公表ベースでは大括りの産業分類でのデータしかない。
(3) フランスにおける技術者動向の把握
IESF(フランス技術者科学連合)は、技師称号委員会(CTI)から認定を受けたエンジニア養成校の免状を持つ65歳以下のエンジニア(71.5万人)に対して調査を毎年実施
し、エンジニアの転職や社内での異動状況について把握している。
(4) 海外技術者コミュニティの新たな動向
技術者コミュニティの新たな取組として世界的に展開されているものの代表例として「ファブラボ」がある。
ファブラボは1998年に米国から発祥したもので、米国内に現在44か所存在する。米連邦政府は、製造業におけるイノベーションの推進およびその基盤としてのSTEM(理
数系)教育の強化の中で、ファブラボを国策として推進しようとしており、人口70万人に1か所、「図書館」のような存在としてファブラボを整備することを目指している。
ドイツには現在20のファブラボがあり、人口比では米国より多い。ドイツにファブラボが多い背景としては、①ファブラボを包含する概念である「ハッカースペース/メイカー
スペース」の発祥地であること②図書館の設置密度の高さ等から公共施設設置に積極的な社会であると推察されること――等が挙げられる。
ファブラボの多寡には、起業活動を行う人の多さも関連すると思われたが、起業活動従事者シェアは、米国は日本(ファブラボは設置予定も含め8か所のみ)の2倍を超え
るが、ドイツは日本を若干上回る程度である。
ファブラボの他、技術者の団体として著名な事例として、米国のモビリティ専門家団体「SAEインターナショナル」がある。 SAEインターナショナルは、米国内外に研修センタ
ーを設置し、教育訓練事業を手がけている。
61
第6章.技術者のシフト・スキル活用拡大の
取組事例
62
1.取組事例一覧
隣接成長分野への技術者のシフト事例・技術人材のスキル活用の拡大事例の収集について、下記の2点に着目した収集・実態把握を実施した。
(1)①企業等の社内・社内グループ内の労働市場における人材のシフト・スキル活用拡大の取組と②外部労働市場におけるシフト、スキル活用拡大の取組
の双方の観点から収集。
(2)技術者が多様な就業形態で活躍することを想定し、①雇用、②創業/社内起業、③特定労働者派遣、④フリーランス(クラウドソーシング活用)に類する事
例を収集。
収集事例の全体概要
想定する労働市場
ケースNO
取組企業・機関
対象:就業形態(ワークスタイル)
取組名
内部
外部
雇用
起業
派遣
フリー
個人
Case1
ソニー
社内外でのアフター5交流活動による、技術人材のスキル拡大
○
○
○
Case2
ソニー
ビジネスデザイン&イノベーションラボラトリ
○
○
○
Case3
大日本印刷
事業開発センター等における入社7年目社員教育
○
○
Case4
富士ゼロックス
Virtual Hollywood® Platform
Case5
メイテック
需給ギャップを埋める取組(市場変化への対応策)
Case6
メイテック
ファブクロス
○
Case7
クラウドワークス
クラウドソーシング活用エンジニアのスキル育成、見える化
○
○
Case8
パソナテック
パソナラボ(竹輪プロジェクト)
○
○
Case9
テクノブレーン
キャリアラボラトリー
○
Case10
大阪市
「大阪市グローバルイノベーション創出支援事業」
「ものアプリハッカソン」
○
Case11
岐阜県
スマートフォンアプリ開発人材育成事業
○
○
Case12
情報科学技術大学
院
(IAMAS)
f.Labo イノベーション工房
○
○
○
Case13
ファブラボ北加賀屋
ファブラボを活用したエンジニアのスキル活用拡大
○
○
○
○
○
出所:経済産業省「産業技術人材の流動化に関する調査」ヒアリング結果よりみずほ情報総研にて整理
○
○
○
○
○
○
○
○
63
2.内部労働市場における人材のシフト・スキル活用拡大の取組ケース
企業内における労働シフト/スキル活用拡大
Case
社内外でのアフター5交流活動による、技術人材のスキル拡大
1
ソニー株式会社
アイディア秘密基地(社員の放課後活動)
事業部制であるが故の横のつながりの乏しさが懸念されていたなか、アフター5に社員同士がざっくばらんにアイディ
アを交流させる場として「アイディア秘密基地」の取組が始まった。
参加者は事業部の開発者もいれば、地財や営業マーケティングの人材もいる。取組内容もアイディアの交流にとどま
らず、簡単なプロトタイプを創るグループも出てきている。
本取組を経験することにより、社内での連携の可能性を感じたものも少なくない。今後は事業化につながる人材も集
めていけたらと考えている。
品モノラボ(エンジニアのサークル活動的meetup)
会社帰りにエンジニアが気軽に集まってものづくりについて語り合ったり、学んだり、実際に作ったりする場として、ソ
ニー他のエンジニアが中心となって立ち上げた。
隔月で「学ぶ時間」と「シェアする時間」を繰り返す勉強会方式で進められている。
ここでの出会いから出来上がった「品モノ」を見せ合ったり、展示
会に出展したり、コンテストに応募したり、学んだことや繋がりを仕
事に活かしたり、楽しいものづくりの実験場であることを目指してい
る。
64
2.内部労働市場における人材のシフト・スキル活用拡大の取組ケース
企業内における労働シフト/スキル活用拡大
Case
ビジネスデザイン&イノベーションラボラトリによる新規事業開発
2
ソニー株式会社
ビジネスデザイン&イノベーションラボラトリ
2012年夏に、「ビジネスデザイン&イノベーションラボラトリ」と呼ばれる新部署を立ち上げた。専門領域の異なる100
人が新規事業創出のために集められた。平井社長が内外に打ち出したメッセージが「ワン・ソニー」。縦割りに閉じてい
た組織に横の連携の楔を打ち込むことで、これまでにない製品やサービスの提供を生み出したい考えが背景にある。
毎週水曜日にピッチと呼ばれる短時間のプレゼンテーションを行いメンバー同士で意見交換。共通テーマからアイデ
アをひねり出し、いかに素早くプロトタイピングして具現化するかを競うアイデアコンテスト(ハッカソン)も定期的に行わ
れている。
新事業開発例:
2013年7月には犬型ロボット『AIBO』の人工知能技術を応用して店舗やオフィス向け省エネ支援サービスを手掛け
るインフォメティス社が設立されている。
またBILから生まれた非接触ICカード技術FeliCaのカードを利用したお薬手帳は、この秋から川崎市全域で採用予
定である。
BIL設立より現在までに50個の事業アイデアが生まれ、うち
6個がプロジェクト化、1つが事業化という意思決定の速さは、
近年のソニーにはなかったスピードだという。
出所:事業構想大学院大学 出版部「月刊事業構想」(2013年12月1日発行)
65
2.内部労働市場における人材のシフト・スキル活用拡大の取組ケース
