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The 37th Annual Meeting of

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The 37th Annual Meeting of
The 37th Annual Meeting of
Japanese Association of Therapeutic Exercise
第 37 回
日本運動療法学会
抄
録
集
会
期:2012 年 6 月 24 日(日)
会
場:三鷹市産業プラザ
会
長:林 潤一 杏林大学医学部総合医療学
第 37 回日本運動療法学会事務局
杏林大学医学部総合医療学
〒181-8611 東京都三鷹市新川 6-20-2
TEL:0422-44-5330
E-mail:[email protected]
INDEX
ご
あ
い
さ
つ ······························· 1
交 通 の ご 案 内 ······························· 2
会 場 の ご 案 内 ······························· 3
展 示 会 場 の ご 案 内 ······························· 4
タイムスケジュール ······························· 5
参 加 者 へ の ご 案 内 ······························· 6
ご 発 表 の 先 生 方 へ ······························· 7
プ
ロ
グ
ラ
ム ······························· 8
【抄録】
ランチョンセミナー ····························· 12
特
別
演
題 ····························· 15
シ ン ポ ジ ウ ム ····························· 17
一
般
演
題 ····························· 22
運動療法学会 会則 ····························· 36
歴 代 会 長 一 覧 ····························· 38
役
員 ····························· 39
ランチョン共催企業 ····························· 41
広 告 協 賛 企 業 ····························· 41
展 示 協 賛 企 業 ····························· 41
ごあいさつ
このたび、第37回となります日本運動療法学会を、東京都三鷹市において、
平成24年6月24日(日)に開催させていただくことになりました。ぜひ、
皆様のご参加をお待ちしております。
日本運動療法学会は、運動器や神経・筋疾患ならびに心・肺機能障害や内分
泌・代謝疾患に対して、治療あるいは予防に広く用いられている 運動療法 に
関する臨床研究と基礎研究の推進をめざしている学会として、年次学術集会を
開催しております。昨年は水落和也会長のもと、横浜にて素晴しい集いがもた
れましたが、光陰矢のごとしで1年が経過しました。この間におけます当該領
域の研究を進めている皆様の成果や新しい知見を今回ご発表いただけることは
大きな喜びでございます。
第37回学術集会のテーマは「運動療法と健康の維持増進」とさせていただ
きました。一般演題では13題の発表をいただきます。特別講演といたしまし
て、米国ボストン市から ハーバード大学医学部准教授 金木正夫 先生 を
お迎えして、ご講演をいただきます。シンポジウムでは、
「運動療法の多面的役
割」と題しまして、東京医科大学健康増進スポーツ医学の村瀬訓生先生、安田
女子短期大学保育科の木村達志先生、杏林大学医学部循環器内科の吉野秀朗先
生、東京大学大学院新領域創成科学研究科の大谷勝先生から、それぞれのご専
門の領域からご講演をいただきます。ご期待ください。
また、運動療法の様々な臨床的効果のひとつに、障害された動脈の進展性へ
の改善作用が指摘されていますが、これまで日常診療で用いることのできる簡
便な測定方法がありませんでした。最近、動脈血管の硬さ指標を血圧に依存し
ないで評価できる機器が開発されました。ランチョンミーティングでは、最新
の情報を提供していただけることになりましたので、日常の診療にお役立ちで
きる機会となれば幸いです。
関係者一同、有意義な学術集会になりますよう、鋭意準備を進めてまいりま
した。皆様のご参加をお待ちしております。
第37回日本運動療法学会
会長
林 潤一
- 1 -
交通のご案内
電車をご利用の場合
・JR 中央線・総武線 三鷹駅南口より徒歩約 7 分
・中央通り 3 つ目(三鷹産業プラザ東)の信号を右折
バスをご利用の場合
・バス停 法専寺前 下車 徒歩 1 分
・JR 三鷹駅より 1 つ目のバス停で下車
(3番~7番・一部の路線は法専寺前を通過しませんのでご注意ください)
・京王線調布駅・仙川駅より(どちらも三鷹駅行き)
車をご利用の場合
・中央高速調布 IC を利用
・三鷹通りに入り JR 三鷹駅方面へ北上
・調布 IC より約 7km
(三鷹産業プラザ駐車場 30 分 200 円・高さ制限 1.55m まで)
ご注意:駐車場には限りがございます。できるかぎり公共交通機関をご使用ください。
所在地・地図
- 2 -
会場のご案内
704・705 号室 ・・・・・・ 第1会場
702 号室
・・・・・・ 第2会場
理事会会場
703 号室
・・・・・・ 展示会場
懇親会会場
- 3 -
展示会場のご案内
- 4 -
タイムスケジュール
時
間
スケジュール
9:30
受 付 開 始
第 1 会場(704・705 号室)
開会式(会長挨拶)
10:00
10:05
~
11:50
第 2 会場(702 号室)
展示会場
一般演題 2
B-1 ~ B-5
(11:35 まで)
一般演題 1
A-1 ~ A-7
ランチョンセミナー
「運動と動脈硬化」
座長 :
12:00
~
13:30
杏林大学医学部 衛生学教授
角田
第1部
「 上腕で測る血管指標」
独)産業技術総合研究所 ヒューマンライフ研究部門
透
先生
理事会
小峰
秀彦
先生
第2部
「 運動習慣と動脈硬化 」
筑波大学 大学院 人間総合科学研究科スポーツ医学
前田 清司
先生
(12:00~13:00)
13:30~13:40 休憩
13:40~13:50 総会
13:50
~
特別講演
「運動はなぜ健康によいのか?」
分子生物学の観点から運動の健康・長寿促進効果を考える
座長
:
医療法人社団和風会
14:50
ハーバード大学医学部
多摩リハビリテーション学院
石田
信彦 先生
マッサチューセッツ総合病院
金木 正夫
14:50
~
15:00
先生
展示ブース見学(休憩)
シンポジウム
運動療法の多面的役割
座長
:
杏林大学
医学部
総合医療学
林
潤一
先生
17:00
1. 末梢動脈疾患(PAD)に対する運動療法
東京医科大学 健康増進スポーツ医学講座
村瀬 訓生 先生
2. 過性および慢性の運動が血液流動性に及ぼす影響について
~運動強度の違いを交えて~
安田女子短期大学
木村 達志 先生
3. 運動療法の多面的役割
~循環器領域において~
杏林大学医学部第二内科(循環器内科) 吉野 秀朗 先生
4. 効果的なダイエットプログラム開発への取り組みについて
東京大学大学院新領域創成科学研究科健康スポーツ科学講座
大谷 勝
先生
17:00~
閉会挨拶
15:00
~
閉会後
懇親会
- 5 -
機器展示
ブース
参加者へのご案内
参加受付
7 階エレベーター前受付(ロビー)にて 9 時 30 分より参加受付を開始いたし
ます。
参加費
本学会では、参加申し込みに関する事前登録はありません。ご来場の方は、
学会当日に参加受付にて記録用紙に所属・氏名をご記入の上、参加費、医師
5,000 円、コメディカル 3,000 円をお支払いください。引き換えに参加証(ネ
ームカード)をお渡ししますので、所属・氏名をご記入の上、ご着用ください。
新入会員へのお知らせ
7 階エレベーター前受付(ロビー)にて当学会の入会受付を行います。その場
で必要事項をご記入いただき、入会金 3,000 円をお支払いください。
昼食
ランチョンセミナーでお弁当をご用意しておりますので、ぜひご参加くださ
い。
※数に限りがございますのでお早目にお集まりください。
懇親会
学会終了後、展示会場(703 号室)に手懇親会を行います。参加ご希望の方
は、参加受付で懇親会費 4,000 円をお支払いください。
- 6 -
ご発表の先生方へ
1.一般演題の発表形式について
1)発表形式は口演です。 発表 10 分、質疑応答 5 分です。
2)発表の形式はノートパソコン(Windows)を使用したものに限らせてい
だたきます。パソコンは原則として当学会で用意したパソコンを使用し
ていただきます。
3)パソコンを使用しての発表についての注意
(1)当学会でスライド用のパソコン(Windows)を用意いたします。原
則的に演題発表は当学会で用意したスライド用パソコンを使用して
ください。
(2)演題ファイルはマイクロソフト社パワーポイントで作成したもの
