...

財団法人 新潟観光コンベンション協会

by user

on
Category: Documents
13

views

Report

Comments

Transcript

財団法人 新潟観光コンベンション協会
No.19
財団法人
(平成 8 年)
自然資源
中心タイプ
新潟県 新潟市
ざいだんほうじん
旅行業 2 種
(平成 20 年)
大規模
自主事業比率25%
延べ 728 万人泊(新潟県)
うち県外 509 万人泊
にいがたかんこうこんべんしょんきょうかい
財団法人 新潟観光コンベンション協会
1.取 組 概 要
・新潟市における地域活性化を担う公益法人として、組織の独自性と自立性を重視しながら、観光案内や誘客
事業に取り組んでいる。
2.主 要 な 事 業
財団法人新潟観光コンベンション協会では、総収入額のうち行政か
らの補助金が 74%であり、新潟市の観光施策の方針に基づいて同協
会内で事業計画をたて、業務を執行している。その他は 18%、その
他自主事業は 3%で、それらの内容はホームページのバナー広告や家
賃収入、新潟ふるさと村における土産等の販売等である。旅行業は
その他自主
事業
3%
年間総収入額の内訳
その他
18%
業務委託
受任1%
会費収入
4%
行政からの
補助金
74%
0.1%である。
3.組 織 体 制
●人員
人員体制は、役員 23 名、正職員 6 名、契約職員 8 名、出向職員 8
名という体制である。出向者の出向元は新潟市から 5 名、大手旅行業
者から 1 名、運輸業者から 1 名、商工会議所から 1 名である。
●設立の経緯
新潟市の外郭の任意団体であった新潟観光コンベンションビュー
ローと商工会議所が所管していた新潟市観光協会が、連携強化を目指
して平成 8 年に合併し、当法人が設立された。
●中核的人材
当法人の観光案内センター
企画プロモーションの担当部長である横山氏は民間企業で地域づく
りなどを手がけた経験があることから、旅行業務を中心に、地域の活性化に取り組んでいる。
4.課 題 と 方 向 性
旅行業については、市からの補助金によって人件費などが賄われているため業務が成り立つが、商品の企画
販売だけで、採算をとることは極めて難しい。そこで、公益的な視点から地域の素材の掘り起こしを行うこと
で、農家などが観光事業への参加をきっかけに新しい事業を展開することも目的として取り組んでいる。これ
によって地域内での経済効果を高めることができる。観光客を受け入れる際には、旅行会社と農商工者等との
間に立って、双方の利便性の向上や農商工者等のモチベーションの維持などにも配慮している。地域資源を旅
行商品化する際は、いわゆる手数料ビジネスはなじまず、新たなビジネスモデルの構築が不可欠である。
62
5.着 地 型 旅 行 商 品 事 業
●着地型旅行商品の造成
一般の旅行商品では扱いづらい地域の素材を活用し、新潟市
を中心にプログラム化し募集型企画旅行商品を造成している。
特に季節の旬な素材を活用した商品造成を心がけている。民間
の旅行業者には、これらの商品プログラムを企画提案し、商品
造成を働きかけている。また募集型企画旅行を積み重ねるなか
で、旅行商品の定員を 20 名程度に設定して、観光客と受け入
れ側がコミュニティを形成できるように意識している。
移動手段の伴わないまちあるき型の商品は毎日催行できる
ようにしている。
当法人ホームページ
●着地型旅行商品の販売
募集型企画旅行商品の告知はインターネットを中心に行な
い、パンフレットはほとんど作っていない。申し込みは、携帯
電話端末を活用する大手旅行会社のサービス経由が 25%、電話
による申し込みが 25%、東京で展開する各種プロジェクト(六
本木農園、銀座ミツバチプロジェクト)経由での申し込みが
50%である。東京で展開する各種プロジェクトからの申し込み
は、その後の口コミにより客層が広がっている。まちあるき型
の商品は、新潟市内の宿泊施設との連動による販売を意識して
新潟市内のまちあるきパンフレット
取り組んでいる。