企業内における労働シフト/スキル活用拡大
Case
事業開発センター等における入社7年目までの徹底した教育
3
大日本印刷
若手社員の他流試合への参画促進
大日本印刷では今後、「情報流通」、「健康医療」、「環境エネルギー」、「快適な暮らし」を柱として事業開発センターを
設立し、これまでの受注生産から脱却して自分達で事業を創っていくことを目指している。
このような方針のもと、事業開発センター、研究開発センター、研究開発・事業化推進本部に所属する社員の改革の
ための取組が始まった。言葉を自由に操ってディスカッションが出来る社員を育てるため、 1-2年目の社員はとにかく質
問の練習、3-4年目の社員は自分のやっていることをロジカルに発表する訓練、5年目の社員はそれを英語に変えさせ
た。6-7年目社員は、1年を通じて色々な研修しながら、出来るだけ外に出すようにした。
異業種交流も30歳前後の社員に出てもらい、徹底的
に鍛えたいと思っている。若手は出しても企業にとって
大きなダメージがない。柔軟な発想で新たな事業を考え
る力を養うために、様々な企業と議論する機会を与える
必要がある。
研究開発体制
技術者は学会や技術者同士のつながりという、営業
やマーケティングとは別の情報ルートがあるはずだが、
現状は受注生産だから学会へ参加をしないなど、うまく
情報ルートを生かせていない。技術者にも「事業」という
ことを教えることで、営業などが得られない情報を得ら
れ、マーケティングメンバーとも議論ができるようになる
と考えている。
http://www.dnp.co.jp/csr/contribution/creation/index.html
66
2.内部労働市場における人材のシフト・スキル活用拡大の取組ケース
企業内における労働シフト/スキル活用拡大
Case
Virtual Hollywood® Platform
4
富士ゼロックス
Virtual Hollywood® Platform
「Virtual Hollywood® Platform」活動は、会社、仕事、自分自身を変えたい成長させたいという「思い」や「実行力」の
ある社員が、自らディレクターとなり、お客様そして社会への価値創造を目指して、テーマを設定。そのテーマを基に、
シナリオを作成しながら、社内外から広く参加メンバーを募り、共通の目的をもった仲間たちとテーマの具現化に向けて
コミュニティ活動を実践。
参加者たちは、活動を通じて、創造することの大切さや協力することの難しさを認識。一方、自らの意志でチャレンジ
し、考える姿勢を身につけた参加者たちは、従来の組織活動においても、上司から高く評価されている。
新事業開発例:
脳の記憶の仕組みを解明する基礎研究に従事していた社員が、業務を通じて病院関係者と様々なコミュニケーショ
ンをとるなかで、多くの医師が医療文書の電子化の必要性や現状の文書管理などに不具合を感じていることを知り、
当時富士ゼロックスがあまり参入していなかった医療市場に対し、ドキュメントの技術を活かせないかと考えて開始した
活動は、現在は、リアル組織として、お客様に「医療診療統合管理システム」を提供されている。
「Virtual Hollywood® Platform」活動の考え方や取り
組みに賛同いただいた企業の皆様と共に学び、情報交
換する場として、2006年にバーチャルハリウッド協議会
が発足。
http://www.fujixerox.co.jp/company/action/vhp/about.html
67
2.内部労働市場における人材のシフト・スキル活用拡大の取組ケース
企業内における労働シフト/スキル活用拡大
Case
需給ギャップを埋める取組(市場変化への対応策)
5
メイテック
変化に対応できる市場価値の創造と技術者の育成
全国で32拠点、それ以外に大規模な研修センターを4箇所持っており、エンジニアの分野は、機械、電気・電子、マイ
コンシステム、IT、科学の5分野に特化している。取引先は常時700社、延べで4,000社、社員数は7,000名(グループ
のエンジニア数)。
全国に16箇所ある小規模な研修施設で、ほぼ毎週末に研修を実施している。本来は自分の専門領域に関して技術
を伸ばすということを前提でやっているが、キャリアチェンジについても視野に入れている。機械系のエンジニアが電気、
マイコンソフトウェア系のエンジニアが電気等にキャリアチェンジすることは多くはないが、必要に迫られてせざるを得な
い場合もある。
派遣エンジニアでは、家電メーカーに派遣された人材が、次は全く違う航空関係の仕事をするといったこともある。メ
イテックは日本の製造業全てを取引先としており、仕事のバリエーションは多くあるため、一概に自分は車だけをやって
いくといった観点でキャリアデザインを考えていない。
一人ひとりの派遣エンジニアに対してキャリアカウンセリングを行い、
その中で本人の希望と、今マッチングできる求人、これから本人が伸
ばしたいと考える技術に合わせた派遣先などを勘案し、それぞれのエ
ンジニアのキャリアをデザインしている。
メイテックの根本的な思想の1つに、「市場価値」という考えがある。
ただ技術力が高くても、お客様に受け入れられなければ全く意味が無
い。個々の技術力を高めることは当然必要だが、それがお客様の必
要とする技術であることが大前提である。それを市場価値と言ってい
る。
http://www.meitec.co.jp/reason/career/tool.html
68
2.内部労働市場における人材のシフト・スキル活用拡大の取組ケース
企業内における労働シフト/スキル活用拡大
Case
ファブクロス
6
メイテック
変化に対応できる市場価値の創造と技術者の育成
ファブクロスは、メディアで広告販売をしてマネタイズするというような施策ではなく、メイテックのエンジニアを大事に
するという姿勢をプロモーションするためのメディアとして運営している。よって記事広告などは扱っておらず、あくまで
もエンジニアにとって有意義な情報、今であれば3Dプリンティングやファブラボ等を深く紹介している。
エンジニアはコミュニケーションできるプロトコルやもの自体が圧倒的に他の職種と比べて少ないので、共通言語とし
て出せる材料が減ってしまう。そこでファブクロスは、業務に直接差し障りのない部分、最新のテクノロジー、個人のも
のづくりというところの情報からエンジニア同士をつなげていく狙いのもとで運営をしている。
最終的にはこれがメイテックの認知度が上がっていくことにつながって、新卒や中途の採用などにある程度寄与でき
るようなブランディングの価値貢献につながればいいと考えているが、現状ではあまりメイテックという名前は出してい
ない。
69
2.内部労働市場における人材のシフト・スキル活用拡大の取組ケース
企業内における労働シフト/スキル活用拡大
Case
フリーの技術者を生かすためには、仕事、教育、社会保障が必要
