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Vol.003 航空機エンジン用先端耐熱合金の信頼性と加工
たましん産学ビジネスチャンスレポート たましんでは、多摩地域の大学・高専と連携協定を締結し、職員を産学連携コーディネーターとし て派遣しています。大学の研究成果を地域企業に紹介、お客さまの技術課題に関する相談、共同 研究等を効果的にマッチングできるネットワークの構築により、お客さまの課題解決を支援します。 Vol 03 航空機エンジン用先端耐熱合金の信頼性と加工 【キーワード】航空機エンジン・ガスタービン、耐熱合金、耐熱鋼、機械加工 どのような研究をしていますか。 PROFILE 筧 幸次 准教授 Koji KAKEHI 首都大学東京 都市教養学部 理工学系 機械工学コース 名古屋大学大学院博士課程前期修 了、博士(工学)、英国のケンブリッジ 大学ロールスロイス研究所客員研究 員、首都大学東京都市教養学部助教 などを経て2007年から現職。 航空機エンジン用の耐熱合金の研究をしています。航空機用のジェットエンジン は、常に安定的な稼動を目指す発電用ガスタービンとは異なり、離発着に伴う不 規則な高い温度や圧力などの負荷がかかるので、金属部品は変形したり、損傷 したりと様々な問題が起きます。 重大な飛行機事故を防ぐためにも、徹底した研究により上術述のような環境下 にて変形、損傷しない新たな合金の開発や損傷メカニズムの解明などを行ってい ます。特に航空機エンジンのタービンブレードやタービンディスクは高温高圧にさ らされる上、高い信頼性が必要とされるため、非常に高度な技術を要する研究分 野です。 具体的に、どのように研究を進めているのですか。 当研究室には1000℃レベルの強度試験設備があります。光学顕微鏡による金 属組織解析をはじめとして、試料に対して電子ビームを照射して、透過してきた 電子を結像して観察する「透過型電子顕微鏡」を用いての原子レベルの組織観 察や、材料において一つ一つの結晶粒の解析を行うことができる「電子後方散乱 回析像法」による金属組織解析を行っています。上記のような方法を用いて、航 空機用ジェットエンジンに特化した合金研究を行っています。 今後、どのように展開していくのですか。 国内耐熱合金メーカーとは現在協力関係にあります。航空機製造に関しては、海外企 業のライセンス生産が主体であり、日本独自の技術を製品に反映させることが難しい状 況です。それだけに本研究は海外の研究機関や企業との連携も重視しています。大学と して、この分野の研究を維持しながら、かつ最新の研究を継続していく役割を担っていき たいです。具体的には現在、熱間等方圧技術を持ち、航空機エンジンパーツのリペア事 業を行っている都内の中小企業へ粉末形成による新しい材料加工技術の共同研究を進 めています。これは航空機以外にも使用できる新技術です。また、オーストラリアや台湾 の国立大学などとも連携し、共同研究や開発を検討しています。 どのような企業との連携を希望されていますか。 航空機や発電用のガスタービンの部品素材として用いられる耐熱鋼・耐熱合金等の 難加工材の製造加工プロセス(塑性加工、溶接、粉末冶金および切削)に関わる企業 様でしたら是非ご連絡をお願いします。また、特性や信頼性の評価、耐熱鋼や耐熱合 金の新たな合金の開発を検討している企業も歓迎します。 取材者: 首都大学東京産学公連携コーディネータ 饗庭 真悟 航空機エンジン部品と して使われる超合金 製タービンブレード