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詳細はこちら - JCCLS-特定非営利活動法人 日本臨床検査標準協議会
リウマトイド因子(RF)の標準化の試み 神戸大学大学院医学研究科客員教授 神鋼病院 膠原病リウマチセンター 熊谷 俊一 2010年日本臨床検査標準協議会学術集会(H22. 8. 28) 図3. 臓器非特異的自己免疫疾患と自己抗体 SLE LE cells (1948 Hargraves) RAHA 病因的診断ではない 診断の補助 感度:>95% 抗核抗体 (蛍光抗体法) (ロイマ反応) (1948 Rose) 感度:80% 特異度が低い RA リウマトド因子 RF (LA-NIA, TIA) 抗核抗体(ANA) 膠原病 疾患特異的抗核抗体(Smなど) 抗リン脂質抗体 リン脂質抗体症候群 カルジオリピン、β2GP I リウマトド因子(RF) 関節リウマチ シトルリン化ペプチド(CCP) 抗好中球細胞質抗体 血管炎 PR-3, MPOなど 臓器非特異的自己抗体→病態と関連し、診断に有用あるいは必須 RFの臨床的意義 1. 陽性、陰性が重要→診断、予後予測 • 関節リウマチの診断:1987年改訂ACR分類基準7項目中の1項目 感度は70-80%、特異度は70-80%程度で、尤度比は3程度 • クリオグロブリン血症(Ⅱ型)の診断に必要 • 血清反応陰性脊椎関節症や成人スチル病:これらの疾患では、陰性であるこ とが診断に重要である • RF陽性RA患者は陰性RA患者に比べて関節破壊が進行しやすい 2. 抗体価が重要→診断、活動性や治療効果の判定 • ACR/EULAR 2009年改訂分類新基準では4項目中の1項目で、低値陽性の場合 は2点、高値陽性(カットオフ値の3倍以上)の場合は3点 • RF低値陽性(20-100 IU/ml)の場合の尤度比は2.0、中値(101-300 IU/ml) では2.9、高値(301 IU/ml以上)では4.8との報告がある • RF高値陽性(100 IU/ml以上)の多発関節炎の患者は低値陽性者や陰性者に 比べて、RAである、あるいは将来RAになる確率が高い • 長期的には活動性や治療効果判定の指標となる 関節リウマチの分類基準 '米国リウマチ学会、1987年( 症例1 症例2 ○ ○ 1) 1時間以上の朝のこわばり'>6週間( ○ ○ 2) 3関節以上の関節炎'>6週間( × 3) 手関節, PIP, MCP関節の少なくとも一個所の ○ 軟部組織の腫脹か関節液の貯留'>6週間( ○ × 4(対称性の関節炎'>6週間( ○ × 5) リウマトイド結節 ○ ○ * 6) リウマトイド因子陽性 ○ × 7) 典型的X線像 ☆以上のうち4項目を満たすもの '感度91.7%、特異度89.3%( RA *正常人コントロールでの陽性率が5%未満の測定法による ? リウマトイド因子測定値の標準化について 0~1,595 unit/ml の10検体を、国内12施設で測定 3種類のmRF (日水mRF、ヤマサ C28株とD13株)を標準品として検討 各施設の標準品によるキャリブレーション 変動係数 21~46% mRFをキャリブレーションに使用し た時 変動係数 34~66% mRFは施設内の精度管理には使用可能だが、施設間の標準化には---(吉野谷定美ら:リウマチ. 36:819-829, 1996) リウマトイド因子の標準化と問題点 (RF測定改善検討会2002年ミニサーベイ) 社内標準品 プール血清 社内標準品 mRF (今福裕司、吉田 浩:臨床病理. 54:853-860,2006) リウマトド因子(RF)標準化の試みの歴史 • 標準血清、WHO標準品、ヒト型モノクローナルRFを用いた標準化の試み →標準化はほぼ不可能と思われてきた(吉野谷定美、吉田 浩、今福裕司 先生ら) • 2004年 厚生労働省科学研究『自己免疫検査の効率的利用法の研究』(主任研究者 熊谷俊一)で、RFの精度管理や標準化と効率的利用法の検討を行った。 • 2004年 日本リウマチ学会にRF測定小委員会(委員長 吉田浩先生)が設置。 • 日本臨床検査医学会、日本リウマチ学会、厚生労働省科学研究班との合同で、リウ マチ学会認定356施設に対してゕンケートによる現状調査を行った。 • 2005-6年、日本臨床検査医学会プロジェクト研究「自己免疫検査の全国サーベと それに基づく標準化の検討」(代表 熊谷俊一)で、協力頂ける81施設に4種類のプー ル血清を配布し測定を依頼した(全国サーベ) 。 • 2005-8年、日本臨床検査標準協議会(JCCLS)にRFと抗核抗体についての基本検討委 員会(柱1のワーキンググループC3)が設置され標準化を推進。 (吉田 浩先生との共同研究) リウマチ学会教育認定施設へのアンケート調査 日本臨床検査医学会、日本リウマチ学会、厚生労働省科学研究班との合同 ① RF の全国アンケート調査 各施設のRF基準値'IU/ml( 30 期間:2004年12月〜2005年1月 全国356施設、回収187件(回収率53%) 院内実施:152 外注実施:25 施 設 数 20 10 0 0 5 測定法原理 ラテックス凝集免疫法 (70) 15 20 25 30 35 40 各施設のRFカットオフ値(IU/ml) 免疫比濁法 (50) RF基準値の設定について 自施設作成 (45) 10 ラテックス比濁法 免疫比ろう法 (25) ラテックス比ろう法 メーカー指定値 (112) 文献値 (18) ②RF の全国サーベイ 全国81施設 4種類のプール血清 試料A: 陰性 6.2 U/ml 試料B :低値 29.9 U/ml 試料C :中等値 59.4 U/ml 試料D :高値 154.9 U/ml 25 偽陽性 20 陰性 試料A 6.2 IU/ml 15 10 5 0 低値陽性 試料B 29.9 IU/ml 0 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 0 10 20 30 基準範囲上限'カットオフ値( 40 偽陰性 10 20 30 基準範囲上限(カットオフ値) 40 90 80 70 60 試料C: 5 0 59.4 40 U/ml 30 20 10 0 0 6 0 5 0 4 0 3 0 試料D: 2 0 154.9 U/ml 1 0 0 0 ○LA-NIA法 ○LA-TIA法 ○TIA法 中等値 陽性 n=82 r=0.812 p<0.0001 低値 陽性 5 1 01 52 02 53 03 54 04 5 試料B: 29.9 U/ml 0 n=82 r=0.119 0 P=0.289 高値 0陽性 0 0 0 低値 陽性 5 1 0 1 5 2 0 2 5 3 0 3 5 4 0 4 5 試料B: 29.9 U/ml 日本臨床検査医学会プロジェクト研究「自己免疫検査の全国サーベとそれに基づく標準化の検討」(代表 熊谷俊一) 結果 1. 各施設の基準値の設定方法は様々で、健常人での陽性率5%未満 の検証が必ずしもなされていない 2. RF陰性血清は1施設を除く全ての施設で陰性と判定されたが、RF低 値試料は約1割の施設(9施設)にて陰性と判定された • カットオフ値が6〜36U/mlと幅広く設定 • 陰性と判定した9施設のうち、3施設のカットオフ値は30以上 と高値に設定されており、カットオフ値の見直しが必要 3. RF低値試料と中等度値試料の測定値は正相関を示し系統誤差を認 めた。しかし、RF高値試料と低値試料では相関性はみられず、系 統誤差も認めなかった • 100 U/ml未満の検体では試薬間差および機器間差の影響は大き くないが、100 U/ml以上の検体は相関性および系統誤差も認め ないことから収束は不可能 リウマトド因子(RF)はゕメリカリウマチ学会の関節リウマ チ分類基準(診断基準)の1項目に採用され診断に必須である カットオフ値の統一化 可能なら100IU/mlまでの整合性(WHO標準品?) 1. 17試薬の基礎データの収集と検証 検診検体 250名、RA 200名、慢性疾患 200名 2. カットオフ値の設定方法の検討 検診検体1,000例から潜在基準値除外法で選別した各年代の男女 健常人258検体での陽性率 <5% 3. 100 IU/mlまでの標準化の可能性の追求 RF値 100 IU/ml前後の検体を収集 2005-8年、日本臨床検査標準協議会(JCCLS)にRFと抗核抗体についての 基本検討委員会(柱1のワーキンググループC3)が設置され標準化を推進。 