7
クラウドワークス
変化に対応できる市場価値の創造と技術者の育成
必要なものは、「仕事」「教育」「社会保障」の3軸と考えている。ワーカーの評価ランキング上位20人は企業から仕事のオ
ファーが来ており、仕事を選べる状況にある。今までは企業が強かったが、需給バランスが逆転し評価が可視化されたので、安
定して働けるようになってきた。このような形で、安定して仕事を提供できるような仕組みづくりについて模索している最中である。
一例として時給システムで、エンジニアが複数社と契約し時給で働いた分だけ稼ぐという仕組みがある。勤務の間、1時間に6
回、画面のキャプチャを撮影して保存する。これにより、非対面だが時給で働いていることを証明する。ただし雇用にならないよ
う、指揮、命令、監督下には置けないので、リアルタイムでは見られない。エンジニアは複数社と契約しており、各会社から依頼
された分だけをやる。業務契約は時給契約だけ結んでおけば働かなければ無給なので契約を維持できる。
社会保険について、(株)ベネフィット・ワンという福利厚生代行サービスを行っている会社と契約して、在宅の主婦やフリーラ
ンスでも月々3千円以上3か月連続稼いだ人が無料で使えるようにしている。
エンジニアの教育について実験的に進めていることは、マトリックス・クラスタリングである。ワーカーのデータから似たような
仕事をする人をグループ化することより、同じような仕事で収入がなぜ違うのか分析でき、収入が多い人はこんな勉強している
という情報を、収入の少ない人にフィードバック出来る。これを教育インフラとして作り出せないかと考えている。
スキル制度では、スキルの可視化が出来るよう、外部の太鼓判のようなものを作りたいと考えている。マイクロソフトとの取り
組みで言えば、Windows 8、Windows Azureサーバーのそれぞれのアプリについてセミナーを開催すると共に、認定制度をつ
くってバッチの発行を行っている。
70
2.内部労働市場における人材のシフト・スキル活用拡大の取組ケース
企業内における労働シフト/スキル活用拡大
Case
竹輪プロジェクト 全国に社会人のための学びの場(ラボ)を開設
8
パソナテック
変化に対応できる市場価値の創造と技術者の育成
メーカー系やITサービスの会社には、30-40代が多く、バブル期入社の人は40歳を超えてしまって辞めるに辞められ
ない。また、メーカー系IT人材は、発注側にまわってしまってプログラムを作らないので、移動可能なスキルが蓄積され
ない。
ソフトウェアエンジニアの人達が地方でもプログラミングスキルを活かして働ける環境づくりをしたいと始まったのが
2009年。当時は、リーマンショックで仕事が一旦なくなり、世の中にいわゆるオープン系のソフトウェア系エンジニアが
大量に搬出された時期であった。
全国8箇所にラボを設置して、社会人(エンジニア)のための学びの場を創設。ラボという名前にした理由は、学ぶ場
所であること、また、ここでずっと留まってもらうのではなく、私たちのラボを通じて、その次のステージに行ってもらうと
いうことからであった。
岐阜県と連携して、2009年のAndroid&iPhone.Campから開始し、
技術者の市場価値を高めるため、リーダーシップ育成やマーケティング、
アントレプレナー育成を実施している。
ここでの学びや出会いを通じて、起業する人がいてもよいし、ハード
ウェアの会社と知り合って就職してもよい。実際、ネットショップをやりた
いという、ITの利用ユーザーであるものづくり系企業、サービス業、食品
加工などへIT担当として就職した人も多かった。
パソナテック提供資料
71
3.外部労働市場における人材のシフト・スキル活用拡大の取組ケース
企業を超えた労働シフト/スキル活用拡大
Case
技術者のキャリアを考えるための情報提供
9
テクノブレーン
キャリアラボラトリー
キャリアラボラトリー自体は、ここから転職云々というより自分のキャリアを考えてもらう、もしくは第三者的な視点から
情報収集してもらうというところを目的としている活動である。転職するとことが前提になってから情報を集めると、現職
に対してネガティブな状況の中で、自社と比べて…というような思考になってしまいがちである。そのような転職ありきの
思考ではなく、現職である程度充実しているうちに、他の技術者や企業はどのような動向なのか、どのような技術を
持っておくと他に使えるのかなどといった部分に目を向けてもらって転職を支援すると、次のステップにおいても非常に
活躍出来るケースが多い。潜在的な意識のある人に対して情報提供していきたいという趣旨でやっている。当社から情
報配信し、自身が情報を転職も含めて感度があがった時に我々と接点を持てるような仕組みをつくりたいと考えている。
登録会員をベースにすると1万人程度の人に情報提供をしているが、お
そらく8~9割が技術者でIT系が多い。理由としては、キャリアラボラトリー
の中で、IT系は情報配信のためのコンテンツを作りやすいからである。
情報配信の内容としては転職や労働市場に関する話題より、最新の情
報技術などの方が多い。ただし、出口や手段の一つとして転職は当然あ
ると思っているので、キャリアラボラトリーは、そのような場合の相談窓口
でもある。あくまで中立を保った上で出口の用意もできればよいが、まず
は全体として基本的なコミュニティになってくれれば理想的である。
今のところ情報提供は一方通行がほとんどだが、今後は他の機関とタ
イアップし、より充実した活動双方向性のある仕組みが出来ればと思って
いる。企業が何か自社のブランディングをしたい時に、キャリアラボラト
http://careerlaboratory.jp/
リーにメッセージを出せばそれに対する反響が来るという仕組みも考えて
いる。
72
3.外部労働市場における人材のシフト・スキル活用拡大の取組ケース
企業を超えた労働シフト/スキル活用拡大
Case
大阪市グローバルイノベーション創出支援事業
10
大阪市企画調整局企画振興部
ものアプリハッカソン
イノベーションを起こすといったときに、そもそも起業家を生み出すようなシリコンバレーのエコシステムが大阪にはな
いので、グローバルイノベーションの事業の中で考えた。国際展開・人材発掘事業として「国際プロモーション」と「人材
交流やワークショップによる起業家マインドの醸成」、イノベーション支援事業として「ニーズ顕在化プログラム」、「プロ
ジェクト創出プログラム(IT系製品開発イベント『ハッカソン』)」を立ち上げた。
大阪は家電も含めて色々なものづくりがこれまであったが苦戦している。それに対して一矢報いる方法は何かないか
という話の中でアイデアとして出たのが「グローバルイノベーション創出支援事業」の中でも位置づけられている「プロジ
ェクト創出プログラム(ハッカソン)」であった。
ハッカソンの参加者は個人の意思で参加するが、企業で積極的に社員、技術者を参加させたいという動きもある。も