6.代 表 的 な 着 地 型 旅 行 商 品
●「にっぽんトラベルレストラン」
新潟市内の潟東地区の田園では古くから野がも猟が行われている。
地元の「かもん鴨ネギ祭」に参加しながら野がも猟を見学し、地元の
生産者との交流と地元ワイナリーでジビエを楽しむ、地元の食と農業
文化を堪能するプログラムである。
東京駅からの 1 泊 2 日のプランで、
価格は 1 人 31,300 円。新潟からのプランも設定しており、宿泊と往
復新幹線が付かない価格で 1 人 15,000 円である。定員は 15 名で、催
にっぽんトラベルレストラン
行日は 12 月 4 日出発のみである。
●「新潟のワイナリーの風景探訪」
新潟の中でも、ワインづくりの適地である角田山の麓のワイナリー
のひとつであるフェルミエを訪れて、のんびりとワイナリーの風景と
ワインづくりの話を聞きながらワインとともに昼食を楽しむツアー
である。12 時 30 分に現地に直接集合し、14 時 30 分に現地で解散す
る。常時開催しており、最少催行人員は 1 名、最大 20 名。価格は 1
人 4,200 円である。
新潟のワイナリーの風景探訪
お 問 い 合 わ せ
財団法人
新潟観光コンベンション協会
TEL:025-265-8000
URL:http:// www.nvcb.or.jp/
63
No.20
合同会社
(平成 20 年)
温泉地
タイプ
旅行業 3 種
(平成 20 年)
小規模
自主事業比率95%
延べ 728 万人泊(新潟県)
うち県外 509 万人泊
新潟県 十日町市
まつのやまおんせんごうどうがいしゃまんま
松之山温泉合同会社まんま
1.取 組 概 要
・地域の生活文化の継承を図りながら、地域素材を活用した観光体験・商品開発や販売などに取り組む。
・観光客に対してワンストップによる情報提供や、地元商品の販売をすすめている。
2.主 要 な 事 業
松之山温泉合同会社まんまでは、総収入額のうちグッズの製造販売
が 55%であり、その主力商品は松之山温泉ミストである。ご当地温
泉ミストとして売上げ率全国 1 位を達成した。飲食・物販・宿泊業は
10%で、
「まんまの味」
(合わせ味噌)の物販等を行っている。旅行業
収入のうち 75%は募集型企画旅行、25%は受注型企画旅行の販売であ
その他自主
事業5%
飲食・
物販・
宿泊業
10%
年間総収入額の内訳
旅行業
25%
行政からの
補助金
5%
グッズ製造
販売
55%
る。
3.組 織 体 制
●人員
人員体制は、執行職員 10 名、契約職員 1 名である。元コンビニを
観光案内所に再活用し、訪問客のワンストップ対応を目指している。
●設立の経緯
地域内には観光協会があるが、地域からの情報発信を強化し地域振
興に貢献するために、地域内の若手を中心として、旅館や土産品店、
農家、観光ガイドなどの住民からの出資を得て、合同会社として「ま
んま」を設立した。
「まんま」の由来は、
“そのまんま”と、地域の特
色である棚田の米をあらわす“ご飯のまんま”である。松之山での体
験と食文化の継承と発信を目的として、農家との連携による原風景の
保全、松之山産の商品づくりなどに取り組む。
当法人外観
●中核的人材
地域内の老舗旅館「ひなの宿千歳」の後継者が中心となって、地域内の若手や農家などとも連携をとりなが
ら業務に取り組んでいる。
4.課 題 と 方 向 性
地域の魅力が着実に伝わることと原風景の継承が重要であり、持続可能な運営を心がけている。旅行業部門
は、これによって収益をあげようというのではなく、地域内の連携の強化が課題であり、とりわけ 8 軒ある旅
館間の共通理解と共同作業が不可欠である。
また、マーケットへの情報発信も課題であり、雪国観光圏の一地域としてもプロモーションの積極的な展開
を目指している。
64
5.着 地 型 旅 行 商 品 事 業
●着地型旅行商品の造成
募集型企画旅行商品は、主に 3 コースあり、いずれも案内人が
同行しながら地域内のすぐれた景観を楽しんだり、気軽な自然体
験を楽しんだりするものである。「越後田舎体験」の対象エリア
