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専門ゼミI学生による試験問題作成
専門ゼミI学生による試験問題作成����������-健康運動実践指導者をめざして-��������������������� 【平成16年度,17年度,18年度入学生の合作】 各問題の正誤を答えなさい,誤の問題は誤っている箇所を正しく訂正しなさい。 1 【1】 1 健康づくりをすすめる施策のあらまし�-健康づくり施策概論-��(p1-2) 世界のあゆみ(p1) 世界保健機関(WHO)は1950年に設立され,WHO憲章は1948年につくられ た。 2 その中で「健康」とは,「単に病気でない,虚弱でないというのみなならず, 身体的,精神的に健全な良好な状態を指す」と記されている。 3 この定義は,健康に積極的な意味内容を与え「健康を積極的に実現する」こと から「病気になったら治す」向へと踏み出したものである。 4 1980年に旧ソ連のアルマアタで「プライマリ・へルスケア国際会議」を開催 し,「アルマアタ宣言」を出した。 5 アルマアタ宣言は,医療の重点をこれよでの高度医療中心から予防を含むプラ イマリ・ヘルスケアヘと転換するよう提唱するものであった。 6 1980年代後半に入ると,疾病の予防は個人の努力で実現できるものではな く,周りの人の協力が必要となってきた。 7 1986年には,WHOがカナダのオタワで「第一回ヘルスプロモーション会議」 を開催し「オタワ宣言」を出した。 8 オタワ宣言では,健康増進を個人の生活改善努力だけに限定せず,健康的な家 庭,地域社会,学校,職場をつくる身体的環境の改善も重要である。 9 1948年に世界保健機構(WHO)が設立された。 10 健康とは「単に病気ではないと言うのみならず,身体的,精神的,そして社会 的に完全に良好な状態を指す」と定義されている。 11 1978年に旧ソ連のアルマアタで「プライマリ・ヘルスケア国際会議」を開催 し,「アルマアタ宣言」を出した。 12 1986年には,WHOがカナダのオタワで「第一回ヘルスプロモーション会議」 を個催し「オタワ宣言」を出した。 13 「病気になったら治す」から「病気にならないように積極的に健康づくりを行 う」という考え方は,個人の努力だけでなく周産の環境整備も必要であるとい う考え方に発展した。 【2】 1 日本の歩み(p2) 第一次国民健康づくり対策の施策は「生涯を通じての健康づくりの推進」, 「健康づくりの基盤整備」,「健康づくりの普及啓発」である。 2 第一次国民健康づくり対策の政策により一次予防の体制が強化された。 3 第二次健康づくり対策は「一人ひとりが80歳になって生き生きとした生活を送 る社 会」をめざして策定されたものである。(アクティブ80ヘルスプ ラン) 4 第二次健康づくり対策は一次予防対策を推進したものである。 5 第二次健康づくり対策の開発に当たっては,「栄養,運動,休養の3要素のバ ラスのとれた生活習慣の普及啓発」と「国の政策による健康りくり整備」が柱 となる。 解答 6 アルマアタ宣言が行われたのと同じ1978年,我が国の厚生省は「第2次国民健 康づくり対策」を開始した。 7 第1次国民健康づくり対策により,2次予防(早期発見・早期治療)の体制が 大幅に強化された。 8 1988年,厚生省は「第2次健康づくり対策(健康日本21)」を開始した 9 第2次健康づくり対策は「一人ひとりが65歳になって生き生きとした生活を送 る社会」を目指して策定されたものである。(アクティブ65ヘルスプラン) 10 第2次健康づくり対策の開発に当たっては「栄養,運動,睡眠」の3要素のバ ランスがとれた生活習慣の普及啓発が含まれる。 【3】 1 健康日本21(p3) 健康日本21は壮年期死亡の減少,健康寿命の延伸および生活の質の向上を実 現することを目指している。 2 健康日本21は2000年∼2010年までの11年間を運動の期間としている。 3 2020年には4人に1人が老人という超高齢少子化社会になるといわれている。 4 生活習慣病の予防には食生活の改善が基本である。 5 2005年から政党主導で要介護者を減らし,健康寿命を2年延ばす「アクティブ 80ヘルスプラン」が開始された。 6 2000年4月から,厚生省は,第2次の国民健康づくり対策として,「21世紀に おける国民健康づくり運動(健康日本21)」を開始した。 7 わが国は,1984年から今日まで,平均寿命が世界一位の長寿国となってい る。 8 生活習慣が発症や進行に関与する,がん,心臓病,脳卒中,糖尿病などの生活 習慣病が増加し,2005年には死亡原因の6割を占めるとともに,多くの障害の 発症原因となっている。 9 厚生省は,健康日本21を国民運動として効果的に進行するため,「多様な経路 による普及啓発の推進」「推進体制の整備,地方計画への支援」「各種保険事 業の効果的・一体的推進」の3点を中心として各種施策を展開していくことと している。 10 「健康フロンティア戦略」の具体的内容は①女性の癌緊急対策,②介護予防10ケ年戦 略,③健康寿命を伸ばす科学技術の振興の3つである。 【4】 1 健康づくりの主な個別施策(p8) 健康運動実践指導者とは健康づくりのための運動の知識を有し,保健医療機関 係者と連携しつつ,安全かつ効果的な運動を実施するための運動プログラムを 作成し,指導を行うことである。 2 健康づくりのための身体活動・運動量の基準値は身体活動量:23メッツ・時 /週で,運動量:4メッツ・時/週である。 3 健康増進施設制度の概要より「運動型健康増進施設」では生活指導については 行わなくてよい。 4 生活習慣病対策において「1に運動,2に食事,しっかり禁煙,最後にクスリ」 とし,身体活動・運動の改善をはかるために健康づくりのための運動基準,運 動指針が施策されている。 5 運動基準より身体活動を主体として健康づくりをする人であれば毎日3,000 ∼5,000歩の歩行が目安である。 6 厚生労働省では,国民の健康状態,栄養摂取量などを明らかにするため,健康 増進法に基づき,「国民健康栄養調査」を毎月実施している。 7 健康運動指導士とは,健康づくりのための運動の知識を有し,保険医療関係者 と連携しつつ,運動プログラムをふまえて,個々人に対しての運動の実践指導 を行うことである。 8 健康づくりのための身体活動・運動量の基準値は身体活動量:23メッツ・時 /週で,運動量:4メッツ・時/週である。ただし強度が3メッツ以上の活動 でなければならない。 9 健康づくりのための運動基準より,運動を主体とする人では,例えばジョギン グやテニスや速歩を毎週60分間実施することが目安とされている。 10 4メッツの運動を20分間行った場合,1エクササイズに相当する。 2 健康状態はどのようにして判定されるか���ーー健康管理学概論ーー 【1】 1 健康と体力(p15) 生活習慣病が静かな病気といわれるように,症状のない病気もある。したがっ て病気とは,症状の有無によらず身体機能が正常と見なされている状態から離 れた状態といえる。 2 世界保健機能(WHO)の健康の定義は「単に病気あるいは虚弱でないという だけでなく,身体的,精神的,環境的に完全に良好な状態」である。 3 わが国の死亡率は,国際比較では高いほうであり,わが国は世界的に見て健康 的な国民が少ないといえる。 4 健康づくりのための運動基準(2005年)の定義によれば,「体力とは,身体 活動を遂行する能力に関する多面的の要素(潜在力)の集合体」とされてい る。 5 人間が運動する際に利用するエネルギーは,4種類のエネルギー獲得機構,す なわち非乳酸性機構,乳酸性機構,非有酸素性機構,有酸素性機構から,運動 の強度および時間に応じて配給される。 6 病気は以前は,病気の認知には痛みなどなんらかの症状が重要であり,症状が あるのが病気といえたが,今日では生活習慣病が静かなる病気といわれるよう に,症状のない病気もる。 7 個人の健康の指標は定量化が困難であるが,病気のなりやすさの程度を病気の 危険因子のもち具合から示す,「健康危険評価」がある。危険因子としては, 肥満度,血圧,血清脂質,喫煙の有無,家族歴などがある。 8 世界保健機関(WHO)の定義によれば,「体力とは,満足できる程度に筋作 業を遂行する能力」とされている。 9 人間が運動する際に利用するエネルギーは,3種類のエネルギー獲得機構,す なわち非乳酸機構,乳酸機構,有酸素機構から,運動の強度および時間に応じ てそれぞれ供給される。 10 個人の健康の指標は定量化が困難であるが,病気のなりやすさの程度の病気の 危険因子の持ち具合から示す。「生活習慣度評価」がある。 11 今日では病気の認知には痛みなどなんらかの症状が重要であり,症状のない病 気はない。 12 わが国の平均寿命は世界から見てみも高く世界有数の長寿国であるが,死亡率 は国際比較では高い方で,世界的にみても不健康な国民が多いといえる。 13 体力とは,っ身体が発揮できる能力であり,身体的要素と精神的要素に分けら れる。 14 体力には身体的要素と精神的要素に分けられ,さらに両者は行動体力と防衛体 力と全身体力の3つに分けられる。 【2】 健康づくりの必要性(p17) 1 1951年の死亡率1位の病気は結核である。 2 悪性新生物(がん)が日本の死亡率1位になったのは1981年である。 3 生活習慣病(成人病)と言われる病気は悪性新生物(がん),心疾患(心臓 病),結核の3つである。 4 日本での生活習慣病(成人病)での死亡率は50%である。 5 結核などの感染症の減少の理由は,予防のための法律や,医療の進歩,予防医 学の知識の普及などがあげられる。 6 従来の死亡率第1位であった結核死亡率が低下し,1951年には代わって悪性新 生物が第1位となった。 7 脳血管疾患は1970年ごろから減少し始め,1981年には悪性新生物(ガンな ど)が第1位に,1985年には心疾患が第2位になった。 8 悪性新生物,心臓病(心疾患),脳卒中(脳血管疾患)は三大成人病と言われ る。 9 感染症の疾病の増加の理由としては,食生活の変化,運動不足,偏食,日常生 活から来る緊張・不安,そして高齢者の増加があげられる。 10 総身体活動量と死亡率の関連が調査されているが,総身体活動量の多い人ほど 死亡率が高いことが示されている。 11 3大成人病は,脳卒中,悪性新生物,心臓病である。 12 食生活の変化などの生活環境の影響によって疾病構造は変化する。 13 現在わが国の総死亡率の60%近くをしめる疾病は脳卒中である。 【3】 高齢社会�(p18) 1 日本は国際的にみても比較的ゆっくりと人口の高齢化がすすんでいる。 2 65歳以上の人口は1998年には16.7%であったが2000年には17.2%,2020年 には26.9%になると言われている。 3 加齢によってからだの諸機能が衰え,病気にかかりやすくなり,そのため高齢 者の病気の予防は,経済的にみても重要である。 4 高齢者自身が自分でできることがあっても自分でできるだけの能力は必要はな いとされている。 5 高齢者には医学的に病気を予防することだけでなく,本人に体力維持させるこ とも大切である。 6 超高齢社会を向かえ,高齢者自身は医学的に病気を予防するだけを考え,重要 視すればよい。 7 日本では,国際的に見てもかつてないスピードで人口の超高齢化が進んでい る。 8 65歳以上の人口は2000年には19.9%であったが,2010年には人口の22.5%に なり,2030年には29.6%になると言われている。 9 老化によって,からだの諸機能が衰え,そのために種々の病気にかかりやすく なる。 10 高齢者における病気の予防は社会的にみても重要である。 11 高齢者は医学的に病気を予防することだけでなく,高齢者本人の体力を維持す ることが大切である。 【4】 1 生活習慣病の予防(p19) 多くの人に共通な生活習慣病(成人病)起こさせやすい要因があることが分 かっており,その要因のことを危険因子と呼んでいる。 2 コレステロールには,LDLコレステロールとHDLコレステロールがあるが動脈 硬化を促進させるのはLDLコレステロールの方である。 3 高血圧症の判断基準は,最高血圧(収縮期血圧)150mmHg以上,最低血圧 (拡張期血圧)90mmHg以上と定めている。 4 メタボリックシンドロームの診断基準の必須条件であるウェストの周囲径は男 性90cm,女性95cm以上である。 5 成人病の予防には,早期発見だけでなく,生活習慣変容による一次予防が重要 であるとの認識から,1998年に生活習慣病の概念が新たに導入された。 6 動脈硬化を促進させるのは,HDLコレステロールの方であり,LDLコレステ ロールの方はむしろ動脈硬化を予防する働きがある。 7 高血圧症の判定基準についてWHOでは最高血圧(収縮期血圧)140mmEg以 上最低血圧(拡張期血圧)90mmHg以上と定めている。 8 食塩のとりすぎと高血圧症の発症とは深いつながりがあり,高血圧症を防ぐた めには1日当たりの食塩の量を10g以下に制限する必要がある。 9 肥満は単独で危険因子となるというよりは,ほかの危険因子を通じて循環器疾 患の危険因子となっているものと思われる。また最近は同じ肥満でも,内臓脂 肪が多い方が動脈硬化の危険因子として注目されている。 10 悪性新生物(ガンなど)の危険因子としては,喫煙,高脂肪食などの食生活, 肥満などがあげられる。 11 主な成人病による我が国の死亡割合は,2005年については悪性新生物が約 30%,心疾患が約16%,脳血管疾患が25%である。 12 糖尿病はインスリン作用の欠落あるいは減弱したために血糖が上昇した状態で あると定義される。 13 毎日タバコを吸う人は,タバコを吸わない人に比べて虚血性心疾患に罹りやす い。 【5】 1 メディカルチェック(p23) メディカルチェックは,原則的には医師が行うが,医師がいない場合,運動指 導員が行つてよい。 2 問診は,メディカルチェックの最低限の必須項目である。 3 メディカルチェックは1度受けると,何か異常があるまで受けなくてよい。 4 メディカルチェックの結果が良好であった者に対しても,日々の体調のチェッ クは必要である。このチェックさえ行っていれば,事故も起こることが少なく なるため運動指導を行うものは,救急体制や救急処置について学ぶ必要はな い。 5 アメリカでは,PAR-Qという問診票が集団に対するヘルスチェックとして使わ れている。 6 始める前に運動を行ってよいか,からだのチェックを医学的にする必要があ る。これをメディカルチェックといい,原則には医師が行う。 7 中高年者に多い突然死は,そのはとんどが脳卒中である。 8 運動負荷試験の方法は,自転車エルゴメーター,トレッドミルなどで負荷を漸 増しながら運動し,その間医師が心電図の波形から心臓の虚血反応(STの下 降),不整脈の有無,血圧の異常な上昇あるいは,下部胸部の痛みの訴えなど をチェックする。 9 事故の頻度は一般人における運動中の突然死より多いものと思われる。 10 血液検査で血糖値や総コレステロール値,中性脂肪などが高い者は,運動はし 11 てはいけない。 メディカルチェックでは危険予防のための運動可否の判定が最も重要である が,運動が効果あると思われるどのような生活習慣病の危険因子をもっている かを判定し,運動処方に反映させることも重要である。 12 アメリカではPAR−Qによる問診で,虚血性心疾患などの心臓病を発見するも のである。 13 心疾患の発見には,安静時心電図が有用である,安静時心電図が正常なら心疾 患の可能性はない。 14 中高年では,年一回のペースでメディカルチェックをすすめることや,日ごろ の運動指導の現場でコンディションや愁訴をチェックするシステムを整備する ことも重要である。 15 「高血糖」,「高度貧血」,「不安定な肝腎障害」などを疾患として持ってい ると,軽度の運動が望まれる。 3 健康づくりのための身体活動量・運動量・体力水準の測定・評価 ◆新しい運動基準と測定・評価◆ 【1】 体力づくりから健康づくりへ(p27) 1 体力構成要素の筋持久力は上体起こしである。 2 柔軟性の測定は長座体前屈・立ち幅跳びである。 3 文部科学省は1998年に『新体カテスト』を『スポーツテスト』に改編した。 4 健康評価のための体力要素は心肺持久力,筋力,筋持久力,柔軟性の3つであ る。 5 現在,健康増進施設などでは,筋力,筋持久力,敏捷性,瞬発力,柔軟性,平 衡性,全身持久力の体力構成要素について測定されている。 6 5で示した筋力などの体力測定項目は,文部省の体力診断テストをもとに作成 されたもので,必ずしも健康に関連する体力の観点から作成されたものではな い。文部省のスポーツテスト(合体力診断テスト)は時代の変化にしたがって 7 「新体カテスト」に改編された(2003) 上体そらしの体力構成要素は柔軟性である。 8 全身持久力の健康評価は,心肺持久力である。 9 基礎運動能力評価は走・攻・守の3つに分けられる 10 最近になって(2006)厚生労働省は,「1に運動,2に食事,しっかり休 養,最後にクスリ」のもとに生活習慣病対策を推進した。 11 厚生労働省は時代の変化にしたがってスポーツテスト(含 体力診断テスト) を「新体力テスト」に改編した。 【2】 1 目的による測定・評価(p28) 健康づくりのための身体活動・運動とは,日常生活活動中の身体活動の活性化 を図り,さらに楽しみながら軽度のスポーツなどの身体活動の機会を増やすこ 2 とを狙いとする作業である。 運動強度の数列を求め,メタポリックシンドロームの診断基準に相当する強度 水準を決定した。これを『活動基準値』とした。 3 キャリバーによる測定値は,密度法による体脂肪率推定のためのものであり, 皮下脂肪厚を測定したものでないことを考慮する必要がある。 4 最近では,最大酸素摂取量の保持目標値を上回る人が多くみられる。 5 OBLAは血中乳酸濃度が4mmolに相当する酸素摂取量または仕事率で表されて いる。 6 腹筋の脆弱化,肥満(とくに腹部に蓄積脂肪),短縮した背筋などにより,彎 曲が大きくなると腰痛になりやすくなる。これは,腹筋が弱くなったことによ り,脊柱起立筋とのバランスがくずれ,前攣が強くなり,腰椎に過度の負担が かかるようになったためである。 7 高齢者では柔軟性の低下は身体的自立度の低下や転倒の危険性を高めることに なるので,とくに高齢者においては健康に関連する体力の1つと考えられてい ない。 