とさせていただきます。スライド用パソコンは Windows のため MacOS
で作成した演題ファイルは使用できません。
(3)当学会で用意するスライド用パソコンで使用するパワーポイント
のバージョンはパワーポイント 2010 です(下位バージョンのファイ
ルは読み込み可能です)。演題ファイルを作成したパワーポイントの
バージョンが異なるとスライド再生時にレイアウトが崩れる可能性
があります。
(4)演題ファイルは必ずバックアップして、お持ちになってください
(USB メモリー、CD-R(CD-R/W は不可))。CD-R へのパケットライト
形式の書き込みは不可ですのでご注意ください。
(5)スライドは 30 分前までに、スライド受付にて試写をお済ませくだ
さい。
(6)特殊なフォント、動画・音声などを使用する場合および Mac OS で
のご発表をご希望の場合は、ご自身の PC をご持参ください。
(7)持ち込みの PC をご使用になる場合には、プロジェクタに VGA(mini
D-Sub 15pin)コネクタで接続できるようにご準備をお願いいたしま
す。
(8)スライド進行などについては、発表者ご本人に演台の PC で操作し
ていただきます。
4)演題発表のスライド映写は、一面となります。
2.発表資格
発表者は日本運動療法学会員に限ります。未入会の方はご入会ください。
- 7 -
プログラム
10:00 会長挨拶
10:05~11:50
第1会場
第1会場
一般演題 1
座
長
長谷
公隆
先生
®
A-1.ロボットスーツ HAL 福祉用 使用の治療効果
防衛医科大学校病院リハビリテーション部
三瓶 良祐
A-2.ラット後肢筋群の廃用性筋萎縮における伸張運動効果
―放射性トレーサーによる筋血流の評価―
金沢大学医薬保健研究域保健学系
稲岡プレイアデス千春
A-3.ロコモティブシンドローム対象者の動作能力と転倒意識
~3 ヶ月間のロコトレ実施の有無による比較~
東京大学医学部附属病院リハビリテーション部
座 長
天尾 理恵
佐藤
秀昭
先生
A-4.障害者のメタボリックシンドローム対策
~施設利用者の集団介入指導を通した取り組み~
国立障害者リハビリテーションセンター
山下 文弥
A-5.歩行変動性の定量化における解析パラメータの検討
-標準偏差と変動係数の相違-
東京湾岸リハビリテーション病院
小宅 一彰
A-6.トレッドミル運動持続時間の血圧、動脈硬化指標への影響
医療法人社団和風会 多摩リハビリテーション学院
渡辺 圭一
A-7.高齢者介護予防事業が運動器機能に与える影響
国立病院機構村山医療センター リハビリテーション科
- 8 -
宇内 景
10:05~11:35
一般演題 2
第 2 会場
座
長
木村
彰男
先生
B-1.体内埋め込み型補助人工心臓(LVAS)装着重症心不全への心臓リハビリ
テーションの効果
東北大学病院医学系研究科内部障害学分野
鈴木 文歌
B-2.血行再建術の適応外と判断された PAD 患者の歩行能力と健康関連 QOL に
対する運動療法の効果
東北大学大学院医学系研究科内部障害学分野
金 珉智
B-3.腹筋運動と腹部電気刺激が自律神経機能に与える影響の比較
東北大学大学院医学系研究科機能医科学講座
内部障害学分野 三浦 美佐
座長
水落
和也
先生
B-4.成人生体肝移植レシピエントにおける周術期の筋力推移
慶應義塾大学病院リハビリテーション科
佐野 由布子
B-5.COPD4 期最重症ステージ患者における運動療法の重要性
-外来で続ける意味-
京都桂病院リハビリテーションセンター
宮崎 博子
B-6.Duchenne 型筋ジストロフィーにおける呼気終末陽圧
(positive end expiratory pressure:PEEP)弁付蘇生バックを用いた
吸気量の検討
独立行政法人国立病院機構東埼玉病院 リハビリテーション科 田島 夕起子
- 9 -
12:00~13:30
ランチョンセミナー
第 1 会場
透
先生
座 長 角田
1.上腕で測る血管指標
(独)産業技術総合研究所 ヒューマンテクノロジー研究部門 主任研究員
小峰 秀彦
先生
2.運動習慣と動脈硬化
筑波大学体育系スポーツ医学
前田 清司 先生
12:00~13:00
13:30~13:40
13:40~14:40
理事会
総会
特別講演
第 2 会場
第 1 会場
第 1 会場
信彦 先生
座 長 石田
「運動はなぜ健康によいのか?」
分子生物学の観点から運動の健康・長寿促進効果を考える
ハーバード大学医学部マッサチューセッツ総合病院
金木 正夫 先生
15:00~17:00 シンポジウム
第 1 会場
運動療法の多面的役割
座 長 林
潤一 先生
1.末梢動脈疾患(PAD)に対する運動療法
東京医科大学 健康増進スポーツ医学講座
村瀬 訓生
2.過性および慢性の運動が血液流動性に及ぼす影響について
~運動強度の違いを交えて~
安田女子短期大学
木村 達志
3.運動療法の多面的役割
~循環器領域において~
杏林大学医学部第二内科(循環器内科)
吉野 秀朗
4.効果的なダイエットプログラム開発への取り組みについて
東京大学大学院新領域創成科学研究科健康スポーツ科学講座
大谷 勝
- 10 -
先生
先生
先生
先生
- 11 -
第 37 回日本運動療法学会
ランチョンセミナー
1.上腕で測る血管指標
2.運動習慣と動脈硬化
- 12 -
第 37 回日本運動療法学会
ランチョンセミナー
上腕で測る血管指標
小峰秀彦
(独)産業技術総合研究所
ヒューマンテクノロジー研究部門
動脈硬化度(Arterial stiffness)は循環器疾患のリスク要因である。一方、数か月間
の運動は動脈硬化度を改善することが報告されている。したがって、動脈硬化度の悪化を
早期発見すると同時に、運動習慣などによる改善効果を継続的にモニタリングすることが
重要である。そのためには、誰もが簡単に動脈硬化度を評価できる手法が求められる。そ
こで我々は、上腕で計測するオシロメトリック血圧計を利用して、血圧と同時に動脈硬化
度を評価できる指標を開発した。
オシロメトリック血圧計を用いて血圧を測定するとき、上腕に巻いたカフには上腕動脈の
拍動が伝播する。この脈波を利用して動脈硬化度を推定する指標を開発した。1 つの指標は、
カフ減圧時のカフ圧-血管容積曲線を求めて、この曲線の形状の違いを特徴付ける指標
(API)であった。カフ減圧時、カフ圧に対して血圧が相対的に大きくなるにしたがい、血管
容積は増大する。動脈硬化度が高い(血管が硬い)ヒトは、動脈硬化度が低い(血管が柔
らかい)ヒトと比較して、カフ圧-血管容積曲線の傾きが緩やかになることがわかった。
そこで、カフ圧-血管容積曲線の傾きの違いを特徴づける指標を動脈硬化度指標とした。
もう一つの指標はカフに伝播する脈波を微分し、速度変化の違いから動脈硬化度を評価す
る指標であった(AVI)。血管拍動時と弛緩時の速度比を用いて、動脈硬化度指標とした。開
発した2つの動脈硬化度指標はいずれも既存の動脈硬化度評価方法である脈波伝播速度
(cfPWV、 baPWV)と相関がみられた。この結果は、血圧測定時に上腕カフに伝播する脈波を
利用して動脈硬化度を評価できる可能性を示す。開発した手法は、血圧と同時に動脈硬化
度を評価でき、誰でも簡単に使用可能である。したがって、運動による動脈硬化度悪化の
予防や改善をモニタリングする方法として期待できる。
- 13 -
第 37 回日本運動療法学会
ランチョンセミナー
運動習慣と動脈硬化
前田清司
筑波大学 大学院 人間総合科学研究科スポーツ医学
大動脈などの中心動脈の硬化度は加齢に伴って増大する。動脈硬化度の増大は、心血管
疾患の独立した危険因子になる。習慣的な有酸素性運動には動脈硬化度を低下させる効果
があり、この効果は若年者から高齢者までどの年代でも認められる。また、比較的低強度
の有酸素性運動であってもその効果が認められる。一方、介護予防などの観点から筋力ト
レーニングが推奨されているが、興味深いことに高強度の筋力トレーニングは動脈硬化度
を増大させる可能性が示されている。しかし、健康の維持・増進や生活習慣病の予防・改
善などを目的として行われる中等強度の筋力トレーニングでは動脈硬化度を増大させない
ことが明らかになっている。これらの結果から、有酸素性運動と筋力トレーニングでは、
それぞれが動脈硬化度に与える影響が異なると考えられる。さらに、習慣的な有酸素性運
動が動脈硬化度を低下させる機序の一部も明らかになってきている。血管内皮細胞が産生
するエンドセリンや一酸化窒素(NO)は有酸素性運動による動脈硬化度低下の機序に関与
している可能性が示唆されている。すなわち、習慣的な有酸素性運動により、血管収縮作
用や血管平滑筋増殖作用を有するエンドセリンの産生は低下し、一方、血管拡張作用や血
管平滑筋増殖抑制作用を有する NO の産生は増加することが明らかになっている。また、3
ヶ月間の有酸素性運動前後で、エンドセリン受容体遮断薬を急性投与して動脈硬化度の変
化を評価すると、運動介入前に認められたエンドセリン受容体遮断薬による動脈硬化度の
低下は、エンドセリン産生が低下した運動介入後には認められないことが示されている。
これらより、習慣的な有酸素性運動が動脈硬化度を低下させる機序には、血管内皮機能の
変化が一部関与していることが考えられる。本セミナーでは、習慣的な運動が動脈硬化度
に及ぼす影響と有酸素性運動が動脈硬化度を低下させる機序についての知見を紹介する。
- 14 -
第 37 回日本運動療法学会
特別演題
運動はなぜ健康によいのか?
