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「メタボリック症候群の健康づくりと運動指針」
平成 21 年度実践保健指導・栄養指導ブラッシュアップセミナー 「メタボリック症候群の健康づくりと運動指針」 講師 (独)国立健康・栄養研究所 健康増進プログラム プログラムリーダー 田畑 泉氏 昨年度より栄養士業務に 「特定健診保健指導」が加 わり、それに携わる栄養士 として、運動とどう関われば よいか、お話をうかがった。 <配布資料> ①健康づくりのための運動 指針2006(エクササイズガイド2006) ②健康づくりのための運動基準2006 <講演内容> 配布資料のそれぞれが食事バランスガイド、 食事摂取基準に相当する。上記資料①②は厚生 労働省総務課生活習慣病対策室により作成さ れ、考え方は共通しているということで、これ らの資料を中心とした講演であった。 A)「週23エクササイズの活発な身体活動! そのうち4エクササイズは活発な運動を!」 配布資料①②両方に記載された大事な事項 ⅰ)用語の説明(エクササイズガイドP5参照) メッツ(Mets):メタボリック・イクゥイヴァレントの略 安静時酸素消費量(3.5ml/ 体重 kg)の何倍 の酸素消費量に相当するかで表す単位 活発な身体活動:3 メッツ以上のこと エクササイズ(Ex):身体活動の量を表す単 位で身体活動の強度(メッツ)に実施時間を 乗じたもの ⅱ)なぜ「メッツ」か 本来 1Met と表記。「1 メッツ」は表現しに くいので、 単数も複数も 「メッツ」 と表現する。 ⅲ)なぜエクササイズを使ったか *身体活動・運動量を表すのに多くの科学論文 が出ていてエビデンスが高い。 *体重当りにして1.05倍するとエネルギー消費 量となり計算しやすい。 ⅳ)なぜ3メッツ未満を無視したか 日常生活での軽い動きを人は正確に覚え ていない。この動きを記載したデータは正 確さに欠けるため無視する。一方、人間の 身体活動の 4 割は 3 メッツ未満であるので、 身体活動量の計算は難しい。 ⅴ)4エクササイズは活発な運動 ポピュレーションアプローチをする時には必 ず知っておきたいこと 国民健康栄養調査の運動習慣に相当する量 ※注意(エクササイズガイドの P7 の表) 「バレーボール」は昼休みに楽しんでいるもの 「ゴルフ」 は歩いて行い、 待ち時間は含めない。 「子どもと遊ぶ」は身体を動かしている状態。 (例)エアロビクス(6 メッツ)を 40 分行った 場合は 4Ex 相当 ⅵ)目的を持って行えば運動 「痩せるため」と目的があれば、同じ歩行 でも運動に分類。「床掃除・買い物」は身体 活動を上げやすい。 B)なぜエクササイズガイドか ⅰ)身体活動量が多い人は生活習慣病発症率が 低いというエビデンスがある。 例:大阪ガスの研究に、運動習慣の無い人と 比べ、週1回運動習慣のある人の25%は糖 尿病になる確率が有意に低くなり、週1回 高い強度の運動をする人の45%は糖尿病に なる確率は明らかに低くなる。「週1回の 運動でも効果がある」ことがわかった。 ⅱ)ガイドの長所は、生活活動を上げること、 生活に短時間でも運動を楽しく取り入れること。 運動効果の出ない人もいる。運動は大切でな いのか?糖尿病予防には、運動・食事・タバコ・ その他が関係している。食事だけで予防できな いから食事が大事でないとは言わない。このこ とは食事摂取基準の目標量(DG /下記)と同 じ。(生活習慣病の一次予防の指標。食事摂取 基準参照。) C)厚生労働省の考え方の変化 今までは治療医学だったが、予防医学に変化 した。開始 5 年後に見直しがあるので、頑張 らないと次がないかもしれない。今が大事。 ニコッと自信のある目で指導しよう。 D)メタボリックシンドローム 対象者は病気でない人。そういう人の内臓 脂肪を運動で減らし、体重減少することで、 HDL コレステロール・血圧・血糖を改善させ る。運動を生活習慣とすることで体重が減少す る。保健指導後も継続してもらうことが大切。 指導の前に厚生労働省 HP の特定健診マニュア ルの枠の後ろにあるものを必ず読もう。運動指 導は安全(既往症・服薬・運動習慣・体調等) を考えて行う。 (文責 地活 木村令子) – 4–