8 中高年者を対象に運動指導を行う前には,メディカルチェックー体力の測定・ 評価→到達目標設定一運動指導このながれで行うのが望ましい 9 心電図をモニターして医師の監督もとで運動負荷試験を実施し,メディカル チェックと体力測定を同時に行う場合もある。 10 体力指標の中で,運動プログラムに反映できるのは主に筋持久力である。 11 運動プログラムは,一般に筋持久力を体力の指標として体力レベルを分類して いる。 12 その他の体力指標の中で,筋力や筋持久力も日常の生活活動や健康保持に重要 な体力と考えられる。 13 「新体カテスト」で測定評価される体力要素のうち,6∼79歳の共通テスト項 目は,立ち幅跳び,反復横とびである。 14 「新体カテスト」で測定評価される体力要素のうち,6∼64歳の共通テスト項 目は,握力,上体起こし,長座体前屈である。 15 中高年者を対象に運動指導を行う前には,メディカルチェック→体力の測定・ 評価→到達目標設定→運動指導このながれで行うのが望ましい。 16 心電図をモニターして医師の監督もとで運動負荷試験を実施し,メディカル チェックと体力測定を同時に行う場合もある。 17 体力指標の中で,運動プログラムに反映できるのは主に筋持久力である。 18 その他の体力指標の中で,筋力や筋持久力も日常の生活活動や健康保持に重要 な体力と考えられる。 19 マンパワーの改善は広範囲な国の施策に影響を及ぼす。したがって,まず個人 としての扱いから始まる。 20 体力差がみられる性別,年齢別の集団ごとに統計学手法によって平均値や集団 のちらばり方(偏差)から相対評価がおこなわれる。 21 食と健康の改善を含む諸科学の発展の影響によって寿命が延長した。 22 経済の高度成長や生活様式の改善の結果,国民の生活の 質 の向上が身体にプ ラス面を生じている。 23 体力側面からの測定・評価は,得られた各個人の測定値から属する集団の平均 値に近いかあるいはそれ以上,またはそれ以下の分類による位置づけができる だけである。 24 体力に関連する測定は動作鼓動を「全力発揮」させた結果を測定するものであ る。 25 体力要素が複数であるために総合評価が行われたが,一般人では優値を示す要 素の強化が必要であると判定された 26 健康とは抽象的概念である 27 健康づくりとは自己評価の結果から身体活動,運動,体力の数値を自分で増や していくことである。 28 メタボリックシンドロームの診断基準に相当する強度水準を「運動閾値」とい う。 【3】 【8】 ,�【3】評価の目的による測定 1 体力差がみられる性別,体重別の集団ごとに統計学手法によって平均値や集団 のちらばり方(偏差)から相対評価が行われる。 2 平成元年(1989),厚生省(当時)は「健康づくりのための 運動所要量 」 を定めた。この所要量の目安は性・年齢別にした各集団の最大酸素摂取量の 50%値としたものである。 3 基準 と 指針 で使われる用語は知識の伝達の役割があり,専門用語として定 義づけされていることに注意する。とくに 基準 は実践の場で使われる。 4 身体活動とは,安静以上のエネルギー消費をする全ての動きをいう。 5 メッツ〔MET(s)〕とは,身体活動時のエネルギー消費量に比例して安静時 のエネルギー消費量を倍数で表す単位であり,身体活動の「強さ」を示す。 6 体力診断の結果は,できるだけ迅速に,しかも利用者にわかりやすくフィード バックすることが肝要である 7 カルテ管理は,スペースを広く使ったり,労力を使うが,いろいろな結果が見 れ,利用者の経時的変化 を把握するが容易になる。 8 若年層にとって納得しやすいグラフや表を作れば,高齢者にとってもわかりや すい。 9 処方の基本は,相手に応じてカウンセリングしていくことである。 10 コンピュータによる診断システムは,現在多くの健康増進施設などで利用さ れ,また業者による種々のソフトや,文科省による「健康応援ソフト」などが 開発されている。いずれのソフトを使用するにせよ,しっかりと使い方をマス 11 運動効果は運動条件やトレーニング開始時の体力で異なるが,運動を継続して いると3ケ月程度で,早い場合は1ケ月程度で効果が現れ始める。 12 トレーニングを開始した初めの1年間は6ケ月ごとに体力測定を行えば,体力の 変化を知ることができ,与えられた運動プログラムが適切であったかどうかの 判断ができる。 13 体力測定の定期的実施は,個人個人の運動プログラムの進行状況や効果判定と してのみ有効である。 14 体力測定とあわせて医学的検査や生活・健康状況調査を1年に1∼2回行うこと が望ましい。 15 現在の身体活動量の決定とは,個々人の現在の生活状況の確認を本人が行うこ とに基盤を置き,その日に行動した身体活動と運動に分けて記録を書き残す。 この記録により,現在の状態や現在量を客観化して身体活動量を決定する。 16 体力の性質は短時間に比較的高い身体活動を発揮できる個人と,相対的に低い 強度の身体活動水準で永続きする個人に分けられる。 17 全持久力の測定は,以前は800m走や1500m走などの時間測定で行われてきた が,現在では3分間の歩行運動テストや5分間走といった,一定時間内に走り きった距離を測定する測定方法に変わってきている。 18 筋力の測定は,握力と背筋力の測定が代表的であるが,今回の改定で握力のみ が測定項目となっており,背筋力は腰仙部分に大きな負担がかかるので測定項 目から除外されている。 19 簡便法(下肢および腰部の筋肉群の総合能力測定方法)とは,椅子に座った姿 勢から立ち上がり,腰を下げてもとの椅座位に戻る動作を15回繰り返すことに 20 より,筋肉群の調節された筋力発揮と筋持久能力を測定する方法である。 臨床医学の立場に接近し,個々人の生活状況と症状が生じる危険性を減少させる 目的で評価を行うことになる。 21 臨床医学の立場に接近し,個々人の生活状況と症状が生じる危険性を減少させる 目的で評価を行う行為は,自然科学的に過去の実態に基づく運動計画をたてるこ とにつながる。 22 からだを動かす状況は,衣・食・寝の日常生活はもちろんのこと,勤労や学習活 動などの目的達成のために位置,場所を変えるときに起こる。 23 からだを動かし慣れた状況はときに意識が薄くなった反射的状況が多い。 24 活発にからだを働かせたときには,そのものが目的となるので強力な意欲が動因 される結果,意識的となることが少ない。 25 一般的に体力が強い人は身体活動量が少ない。 26 瞬時的作業強度発現の要素として筋持久力が採用されている。 27 健康づくりのための持久能力テストは中高年齢層にも実施可能な「3分間の歩行運 動テスト」が勧められている。 28 簡便法(椅子の座り立ち)は腰を下げてもとの椅座位に戻る動作を4テンポで 29 行いこれを10回連続で繰り返す。 4つの動作に動員される筋肉群は身体活動の増減あるいは加齢に伴う影響を受け やすい特徴がある。 30 からだの動きに関係する用語は,身体活動と精神活動と生活活動の3つである。 31 運動とは,生活活動のうちエネルギー消費を計画的・意図的に増やす動きであ る。 32 基準と指針で使われる用語は知識の伝達の役割がある。 33 階段は低強度の生活活動に含まれる 34 メッツ・時とは,運動の強さに実施時間をかけた単位である。 35 行動記録を正確に行うため,時間目盛りの付いた日記帳を利用すると便利であ る。 36 記録た行動を生活活動と身体活動に分ける。 37 健康づくりの動作区分は5メッツ以上と定義されている。 38 各動作・行動をメッツ単位に換算する。そこで動作・行動の記録から実行時間を 求め,メッツ・時を算出し,さらにエクササイズ(Ex)に整理する。 39 自己観察・自己記録を週単位でみることは日々の生活状況を平均化する意味であ り,気候・季節の変動と生活活動・行動の関係を考えるためである。 40 平成元年(1989),厚生労働省(当時)は「健康づくりのための運動所要量」を 定めた。 41 内臓脂肪症候群のことをピータパンシンドロームという 42 「健康づくりのための運動所要量」より,この所要量の目安は性,年齢別にした 各集団の最大酸素摂取量の50%値としたものであった。 43 国民の疾病構造は変化し,糖尿病,高血圧症,高脂血症などの増加が臨床医学の 領域から報告された。 【9】 身体活動量と体力水準の評価と基準値�p33 36 1 メタポリックシンドロームの診断基準は腹囲(ウエスト周囲径)にあるが,診 断の基準値 は「男性 80cm ,女性 90cm」になっている。 2 最大酸素摂取量の相対値は全身の持久力を示す。女性は男性よりも全年齢で低 い。また,両性とも加齢に伴って低下する。 3 簡単な5分間の歩行距離が性・年代別の平均値に達していれば,全身持久力の 能力は一応十分と言える。 4 生活習慣病予防と筋力発揮水準との関係はほとんど認められないが,骨粗鬆 症・骨折の予 防には,筋力がある水準にあることが望ましいと考えられる。 5 健康づくりのための身体活動量は20Ex/週の身体活動を行う。なお,そのうち 4Ex/週の活動な運動を含める。 6 簡単な身体活動量による全身持久力の基準値について,「簡便な5分間の歩行 距離が性,年代別の平均値に達していれば,全身持久力の能力は一応十分とい える。 7 「握力は現在の日本人の性,年齢を考慮した平均値以上であることが望まし い」これが一応の基準である。 8 簡便な総合筋力の基準について,「普通以上の所要時間であれば,生活習慣病 予防の筋力の目標値にほぼ達している。」 9 筋力についての基準値に関しては,「生活習慣病予防と筋力発揮水準との関係 ははとんどみられない」。 【10】 健康づくりのための評価の実際(p36-38) 1 現在の食生活の豊かさ,生活活動での身体活動の機会が減少する中で,集団で 行われる定期検査の結果,血圧や血糖値や血中の脂肪量の測定値が近年低くな り,善玉・悪玉といわれるコレステロールの量が気になるようになる。そこに は,腹部のふくらみ具合も小さくなってきたなどの生命保持に害を及ぼす要因 の存在が気になってくる。 2 最も便利な歩行運動の測定として万歩計が用いられる。これまでの国民の1日 あたりの歩行の現状値(平成16年国民健康・栄養調査)は,男性が7,532 歩,女性が6,446歩である。 3 生活習慣病にかからないという願いを持ち続けることが望まれる。その例とし て,安定した家庭生活の中での役割やこれらに影響を及ぼす経済的勤労,ある いは地域社会と関わる生活行動などがある。 4 運動基準値を超える人も,達しなかった人も再度,測定・評価が必要になる。 再評価の間隔は,基準値の優劣に関わらず1年ごとに目標を決める。 5 己の健康問題は一生つきまとうものである。補助器具を使わずに,早く歩く高 齢者が目に付くようになってきた。これらの高齢者は天候のよい時間を見て ジョギングを行っていることが多い。 6 体力診断の結果は,できるだけ迅速に,しかも利用者にわかりやすくフィード バックすることが肝要である。 7 カルテ管理は,スペースを広く使ったり,労力を使うが,いろいろな結果が見 れ,利用者の経時的変化を把握することが容易になる。 8 若年層にとって納得しやすいグラフや表を作れば,高齢者にとってもわかりや すい。 9 処方の基本は,相手に応じてカウンセリングしていくことである。 10 コンピュータによる診断システムは,現在多くの健康増進施設などで利用さ れ,また業者による種々のソフトや文部科学省による「健康応援ソフト」など が開発されている。いずれのソフトを使用するにせよ,しっかりと使い方をマ スターすることが大切である。 11 運動効果は運動条件やトレーニング開始時の体力で異なるが,運動を継続して いると3ケ月程度で,早い場合は1ケ月程度で効果が現れ始める。 12 トレーニングを開始した初めの1年間は6ケ月ごとに体力測定を行えば,体力の 変化を知ることができ,与えられた運動プログラムが適切であったかどうかの 判断ができる 13 体力測定の定期的実施は,個人個人の運動プログラムの進行状況や効果判定と してのみ有効である。 14 体力測定とあわせて医学的検査や生活・健康状況調査を1年に1∼2回行うこと が望ましい。 15 健康づくりのための評価は,「通常の生活条件の中には不健康になる要因があ るので皆さん気をつけましょう」というような警告・宣伝のための健康づくり 運動ではない。 16 定期健康検査の測定項目の中で主に確かめている項目は,常識的に使われてい る生活習慣病に関わる項目である。 17 再評価の間隔は基準値の優劣により異なる。 18 高齢者では2,3ヶ月ごとの再評価を勧める。季節の変わり目によって身体活 動の程度が大きく変わるからである。 19 健康づくりのために,一日の歩数として男性は8,000歩,女性なら7,000歩を 目標値として掲げる 4 【1】 1 健康と運動に必要な食事とは -- 栄養と体重調節--(p39 52) 健康と栄養(p39) 体を構成する上でも,生命活動を維持する上でも摂取することが不可欠な物質 である。それを一般に栄養素という。 2 5大栄養素とは,糖質,脂質,たんばく質,ビタミン,食物繊維である。 3 5大栄養素とは,糖質,脂質,たんばく質,ビタミン,ミネラルである。 4 水は体の構成要素の60∼70%で一番多い。水の次に多いのは炭水化物であ る。 5 ビタミンはからだの機能の調整をする役割がある。同じように無機質もからだ の機能を調節する役割がある。 6 中性脂肪は,1g当たり9kcalのエネルギーが得られる。これは,同量当たりの 糖質から得られるエネルギーのよりも多い。 7 現在,日本で栄養所要量が定められているのは,不足しがちな鉄とカルシウム のみである。 8 私たちのからだの構成成分の8割は水分である。 9 ビタミンは微量の有機化合物でからだの内部で合成されないために,外部から 摂取しなければならない。 10 脂質の主な役割はエネルギー発生反応の円滑化である。 11 食物の中に含まれる栄養素は,糖質,脂質,たんぱく質,ビタミン,無機質 (ミネラル)に分類できる。これを5大栄養素という。 12 栄養物質とは,体を構成する上でも,生命活動を維持する上でも重要なもので 13 あり,摂取して各細胞で分解される。 脂肪酸のうち不飽和脂肪酸のリノール酸,リノレン酸,アラキドン酸などは体内で 合成できないため,食物からとらなければならない。 14 無機質は,カルシウム,ナトリウム,リン,硫黄,炭素などがあり,微量では あるが,体の内部でさまざまな役割を担っている。 15 糖質はグリコーゲンとして血液に入り,各細胞で分解・利用される。 【2】 日本人の食事摂取基準(p40) 1 食事摂取基準は,国の健康増進施策,栄養改善施策,食糧施策,給食,栄養教 育などの基礎となるものである。 2 栄養所要量は3年ごとに改定され,その期間の目標の目安として使用されてき た。 3 適切な運動プログラムを作成する上で栄養学的に重要なことは,運動の仕方に よって増減する心拍数を考慮することである。 4 推定エネルギー必要量とは,「エネルギー不足のリスク及び過剰のリスクの両 者が最も大きくなる摂取量」とされている。 5 成人の推定エネルギー必要量(kcal/日)は基礎代謝量 身体活動レベルで求 められる。 6 食事(栄養)摂取基準とは,国民がからだを十分に発育させるために,どのよ うな栄養素を,どれだけ摂取したらよいかを性別,年齢別,身体活動レベル 別,妊婦,授乳婦などについて1日当たりの数値を示したものである。 7 栄養素等表示基準値とは,食事摂取基準を性および年齢階級ごとの人口により 加重平均した値をいう。 8 平成16年10月に厚生労働省より発表があった,2005年版日本人の食事摂取基 準では,大幅な改定がなされ,その結果数値の変更のみならずその概念が変わ り,摂取の指標,栄養素等の種類が増えた。 9 栄養所要量は2年ごとに改定され,その期間の目標の目安として使用されてき た 10 推定エネルギー必要量とは,「エネルギー不足リスク及び過剰のリスクの両者 が最も小さくなる摂取量」とされている 11 成人の推定エネルギー必要量(kcal/日)=基礎代謝量 運動レベル 12 食事摂取基準は国の健康増進施策,健康改善施策,食糧施策,給食,栄養教育 などの基礎となるものである 13 平成16年10月に文部科学省より,平成17年度から5年間使用する2005年版に 日本人食事摂取基準が発表された。 【3】 1 消化・吸収(p41) 食物の大部分は,そのままの形ではかちだの中に取り込んで利用することがで きない。 2 消化とは,食物を分解してからだの中に入りやすいように,小さな分子に変え る過程のことである。 3 呼吸とは,食物が胃や腸の壁からからだの中に取り込まれることである。 4 食物は,その化学的性質の違いがあっても,消化吸収される場所は同じであ る。 5 食物を分解してからだの中に入りやすいように,小さな分子に変える必要があ る。この過程を消化という 6 食物が胃や腸の壁からからだの中に取り込まれることを吸収という。 7 消化を促進する酵素を消化吸収酵素という。 8 食物は化学的性質(酵素など)の違いによって,消化・吸収される場所が異な る。 9 食物の大部分は,そのままの形ではからだの中に取り込んで利用することがで きない。 10 食物を分解してからだの中に入りやすいように,小さな原子に変える必要があ る。 11 食物が胃や腸の壁からからだの中に取り込まれることを吸収と言う。 12 食物は,その化学的性質の違いによって,消化吸収される場所がことなる。 13 消化を抑制する酵素を消化酵素と言う。 【4】 6つの食品群(p43) 1 6つの基礎食品群とはそれぞれ1類(肉,魚,卵,大豆)2類(牛乳,乳製品, 骨ごと食べられる魚)3類(緑黄色野菜)4類(その他の野菜)5類(米いもパ ン)6類(油類)である。 2 一回の食事で各食品群からそれぞれ3品ずつ必ず選択すれば,バランスよい食 事をとることができる。 3 1類(魚,肉,卵,大豆)は骨や筋肉を作りエネルギーとして働く。脂肪も多 く魚には血中コレステロールを下げる働きがある。 4 からだの各機能を調節し,エネルギー源となるのは4類(その他の野菜・果 物)である。 5 3類(緑黄色野菜)には皮膚・粘膜の保護からだの各機能を調節する働きがあ る。 6 1日常に食べている「食品」は非常に数が多く様々なものがある。さらにこれ さえ食べていれば十分であるという理想的な食品もある。 7 1類(魚,肉,大豆)は骨や筋肉などをつくり,エネルギー源として働く。脂 肪が多く,魚には血中コレステロールを上げる働きがある不飽和脂肪酸が多く 含まれる。 