となっているが、子どもたちだけでなく大人も体験して頂き、地
域の良さを感じてもらうことを目指して商品化した。越後田舎体
験のプログラムの経験をもとにして案内人を本格的なプロガイ
ド化している。
当法人ホームページ
受注型企画旅行商品は、里山の保全に取り組んでいる環境団体
と共同で企画した「日本再発見塾 in 十日町」で、棚田での米作
り体験として年に 4 回実施している。当法人は、このうちの体験
プログラムと宿泊手配を担当している。
●着地型旅行商品の販売
募集型企画旅行商品は、宿泊施設の客室内に商品紹介や「まん
ま」のコンセプトを記した A4 版のチラシを綴じ込んだ簡易ファ
イルをおき、翌日のツアーへの参加を募っている。宿泊者以外は
ホームページ経由での申し込みである。また、複数の商品の中で
も「スノーシュー」コースは東日本旅客鉄道株式会社の商品の中
宿泊施設に配置する募集チラシ
で紹介されたことにより参加者数が増大した。
6.代 表 的 な 着 地 型 旅 行 商 品
●「冬の美人林スノーシューと囲炉裏端体験・プラン」
案内人とともにかんじきやスノーシューを履いて、冬の美人林を楽
しむツアーである。冬のキノコや、小動物との遭遇も期待させる内容
で、歩いた後には囲炉裏端での甘酒のふるまいもある。
積雪期間の毎日、午前中に催行。所要 2 時間程度。温泉街から美人
林までは旅館が送迎。参加費は一人 2,200 円、最少催行人数は 2 名の
設定である。
スノーシュー
●「里山の達人タクシー・プラン」
「にいがた観光カリスマ」の認定をうけた里山の達人ドライバーが
ガイドしながら、タクシーで地域内の棚田や農村集落、ブナ林など見
所を周遊するツアーである。
積雪期間を除く毎日、午前中に催行している。所要 2 時間程度で参
加費は一人 4,000 円、最少催行人数は 2 名の設定である。
里山の達人タクシー・プラン
お 問 い 合 わ せ
松之山温泉合同会社まんま
TEL:025-596-2114
URL:http:// manma.be/
65
財団法人
(平成 2 年)
No.21
旅行業 3 種
(平成 19 年)
自然資源
中心タイプ
新潟県 上越市
ざいだんほうじん
中規模
自主事業比率25%
延べ 728 万人泊(新潟県)
うち県外 509 万人泊
ゆきだるまざいだん
財団法人 雪だるま財団
1.取 組 概 要
・豪雪地の重荷である雪を町の個性的な資源として活用し雪国らしいまちづくりを目指すために設立した。
・雪に関する研究業務や、越後田舎体験の事務局として体験観光の受け入れを行っている。
2.主 要 な 事 業
財団法人雪だるま財団の総収入額は、業務委託が 52%を占めてお
年間総収入額の内訳
り、組織設立時からの主要業務である雪エネルギーなど雪研究にかか
行政からの
補助金
23%
わる事業を行っている。また行政からの補助金は 23%で、各種事業経
費に充当している。その他は 5%で、ホームページの制作、各種団体
のホームページの管理等をしている。旅行業は 17%で、このうちの 98%
は受注型企画旅行による収入である。
会費収入
3%
その他
5%
旅行業
17%
業務委託
受任
52%
3.組 織 体 制
●人員
人員体制は、役員 8 名、正職員 4 名で、観光事業のほか雪研究事業
にも取り組んでいる。
●設立の経緯
安塚町(現、上越市安塚区)が計画した雪国文化村構想のもとで「雪国
のまちづくりモデル」
を具現化していくための実践組織として平成 2 年に
設立した。
その後、
誘客の柱としてはじめた田舎体験プログラムを拡大し、
他地域も含めた越後田舎体験推進協議会が設置され組織的な運営に発展
した。当法人はその事務局を担当している。事業拡大に伴う事務経費の確
当法人事務所横での雪入れ
保に向けて平成 18 年には第 2 種旅行業を取得したが、募集型企画旅行を
取り扱う予定がないことから平成 19 年には第 3 種に資格を変更した。
●中核的人材
社会教育行政に携わったことのある職員が、事務局長として組織管理のほか、越後田舎体験推進協議会の事