分子生物学の観点から運動の健康・長寿促進効果を考える
- 15 -
第 37 回日本運動療法学会 特別講演
「運動はなぜ健康によいのか?」
分子生物学の観点から運動の健康・長寿促進効果を考える
金木 正夫
ハーバード大学医学部マッサチューセッツ総合病院
運動とカロリー制限の寿命延長効果が科学的に確立されて久しい。マウスで
はカロリー制限による身体活動の活発化が長寿効果に重要だと考えられている。
運動の重要性への社会的認識を高めるためにも、運動の健康・長寿促進作用の
分子生物学的メカニズムを解明することが必要だとの視点から最近の知見と今
後の課題を整理したい。運動は、動脈硬化、糖尿病、メタボリック症候群、認
知症、うつなどの予防・改善効果ばかりでなく、免疫能の賦活化、癌に伴う悪
液質の改善、ADHA など発達障害に対する効果など幅広い作用が知られている。
運動の効果は、運動の最中に生じる作用と、筋肉の増加による長期的な作用に
大別して考えることができる。運動時の効果としては、筋肉が内分泌器官とし
て機能し、収縮による脳由来神経栄養因子やインターロイキン-15 などのマイオ
カイン(筋肉由来内分泌因子)の分泌を介して全身的に作用することに加え、
近年、運動が細胞内でオートファジーを活性化させ新陳代謝を促進することが
注目を集めている。また、軽度の間欠的なストレスが長寿とストレス抵抗性も
たらす現象が“ホルミーシス”として知られ、運動が軽度のストレスとして健
康・長寿促進効果を惹起していると考えられているが、その具体的な分子生物
学的機序は必ずしも明確ではない。一方、長期的な運動の効果として、循環・
呼吸機能の改善と同時に、筋肉の増加による“基礎体力”の増進が考えられる。
筋肉は、運動器官やマイオカインを分泌する内分泌器官として機能するばかり
でなく、外傷・疾病・飢餓など緊急時にアミノ酸を全身に供給し、肝臓での糖
新生を可能にする“貯蔵庫”としての役割も担っている。近年、アミノ酸の情
報伝達物質としての機能が明らかになっているが、筋肉と脳を含めた他臓器と
の多様な相互作用の理解を深めることが運動の健康・長寿促進効果、
“基礎体力”
向上作用の解明につながると考えられる。
- 16 -
第 37 回日本運動療法学会
シンポジウム
運動療法の多面的役割
1.末梢動脈疾患(PAD)に対する運動療法
2.過性および慢性の運動が血液流動性に及ぼす影響について
~運動強度の違いを交えて~
3.効果的なダイエットプログラム開発への取り組みについて
4.運動療法の多面的役割
~循環器領域において~
- 17 -
第 37 回日本運動療法学会 シンポジウム
「運動療法の多面的役割」
末梢動脈疾患(PAD)に対する運動療法
村瀬
東京医科大学
訓生
健康増進スポーツ医学講座
末梢動脈疾患(PAD)は動脈硬化により下肢の血流が低下し、間欠性跛行を呈
する疾患であり、近年、高齢化に伴い急激に増加している。PAD の診断治療に関
する国際的ガイドラインである TASKⅡでは、間欠性跛行を呈する PAD の初期治
療として、運動療法の実施を推奨事項 A としている。運動の方法としては、ト
レッドミルまたはトラック歩行が推奨されているが、本院では、安全性の高い
自転車エルゴメータにて運動療法を実施し、効果を上げている。自転車エルゴ
メータ運動は歩行運動と比較すると、狭い場所でも行えること、転倒の危険が
少ないこと、運動強度の調節が容易であることなど、利点も多い。また、運動
療法の効果は、トレッドミルによる歩行距離の他、近赤外線分光法を用いて、
筋の酸素動態の評価も実施している。本シンポジウムでは、PAD の運動療法に関
するこれまでの治験を紹介すると共に、本院で実施している実際の運動療法の
方法や評価方法について紹介する。
- 18 -
第 37 回日本運動療法学会 シンポジウム
「運動療法の多面的役割」
過性および慢性の運動が血液流動性に及ぼす影響について
~運動強度の違いを交えて~
木村 達志
安田女子短期大学
運動にはさまざまな種類や強度などがあり、それらが生体に及ぼす影響は一
律ではない。本発表では、若年者を対象とした一過性効果および壮年者を対象
とした慢性効果について、運動強度の違いも交え運動が血液流動性に及ぼす影
響を述べる。
若年群は男子大学生 9 名(年齢 22.4±1.8 歳)であり、低強度(無酸素性作業閾
値:AT の 80%)・中強度(AT 強度)・高強度(AT 強度と最高酸素摂取量との中間
値)の 3 段階で一過性の運動負荷を行った。採血は、運動前、運動終了直後、運
動終了後 30 分の 3 回実施した。壮年群は 18 名(年齢 45.7±5.4 歳)であり、低
強度の歩行運動を毎日行った。事前に歩行運動の指導を行い,4 週間のトレーニ
ング期間中は 1 日 1 万歩を目標とした。採血は、トレーニング開始前、トレー
ニング開始後 2 週間目および 4 週間目の 3 回実施した。
血液流動性の指標である全血通時間は、一過性の高強度運動終了直後では有
意に延長し、慢性の低強度運動後では有意に短縮した。
- 19 -
第 37 回日本運動療法学会シンポジウム
「運動療法の多面的役割」
運動療法の多面的役割
~循環器領域において~
吉野 秀朗
杏林大学医学部第二内科(循環器内科)
循環器領域における運動療法の効果については、以前より検討され、その有
効性はすでに多くの研究報告がなされている。心臓リハビリテーションに対し
て政府が保険診療で保証するようになってから、心臓リハビリに代表される運
動療法は、循環器疾患患者を対象に盛んに行われるようになった。しかし、現
在においてもいくつかの問題点がある。1)どのような循環器疾患患者を対象
とするか、2)どの程度の運動を行うか(運動処方)、3)いつまで継続するか、
4)運動療法の効果をどのように評価するか、5)その効果はどこまで証明さ
れているか、などである。近年、人口の高齢化とともに急性・慢性心不全の循
環器疾患に占める割合が増加し、心不全治療に対して投入される医療資源はま
すます増加している。ここで、心不全患者に対する運動療法の多面的効果につ
いて述べたい。
- 20 -
第 37 回日本運動療法学会 シンポジウム
「運動療法の多面的役割」
効果的なダイエットプログラム開発への取り組みについて
大谷
勝
東京大学大学院新領域創成科学研究科
健康スポーツ科学講座
メタボリックシンドロームである中高年が医師から、食事制限・運動指導さ
らには生活(節酒・禁煙等)改善を言い渡されてもこれらを継続実行できない
のが現状である。楽に継続できるダイエット法を開発することが必要である。
東京大学で開発した認知動作型マシンによる東大式ウオーキング(コアスト
レッチウオーキング)と東京大学で開発したアミノ酸サプリメントとを組み合
わせることで上記課題を解決できるか検討した。
認知動作型マシンとは小林寛道先生が 1995 年に開発したものである。バイオ
メカニクス視点からカールルイス選手の脚の軌跡をトレースできる 2 軸移動型
装置である。今日までスプリント能力向上の為に利用され、日本の陸上界の記
録向上に貢献してきた。
本装置を中高齢者の歩行能力改善のために利用できるのでは?といことで
様々な取り組みを行ってきた。最新の知見では、当該マシンを利用することで、
体幹深部筋である大腰筋量が増加し、歩行能力等の改善に寄与することが明ら
かになった。
一方アミノ酸サプリメントについても東大の研究により、トップアスリート
の貧血予防・免疫力低下抑制・筋タンパク分解抑制・疲労軽減等のコンディシ
ョニングに有用であることを見出し、1995 年から広くアスリートに利用されて
きた。
今回は上述する東大オリジナルの認知動作型マシンによるウオーキングとア
ミノ酸サプリメントとを組み合わせて、対象をアスリートからメダボ中高齢者
に広げてメタボリックシンドロームの改善に取り組んできたので一部を紹介す
る。
- 21 -
第 37 回日本運動療法学会
一般演題
第1会場
®
A-1.ロボットスーツ HAL 福祉用 使用の治療効果
A-2.ラット後肢筋群の廃用性筋萎縮における伸張運動効果
―放射性トレーサーによる筋血流の評価―
A-3.ロコモティブシンドローム対象者の動作能力と転倒意識