8 2類(牛乳,乳製品,骨ごと食べられる魚)は良質のたんばく質,ビタミンBl などを含まれているが,とくにカルシウムが豊富で,さらに吸収されやすい形 となっている。 9 3類(緑黄色野菜)皮膚,粘膜の保護,体の各機能を調節する。ビタミンBの もとになるカロチンを多く含む。ビタミンB2,B6,C,カリウム,食物織維が 多い。 10 5類(米,パン,めん,いも)からだの各機能を調節し,エネルギー源とな る。いも類には糖類のほかにビタミンBl,Cなども比較的多く含まれる。砂糖 類,菓子類などもこの郡に分類される。 11 6つの基礎食晶群には,1類から6類まであり,それぞれ1類(魚,肉,卵,大 豆)2類(牛乳,乳製品,骨ごと食べられる魚)3類(緑黄色野菜)4類(その 他の野菜,果物)5類(米,パン,めん,いも)6類(油脂)である。 12 6類(油脂)は糖質を多く含み燃料となっている。 13 3類(緑黄色野菜)について,皮膚,粘膜の保護,からだの各機能を調整する 働きがある。ビタミンCのもとになるカロチンを多く含む。 14 1類(魚,肉,卵,大豆)は骨や筋肉などをつくり,燃料としても働く。 15 4類(その他の野菜,果物)は,各機能を調節する働きがある。主としてどタ ミンC,カリウム,食物繊維の供給源となる。果物は野菜よりも糖質が低い。 【5】 1 たんばく質�(P44) 人間のからだを構成している多くの細胞,組織,血液,骨などの主成分はたん ぱく質である。 2 たんぱく質は,25種類のアミノ酸からつくられる。 3 たんぱく質のうち5種類のアミノ酸(必須アミノ酸)は,人体で合成できない ので,食物からとる必要がある。 4 運動のエネルギーには,糖質と脂肪が主になるが,たんぱくを構成するアミノ 酸も使われる。 5 たんぱく質は運動のほかに精神的なストレス,免機能の維持のためにも必要量 が増加する。 6 体を構成している多くの細胞,組織,酵素,ホルモン,免疫抗体,体液,血 液,内臓,骨,皮膚,そして髪や爪にいたるまで,その主成分はたんぱく質で ある。 7 たんぱく質は,20種類の必須アミノ酸からつくられている。 8 アミノ酸の中で,体内で合成できないものが8種類ある。 9 運動のためのエネルギーは主にたんばく質を構成するアミノ酸が利用される。 10 その他糖質と脂肪が補助的に利用される。 たんぱく質は30種類のアミノ酸から作られている。そのうち8種類は必須アミノ酸 といい,体内では合成できないため,食物から摂取しないといけない。 11 基本的に運動のために使用する大部分のエネルギーは,糖質のみでまかなわれて いるが。たんぱく質を構成するアミノ酸もエネルギー源となっている。 12 現在の研究段階において,運動量の多い人はからだの筋肉量を維持するため 13 に,たんぱく質の必要量が増加するとされている。 体内のたんぱく質は運動以外にもストレス,免疫機能維持のためにもその必要量 は増加する。 【6】 肥満になるメカニズムと肥満の評価・判定法(p45) 1 細胞に必要なエネルギーは主に食物中の脂質,たんばく質から供給される。 2 日本人にみられる肥満は後者が多く,過食,運動不足,高インスリン血症, 誤った摂食ターン,遺伝,熱産生(発散)機能低下などが原因と考えられてい る。 3 肥満の判定には,簡便な方法として,身長と体重の値をもとに, BMI=体重(kg) 身長m2で算出されるボディ・マス・インデックス(BMI) から求められる標準値を基準になされる。すなわちBMI 20を標準値として, 25以上になると肥満と評価される。 4 体脂肪測定法には,空気置換法,皮下脂肪厚法,インピーダンス法,近赤外線 5 法などがある。 一般に,日本人の成人における平均体脂肪率は,男性15%,女性25%である ことから体脂肪率の数値を目安にして,男性20%,女性30%を軽度の肥満, 男性25%,女性35%を中等度の肥満,男性30%,女性40%を重度の肥満の判 定基準としている。 6 細胞の活動に必要なエネルギーは食物中の糖質,脂質ら供給される。 7 肥満は,病的な要因によって生じる場合(症候性肥満)と単純にエネルギーの 摂取量が消費量を上回って起こる場合(単純性肥満)の二通りあるが,日本人 8 9 肥満の判定を算出する式はBMI=体重(kg) 身長(m2) BMIの標準値はBMI 21であり,25以上になると肥満と評価される。 10 一般に日本人の成人における平均体脂肪率は,男性15%,女性25%である。 11 体脂肪が過剰に貯蔵された状態が肥満である。 12 BMI=体重(kg) 身長(m) 身長(m)で算出できる。 13 肥満を判定する場合は,体内の脂肪の割合(体脂肪率)の値を基準にする方が適 切である 14 身長150cm,体重80kgの女性のBMIは35.6で軽度の肥満である。 15 体脂肪測定法には,水中体重法,空気置換法,皮下脂肪厚法,インピーダンス 法,近赤外線法などがある。 【7】 1 運動強度とエネルギー源の関係(p45) 運動時のエネルギー源として利用される主な栄養素は,たんばく質と脂肪であ る。 2 絶食や食事制限をしたときにたんばく質の利用が亢進し,筋量の低下がみられ る。 3 脂肪は,運動強度が弱く運動継続時間が長いほど使われやすく,糖質は,運動 強度が強く運動継続時間が短いほど使われる割合が高くなる。 4 中等度の強度の運動では,糖質と脂肪の燃焼率は,ほぼ1:2である。 5 脂肪は,運動強度が弱く,運動継続時間が長いほど使われやすい。 6 運動強度が強く,運動継続時間が短いほど,糖質が使われる。 7 糖質と脂肪はそれぞれ筋肉内に,ブドウ糖,中性脂肪の形で存在するはか,糖 質は肝臓,脂肪は脂肪組織に貯えられる。 8 運動時のエネルギー源として利用される主な栄養素は,糖質と無機質である。 9 糖質と脂質に加えて,たんばく質もエネルギー源として利用される。 10 体内貯蔵の少ない脂肪は,運動強度が弱く運動継続時間が短いほど使われやす い。 11 運動強度が強く運動継続時間が短いほど,たんばく質の使われる割合が高くな る。 12 短時間の激しい運動エネルギー源はほとんど糖質である。 【8】 日常行うことができる運動のエネルギー消費量(p46) 1 運動中のエネルギー消費量は,その運動をするうまさ(運動技術)と運動する 強さ(運動強度)などによっても変化する。 2 ウオーキングの運動技術の個人差は大きいので,からだに障害などがある場合 を除いて運動技術の違いによるエネルギー消費量の差については考える必要が ある。 3 ジョギングは運動技術の個人差は比較的大きい。 4 サイクリングの場合,平地で行った場合も上り坂で行った場合も,エネルギー 消費量は単純計算で求めることができる。 5 水泳の場合,泳ぐ技術の差がエネルギー消費量に及ぼす影響が大きく減量を目 的とした場合は長距離を泳ぐ必要がある。 6 運動中のエネルギー消費量は,その運動をする(運動技術)と,運動をする強 さ(運動強度)などによっても変化する。 7 歩行は,運動技術の個人差が比較的小さい。 8 サイクリングの場合,速度が速くなると風の影響を強く受け,エネルギー消費 9 量が多くなる。 水泳の場合は,泳ぐ技術の差がエネルギー消費量に及ぼす影響が大きい。 10 運動中の身体活動量は,その運動をするうまさ(運動技術)と,運動をする強 さ(運動強度)等によっても変化する。 11 ウォーキングの運動技術の個人差は小さいので,からだに障害などがある場合 を除いて,運動技術の違いによるエネルギー消費量の差については考える必要 はない。 12 ジョギングの,運動技術の個人差は比較的大きい。 13 サイクリングは坂の度合(角度)によって影響が異なるため,単純計算でエネ ルギー消費量を求めることは出来ない。 14 水泳での減量を目的とした場合では,長い距離を泳ぎ続ける事が出来る体力だ けが必要である。 【9】 1 減量の方法(p48) 減量の目的は,ただ単に体重を減少させるだけではなく,身体組成,すなわち 脂肪と筋肉の割合を望ましいほうに変化させながら,目的とする体重に近づけ ていくことである。 2 健康的な減量を実践するためには,1日当たりのエネルギー摂取量は 2,000kcalを下回らないようにする。 3 減量の目的は,食事制限,運動,その両方を組み合わせて,除脂肪体重を減ら さずに体内脂肪量を減らすことである。 4 急激な減量は,除脂肪細胞を減らしやすいので,1週間当たり1kgを超えないよ うにする。 5 急激な減量が健康を阻害する原因の一つとして,体内のたんばく質の分解抑制 があげられる。 6 健 康的な減量 を実践する ためには, 1日あた りのエ ネル ギー 摂取 量 は 1, 500kcalを下回らないようにして,1日当たりのマイナス(摂取量-消費量)は 1,000∼1,500kcalの範囲内にする。 7 急激な減量は,除脂肪体重を減らしやすいので,1ケ月当たり1kgを超えるよう にすることが望ましい。 8 急激な食事制限による減量には,水分減少による血液の濃縮で心臓の負担増大 や塩分減少により電解質の異常で痙攣をおこしたり,糖質減少では血糖の低下 によりさまざまな悪影響を及ぼす。 9 過剰な運動による減量で糖質の消費が増大すると,血糖が低下し,それにより 知的活動水準の低下,たんばく質の分解,脂質代謝の増加などが起こる。結 果,思考力・判断力の低下や運動能力低下,代謝異常などをおこす。 10 適切な減量プログラムを作成するためには,目的,年齢,性,体格,ライフス タイルを基礎にしてエネルギー摂取量を決める。 11 過剰な運動による減量には,物理的な負担増大による,赤血球の破壊や,骨格 筋,靭帯,腱,骨に対する負担増大などが起こる。結果,貧血やスポーツ障害 を起こしてしまうことがある。 12 減量の目的は,食事制限,運動,その両方を組み合わせて,除脂肪体重を減ら さずに体内脂肪量を減らすことである。 13 急激な減量は,除脂肪体重を減らしやすいので,1週間当たり5kgを超えないよ うにする。 【10】 健康づくりのための食生活指針(P49 50) 1 最近の日本人の食生活は,主食としての穀物の摂取が減少し,動物性食品の摂 取が増加する傾向がみられる。したがって欧米諸国のように心臓病や糖尿病が 増加している。 2 からだに必要な栄養素を毎日過不足なくとるように心がけることが大切であ る。よって,食事を構成する食品の数を1日30品目以上を目標とすることが望 ましい。 3 脂肪は不足状態が続くと,心臓病,糖尿病を発病しやすくなるなどの問題が生 じ,反対に過剰摂取が続くと,脳卒中や高血圧の原因となる。 4 「日本人の栄養所要量」では,1日の脂肪の摂取量は,総摂取エネルギーにし める脂肪エネルギーの割合として,一般成人では20∼30%で,身体活動量が 多く多量のエネルギーを消費する人では30∼40%が適当であるとしている。 5 食塩はとりすぎると,高血圧などの原因になるので「日本人の栄養所要量」で は,成人の食塩摂取量を1日当たり15g以下にするように定めている。 6 食事を構成する食品の数(料理の素材の数)を1日20品以上を目標とすると, バランスよく栄養素をとることができる。 7 「日本人の栄養所要量」では,1日の脂肪の摂取量は,総摂取エネルギーにし める脂肪エネルギーの割合として,一般成人では20∼25%,青少年や身体活 動量が多く多量のエネルギーを消費する人では25%∼30%が適当である。 8 動物性(魚を除く)の脂肪は,多価不飽和脂肪酸とコレステロールを多く含ん でおり,過剰に摂取すると動脈硬化を促す原因にもなる。植物性の油や魚類の 脂肪は飽和脂肪酸を多く含んでおり,動脈硬化を制御する作用があることが認 められている。 9 食塩を取りすぎると,高血圧や脳卒中などを起こす危険が高くなる。「日本人 の栄養所要量」では,成人の食塩摂取量を1日当たり12g以下にするように定 10 めている。 健康的に生活するためには,からだに必要な栄養素を毎日過不足無く摂るように 心がけることが大切である。なので,食事を摂る時は食事を構成する食品の数 (料理の素材の数)を1日30品以上を目標とすると,バランスが良いとされて いる。 11 活動量の少ない人がエネルギーをそれに見合った量に抑えると,食物の選択の幅 が広くなり,栄養素の過剰摂取をきたす心配がある。 12 脂肪は不足していると,心臓病や糖尿病が起こりやすいなどの問題が生じ,過剰 摂取していると,高脂血症や脳卒中や高血圧などの原因となる。 13 全ての動物性の脂肪は,飽和脂肪酸とコレステロールを多く含んでおり,過剰に摂 取すると動脈硬化を促す原因になる。 14 「日本人の栄養所要量」では,成人の食塩摂取量を1日あたり10g未満にするよ うに定めている。 【11】 栄養と健康日本21(p51) 1 平成12年に厚生省によって『第3次国民健康づくり対策(健康日本21 ー21世 紀の国民健康づくり運動)ー』を開始させた。 2 第3次国民健康づくり対策(健康日本21)は,2020年までの20年間の政策で ある。 3 第3次国民健康づくり対策(健康日本21)は,健康で障害のない年月を延長す ることを目的としている。 4 第3次国民健康づくり対策(健康日本21)は,科学的根拠に基づいた数値目標 を設置し,健康に関する意識改革と行動変容を起こさせようとしている。 5 第3次国民健康づくり対策(健康日本21)には,対象となる分野の項目が『食 生活・運動』をはじめ,9つの分野がある。 「第3次国民健康づくり対策」は平成12年度より厚生省によって開始され た。 「第3次国民健康づくり対策」は2000年∼2010年までの10年の政策 である。 健康日本21は,壮年期死亡の減少,健康寿命の延伸および生活の質の向上を 実現することをめざしている。 わが国では今日出生率の急速な低下により,2020年には4人に1人が老人 という超高齢少子化社会になるため,その負担は深刻な課題となる。 第3次国民健康づくり対策の対象となる分野の筆頭項目が「食生活・栄養」 で,その他が身体活動・運動,休養・心の健康,煙草,アルコール,歯科,糖 尿病,循環器病,ガン,の合計9分野である。 【12】 運動能力と栄養�(p52 1 53) 女性の血色素濃度は男性に比較して低く,酸素運搬能力に劣ることや,女性の 心臓重量が軽く心拍出量が少ないことは,酸素や栄養素の運搬や老廃物の除去 に不利である。 2 栄養素の摂取状態の偏りは,血液検査の結果にも現れ,貧血状態に陥るスポー ツ選手もまれではない。このような症状は「スポーツ傷害」と呼ばれている。 3 各種栄養素の摂取不足は運動能力を低下させることが分かっているが,サプリ メント(栄養補助食品)などによって栄養素を余分に摂取しても運動能力が必 ずしも向上するとはかぎらない。 4 身体組成,呼吸循環器と骨格筋系にかかわる機能に性差があるのは明確であ る。女性の体脂肪量は男性より多く,体脂肪率は低い。 5 脂肪がエネルギー源として使われる点からみると女性は男性より有利である。 6 女性は男性より,酸素や栄養素の運搬や老廃物の除去に不利である 7 健康なからだを有し,高い連動能力を保持するための原則は,毎日消費する分 の栄養素を摂取することである。 8 栄養素の摂取状態の偏りは,血液検査の結果に現れ,貧血状態におちいるス ポーツ選手もまれではない。これを「スポーツ貧血」と呼ぶ。 9 栄養素の摂取不足は運動能力を低下させるが,サプリメント(栄養補助食品) などにより余分に栄養素を摂取すると運動能力は必ず向上する。 5 【1】 1 運動にかかわるからだの生理学的しくみー運動生理学ー��(p53) 運動と神経系(P53) 末梢神経系は体性神経と自律神経の2つに分けられ,体性神経には反射神経, 感覚神経がある。自律神経には交感神経,副交感神経,内臓の感覚神経がある 2 運動神経細胞が興奮を神経線維に介して筋肉に伝えることによって筋活動が生 じる。 3 運動を行なおうとする意思によって開始される運動を反射運動という。意思の 関与なしで発現する運動を随意運動という。 4 自律神経系の働きは,体外および体内の状態の変化に対応して,生体の恒常性 (体温が 36.5℃の一定の状態)を保つことにある。また自律神経系は,体性 神経系とともに運動の調整においても重要な働きをしている。 5 深部感覚の受容器には筋紡錘と腱紡錘があり,筋紡錘は,筋内にあって筋肉の 短縮や伸展を感知し,腱紡錘は腱内にあって腱の長さを感知する。 6 神経系は,中枢神経系と末梢神経系に分けられ,中枢神経系は体性神経系と自 律神経系に分けられる。 7 1本の運動神経とそれが支配する筋線維群をあわせて,運動単位と呼ぶ。 8 運動している人間の内と外の状態の変化は,まず中枢神経系によって感知され る。 9 自律神経系の働きは,運動のコントロールに直接関与する。 10 スポーツなどにみられる身体運動は,運動を行おうとする意志と,これに基づ いた筋活動により達成される。 【2】 1 運動と骨格筋(P56) 骨格筋が神経からの興奮が伝わると,筋線維を構成するミオシンフィラメント とアクチンフィラメントが滑り込むことで,その長さが短縮しようとすること を筋運動という。 2 神経からの興奮が伝わると,筋繊維を構成するミオシンフィラメントとアクチ ンフィラメントが滑り込むことで,長さを短縮しようとすることを筋活動とい う。 3 SO繊維は短縮速度は遅いが,持久性に優れており,FG繊維は速く短縮し発揮 する張力も大きいが疲労しやすい。FOG繊維はFG繊維とSO繊維の両方の性質 を持ち短縮速度も速く,持久能力もある。 4 FG(タイプⅡb)線維は速く短縮し,発揮する張力も大きいが,疲労しやす い。 5 1つの筋肉に含まれる速筋線維と遅筋線維の割合を筋線維組成といい,その割 合は個人によって異なる。 6 筋収縮の直接のエネルギー源はグリコーゲンである。 7 人間が運動を行うときは,ATPの分解によって発生するエネルギーを使ってい る。 8 通常,人間は全力で力を発揮しようとしても活動しない筋繊維が残っている。 9 筋活動は静的活動と動的活動に分けられ,動的活動はさらに等張性筋活動と等 速性筋活動にわけられる。 10 動的活動は,短縮性筋活動と伸張性筋活動に分類され,短縮性筋活動は,筋肉 が短縮する方向に運動が起こっているときの筋活動である。 11 等長性筋活動によって発揮される最大の力は,静的最大筋力と呼ばれる。 12 単位時間あたりに,もっとも大量のATPを供給できるのは,筋中に貯えられて いるアデノシン2リン酸(ADP)の分解によるエネルギー供給機構である 13 筋力トレーニングを継続すると通常,筋横断面積が増加する。これは筋繊維が トレーニングという刺激に適応するために,たんばく質を取り込んで肥大する からである。