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線形代数および演習 Á 2005年度基本方針など 2004年度の反省も

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線形代数および演習 Á 2005年度基本方針など 2004年度の反省も
線形代数および演習 2005年度基本方針など
2004年度の反省も込めて
( 1)線形変換を前面に出し ,視覚的にも理解する手法を拡充する.
( 2)目標とする到達点を明確にする.具体的には2次曲面の分類を到達目標とする.
を基本方針にしたいと思っています.
線形変換を前面に出し,視覚的にも理解できるようにしたいのは,学生の興味を引きた
いのはもちろんですが,真の理解に貢献できると思っているからです.視覚的理解を経験
することによって,後々思い出して貰える可能性が少しは高くなるような気がします.
2つの理由から,2次曲面の分類を到達目標としたいと思います.
第1の理由は,視覚的に理解しやすいものを提供して学生の関心を引きたいということ
です.Ü,Ý ,Þ の2次式を書けば対応する2次曲面を描いてくれる
ケージが活躍すると思います(
のパッ
).
第2の理由は,行列式を計算するとか連立1次方程式を解くとかの作業に明確な動機付
けができるということです.実際,2次の項の係数を成分とする行列の直交行列による対
角化の過程では,固有値を求めるための3次行列式の計算と,固有ベクトルが正規直交系
になるように同次連立1次方程式の非自明解を構成することがポイントになります特に,
固有値が重根になる場合の取り扱いは,行基本変形による求解法の有用性を伝える格好の
機会になると思います.
なお,一般の3次行列の三角化・対角化は扱いません.線形代数および演習
の範疇
であると思います.
「 固有値がすべて実数であれば直交行列によって三角化できる」という
(線形代数および演習
で習うかも知れない)定理があることを告げ,それを認め,対称
行列は対角化できることを示すつもりです(これは簡単だから).
以上で基本方針案の説明を終わり,つぎに,注意したいことをいくつか述べます.
・置換による行列式の定義はしない予定です 面積倍率を表すものとして2次行列式を,
体積倍率を表すものとして3次行列式を導入し,4次以上の行列式は余因子展開によって
定義したいと思います.一部を除き,行列式の基本的な性質の証明は避け,そういう性質
があることを告げるに留めたいと思います.
・クラメールの公式は扱わない予定です 必要な状況があれば再考したいですが,私に
は,線形代数および 演習
における有用性が発見できていません.
・演習問題や実習課題の精選したいと思います 演習問題や実習課題は本当に存在感が
あるものに留めたい,似たような問題は必要最小限に留めたい,その結果として,演習問
題や実習課題の量はできるだけ少なくしたいと考えています.代わりに,受講学生やTA
には一つ一つの問題に関する深い理解を求めたいたいと思います.
シラバス
科目名:線形代数および 演習
担当教員名:池田 勉
サブテーマ:コンピュータ・グラフィックス,2次曲面と線形代数
科目概要・内容:線形代数は,情報科学や自然科学などほとんどすべての科学技術分野の
みならず,経済学など の社会科学分野においても必要とされる基礎知識であり,単純で,
奥深く,役に立つ道具です.しかしながら,この重要性を大学初年度の学生に分かりやす
く伝えるのは容易ではありません.そこで,
「 コンピュータ・グラフィックス」という,学
生が比較的なじみやすい視点から「 線形代数」にアプローチします.コンピュータ・グラ
フィックスでは,図形の回転,拡大・縮小,対称変換,平行移動図形を傾ける操作などが
必要ですが,その多くが,数学で「線形変換」と呼ばれるものに対応し,数を長方形に並
べた「 行列」によって表現されることを最初に学びます.
線形代数はいろいろな場面で役に立ちますが,最も有用であるのは「行列の固有値・固
有ベクトルと対角化」であると思います.この有用性を2次曲線と2次曲面を例として採
用し,ビジュアルに説明するよう計画しています.
この科目を履修することにより身につくポイント:線形変換,固有値・固有ベクトル,行
列の対角化などが身に付きます.これにより,より高度な物理学や化学などの自然科学,
情報科学や経済学などの種々の社会科学の学修が可能になります.
授業方法・成績評価方法:週2回開講される,ひとかたまりの科目です.一方は講義形式
で,他方は演習形式で実施します.講義では,基本的な考え方を説明し,適切な例題を解
きます.演習では,講義内容の習得と応用力の育成を目指して課題を解きます.必要に応
じてコンピュータを使った実習も行います.
成績の評価は定期試験(60%)と演習・ミニテストや出席状況などの平常点(40%)
に基づいて行います.
授業計画:
行列とベクトル,行列の和と積
平面図形の線形変換( 回転,拡大・縮小,対称変換,傾ける変換)
合成変換,行列の積の非可換性( 回転して傾けると傾けて回転する)
逆行列( 元の図形を知りたい),2次行列式と面積,行列のランク
2次行列の固有値・固有ベクトル,対角化・三角化
2次行列の対角化・三角化の応用( べき乗と漸化式)
転置行列,直交行列,2次実対称行列の対角化
2次実対称行列の対角化の応用( 2次曲線)
連立1次方程式,行基本変形,ランクと逆行列の自動計算
! 空間図形の線形変換,ベクトルの内積・外積,ベクトル三重積
3次行列式と体積,余因子展開,行列式の基本性質
3次行列の固有値・固有ベクトルと三角化
3次直交行列,3次実対称行列の直交行列による対角化
3次実対称行列の対角化の応用( 2次曲面)
参考文献:
理工基礎線形代数( 高橋大輔著,サイエンス社)
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