~3 ヶ月間のロコトレ実施の有無による比較~
A-4.障害者のメタボリックシンドローム対策
~施設利用者の集団介入指導を通した取り組み~
A-5.歩行変動性の定量化における解析パラメータの検討
-標準偏差と変動係数の相違-
A-6.トレッドミル運動持続時間の血圧、動脈硬化指標への影響
A-7.高齢者介護予防事業が運動器機能に与える影響
第2会場
B-1.体内埋め込み型補助人工心臓(LVAS)装着重症心不全への心臓リハビリ
テーションの効果
B-2.血行再建術の適応外と判断された PAD 患者の歩行能力と健康関連 QOL に
対する運動療法の効果
B-3.腹筋運動と腹部電気刺激が自律神経機能に与える影響の比較
B-4.成人生体肝移植レシピエントにおける周術期の筋力推移
B-5.COPD4 期最重症ステージ患者における運動療法の重要性
-外来で続ける意味-
B-6.Duchenne 型筋ジストロフィーにおける呼気終末陽圧
(positive end expiratory pressure:PEEP)弁付蘇生バックを用いた
吸気量の検討
- 22 -
A-1
®
ロボットスーツ HAL 福祉用 使用の治療効果
三瓶 良祐、 小林 龍生
防衛医科大学校病院リハビリテーション部
【目的】
®
障害者に対して開発されたロボットスーツ HAL 福祉用 (以下 HAL)は超高齢化社会の到来
が危惧される本邦で将来の福祉機器として期待される機器である。下肢機能障害を有する
症例の協力を得て試用したので、HAL 装着訓練の治療効果について報告する。
【対象・方法】
下肢機能障害を有する維持期の外傷性腰髄不全損傷、虚血性脊髄不全損傷、Kennedy
alter sung 病の 3 例に対し週 2 回、計 10 回の HAL 装着下での立位・歩行訓練を行い、訓練
期間前後の関節可動域、筋力、10m 歩行時間、Time Up and Go test(TUG)の評価を試みた。
【結果】
症例 1 は外傷性腰髄不全損傷で、歩行はロフストランドクラッチ 2 本と右下肢に長下肢
装具で自立している。HAL 装着訓練の開始時と終了時で関節可動域、筋力に変化はなかっ
たが、10m 歩行時間は訓練開始前 10.2 秒が訓練終了時 7.5 秒に、TUG は訓練開始前 13.4 秒
が訓練終了時 8.8 秒に短縮した。
症例 2 は虚血性脊髄不全損傷例で立位、歩行は不能
である。HAL 装着状態では、サイドケイン 2 本を使用し立位・歩行が可能となったが、HAL
装着訓練の開始前と終了時で関節可動域、筋力、動作能力には変化を認めなかった。
症例 3 は Kennedy alter sung 病で椅子からの立ち上がりが困難、歩行は T 字杖で自立して
いる。HAL 装着状態では椅子からの立ち上がり、独歩、階段昇降が可能となったが、HAL 装
着訓練の開始前と終了時で 10m 歩行時間は訓練開始前 12.3 秒が訓練終了時 12.1 秒で TUG
は測定不能であった。
症例 2、3 とも HAL 装着状態で機能向上は得られたが、HAL 装着
訓練による治療効果は得られなかった。
【結語】
今回の試用では、立位・歩行が自立レベルにある例で HAL 装着訓練により歩行能力、バ
ランス能力に対する訓練機器としての治療効果を認め、一方で立位・歩行が自立レベルで
ない例では効果が得られなかった。症例によって HAL 装着訓練を、治療効果を目的とする
場合と装着による機能向上を目的とする場合とに使い分ける必要性が示唆された。
- 23 -
A-2
ラット後肢筋群の廃用性筋萎縮における伸張運動効果
―放射性トレーサーによる筋血流の評価―
稲岡プレイアデス千春1)、 澁谷 寿代2)、 大平 真樹3)、 山崎 俊明1)
1)金沢大学医薬保健研究域保健学系
2)金沢大学付属病院
3)医療法人社団光仁会木島病院
【目的】
本実験では異なるストレッチ強度および頻度が廃用性萎縮筋の血流動態に与える影響を
検討した。
【対象・方法】
36 匹の Wistar 系雄ラットを無作為に対照群(C 群)
、3 週間の後肢懸垂を行う群
(HS 群)、
および後肢懸垂開始 2 週目から 2 週間伸張運動を行う A3 群(自重の 50%の負荷、週 3 回)、
A5 群(自重の 50%の負荷、週 5 回)、B3 群(最大背屈位まで伸張、週 3 回)、B5 群(最大
背屈位まで伸張、週 5 回)に分けた。実験期間終了後 201TlCl トレーサーを投与後に両後肢
のヒラメ筋(Sol)・足底筋(Pla)・腓腹筋(Gas)・長指伸筋(EDL)・前脛骨筋(TA)を解剖摘
出した。各筋全体の血流量評価にはガンマカウンターによる 201Tl 取込率測定をおこない、
筋内の血流分布はオートラジオグラフィー(ARG)による、近位・中間・遠位における 201Tl
分布濃度を測定した。各群間での筋の相対重量比の比較、群内での筋による 201Tl 取込率、
部位別の放射濃度を比較した。
【結果】
C 群にくらべ、全群で体重およびヒラメ筋の相対重量比が有意に低下していた。C 群では
他の 4 つの筋に対して Sol の
201
Tl 取込率が有意に高かった。B5群では Pla に対して Sol
の取込率が有意に高かった。ARG による部位別比較では、C 群 Sol では近位部の放射濃度が
有意に高いが、HS 群、A5 群、B5 群では近位部の放射濃度が低下した。Pla においては、
Con 群では中間部の放射濃度が最も高かったが、その他の群では近位<中間<遠位の分布
を示した。EDL では全群で、遠位部の放射濃度がもっとも高く、近位部が低い結果となっ
た。
【結語】
本実験で実施した伸張頻度、および強度では、廃用性筋萎縮を抑制する事はできなかっ
たが、後肢筋の血流動態には何らかの影響を与えたものと考えられる。また伸張刺激が長
軸方向における血流動態を変化させる可能性が示唆された。
- 24 -
A-3
ロコモティブシンドローム対象者の動作能力と転倒意識
~3 ヶ月間のロコトレ実施の有無による比較~
天尾 理恵1)、 大竹 祐子2)、 緒方 直史2)、 芳賀 信彦2)
1)東京大学医学部附属病院リハビリテーション部
2)東京大学医学系研究科リハビリテーション医学分野
【目的】
理学療法士によるロコモティブシンドローム(以下、ロコモ)対象者の予防的介入を行
う研究において、ロコモーショントレーニング(以下、ロコトレ)実施の有無で、筋力・
バランス等に差が生じるかの比較検討を行ったので報告する。
【対象・方法】
対象はロコチェックでロコモと判断された 50~70 歳代の 23 名(男性 1 名、女性 22 名)
で、ロコトレを実施する早期介入群(11 名)と実施しない介入待機群(12 名)の 2 群に分
けた。
評価は Cybex を用いて計測した膝関節筋力、片脚立位時間、3 分間歩行距離、及び、足
腰指数 25、Tinetti の転倒不安をスコア化した。初回・3 ヶ月後の 2 回の評価における 2 群
間の比較を行った。早期介入群には初回評価後、それぞれの能力に応じた方法でロコトレ
(スクワット・片脚立位)を指導し、実施を促した。
【結果】
3 ヶ月後の右膝伸展筋力は早期介入群が介入待機群に比べ有意に大きかったが、各群に
おける、初回時と 3 ヶ月後の筋力に有意な変化はなかった。一方、片脚立位時間・3 分間歩
行距離や足腰指数 25・転倒不安スコアに有意な差は認めなかったが、早期介入群で転倒不
安スコアが低下したのは 1 名のみであった。また、早期介入群の 90%が週 4 日間以上、ロ
コトレを実施できていた。
【結語】
3 カ月間のロコトレ実施の有無により動作能力に有意差を認めなかったのは、実施期間
が短く、被験者数が少なかった影響が考えられ、今後、研究の継続による再検討が課題で
ある。また、早期介入群の転倒不安スコアが低下したのは 1 名のみであり、その一因とし
て膝関節伸展筋力の関与が考えられる。一方、早期介入群の 90%で週 4 日以上ロコトレが
行えていることから、運動経験による心理的効果の影響もあると考えられる。これらより、
理学療法士の介入による身体機能の把握とロコトレの実施が運動習慣の定着と心理面に効
果を及ぼすことが示唆された。
- 25 -
A-4