のづくりにおいて企業には限界の部分があり、それに対して荒々しい方法かもしれないが、ものづくりハッカソンがあっ
て、何らかの可能性を見出して一緒に何かできないかと考える企業はあるようだ。
チーム編成は、ハード技術者だけではなく、ハード、ソフト、デザイン、ビジネ
スプラニングとか枠を分けてそれぞれの人材を同じ割合で構成する。ハッカソ
ンの狙いが本当に社会を変えるとか新しい価値観をつくるということなので、
それが社会にどう影響を与えるか、生活をどう変えるか本当に考えている人
を入れていくということを重視した。
第2回ものアプリハッカソ
73
3.外部労働市場における人材のシフト・スキル活用拡大の取組ケース
企業を超えた労働シフト/スキル活用拡大
Case
11
スマートフォンアプリ開発人材育成事業
岐阜県情報産業課
スマートフォンアプリ開発人材育成
岐阜県情報産業課では、主な人材育成施策として平成22年からスマートフォンアプリ開発人材育成を行っている。特
に23年度、24年度は100人育成しようという100人構想を掲げ、2年続けて100人以上の人材育成をしている。平成23
年度は、全体のうち76.5%の78名が就業又は起業したが、これは緊急雇用創出事業の中でも非常に高い割合と言
える。また78名のうち約6割にあたる46名が岐阜県内に就業(又は起業)し、ソフトピアジャパン地区にも17名が残っ
た。
実際に100人雇用した中で、パソナテックの研修生がAIキャンプやアイフォンキャンプのOJT中に自治体名義で出す
岐阜県版のスマートフォンアプリを作成した。防災関係の「そなえもん」や観光関係の「ミナモナビ」だが、「まんなかカメ
ラ」というアプリケーションは滋賀県、三重県、福井県、岐阜県の4県共同で開発している。県版のスマートフォンアプリ
をやっているのは今のところ岐阜県のみであると思う。
人材育成の拠点「モバイルコア」で、開発者たちが集まり情報交換を行う「モバイルカフェ」という講習を月2回実施し、
アプリ開発の基礎から応用編まで最新の情報交換の場としている。
http://www.pref.gifu.lg.jp/soshiki/shoko-rodo/joho-sangyo/gifu_smartphon_project.html
74
3.外部労働市場における人材のシフト・スキル活用拡大の取組ケース
企業を超えた労働シフト/スキル活用拡大
Case
f.Labo(IAMASイノベーション工房)
12
IAMAS(情報科学下術大学院大学)
f.Labo(IAMASイノベーション工房)
f.Laboでは、岐阜県周辺の製造業に従事している人たちの経済活動を発展させるためのイノベーションやろうと思っ
ている。フォーラムの実施、メーカーフェア東京での展開図武道会(f.Laboとオライリー・ジャパンと共催)の開催などの
ほか、商品開発支援事業として主にデザイナーとマッチングし、町工場のようなところから売れる商品を作っていくため
のコーディネーションも行っている。
言われたものを制作するだけではなく、自分で発想して作っていくというハードルを越えるための工夫として、跳び箱
の踏み切り板のような役割を目指している。カルチャーセンターとの違いは、デジタルツールを使った色々な制作のプ
ロセスが全て入っているところである。近くの若い設計士は、提案力を上げるためにf.Laboを利用し、オリジナルの家具
模型や依頼者にあった提案を行っている。また、オーダーメイドよりも安く、家や店舗、空間に合った家具も製作可能で
あり、空間をトータルで提案できることが強みになる。
Make-a-thon
皆で作ることを楽しむだけでなく、そこから製品を出すことを目的としたプロジェクト。各分野のプロフェッショナルを
チームに分け、アイディアを出しながら作業を進め、一つの作品を作っていく。
参加者の分野は多岐にわたるが、Make-a-thonを機に異なる分野の人たち
と出会うことが出来るだけでなく、 「そんなに短時間でできるのか」など他分野
に関する驚きが生まれ、相乗効果が起きていく。また、現在ではかなり分業化
されてしまっているため一部分しか出来ない、昔からやっているため全体は分
かるが最近の作り方が分からないという参加者も、このような試みに参加する
ことで、こういうやり方を社内で取り組んだらどうだろうかとか、社外からの人も
受け入れてやるのはどうなのだろうということを考えるきっかけとなる。
http://f-labo.tumblr.com/
75
3.外部労働市場における人材のシフト・スキル活用拡大の取組ケース
企業を超えた労働シフト/スキル活用拡大
Case
ファブラボに対する企業・国の期待
13
ファブラボ北加賀屋
ファブラボへの期待
ファブラボに来る人の中には、インハウスのエンジニア、大手電機系企業などの20代若手エンジニアも結構いる。皆
モチベーションの高い人たちばかりで、社会的な課題解決というよりは、個々人の表現として例えば電化技術のチーム
を作ったり、サークルみたいなものを作ったりしている。
企業としても、社内だけではアイディアを出し切れないというのは当たり前のように分かってきている一方、では誰と
組めばコンスタントに出来るのかというと相手が見つからない。また、ファブラボで、技術者の個人的な創作意欲を満た
す以外に、非常にスピーディにプロトタイプに近いものが出来る力があるいうことをアピールしていく必要がある。
ファブラボ国際会議で気付いたことの1つにMITがやっているSTEM(The Science, Technology, Engineering, and
Mathematics)のプログラムで理系離れを止めるものがある。ワシントンDCやボストンにいる人達もステム中心にやっ
ているものだが、非常にすごく分かりやすいモデルだと思う。
反対に、ヨーロッパの人達が中心にやっているのは理系離れではなくて社
会づくりだそうだ。その代表例がファブラボバルセロナである。都市計画として
若者の雇用率が50%に到達したという場所で、新しい何かを作り出すために
市の中で低予算で即効性のあるものをということで、ファブラボのような施設
を数箇所建設するという。
http://f-labo.tumblr.com/
76
独自の施策で技術系人材のやる気を引き出す企業の取組
会社名
味の素
制度名など
概要
ACP制度
研究者などが自らチャレンジしたいテーマを掲げ、「ACP(Ajinomoto Certified
Professional)」に認定されると、1~3年間、そのテーマに集中的に取組むことが
認められる。期間中は報酬が15%アップし、人事考課は行わない。一般職の場
「2.内部労働市場における人材のシフ
合、裁量労働制を適用。修了後は、通常の働き方・従前の処遇に戻る。
その他
技術分野・機能別に「育成会」を設置、事業部横断で長期的に人材の育成・確
ろに入れるか確認する!
