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運動の習慣化支援モデル事業概要
障害者の運動の習慣化支援モデル事業報告書 はじめに 登米市内には,障害者に対するリハビリテーション提供施設はなく,また,施設からは肥満や心身 機能の低下に関する相談があることなどから,高齢者の介護予防事業を参考に, 障害者通所施設にお いて,心身機能の低下を予防する身体測定,運動プログラム等の検討を行ってきたので報告します。 1 2 障害者の運動の習慣化支援モデル事業実施要領 障害者通所施設調査結果 実施主体:東部保健福祉事務所登米地域事務所 管内 17 通所施設中 11 施設に 協力機関:登米市,宮城県リハビリテーション支援センター 聞き取り調査を実施しました。 11 施設中 10 施設でラジオ体 モデル施設:登米市内障害者通所施設 2 カ所 実施機関:平成 22・23 年度 操などを毎日実施し,そのうち 主な事業内容: 5施設は,他の運動も組み合わ (1)運動プログラム等の整備・検討・実施 ・障害者通所施設に対するアンケート実施 せて行っていました。 一方,身体測定は,血圧や体 ・障害者施設に対する研修会実施 重測定のみの施設が多く,体力 ・モデル施設における体力測定・運動プログラ 測定は握力測定が 1 カ所のみで した。 ムの検討及び実施 など (2)困難事例の相談体制の整備検討 (3)モデル事業報告会の開催等 3 モデル施設での身体測定・運動プログラム検討・実施 施設職員が運動指導を行うことを念頭に身体測定・プログラム検討及び職員研修を行いました。 検 討 内 容 実 施 内 容 4 研修 運動 ・健康管理の基礎知識 ・リスク管理 ・測定マニュアル 等 測定 ・単純な運動 ・音楽に合わせ誘導できる ・運動強度を調節できる ・簡易な運動の紹介 研修会の開催 健康講話の実施 ・計測時間・機器利用が少ない ・比較データ(年齢・性別別)有 ・測定結果を簡易に示せる ・簡易ソフト作成 登米市いきいき体操 ダンベル(玄米にぎにぎ体操 ・運動負荷増例の提示 ・一般データ・経過データと比較でき る結果表作成 モデル施設での取組 運動を行う時間を設け,毎日運動を行うとともに,年 4 回の身体測定を行いました。測定の結果 は,数字やグラフで本人・家族に伝えました。 A 施設 B 施設 施設の特徴 知的障害の方が中心 精神障害の方が中心 運動の状況 これまで運動(20 分程度)実施 これまでラジオ体操のみ ~4 週 いきいき体操 3 番まで ソフティボールを使った運動 いきいき体操(1 番のみ) ~8 週 〃 いきいき体操(2 番まで) ~12 週 〃 いきいき体操(3 番まで) ~16 週 〃 ~20 週 〃 健康講話 野菜をもっと食べよう いきいき体操(3 番まで) 玄米にぎにぎ体操 1 パターン いきいき体操(3 番まで) 玄米にぎにぎのパターンを変えて 間食の取り方 5 身体測定の結果 A 施設の身体測定では体重はやや減少し,他の項目は現状維持でした。体力測定では,柔軟性の 改善は見られましたが,ほかは現状維持,または,やや低下でした。 運動効果があまり見られなかった背景には,これまでも運動に取り組んでいたため,体力的には 維持レベルに到達していたと考えらました。 B 施設の身体測定では体脂肪率,骨格筋レベルの改善が見られました。体力測定では,全体的に 改善していました。 A 施設 11 名の 1 年の変化の比較 約1年の変化(人数・平均値) ステッピング 握力 6 30.0 25.0 20.0 70.0 50.0 60.0 40.0 50.0 40.0 15.0 30.0 10.0 20.0 5.0 10.0 0.0 0.0 60.0 2.50 50.0 2.00 40.0 1.50 30.0 20.0 10.0 0.0 長座体前屈 3.00 cm 悪化(平均) 7人 -2.9kg 7人 -5.1回 6人 -13.5秒 5人 0.9秒 3人 -11.8cm 秒 改善(平均) 維持 4人 3.3kg 3人 11.3回 1人 4人 4.3秒 1人 6人 -0.3秒 8人 5.4cm 60.0 80.0 35.0 5m歩行 体力測定 握力 ステッピング 片足立ち 5m歩行スピード 長座体前屈 片足立ち 90.0 40.0 秒 悪化(平均) 2人 2.4kg 5人 1.30% 6人 1.2 7人 -38.4Kcal 5人 -0.7 3人 2.0 回 改善(平均) 維持 9人 -1.9kg 6人 -2.1% 5人 -0.8 3人 31kcak 1人 6人 -0.8 4人 -1.5 4人 kg 身体測定(カラダスキャン) 体重 体脂肪率 BMI 基礎代謝率 骨格筋レベル 内臓脂肪レベル B 施設 4 名の4回の測定値 30.0 1.00 20.0 0.50 10.0 0.00 0.0 モデル施設の職員・利用者の感想 ◆職員の感想 ・通所する事と,毎日ほとんどが椅子に座っての作業で身体を動かす機会が少なく,高齢者もお り動作が緩慢で,何か運動をしなければとの思いがあったが,実施することができなかった。 ・最初は,新しいことに取り組むことに戸惑っていたが,徐々に慣れ,生活の一部になった。 ◆利用者の感想 ・肩こりが良くなった。軽快なリズムにより動くことができた。 ・初めは何の意味があるのかと思った。 ・初回時の測定結果では,バランスが思わしくなかったが,続けてきたことで少しずつ良くなっ た感じがするので,大変嬉しい。今後も体操をやっていく!! ・続けて体操を実施したことにより,体の調子も良い。ダンベル少し軽かった。 ・初めは疲れた。回数を重ねることで慣れてきた。ダンベル少し軽かった。 ・自分の体重をはかってみて 、太りすぎだと気付いた 。お母さんに話してダイエットを始めた 。 7 考察 施設職員の運動指導により,施設利用者の運動の理解は早い段階で得られましたが,一つ一つ の動きの正確性は欠け,運動効果が現れにくい面も見られました。運動を行うことについては, 利用者が準備から率先して行う姿も見られ,スケジュールに取り込めば,継続性は問題になりま せんでした。 1 年を通じての運動プログラムの実施の結果を,身体測定の結果から考察すると,A 施設では 1 年前と比較して,ほぼ同じレベルを維持し,B 施設では改善した項目が多くありました。この 結果は,以前から運動を実施していたか,していなかったかの影響と思われ,継続して運動を行 うことにより,運動能力を維持する効果はあると考えられます。また定期的な身体測定は,本人 が運動や食生活を見直す機会になっており,意識付けの効果は大きいと思われました。 今後は,他の施設へも,運動の取組を普及させたいと考えています。