障害者のメタボリックシンドローム対策
~施設利用者の集団介入指導を通した取り組み~
山下 文弥、 樋口 幸治、 廣川 愛美、 飛松 好子
国立障害者リハビリテーションセンター 健康増進センター
【目的】
健常者のメタボリックシンドローム(以下 MetS)の現状は、平成 19 年 国民健康・栄養
調査によると、40~74 歳で MetS に該当する人は予備群を含め約 2,010 万人と推定されてい
る。一方、当センターで行っている障害者人間ドックの結果では、受診者の 90%以上に何
らかの異常を認め、その内、70%以上で生活習慣病危険因子が認められた。この現状を踏
まえ、当センターでは、平成 22 年 10 月に、障害者健康増進センターを開設し、障害者の
健康づくりを開始し障害者に対する MetS 対策を事業化した。
本研究では、当センターの障害者 MetS 対策を紹介しながら、介入指導を行う上での課題
について検討することを目的とした。
【対象・方法】
対象は、平成 23 年 4 月~平成 24 年 3 月の間で、当センターを利用した 27 名(男性 24
名、女性 3 名:年齢 37.7±11.5 歳)で、障害は、高次脳機能障害者 16 名、視力障害者 7
名、肢体不自由者 2 名、盲ろう者 2 名であった。
介入指導の導入は、利用開始時の健診データより、BMI や血圧、血液性状のうち、3 項目
以上に異常が認められた者とした。介入指導は、生活指導(保健師)、食事指導(栄養士)
を適宜行い、リハビリテーション体育士による集団運動指導(健康づくりクラス)を週一
回、定期的に実施した。また、健康づくりを目的に開催している健康教室への参加を促し
た。
【結果・考察】
介入指導の結果、トレーニング期間は、5.6±3.5 ヶ月で、クラスへの参加率は、66.3±
9.0%で、健康教室への参加も認められた。体重は、2.1±3.5kg 減少し、BMI は、0.7±1.2
減少した。また、MetS に関連する血液性状にも変化が認められた。生活面では、介入指導
以外で、自主的に運動等に取り組む姿勢が認められた。これらのことから、施設の特性を
活かすことで、集団介入指導でも、障害者の MetS 対策は可能であると考えられた。
【結語】
集団での障害者への MetS 対策は、効果的であった。今後、在宅での健康づくりを視野に、
より詳細な検討が必要である。
- 26 -
A-5
歩行変動性の定量化における解析パラメータの検討
-標準偏差と変動係数の相違-
小宅 一彰1)、 山口 智史2,3)、 田辺 茂雄4)、 横山 明正1)
近藤 国嗣1)、 大高 洋平1,5)
1)東京湾岸リハビリテーション病院
2)慶應義塾大学大学院医学系研究科
3)日本学術振興会特別研究員
4)藤田保健衛生大学医療科学部リハビリテーション学科
5)慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
【目的】
運動療法後の効果判定の 1 つに歩行安定性の評価がある。この評価に用いられる歩行変
動性は、時間距離因子の標準偏差もしくは変動係数で定量化される。しかし、どちらの解
析パラメータが歩行安定性の評価として有用であるかは、明確にされていない。本研究は、
歩行変動性の定量化に用いる標準偏差と変動係数の相違を検討した。
【対象・方法】
研究参加の同意を得られた健常成人 12 名。年齢は 26±2 歳(平均値±標準偏差)であった。
課題は、トレッドミル歩行とし、歩行速度を 20‐100 m/min の範囲で 20 m/min ずつ変化さ
せた 5 条件とした。
歩行変動性の測定には、小型無線加速度計を用いた。装置は第三腰椎棘突起部に弾性ベ
ルトで固定し、サンプリング周波数 60Hz で記録した。解析は、前後加速度のピーク値から
歩行周期時間を特定し、定常歩行 10 周期分の標準偏差と変動係数を算出した。さらに各条
件の標準偏差と変動係数は、それぞれ 60 m/min の値に対する比率で正規化後に、各速度条
件で標準偏差と変動係数の差を算出した。この差について速度条件間で比較するために、
一元配置反復測定分散分析と多重比較法(Tukey-Kramer 法)を用いた。有意水準は 5%とし
た。
【結果】
標準偏差と変動係数の比率の差は、低速順に 2.43±1.16、0.42±0.35、0、-0.12±
0.09、-0.18±0.08 であり、20 m/min が他の条件に比べ有意に高値であった(p<0.01)。
【結語】
変動の大きさを平均値で補正する変動係数に比べ、標準偏差は歩行中の変動をより直接
的に反映できる利点がある。しかし歩行速度が低い場合、標準偏差は歩行安定性よりも速
度変化の影響を強く反映する可能性がある。それゆえ、患者の回復過程で、歩行安定性を
評価する際には変動係数の使用が望ましいと考えられた。
- 27 -
A-6
トレッドミル運動持続時間の血圧、動脈硬化指標への影響
渡辺 圭一1,2)、 篠崎 昇平4)、 神谷 具巳3)、 田村 嘉章4)
林 潤一5)、 金木 正夫4)、 石田 信彦1,2,3)
1)医療法人社団和風会 多摩リハビリテーション学院
2)医療法人社団和風会 所沢中央病院検査科
3)医療法人社団和風会 多摩リハビリテーション病院
メディカルフィットネスセンタープラム
4)ハーバード大学医学部
5)杏林大学医学部 総合医療学
【目的】
心血管系に対する運動の健康促進作用として、血圧ならびに動脈硬化指標を低下させる
効果が知られている。中等度の強度の運動における運動持続時間と血圧・動脈硬化指標低
下作用との関係については検討されてこなかった。今回、運動持続時間の血圧ならびに動
脈硬化指標に対する影響を検討した
【対象・方法】
正常血圧を示す健康成人男性 10 名(年齢: 27±2 歳)を対象に 10、20、30 分間のトレッド
ミル (最大酸素摂取量の 65%)運動前、直後、10 分後において血圧と動脈硬化指標を測定し
た。
【結果】
収縮期血圧は 10、20、30 分間の運動のいずれも運動後 10 分において運動前に比し有意
な低下を認めたが、運動直後では有意な低下ではなかった。一方、拡張期血圧は 20 分間の
運動によって運動後 10 分で低下傾向を認めたが統計学的に有意ではなく、運動による拡張
期血圧の有意な低下は見られなかった。動脈硬化指標については、20、30 分間の運動で有
意な低下を運動直後、運動後 10 分で認め、動脈硬化指標の低下は運動直後の方が運動後 10
分より顕著だった。10 分間の運動により動脈硬化指標の低下傾向を認めたが有意ではなか
った。
【結論】
運動の心血管系に対する作用に関しては、動脈硬化指標の低下が収縮期血圧低下に先行
していた。一方、拡張期血圧の有意な低下は見られなかった。さらに、動脈硬化指標の低
下については、20、30 分の運動の方が 10 分間の運動よりも効果が大きく、持続時間が重要
であることが示唆された。
- 28 -
A-7
高齢者介護予防事業が運動器機能に与える影響
宇内 景1)、 武田 湖太郎2)、 斉藤 琴子3)、 植村 修1)、 町田正文2)
1)国立病院機構村山医療センター リハビリテーション科
2)国立病院機構村山医療センター 臨床研究センター
3)帝京平成大学 地域医療学部
2010 年時点においてわが国の人口の二割強が高齢者であり、この割合は年々増加してい
くといわれている。このような超高齢社会においては、高齢者が自立した生活を続けられ
る健康寿命を延ばすことが重要となる。武蔵村山市では介護予防事業の一環として、
Recumbent-Squat system、Leg-Extension system、Hip-Abduction system、Rowing system
を導入し、高齢者の筋力トレーニングによる運動器の機能向上プログラムを実施している。
本プログラム利用者は週に 2 回、全 24 回のトレーニングに参加し、筋力トレーニングマシ
ン全てについて、第 1-8 回では低負荷 30 回を 1 セット、第 9-16 回では高負荷 10 回を 2 セ
ット、第 17-24 回では高負荷 10 回を 3 セット行っている。当村山医療センターでは本プロ