このようなたんばく質の取りこみを,タンパク同化という。 14 適切な筋力トレーニングを行うと,最大筋力が増加する。 【3】 運動と呼吸循環器系(P62) 1 筋活動には,エネルギーが必要である。そのエネルギーは直接的にはATPの分 解によって得られるが,ATPを再合成するためにいくつかのエネルギー供給が 働く。 2 運動を持続的に行うには,有酸素性機構がエネルギー供給の中心的役割を果た している。この機構では,筋肉は酸素を必要とし,この酸素は呼吸循環系によ つて運搬される。 3 酸素摂取量とは,からだが消費する酸素の量のことである。これは,運動強度 が高くなると,筋肉での酸素の必要量が増加するので,酸素摂取量も多くな る。 酸素摂取量=肺換気量 呼吸数 4 最大酸素摂取量は,全身持久力の指標とされている。 5 肺換気量とは,1分間当たりに肺に取り入れられる空気の量で,酸素摂取率と は,肺に入った空気1ℓから何ℓの酸素がからだの中で使われたかを表わすも のである。 6 安静時の1回換気量は約600mℓ,呼吸数は毎分10∼12回なので,肺換気量は 約6∼7ℓとなる。 7 運動強度が高くなると,ある程度までは,肺換気量は急激に増加する。このと きの毎分換気量の増加には,1回換気量増加の貢献が大きい。さらに運動強度 が高くなり,最大酸素摂取の70∼85%に達すると1回換気量はほぼ最大に達 し,これ以上の肺換気量の増加は,呼吸数の増加によるところが大きい。 8 運動強度が高いほど運動に必要とされエネルギー量が大きく,多くの酸素が必 要となるため,運動強度の増加にともなって筋肉の酸素摂取量も増加する。 9 心拍出量とは,左心室から1分間に送り出される血液量のことである。 10 心拍数とは,1分間当たりの心室の拍動数のことであり,拍/分で表す。 11 一般成人の心拍数は,安静時で60∼70拍/分であるが,心拍数は運動強度の 増加にともなって増加するため,運動強度の指標として広く用いられている。 最高心拍数は加齢とともに増加し,一般に若年者では{220(年齢)}拍/ 分の式で推定される。 12 1回拍出量は安静時で60∼80mlで,最大運動時では一般成人男性で約120ml, スポーツ選手で150ml以上になる。このようにトレーニングを積んだ人は,1 回拍出量が増加するため,心拍数は安静時,一定負荷運動時とも一般成人より 多い。 13 持久力トレーニングの効果は,通常,最大酸素摂取量で評価する。 14 インターバルトレーニングは休息なしで30∼60分間,ほとんど同じ強さの運動 を反復する持久力トレーニングで,強度は高いほうがより効果的である 15 全身持久力トレーニングの内容は個人の全身持久力のレベルに対応しなければ ならない。そして,持久力トレーニングの強度,時間,頻度の3条件のうち, 強度の条件が運動の効果に最も影響をおよぼす。 16 最大酸素摂取量は20歳までは加齢とともに増加し,思春期には最大の増加率 を示す。しかし20歳以上になると次第に減少し60歳になると最大値の60∼ 70%になる。 17 最大酸素摂取量は思春期前は顕著な男女差は認められないが,その後は女性の 最大酸素摂取量は男性に対して絶対値で70%,体重あたりの値で80%,除脂 肪体重あたりでは90%程度となる。 18 19 20 全身持久力が一定水準以上の者は肥満症,高血圧症,高脂血症,虚血性心疾患 の危険因子が高いことが明らかである。 最大酸素摂取量は,身体が運動を行うのに必要とする酸素の組織内への取り込み 能力と,運搬に関わる総合的な呼吸循環機能の能力を示すものであり,全身持久 力の指標とされている。 心拍出量とは,左心室から1分間に送り出される血液量のことで,心拍数と1 回拍出量を掛けあわせたものが,心拍出量である。 21 全身持久力トレーニングを行った場合,運動強度が十分高ければ運動の時間が 長いほど,頻度が高いほど,運動の効果が大きいと分かっている。 22 全身持久力トレーニングの強度・時間・頻度の3条件のうち,時間の条件が運 動の効果に最も影響を及ぼす。 23 全身持久力トレーニングの効果は,同一の運動強度で運動を行った場合,運 動中の心拍数や呼吸数,酸素摂取量はトレーニング後のほうが,トレーニング 前よりも増加する。また,運動時間は延長する。 6 【1】 1 運動にかかわるからだの力学的しくみ�-関節運動と全身運動-�(P73) 骨と筋肉,呼吸循環系,消化系と口経食物の流れ(P73) 筋肉には骨格筋,心筋,内臓筋の三種類があり,このうち骨格を動かすのが骨 格筋である。骨格筋は重量にして体重の60%以上である。 2 大腿四頭筋は,大腿直筋,外側広筋,内側広筋,中間広筋の四つである。 3 筋繊維が,まっすぐに走行している筋は強い力を出すのに適しており,斜めに 走行している筋は大きく速く動かすことに適している。 4 人体には206個の骨と,約650個の筋肉とがある。 5 消化により,たんばく質はアミノ酸に,炭水化物は単糖類に,脂肪は脂肪酸と グリセリンにまで,それぞれ分解され,吸収される。 6 解剖学では人体に306個の骨と,約1000個の筋肉を数える。 7 筋肉には骨格筋,心筋の2種類があり,このうち骨格を動かすのが骨格筋であ る。 8 靭帯はその機能により,補強靭帯,支持靭帯,抑制靭帯などと呼ばれる。関節 の内側にあるものを側副靭帯,関節腔内にある靭帯を関節内靭帯という。 9 呼吸機能とは,口,鼻から入った酸素が,肺において血液に入り,また血液か ら肺へ二酸化酸素が出される,という機能である。 10 循環機能とは,血液に入った酸素が肺へ送られ,また筋肉から血液へ酸素が渡 される,という機能である。 11 骨格筋は重量にして体重の60パーセントを占める。 12 骨と筋肉の結合を,関節という。 13 運 動 を 生 み 出 す 力 は , 筋 肉 の 活 動 に よって も た ら され ,そ のエ ネル ギ ー (ATP)は無酸素性機構と有酸素性機構とによって獲得される。 14 筋肉には筋繊維がまっすぐに走行している紡錘筋と,走行が斜めの羽状筋や半 15 羽状筋がある。 呼吸機能と循環機能をあわせて,身体活動機能という。 16 下腿三頭筋は,ヒラメ筋,腓腹筋である。 【2】 骨の代謝,カルシウム,運動の関連(P80) 1 骨は有機成分と無機成分に大別され,無機成分の主たるものは,カルシウム, リン酸,炭酸,クエン酸イオンなどである。 2 カルシウムが不足すると,骨からカルシウムが供給され,骨密度が低下する。 3 骨密度は運動と密接な関係を持っている。運動を行なって骨に刺激を与えると カルシウムが骨に沈着しにくくなる。 4 骨粗鬆症になると骨折しやすくなり,骨折をすると運動が自由に出来なくなる ため,骨密度が低下し,さらに骨折の可能性を高める悪循環が起こってしま う。 5 カルシウムは,血液中にも一定の濃度が保たれていなければならない。生体内 に存在するカルシウムは99%が骨に蓄積されている。 6 血液中のカルシウム濃度が低下すると,骨からカルシウムが提供されるので骨 密度が低下する。 7 【3】 1 リン酸塩を多く摂取すると,体内でのカルシウムの利用率が上がる。 筋萎縮とリハビリテーション�(P80) 筋肉を十分に活動させると,筋肉の太さや大きさは増大する。これを筋肥大と いう。 2 筋肥大の逆が筋萎縮である。萎縮とは,生体の組織や臓器の容積が減少し,そ の機能が増加することをいう。 3 神経原性筋萎縮とは運動神経の障害による筋萎縮のことである。 4 筋原性筋萎縮とは筋肉自体の疾患による筋萎縮のことである。 5 廃用性筋萎縮とはギプス固定などで運動が防がれることにより起こる筋萎縮の ことである。 6 筋肉を十分に活動させると,筋肉の大きさ(太さ)は増大し,これを筋肥大と いう。筋肥大の逆が筋萎縮である。 7 筋萎縮は3種類に分類されるが,その1つである「筋原性筋萎縮」とは,ギプ ス固定などで運動が妨げられることによって起こる筋萎縮のことである。 8 筋肉の活動量が極端に減少する結果として,たんばく質の合成が促進されず分 解の促進が起こり,筋量が減少する。 9 廃用性筋萎縮の場合,速筋線維よりも遅筋線経の方に顕著な断面積の減少がみ られる。 10 ギプス固定する際,筋肉を伸張した状態で固定するよりも,短縮した状態で固 定したほうが筋萎縮は起こりにくいとされている。 筋肉を十分に活動させると,筋線維の数が増量する。これを筋肥大という。 筋萎縮は,神経原性筋萎縮・筋原性筋萎縮・廃用性筋萎縮の3つに分けられ る。 運動神経の障害による筋萎縮のことを廃用性筋萎縮と言う。 ギブス固定する際,筋肉を短縮した状態で固定するよりも伸張した状態で固定 した方が筋萎縮は起こりにくいとされている。 【4】 1 筋肉の弾性要素と運動様式(p81) 筋肉の弾性エネルギーの利用を効果的に行うためには,①伸張されたときに筋 肉が十分な活動状態にあること,②伸張から短縮への切り換えがすばやく行わ れることの条件を満たす必要がある。 2 筋肉は,収縮要素,直列弾性要素,並列弾性要素で力学的モデル化される。 3 腱が短いほど,生体内での直列弾性要素は大きくなる。 4 次の3種類の垂直跳び行った場合蓄えられる弾性エネルギーが多い順は①>② >③である。 ①膝を曲げた状態から反動動作を使わないでそのまま跳びあがる場合 ②膝を伸ばした状態から,すばやく曲げ伸ばすという反動動作を行ってから跳 びあがる場合 ③30∼60cm程度の台から飛降り,着地と同時に素早い反動動作を使って跳び 上がる場合 5 人間が弾性エネルギーを利用した典型例は間4の③である。 6 筋肉の弾性エネルギーの利用を効果的に行うためには,①伸張された筋肉が十 【5】 分な活動状態にあること,②伸張から短縮へ切り換えがすばやく行われること 着地衝撃とそれを和らげる運動法(p82) 1 衝撃力の吸収法には,衝撃力を吸収するものをからだにとりつける方法と,人 間が自分で衝撃力を吸収する動作を行う方法がある。 2 裸足の場合,衝撃力はごく短時間に集中して,大きな力が加わる。 3 裸足の場合,衝撃力が加わる部分の面積は大きい。 4 台から跳びおりるとき,ひざを伸ばしたままだと,衝撃力がかかとへ加わる時 5 大きな力が加わると,怪我など身体に異常をきたす可能性が高くなる。 6 衝撃力を吸収するもので身体にとりつける方法のものは,プロテクターやジョ ギング シューズなどがある。 7 自分自身で衝撃力を吸収する動作を行う方法は,高いところから跳び下りて着 8 地する際の下肢の曲げ,柔道の受身などがある。 からだに大きな衝撃を加えれば,からだの骨,関節や筋肉のみならず脳などにも 大きな力が加わることになる。 9 からだへの衝撃力の吸収方法として,アメリカンフットボールのプロテクター, ジョギングシューズなどがこれに該当する 10 着地のとき,はだしの場合衝撃力は短時間につま先に大きな力が加わることにな る。 11 底の厚いジョギングシューズなどを履いた場合は,衝撃力が加わる時間が長くな り,加わる力のピークは大きくなる。 12 台から跳びおりるとき,膝を伸ばしたままだと衝撃力が踵へ加わる時間が短くな る。一方,着地の瞬間に膝をタイミングよく曲げれば,衝撃力が加わる時間が長 くなり,衝撃力のピークの大きさは小さくてすむ。 【6】 投げたり,打ったりする動作でボールに大きな速度を与える条件(P84) 1 野球のバントやテニスのドロップショットでは弱く打つことによって試合を有 利にすすめる効果をもっている。 2 ステップをし,からだを自由に使ってボールを投げるとボールの速度は速い が,上腕まで固定して投げるとボールの速度は,遅くなる。 3 多くの筋肉を使う方法として,体重移動と体幹のひねりが重要である。 4 ボールを強く打つためには,打撃面の速度が大きいことと,打撃面の向きと打 撃面の動きの方向とが適切な関係にある必要があり,ボールを打撃面の適切な 部位で捕えなくても強く打てる。 5 テニスラケットでボールを打つとき,ラケット面をやや下向きにしたままラ ケットをスイングすれば,衝突したボールは順回転が与えられるが,ボール速 度はスイング速度に比して小さくなる。 6 テニスラケットでボールを打つとき,ラケット面の中央付近で打ったときに比 べ,フレーム付近,とくにラケットの先端のほうでボールを捕らえたときは, ボールの速度は小さくなる 7 「打撃面の速度を大きくする」には,多くの筋肉を使うことが必要であり,そ の方法としては,体重移動,腰のひねりが重要である。 8 「むち動作」とは,肩から指先まで,順々に最高速度が出現している動作のこ とをいう。 9 【7】 1 未熟練者でも,このような「むち動作」は容易にできる。 運動と空気抵抗(P86) 流体中を物体が移動する,その移動を妨げようとする力が働く。この力を抵抗 という。 2 抵抗の大きさは,流体の密度,動く方向に対する物体の横断面積と形による定 数に反比例するが,速度の2乗に比例する。 3 ボールを使用する種目では,ボールに回転を与えることによって,ボールの飛 ぶ方向が変化する。この効果のことを「マグヌス効果」という。 4 スキーのアルペン競技の滑降では,滑降中に姿勢が高くなったり,腕がからだ から離れると抵抗が増し,速度が低下する。 抵抗とは静止している物体が移動するとき,その移動を妨げようとする力が働 くことである。 スキーの滑走中に姿勢が高くなったり,腕がからだから離れると抵抗が増し, 速度が低下する。 陸上競技では追い風や向かい風への影響は無視できない。よって国際陸上競技 連盟では,2.5m/秒以上の向かえ風の場合は向かい風参考記録となる ボールが進行方向に対して直角方向に力が作用することをマグヌス力という。 自転車競技やスピードスケートなど集団で競技する場合,先頭をいく選手の後 ろにつくと,30%以上もエネルギー消費量が減少する。 7 【1】 性・年齢に適した運動とは�-成長・発達と老化-�(P89) 成長期の運動(P89) 1 現代人において問題となるのは,20歳以降,加齢とともに身体活動量が減少し ていくことにより,生物学的な老化が加速され,身体諸機能の低下を早めてい るということである。 2 力強さを要する運動能力は,加齢とともに大きく増加していくが,その増加率 は静的筋力発揮運動よりも動的筋力発揮運動で大きい。また下肢に比べ,上肢 3 のほうが筋力の低下が著しい。 運動は継続してこそ効果があり,たとえ中高年になってからでも定期的に運動 を実施する習慣を身につければ,ある程度まで体力を継続向上できることが予 想されている。 4 最高心拍数{220-年齢)で推定する}の60∼90%あるいは最大酸素摂取量の 50∼85%の強度で,20∼60分間継続して,リズミカルに反復できる大筋群を 使うエアロビックエクササイズを,週3・5日実施することが効果的である。 5 やり方によっては健康を損なう恐れもあるので,運動の実施に際しては注意が 必要である。これらのトレーニングを始めようとする人は,メディカルチェッ クを受けて運動の可否を確定し,運動実施中もなんらかの異常を感じたら,た だちに運動を中止する必要がある。 6 身長発育速度がピークとなる年齢をPHVといい,体重の発育速度がピークとな る年齢は男子ではPHV年齢とはぼ一致しているが,女子ではそれより約2年遅 れる傾向がある。 7 運動を引き起こす骨格筋は,筋繊維の束から構成されており,素早く大きな力 を発揮できるが疲労しやすい速筋繊維(タイプI I繊維)と,力の発揮は遅く発 揮される力は弱いが持久力のある遅筋繊維(タイプI繊維)とに大別される。 8 呼吸循環器系は10歳ころまでに急速に発達し,12∼13歳にはほとんど完成す るので,さまざまな動作や身のこなし方は11歳以下に練習されることが望まし い。 9 12歳∼14歳では軽い負荷で持続的な運動を実施し,スマートな動作を長続き 10 させる能力を身につける。 19歳以上ではスポーツにかかわる身体動作を十分に発達させたうえに,試合の かけひきを身につけ最高の能力を発揮できるようにする。 11 「望ましいからだ」とは「力強さ」「ねばり強さ」「動作の習熟」の3つの要 素を十分 に発達させた「からだ」である。 12 「動作のスキル向上」は小学生「力強さの発達」は中学生「ねばり強さ」は高 校生の時に発達する。 13 身長の発達は遺伝的な要因の影響しか受けない。 14 身長発達速度がピークになる年齢をPHV年齢と言う。近年はPHV年齢の若年 15 化が進んでいる。 体重の発達のピークは,男子ではPHV年齢とほぼ一致しているが,女子は一年 程度遅れる傾向がある。そのときの体重発達量は,身長1cmの伸びに対して, 男子は0.6 から0.7kg, 女子は0.7kgである。 『望ましいからだ』とは,運動を行う際に必要な2つの要素,『大きな力が出 せること(力強さ)』,『スタミナがあること(ねばり強さ)』を十分に発達 させた『からだ』である。 1950年以降の子供の発育の早期化と肥満化現象は,栄養状態や生活様式の 変化といった環境要因が強く関与していると考えられる。 筋線維は,すばやく大きな力を発揮できるが疲労しやすい遅筋線維と,力の発 揮は遅く,発揮される力は弱いが,持続力のある速筋線維とに大別される。 最大酸素摂取量の増大が著しく,体格も大きくなる中学生の時期には,ねばり 強さの向上に積極的に取り組むとよい。 神経系は10歳頃まで急速に発達し,14∼15歳にはほとんど完了する。 【2】 1 老化と運動(P98) 力強さを要する運動能力は加齢とともに低下していく。その低下率は動的筋力 発揮能力より静的筋力発揮能力のほうが大きい。 2 安静時の酸素摂取量の平均は3.5ml/kg/分である。 3 定期的な運動の実践により,同じ強度の最大下運動での心拍数や血圧が上昇す る。 4 呼吸循環機能の保持増進には,最高心拍数の60%∼90%あるいは最大酸素摂 取量の50%∼85%強度で,20∼60分間持続して,リズミカルに反復できる大 筋群を使うエアロビックエクササイズを週3∼5日実施することが有効である。 5 高齢者が運動習慣をもつことの第一の意義は,不活動状態によって身体機能の 老化がさらにすすむのを防ぐことにある。 健康で活動的な生活を送るためには,20ml/分 程度の最大酸素摂取能力を 保持していることが望ましい。 定期的な運動の実践によって,血中のHDLコレステロールが減少し,中性脂肪 が増加する。 高齢者では日常生活においてよく歩くことが,力強さ(脚伸展パワー)と粘り 強さ(乳酸性作業閾値)いずれの運動能力を保持するうえでも大切である。 どんなに高い体力を保持している者でも若い競技者と同等の成績をあげること はできず,加齢とともに競技成績は低下していく。 