務局運営も担当している。
4.課 題 と 方 向 性
旅行業事業を進める上では、安全な商品企画と催行が必須である。田舎体験プログラムをはじめた 10 年前
と比べ、子どもたちの体質(例えばアレルギーなど)が変わり、負担が増えてきた。都会とは違うものがある
限り商品展開はできるが、田舎体験をうたいながら田舎らしさが失われつつある。年配者が農業を守っていく
中で田舎らしさを継承し、地域の人たちが自信をもって暮らしていく地域づくりが重要である。また、地元の
子どもたちに地域の良さを伝えていくことも大切である。体験プログラムの実施エリアが拡大してきたので、
今後は学校団体に加えて大人の田舎体験や企業の研修にも目を向けていく。
66
5.着 地 型 旅 行 商 品 事 業
●着地型旅行商品の造成
受注型企画旅行の中心である学校団体を対象とした「越後田舎
体験」は、平成 22 年度実績で 1 億 2,000 万円を売上げ、52 団体、
5,500 人が参加した。当法人はこの体験プログラムの主催者であ
る越後田舎体験推進協議会の事務局として、商品全体の管理と、
販売窓口業務を担っている。地域単位に設置された全部で 12 の
協議会ごとに体験プログラムがあり、これらをまとめて一つのパ
ンフレット「越後田舎体験」を作成し、販売している。各協議会
には事務局が設置されており、それぞれにとりまとめ役が決めら
当法人ホームページ
れ、行政職員も田舎体験担当として配置されている。
●着地型旅行商品の販売
受注型企画旅行の販売は、9 割が旅行会社経由で、旅行会社に
対して体験プログラムや宿泊施設を単品で販売している。旅行会
社への販売には企画料は計上しておらず、旅行者への販売価格が
10,000 円のケースでは、旅行業者に対して 9,000 円で販売する
とともに、宿泊施設には販売手数料を差し引いた 8,500 円を支払
っている。
パンフレット
6.代 表 的 な 着 地 型 旅 行 商 品
●「越後田舎体験」
上越市と十日町市という、海、平野、山間の広域的なエリアで、地
域素材である自然、農林漁業などの営み、歴史や文化を生かした体
験・交流プログラムを設定している。
全てのプログラムには、地域で暮らす人々が案内や指導役として関
わっている。プログラムには、「自然体験・環境学習」「農林漁業体
験」「味覚・食体験」「農村生活体験(民泊・ホームステイ)」「工
芸体験」「アウトドア・雪国体験」などにテーマ分けされ、テーマご
とに季節に応じた体験メニューが用意されている。
雪上トレッキング
●「雁木の町家めぐり」
豪雪地である高田には、総延長日本一といわれる 16kmの雁木の
街並みが残る。この高田の町家を歩きながら、雪国での暮らしを感じ
ることのできる町家めぐりツアーである。高田の雁木や雪国での暮ら
し方などについてガイドの説明を聞くことができる。高田駅を 10 時
出発 14 時帰着で、大人 1,500 円(昼食代、ガイド代込)。平成 22 年
度は、3 月 5 日の催行であった。
高田雁木
お 問 い 合 わ せ
財団法人雪だるま財団
TEL:025-592-3988
URL:http:// yukidaruma.or.jp
67
No.22
一般社団法人
(平成 19 年)
旅行業 3 種
大規模
(平成 19 年) 自主事業比率19%
自然・歴史資源
複合タイプ
延べ 728 万人泊(新潟県)
うち県外 509 万人泊
新潟県 佐渡市
しゃだんほうじん さどかんこうきょうかい
社団法人 佐渡観光協会
1.取 組 概 要
・観光案内を行うとともに、島内の観光関連事業者と連携して着地型旅行商品の造成・販売を行っている。
・観光地域づくりプラットフォームとしての役割を強く意識しながら諸事業を展開している。
2.主 要 な 事 業
社団法人佐渡観光協会では、総収入額のうち行政からの補助金が
80%で、観光案内所の運営やイベント実施、職員の人件費などが含ま
年間総収入額の内訳
旅行業
5%
その他
4%
業務委託
受任
1%
会費収入
10%
