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ガイドラインの 基本的事項
ガイドラインの 基本的事項 16 * ガイドラインの基本的事項 ガイドラインの基本的事項 Ⅰガイドライン作成の経緯とその独自性 本ガイドラインは,平成 19 年に日本小児血液学会(以下,当学会)の事業として当 学会のがん診療ガイドライン委員会が作成を担当し,「小児白血病・リンパ腫の診療ガ イドライン 2007 年版」と題して金原出版より発行された。今回の改訂ガイドライン作 成事業は平成 21 年 4 月から同ガイドライン委員会により開始され,その後 2 回のパブ リックコメントを受け,最終的に当学会理事会の承認を受けている。原稿の執筆は当学 会評議員を中心に,それぞれの分野に造詣の深い医師が担当した。編集作業は当学会の がん診療ガイドライン編集委員である鶴澤正仁(リンパ腫および監修),堀部敬三(支 持療法および監修) ,花田良二(急性リンパ性白血病),多和昭雄(骨髄性白血病および 骨髄異形成症候群) ,菊地陽(支持療法)が担当し,駒田美弘がその評価を担当した。 本事業は,日本癌治療学会がん診療ガイドライン作成事業の支援を受けており,作成 費用の一部は厚生労働科学研究費補助金「がん診療ガイドラインの作成(新規・更新) と公開の維持およびその在り方に関する研究」(平田班)の支援を受けている。なお, 他団体からの影響は一切受けていない。利益相反については,平成 21 年制定の一般社 団法人日本癌治療学会定款施行細則第 4 号(がん臨床研究の利益相反に関する指針運用 規則)に従った。本ガイドラインの作成委員ならびに評価委員は,自己申告された調査 票により特定の企業・営利団体との関与はなく,申告すべき該当項目はないことが確認 されている。 Ⅱガイドライン作成の基本的な考え方とその対象者 小児急性白血病に代表される小児造血器腫瘍は化学療法の進歩により,その予後が著 しく改善してきた。この治療成績の向上は治療前に患者の予後(再発リスク)を推定し て,それに適した治療を選択・実施する層別化治療の進歩によるところが大きい。した がって本ガイドラインでは,小児血液腫瘍の診療担当医を対象として,病名・病期・表 面免疫マーカー・病理診断・分子遺伝学的診断および初期治療反応性などの情報に基づ き選択すべき推奨治療を例示して,その解説を行った。このように本ガイドラインの直 接的な対象者は小児血液腫瘍の診療担当医を想定しているが,ガイドラインの主要な内 ガイドラインの作成方法と構成 * 17 容は学会ホームページなどを通じて一般にも公開されるので,担当医は必要に応じて患 者とその家族にもガイドラインの内容をわかりやすく説明することが強く望まれる。 本ガイドラインは,出版後 1 年以内をめどに日本小児血液学会(2012 年 1 月より日 本小児血液・がん学会)および日本癌治療学会のガイドラインホームページ上に公開予 定とする。本ガイドライン内容の改訂は 3〜4 年後の 2014/2015 年(平成 26/27 年)を 予定している。 Ⅳガイドラインの作成方法と構成 1)作成形式 ・エビデンスに基づいたガイドラインである。 ・クリニカルクエスチョン(CQ)形式とし,章立てを行った。 ・CQ ごとに推奨治療を例示し,その説明を行い,必要に応じて概説や背景の説明を加 えた。 ・診療アルゴリズムを作成した。 2)エビデンスレベルと推奨グレード 本ガイドラインでは,治療の方針(推奨)となる根拠には以下の基準に基づいた推奨 グレードが付記されており,すべての項目の推奨グレードは 5 名の編集委員全員の合意 に基づき決定されている。また,エビデンスレベル分類が明確な論文には文献の末尾に 該当する分類が付記されており,これらは数値が低いほどよりしっかりした根拠に基づ いた提言になっている。国内外の学会や厚生労働省などが公開しているガイドラインな どは「参考にした二次資料」として記載されている。 