保を図る。また、研究所などで研究者に提案の機会を与えるほか、研究成果発
表の“場”も設ける。表彰制度や職務発明に関する報奨制度も整備。
日本バルカー工業
フロンティア・チャレンジ制度
新事業創出につながるアイデアを持つ社員に対し、そのアイデアを実現するた
めの自由研究活動を認める。勤務時間中に取り組む時間を与え、活動費用も支
援。成果を人事考課に反映させ、制度の利用を促す。
PFU
Rising-V活動
社員の企画提案に対して会社が資金を出し、試作品の作成を支援する制度。個
人のアイデアの実現を、費用面や活動推進の面で会社がバックアップする。製
作費用は500万円まで会社が負担。やりたいテーマに挑戦させることで社員の
モチベーションを高め、新たな発想や事業創造につなげる。
サイバーエージェント
アプリコンテスト
スマートフォンアプリなどを企画して提案する任意参加のコンテスト。実際に動く
モックを作って応募する。
新規開発会議
社長と技術担当執行役員が毎回6人の技術者を指名し、1カ月後に、社長らの
前で新規サービス案などをプレゼンさせる。
ブレストランチ
技術者を5~6人ずつのチームに分け、ピザなどを食べながらざっくばらんにアイ
デアを出し合うイベント。
生活者を知る機会の提供
消費者を集めて商品への意見を聞く「座談会」、社名を伏せて消費者宅を見学
する「家庭訪問調査」により、生活者の生の声や生活に触れる機会を頻繁に設
ける。
エステー
出所:労務行政研究所編集部「労政時報 第3814号/12. 1.27」
ト・スキル活用拡大の取組ケース」のとこ
77
第7章.技術人材の移動とスキル活用拡大
に関する課題と今後求められる施策
78
1.技術人材の移動とスキル活用拡大に関する課題
1-1. 人材の移動・スキル活用拡大施策と事業シフト戦略とのリンクが弱い
本調査では、人材の移動とスキル活用拡大に取り組む企業・団体の事例を収集した。アフター5を利用しての交流活動を実施したり、業務時間中
の取組を認める形で組織風土改革活動に取り組むケースもみられたが、あくまでも基盤づくりに注力されており、企業のコア事業等のシフト戦略等
と強く結びついた戦略的な取組にまでは至っていない。
アイディア秘密基地(社員の放課後活動)、品モノラボ(エンジニアのサークル活動的meetup)
Virtual Hollywood® Platform
新規企業創出等を目的として、大胆に社内のイントレプレナー的な素養と能力を持つ人材を100名単位で公募し、新規事業化にまで至った好例も
あるが、僅少である。
ビジネスデザイン&イノベーションラボラトリ
収集できた事例では、どちらかと言うと技術者の能力開発や教育、モチベーション維持・向上施策的な要素の強いものであり、新興国との競争激
化の中で勝ち抜くための人材の移動・スキル活用拡大施策として整備していくためには、①経営企画部署と研究開発部門、人事教育部門が一体
的に取り組むこと、②ノンコア領域の縮小や撤退等から要請される人材の移動・スキル活用拡大策と新たなコア領域等を創造していく人材の移動・
スキル活用拡大策について、諸外国の先進企業のノウハウ整理し、提案・サポートが出来る人材ビジネス企業等のビジネスモデルを構築していく
ことの2点が求められる。
これまで、産業技術政策は、研究開発に対する助成や研究者の大学等の機関と企業の人材の行き来(交流)を推進していく取組を中心に進めて
きた。技術者に対する育成等については、一義的には企業が責任を持って取り組む(投資する)べきことであるが、研究開発助成や人材交流など
の既存のスキームにおいても、企業のコア事業等のシフト戦略等と強く結びついた戦略的な人材施策が打てるような要件を付していくことも、必要
だと思われる。人材ビジネス企業は、マッチング機能や教育機能が差別化要因であったが、今後は顧客の中長期の人材戦略等に踏み込み、提案
が可能となるようなコンサルティング機能も求められていくと思われる。産業技術政策は、イノベーション誘発施策と相まった技術人材施策を整備
していく必要がある。
79
1.技術人材の移動とスキル活用拡大に関する課題
1-2. 技術者がキャリア形成に関して相談や刺激を受ける環境の整備が不十分である
わが国の技術者は、急激な外部環境の変化を受けて、自身の役割や将来の見通しについて不安や懸念を抱く者も少なくない。一部のソフトなど
情報通信等に関する技術者の中には、個人的なネットワークによる勉強会や人材ビジネス等が企画・運営するコミュニティに所属して、最新の技
術動向や参考となるキャリアパス等について学び、気づきを得て、自身のキャリア自律を図っている者も見られている。そもそも、企業内において、
技術者が自身のキャリアについて、一般的な心構えにとどまらず、特定技術の生かし方などについて専門のアドバイザーに相談できる機会も十分
であると言えない。
学卒後16年後以上(すなわち40代以上)の技術者の5割強が「技術者としての今後のキャリア見通しが明るいか」との問いに「そう思わない
」と回答(本アンケート調査結果)。
「技術者としての能力の限界と将来不安を感じている」と回答した比率は、担当者レベル(4割弱)よりも主任・係長レベル(5割弱)で大きい(
電機連合総合研究企画室調査)。
技術者が能力の限界を感じたり、将来に不安を感じる理由としては、組合員・管理職共に「業務に追われ専門性向上が図れない」、「技術
の進歩に能力がついていていけない」と回答した人が多い(電機連合総合研究企画室調査)。
現在技術者、以前技術者であった者のうち、社内外のキャリアカウンセリングを受けたことのある比率は、1%にも満たない(本アンケート調
査結果)。
2011年度、キャリアコンサルティング制度を導入している企業割合は、業種平均で5%に満たない【能力開発基本調査(厚生労働省
)】
転職後も技術職として培ったスキル・知識を活用している者は、専門技術に関する学習だけでなく、リーダーシップやコミュニケーション力等
に関する学習、社外の人材との交流等、あらゆる角度からの自己研鑽に努める傾向にある(本アンケート調査結果)。
転職の際に困ったことを尋ねたところ、「専門分野以外に関する知識・スキルが不足している(32.7%)」との回答が最も多く、「転職先での自
身の能力や経験の活かし方がわからない(31.4%)」、「自己評価、自身の能力や経験の棚卸しができない(30.2%)」が続く(本アンケート調査
結果)。
ハード系の技術者も含め、横の繋がりが比較的薄い技術者は、自身の職場や企業を超えて、自身の市場価値を知るなど、キャリアを考える機会
が少なく、勉強会等への参加も会社や研究所長等の理解等がないと実現が難しいのも事実である。
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1.技術人材の移動とスキル活用拡大に関する課題
1-2. 技術者がキャリア形成に関して相談や刺激を受ける環境の整備が不十分である