WG会議 14回 (H15-18) 同時測定 2回 (H16, H17) 今回検討した17種類のRF試薬 の測定原理とメーカー13社 メ-カー N o 1 1 1 1 1 1 1 1 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 M K I A&T ニ ッス イ テ ゙ン カ シ ス メックス 栄 研 ニ ッ ト ー ホ ゙ー セ ロテ ック 極 東 シ ス メックス ニ ッ ト ー ホ ゙ー ニ ッス イ ヘ ゙ッ ク マ ン 栄 研 オ ー ソ テ ゙イ ト ゙ M KI 原理 LIA LIA LIA LIA LIA LIA LIA LIA LIA T IA T IA T IA LIA LIA LIA JCCLS 柱1C3 WG 委員 氏名 責任者 運営 管理者(臨薬 協) 所属 斉藤 憲祐 山本 茂一 デイド・ベーリング株式会社 株式会社カイノス 柱 1/C3 担当 技術アドバイザー 嶋本 三利 熊谷 俊一 株式会社三菱化学ヤトロン 神戸大学大学院 教授 技術アドバイザー 小柴 賢洋 技術アドバイザー 桑 技術アドバイザー 森下 芳孝 三重大学病院中央検査部技師長 技術担当者 技術担当者 新井 次郎 松内 和洋 株式会社医学生物研究所 株式会社エイアンドティー 技術担当者 小林 克彦 隆 兵庫医科大学 筑波大学大学院 教授 助教授 栄研化学株式会社 技術担当者 技術担当者 技術担当者 技術担当者 技術担当者 技術担当者 技術担当者 技術担当者 技術担当者 技術担当者 技術担当者 倉持 啓一 大塚 一郎 日向 隆 北村 竜太郎 船越 國宏 根占 哲也 斉藤 憲祐 鎌田 祥子 高橋 義孝 松坂 啓之 波多野 裕通 株式会社エスアールエル オーソ・クリニカル・ダイアグノスティックス株式会社 株式会社カイノス 極東製薬工業株式会社 シスメックス株式会社 株式会社セロテック デイド・ベーリング株式会社 デンカ生研株式会社 日水製薬株式会社 日東紡 株式会社日本凍結乾燥研究所 技術担当者 技術担当者 技術担当者 藤居 賢 伊東 理絵 野村 昭夫 日本バイオ・ラッドラボラトリーズ株式 会社 ベックマン・コールター株式会社 株式会社三菱化学ヤトロン 標準化 柱1 C3WG(RF) 検体測定方法説明 【詳細】 平成18年6月16日 C3WG 1:実験手順・検体測定フロー 2:検体測定詳細(省略) 3:WHO標準品測定法案 4:試薬・検体リスト(省略) RF責任者 実験手順'素案( 1 2 3 4 1 2 3 4 5 1 2 3 4 5 6 <全体> 専用試薬2機種はOYC内で実施するが、残りの3機種は検体を移動して測定を行う。 承認 汎用使用装置は日立7170に統一する。'機種差を懸念して東芝は使用しない( 承認 各試薬のクロスコンタミを防ぐため、データ取りはバッチ方式で取る。 承認 1試薬につき3時間、1日4試薬がMAX、12試薬のため最大限できて3日間'可能であれば5日ほしい( ⇒ 毎日の実施時間が10時間程度なので、準備1日、4日間とする。 <測定対象> 健常検体 250検体 250 患者群検体 400例 400 各社キャリブレーター 60 WHO標準品 希釈列'100,50,25,12.5 IU/mL( 4 産業医大 プール血清 5 719 合計 <サンプルについて> 承認 各検体'2mL(を5本のサンプリングチューブに小分けし、一度凍結する。⇒開始前日にMKIが実施 専用2機種分に1本使用し、残余検体をベックマンに発送する。 No.1 初日検体の残余検体をオーソに発送する。 No.2 2日目検体をMKIに発送する。 No.3 3日目検体を神戸大学へ発送する。 No.4 4日目検体の残りは予備として保存する。 No.5 専用装置の検体は 栄研チューブ5号になる見込み 作業分担案 )技術者が当日測定→翌日文書でサポート引継ぎを実施 実働丸1日 7 7/3'月( 7/4'火( 7/5'水( 7/6'木( 7/3'金( 作業内容 試料分注 入力作業 サポート 技術派遣 測定試薬 MKI 4 測定-3 測定-4 予備日 A&T 1 デンカ 1 セロテック 2 栄研 1 極東 1 ニットーボー 1 デンカ 1 セロテック 2 日水 極東 1 ニットーボー 1 MKI LTX デンカ LTX ニットーボー LTX シスメックTIA A&T LTX シスメックLTX セロテック LTX ニットーボー TIA 日水 LTX 栄研 LTX 極東 LTX 日水 TIA 測定-1 測定-2 