グラム利用者のうち希望者を対象として参加直後・終了後において運動器機能の計測を行
い、介護予防事業の効果を評価する試みをはじめている。具体的には身長、体重、大腿周
囲径 (膝蓋骨上 0、 5、 10 cm)、長座体前屈、握力、膝伸展力、ファンクショナルリーチ、
Timed Up and Go Test、全身反応時間、5、 10 m 最大歩行速度、開眼・閉眼片足立ち時間
の計測に加え、スパイナルマウスを用いた脊柱弯曲、3 次元動作解析装置を用いた通常歩行
時の歩容評価を実施している。参加直後・終了後の 2 回計測が終了した利用者 5 名におい
ては、ファンクショナルリーチ、膝伸展力、全身反応時間、5、 10 m 最大歩行速度の項目
について平均 10%の改善がみられており、本プログラムにより運動器機能が改善する傾向が
得られた。今後、計測者数を増加させるとともに、事業終了後 6 ヶ月、12 ヶ月時における
計測を予定しており、高齢者の筋力トレーニングによる運動器の機能向上プログラムの効
果をより詳細に検証していく。
- 29 -
B-1
体内埋め込み型補助人工心臓(LVAS)装着重症心不全への
心臓リハビリテーションの効果
鈴木 文歌、 伊藤 修、 坂田 佳子、 高橋 珠緒
森 信芳、 長坂 誠、 海老原 覚、 上月 正博
東北大学病院医学系研究科内部障害学分野
【目的】
体内植込み型 LVAS の使用で院外での心臓移植待機も可能となった。今回、体内植込み型
LVAS 装着症例の運動耐容能の変化および、QOL.IADL の変化を検討した。
【対象・方法】
対象は当院で体内植込み型 LVAS を装着された重症心不全 10 例(拡張型心筋症 8 例、薬剤
性心筋症 1 例、筋ジストロフィー1 例)、うち 2 例は体外設置型からの移行例であった。年
齢 49±21 歳、男性 8 名女性 2 名、術前 EF は 20.1±10.1%。術後心臓リハを継続し、心肺運
動負荷試験により運動耐容能の変化を評価した。また、QOL、IADL についても質問票によ
る調査を行なった。
【結果】
退院した 6 症例の術後在院日数は 84±44 日であった。術後 1 ヶ月と 3 ヶ月の比較では、
peak VO2 は 4.0±1.0 から 5.1±1.7 METs に増加し、AT は 2.8±0.1 から 3.5±0.3 METs ま
で増加した。体外設置型からの移行例の術前と術後 3 ヶ月の比較では、peak VO2 は 3.3±
0.4 から 4.3±0.4METs に増加し、AT は 2.0±0.2 から 3.0±0.8METs に増加した。QOL,IADL
は退院後大きく改善を認めた。
【結語】
植込み型 LVAS はポンプの特性や行動範囲の制限が少ないことから、体外設置型 LVAS に
比較しても運動耐容能の改善効果が大きいことが示唆された。 また、植込み型 LVAS は運
動耐容能の改善に加えて在宅復帰が可能な点が QOL、ILDL 改善に大きく関与していること
が示唆された。
- 30 -
B-2
血行再建術の適応外と判断された PAD 患者の歩行能力と
健康関連 QOL に対する運動療法の効果
金 珉智1)、 伊藤 修1)、 三浦 美佐1)、 仲冨 千瑞2)、 柿花 隆昭1,2)
森 信芳1)、 赤松 大二朗3)、 佐藤 成3)、 上月 正博1)
1)東北大学大学院医学系研究科内部障害学分野
2)東北大学病院リハビリテーション部
3)東北大学大学院医学系研究科先進外科学分野
【目的】
運動療法は間歇性跛行を持つ PAD 患者の歩行能力と健康関連 QOL(Health-related
Quality of Life; HRQOL)を改善するが、重症度の高い PAD 患者に対する運動療法の効果は
まだ報告されていない。そこで、本研究は血行再建術の適応でない中等症以上の PAD 患者
の歩行能力と HRQOL に対する運動療法の効果を検討した。
【対象・方法】
10 名の中等症以上の PAD 患者(血行再建術後血管再狭窄した患者 5 名と合併症などのリス
クで血行再建術の適応外になった患者 5 名)を対象に 12 週間の監視下トレッドミル運動を
実施した。運動療法介入前後で歩行能力として無痛歩行距離と最大歩行距離を、HRQOL と
し て Medical Outcomes Study 36-item Short-Form (SF-36) と Walking Impairment
Questionnaire (WIQ)を評価・比較した。
【結果】
運動療法は、無痛歩行距離と最大歩行距離を有意に延長し、SF-36「身体機能」「活力」
と WIQ「歩行距離」「歩行スピード」を有意に延長した。無痛歩行距離と SF-36「日常役割
機能(身体)」「活力」にのみ介入後で正の相関があり、最大歩行距離と SF-36 下位尺度の
スコアには介入前・後で相関が見られなかった。無痛歩行距離と最大歩行距離は WIQ4 項目
のスコアと介入前に相関があり、特に最大歩行距離は WIQ「階段」のスコアと介入後でも相
関が見られた
【結語】
血行再建術の適応外と判断された中等症以上の PAD 患者において、運動療法は歩行能力
と SF-36 および WIQ のスコアを改善させる。しかし、疾患特異的 QOL 尺度である WIQ のス
コアにおいても、歩行能力の間に運動療法の介入前でのみ正の相関が認められ、運動療法
の介入後の客観的な歩行能力と患者自身の主観的評価は一致しないことが示唆される。
- 31 -
B-3
腹筋運動と腹部電気刺激が自律神経機能に与える影響の比較
三浦 美佐、 長坂 誠、 田中 紀晶、 伊藤 修、 上月 正博
東北大学大学院医学系研究科機能医科学講座
内部障害学分野
【目的】
下肢エルゴメータ等の運動療法や物理療法の一部は、自律神経機能改善効果を有するこ
とが報告されている。しかし、体幹運動や電気刺激による自律神経機能への影響について
は、明らかではない。本研究では、腹筋運動と腹部電気刺激が、自律神経機能に及ぼす影
響を比較検討することとした。
【対象・方法】
28.1±6.8 才の健常成人14 名(男性 8 名、女性 6 名)を運動群 5 名、電気刺激群 5 名、対
照群 4 名の 3 群に分け、運動群は腹筋運動(10 回 1 セット×3セット、5 日/週)、電気刺
激群は腹部電気刺激(30 分/1 日、5 日/週)をそれぞれ 4 週間実施し、介入前後で自律神経
機能を MemCal 法(短時間の心拍 RR 間隔データから心拍変動解析する方法)によって評価し
た。具体的には低周波数成分パワー(LF)、副交感神経活動の指標である高周波数成分パワ
ー(HF)、交感神経活動の指標である LF と HF の比(L/H)、自律神経総活動量(TP)を座位と
立位で測定し、各群における介入前後の変化を比較検討した。
【結果】
介入開始前は、全ての群の、全てのパラメータに、群間差は認められなかった。心拍数
は、介入前後及び群間の変化に差は認められなかった。HFは、電気刺激群で 464→
800(msec2)と有意に増加したが、対照群、運動群で有意な変化を認めなかった。L/H は運
動群で 5.9→4.2 と有意に減少したが、対照群、電気刺激群で有意な変化を認めなかった。
TP は電気刺激群で 6.4→8.5 (%)と有意に増加したが、運動群、対照群で有意な変化を認
めなかった。
【結論】
腹部の運動と電気刺激は自律神経機能改善に有効であるが、運動と電気刺激は、それぞ
れ異なる自律神経機能改善作用をもつことが示唆された。
- 32 -
B-4
成人生体肝移植レシピエントにおける周術期の筋力推移
佐野 由布子1)、 小林 賢1)、 川上 途行2)
1)慶應義塾大学病院リハビリテーション科
2)慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
【目的】
成人生体肝移植(以下、LDLT)レシピエントにおける術後経過ついての報告は散見する
が、身体機能面についての検討はわずかである。今回、LDLT レシピエントの周術期におけ
るリハビリテーション(以下、リハ)介入による筋力推移について着目したので報告する。
【対象・方法】
