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『やるべきこと』の整理
スモールカンパニーのメリットを活かせ! 第 2 部 第 4 回 060131.doc 晴 1/3 作成者:小松崎 雅 ■第 2 部 流 通・小売 業 地方 (立 地する マーケット)再生への コラボレーション ― 物 売りからの脱 却 基 幹 産 業としての機能 確 立へ ― 第 4 回 マーケットから 見 た『やるべきこと』の整理 1. マーケットの変 化 マーケットの変 化を整 理すれば、我々が向 かうべき方向 を知 ることは容 易である。 ①人 口 動 態 (人 口 減 少、少 子 高齢 化)、世 帯 形態 a. 商 圏 の高 齢 化 と商 圏 人 口 の減 少 b. 高 齢 化 (行 動 半 径 が狭 まる)に伴 う商 圏 の 縮 小 と消 費 量 の 減 少 c. 単 身 世 帯 の 増 加 に伴 う購 買 量 の減 少 d. 地 方 の 過 疎 化 と 都市 への 人口 集 中 ②インターネットの普及 a. 目 に見 えない相 手との 24 時 間 365 日の競争 b. 商 品の価格 比 較・消 費 者レビュー 情 報など (価 格 比較 サイト)による 購入チャネル・商 品 選 択 方 法 の変 化 c. ゲリラ的 な超 低価 格 (価 格 比較 サイトに例え 1 個限 定でも 超低 価 格が提 示 されるとインターネット上 ではその商 品 の最 安 値 として表 示 され てしまう)による商 品 価 格 形 成 の変 化 d. ミニコ ミのマスコミ化(一 部 の書 き込み情 報も全 国 ネットで配信 される) ③消 費 者 の習 熟 ・プロ 化 ・インターネットによる情報 武 装 a. 豊 富 な商 品 購 入 情 報に基づく 購 買行 動の変化(選択 肢の多 様 化) b. 消費 者の 2 極 化(1億 総 中 流 から 高 所 得 者と低 所 得 者への 分 化)と消 費の 2 極 化(贅 沢にお 金 をか ける 買 物 ものと切 り詰 める 買 物 が明 確 に分 かれる) c. 自 己 実 現 型 ・参 加 型 消 費 への 移行 要 するに、商 圏 は縮 小 し、商 圏 人 口 も減 少 する 。高 齢 化 により消 費 量 は減 り、単 身 世 帯の増 加 により購 買 量 は減 少する 。さらに消 費 者 はお 金をかける買 物と切 り詰 める 買 物を明 確 に分ける から 、これまでのように単 純な『量 的拡 大』は難しく なる 。 競争 は『量的 競 争 (パワーゲーム)』と『質的 競争(マーケットに適 合)』に 2 極化する。 大 資 本 は質を取り込む必 要 性を感じながらも最 終 的には 量 的 競 争へと向かっている。 小 さな企 業 は『潜 在 マーケットにチャンス を 見 出 し、誰 にも 気 付 かれないうちに 大 化 け する』か『マーケットの隙 間をぬって生き残る』道を模 索することになる。 2 極 化 した 消 費 者 (ターゲット)、2 極化した 消 費(オケージョン)という環 境 の中で、マーケ ット (=ターゲット³オケージョン)的 視 点 から 消 費 者 ニーズ を満 たす (= ソリューション)よ うな事 業へ変 革する しかない。 2. 新 規 事 業 開 発 的 視点から 見た新しい 事業 展開=コラボレーションのパターン (1)商 品ラインロビングの限 界 アメリカでは 、業 態 論 の基 本 は 商 品 の『 購 買 頻 度 』にある 。高 頻 度 に購 入 する 食 品 や 消 耗 雑 貨 は自 宅 近 くの NSC、低 頻 度でしか購 入 しない家 具や家 電 製 品 は、いろいろ な店舗 ・商品が一 度 に揃う大 型 の RSC(あるいは SRSC)、というように購 買 頻 度によっ て商品 ・立地・規 模 =業 態 が決まる 。 一 方 、日 本 の業 態 はアメリカを手 本 にしている はず なのに 、何 故 か『購 買 頻 度 』ではな く『商 品 ライン(構 成 )』がベースであ る。 アメリカでは 非 食 品 の GMS やデパートメントストアも日本 では (広 域 商圏を持つターミ ナル 立 地 でありながら)食 品が集 客、売 上の重要な柱 となっている。 