MKI 4 A&T 1 デイド BNⅡ 栄研 LX2000 2 各社RF試薬の基準範囲の設定と統一化へ向けて(JCCLS 柱1C3) 各社算出健常値に対する R OCによるcutoff値 各社設定の 健常検体 陽性率% ROC 感度 特異度 健常検体 ノンパラメトリック法によ 健常検体 るCut off値 陽性率% (片側上方5%) 0.0 ~ 22.4 5.0 No 原理 Cut Off値 1 LIA 20 5.6 8.9 73.5 88.4 11.6 2 LIA 5 5.2 1.6 76.5 92.0 8.0 0.0 ~ 4.2 3 LIA 15.3 12.4 4.7 76.5 82.4 17.6 0.0 ~ 4 LIA 18 3.2 5.7 74.5 85.6 14.4 0.0 5 LIA 11.2 24.4 22.0 75.0 89.2 10.8 6 LIA 10 6.8 11.8 74.5 89.6 7 LIA 11 7.2 2.5 81.0 8 LIA 23 5.2 5.9 9 LIA 20 3.2 10 TIA 20.9 11 TIA 12 TIA 13 LIA 14 LIA 15 Cut off値 % % 陽性率% 慢性疾患 RA群 陽性率% 陽性率% 16.5 62.5 ☆ 5.0 24.0 67.0 22.6 5.0 15.5 61.5 ~ 14.4 5.0 12.0 60.0 ☆ 0.0 ~ 45.5 5.0 21.0 61.5 10.4 0.0 ~ 23.0 5.0 13.5 60.5 81.2 18.8 0.0 ~ 18.5 5.0 15.5 57.5 75.5 88.8 11.2 0.0 ~ 20.5 5.0 13.5 61.0 ☆ 1.3 77.0 87.6 12.4 0.0 ~ 14.6 5.0 13.2 5.6 2.8 72.0 86.4 13.6 0.0 ~ 17.5 5.0 18.0 61.0 ☆ 58.0 ☆ 10 8.4 6.2 74.0 89.2 10.4 0.0 ~ 15.3 5.0 16.0 62.0 15 8.8 9.8 74.5 89.6 10.4 0.0 ~ 19.7 5.0 20.0 65.5 9.2 10.0 69.4 90.7 9.3 0.0 ~ 37.7 5.0 19.6 51.0 10 15.2 12.1 74.0 88.0 12.0 0.0 ~ 28.2 5.0 18.0 58.0 LIA 12 8.8 10.9 74.5 81.0 19.0 0.0 ~ 17.6 5.0 11.0 60.5 16 NIA 15 5.6 6.8 79.0 82.8 17.2 0.0 ~ 16.7 5.0 11.0 57.5 ☆ 17 LIA 10 8.8 4.2 82.5 81.2 18.8 0.0 ~ 18.1 5.0 15.5 61.5 健常人での陽性率は5%以内 'アメリカリウマチ学会診断基準( 健常人、RA、慢性疾患、各200人 ROCによるcut off値設定は困難 健常人の陽性率5%を Cut off値とする WHO標準品測定法案 )WHO標準品100,50,25,12.5 IU/mlの3重測定実施 により各試薬WHO単位との相違確認 具体的手順 '13本入手予定 3本トレサビリティー用に未溶解で-40℃凍結保存( WHO標準品4ml/瓶=25 IU/ml ①1mlのホールピペットを用いて20℃の生理食塩水で10本溶解 =100 IU/ml 10ml POOL '0.5mlx10本小分け凍結( ②50 IU/ml作製 100 IU/ml :生食=2.5ml:2.5ml'連続ピペット( ③25 IU/ml作製 100 IU/ml :生食=1.25ml:3.75ml'連続ピペット( ④ 12.5 IU/ml作製 100 IU/ml :生食=0.75ml:5.25ml'連続ピペット( ④各0.5mlx 9本小分け凍結保存 残りは冷蔵保存 ⑤各試薬に対してN=3測定 1日1本使用 '測定初日のみ冷蔵と冷凍の測定値比較( WHO直線性 1-5 各社試薬のWHO測定値 160 140 WHO標準品測定法 *WHO標準品100, 50, 25, 12.5 IU/mlの3重測定実施 により各試薬WHO単位との 相違確認 測定値 IU/mL 120 100 80 R1 R2 R3 R4 R5 R6 60 40 20 0 0 20 40 60 80 100 WHO表示値 IU/mL WHO直線性 13-17 160 160 140 140 120 120 100 80 R7 R8 R9 R10 R11 R12 60 40 20 0 0 20 40 60 WHO表示値 IU/mL 80 100 測定値 IU/mL 測定値 IU/mL WHO直線性 7-12 各社の各試薬とも、 WHO標準品は表示値に 近い値で測定されていた。 (例外はある) 100 80 60 R13 R14 R15 R16 R17 40 20 0 0 20 40 60 WHO表示値 IU/mL 80 100 各社のキャリブレーター も、標準化の候補品とし て上げられるものは無 かった。 カットオフ値の比較・WHO標準品による補正 WHO標準品(12.5,25,50,100 n=12)の測定値と理論値との回帰式で求めた。 RF各社試薬基準範囲一覧 級幅: 1.0 データ数: 249'F87を除く( No メーカー 原理 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 MKI LIA A&T LIA ニッスイ LIA デンカ LIA シスメックス LIA 栄研 LIA ニットーボー LIA セロテック LIA 極東 LIA シスメックス TIA ニットーボー TIA ニッスイ TIA ベックマン 栄研 LIA オーソ デイド LIA MKI LIA Sysmex ノンパラメトリック 試薬名 (片側上方5%) イアトロ RFⅡ 0.0 ~ 21.6 イムノティクルスオートRF 0.0 ~ 4.6 オートLIARF「ニッスイ」 0.0 ~ 22.6 RF-ラテックスX1「生研」 0.0 ~ 14.3 リアスオート・RF 0.0 ~ 45.2 LZテスト栄研RF 0.0 ~ 31.6 N-アッセイLA RF 0.0 ~ 17.8 セロテックLAT-RFN 0.0 ~ 21.6 ランピアラテックスRFⅢ 0.0 ~ 14.6 RF免疫比濁試薬「コクサイ」0.0 ~ 23.6 N-アッセイTIA RF 0.0 ~ 15.8 オートTIA RF N96「ニッスイ」 0.0 ~ 22.6 IMMAGE RF 0.0 ~ 37.6 LX試薬栄研RF-Ⅲ 0.0 ~ 31.6 ビトロスマイクロチップRF 0.0 ~ 17.7 N-ラテックスRFⅡ 0.0 ~ 16.3 エルピアエースRFⅡ 0.0 ~ 18.5 パラメトリック法 0.3 0.4 0.1 0.7 0.1 2.1 0.1 0.1 0.4 0.1 0.1 0.6 0.1 2.1 1.0 3.5 0.3 ~ 32.9 ~ 1.1 ~ 12.0 ~ 18.1 ~ 73.0 ~ 28.7 ~ 10.1 ~ 15.4 ~ 1.1 ~ 9.5 ~ 15.5 ~ 25.0 ~ 25.5 ~ 28.7 ~ 16.6 ~ 13.8 ~ 37.9 ROC Cut off値 8.9 1.6 4.7 5.7 22.0 11.8 2.5 5.9 1.3 2.8 6.2 9.8 10.0 12.1 10.9 6.8 4.2 参考 健常値 20.0 5.0 15.3 18.0 11.2 20.0 11.0 23.0 20.0 21.0 10.0 15.0 20.0 10.0 12.0 15.0 10.0 データ数:250 MedCalc ノンパラメトリック ROC分析 (95Percentiles) Cut off値 0.0 ~ 22.4 6.8 0.0 ~ 6.9 1.6 0.0 ~ 23.1 5.5 0.0 ~ 14.4 9.1 0.0 ~ 45.5 22.0 0.0 ~ 23.2 11.2 0.0 ~ 18.5 6.9 0.0 ~ 24.4 6.4 0.0 ~ 15.2 1.7 0.0 ~ 24.7 6.3 0.0 ~ 17.8 6.2 0.0 ~ 23.3 9.8 0.0 ~ 40.4 10.0 0.0 ~ 32.5 11.2 0.0 ~ 17.6 11.0 0.0 ~ 16.7 6.8 0.0 ~ 18.2 5.7 9.47 CV(%) 41.8 WHO換算式で補正 データ数:250 MedCalc ノンパラメトリック ROC分析 (95Percentiles) Cut off値 0.0 ~ 20.4 5.3 0.0 ~ 6.2 2.4 0.0 ~ 17.2 4.8 0.0 ~ 15.3 10.1 0.0 ~ 36.6 18.0 0.0 ~ 18.4 9.0 0.0 ~ 20.6 8.5 0.0 ~ 21.8 7.0 0.0 ~ 15.3 1.7 0.0 ~ 31.1 12.7 0.0 ~ 16.7 5.6 0.0 ~ 29.5 16.6 0.0 ~ 33.2 13.8 0.0 ~ 29.9 12.1 0.0 ~ 16.1 10.1 0.0 ~ 14.4 7.1 0.0 ~ 16.1 2.6 8.15 CV(%) 38.6 ROCからのカットオフ値: 1.6~22.0 IU/mL WHOで補正してもROC解析カットオフで1.7~18.0 IU/mLとやや縮まるものの、 WHOを基準とすることに無理があることが示唆された。 各社RF試薬の基準範囲の設定と統一化へ向けての検証(2007年) 1.健診群の規定は、潜在基準値除外法(市原清志教授)を実施。 1) 日本人成人の血清であること 2) 肝機能検査(AST,ALT,GGTP,LDH)が正常であること 3) グロブリン(TP,ALB,ZTT)が正常であること 4) 炎症(CRP)が正常であること 5) 男女同数で目標検体数は男女各500例 2. 健診パネルおよびボランテイアパネルの作製 健常人プール検体:99本作成 1)1000人分の健診検体(各2mL)を使用した。 2)10社の試薬で測定後、試薬間のCVが100%未満の検体を選択。 3)10社の平均値が大きい順に並べ替えた。 4)平均値が大きい順に、約5-10本毎にプール血清(約20mL)を作製。 5)99本のプール血清パネルが作製された(うち5本はRF陽性)。 6)同じ方法で、ボランテイア検体293人分からパネル検体44本を作製。 ボランテゖゕ検体:44本作成 3. RA患者パネルの作製 1)72人分のRA検体(抗体価50~200 IU/ml)を収集。 2)10社の試薬で測定後、試薬間のCVが50%未満の検体を選択。 3)10社の平均値が大きい順に並べ替えた。 4)平均値が大きい順に、約10本毎にプール血清(約20mL)を作製。 5)6本のプール血清が作製された。 RF陽性プール検体:11本作成 各社RF試薬の基準範囲の設定と統一化へ向けて(臨床病理 57(1):31-41, 2009 ) 健常人'1,000人(の陽性率は5%以内 'アメリカリウマチ学会診断基準( 健常人、RA、慢性疾患、各200人 ROCによるcut off値設定は困難 健常人の陽性率5%の平 均値 をCut off値とする 各社RF試薬の基準範囲の設定と統一化へ向けての検証 1. 1) 2) 3) 4) 5) 健診群の規定は、潜在基準値除外法(市原清志教授)を実施。 日本人成人の血清であること ノンパラメトリック法に 肝機能検査(AST,ALT,GGTP,LDH)が正常であること よるcut off値(片側上方 グロブリン(TP,ALB,ZTT)が正常であること 5%) 炎症(CRP)が正常であること 検診検体: 14.8 IU/ml 男女同数で目標検体数は男女各500例 ボランティア:14.3 IU/ml 2. 健診パネルおよびボランテイアパネルの作製 1)1000人分の健診検体(各2mL)を使用した。 2)10社の試薬で測定後、試薬間のCVが100%未満の検体を選択。 3)10社の平均値が大きい順に並べ替えた。 4)平均値が大きい順に、約5-10本毎にプール血清(約20mL)を作製。 5)99本のプール血清パネルが作製された(うち5本はRF陽性)。 6)同じ方法で、ボランテイア検体293人分からパネル検体44本を作製。 健常人 陽性率5% (15 IU/ml) パネル検体: 14.8 IU/ml 3. RA患者パネルの作製 1)72人分のRA検体(抗体価50~200 IU/ml)を収集。 健常人パネルの陽性率 2)10社の試薬で測定後、試薬間のCVが50%未満の検体を選択。 を5%ととするcut off値 3)10社の平均値が大きい順に並べ替えた。 4)平均値が大きい順に、約10本毎にプール血清(約20mL)を作製。 5)6本のプール血清が作製された。 ②RF の全国サーベイ 全国81施設 4種類のプール血清 試料A: 陰性 6.2 U/ml 試料B :低値 29.9 U/ml 試料C :中等値 59.4 U/ml 試料D :高値 154.9 U/ml 偽陽性 20 低値陽性 試料B 29.9 IU/ml 陰性 試料A 6.2 IU/ml 10 5 0 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 0 10 20 30 基準範囲上限'カットオフ値( 偽陰性 20 30 基準範囲上限(カットオフ値) 15 10 5 0 40 低値陽性 試料B 29.9 IU/ml 10 偽陽性 20 15 0 カットオフ値を15 IU/mlに変更したら 25 25 陰性 試料A 6.2 IU/ml ○LA-NIA法 ○LA-TIA法 ○TIA法 0 45 40 35 30 25 20 15 10 5 0 0 10 20 30 基準範囲上限'カットオフ値( 40 偽陰性 10 20 30 基準範囲上限(カットオフ値) 日本臨床検査医学会プロジェクト研究「自己免疫検査の全国サーベとそれに基づく標準化の検討」(代表 熊谷俊一) RFの臨床的意義 1. 陽性、陰性が重要→診断、予後予測→健常人陽性率 5%を15 U/ml • 関節リウマチの診断:1987年改訂ACR分類基準7項目中の1項目 感度は70-80%、特異度は70-80%程度で、尤度比は3程度 • クリオグロブリン血症(Ⅱ型)の診断に必要 • 血清反応陰性脊椎関節症や成人スチル病:これらの疾患では、陰性であるこ とが診断に重要である • RF陽性RA患者は陰性RA患者に比べて関節破壊が進行しやすい 2. 抗体価が重要→診断、活動性や治療効果の判定 • ACR/EULAR 2009年改訂分類新基準では4項目中の1項目で、低値陽性の場合 は2点、高値陽性(カットオフ値の3倍以上)の場合は3点 • RF低値陽性(20-100 IU/ml)の場合の尤度比は2.0、中値(101-300 IU/ml) では2.9、高値(301 IU/ml以上)では4.8との報告がある • RF高値陽性(100 IU/ml以上)の多発関節炎の患者は低値陽性者や陰性者に 比べて、RAである、あるいは将来RAになる確率が高い • 長期的には活動性や治療効果判定の指標となる RFの抗体価とRAの診断 RA患者と慢性疾患患者の抗体値 抗体値と尤度比 1400 1200 1000 800 600 400 200 0 RA_RF 林 伸英、熊谷俊一ら CF_RF Bossuyt, X et al. Ann Rheum Dis, 68:287-289, 2009 ACR/EULARによる 関節リウマチの新しい分類基準(2009年10月) 腫脹関節 ≧1 No 現時点ではRA と診断できない Yes 他の疾患である No Yes 通常の画像診断で典型的なRA のびらんが確認できるか? No RAの診断基準表が 適応される 現時点ではRA と診断できない Yes RAと診断 73rd ACR Scientific Meeting 2009 in Philadelphia 日経メディカルオンライン ACR2009速報(2009年10月19日) 2009 ACR/EULAR Classification Criteria for Rheumatoid Arthritis 関節病変(腫脹または圧痛のある関節数) 中・大関節に1ヶ所あり 0点 中・大関節に2~10ヶ所あり 1点 小関節に1~3ヶ所あり 2点 小関節に4~10ヶ所あり 3点 1つの小関節を含む11ヶ所以上 5点 血清学的検査(自己抗体) 中・大関節:肩、肘、膝、股、足関節 小関節:手関節、MCP、PIP、MTP (2-5) RF、ACPAがともに陰性 0点 RF、ACPAのいずれかが低値陽性 2点 RF、ACPAのいずれかが高値陽性 3点 ACPA: anti-citrullinated peptide/protein antibodies 6週未満 0点 高値陽性: > 3x (基準範囲の上限) 6週以上 1点 滑膜炎の持続期間 炎症反応検査 CRP、ESRともに正常 0点 CRP、ESRのいずれかが異常 1点 Score ≥ 6 indicates “Definite RA” 25歳女性 関節病変(腫脹または圧痛のある関節数) 中・大関節に1ヶ所あり 0点 中・大関節に2~10ヶ所あり 1点 小関節に1~3ヶ所あり 2点 小関節に4~10ヶ所あり 3点 1つの小関節を含む11ヶ所以上 両手手指関節痛・腫脹 両膝関節痛・腫脹 5点 血清学的検査(自己抗体) RF、ACPAがともに陰性 0点 RF、ACPAのいずれかが低値陽性 2点 RF、ACPAのいずれかが高値陽性 3点 3 1 ( 2/3) ( 2/3) 0 0/1 1 1 6/7 4/5/6 滑膜炎の持続期間 6週未満 0点 6週以上 1点 炎症反応検査 CRP、ESRともに正常 0点 CRP、ESRのいずれかが異常 1点 2009 ACR Clinical Symposium (Oct 18, 2009) 各社RF試薬の基準範囲の設定と統一化へ向けての検証 1. 