加齢にともなう体力の衰えは,筋肉の機能の衰えと密接な関係がある。 8 運動プログラムの作成と指導上の注意点-健康づくりと運動プログラム- (P 105) 【1】 運動不足がからだに与える影響(P105) 1 運動しないと,人間のからだはその状況に適応して変化する。 2 ベッドレス状態では,心臓はたくさんの血液を送り出す必要がなくなり,その 容積は2週間で10%減少する。 3 筋肉を使わないと筋肉は萎縮し,骨は脆弱化する。 4 わが国では,生活習慣病(悪性新生物,心疾患,脳血管疾患)だけで,総死亡 率の60% をしめる。 5 加齢にともないからだの機能は低下する。そのため,活動量が減少し,運動能 力が低下し,結果的には老化の速度を速める。 6 適度に運動を繰り返すことでその機能を十分に発達させたり維持したりできる ものなので,運動が不足すれば機能は衰弱していく。 7 運動は人間が生存するための基本条件であり,活力ある生活を送る,あるいは 良好な状態を保つといった,積極的に健康の保持のために必要不可欠なのであ る。 8 悪性新生物,心疾患,脳血管疾患という3つの生活習慣病だけで,現在のわが 国の総死亡数の約50%をしめ,生活習慣病の危険因子の多くは,運動不足と 関係している。 9 日常生活での活動量の減少は,体脂肪量の増加,筋力の低下に拍車をかけて, 10 ますます運動能力を低下させ,結果的に老化の速度を速める。 人間は寝たきりの生活になると,心臓から多くの血液を送り出す必要がなくなる ので,その容積が1週間の間に20%も減少してしまう。とも言われている。 11 人間は,寝たきりなど全く動かない状況を除いては,いかなる状況下においても 筋肉が萎縮することはない。 12 本来からだは,動かすことによってその機能を発達・維持しているので運動が不足 すれば,機能は衰退していく。 13 日本人の死因のTOP3に挙げられるのが,悪性新生物(がん)・心疾患・脳血管 疾患であり,これらだけで日本国内の総死亡数の7割近くを占めている。 14 人は運動量が減少していくと,からだの活力の低下・体脂肪量の増加・筋肉の衰 え・運動能力の低下等が起こり,そのままにしておくと日常生活を送るのも困難 になってくる。 【2】 運動プログラム作成に際しての運動の質の取り扱い(P106) 1 運動プログラム作成とは運動を行う人に対して,からだの機能を維持したり改 善するために,適切な運動を助言・指導することである。 2 効果的な運動を指導するためには,運動の質と量の2点を考慮に入れなければ ならない。 3 エアロビックな運動によるトレーニングを継続して行うと,力強さ(筋力)が増 し,アネロビックな状態によるトレーニングを継続して行うと,ねばり強さ(全 身持久力)が増す。 4 エアロビックな運動を続けることで動脈硬化を防ぐLDLコレステロールが増加 したり,また心筋が肥大し,心筋へ酸素や栄養を供給する毛細血管が増えるた め,虚血性心疾患の予防や再発予防に効果がある。 5 エアロビックな運動を運動プログラムに取り入れるときの条件は,①全身の筋 肉を使って行う運動であるが, ややきつい と感ずる強度であること。②10分 間以上続ける必要があり,疲れきってしまうまで続けないこと。③規則的に長 時間(約1ヶ月単位)続けることである。 6 運動に対する反応は人によってさまざまであるから,運動を行う人の性,年 齢,体力水準,病気・障害の有無を考慮に入れて,それぞれに応じた運動を指 導すること必要である。 7 運動の質(種類)は,大きく分けてエアロビック(無酸素性)なものとアネロ ビック(有酸素性)なものに分類される。 8 エアロビックな運動によるトレーニングを継続して行うと,ねばり強さ(全身 持久力)が増し,アネロビックな状態によるトレーニングを継続して行うと, 力強さ(筋力)が増す。 9 エアロビックな運動は,軽強度で長時間運動を行えば,総消費エネルギーが大 きくなり,しかもエネルギー源として脂肪を多く燃焼するので,高脂血症,高 血圧症,肥満,といった生活習慣病の危険因子を改善することができる。 運動量とは,強度,時間,頻度の3つからなる エアロビックな運動を運動プログラムに取り入れるときは,楽な強度で長く続 ける必要がある。 強度や時間によっては,エアロビックな運動でもアネロビックな運動になって しまう。 健康づくりの運動プログラムの中にアネロビックな運動を取り込むことは,大 切ではない。 高齢者が転倒などにより骨折すると,その治療までに長い時間を要しいわゆる「寝 たきり老人」になってしまう可能性がある。 【3】 1 ウォーミングアップとクーリングダウン(P109) ウオーミングアップは,運動をする前に,体温を高めながら,呼吸循環器系, 神経系,筋肉・関節などの運動器系を,安静の状態からしだいに運動適した状 態へと移行させる準備運動である。 2 一般的なウオーミングアップとしては体操やジョギングと組み合わせて行うこ とが多い。筋温を十分高めるためには,2∼5分程度行う必要がある。 3 実施しようとする運動で,よく使われる筋肉のストレッチングは十分に行う。 4 急に運動をやめると,めまいや立ちくらみなどを起こすことがある。 5 クーリングダウンを行うことにより,代謝や血流を軽く持続させ,運動中に蓄 積した乳酸などの疲労物質を,筋肉および血液中より速やかに除去できる。 6 急に運動を始めたときにからだに起こる諸機能の変化は,呼吸循環器系の変化 では交感神経の活動が低下し,心拍数量,血圧,呼吸数を増加させる。また, 骨格筋の血流量と内臓の血液量は増加する。 7 ウオーミングアップは,運動をする前に,体温を高めながら,呼吸循環器系, 神経系,筋肉・関節などの運動器系を,安静の状態からしだいに運動に適した 状態へと移行させる準備運動である。 8 運動種目別のウオーミングアップをするときは,実施しようとする運動でよく 使われる筋肉のストレッチを十分に行うように心がけ,特にその筋肉がまたぐ 関節の可動域を大きくし,筋肉痛などの障害を防ぐことが大切である。 9 一般的なウオーミングアップは通常数分間程度行えばよいが,気温の低いとき には少し長めに行い,また各筋肉のストレッチングを行い,関節の可動域を大 きくしておく。 10 プログラムされた運動を安全に行うには,運動前のウオーミングアップをしっ かりと行えばクーリングダウンは必要ない。 11 呼吸循環器系の変化は,運動によっ副交感神経系の活動が高まり,心拍数,血 圧,呼吸数を増加させる。 12 急激な運動の開始は,骨,関節,靭帯などの障害を起こしかねない。 13 ウオーミングアップは,呼吸循環系の機能を高め,体温や筋温を上昇させるこ とを目的とする。 14 筋温を十分高めるには,ウオーミングアップを5∼10分程度行なう必要があ る。 15 クーリングダウンで,運動により蓄積した乳酸などの疲労物質を筋肉および血 液中より速やかに除去することができる。 【4】 1 運動プログラムの作成に際しての運動の量の取り扱い(P111) 運動の時間は,秒とか分のような絶対的なスケールで表せるが,運動の強度の スケールには生理的なもの,感覚的なもの,物理的なものに区別される。 2 歩く,走るといった運動では,歩行あるいは走行スピードで表すことになり, 時速12kmあるいは分速200mというような形式で表現される。このように外 的に表現された運動スピードや単位時間当たりの仕事量として評価するのが感 覚的運動強度である。 3 物理的強度に対するからだへの負担度が,生理的運動強度である。 4 運動を行なっている人が,どの程度の強度として感覚しているかを数値化して 表現するための指標が提唱されている。それを主観的運動強度(BMI)という 5 主観的運動強度は,安静な状態を1とし,疲労困憊の状態を15としてスケール をつくり,その感覚的な運動強度を15段階に分けて,1つおきの数値に対し て,その数値に対応した感覚的なきつさを表す言葉がそえられている。 6 外的に表現された運動スピードや単位時間当たりの仕事の量として評価するの が,生理的運動強度。生理的強度に対するからだへの負担度が,物理的運動強 度である。 7 8METSの運動は,およそ8kcal/kg/時と等しい。 8 2.4ℓ/分の酸素摂取量で走っている人の体重が60kgであったとすると,運動強 度は40ml/kg/分である。 9 体重70kgの人が8METSの強度の運動を30分間おこなう場合の総消費エネル ギー量を計算すると210kcalである。 10 運動が生体に与える負担度を,数値化して表現するために,主観的運動強度 (RPE)とい う指標が提唱された。これは,安静時を6とし,疲労困憊を 20として,感覚的な運動強度を15段階に分けて,それぞれの数値に対して,き つさを表す言葉がそえられている。 11 トレーニングの原則を8つ全て書きなさい。 12 運動の強度のスケールには環境的なもの,感覚的なもの,物理的なものに区別 される。 13 METS(メッツ)は,運動中の酸素摂取量が安静時の酸素摂取量の何倍になって いるかを示す運動強度を表す単位である。 14 からだが安静時に摂取する酸素の量は,平均値で体重1kg,1分間当たり4.0m lである。 15 平成18年に策定された健康づくりのための運動指針では,メッツ 運動の実施 時間(分)を『エクササイズ』としている。 16 主観的運動強度のことをPHVとも呼ぶ。 17 運動の強度のスケールには環境的なもの,感覚的なもの,物理的なものに区別 される。 18 METS(メッツ)は,運動中の酸素摂取量が安静時の酸素摂取量の何倍になって いるかを示す運動強度を表す単位である。 19 からだが安静時に摂取する酸素の量は,平均値で体重1kg,1分間当たり4.0m lである。 20 平成18年に策定された健康づくりのための運動指針では,メッツ 運動の実施 時間(分)を『エクササイズ』としている。 21 観的運動強度のことをPHVとも呼ぶ。 【5】 心拍数で表す運動強度(P114) 1 心拍数と物理的,生理的運動強度はほぼ比例する。 2 目標や指標となる負荷強度を表した心拍数を,目標心拍数という。 3 運動習慣が身につき運動に慣れてくれば,運動中の心拍数が低くなることがあ る。その場合は,運動強度をあげるなどしなくて,今のままの運動強度を保て ばよい。 4 運動負荷に対する心拍数は人によって異なるが,同じ人なら体調や環境の変化 には影響されない。 5 心臓が一分間に拍動する最高の心拍数を最高心拍数と云い,年齢とともに減少 する。 6 心拍数と物理的あるいは生理的運動強度はほぼ比例するので,運動負荷試験の 場合は生理的負担度の目安として,運動プログラム作成の場合には,運動強度 の指標として心拍数が利用される。 7 最高心拍数は,疲労困憊をともなう運動時に現れるが,一般人に疲労困憊する 間で運動を行わせるのは無理があり,また危険である。 8 最高心拍数は加齢にともなってはとんど直線的に減少することから,年齢から 最高心拍数を推定することができる。 9 年齢相当の推定最高心拍数の50∼70%に当たる心拍数を見出し,その心拍数 を運動プログラムの際の至適心拍数とする。 10 相対心拍数を用いる方法として,例えば,対象が男性,年齢を40歳とすると最 高心拍数は220-年齢(歳)=170と推定され,この75%に相当する135拍を目 標心拍数とする。 11 アメリカスポーツ医学会の指針では,最高心拍数の60∼90%の強度が奨めら れているが,無酸素性作業閾値が最高心拍数の75%に近いことから,エアロ ビックな運動に際して60∼80%の範囲が安全である。 12 運動負荷試験の場合,生理的負担度の目安として,運動プログラム作成の場合 には,心拍数の指標として運動強度が利用される。 13 運動強度が高くなれば,それに比例して心拍数は高くなる。 14 強度の低い運動をいくら行ったとしても,効果はあまり期待できない。 【6】 長期間の運動プログラムの組立方(P116) 1 オーバーロードの原則とは,運動を行って効果をあげるためには,一定運動の 強度以上が必要というものである。 2 これまでに意図的な運動をしてこなかった人が,いきなり激しく強度の高い運 動を実施するといろいろな障害を引き起こす可能性がある。このため初期の運 動プログラムでは,運動強度をゆるやかに増加させる必要がある。 3 オーバーロードの原則には,運動の強度,1回の運動の継続時間,実施の間隔 という3つの基本条件がある。 4 運動を行う際,その負荷が日常生活で行われるような低いものであると,たと え運動したとしても,健康づくりに役立つようなからだの変化はおきない。運 動を行って効果をあげるためには,一定運動強度以上が必要である。これを オーバーロード(過負荷)の原則という。 5 ねばり強さ(全身持久力)の漸増プログラムで,ウオーキングあるいはジョギ ングによる漸増プログラムを行う場合に,第1段階目では,推定最高心拍数の 50∼60%になるよう速度調節し,この速度で3,000mの距離を目安にウオーキ ングやジョギングを行う。 6 ねばり強さ(全身持久力)の漸増プログラムで,ウオーキングあるいはジョギ ングによる漸増プログラムを行う場合に,第2段階目では,ウオーキングの目 標距離は3,000∼4,000mで,ジョギングでは2,000∼3,000mを目標にし,そ の時の心拍数が最高心拍数の60∼65%になるようにする。 7 ねばり強さ(全身持久力)の漸増プログラムで,ウオーキングあるいはジョギ ングによる漸増プログラムを行う場合に,第3段階目では,最高心拍数の85% で30分間ジョギングが続けられるようになったら,これ以上無理に速度をあげ たり運動時間を延長する必要はない。 オーバーロードの原則とは,運動を計画的に行っているとそれに応じて身体能 力もそれに応じて成長するという原則のことを言う。 オーバーロードの原則には,1回の運動の実施の間隔・持続時間・継続期間・ 強度の4項目の基本条件がある。 中高年者を対象としたねばり強さ(全身持久力)漸増プログラム作成におい て,ウォーキングあるいはジョギングで実施する場合。第1段階では心拍数測 り,推定最高心拍数の50-60%程度になるよう速度調整を行い,その強度で約 2000mをウォーキングならびにジョギングを行う。 中高年者を対象としたねばり強さ(全身持久力)漸増プログラム作成において ウォーキングやジョギングで実施する場合。第2段階では,心拍数を60-65%程 度でウォーキングの場合なら約3500mジョギングなら約2500mを目標にす る。毎日の運動で疲労が残らないようであれば,2-3週間ごとに1-2分ずつ漸増 するよう設定する 中高年者を対象としたねばり強さ(全身持久力)漸増プログラム作成において ウォーキングやジョギングで実施する場合。第3段階では,最高心拍数の75% で30分以上ジョギングを行えるようになれば,積極的に走ってもらい最高心拍 数の85%の状態で30分以上ジョギングを行えるように指導していく。 9 【1】 1 運動実践への動機づくり�-運動指導の心理学的基礎運動実践と「こころ」の健康(P119) スポーツには,神経症,うつ病,心身症といった精神的ストレスが原因となる 病気を軽快させる効果がある。特に神経症については,定期的にスポーツを実 施している人の場合,不安が軽減し,怒りっぽさがなくなって越されることが 報告されている。また,うつ病の場合もスポーツが精神面に好ましい影響を及 ぼすことが確かめられている。 2 ストレスには,有害ストレスと有益ストレスがある。一般に,生体に対する刺 激は,いかなる刺激のものであってもトレスを刺激するが,精神的ストレスと 身体的ストレスとのバランスをうまくとることで,積極的疲労回復も可能とな る。 3 遊戯やスポーツを通じて,情緒を外部へ表出することは,自己受容,自己理 解,他者とのコミュニケーションを生み出して,精神的健康の保持増進に役立 てることができる。 4 運動技能の修得は,集団の中での地位・威信や,そのダイナミクスに関連して いる。運動技能の取得の向上があまり期待していない人にとっても,指導者や コーチがプログラムに順応させ,グループでの役割を与えたり賞賛を与えるこ とで自己有能感selfcompetenceや自己効力感self-efficacyの低下を防ぐ必要 がある 5 運動・スポーツには,「気分転換」以外にも,さまざまな心理的ファクターを 介して,ストレスを解消したり,逆にストレスを蓄積したりする作用がある。 これらのファクタ一に対して適切な指導を行うことができれば,大きなストレ ス解消効果が期待できる。 6 ストレスといっても,有害ストレスばかりでなく,有益ストレスと呼ばれるも のがある。 7 スポーツには精神症,うつ病,心身症といった精神的ストレス原因となる病気 を軽快させる効果がある。 8 走行中に気分が高揚するとき(ランナーズハイ),ベータエンドルフェンと呼 ばれる麻薬様物質が血液中に増加しているが,これは自分の好きなぺスで 走っているとき最も多く分泌される。 9 日本における調査によれば,運動やスポーツに一般の人が求めるものの第1位 は「生活習慣病の予防」である。 10 からだを動かすことの治療効果については,古くから認められており,近年, スポーツによる心理療法(スポーツセラピー)が積極的に行われるようになっ た。 身体活動は,「からだ」と「こころ」両面によい効果をもたらすといえる。 運動やスポーツに一般の人が求めるものの第一位は「生活習慣病の予防」であ る。 一般人の運動指導にあたっては,スポーツする仲間が職場や地域の利害関係を 離れた相手であることが望ましい。 体を動かすことの治療効果については,古くから認められており,近年スポー ツによる心理療法(スポーツアロマテラピー)が積極的に行われるようになっ た。 走行中に気分が高揚するとき(ランナーズハイ)には,ベーターエンドルフィ ンと呼ばれる,麻薬様物質が血中に減少している。 【2】 1 運動実践を長続きさせるには(P124) 健康スポーツに関する世論調査で,スポーツを行わなかった理由として一番多 いものは, 時間がない である。 2 最近の調査によれば,一般の人々が運動スポーツを行う理由として①楽しみ・ 気晴らし②健康・体力づくり③友人・仲間との交流④運動不足⑤家族との触れ 合い⑥美容・肥満解消の順という結果になっている。 3 人がなぜ運動するのか,しないのかは,目的を達成するための手段としてみる 内発的な動機づけと行動そのものが目的である外発的な動機づけが関係してい る。 4 運動の効果は運動と食事のバランスによって決まる。 