ヒアリングによる企業・専門家等の認識
技術者は学会や技術者同士のつながりという、営業やマーケティングとは別の情報ルートがあるはずだが、受注生産だからと学会へ参加をしないな
ど、うまく情報ルートを生かせていない。技術者にも事業ということを教えることで、営業などが得られない情報を得られ、マーケティングメンバ
ーとも議論ができるようになる(大日本印刷:所長)
半導体系技術者、メーカー系の技術者が転職市場に出づらい理由は、労働市場に目を向けておらず、キャリアパス自体がもともと1社で積んでいく
という流れで、企業側も教育しているので情報も入りにくいことにあるのではないか。工場や研究所等、地方が多いということもあるだろうし、転
職を考え始めても、情報が取りづらい。例えばハードウエア系、機械系のエンジニアは会社に属しているという帰属意識が非常に高く、それ以外の
付き合いはなかなかしない。特に地方に分散しているということもあるが、東京にいるIT関連、web関連の技術者は会社名に捉われないコミュニテ
ィのようなものに属しているので、情報が入ってくる。入り過ぎて失敗するケースもあるだろうが、そこは大きな差異があると思う。 (人材ビジネ
ス:スカウト担当)
メーカー系やITサービスの会社は、30代、40代が多く、40代も結構いるが、バブル期入社の人は40歳を超えてしまって辞めるに辞められない。
また、メーカー系ITでは、発注側にまわってしまって意外にプログラムをつくらなくなっている。これまでは、キャリアの見極めみたいなものをど
ちらかというと上司が決めていたので、その上司に決められたレールに乗っていたわけだが、今は上司もいつ変わるかわからない。自分自身の技術
が今、市場の中でどうなのかとか、技術を試していくとか、自分自身が体感していく必要がある。 40代、50代で仕事を失われる人にたくさん会っ
て、彼らに対して次のキャリアを提示、彼らの技術をしっかり理解した上で誘導していきたいというところからラボをスタートさせている。(人材
ビジネス:新規事業担当役員)
当社の特徴として、ベストマッチングシステムというものを持っている。創業から40年、過去から求人情報等のデータを蓄積して、早い段階から
システム化しているのでかなりの情報量がある。さらにこれをエンジニアにオープン化しているので、エンジニアがこの情報を見ることができる。
イメージとしてはエンジニア自身が人材紹介会社に行って色々な仕事を見ることができる一人ひとりの派遣エンジニアに対してキャリアカウンセリ
ングを行い、その中で本人の希望と、今マッチングできる求人、これから本人が伸ばしたいと考える技術に合わせた派遣先、そういったところを勘
案し、それぞれのエンジニアのキャリアをデザインしている。 (特定労働者派遣:幹部)
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1.技術人材の移動とスキル活用拡大に関する課題
1-3. 企業が参考とすべき技術者のシフトやスキル活用拡大に関するノウハウの蓄積が乏しい
企業内・企業グループ内における人材の異動は、従来のローテーション人事に加えて、①不採算部門の縮小等によるドラスティックな人材異動、②新規事業開
発等を狙った社内公募制度の刷新などの動きが見られる。
しかしながら、技術者に対する基本的な人材マネジメント施策は十分に機能しているとは言いがたい。技術職従事者の半数に対しては、勤務先の雇用管理の
一環としてのスキル評価やキャリア展望に関する面談等が十分に行われておらず、自身の能力や経験を客観的に認識することができていない可能性がある。
 勤務先で提供される教育訓練機会(研修)について、量・質ともに「満足」との回答が「不満」との回答を下回っており、勤務先で十分に教育訓練を受けられて
いないとの意識を持つ技術者が半数以上いる。
現在技術職に従事する者に、客観的な基準に基づくスキル評価の有無を尋ねたところ、「定期的に行われている」との回答は3割程度であり、「不定期
だが行われている」を合わせても、スキル評価が行われているという回答は全体の約5割にとどまる(本アンケート調査結果)。
今後のキャリアについて上長と話す機会の有無については、「頻繁にあった」が4.7%、「時々あった」が34.5%であり、「全くなかった」との回答も3割程度み
られる(本アンケート調査結果)。
現在の勤め先で受けられる研修の量については、「とても満足」と「やや満足」を合わせて4割、同じく質については「とても満足」と「やや満足」を合わせ
て35.8%であった(本アンケート調査結果)。
人材のシフトを円滑に行うためには、上記のような人材マネジメント施策以外に、組織風土改革など、日常的に部門間の横のつながりが必要であるが、カンパ
ニー制などの組織改革等により、従来あった横のつながりが希薄化している企業もあり、そのような企業では、アフター5などを利用して、従業員同士の横のつ
ながりを深めていく、ボトムアップの取組について容認しているケースもある。
上記のような取組は、組織風土改革活動や従業員による提案制度の等も含まれることから、通常の人材マネジメント施策のメニューの枠を超えることもあり、十
分に企業内に知見やノウハウが蓄積されているとは言いがたい。
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1.技術人材の移動とスキル活用拡大に関する課題
1-3. 企業が参考とすべき技術者のシフトやスキル活用拡大に関するノウハウの蓄積が乏しい
ヒアリングによる企業・専門家等の認識
キャリアパスの作り方の問題があり、最終的にはマネジメントが出来ないとキャリアが広がらないという感覚が従来の会社にはある。エンジニアと
して一生やっていくキャリアモデルが見えていない。ここを確立することでだいぶ変わってくるような気がする。自分は、マネジャーに向いていな
いが、そこを目指すしかないのかという相談も受けるが、マネジメント以外のエンジニアのキャリアパスを見せていくことが必要である。 (人材ビ
ジネス:スカウト担当)
技術者のスキル活用拡大で、まず実施できるとすれば、業務内で20%ルールを使って自由にやっていいということよりは、業務外のところで何か一つのものを
作るような場所を与える方がうまくいくのかもしれない。結局会社の中だと仕事に追われ、上司の目を気にしてということは絶対ある(人材ビジネス:スカウト
担当) 。
オンタイムとオフタイムは、両方あって然るべきだと思っている。政策的な出口のことを考えると、電気系メーカーを中心としてなかなか他企業と
他流試合をさせなかった企業にとって、いきなり20%ルールとか言っても企業もわからない、技術者自身も私どうしようとなるので、例えば彼ら
の研修とか教育とかのフレーズの中で、こういったハッカソン的、ラボ的なところをうまく活用できるように仕向けていくのが一つオンタイムなら