推奨グレード(勧告の強さ) A 行うよう強く勧められる B 行うよう勧められる C 行うよう勧めるだけの根拠が明確でない D 行わないよう勧められる ガイドラインの基本的事項 Ⅲガイドラインの一般公開と改訂の予定 18 * ガイドラインの基本的事項 エビデンスレベル分類 Ⅰ システマティック・レビュー/メタアナリシスによる Ⅱ 1 つ以上のランダム化比較試験による Ⅲ 非ランダム化臨床試験による Ⅳ 分析疫学的研究(コホート研究や症例対照研究)による Ⅴ 記述研究による Ⅵ 患者データに基づかない専門委員会や専門家個人の意見による 3)文献検索と文献採択 クリニカルクエスチョン(CQ)が初版のガイドラインの更新の場合は,原則として 最初に medline による過去 4 年間(2007〜2010)のシステマティックな文献検索を行 い,初版のガイドラインで引用された文献とあわせて重要と思われる文献を採択した。 次にこれ以外の方法で検索した文献,専門学会・研究会や厚生労働省の研究班などの報 告書を参考にして,特に関連が深いと思われる文献を追加した。 初版のガイドラインにはない CQ の場合は,原則として medline による過去 10 年間 (2001〜2010)のシステマティックな文献検索を行い,次に上記と同様の方法で検索し た文献,報告書などを参考にして,特に重要と思われる文献を追加した。「支持療法ガ イドライン」の場合は,CQ 項目に関連するキーワードが多岐に及び medline によるシ ステマティックな文献検索方法は適用が困難であるため,最初に国内外の学会の指針や ガイドライン,厚生労働省の研究班報告書,および教科書・参考書などを中心に選択 し,これらを「参考にした二次資料」として記載した。これに加えて medline などで 検索した一次資料は文献として記載した。最終的な文献採択はすべて 5 名の編集委員全 員で協議して全員の同意に基づき決定した。小児の血液腫瘍はすべてが希少疾患であ り,大規模なランダム化比較試験は実施困難である場合が多いため,選択基準はエビデ ンスレベルのみではなく,臨床的有用性も加味して判断した。 すべての領域の文献のなかで推奨と関連が深く重要な論文は,その内容を解説するた めに構造化抄録を作成した。これらは文献末尾に表記してあるが,紙面の制限上本書と は別に学会のホームページ上に掲載予定であるのでそちらをご参照願いたい。 4)診療アルゴリズム 本 ガ イ ド ラ イ ン に は, 小 児 の 急 性 リ ン パ 性 白 血 病(ALL), 急 性 骨 髄 性 白 血 病 (AML) ,骨髄異形成症候群(MDS) ,リンパ腫および治療に必要な支持療法に関して 計 11 種類の診療アルゴリズムを掲載した。 ガイドライン作成委員 * 19 Ⅴガイドラインの外部評価 本ガイドラインは,平成 23 年 8 月 22 日に日本癌治療学会がん診療ガイドライン評価 23 年 10 月 21 日に再審査を受けている。 Ⅵガイドライン作成委員 【編集委員】 鶴澤 正仁 愛知医科大学医学部小児科 花田 良二 埼玉県立小児医療センター血液・腫瘍科 多和 昭雄 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター小児科 菊地 陽 帝京大学医学部小児科 堀部 敬三 独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター 【内部評価者】 駒田 美弘 三重大学大学院医学系研究科小児発達医学分野 【執筆担当者】 永利 義久 独立行政法人国立病院機構福岡病院小児科 1.専門分野:小児血液・腫瘍 2.ガイドライン担当領域:ALL 花田 良二 埼玉県立小児医療センター血液・腫瘍科 1.専門分野:小児血液・腫瘍 2.ガイドライン担当領域:ALL 【ALL 領域編集責任者】 佐藤 篤 宮城県立こども病院血液腫瘍科 1.専門分野:小児血液・腫瘍 2.ガイドライン担当領域:ALL 河崎 裕英 関西医科大学小児科 1.専門分野:小児血液・腫瘍 2.ガイドライン担当領域:Ph 陽性 ALL 石井 榮一 愛媛大学大学院医学系研究科小児医学 1.専門分野:小児血液・腫瘍 2.ガイドライン担当領域:乳児 ALL 富澤 大輔 東京医科歯科大学医学部附属病院小児科 1.専門分野:小児血液・腫瘍 2.