5 運動実践を継続させるためには①目標の設定,②成果の確認,③指導者の存 在,④家族の理解,⑤仲間の形成,⑥楽しさの確保,⑦運動と休息のバラン ス,⑧ライフスタイルにみあった運動種目の選択の8点に留意するとよい。 7 変容理論モデルによれば,①計画前段階,②計画段階,③準備段階,④行動段 階,⑤維持段階がある。 8 変容理論モデルは,6ケ月を目安として運動実践の意図があるかないか,そし て行動レベル 【3】 1 に結びついているか否かを段階をおって評価し,プログラム提 供の手がかりにするものである。 行動や性格の特徴に応じた運動指導(P127) 指導の方法,内容が同じであっても,個性や,その時のからだや精神のコン ディションによって,指導の効果は異なる。 2 A型行動パターンの人は,競技心旺盛で性急でいらだちやすく攻撃的なタイプ でうつ病や虚血性心疾患になりやすい。 3 執着型行動パターンの人は,きまじめで外見は温和だ芯が強いタイプで,スト レスを感じても無理をして働き続けるために,虚血性心疾患を起こしやすい。 4 循環気質の人の体型は,全体に丸みを帯び,円満で親しみやすいタイプであ り,ときにさぼったりするが,憎めない人物である。 5 分裂気質の人は,やせ型で,循環気質の人に比べて冷たい印象を与えやすく, 自分の世界に閉じこもる傾向があるので,個人種目にむいている。 6 粘着気質の人は,肩幅が広く,首が太くがっしりとしとており,筋肉質であ る。性格的には几帳面で,一度決めたことは守り通す人であり,体力づくりを 目的としたような運動を継続するうえでは理想的な性格である。 7 B型行動パターンの人は,競争心が旺盛で,性急でいらだちやすく攻撃的なタ イプで,虚血性心疾患にかかりやすい。 8 A型行動パターンの人は,そのときの気分次第でプログラム内容を変えたりし がちである。したがって,A型に人には指導者や仲間がたえず刺激や動機づけ 9 を与え続けるよう工夫する。 分裂気質の人は,集団で運動するときには持ち前の明るさでリーダーシップを 発揮するので,内向的な人を引っ張ってもらうようにするとグループのまとま りがよくなる。 10 循環気質の人は几帳面で,一度決めたことは守り通す人である。体力づくりを 目的としたような運動を継続する上では理想的な性格である。 11 人間の精神とからだには,個体差は無限に近く存在するが,個性を完全に把握 することは可能である。 12 A型行動パターンの人は,競争心が旺盛で,性急でいらだちやすく攻撃的なタ イプで,虚血性心疾患や,うつ病にかかりやすい。 13 A型の人には運動を行う本来の目的を理解させ,あまり競争的にならない状況 を設定したうえで,リラックスして運動に参加するよう指導する。 14 循環気質の体系は肩幅が広く,首が太くがっしりとしており,筋肉質である。 15 分裂気質の人は,運動・スポーツとしては個人種目に向いている。 16 A型の行動パターンの人は競技心が旺盛で虚血性心疾患にかかりやすい。 17 A型の人には運動を行う本来の目的を理解させ,あまり競争的にならない状況 を設定したうえで,リラックスして運動に参加できるよう指導する。 18 B型の人には指導者や仲間がたえず刺激や動機付けを与え続けるよう工夫す る。 19 循環気質は,やせ型で分裂気質の人に比べて冷たい印象を与えやすい。 20 指導方法,内容が同じであってもそれぞれの個性やからだや精神のコンディ ションによって指導効果は異なる。 【4】 1 我が国の国民性を考慮した運動の習慣づけの方策��P129 同じ事業内容でも,厚生省「健康づくり」,文部省「体力づくり」「保健体 育」「社全体 育」,通産省「レクリエーション」,自治省「青少年健全育 成」,労働省「勤労者スポー ツ」などのように,管轄省庁によって名称を変 える。 2 高齢期時代に運動やスポーツを実践する態度と習慣を身につけることが重要で ある。 3 動機づけには,目的を達成するために運動を手段とする「内発的な動機づけ」 と,運動すること自体を目的と位置づける「外発的な動携づけ」とに大別され る。 4 生きがいとは,挑戦する能力と応戦する能力との2つに分けることができる。 5 運動・スポーツ実施状況の推移が一定の比率であるのは,社会体育や健康・体 力づくりの振興方策が機能していないからである。 6 偉康・体力づくりやスポーツ振興のこれからの課題は,これらをいかに統合し 統合機関の編成をするかである。 7 我が国の成人にみられる運動・スポーツ実施状況は実施者と非実施者の比率が 1976年以降20年にわたり,実施者の方が約2倍ほど多い。 8 体力は,挑戦する能力と応戦する能力との2つに分けることができる。 9 人間にとって運動することが本来的な姿であって,適切に運動することが「丈 夫に育つ」「体力がある」「健康になる」「健やかに老いる」という結果を招 くのである。 10 体力とは,働きかける能力と防御する能力の2つに分けることができる。 11 2000年5月調査実施の運動・スポーツ実施率は51.4%である。 10 ウォーミングアップ�-ストレッチングの理論と実際- 【1】 ストレッチング(P133) 1 ストレッチングには,「動的ストレッチング」と「静的ストレッチング」の2 種類があり,一般にストレッチングというと「動的ストレッチング」を指すこ とが多い。 2 ストレッチングを行う目的の一つに,柔軟性の向上がある。その為には関節可 動域の拡大が必要になる。 3 筋肉は過度に引っ張られると反射的に伸ばされた筋肉を伸張する機構が働く。 これを伸張反射と呼ぶ。 4 「筋紡錘」という筋肉の中にある感覚器は,筋肉の長さを感知する感覚器で筋 肉が伸び過ぎて障害を起こさないようにしている。また,筋肉を伸ばす速さに も反応し,伸張反射を起こし筋肉をしめてしまう。それが筋肉や靭帯を痛める 原因になるので,筋肉をゆっくり伸ばす「静的ストレッチング」が注目される ようになった。 5 ストレッチングを行うことで,筋肉内に溜まった疲労物質を取り除き,筋疲労 の軽減や筋肉痛の予防などの効果を期待することができる。 6 近年では,反動をつけたり痛みをこらえたりするのではなく,筋肉をゆっくり 伸ばしていき,その伸ばした状態を維持するという 動的ストレッチング が普 及してきて,一般的にストレッチングと言うと,動的ストレッチングが該当す ることが多い。 7 筋肉と骨をつなぐ腱の部分は伸展性と弾性が多い組織である。 8 筋力のアンバランスがある状態や,筋肉が硬くなった状態では,筋肉や腱の炎 症や肉離れ,腰痛や関節痛を起こしやすい。 9 筋力トレーニングの中でも,筋肉を縮めながら力を発揮する短縮性トレーニン グのほうが筋肉痛を引き起こしやすい。 10 運動後のクーリングダウンとして行うストレッチングには,筋肉痛の予防なら びに軽減,筋疲労を和らげる効果がある。 【2】 1 ストレッチングの主目的(P136) 運動を行う前には,その運動を行うのに適したウオームアップが必要である。 そのウオームアップの中に含まれるストレッチングは,パフォーマンスの向上 や障害防止をはかるために行われる。 2 特に,発育期の青年期においては,筋肉の成長に比べて骨の成長が著しいため ストレッチングにより筋肉や腱の伸張性を保っておくことが大切である。 3 運動を行う前には,その運動を行うのに適したウオームアップが必要である。 そのウオームアップの中に含まれるストレッチングは,パフォーマンスの向上 や障害防止をはかるために行われる。 4 発育期においては,筋肉の成長に比べて骨の成長が著しいため,ストレッチン グにより筋肉や腱の伸張性を保っておくことが大切である。 ストレッチは関節の可動域を大きくする目的がある。 ストレッチをすると関節や筋肉が円滑に動かさせるようになる。 ストレッチは,筋肉・腱・靭帯などの障害を予防する。 ストレッチは筋肉の緊張を和らげ,全身をリラックスさせる。 発育期の青少年においては,骨の成長に比べて筋肉の成長が著しいため,スト レッチングにより筋肉や腱の伸張性を保っておくことが重要である。 【3】 1 実施上の注意(P136) 実施するとき,すぐにストレッチに入らず,数分間ウオーキングしたり,軽く ジョギングしたりして,まずは体を温める必要がある。 2 強い痛みを感じない範囲で,最大限に伸ばした状態をしばらく(20∼40秒 間)保つ。 3 同じ姿勢をしても,はじめの10秒間は楽なストレッチで,次にもう少し強く伸 ばして30秒間伸ばすと安全で効果的である(2段階で行う)。 4 適度に呼吸をすることによって,血圧,心拍数を減らし,からだの緊張を除く こともできるため,実施している間は息を止めずに自然に呼吸をするようにす る。 5 まず,そのスポーツ・運動でよく使う筋肉,また腰痛などで痛んだ筋肉を伸ば した後,全身の主要な筋肉のストレッチを行う(全身にわたって行う)。 筋肉が冷えているときは柔軟性を欠くので障害が起きる可能性が高い。 ストレッチは1∼2秒伸ばす程度で良い。 柔軟性は個人差があるが,他人と競うことでより高くなる。 ふだんストレッチングを行う習慣のない人は,伸ばすべき筋肉の部位をつぶや きながら実施する。 ストレッチは簡単なものから難しいものへと段階的に行う 【4】 1 基本的ストレッチングの実際(P138) 上肢のストレッチングには主に7種類の方法があるが,このうち「肩および背 中の筋群のストレッチング」と「肩および腕の筋群のストレッチング」のみ左 右交互にストレッチングを行う。 2 「仰臥位での全身のストレッチング」とは,席上に仰臥して両手を頭上の方向 に,両足を真っすぐにそろえて十分に伸ばし,つま先と指先まで一直線になる ように全身を伸ばすストレッチングである。 3 「座位での殿部および大腿部の筋群のストレッチング」とは,長座位になり両 足を軽く開いて上体を腰から折るように前屈する。このとき,つま先や足首が 触れられない人は無理をせず,つま先を握れない場合は,タオルを足にかけて 引いてストレッチングを行う。 4 肩および背中の筋群のストレッチングは,両手の指を組んで掌を前に向けなが ら,両肘を伸ばす。 5 体幹部の筋群のストレッチングには,主に6種類の方法がある 6 座位での脚の筋群のストレッチングとは,両脚と下腿の前側の筋群のストレッ チングである。 7 立位での下肢後面の筋群のストレッチングは,立位となり両足を肩幅に開き, つま先を正面に向け,軽く膝を伸ばして上体を前屈させる。 8 椅子を用いた立位での腰部の筋群のストレッチングは,椅子を横において,少 し離れて立ち,椅子の上に同側の片足を側方に開いてのせる。 11 エアロビックエクササイズ�-エアロビックエクササイズの理論と実際-(P147) [1] エアロビックエクササイズの理論 【1】エアロビックとは(P147)【2】 有酸素性作業能力の指標(P150) 【3】 エアロビックエクササイズとトレーニング(P154) 1 エアロビック健康法を提唱したのはアメリカのボルグである。 2 エアロビックエクササイズは「有酸素性運動」とよばれ,運動中の筋肉でのエ ネルギー の消費量と供給量の収支バランスがある程度の時間保たれる強 度の運動を指す。 3 ウオーキングやジョギングなどの長時間持続可能なエアロビックエクササイズ の場合,エ ネルギー発生の大部分は脂肪と炭水化物(グリコーゲン)が 酸素と結びついて燃えるこ とによっている。 4 有酸素運動を徐々に高めていくと,それに応じて酸素摂取量は高まっていく が,ある程 度まで高まると強度の高まりにもかかわらず酸素摂取量の増 加率が徐々に低下し,つい に定常状態に達する。 5 最大酸素摂取量の測定方法を大別すると,被験者に最大努力の運動を要求する 間接法と,最大努力をともなわない最大下作業における生理学的反応によって 推定する直接法がある。 6 エアロビックエクササイズのトレーニングには,第1に病人あるいは半健康人 と呼ばれる人々が,疾病の治療や回復を進めるために行うリハビリテーション としてのトレーニング,第2に一般の人が体力や健康の保持増進を目的に行う ために行うトレーニング,第3にスポーツ選手が競技力の向上を目的として行 うトレーニングがある。 7 エアロビックエクササイズのトレーニングの研究を大別すると,すでにトレー ニングを実施している鍛錬者とこれまで特別にしていない非鍛錬者との比較に よって運動の効果を評価しようとする縦断的研究と一定の集団に対象に実際に トレーニングを実施しその過程や結果によっていかに変化したかを比較するよ うな横断的研究がある。 8 運動の効果が期待できる最低の条件は「現在の日常生活の運動量を上回るこ と」である。 9 最大運動の効果が期待できる条件は「個人が耐えうる最高の質のトレーニング を実施すること」である。 10 人間や社会が便利になり体を動かす機会が減り平均的日本人の1日のエネル ギー摂取 量は,消費量に対して200∼300kcal多いので200∼300kcalの 運動を実施すべきである。 11 最大酸素摂取量が発現するような強い運動強度では,5−10分程度しか運動を 継続することが出来ない。 12 一流のマラソン選手は,最大酸素摂取量の85−95%の水準で走り続けること が出来る。 13 最大酸素摂取量の測定方法は,被験者に最大努力の運動を要求する直接法と, 最大努力を伴わない最大下作業における生理学的反応によって推定する間接法 とがある。 14 最大酸素摂取量を測定する場合。高い精度が要求されるスポーツ選手を対象と する場合は間接法,一般人を対象とした場合は直接法が広く用いられている。 15 無酸素性作業閾値(AT)とは,乳酸が急激に蓄積し始める変換点のことであ る。 16 アメリカのK,H,クーパーは,日常生活の中で定期的に運動を行うと,心 臓,血管系の疾病の予防,治療に役立つこと,すなわち,エアロビック増進法 なるものを提唱した。 17 人間が生命維持のために必要な最低なエネルギー代謝量を安静時代謝量とい う。 18 乳酸の蓄積量や最大酸素負債量は活動する筋肉の量に比例する。 19 エアロビックエクササイズは『有酸素性運動』と呼ばれ,運動中の筋肉でのエ ネルギーの消費量と供給量の収支バランスがある程度の時間保たれる運動を指 す。 20 ATPの分解によって,約6秒間の全力走がまかなわれることになる。このよ うなエネルギー発生は,乳酸を発生しないので,非乳酸性酸素負債と呼ばれ る。 [2] ウォーキングの指導の要点(P160) 【1】ウォーキングとは(P160)【2】 移動運動としての歩行の特性(P 160)【3】 ウォーキングの速度(P160)【4】 基本的な歩き方と姿勢(P 162)【5】 ウォーキングの強度の設定(P165)【6】 ウォーキングの時間 と頻度(P167)【7】 ウォーキングを行なっているときの筋肉の活動(P 167)【8】 ウォーキングの力学的特徴(P167)【9】 ウォーキングにより 期待できる効果(P169)【10】 ウォーキングを行なう場合の注意事項(P 170)【11】 ウォーキングの長所(P171)【12】 ウォーキングの指導の実 際(P172) 1 日本では ウォーキング をただ歩くことと区別するために エクササイズ ウォーキング と呼んでいる。 2 歩行運動で足が地面から離れている時期を「遊脚期」,接地している時期を 3 「立脚期」,両足が接地している時期を「両足支持期」と呼ぶ。 歩行速度を徐々に速くしていくと通常毎分100∼120mで走行に切り換わる。この 範囲の速度であれば,歩行でも走行でも消費エネルギーは等しい。 4 ウォーキングの速度は具体的な数値で決めることが重要である。 5 6 歩行速度は歩幅(一歩の長さ) 1分間の歩数によって求められる。 ウォーキングはエアロビックエクササイズであり,できるだけ長時間続けることに よって,より大きな効果が期待できる。 7 心拍数は運動強度の指数として,指導の際に頻繁に使われる。 8 実際にウォーキングを始める時にはまず,歩行の速度は「普通に歩く」,「や や速く歩く」,「かなり速く歩く」といった主観的に選んだ3種類の速度での 9 10 歩行を行ってみる。 有酸素性作業能力の向上を目的として運動を行うならば,はじめから運動による 効果を期待して,運動時間および頻度を決めるよりも長時間実践可能な時間や頻 度でウォーキングを行うことの方が重要である。 減量を目的としてウォーキングを行う場合は,運動の強さは高めに設定し,時 間及び頻度を少なくするほうがよい。 11 ウオーキングの前後には十分なストレッチを行うことが重要である。 12 ウオーキングは比較的安全に行えるが,誰にでもできる運動ではない。 13 ウオーキングは,地面からの衝撃の少ない運動である。今までに定期的な運動 習慣をもたなかった人でも,整形外科的障害を起こす危険性が比較的少ない。 14 ウオーキングは,エアロビックエクササイズであり,運動のためには筋肉に十 分な酸素を提供する必要はない。 15 ウオーキングは,体重を支持しながら,骨に適度な物理的負担を与えるため, とくに中高年女性に多くみられる骨粗鬆症を予防すること出来る。 16 ウオーキングの中止事項として,その日の体調が「体温が37℃以上のとき」が ある 17 ウオーキングは,自分の日常生活の中でもっとも無理のない時間帯で行う。た だし,空腹時や,食事直後は避けるべきである。 18 ウオーキングは,1日で最低30分間(1回に歩く時間は少なくとも20分間は続 けて歩くようにする),週に2∼3回程度を目安にし,慣れるにしたがって徐々 に時間および回数を増やしていく。 19 ウオーキングの中に,周囲の安全を確かめたうえで,たまには横に歩いたり, 後ろ向きに歩いたり,ジャンプしたりするなど,動きに変化をもたせると,今 まで活動していなかった筋肉も活動するようになり,全体的な代謝が高まる。 20 クーリングダウンは,ウオーミングアップと同様,ストレッチングや軽い運動 が有効である。筋肉を伸ばすときは,痛みを感じない程度とし,はずみをつけ て伸ばす。 21 普段意識せずに自然に歩いているときの速度は,各個人の中ではおおよそ同じ になる。この自然に選んだ歩きを自然歩行と言う。 22 人はゆっくり歩けば歩くほど消費エネルギーが少なくて済む。 23 自然歩行速度は女性が毎分70メートル前後,男性が毎分80メートル前後とさ れている。 24 歩行速度を徐々に上げていくと,通常毎分120∼140メートルで走行に切り換 わる。この範囲の速度のときは,歩行でも走行でも消費エネルギーは等しい。 25 ウォーキングは速度が速ければ速いほどよいというものではないので,運動す る人の年齢あるいは体力レベルが反映する自然歩行での速度を基準に,それに 比べて「やや遅く」歩くことが,ウォーキングの速度の目安として適当であ る。 