企業が乗りやすいと思う。 (人材ビジネス:新規事業担当役員)
「Virtual Hollywood® Platform」活動は、会社、仕事、自分自身を変えたい成長させたいという「思い」や「実行力」のある社員が、自らディレ
クターとなり、お客様そして社会への価値創造を目指して、テーマを設定。そのテーマを基に、シナリオを作成しながら、社内外から広く参加メン
バーを募り、共通の目的をもった仲間たちとテーマの具現化に向けてコミュニティ活動を実践。(職場風土改革チーム長)
ファブクロスは、メディアで広告販売をしてマネタイズするというような施策ではなく、当社のエンジニアを大事にするという姿勢をプロモーショ
ンするためのメディアとして運営している。よってあくまでも広く、エンジニアにとって有意義な情報、今であれば3Dプリンターやファブラボ等
を深く紹介している。 (特定労働者派遣:幹部)
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1.技術人材の移動とスキル活用拡大に関する課題
1-4. 技術者の視野や問題意識が自身の特定分野で閉じてしまい、ビジネス構造を俯瞰できない
技術者の取り巻く環境の変化の1つである技術の専門分化やアウトソーシングの進展は、技術者がより深いコア技術分野の研鑽に注力できる一方で、製品開
発の上流から下流、さらにはバリューチェーンの全体像について俯瞰する機会を失わせている可能性が高い。
技術者の61.5%が、「ビジネスサイクルの短期化、技術の陳腐化が加速していると思う」との意識を持っている。また、57.1%が「技術の高度化、専門化
が進展していると思う」との意識を持っている(本アンケート調査結果)。
アンケートの自由記述では、ビジネスサイクルの短期化、技術の陳腐化に関しては、「プロジェクトのキックオフから実施までの期間が10年前の半分くら
いの期間になってきた」、「利益を第一に優先し、無駄な作業や経費の削減が徹底されるため、技術・知識などを身につけるための時間や経費を会社が
与えてくれない」、技術の高度化、専門化については、「以前は一人ですべての技術領域を把握できたが、今は使用する部品ごとに高度な知識を要求さ
れ、狭い領域ごとに担当者がつかなければ仕事が回らなくなっている」、「悪い意味で専門化が進むため縦割りになり、全体のことが分かる者が減って
いる」との指摘が見られた(本アンケート調査結果)。
一部の企業においては、自社の開発技術を示して、外部の技術者等とのハッカソンを実施したり、自治体等が企画するオープンイノベーション事業の場をうまく
活用している。
研究開発における外部との連携については、収益面の良好な企業の方が積極的な姿勢を見せている。また、どの企業においても、役職が上がるほど
より積極的な考えを持っている【経済産業省平成22年度産業技術調査「我が国企業の研究開発投資効率に係るオープン・イノベーションの定量的評価
等に関する調査」】 。
「社外の技術者、デザイナー、事業プランナー等との交流」に取り組んでいるのは、わずか7.5%に過ぎない(本アンケート調査結果) 。
特に、ハード系の技術者は、ハッカソンやファブラボ等のプラットフォームに参画することが少ないことから、自身の技術を活用し、どのようなビジネスに展開可
能なのか等、気づきを得る機会が乏しい。
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1.技術人材の移動とスキル活用拡大に関する課題
1-4. 技術者の視野や問題意識が自身の特定分野で閉じてしまい、ビジネス構造を俯瞰できない
ヒアリングによる企業・専門家等の認識
ファブラボやハッカソンにおいて、他流試合をすると色々求められるので、自分の専門業務が非常に自信につながると思う。同じ分野の人ばかりい
たら足りない部分が気になるが、全然違う視点を持っている人達と一緒にモノをつくり、頼られるということはモチベーションの向上につながる。
自身の市場価値を知ることにも繋がる(ファブラボ主宰)
f.Laboでは、岐阜県周辺の製造業に従事している人たちの経済活動を発展させるためのイノベーションを目指している。3Dプリンターなどが置かれており、商
品開発の支援やフォーラムなどを行っている。また、失敗してはいけない企業とは違い、ここでは失敗してもよい場所としての位置付けである。 (大学教授)
3Dプリンター含め、アメリカが復活しつつある。アジアはどう戦っていくのか。日本人は技術者としては優秀ではあるが、それを発信したり、横
(外)を見ながら組み立てを考えたりすることが苦手である。一方、韓国、台湾などの小さい国は、外を見ないと生きて行けないため、外を見るこ
とが癖となっており、アメリカに人材を送り、戻ってきた人材を活用している。日本は、大学をどうするかが大きい。企業の協力も必要である。 (
大日本印刷:所長)
大阪は家電も含めて色々なものづくりがこれまであったが苦戦している。それに対して一矢報いる方法は何かないかという話の中でアイデアとして
出たのが「グローバルイノベーション創出支援事業」の中でも位置づけられている「プロジェクト創出プログラム(ハッカソン)」であった。 チ
ーム編成は、ハード技術者だけではなく、ハード、ソフト、デザイン、ビジネスプラニングとか枠を分けてそれぞれを同じ割合で構成する。前回実
施した際は4種類で、ハード、ソフト、デザイナー(ウエブデザイナー)、ビジネスプランナーであった。ハッカソンの狙いが本当に社会を変える
とか新しい価値観をつくるということなので、それが社会にどう影響を与えるか、生活をどう変えるか本当に考えている人を入れていくということ
を重視している。 (大阪市)
エンジニアには、20代、30代のうちから外部交流を持ってほしい。40、50歳になってから、ずっとメーカーで仕事をしてきて気がついたら人脈
もなく、転職する際になり、自分のキャリアの棚卸、職歴も書けない。人事もなんとなく、エンジニアだと難しいから分からないということになっ
ているようだ。(人材ビジネス:新規事業担当役員) 。
最近デザイナーやエンジニアリング系も自分でものをつくりたいから20代、30代で独立する人がいるが、ITはスタートアップやVC、スタートア
ップウイークエンド、アイデアソン、ハッカソンとかがあるが、エンジニアリング系の人にはそういうものがない。ハードウェア、ものづくりの人
と、ITエンジニアのアイデアソン、ハッカソン、メイカソンをやろうと思っている。双方の融合が必要だと思う(人材ビジネス:新規事業担当役員
)。
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2.課題解決のための施策モデル案
2-1. 技術者向けキャリア自律に関する相談・マインドセット改革に関するモデルの開発・普及
(概要)
社内における技術者(エンジニア)に対するキャリア形成に関する相談・マインドセット改革モデルについて、外部労働市場について明るい人材ビジネス事業者
