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4-24 横川川
4-24 横川川 (1)水域の概況 横川川は、東から黒沢山(2,126m) 、経ケ岳(2,296m)、坊主岳(1,960m)等を源とし、 北北東に流下、飯沼沢集落付近から東流し、左支川小野川と合流後、南南東流となり、 右支川小横川を合流して辰野市街南西部で諏訪湖から流下する天竜川に流入する一級河 川である。流域面積 136.5 ㎞2、流路延長約 21 ㎞の中小河川で、平均勾配 1/40 の未改 修河川である。 (2)水質の状況 1)水域類型指定状況(図 4-24-1) 横川川における生活環境項目の水域類型指定状況は、全域がAA類型に指定されて いる。 2)水質汚濁の状況(表 4-24-1、図 4-24-2~4) 中央橋におけるBOD75%値を見ると、0.5mg/L 未満~0.9mg/L の範囲であり、AA 類型の環境基準を達成している。 pHは 6.3~8.4 の範囲にあり、 平成 19 年度、20 年度で環境基準を下回っているが、 概ね環境基準を達成している。 DOの平均値は 10~11mg/L の範囲にあり、環境基準を達成している。経年変化を見 ても大きな変動はなく安定している。 SSの平均値は 1~11mg/L の範囲にあり、環境基準を達成していた。 大腸菌群数の平均値は 4,500~20,000MPN/100ml であり、環境基準を超えていた。 3)亜鉛の状況(図 4-24-5) 過去 6 年間の年平均値についてみると、定量下限値未満~0.001mg/L であり、環境 基準(0.03mg/L 以下)を達成していた。 (3)水温の状況(図 4-24-6) 平成 17~22 年度の平均水温は中央橋で 12℃程度であり、平均最高水温は 22℃程度で ある。 - 320 - (4)水域の構造等 1)河床材料(図 4-24-7) 現地確認調査の結果、唐木澤橋より上流は石、礫が主体であり、唐木澤橋から天竜 川合流点の区間は石、礫、砂が主体となっている。 2)流量(表 4-24-2) 平成 22 年度における中央橋の流量は 1.0m3/sec~7.4m3/sec の範囲にあり、平均 流量は 3.3m3/sec であった。 3)主な河川構造物(図 4-24-8) 主な河川構造物は、ダムとして、横川ダムがあり、魚道は設置されていない。 堰として、取水堰が数カ所にあるが、いずれも魚道は設置されていない。 (5)魚介類の生息状況(図 4-24-9、図 4-24-10、表 4-24-3) 1)冷水性の魚介類 (a)基礎情報 横川ダムより上流にヤマトイワナ、天竜川合流点から黒沢谷の範囲にニッコウイ ワナ、アマゴ、天竜川合流点から大洞谷下流にニジマス、天竜川合流点から横川ダ ムにカジカ等の冷水性の魚介類が生息している。 (b)ヒアリング情報 表 4-24-3 に示すとおりである。 2)温水性の魚介類 (a)基礎情報 横川ダムより下流側にコイ、フナ、オイカワ、ドジョウ、ウナギ等が生息してい る。 (b)ヒアリング情報 表 4-24-3 に示すとおりである。 3)その他 アユは横川川の下流域に生息している。 - 321 - - 322 図 4-24-1 水質汚濁に係る環境基準の類型指定状況(横川川) 表 4-24-1 水質の状況(横川川) 測定地点 - 323 - 中央橋 類型 年度 AA H17 H18 H19 H20 H21 H22 最 小 値 最 大 値 BOD(mg/L) 平 75% 均 値 値 基 準 <0.5 0.8 0.5 0.5 <0.5 1.6 0.8 0.9 <0.5 0.6 0.5 <0.5 1以下 <0.5 0.8 0.5 0.5 <0.5 2.5 0.7 0.5 <0.5 <0.5 <0.5 <0.5 “<”は定量下限値未満であることを表す。 最 小 値 pH 最 大 値 6.8 6.6 6.4 6.3 7.1 7.3 7.5 8.1 6.5 8.4 ~ 8.4 8.5 8.3 8.2 基 準 最 小 値 8.8 8.8 8.5 8.6 9.0 8.8 DO(mg/L) 最 平 大 均 値 値 14 12 13 13 12 13 基 準 11 10 11 7.5 10 以上 10 10 最 小 値 <1 <1 <1 <1 <1 <1 SS(mg/L) 最 平 大 均 値 値 86 13 3 2 5 2 基 準 11 3 2 25 1 以下 2 1 最 小 値 大腸菌群数(MPN/100ml) 最 平 基 大 均 準 値 値 230 2,400 930 240 790 230 54,000 93,000 24,000 24,000 49,000 70,000 12,000 20,000 7,100 50 4,500 以下 8,700 8,400 1.0 0.9 BOD75%値(mg/L) 0.8 0.7 中央橋 0.6 0.5 0.4 0.3 0.2 0.1 0.0 H17 H18 H19 H20 H21 H22 図 4-24-2 BOD75%値の経年変化(横川川) 9.0 8.5 中央橋 最大 8.0 中央橋 最小 pH 7.5 7.0 6.5 6.0 5.5 5.0 4.5 H17 H18 H19 H20 H21 図 4-24-3 pHの経年変化(横川川) - 324 - H22 16 14 中央橋 最大 12 DO(mg/L) 中央橋 最小 10 8 6 4 2 0 H17 H18 H19 H20 H21 H22 図 4-24-4 DOの経年変化(横川川) 0.030 中央橋 0.025 全亜鉛(mg/L) 0.020 0.015 0.010 0.005 0.000 H17 H18 H19 H20 H21 H22 図 4-24-5 全亜鉛の経年変化(横川川) 注:平成 17 年~平成 19 年度の定量下限値は 0.01mg/L である。 - 325 - - 326 図 4-24-6 水温の状況(横川川) - 327 図 4-24-7 主な河床材料の状況(横川川) 表 4-24-2 平成 22 年度の流量の状況(横川川) 地点 月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 平均 最高 最低 中央橋 流量(m3 /s) 6.6 2.0 4.6 3.3 2.4 2.8 1.7 2.1 7.4 1.1 1.0 5.0 3.3 7.4 1.0 凡例 横川ダム 魚道なし 伊良沢橋 魚道あり 橋 魚道不明 取水堰 橋 門前大橋 堰(取水あり) 上野橋 和方橋 下り橋 橋 横 川 川 菅田橋 境橋 向橋 下渡戸の橋 宮城橋 横川大橋 JR 篶原橋 唐木澤橋 JR 取水堰 徳本水2号橋 徳本水1号橋 宮所の橋 取水堰 取水堰 千歳橋 取水堰 中央橋 伊那富橋 JR 天竜川 図 4-24-8 主な河川横断工作物(横川川) - 328 - - 329 図 4-24-9 主要魚介類の確認状況(横川川) - 330 図 4-24-10 漁業権設定・魚類等放流状況(横川川) 表 4-24-3 魚介類生息状況に関する学識経験者や漁業関係者への ヒアリング結果の整理(横川川) 項目 ヒアリング結果(回答機関名) ①代表的及び特徴的な魚介類 ・魚の生息状況については平成 21 年度調査結果と殆ど変化はない。 (ヤ マトイワナ、ニッコウイワナ、アマゴ、ニジマス、カジカ、コイ、フ 魚 介 類 の 生 息 範 囲 ナ、オイカワ、アユ、ドジョウ、ウナギ)(天竜川漁協) ②イワナ・ヤマメ・アマゴ類の生息範囲 ・横川ダムより上流はイワナ域、下流はアマゴ域となっている。 (天竜川 漁協) ③コイ・フナ類の生息範囲 産卵場・幼 稚 仔 魚 の 生 育 ・平成 21 年度調査のとおり、ニッコウイワナ、アマゴの人工産卵床を造 成している。 場 ①放流魚種 魚 介 類 等 ニッコウイワナ、アマゴを放流している。 資源の保全 ②保護水面等区域 ①河床材料 ・河床材料調査結果(図 4-24-7)で概ね捉えられている。 ②堰・ダム 河 川 環 境 ・河川構造物が多く、魚類の移動が妨げられている。天竜川合流点より 上流すぐに大きな堰堤があり、魚が上れない。横川川から出水時に流 されたイワナやアマゴが戻れず、天竜川で成長し、大型のイワナ・ア マゴが天竜川で釣られている。 (天竜川漁協) (6)水生生物保全環境基準類型指定の検討 1)基礎情報の整理 (a)横川川全域 横川川の類型指定のための情報は、表 4-24-4 に示すとおりである。 水質は大腸菌群数を除いて概ねAA類型の環境基準を達成し、平均水温は 12℃程 度、平均最高水温は 22℃程度である。河床材料は石、礫、砂が主体となっている。 - 331 - 魚介類の生息状況を見ると冷水性の魚介類ではヤマトイワナ、ニッコウイワナ、 アマゴ、ニジマス、カジカが確認されており、温水性の魚介類はウナギ、コイ、フ ナ、オイカワ、ドジョウが確認されている。 以上の情報を踏まえると、横川川は冷水性の魚介類が生息する水域に区分するこ とが適当であると考える。 表 4-24-4 区 間 水質類型 水温分布 河床材料 魚介類の生息状況 既存資料調査 ヒアリング調査 判断情報 横川川全域 AA類型 平均水温は 12℃程度、平均最高水温は 22℃程度 石、礫、砂 冷水性の魚介類 温水性の魚介類 ヤマトイワナ、ニッコウイワ ウナギ、コイ、フナ、オイカ ナ、アマゴ、ニジマス、カジ ワ、ドジョウ カ 同上 同上 2)特別域について 水産資源保護法に基づく保護水面は設定されていない。また、漁業協同組合に対す るヒアリングでは、ニッコウイワナ、アマゴの産卵床造成を行っているが、詳細な自 然産卵場所や産卵環境に関する情報が十分に得られていない。 以上のことから、特別域については設定しないことが適当であると考えられる。 3)水域類型の指定(案)について 横川川は水質環境基準のAA類型に指定されており、大腸菌群数を除き環境基準を ほぼ達成している。平均水温は 12℃程度で、冷水性の魚介類が確認されている。これ らを勘案すると、横川川は生物Aとすることが適当であると考えられる。 この場合、 全亜鉛は環境基準以下であるため、直ちに達成とすることが適当である。 表 4-24-5 水生生物保全類型指定(案) 水域の名称 水域類型 達成期間 環境基準点の名称 横川川 生物A イ 中央橋 (注)達成期間の欄の「イ」は「直ちに達成」を示す。 - 332 -