26 歩行は,人間が移動する手段として,もっとも基本的な運動である。 27 走行と走行との相違点は,歩行では両脚遊脚期が存在するところにある。 28 歩行運動では,必ずどちらか一方の足が接地している。足が,地面から離れて いる時期を「遊脚期」,接地している時期を「支持期」,両足が接地している 時期を「両脚支持期」と呼ぶ。 29 歩行の1周期は,どちらかの足のかかとが接地してから次に同じ足のかかとが 接地するまでの間である。 30 歩行速度が大きくなると,両脚支持期のしめる割合が増加する。 [3] ジョギングの指導の要点(P174) 【1】ジョギングとは(P174)【2】 ジョギングの特性(P175)【3】 ジョ ギングの効果(P182)【4】 ジョギングと安全(P183)【5】 楽しいジョ ギングライフを築くために (P186) 1 ジョギングの定義は,ゆっくりとした,また楽な速さで走ること,一種の走り 方で,歩くことから発展した軽い駆けあしである。 2 足が地面に着いている時期を遊脚期,足が空中に浮いている時期を立脚期と呼 ぶ。 3 歩く動作と異なる点は,両足立脚期がない,同時遊脚期があるということであ る。 4 全身持久力を高めることを目標にする場合には,週2回以上,上限は週7回であ る。時間的には20∼50分のジョギングが必要である。 5 ジョギングプログラムを開始したばかりの時期には意識的に走行速度を遅くす る。慣れてきたら最大心拍数の65∼75%まで高める。主観的運動強度で11∼ 12の「楽である」程度である。 6 ジョギングの効果は筋肉の活動水準が高まり,呼吸・循環機能によって活動筋 へ酸素が供給される。したがってからだの酸素供給系の機能を高める。 7 楽しくジョギングライフを築くため,毎日同じメニューでは心もからだもマン ネリ化し,退屈になってしまう。楽しいジョギングとはバリエーション豊かで 計画性のあるものである。 8 走る時間帯について,もっとも便利な時間帯は早朝である。しかし体が運動に もっとも不適切な時間帯でもあるので十分なウォーミングアップが必要であ る。 9 一周期にしめる遊脚期,立脚期の比率は走行速度によって変化し,走行速度が 大きくなる程,遊脚期の比率が小さくなり,滞空時間も短くなる。 10 走る動作において腕の振りも影響を与えている。走行速度が大きい場合は小さ な曲線を描くが,走行速度が小さくなるにしたがって腕のふりは大きくなる。 腕振りは,キックの力を軽くする,腰や脚のバランスを保つといった役割を持 つ。 11 ジョギングは軽い運動であり,危険がないため突然死を起こさないといえる。 12 平均的日本人のエネルギー摂取量は,消費量に対して200∼300kcal少ない。 13 前傾姿勢でのジョギングは着地の際の衝撃を小さくする。 14 ランニングは競技志向が強いのに対し,ジョギングは楽しみ志向が強いといえ る。 15 ジョギングを定期的に行うことによって酸素を効率よく摂取し,消費すること ができるようになる。 16 普段意識せずに自然に歩いている時の速度は各個人の中ではおおよそ同じにな る。この自然に選んだ歩きを自然歩行と呼ぶ。 17 自然歩行の速度は,10歳代をピークに年齢を経るにしたがい遅くなっていく。 これは加齢にともなう身体諸機能の減退によることが大きい。 18 全身的な循環器系の活動を示す心拍数および酸素摂取量は歩行速度の増加にと もなって減っていく。 19 ウォ−キングは幅広い年齢層あるいは体力レベルの人が実施する運動であり, ウォーキングの速度を具体的な数値で決めることは重要なことである。 20 運動する人の年齢あるいは体力レベルが反映する自然歩行での速度を基準にそ れに比べて『やや速く』歩くことがウォ−キングの速度の目安として適当であ る。 21 健康保持・増進のために歩くことを欧米では「エクササイズウォーキング」と 呼ぶ。 22 日本ではエクササイズウォーキングのことを,ただ歩くことと区別するために 「ウォーキング」と呼んでいる。 23 ウォーキングには年齢や体力レベルによって異なったウォーキング内容があ る。 24 ウォーキングを行う人の歩き方は一緒である 25 ウォーキングの適切な内容を決めるためには,歩行速度と身体諸機能の活動状 態といった歩行に関する基礎的な知識をもつ必要がある。 26 やや速く歩くウォーキングの運動強度はおよそ6METsに相当するといわれて いる 27 「ややきつい」と感じるくらいのウォーキングを行うことは,運動強度の目安 の一つとして有効である。 28 健康保持・増進のための運動は,まずはじめは推定最高心拍数の50%程度を 目標心拍数とする。 29 心拍数は中程度の運動であれば酸素摂取量と直線関係にある。 30 目標心拍数は,運動実践の期間に合わせて適宜調整していく。 [4] 水泳・水中運動の指導の要点(P187) 1 浮力とは,からだの水中にある部分の体積と等しい水の重さ分だけ,重力と反 対方向に働く力である。 2 水中や空気中を移動すると,移動方向とは逆向きの力をうける。これを抵抗と いい,水 中では空気中の約80倍の抵抗を受ける。 3 水中では,体が圧力を受け陸上に比べて呼吸がしづらくなる。そのため,呼吸 に関わる筋肉を盛んに動かすので,呼吸筋が鍛えられ機能が改善される。 4 水中は,空気中の20倍以上もの熱の伝わりやすい性質がある。 5 水温が低すぎると,体温が急激に下がってしまうので,水中運動を行う際の適 正水温は, 30℃∼35℃がいいとされている。 6 プログラムを立てる時は,ウオーミングアップ・水中運動や水泳・クーリング ダウンの順になるようにする。 7 水中で運動すると,陸上で同じ強度の運動をしたときよりも心拍数が多くなる ので,目標心拍数よりも10∼15拍多い数を目標心拍数とすると良い。 8 水泳は,健康の維持・増進のためには水泳を続けることが重要なので,距離よ りも時間を目安にすると良い。 9 水泳・水中運動には,全身の筋肉を鍛える,心肺機能の向上,下肢の血行の促 進などの効果が期待できる。 10 安全に水泳・水中運動を行うために,貴金属を外す,爪をきちんと切る,また メディカルチェックを受けるなどの準備をきちんと行い,指導者は,救急処置 の仕方についてもきちんと学ぶ必要がある。 [5] 【1】 【2】 【3】 【4】 【5】 【6】 【7】 [6] 【1】 【2】 【3】 【4】 エアロビックダンスの指導の要点(P199) エアロビックダンスとは(P199) エアロビックダンスの特性(P199) エアロビックダンスの実施効果(P201) エアロビックダンスの運動強度(P201) エアロビックダンスの実際(P203) 安全に対する注意(P208) インストラクターの役割(P210) クロスカントリースキーの指導の要点 クロスカントリースキーとは(P212) クロスカントリースキーの特性(P212) クロスカントリースキーの用具と操作(P214) ワックスとその操作(P216) 【5】 【6】 【7】 【8】 クロスカントリーの技術(P217) 運動強度の調節(P220) 服装(P221) プログラム構成(P221) 12 アネロビックな動作・運動�-アネロビックな動作・運動の理論と実際-�(P223) 【1】 アネロビックな動作・運動の必要性(P223) 1 誰もが日常生活を送るうえで最小限必要とされる身体活動は,RPEとよばれる からだの動きである。 2 アネロビックな動作・運動は一般的に運動強度が高く,その運動時間は短い。 したがって一般人や中高齢者の健康の維持・増進には適していない。 3 強化運動を処方する場合には,強度,セット数,時間の3大要素と運動・動作 を繰り返す期間を決めなければならない。 【2】 1 アネロビックな動作・運動の種類とプログラム立案の原則(P223) アネロピックな動作・運動はさまざまな形態の負荷または抵抗を筋肉にかけ, 主に筋力,筋パワー,筋持久力の向上をはかる身体動作の総称でもある。 2 レジスタンス筋力強化運動の種類は,等尺性(アイソメトリック)筋力強化運 動と等張性(アイソトニック)筋力強化運動と等速性(アイソキネテイク)筋 力強化運動の3つがある。 3 トレーニングの最初に行う種目ほど効果が大きい。遠位の小筋群の種目からは じめて,体幹に近い大筋群を主働筋とする種目へと移行していくのが一般的で ある。 【3】 器具を利用しないレジスタンス運動による筋力強化の実際(P226) 1 器具を利用しないレジスタンス運動による筋力増強のためには ①自分の体重にパートナーによる負荷を加える。 ②特定の筋群に強い負荷のかかる種目を選ぶ。 ③すばやく自分の体重を加速することにより瞬間的に高い筋力発揮を行う(パ ワートレーニ ング)。という工夫が必要である。 2 フロアシットアップ(床上仰臥・上体起き上がり)とは, 床上に仰臥し,上体を起こす運動である。浅部腹筋群の上部に対する効果が大 きい。もっとも強度が高く,初心者や中高年者に向いていない運動である。 3 プローンバックエクステンション(伏臥上体反らし)とは, うつぶせに寝て,頭の後ろで両手を組み,上体を後ろに反らし,上まで行った らゆっくりおろす。底につけた脚が動かないように固定する。過度に反らすと 腰部障害の原因となるため,勢いをつけずにゆっくり行う。 4 シッシースクワツト(膝曲げ上体反らし)とは,立位姿勢から膝を前方に出す ようにして,上体を後方へ反らす。このとき股関節を曲げるようにする。 【4】 1 器具を用いたレジスタンス運動による筋力強化の実際(P230) ベンチプレスは必ずラックのついたベンチ台を用いる,あるいは1∼2名の補助 をつけるなどの注意が必要である。 2 手首関節を背屈した状態でシャフトを握ると,荷重の位置が手関節から離れた 分,大きな回転力が手首関節にかかり,慢性障害の原因になる。 3 インクラインプレスは挙上重量はベンチプレスの65∼75%程度,標準的な背も たれベンチの傾斜角は45 である。 4 ダンベルフライは肘が伸展していればいるほど大胸筋に強い刺激を与えること になる。 逆に肘を曲げれば軽い刺激になる。 5 フロイトレイズは,バーベルやダンベルを用いるが,肘や手関節の自由度の大 きさか ら,ダンベルのほうが推奨される。 6 ベントオーバーロウ,フロアプーリーロウ,ラットマシンプルダウンは主に広 背筋を鍛える。 7 デットリフトの注意点は,腰椎を後方に曲げないこと,バーベルがからだから 離れないようにすることである。 8 フルスクワットの悪い姿勢は,顎が出る,膝が出すぎる,腰が曲がるである。 9 ヒールレイズ(カーフレイズ)は,つま先立ちの運動であるヒラメ筋を十分作 用させるために,膝をしっかり伸展させて行う。 10 シーテッドカーフレイズは膝に上に負荷を加え,ヒラメ筋の力を大きく発揮さ せる。 【5】 1 サーキットによる全身の組み合わせ運動(P237) サーキットによる全身の組み合わせ運動はアネロビックな動作・運動を数種類 連続的に行うことにより,筋力,筋パワー,筋持久力,全身持久力などを総合 的に向上させる一連の組み運動である。 2 サーキットによる全身の組み合わせ運動は,初心者および若年,中高齢者では 総合的体力 づくり運動でもある。 3 サーキットによる全身の組み合わせ運動の運動プログラムを立案するにあたっ て,種目の選 定は①胸・肩・上腕,②背,③体幹(腹下背),④脚(および 全身運動),⑤複合運動の5つに分類し,これらの分類群からそれぞれ1∼3種 目を選び,計5∼15種目で構成する。 4 サーキットによる全身の組み合わせ運動の運動プログラムを立案するにあたっ て,種目の配 列は軽い運動→局所的運動→強度の高い大筋群の運動→軽い運 動の順にする。 5 サーキットによる全身の組み合わせ運動の運動プログラムを立案するにあたっ て,種目の配 列は同一の筋群を使う種目を連続しない。 6 サーキットによる全身の組み合わせ運動の運動プログラムを立案するにあたっ て,中強度の 種目は15秒間に反復できる最高の回数の半分,または3分の1 で行い,低強度の種目は30秒間に反復できる最高の回数の半分,または3分の 1で行う。 7 ベンチプレスを行う際、手首関節を底屈した状態でシャフトを握ると、荷重の 位置が手関節から離れた分、大きな回転力が手首関節にかかり、慢性障害の原 8 インクラインプレスを行う場合、ベンチの傾斜角が大きくなるほど、大胸筋の 参加が増えて三角筋の関与が減る。 9 主働筋:三角筋、協同筋:僧帽筋の強化運動を行う時はバーベルなどの特別な 器具が必要とされているため一般家庭で行うのは難しい。 10 フロントレイズを行う時はバーベルやダンベルなどを用いるが、肘や手関節の 自由度かの大きさから、ダンベルのほうが推奨される 11 デクラインシットアップ(斜上体起こし)とは、シットアップの運動よりも運 動範囲が広くなり荷重範囲が大きくなる運動である。 【6】 1 アネロビックな動作・運動のウォーミングアップとクーリングダウン(P238) ウォーミングアップは5∼10分間程度のエアロビックな身体活動・運動(とく に冬期)→動的ストレッチング→動的ストレッチング→静的ストレッチングの 順に行うのがよい。 2 クーリングダウンは軽い運動を続けることで,トレーニング中に生じた乳酸な どの代謝物質を血液中から速やかに除去する。 3 運動後の筋肉痛を持続させないために,静的ストレッチング→軽い運動・体操 を行うとよい。 4 準備体操,整理体操はウォーミングアップやクーリングダウンの一部として行 われ,柔軟体 操も含まれる。 13 運動実践に伴って生じる障害の予防�-運動障害の予防-�(P241) [1] 内科的に対応すべき点(P241) 【1】 運動中止の判定(P241) 1 運動指導にあたっては,とくに対象が中高年者である場合には,参加者全員の メディカルチェックを行い,各参加者の健康状態を把握する必要がある。 2 中高年者が胸痛を訴えたとき,必ず虚血性心疾患を念頭におく。狭心症と心筋 梗塞に大別される。 3 心筋梗塞の特徴としては,胸痛が圧迫感・締めつけられるような痛み・重苦し さなどである。 4 運動時に刺し込むような側腹部の痛みは,運動前の過食,便秘のとき,ランニ ングのスピードをあげた時や長距離のラストスパート時に生じることが多い。 5 スポーツ選手の突然死は,年齢を問わず一見健康にみえる人に起こることが多 い。 6 運動中止の判定で運動開始前の症状・徴候は胸が痛い,締めつけられる,少し 動いただけで息切れがする,顔や足にむくみがある,運動時の脈拍がいつもよ り30拍/分以上多いなどである。 7 運動指導にあたって,とくに対象が中高年者である場合には,必ず参加者全員 のメディカルチェックを行い,各参加者の健康状態を把握し,なんらかの注意 を要する者に対してはあらかじめ参加可能な運動あるいは運動強度を指定しな ければならない。 8 運動中止の判定で,運動実践中の症状・徴候は,胸の痛みが運動とともに増強 する,強い息切れや呼吸困難,頭痛,めまい,吐き気および嘔吐,強い疲労 感,冷汗,ふらつき,足のもつれ,脈が乱れる,動悸がする,下肢に痙撃や痛 みがあるである。 【2】 1 運動時における内科的障害 脱水状態のまま運動を続けると,体温が低下し,発汗は少なくなるか,止まっ てしまい,さらに脱水にともなう障害を引き起こす危険が出てくる。 2 熱失神は,多量の発汗にともなって水と塩分が喪失したのに,水のみを補給し たときに生じる。 3 熱射病は,高温下で運動により生じた熱を放射することができず,体温調節中 枢が障害される結果,体温が上昇して,高体温により全身の臓器障害が生じた 状態で,熱中症の中ではもっとも重篤なものである。病人,幼児,高齢者に生 じやすい。 4 熱中症は適切な予防処置により未然に防げるものであり,(財)日本体育協会 は熱中症予防の原則を「熱中症予防8か条」で示している。 5 過換気症候群の症状として,「息を吸えない感じ」の発作的呼吸困難がある。 6 突然死の原因は,不明なことも多いが,中高年者には,虚血性心疾患が多く, 脳血管系疾患,大動脈瘤破裂もみられる。スポーツ選手,若年者は,肥大型心 筋症,先天性冠動脈奇形,冠動脈疾患などである。 7 狭心症と心筋梗塞の痛みの特徴の違いには,狭心症は,締め付けられるような 痛み,重苦しさ,圧迫感があげられる。心筋梗塞は,激しい痛み,吐き気,冷 汗,不安感,重症感があげられる。 8 狭心症と心筋梗塞の持続時間は,狭心症は,1∼5分までの短い発作で,長くて 15分以内である。心筋梗塞は,30分以上∼数時間である。 9 熱中症は,熱痙撃,熱失神のような軽度障害から,放置すれば熱疲労さらに熱 射病に移行する連続的な病態である。 10 高山病は,2500m以上の高地に登ったとき,酸素分圧の低下,低酸素に加 え,疲労・消耗,体調不良などに引き起こされた症候群のことである。 [2] 外科的に対応すべき点(P250) 【1】 主な急性の運動障害(P250) 1 ぎっくり腰は,正式には突発性腰痛あるいは急性腰痛といい,腰に力を入れた 瞬間に激しく痛みを感じ,動けなくなるような状態をいう。 2 中高年のぎっくり腰の場合には,加齢にともなう変形性脊椎症,筋力・柔軟性 の低下といった要因がある。また,脊椎を支えている腹筋と背筋の筋力のアン バランス,腰背部の筋肉の疲労の蓄積もその要因となっている。 3 こむらがえり(筋痙攣)の原因は,①まわりの温度の急激な変化,②体内の水 分不足,③体内の電解質の喪失,④血行障害,⑤疲労しているとき,⑥ウオー ミングアップの不足,⑦身体的緊張が強くなりすぎたときなどがあげられる。 4 筋痙攣の予防としては,①ストレッチングを含むウオーミングアップを十分に 行う,②発汗の多いときは水分を十分に補給する,③野菜や果物を多くとり, ビタミンやミネラルを十分に補給するなどがある。 5 中高年のぎっくり腰の場合は,加齢にともなう変形性脊椎症,筋力・柔軟性の 低下といった要因があるので,よけいに重いウエイトを持ち上げたとき,柔軟 運動を行っているとき,あるいは腰を反らせるような運動を行っているときな ど腰に負担のかかる姿勢をとる運動によって起こることが多い。 6 椎間板ヘルニアとは脊柱を形成する椎体と椎体の間にある椎間板の髄核が線維 輪を破って飛び出し,神経根を圧迫することによって起こる。 7 腰痛をきたした場合には,無理に動いたりせずに,1日から数日間安静を保 ち,痛みがなくなったら予防のためのトレーニングを,負荷を徐々に増やしな がら行うようにする。 8 こむらがえり起こる原因は,まわりの温度の温度の急激な変化,体内の水分不 足,体内の電解質の喪失などがある。 