やコーチングの専門家等と連携して、相談モデルを開発し、その成果を普及させる。
(対象)
新規事業への参入や部門の縮小等を実施する企業
技術者の交流や情報交換等の場を提供する人材ビジネス事業者等、工場等の立地が多い地方自治体等
(想定される効果)
技術者のキャリアに関する相談体制等が整備されていない中小・中堅企業等が自社にあったモデルを参考として、社内体制の充実を図ることが可能となる。
施策モデルイメージ
企業等
応募・モデル
開発の場の提
供、協力
業界団体等の同じ
分野の企業コン
ソーシアムや大企
業グループパター
ン、社内ベンチャー
など多様なパターン
(モデル)を用意
モデルの開発・実践
の支援
相談・マインドセット改革
に関するモデル開発
人材ビジネス
専門家グループ
セミナー等による全国への普及
86
2.課題解決のための施策モデル案
2-2. エンジニアのスキル活用拡大に取り組む企業の認定・表彰
(概要)
社内における技術者のスキル活用拡大について、業務・業務外と問わず、特徴的な取組を実施している企業を認定し、表彰する。また、企業を超えて、社会的
に技術者のスキル活用拡大に取り組む自治体や機関等を推進サポーターとして表彰する。
(対象)
組織風土改革活動等に積極的な企業、従業員の提案制度などボトムアップの取組に積極的な企業
ファブラボやハッカソン等の事業を実施している自治体やNPO、諸団体
(想定される効果)
認定・表彰されることにより、当該企業の外部労働市場による価値が向上する。表彰事例をグッドプラクティスとしてまとめ、企業の参考モデルとする。
施策モデルイメージ
企業等
応募・自社の
取組に関する
説明
組織風土改革活動、
アフター5の活動、
社内ベンチャー制
度、ファブラボ活動
などの多様な取組
を認定・表彰
人材育成企業の認
定・表彰
エンジニアのスキル活用
拡大に取り組む企業の
認定・表彰
審査
有識者による
審査委員会
英国では、能力開発優良企業の認証制度(Iip:
Investors in People)を導入・実施
事業主と従業員双方が、能力開発の目的及
び重要性を理解し、訓練成果が基準に達したと
判断されるとIip認証を取得できる制度
セミナー・事例集等による全国への普及
87
2.課題解決のための施策モデル案
2-2. エンジニアのスキル活用拡大に取り組む企業の認定・表彰
参考:英国(IIP制度:Investors in People)
(概要)
1991年以降のいわゆる「英国病」といわれる、国民の勤労意欲低下等に対応するため、生産性向上を目的として人材育成に注力している企業を政府が認定す
ることからスタート。
ブリテッシュ・テレコムのような大企業等を人材育成企業と認定し、IIP制度自体の認知度を向上。本認定を受けると人材の採用がし易くなると、中堅・中小企業
にも広まっていった。
IIPには、計画・プランニング、実践、振り返りの3つのフレームワークあり、それぞれに認定を受けるための基本要件がある。
IIP制度は、人材育成制度が不十分な会社に、認定されたいというモチベーションを与え、コンサルタントを受け入れることで人材育成企業に生まれ変わらせると
いうプロセスがある。
3年に1度、再認定のプロセスがある。
IIP制度のフレームワーク
出所:Investors in People ホームページ
http://www.investorsinpeople.co.uk/
高橋俊介「ホワイト企業~サービス業化する日本の人材育成戦略」PHP新書より抜粋
88
2.課題解決のための施策モデル案
2-3. 企業間交流プラットフォーム整備プロジェクト
(概要)
製品開発の上流から下流(ソフトウェア・ハードウェアエンジニア、デザイナー、プランナー、投資家)までの人材が集め、ビジネスモデル創造、製品プロトタイピ
ング、市場テストの実践を通じて、ビジネス・技術を包括した横断的な視野を身につけさせ、企業内でのイノベーション創出、起業、自身の技術を生かせる企業
への転職・再就職を促進させる。
(対象)
技術人材を擁する大企業で、新たなイノベーション誘発に外部連携により取組む企業、大企業等との連携を志向するベンチャー企業、フリーの技術者
(想定される効果)
企業内でのイノベーション創出、起業、自身の技術を生かせる企業への転職・再就職を促進
施策モデルイメージ
技術系人材派遣会社
ソフトウェアエンジニ
ア、ハードウェアエン
ジニア、デザイナー、
経営事業企画者が
グループで参加
新たなイノベーション誘
発に外部連携により取
組む大企業
運営
ファシリテータ人材の
提供、カリキュラム作
成、ファシリテータ育
成
大学等の教授
NPO等のファシリテー
ター
・既存のFab Labやinnovation Hub等を
活用
研究開発型の中小企業
やベンチャー企業
個人事業主
フリーランサー
(クラウドソーシング)
・プロトタイピングと市場化テストによるビジネスモ
デル創出
ソフトウェアエンジニ ・多様な企業や個人のエンジニア等の参画
ア、ハードウェアエン によるopen innovationの実践
ジニア、1ユーザーと
して参加
地方自治体
研究機関等による
事業進捗管理・評価
全国主要都市での展開
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8.課題解決のための施策モデル案
8-3. 企業間交流プラットフォーム整備プロジェクト
企業間交流プラットフォーム整備プロジェクトの活用イメージとしては、「スタートアップ」、「他流試合」、「マーケティング」、「商品開発・事業開発」、「流動化」、「
CSR」を目的としたものが考えられる。
企業間交流プラットフォーム整備プロジェクトの活用イメージ
目的
主なプレイヤー
概要
スタートアップ
創業予備軍(在職者、離職者)
事業会社、個人投資家、メンター
コンテスト方式のハッカソン
優秀者には、スタートアップ支援あり
他流試合
ミドル以降の在職者(技術者)
デザイナー、事業プランナー
研究開発部門長、人事部長
教育・研修が基本のプラットフォーム
キャリアカウンセラー、コーチャー等とのの
リフレクションの機会
マーケティング
大企業等の販売部門、研究開発部門
ヘビーユーザー
消費者等との交流
インフルエンサーへの訴求機会
研究開発の探索活動の場
商品開発・事業開発
ベンチャー・研究開発型中小企業
フリーランサー技術者
外部連携に積極的な大企業
コンセプトの早期のプロトタイプ化
大企業と個人技術者とのマッチング
流動化
転職希望者、再就職希望者
求人企業
協働プロジェクト型の人材マッチング
CSR
地域住民
企業
社会貢献活動の一環
地域課題等の技術者によるアイディア出し
90
参考資料(別添)
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