ガイドライン担当領域:乳児 ALL ガイドラインの基本的事項 委員会の評価を受け,そこで得られた助言・示唆に基づき,さらに改訂を行い,平成 20 * ガイドラインの基本的事項 堀部 敬三 独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター臨床研究センター 1.専門分野:小児血液・腫瘍 2.ガイドライン担当領域:思春期・若年成人 ALL 小川千登世 聖路加国際病院小児科 1.専門分野:小児血液・腫瘍 2.ガイドライン担当領域:再発 ALL 加藤 剛二 名古屋第一赤十字病院小児医療センター血液腫瘍科 1.専門分野:小児血液・腫瘍 2.ガイドライン担当領域:ALL と造血幹細胞移植 鶴澤 正仁 愛知医科大学医学部小児科 1.専門分野:小児血液・腫瘍 2.ガイドライン担当領域:ALL と微小残存病変(MRD) ,思春期・若年成人リンパ腫 【リンパ腫領域編集責任者】 多和 昭雄 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター小児科 1.専門分野:小児血液・腫瘍 2.ガイドライン担当領域:AML 【AML/CML/MDS 領域編集責任者】 工藤 寿子 静岡県立こども病院血液腫瘍科 1.専門分野:小児血液・腫瘍 2.ガイドライン担当領域:AML 東 英一 三重大学医学部附属病院小児科 1.専門分野:小児血液・腫瘍 2.ガイドライン担当領域:AML と造血幹細胞移植 足立 壮一 京都大学医学研究科人間健康科学科 1.専門分野:小児血液・腫瘍 2.ガイドライン担当領域:再発 AML 高橋 浩之 済生会横浜市南部病院小児科 1.専門分野:小児血液・腫瘍 2.ガイドライン担当領域:APL 多賀 崇 滋賀医科大学小児科 1.専門分野:小児血液・腫瘍 2.ガイドライン担当領域:Down 症候群と AML 嶋田 博之 慶應義塾大学医学部小児科 1.専門分野:小児血液・腫瘍 2.ガイドライン担当領域:CML 黒澤 秀光 獨協医科大学医学部小児科 1.専門分野:小児血液・腫瘍 2.ガイドライン担当領域:CML と造血幹細胞移植 ガイドライン作成委員 * 21 真部 淳 聖路加国際病院小児科 1.専門分野:小児血液・腫瘍 2.ガイドライン担当領域:MDS 1.専門分野:小児血液・腫瘍 2.ガイドライン担当領域:リンパ腫 中澤 温子 独立行政法人国立成育医療研究センター病院病理診断部 1.専門分野:小児腫瘍病理 2.ガイドライン担当領域:リンパ腫 菊地 陽 帝京大学医学部小児科 1.専門分野:小児血液・腫瘍 2.ガイドライン担当領域:非ホジキンリンパ腫,発熱性好中球減少症,TLS 【支持療法領域編集責任者】 角南 勝介 成田赤十字病院小児血液腫瘍科 1.専門分野:小児血液・腫瘍 2.ガイドライン担当領域:非ホジキンリンパ腫 古賀 友紀 九州大学病院小児科 1.専門分野:小児血液・腫瘍 2.ガイドライン担当領域:ホジキンリンパ腫 小林 良二 札幌北楡病院小児科 1.専門分野:小児血液・腫瘍 2.ガイドライン担当領域:リンパ腫と PET 検査 三井 哲夫 山形大学医学部附属病院小児科 1.専門分野:小児血液・腫瘍 2.ガイドライン担当領域:再発リンパ腫 菊田 敦 福島県立医科大学附属病院臨床腫瘍センター小児腫瘍部門 1.専門分野:小児血液・腫瘍 2.ガイドライン担当領域:感染予防 太田 節雄 帝京大学ちば総合医療センター小児科 1.専門分野:小児血液・腫瘍 2.ガイドライン担当領域:真菌感染症 森口 直彦 近畿大学医学部堺病院小児科 1.専門分野:小児血液・腫瘍 2.ガイドライン担当領域:ウイルス感染症 前田 美穂 日本医科大学小児科 1.専門分野:小児血液・腫瘍 2.ガイドライン担当領域:赤血球・血小板輸血 ガイドラインの基本的事項 森 鉄也 独立行政法人国立成育医療研究センター腫瘍科 22 * ガイドラインの基本的事項 梶原 道子 東京医科歯科大学医学部附属病院輸血部 1.専門分野:小児血液・腫瘍,輸血医学 2.ガイドライン担当領域:凝固因子の補充 【日本小児血液学会がん診療ガイドライン委員会】 鶴澤 正仁(委員長),花田 良二,多和 昭雄,菊地 陽,堀部 敬三,駒田 美弘