9 こむらがえりの予防策としてはストレッチングを含むウオーミングアップを十 分に行うこと,発汗の多いときには水分を十分に補給すること,野菜や呆物を 多くとり,ビタミンやミネラルを十分に補給することが大切である。 10 突発性腰痛が起こる要因の中には、脊柱を支えている腹筋と大腰筋の筋力のア ンバランスなどがある。 11 突発性腰痛の例として、①腰椎捻挫②筋筋膜性腰痛症③椎間板ヘルニアの3つ がある。 12 突発性腰痛の予防策として腹筋の筋力トレーニングを行う際は、必ず膝を曲げ て、また足を押さえずに行うようにしなければ、腹筋よりもむしろ股関節の屈 筋のトレーニングとなり、「反り腰」を助長することとなってしまう。 13 こむらがえり(足がつる)とは、ふくらはぎの筋肉が痙攣を起こして強く短縮 した状態で、「筋痙攣」ともいわれる。 14 こむらがえりの予防の1つとして炭水化物を多く摂取することが望ましい。 【2】 主な慢性の運動障害(P252) 1 ジャンパー膝とは膝蓋骨の下端部や上端部に大きな収縮の力が繰り返しかかる と,靭帯と膝蓋骨との接合部に炎症を起こしたり,靭帯の線維の一部分が断裂 することである。 2 ジャンパー膝の予防としては,大腿四頭筋のストレッチを入念に行い,筋肉の 柔軟性を高め,膝蓋靭帯への衝撃を和らげる。また,入念なクーリングダウン とストレッチングを行った直後に,痛む部分をアイシングすることも効果があ る。 3 腸脛靭帯炎とは,腸脛靭帯と大腿骨内上顆が互いにこすれあい,その力が強 かったり,回数が多いと,靭帯と大腿骨内上顆の間に炎症を起こして,腱の屈 伸により痛みが起こり,屈伸できなくなってしまうことである。 4 腸腔靭帯炎の予防としては,腸脛靭帯には大腿筋膜張筋と大殿筋が合流してい るので,これらの筋肉を柔軟することにより,間接的に靭帯の緊張をゆるめる ことで効果がある。また,腸脛靭帯炎はO脚の人に多いといわれている。 5 ものを投げる動作を分析すると,ワインドアップ期,コツキング期,アクセレ レーション期,フォロースルー期の4つに分けられる。このうち肘に一番負担 がかかるのは,コッキング期である。 6 テニス肘には,フォアハンドテニス肘とバックハンドテニス肘がある。フォア ハンドテニス肘は,肘の外側に痛みを感じ,バックハンドテニス肘は,肘の内 側に痛みを感じる。 7 ものを投げる動作には,ワインドアップ期 コツキング期 アクセレレーショ ン期フォロースルー期の4つがあり,肘に一番負担が掛かるのはアクセレレー ション期である。 8 肘は,曲げる,伸ばすという運動しかできないので,アクセレレーション期に は「外外力」が肘にかかる。 9 成長期の肘は大人の肘と違い,軟骨の成分が多く,内側からかかる力に対して 抵抗力が弱い。 10 野球肘は成長期の抵抗力の弱い肘に過度の力が繰り返しかかることによる「使 い過ぎ症候群」の1つである。 11 治療には「休養」が必要で,レントゲン検査や,専門医の診察などは必要な い。 12 テニス肘は,フォアハンドテニス肘とバックハンドテニス肘があり,筋肉の疲 労,細かい断裂,筋肉を包んでいる膜の損傷などによっておこる。 13 テニス肘は,テニスプレーヤー独特のスポーツ障害でテニス以外のスポーツ選 手にはあまりみられない障害である。 14 正しいフォームを身につけること,痛みがある時は休養することなどで痛みが 改善されることもある。 15 ジャンパー膝の予防方法は,大腿四頭筋のストレッチングを入念に行い,筋肉 の柔軟性を高めることにより,膝蓋靭帯への衝撃を和らげることができる。 16 ジャンパー膝の治療法は2週間程度の休養と,その間の1日に2,3回のアイシン グし,同時に消炎剤を投与する。あるいは,安静を続けながら靭帯の範囲に炎 症を抑える薬を注射する。それでも治らない場合は1ケ月ギプスをする。 17 オスグッド・シュラッター病の治療法は軽症の場合はスポーツを制限する必要 はない。そのかわりスポーツを始める前に十分にウオーミングアップをした 後,上腕二頭筋を十分にストレッチングする。ストレッチングによって上腕二 頭筋の柔軟性が増して,骨にかかる引っ張りの力が和らげられる。スポーツの 直後にもはじめる前と同じょうにストレッチングを十分に行う。また,運動直 後に痛む場所を水と氷でアイシングすることも効果的である 18 長距離ランナーに多い障害を総称して「ランナー膝」ともいう鷲足炎だが,こ の鷲足炎になりやすいといわれる条件は,(鷲足炎についての説明であるので よく覚えておくこと) ①硬い路面を走ること ②底が薄くて硬いシューズで走ること:衝撃吸収が少なくて筋肉に過剰な負担 がかかり,緊 張が強まるために摩擦も増加 ③かかとの内側で着地する傾向のある人(X脚):膝の内側にストレスがかか る。 ④着地のときにかかとが外側に傾く傾向のある人(過回内足の強い人):着地 のときにかか との骨が異常に外側に傾くと,間接的に膝の内側のストレスを増加させる。 19 野球肘は「使い過ぎ」による結果であるから,まず肘に休養を与える。またす べて専門医の指示に従うことが大切である。内側の骨がずれていると,そのす ぐ下を走っている神経に悪影響が及び,最悪の場合神経の麻痺が起こり,もの に触った感じがなくなったり,握力が低下して,野球どころではなくなる可能 性がある。 20 テニス肘には,バックハンドテニス肘とフォアハンドテニス肘があるが,ほと んどのテニス肘はバックハンドテニス肘である。 21 ジャンパー膝による炎症や断裂を適切に治療しないでいると瘢痕という固いし こりが出来て,痛みがなかなかとれなくなる。 22 腸脛靭帯炎の予防法の一つとして,ランニングなどをする際は出来るだけ衝撃 吸収のよいランニングシューズを履くことがあげられる。 23 野球肘は先ず外側が痛み始め,そのうち内側にも痛みが生じる。 24 野球肘は『肉離れ」による結果であるから,まずは休んで休養を与える。 【3】 テーピングの意義(P261) 1 テーピングには,外傷・障害の予防,応急処置,リハビリテーションの補助, 再発の予防などの目的がある。 2 テーピングは,関節の正常な可動範囲を制限し異常な動きを制限することが可 能なので,障害の予防,再発予防をしながら運動を行うことができる。 3 テーピングは,障害の治療や予防を目的として,粘着テープを用いて関節や筋 肉を固定する方法のことである。 4 テーピングの目的は次の4つである。 ①軽度の外傷の救急処置 ②障害後の機能訓練(リハビリテーション)の補助 ③障害の再発予防 ④関節の過柔軟性に対する保護 テーピングとは,傷害の治療や予防を目的として,粘着テープを用い,関節や 骨の固定をする方法である。 近年,スポーツブームによりスポーツ障害の発生頻度は高く,テーピングは大 きな役割を果たしている。 テーピングの目的は,①予防,②応急処置,③機能訓練の補助,④再発防止で ある。 スポーツ選手は身体機能の低下を最小限にするため,早期から後障害のリハビ リテーションを開始する。 テーピングはスポーツ選手の精神的支えにはならない。 14 事故が生じたときの対応�-救急処置と応急処置-�(P263) [1] 内科的対応の方法(P263) 1 意識障害をきたす疾患には脳卒中,頭部外傷,不整脈,重症心不全,てんか ん,過換気症候群などがある。 2 運動中に胸が痛いという人がいた場合,その原因にはいろいろあるが重大な疾 患である場合が多いので,運動をただちにやめさせ,楽な姿勢で座らせるなど の対応をし,できるだけ早く専門医の診察を受けるようにする。重篤感のある 場合には,ただちに救急車を呼ぶ。 3 熱中症には熱痙撃,熱疲労,熱射病の3種類ある。 4 過換気症候群は1.5ℓの紙袋で口と鼻をおおい,袋の中で吐いた息を再度吸わ せる。20∼50秒程度したら,いったんやめて大気を吸わせる。過呼吸が続く ようであれば袋の空気を入れ換えて再度,再呼吸を行わせる。 5 脳貧血は頭を低くして,体を水平または足を拳上して寝かせる。気道を確保 し,衣類をゆるめ,保温する。この処置によって5分以上経てば,意識が改善 するのが普通である。 6 肝炎ウイルス感染者やHIV感染者の唾液で救助者が感染することがある。 7 一方向弁付呼吸吹き込み器具やバック・マスクなどの補助器具の使用は感染対 策として有効である。 8 救助者の皮膚,口唇,口腔に創傷がある場合には,口対口の人工呼吸で感染の 可能性があることは認識しておく必要がある。 【1】 1 救急蘇生法(P263) 救急蘇生法は一般市民が行なう場合は応急処置,救急隊員が行なう場合は救急 処置,救急救命士が行なう場合は応急手当という。 2 意識のない人には,まず気道確保してから①胸部が動いているかどうか,②鼻 や口に耳を近づけて呼吸音が聴こえるかどうか,③吐く息を顔に感じるかどう かを観察し,呼吸状態の確認をする。 3 人工呼吸は最初の2回は3∼4秒間連続して吹き込み,以後は5秒に1回ぐらいの 割合で繰り返して行なう。 4 心臓マッサージは人工呼吸と同時に行なう。救助者が1名の場合は人工呼吸4 回に対して15回の心臓マッサージを1分間80∼100回の速さで行なう。 5 止血法には,直接圧迫止血と関節圧迫止血がある。直接圧迫止血は,傷口をで きるだけ清潔なガーゼやハンカチで直接押さえてしばらく圧迫する。関節圧迫 止血法は,傷口より上方の動脈を指で圧迫して血液の流れを止める。 6 究極の救急手当と応急処置は十分な発生予防と対応のシステム化であり,事故 が生じないよう注意し,最悪のケースになる前でくいとめる,ことが理想であ る。 7 緊急事態の発生予防は次の5点がある。 ①適切な内容と間隔のメディカルチェック ②体調の確認 ③適切な運動指導 ④医療機関との情報交流 ⑤適切な人材の確保 8 事故が生じたときの対応のシステム化は次の5点である。 ①救急マニュアルの作成 ②緊急訓練の定期的実施 ③必要な物品の準備 ④ 医療機関との連携 ⑤救急救命士などの人材の育成と確保 9 救命手当は法律的には故意または重過失がなければ,救命手当の実施者が被害 者などから責任を問われることはない。 10 救急蘇生法は一般市民でも可能な手当であるが,AEDの使用は資格がないと使 用できない。 11 突然の心肺停止、もしくはこれに近い状態になったときに、心臓マッサージの ための胸骨圧迫、および人工呼吸を行うことを心肺蘇生(CPR)という。 12 一次救命処置(BLS)とは、①傷病者を救命するために大切な心肺蘇生、② AED(自動体外式除細動器)を用いた除細動、③異物で窒息をきたした場合の 気道異物除去の3つをいう。 13 応急手当とは、心停止以外の一般的な傷病の悪化を回避することを目的に市民 により行われる最小限の諸手当をいい、傷病者の体位や移動、止血法、傷やや けどの手当、骨折や捻挫の手当などが含まれる。 14 一般に心室細動から除細動開始までの時間が1分遅れるごとに、救命できる可 能性が5%低下するとされる。 15 気道異物除去の方法として、腹部突き上げ法(ハイムリック法)と背部叩打法 がある。 16 救急蘇生法には,一次救急処置(bassic life support :BL)と応急処置がある。 17 一次救急処置(BLS)とは ①傷病者を救命するために大切な心肺蘇生 ②AEDを用いた除細動 ③異物で窒息をきたした場合の気道異物除去 の3つである。 18 傷病者が発生した時,いかに早く救急蘇生法を行うかが,その傷病者の予後を 左右志,最初の20分間の対応がカギとなる。 19 ある特定の物質に対する重篤なアレルギー反応で,気道が腫れて呼吸困難が出 現したり,著しく血圧が低下して致命的になり得る緊急事態のため,もしこの ような傷病者が発生した時はすぐに119番通報する。これをアナフィラキシー という。 20 AED使用後,傷病者からAEDを外すのは医療行為になるため取り外してはなら ない。 21 突然の心肺停止,もしくはこれに近い状態になったときに,心臓マッサージの ための胸骨圧迫,および人工呼吸を行うことを心肺蘇生(CPR)という。 22 応急処置とは,心肺停止以外の一般的な傷病の悪化を回避することを目的に市 民により行われる最小限の諸手当をいい,傷病者の体位→移動,止血法,傷や やけどの手当て,骨折や捻挫の手当てなどが含まれる。 23 一般に心室細動から除細動開始までの時間が1分遅れるごとに,救命できる可 能性が5%低下するとされる。 24 気道異物除去法として,腹部突き上げ法(ハイムリック法)と背部叩打法があ る。 [2] 外科的対応の方法(P273) 【1】 一般的注意事項(P273) 1 スポーツの現場では,損傷がどの程度のものか(骨折の有無,靭帯損傷,筋・ 腱の断裂などの有無)判然としない場合が多い。 2 次のような症状が認められれば,頭を強く打ったときの対処法をとる必要があ る。 ①明らかな変形が頭部,四肢,脊柱にないか ②口や耳から出血や液の漏出がないか ③意識の有無 ④呼吸を楽にしているか ⑤事故直前の状態がわかっているか ⑥四肢を自由に動かせるか,しびれがないか,などの末梢神経系の障害を調 べる。 【2】 四肢の検索(P273) 1 損傷部位の着衣,靴下,テーピングなどは取り除かずそのままにする。 2 受傷時の状態を周りの人や本人からよく聞き,どこがどう痛むのか,しびれが あるのか,自分で動かせるかなど,どんな症状かを聞く。 3 受傷時の症状を参考に,皮膚に損傷があるか否か,局所の腫れ,関節内の出 血,変形の有無を調べる。 4 受傷した部位またはその隣接の関節を動かすときに痛みがないかどうかを調べ る。 5 受傷した部位の骨や関節の周囲を押さえて痛みがないか,筋肉や腱の部位に異 常なくぼみがないかなどを調べる。 6 四肢の受傷部位の検索によって,局所の腫れ,圧痛,運動時あるいは,荷重を して痛みが有るときは,いわゆるRICE処置を行う 7 損傷部位の着衣、靴下等を脱がせる。 8 受傷時の状態を周りの人や本人からよく聞きどこがどう痛むのか、痺れがある のか、自分で動かせるのかなど、どんな症状なのかを聞く。 9 受傷者の症状を参考に皮膚の傷(挫傷)、局所の腫れ(腫脹)、関節内の出 血、変形の有無などを調べる。また、挫傷の場合感染症にかかる可能性がある ので、ただちに消毒液、または綺麗な水で洗い流し、清潔なガーゼなどで覆 う。 10 受傷した部位またはその隣接の関節を自分で動かせるかどうか、動かすときに 痛みがあるかどうかを調べる。 11 受傷した部位の骨や関節、その周囲を押さえて痛みが無いか、筋肉や腱の部位 に異常なくぼみが無いかどうか調べる。 【3】 1 下肢の外傷での注意事項(P274) 足関節,膝関節,大腿などの下肢の場合は明確な診断がなされるまでは荷重し ないようにし, ①広範な内出血や痛みが持続する。 ②数日後も運動時痛や荷重時にいたむなど機能障害が持続する。 ③骨折や脱臼,亜脱白,靭帯損傷が疑われる。 ④診断明確でなく次の治療法がわからない。などのときには,医療機関を受診 2 し,治療方針を 足関節,膝関節,大腿などの下肢の場合は,明確な診断がなされるまで荷重し ないこと。 3 広範な内出血は痛みが持続する場合は医療機関を受診し,治療方針を立てる必 要がある。 4 数日後も運動時などに痛むなど機能障害が持続する場合は,医療機関を受診 し,治療方針を立てることが必要である。 5 骨折や脱臼,亜脱臼,靭帯損傷が疑われる場合は医療機関を受診し,治療計画 を立てる必要がある。 6 診断が明確でなく,次の治療法がわからないなどのときには医療機関を受診 し,治療計画を立てる必要がある。 【4】 1 挫傷に対する救急処置(RICE処置)(P274) RICE処置とはRest安静,Icing氷冷,Compression圧迫,Elevation挙上,か らなる一連の応急処置の原則である。 2 圧迫は弾力性のある包帯などできつく圧迫する。挙上は患部を心臓よりも高い 位置にあげておく。 3 RICEで最も重要な処置はIcing氷冷である 4 RICE処置が必要な状態のとき,①温湿布の使用,②飲酒,③入浴の3点は絶対 にしてはならない三禁則である。 【5】 1 障害の症状と対応(P274) 母指の脱臼骨折,突き指,PIP関節側副靭帯断裂などの外傷は,比較的軽度の 損傷であれば金属副子で良肢位に固定し,安静を保てば治癒するが損傷が重症 であったり,損傷後適切な治療がなされず長い時間が経過している場合には手 術を行う必要がある。 2 開放骨折とは,骨折した部位が皮膚を破ってからだの外部に飛び出した状態の 骨折で,単純骨折ともいう。 3 骨折の治療は,一般にはギプスによる固定を数週間から数ヶ月間行うか,手術 による整復を行って固定する。ギプスにより固定された後は,骨折の部位を悪 化させるのであまりほかの部位は動かさないほうがよい。 4 膝には大切な靭帯が3つ(内側側副靭帯,前十字靭帯,後十字靭帯)がある。 5 頭蓋内出血型脳圧迫とは,外傷による頭蓋内出血が血腫となり,脳圧迫をきた して,時間の経過とともに症状が悪化するもの。 6 RICE処置とは,Rest(安静),Icing(氷冷),Compession(圧迫)Elevation (挙上)からなる一連の応急処理の原則である。 7 RICEで最も重要な処置はIcingである。 8 安静にするという意味に「むやみに動かさない」,「そのままの状態にしてお く」という意味がある。 9 氷冷,圧迫,挙上の目的は「痛み」を抑えることである。 10 RICE処置が必要なとき,①温湿布の使用,②飲酒,③入浴 11 てはならない。 急性炎症時は就寝時を除き,24∼28時間は繰り返し氷冷を行う。 12 RICE療法で最も重要なのはRESTではない 13 炎症症状を最小限にする現場での救急処置としてRISEを行う 【6】 テーピングの技術(P281) の3点は絶対にし 1 テーピングを行なう部分は清潔にし,体毛が多い場合は剃っておく。 2 アンダーラップを用いて皮膚を保護する。 3 テーピングの基礎は,アンカーテープ,サポートテープ(靭帯のかわりをす る),ロックテープの順番である。 4 関節脱臼の治療法としては,損傷された靭帯を短縮するような関節角度(肢 位:ポジショニング)でテーピングを行い,これを矯正肢位テーピングと呼 ぶ。 5 テーピングの基本として,正しい解剖学的知識が必要である。 6 テーピングを行う部分はあまり体毛を剃らない方がよい。 7 テーピングの注意事項として,テープは1/3∼1/4ずつ重ねて補強する 8 テーピングの完成後は必ず循環障害(爪の色でチェック),目的とした運動制 限ができているかを調べる。 9 テーピングは一周おきに切り,傷害発生直後では腫脹が予測されるので,一部 を開けたオープン法とし,それ以外はテープの端を重ねたアップ法とする。 て-���������������������