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COP15 の今後
COP15 の今後 エネルギー計画担当 法的拘束力はないものの、新議定書の交渉期限を明記 寺島達成 した文書「COP決定」を採択する案が浮上している。 COP15の二日目、12 月 8 日議長国デンマークがめ 12 月7日に始まった第 15 回国連気候変動枠組み条 約締結国会議(COP15) は、地球温暖化防止対策の方 向を左右する重要な岐路になると考えられている。 現状は、先進国と新興、途上国間の対立は激しく、 ざす政治合意案が判明した。 その内容は、温室効果ガス排出を減らす長期目標と して、2050年までに世界全体で「1990年比で 半減」と明記。途上国全体についても削減割合を決め、 一方では排出量第 1、2 位である中国、米国を参加条 総排出量が減少に転じる年を盛り込むとした。これで 件にした次期枠国の具体像は見えて来るのだろうか。 は京都議定書で削減義務を負わない途上国が反発を 日本経済新聞は 3 パターンのシナリオを想定してい る。 強め、交渉が難航するのは必至だ。 議長国案は「コペンハーゲン合意」と名付けられた。 シナリオ①:米中も参加する新たな議定書の策定で合 冒頭、締約国が共有するビジョンとして、産業革命以 意。 来の気温上昇を2度以内に抑えることをめざし、野心 ポスト京都議定書についてすべての国が一つの議 的行動をとることを約束すると提示。2013年以降 定書のもとで排出削減行動の規定を求めている。20 の地球温暖化対策の国際的な枠組み(ポスト京都議定 年までに 90 年比で合意できれば日本は 90 年比で 書)の柱となる削減目標については、2050年まで 25%削減という具体的な行動に移らなければなら の長期目標とした世界全体で「90年比で半減」を達 なくなる。 成するため、先進国全体で「80%以上削減」をめざ シナリオ②:京都議定書を延長し米国や中国および新 すとしている。また、先進国の国別の20年までの中 興・途上国は別の枠組みで対応。 期目標については空欄としており、合意の付属書にそ そもそも今の温暖化問題は「先進国が引き起こした れぞれの国の目標値を書き込むとしている。国別目標 問題」とする中国やインドを含む途上国は、「共有 の基準年については、90年比と05年比の2通りで する責任」は受け入れ難く結果として、今の議定書 示すとしている。 の参加国の目標を引き上げて延長し、米中を含め参 加していない国に一定の規制をかけるという構想。 シナリオ③:米中は参加せず。 一方、途上国全体の排出量については、温暖化対策 を特に取らなかった場合に見込まれる排出量と比べ て20年までに削減する割合や、排出量が減少に転じ 具体的例として実現視されているのが「議定書の単 る年を明記。島国やアジア・アフリカなどの最貧国を 純延長論」である。議定書の内容はそのままで日欧 除き、途上国は自国 等先進国の目標を引き上げるにとどめる。 この場 が定めた削減計画を国連に自主的に登録する仕組 合米中は削減義務を負わない。この案は 12 年に迫 みを設けるとした。途上国に対する先進国による資金 る議定書の期限を前に暫定的な対応として浮上し 支援策は、12年までの支援策については、先進国の ている。この場合日本は 25%削減の目標をかなり下 国別拠出額の一覧表をつくり、その合計額を明記する。 げるというのが一般的な見方である。 13年以降については「気候基金」を設け、排出量や 今回の COP15 の開催以前から議長国デンマークは 国内総生産(GDP)に応じ各国が拠出する仕組みと 「拘束力のある政治合意」を提案していた。 する。また、法的拘束力のある新たな議定書など、ポ 政治合意には、(1)先進国の削減目標(2)途上 スト京都の枠組みを最終的に固める期限も盛り込む。 国の削減策(3)環境技術を途上国に移転する仕組み COP15では議長国案を土台とし、各国の批准手続 (4)途上国への資金支援策などを盛り込む方向。こ きが必要ない「COP決定」という文書の採択をめざ れらは相互に関連する課題であるとして、最終的には している。 包括合意が図られることになろう。つまり、個別問題 ごとのトレード・オフを勘案しながら政治的妥結を図 る「パッケージ・ディール」である。首脳宣言に加え、 次ページに 12 月 3 日現在の各国が自主的に提示し た削減量を示す。 国名 2005年比 1990年比 日本 アメリカ 17% 25% 全ての主要国が高度に意欲的な 協定に参加することが条件。 4% 世界第2位の排出国 他の先進国が続くならば30%に引 20% き上げる 大統領は同意したとされるが公式 20~25% 発表ではない。 EU連合 ロシア カナダ 20% 3% オーストラリア 25% 24% ノルウェー 30% ニュージーランド 10~15% 国名 2005年比 1990年比 中国 40~45% インド 20~25% インドネシア 韓国 メキシコ 備考 26% 4% 8% カーボンニュートラルの実現も目 指す。 備考 11月26日、GDPあたりの二酸化炭 素排出量を2020年までに2005年 比で40%~45%削減すると発表。 世界第四位の排出国。12月3日に ラメシュ環境相が発表 国際支援が得られれば最大41%ま で引き上げると表明している 李明博大統領は11月17日の閣議 で