『どのような商 品 の組 合 せが 集 客 や売 上 アップに有 効 か』ということが業 態 のベースで スモールカンパニーのメリットを活かせ! 第 2 部 第 4 回 060131.doc 晴 2/3 作成者:小松崎 雅 あり、さまざまな業 態は、店 舗 規 模 の拡 大 とともに商 品 のラインロビングによって発 展 ・ 拡大 してきた(CVS は店 舗 規 模の拡 大はなく、ラインロビングのみ)。 だからこそ 、業 態 =商品 ラインの組 合せと いう発想からなかなか抜け出せない。 しかし、これからの時 代は商 品ラインを組み合わせ る(ラインロビング)ような単純 な業 態 論 ではなく、さまざまな『機 能 』を組 み合 わせ た『事 業 』を創 造 していかなければ変 化 す る消 費 者 ニーズに応えることはできない。 商 品 ラインの水 平 統 合 、メーカー・卸 ・小 売 の垂 直 統 合 という従 来の発 想 ・手 法 だけで 変 化 する 消 費 者 ニーズ に応 える ことは 難 しく、小 売 業 の中 から 消 費 者 ニーズ を的 確 に とらえたビジネスがなかなか生 まれてこない 理由もその辺 にあると考えられる。 従 来の『物をつく り』『 流 通 させ 』『 販 売する 』という枠 組 みの 中でしか物 事をとらえること ができないから『新 しい 事 業=消 費者ニーズ=困っていること、不 便に思っていることを 解決 する 』という発 想で物 事 に取組むことができない。 いまから 10 年 ほど 前、CVS の店 舗数が増 えて『飽和 状態 だから成 熟』と騒 がれたこと がある。しかし、歴 史 的 に見 ると業 態 は成 熟 すると必 要 に応 じて 分 化 する し、そこから 新しい 業態(あるいは反 面 教師 として新 しい 業態 のヒント・アイデア)が生まれ てく る。 アメリカで SM の中 がさまざまな業 態に分 化 し、業 態 より 上の分 類概 念 である業 種だと 言われたのはいまから 20 年ほど 前のことである。すでに同 様のことがさまざま業 態で 起こって もおかしくないくらいの時 間は過ぎて いる 。 競 争 が 激 しくなれば、生 き残 るために『立 地 』『 店 舗 面 積 』『 商 品 構 成 』『 サービス』など 競合 他 社とは 異なる 方 向 へ向 かうのは当然 である。 CVS は、資 本が商 社へ移 行し、セブンイレブン の呪 縛から 解 き放たれてはじめて業 態 分 化が始まった。しかし、多 くの 業 態では未 だに 物 売 り発 想から 抜 け出 せないため、一 番 企 業 の呪 縛 (店 舗 数 や売 上 といった規 模 だけで追 いつこうとする)から 逃 れられずに いる 。いつまで経 っても一 番 企 業 への 追 随 だけでは業 態 が分 化 することも 、業 態 が 進 歩・発 展 することもない。同 質の競争は停 滞 を生み、業 態は衰 退 する 。 (2)機 能統 合 というコラボレーション 例えば 『ペット』というジャンルでとらえると、過 去の水 平 統合は生体 にフード、用 品が加 わる 、あるいは犬 ・猫 に小 鳥 ・小 動 物 、魚 などが 加 わるという商 品 ラインの総 合 化 であ る。垂 直 統 合 もフードや用 品の中から 消 費 量 の多い商 品を中 心にして小 売・卸・メーカ ーが提携 して 一緒 につくるというもの である。 しかし、その 程 度 のことでは現 在 の消 費 者 ニーズ に応 えることは 難 しい 。習 熟 し、専 門 志 向 の 強 いマニアと化 した 消 費 者 には 、一 般 的 品 の総 合 化 や量 産 商 品 は興 味 の 範 疇にない。 ここで言 う『機 能 統 合 』はペットショップ(生 体 、フード、用 品 )にトリマー、獣 医 が付 くとい う単 純 なものではない。 例 えば 、犬 の ライフサイクルに応 じた マーケットを見 ると 『交 配 』『 幼 犬 』『 成 犬 』『老 犬 』 『メモリアル』などがある。 『幼 犬 』であれば飼 う上 で最 低 限 必 要 になる躾 (および躾 け方 とその 理 由 )、犬 の 特 性 から 見 た社 会 性 のトレーニング (およびトレーニング方 法 とその理 由 )などが飼 い主 と犬 両方 に対 して 必要 になる。 