1) 2) 3) 4) 5) 健診群の規定は、潜在基準値除外法(市原清志教授)を実施。 日本人成人の血清であること 肝機能検査(AST,ALT,GGTP,LDH)が正常であること グロブリン(TP,ALB,ZTT)が正常であること 炎症(CRP)が正常であること 男女同数で目標検体数は男女各500例 2. 健診パネルおよびボランテイアパネルの作製 健常人プール検体:99本作成 1)1000人分の健診検体(各2mL)を使用した。 2)10社の試薬で測定後、試薬間のCVが100%未満の検体を選択。 3)10社の平均値が大きい順に並べ替えた。 4)平均値が大きい順に、約5-10本毎にプール血清(約20mL)を作製。 5)99本のプール血清パネルが作製された(うち5本はRF陽性)。 6)同じ方法で、ボランテイア検体293人分からパネル検体44本を作製。 ボランテゖゕ検体:44本作成 3. RA患者パネルの作製 1)72人分のRA検体(抗体価50~200 IU/ml)を収集。 2)10社の試薬で測定後、試薬間のCVが50%未満の検体を選択。 3)10社の平均値が大きい順に並べ替えた。 4)平均値が大きい順に、約10本毎にプール血清(約20mL)を作製。 5)6本のプール血清が作製された。 RF陽性プール検体:11本作成 各社で算出されたRFカットオフ値と共通のRFカットオフ値15IU/mLとの比で補正したところ、 カットオフ値前後から57 IU/mlまでの測定値には補正効果が見られた。65〜138 IU/mLの間で は補正効果が見られなかったが、高低順位は比較的保たれていた。 RFパネル検体の反応性 RFパネル検体の反応性'補正後( 45 IU/ml 400 各社のRF濃度'IU/mL) 350 300 250 200 150 100 50 0 157 146 138 103 82 77 65 57 17試薬の平均値 40 22 18 L E K H I C M G D J P F Q N A O B 400 350 各社のRF濃度(IU/mL) 45 IU/ml 300 250 200 150 100 50 0 157 146 138 103 82 77 65 57 17社の平均値 陽性プール検体(50 IU/ml)を用いた補正が可能? 40 22 18 L E K H I C M G D J P F Q N A O B 新しい標準化のシステムの提案 1(カットオフ値15 IU/mlに設定と統一 1,000人以上の検診検体から健常人を選別 試薬間のCVが100%未満の検体を選択 抗体価順に数検体ずつまとめ、プール血 清100以上からなるパネルを作成、陽性率 5%を15 IU/mlとする 1)パネル血清の作成 a) 日本人成人の検診検体で、肝機能検査やグロ ブリン、CRPが正常であること b) 高齢者は除外し、各年代男女各500例 c) 試薬間のCVが100%未満の検体を選択 d) 健常人プールパネルを作成し、陽性率5% (以内)を15 U/mlとする 3)検診検体プールパネルの維持 ボランテゖゕ 300人パネルを凍結保存し、健常 人パネルを更新した場合の検証に使用 2(100 IU/mlの設定と統一 RA患者血清'100 U/ml前後(を集め、CVが 50%未満の検体を選別する 数本ごとにプールして、50 U/ml, 100 U/ml, 150 U/mlの標準リファレンス血清を作成し、これをもと に、100 U/mlまでの値を決定 4)RF陽性リフゔレンス血清(100 U/ml前後) 関節リウマチ患者血清(100 U/ml前後)を収 集し、6社以上の試薬の変動係数が少ない検体 を、10本ごとにプールして、50 U/ml, 100 U/ml, 150 U/mlのリフゔレンス血清を作成 プール血清パネルの作成と配布が急務