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Case12-2013 肺炎・呼吸不全をきたした 18 歳女性 →単純ヘルペス
Case12-2013 肺炎・呼吸不全をきたした 18 歳女性 プロブレムリスト 両側重症肺炎 本例の Key words 市中肺炎 ①喫煙している若年女性 胸部画像の著しい異常 ②マダニ咬傷 気管支鏡はきれい →ライム病、リケッチア、エーリキア症、野兎病 BAL では少数の多形白血球のみで細菌はいない ③カビ臭い寝室 広域抗生剤で改善なし →真菌性肺炎 肺炎に伴う症状 ④ネコ 重篤な咽頭炎 →レプトスピラ、トキソプラズマ、パスツレラ症 胸膜痛 肺ペスト 悪心 ⑤外での仕事(庭師) 嘔吐 ⑥マリファナ 下痢 →好酸球性肺炎、壊死性肺肉芽腫、真菌性肺炎 食思不振 ⑦新しいボーイフレンド 白血球増加 →EBV、HSV-1、HSV-2、クラミジア、淋病、 血小板増加 梅毒、HIV 赤沈亢進 エコーで心嚢液貯留 口唇の痂皮 鑑別 ①異型肺炎(レジオネラ・マイコプラズマ) マクロライドとドキシサイクリンが効くはず。本例は尿レジオネラ抗原陰性。 ②ニューモシスチス肺炎 免疫不全者ではない[本例は HIV 抗体陰性]。BAL でカリニ原虫陰性。(急性 HIV で一過性の CD4 低下があれば PCP も鑑別要) ③野兎病菌性肺炎 =“通常の治療に反応しない謎の肺炎” Francisella tularensis 年間 100-200 例。北半球で主にみられる。潜伏期は 3-5 日(期間 1-21 日)。 急性の発熱、悪寒、頭痛、食思不振、倦怠感、咳、筋痛、胸部不快、嘔吐、咽頭痛、腹痛、下痢。 心外膜炎も生じる。咽頭炎は伝染性単核球症と似ている。 多くの肺野に広がる肺浸潤 30-74% 胸水 21-30% 肺門部リンパ節腫大 45% ドキシサイクリン効果あり(本例では 3 日未満で中止→静菌性抗生剤のため再発した可能性はある) ④ウイルス性肺炎 EBV…免疫正常者では肺炎はまれ HSV…免疫正常者ではまれだが、長期に人工呼吸器を使用している患者ではまれではない。口唇の痂皮=ヘルペス? ←Tzanck 細胞 ウイルス性巨細胞( )。単純疱疹、帯状疱疹でみられる。 →単純ヘルペス(HSV-1)肺炎 本例ではアシクロビル大量投与 48 時間後著明に改善。抜管、普通病棟 へ。2 週間アシクロビル投与を継続し、入院 12 日目に転院。その後腎 機能が急激に悪化(アシクロビル関連結晶腎症)したが 4 日で元に戻った。 BAL 広域抗生剤の効かない肺炎はウイルスも考えよう! 作成:大西佐知子