家 の中 で飼 えば 、床 や壁 、家 具 などの傷 、あるいは毛 や臭 いの問 題 など ペットショップ の枠 を 超 えた 住 空 間 =リフォーム 業 者 や家 具 店 でなければ対 応 の難 しい問 題 もある (ただし、これらのジャンルにペットに対 応 できるノウハウを持つ専 門 店はない)。 スモールカンパニーのメリットを活かせ! 第 2 部 第 4 回 060131.doc 晴 3/3 作成者:小松崎 雅 ビューティケア は、トリマーが対 応 できる範 疇 の他 、衣 類 に関 する 問 題 や毛 の艶 ・目 の 輝 きなどヘルスケアと関 連 する 問 題 もある。ヘルスケアにしても、獣 医 が全 てを 見 られ るわけではなく 、日 常 的 な運 動 や食 事 、老 犬 に対 する 介 護 、社 会 に適 応 できているか どうかというメンタリティまで 含 めた ケア が必 要 にな る。 すでに『人間 社 会、あるいは家 庭 生 活 の中に家族の一 員(あるいはそれ以 上の存 在)と して 存 在 』していることを考 えると、従 来の『犬 を飼う』という概念 ではとらえきれない多く の状 況 がある 。 したがって、『 犬 のフードや用 品 の販 売 』とい う従 来 の枠 組 みの 中 での ビジネスには 限 界があり、その 枠 組みを 超えた 所にこそ 新たな ビジネスチャンスがあると考えられる。 さまざまな機 能 を 統 合 し、消 費 者 の日 常 生 活 の 中 にある『困 っているこ と』『不 便 なこ と』に対 応 することが重 要な意味を持つ時 代 になっている。 このようなことは 、ペットに限 らず 我 々の 身 近 に多 々起 こっている状 況 的 変 化 と言 って もよいだろう。従 来の枠 組 みが実 態 の変 化についていけない状 況 こそマーケットのチャ ンス は大きい 。 我々の健 康 問 題も、医 療 費 抑 制 の必 要 性から 『セルフメディケーション』ということが 盛 んに 言われている。しかし、言 葉 が使われているのはドラッグストア業 界だけであり、医 食同 源 と言われる食 品を主 に扱う SM やスポーツセンター、地域 (自 治 体)など がコラボ レーションして 具 体 的 な事 業 (日 常 的 な食 事 、運 動 、生 活 など 総 合 的 な教 育 ・指 導 )に 取組 んだという話は聞 こえてこない。 夕 方 になれば 犬 を散 歩 させる人 、ウォーキング やジョギングをする 人 など をたくさん 見 かける。それぞれがテレビや雑 誌 、インター ネットなどから断 片 的 に知 識 を取 入 れ、自 己 流で行っているのだろう。ややもすると間 違ったやり方を正しいと思って 続 けているケ ース があるかも 知 れない。 かつて、自 分が飼 っている猫 のことをもっとよく知 りたい、もっときちんと飼 ってあげたい という理 由から 大 学に通 いながらペット関 係 の専 門 学 校 へ通 っていた女 子 学 生 がいた。 ただでさえ理 工系の授 業 は大 変であるのに、さらにペットのために専 門 学校の授 業料 ・ 学 校 に通 う時 間 ・さまざまなことを 理 解 するための努 力 など多 くの 犠 牲 を 払 うというの が、現 在 の消 費 者 像 を象 徴しているように思 える 。 あまりにも極 端 な例 のように 思 えるかもしれないが、基 本 的 には大 同 小 異 、皆 同 じ価 値 観 の延 長 上 にあると考 えてもよいのではないだろうか。我 々の身 近 に多 々見 受 けら れる 信 じがたい消 費 者 行 動 の変 化 は果 てしなく広 がる マーケットの可 能 性 を暗 示 てい る。 マーケットの変 化 を理 解 することさえ できれば『機 能 統 合 』から 新 たな ビジネスチャンス を見 出 し、これまでの枠 組みから抜け出すことができる。 水 平 統 合 、垂 直 統 合 に変 わる 『機 能 統 合 』こそが 今 後 重 要 な意 味 を持 つようになるだ ろう 。 やるべきことは、身 近にある消 費者の変 化(新しい ニーズが生まれている)に対 応できる 事業 に取 組むことである。