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修 士 論 文 概 要 書

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修 士 論 文 概 要 書
修 士 論 文 概 要 書
2008 年
2 月提出
専攻名(専門
情報・ネットワーク
分野)
研究指導名
研
題
究
目
CD
3606U046 - 2
学籍番号
氏 名
菅谷 研司
情報制御システム
株式 Assistant Director の開発
指
導
教
員
成田
誠之助
印
株式投資の完全自動売買化
1.1 研究背景
1.2研究目的
投資を行うということは不確実な世界の中で意
思決定をしていかなければならない。
不確実とは、何が起きるかさも定義できないよ
うな状況であるが、その中で意思決定を行ってい
くことは人間にとって非常に難しい。人間は投資
における合理的な判断を適切に下すことができな
いと行動経済学の理論で証明されている。
その解決手法としてシステムトレーディングと
呼ばれる自動売買システムというものが有効にな
ると考える。
システムトレーディングは、人間が売買に関す
るルールを設定し自動的にそのルールに基づいて
投資を行うモデルとなっている。
従来の自動売買システムでは、情報収集、銘柄
の選定、資金管理、売買注文の自動化を行う。
人間の主観・感情をなくした売買を行うために、
システム・トレーディングという株式の自動売買
を行うシステムが有効であると考えられるのに、
システムを構築する際には、どのような銘柄を選
定するか、どれくらいの規模の投資を行うかとい
うルールが作成者自身に委ねられている。人間は
合理的な判断を下すのが難しいといわれているの
に、ルールの作成には人間の意思決定が介在する
ことになる。
本研究では、銘柄ルールの作成、資金管理ルー
ルを自動化することで、人間の考えを介在させな
い完全株式自動売買システムを作り、その有効性
を検証することが目的である。
株式投資の自動化を4つに分ける。株式投資の自
動化には、「情報収集の自動化」「銘柄選択手法の
自動化」「投資資金管理・リスク管理の自動化」
「売買注文の自動化」に分けることができる。
情報収集と売買注文の自動化はすでに、カブロボ
というプラットフォームに実装されている。
「銘柄選択の自動化」
「資金管理・リスク管理の
自動化」を自動化する手法を考え、カブロボプラ
ットフォーム上に実装し、完全自動売買システム
の有効性を検証する。
「資金管理・リスクの自動化」は、投資の損益
を定式化することで最適な投資額はいくらかとい
う理論を構築する。
「銘柄分析の自動化」では、従来からのテクニ
カル分析のみでは足りなかった情報は何かを考え
て、新しいテクニカル分析手法の提案を行ってい
る。
2、従来のファイナンス理論と実務の差
リスクの管理は、従来からのファイナンス理論
では重点的に研究されてきている。しかし、従来
のリスクの管理モデルの作成の前提条件として株
価の日次収益率が正規分布に従うと仮定してい
る。実験で、この前提条件が間違っていることを
しめす。
900
800
日経平均
標準正規分布
700
600
Freaquency
500
400
300
200
100
0
-100
-8 -7 -6 -5 -4 -3 -2 -1 0
1
2
3
4
5
standard deviation
日経平均の日次リターンの分布(1998/1/4∼2008/12/28)
6
7
8
3,従来のテクニカル分析の有効実験
テクニカル分析は、市場の非効率になっている部
分を発見し値上がりしやすい銘柄を発見するため
の分析手法である。
分析手法は経験則による指標のパラメータ決定が
多く、科学的に決められているものは少ない。
テクニカル分析の有効性を検証するために、テス
トケースとなるデータを2つ用意し、2つのデー
タに対して定常的に働くかを考察する。
実験結果からは、従来のテクニカル分析はデータ
によって銘柄発見の精度が著しく低下することが
わかった。
4,資金・リスク管理の自動化
2,でも述べたように、従来からの資金・リスクのモ
デルでは実務に使用するだけのシステムとしての
性能を満たせないと考えた。そのため、投資行動
をギャンブルの延長線上に考えて、ギャンブルの
世界で有効性が実証されている、ケリー基準とい
うものの適用を行う。
このような問題が起きないように、テクニカル分
析にいまの状況を示す情報を追加することでテク
ニカル分析の精度を上げることを試みる。
6,
株式 AssistantDirecter の実装
以上の結果をすべてまとめて、株式売買ロボット
プラットフォーム上のカブロボに実装を行った。
用意したテストケースでは年率30%を記録する
結果を得ることができた。
6,
考察と今後の展望
本研究では完全株式自動売買システムの有効性を
示すことが目的であったが本研究では、用意され
たテストデータではその有効性が実験できた。
5,銘柄分析手法の自動化
3,で述べたように従来からのテクニカル分析のみ
では安定な分析結果を得られないことがわかっ
た。3,の結果を詳細に分析するとある特定の状況で
分析が失敗するような状況が多くあるということ
がわかった。
株式市場は複雑に変化しやすい場所であるために
用意するデータをもっと複数用意することでシス
テムの信頼性を増すことが重要である。
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