2007 年 5 月から 2012 年 4 月までの間に当院で成人 LDLT を施行した 42 例中、術前・術後
に下記の評価が可能であった 17 例(平均年齢 53.4±9.1 歳)を対象とした。理学療法は、
呼吸理学療法、筋力増強訓練、日常生活動作訓練、持久力訓練とし、リスク管理として脈
拍 120 前後、自覚的疲労尺度(Borg スケール)13 程度の範囲内で実施した。評価時期は術前、
術後 4 週、術後 6 週、術後 8 週とした。調査項目は、握力、下肢筋力とした。握力は握力
計を用い、2 回測定した際の最大値とした。下肢筋力はリカンベント式エルゴメーター
(S-ergo;三菱エンジニアリング)を用い、10 回転駆動させた時の最大値を計測し、体重
で除して算出した値を採用した。なお、握力および下肢筋力は術前の値で術後 8 週の測定
値を除して変化率を求めた。
【結果】
1.握力(㎏)は術前、術後 4 週、術後 6 週、術後 8 週の順にそれぞれ 23.8±8.5、18.7
±7.6、20.0±6.7、22.6±8.4 であり、変化率は 96.9±22.5%だった。2.下肢筋力
(Nm/kg)は術前、術後 4 週、術後 6 週、術後 8 週の順にそれぞれ 1.17±0.37、0.79±0.24、
0.99±0.29、1.13±0.28 変化率は 102.6±33.8%であった。下肢筋力は術前と術後 4 週,
術後 4 週と術後 8 週で有意な差を認めた(Tukey-Kramer 法.p<0.01)。
【結語】
リハ介入した LDLT レシピエントにおける周術期の筋力は、握力は術前から術後 8 週まで
明らかな変化は認められなかった。一方、下肢筋力は術後 4 週では術前に比べ筋力低下が
認められ、下肢筋力は術後 4 週では術前に比べて低下が認められ、その後に改善傾向にあ
ることが示唆された。
- 33 -
B-5
COPD4 期最重症ステージ患者における運動療法の重要性
-外来で続ける意味-
宮崎 博子、 細沼 美紀、 藤川 紀子、 清水 麻美
京都桂病院リハビリテーションセンター
【目的】
COPD の呼吸リハビリテーション(以下、リハ)は、継続しなければ効果が持続されない
と ACCP/AACVPR ガイドライン 2007 で明らかにされている。しかしながら現状では、専門病
院の退院後に、その病院や地域のかかりつけ医療機関などで、維持期の呼吸リハを継続で
きる患者はきわめて少数である。当院外来で呼吸リハを行う COPD4期の最重症患者を対象
に、外来で呼吸リハを継続する効果、特に運動療法の重要性について検討する。
【対象】
%FEV1<30%または%FEV1<50%かつ慢性呼吸不全合併あるいは右心不全合併の基準を満
たす、COPD4期の最重症ステージの外来呼吸リハ通院患者 11 人。
【リハ処方】
教育、コンディショニングなどの呼吸理学療法、個別に評価した運動療法、作業療法、
生活指導、栄養指導および自主トレーニング指導を含む包括的呼吸リハ。
【症例 1】
61 歳男性、X-14 年診断の COPD。X-7 年 5 月から呼吸リハ、X-6 年 2 月から HOT、X-5 年 7
月から在宅 NPPV を開始。現在%FEV1:13.4%、週 1 回外来で呼吸リハを継続中。
【症例 2】
66 歳男性、X-13 年診断の COPD。X-6 年 1 月から呼吸リハ、X-5 年 6 月から HOT ならびに
在宅 NPPV を開始。%FEV1:17.4%、一時うつ状態を併発、週 1 回の通院呼吸リハを継続し
たが、X-2 年に急性増悪で死亡。
【他の症例】
他の外来呼吸リハを継続する4期最重症患者も、生活や生命を維持するために、呼吸リ
ハの継続を強く希望している。
【考察】
身体活動の停止が直ちに寝たきりや死と直結しうる COD4期最重症ステージの患者には、
ADL や QOL の維持を目的とした身体活動面への適切な対応が必要で、運動療法を中心とした
呼吸リハの継続は必須である。そのためには、地域連携システムの構築も含めた、外来で
長期に維持期の呼吸リハを継続できる環境の早急な整備が求められる。
- 34 -
B-6
Duchenne 型筋ジストロフィーにおける呼気終末陽圧
(positive end expiratory pressure: PEEP)弁付蘇生バックを用いた
吸気量の検討
田島 夕起子1)、 川上 途行2)、 安西 敦子1)、 大塚 友吉1)
1)独立行政法人国立病院機構東埼玉病院 リハビリテーション科
2)慶應義塾大学医学部 リハビリテーション科
【目的】
Duchenne 型筋ジストロフィー(以下、DMD)に対する呼吸理学療法として、肺柔軟性維持
及び気道清浄化を目的に呼気終末陽圧(positive end expiratory pressure:PEEP)弁なし
蘇生バッグを用いた吸気練習が行われている。PEEP 弁なし蘇生バッグを用いた吸気量は、
患者の息溜め能力や習熟度等の影響を受ける。種々の原因で患者の息溜めが困難な場合、
PEEP 弁なし蘇生バッグを用いた吸気練習は効果が少ない経験をした。今回、DMD に対して、
PEEP 弁付蘇生バックを用いた場合と PEEP 弁なし蘇生バッグを用いた場合との吸気量の差を
検討したので報告する。
【対象・方法】
当院筋ジストロフィー病棟に入院中で、気管切開、終日人工呼吸管理をしていない DMD
患者 8 名(平均年齢 21.7±2.4 歳)を対象とした。対象者は第 3 者にて無作為に 2 群に分け
た。「PEEP 弁付蘇生バック使用群(n=4)」他方を「PEEP 弁なし蘇生バック使用群(n=4)」
とした。PEEP 弁付蘇生バック使用群には、PEEP 圧を 15cmH2O に設定した PEEP 弁付蘇生バ
ッグを用いた。
介入は、各群ともに蘇生バッグを用いた呼吸訓練を週 1 回の頻度で 3 ヶ月実施した。
PEEP 弁付蘇生バック使用群、PEEP 弁なし蘇生バック使用群の各訓練期間の実施開始時、終
了時の吸気量を計測し両群を比較した。
【結果・考察】
PEEP 弁無し群に比べて PEEP 弁付群では吸気量増加が有意に大きかった。(Two Sample
t-test p<0.05)
PEEP 弁付蘇生バックを用いた場合、息溜めが困難な患者の場合にも吸気量の増加が認め
られたことから、PEEP 弁が咽頭機能低下の代償をしていると考えられる。PEEP 圧は最大
20cmH2O まで設定できるが、今回 PEEP 圧 15cmH2O の設定で吸気量の増加が認められたこと
から、少ない圧でも効果的な吸気練習が期待できると考える。
- 35 -
運動療法学会 会則
第 1 章 総則
第 1 条 本会は日本運動療法学会(Japanese Association of Therapeutic Exercise)
という。
第 2 条 本会は運動療法を基礎医学、臨床医学、体育学などの各方面から深く研究し、
我が国の医療、リハビリテーションの発展に寄与し、併せて国民の体力の維持
と増強、スポーツの振興に貢献することを目的とする。
第 3 条 本会は前条の目的を達成するための以下の事業を行う。
1.運動療法に関する調査、研究
2.学術集会の開催
3.その他本会の目的を達成するために必要な事業
第 4 条 本会の事務局を東京都新宿区信濃町 35
慶應義塾大学医学部リハビリテーション医学教室におく。
第 2 章 会員・会費
第 5 条 会員の種別はつぎのとおりである。
1.正会員 2.賛助会員 3.名誉会員 4.臨時会員
第 6 条 正会員は運動療法に関心をもつ医学研究者、医療従事者、体育研究者、体育従
事者及び理事会が入会を認める個人であって本会の目的に賛同し、本会の定め
る手続きを経て入会を承認されたものとする。
第 7 条 賛助会員は、本会の目的に賛同し本会の事業活動に協力し、その成果を各自の
社会活動に反映しうる法人または団体とする。
第 8 条 名誉会員は、本会の活動に多大な貢献があったものの中から、理事長が推薦し、
理事会の承認を受けた個人とする。
第 9 条 臨時会員は、本会が主催する学術集会に正会員と連名で参加するため、臨時会
費を納めるものとする。
第 10 条 会費は年度毎に理事会で審議し、総会において決定する。
第 11 条 学術集会(学会)においては別に会場費を徴収する。
第 12 条 会費の滞納が 3 年に及んだものは退会とみなす。
第 3 章 役員・会議
第 13 条 本会に次の役員をおく。
1.理事 20 名以上 50 名以内
2.監事 2 名
第 14 条 理事は理事会を組織し、理事長 1 名および常任理事 2 名を選任し、常任理事を
中心に会務を執行する。理事会は年 1 回以上開催し、毎年度の学術集会(学会)
の会長 1 名を選任する。
第 15 条 理事会は本会の会務を総括する。
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第 16 条
第 17 条
第 18 条
第 19 条
第 20 条
第 21 条
学術集会(学会)は原則として毎年 1 回開催し、研究発表を行うもの(発表者
および共同演者)は会員に限る。総会は学術集会(学会)時において開催する。
理事長は総会において会務を報告し、必要な承認を得るものとする。
会長は学術集会(学会)を開催時に抄録または全録をその年度内に刊行する。
監事は会務を監査する。
役員(常任理事たることを含む)の任期は 3 年毎に更新し、重任を妨げない。
新理事は直前の理事長および常任理事による推薦にもとづき、理事会が候補者
を推薦し、総会において決定する。
理事及び監事は 3 年間継続して会・理事会へ欠席したものは自動的に資格を
失う。
漢字は会の総務、庶務、会計などの事務を処理する。理事会で選出し、任期は
3 年で再選を妨げない。
第 4 章 会計
第 22 条 本会は会費および寄付金によって運営される。
第 23 条 本会の事業計画及び収支予算は毎会計年度開始前に理事長が編成し、理事会の
承認を得、総会に諮らなければならない。
第 24 条 本会の収支決算は毎会計年度終了後 3 か月以内に理事長が作成して感じの承認
を受け、理事会が承認し、次の総会に報告しなければならない。理事長は賛助
会員に収支決算報告を送付しなければならない。
第 25 条 本会の会計年度は 6 月 1 日を新年度とし、5 月 31 日に終了する。
付 則
第 26 条
第 27 条
別 表
第 28 条
本会会則は理事長及び総会の承認を得なければ変更出来ない。
本会会則は昭和 54 年 6 月 17 日より施行する。
会 費
1.正 会 員
2.賛助会員
3.名誉会員
年額
2,000 円
年額 100,000 円
納入免除
平成 14 年 4 月 1 日より正会員の年会費を 3,000 円とする。
以上
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日本運動療法学会
回
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31
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開催年
1975
1977
1978
1979
1980
1981
1982
1983
1984
1985
1986
1987
1988
1989
1990
1991
1992
1993
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
歴代会長一覧
会 長
御巫 清充
御巫 清充
御巫 清充
池田 亀夫
萩島 秀男
蓮江 光男
笹生 俊一
米本 恭三
江口 寿栄夫
渡辺 誠介
吉松 俊一
博田 節夫
中村 隆一
岩倉 博光
明石 謙
大橋 正博
長尾 竜郎
倉田 博
井上 和彦
大井 淑雄
福田 道隆
立野 勝彦
千野 直一
岩谷 力
渡邊 慶壽
江口 寿栄夫
星野 雄一
峯島 孝雄
北原 宏
海老根 東雄
木村 彰男
浜岡 隆文
水谷 一裕
福林 徹
上月 正博
水落 和也
開催地
東 京
東 京
栃 木
東 京
東 京
東 京
東 京
東 京
大 阪
東 京
東 京
大 阪
宮 城
東 京
岡 山
東 京
富 山
鹿児島
東 京
東 京
青 森
金 沢
東 京
宮 城
東 京
岡 山
東 京
東 京
東 京
東 京
東 京
東 京
東 京
東 京
宮 城
神奈川
以上
- 38 -
日本運動療法学会
役員
役職名
氏 名
理事長
木村 彰男
慶應義塾大学
常任理事
星野 雄一
自治医科大学 整形外科
吉永 勝訓
千葉県千葉リハビリテーションセンター
山口 明
喜平リハビリテーションクリニック
影近 譲治
金沢医科大学医学部運動機能形態学
赤嶺 卓哉
国立鹿屋体育大学体育学部健康教育学
浅井 憲義
北里大学医療衛生学部
石田 信彦
医療法人社団和風会 多摩リハビリテーション学院
伊藤 博元
日本医科大学大学院医学研究科外科系感覚運動機能
監 事
理 事
所 属
再建学分野
内尾 祐司
島根大学医学部 整形外科学
大江 隆史
名戸ヶ谷病院整形外科
大島 博
宇宙航空研究開発機構有人宇宙技術部宇宙医学生物学
研究室
小熊 祐子
慶應義塾大学スポーツ医学研究センター
押田 芳冶
名古屋大学総合保健体育科学センター
小野寺 昇
川崎医療福祉大学医療技術部健康体育学科
片寄 正樹
札幌医科大学保健医療学部理学療法学第二講座
金田 嘉清
藤田保健衛生大学医療科学部リハビリテーション科
北原 宏
習志野第一病院 整形外科
久保 俊一
京都府立医科大学大学院医学研究科運動器機能再生
外科学
上月 正博
東北大学大学院医学系研究科機能医科学講座
内部障害学分野
小林 龍生
防衛医科大学校病院 リハビリテーション部
才藤 栄一
藤田保健衛生大学医学部リハビリテーション医学教室
佐藤 祐造
愛知学院大学心身科学部健康科学科
千田 益生
岡山大学病院総合リハビリテーション部
椿原 彰夫
川崎医科大学リハビリテーション医学教室
津村 弘
大分大学医学部 整形外科
豊倉 穣
東海大学大磯病院 リハビリテーション科
豊永 敏宏
九州労災病院 リハビリテーション科
- 39 -
中澤 公孝
東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻
生命環境科学系
中村 耕三
東京大学医学部付属病院整形外科
中村 春基
兵庫県立リハビリテーション中央病院
西沢 良記
大阪市立大学大学院医学研究科代謝内分泌病態内科学
芳賀 信彦
東京大学医学部付属病院 リハビリテーション科
浜岡 隆文
立命館大学スポーツ科学部整形外科
林
杏林大学医学部総合医療学
潤一
福林 徹
早稲田大学スポーツ科学部整形外科
冬樹 寛義
東京医科大学病院 リハビリテーションセンター
牧田 茂
埼玉医科大学国際医療センター
心臓リハビリテーション科
増山 茂
了徳寺大学健康科学部医学教育センター
水落 和也
横浜市立大学医学部付属病院リハビリテーション科
村岡 功
早稲田大学スポーツ科学部スポーツ・運動生理学
矢野 英雄
富士温泉病院
山崎 俊明
金沢大学医薬保健研究域保健学系
リハビリテーション科学領域理学療法科学講座
幹 事
山本 利春
国際武道大学体育学スポーツトレーナー学科
里宇 明元
慶応義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
長谷 公隆
慶応義塾大学医学部リハビリテーション医学教室
以上
- 40 -
ランチョン共催企業
志成データム・日本メディカルファンド株式会社
広告協賛企業
MSD 株式会社
アステラス株式会社
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社
持田製薬株式会社
田辺三菱製薬株式会社
株式会社センス・イット・スマート
株式会社八神製作所
ミナト医科学株式会社
志成データム・日本メディカルファンド株式会社
展示協賛企業
志成データム・日本メディカルファンド株式会社
株式会社八神製作所
ミナト医科学株式会社
アークレイ株式会社
テルモ株式会社 ヘルスケアカンパニー
- 41 -
第 37 回日本運動療法学会事務局
杏林大学医学部総合医療学
〒181-8611 東京都三鷹市新川 6-20-2
TEL:0422-44-5330
E-mail:[email protected]
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