れている。その他は 4%で、レンタサイクル事業の売上げやガイドブ
行政からの
補助金
80%
ックの販売などとなっている。旅行業は全体の 5%で、その内訳は、
募集型企画旅行が 40%、受注型企画旅行が 20%、手配旅行が 40%であ
る。
3.組 織 体 制
●人員
人員体制は、正職員 7 名、契約職員 3 名、臨時職員 6 名に、常勤の
観光協会事務局
役員 1 名を加えた 17 名体制である。本部のほか観光案内所が 4 箇所
ある。本部は 6 名で、旅行業務は主に本部で担当している。
両津港案内所
相川案内所
真野案内所
南佐渡案内所
●設立の経緯
当法人は昭和 30 年代に設立され、島内の市町村ごとにあった 10 の
当法人組織図
観光協会のとりまとめ業務を実施していた。平成 16 年に島内の市町
村が合併して佐渡市になったことをきっかけとして平成 18 年にこれらの観光協会を統合し、当法人となった。
平成 19 年に社団法人格をとり、あわせて事業領域の拡大のために第 3 種旅行業を取得した。
●中核的人材
地域内の宿泊施設での勤務経験をもつ事務局長の加藤氏が中心となって、地域内の情報にとどまらず、全国
的な観光動向も把握しながら、各種業務に取り組んでいる。
4.課 題 と 方 向 性
旅行業務としては、全般的な販売強化、2 名催行といった少人数の商品の販売やその価格設定が課題である。
また、観光行動が団体中心から個人へと変化しており、島内の二次交通が課題となっている。体験型商品では
集合場所から体験場所への移動が非効率になりやすく、結果として商品価格を上げざるを得なくなっている。
今後はプラットフォームとして、民間企業では採算ベースにのりにくいような事業領域を担当する。宿泊施
設が旅行業法の特例を活用して着地型旅行商品に取り組もうとしているため、連携を強化していきたい。
68
5.着 地 型 旅 行 商 品 事 業
●着地型旅行商品の造成
募集型企画旅行は平成 20 年頃より商品企画を開始し、当法
人の企画担当者が試行錯誤しながら進めている。旅行業務取扱
管理者が 2 人おり、このうちの 1 名が専任となっている。まず
は、当法人の 4 つの支部が素材の集約を行い、本部と支部で議
論しながら価格や島内移動手段などを決めている。
受注型企画旅行は、行政関連のモニターツアーや視察ツアー
などであり、市から依頼されて企画するものが大部分である。
教育旅行については民泊が伴うので行政の農林水産セクショ
ンが担当しており、連携はしているものの収入は得ていない。
当法人ホームページ
手配旅行商品は、当法人に所属する会員施設が対象である。
●着地型旅行商品の販売
募集型企画旅行は、「佐渡エンジョイプラン」として春夏期
と秋冬期の年 2 回パンフレットにとりまとめて情報発信して
いる。パンフレットは旅行業者にも配布している。申し込みの
9 割はインターネットで商品を知り、電話で予約してくる。平
成 22 年度から、携帯電話端末を活用する大手旅行会社のサービ
ス経由での販売や、インターネットでの予約ができるようにな
り、徐々に利用が増えている。
手配旅行は佐渡に着いてからの申し込みが 95%であり、この
うち電話によるものが 50%、窓口での販売が 50%である
パンフレット
6.代 表 的 な 着 地 型 旅 行 商 品
●「エコツアー~原生林と杉巨木群トレッキング」
特異な自然環境が育んだ杉の巨木が林立する原生林を専門ガイド
の解説を聞きながらトレッキングするツアーである。新潟大学の協力
を得て商品化した。当該エリアは、1 日 16 名限定の入山規制があり、
プレミアムツアーとして販売している。8 時頃に観光案内所に集合し、
17 時 30 分に同所解散となる。参加費用は 1 人当たり 13,800 円で、送
迎タクシー代を含んでいる。催行人員は 2 名以上である。
原生林と杉巨木群トレッキング
●「佐渡金山近代産業遺産散策」
世界遺産の暫定リストに入った佐渡金山を、佐渡金山の専門ガイド
とめぐるバスツアーである。日本初の洋式立坑「大立竪坑」や、東洋
一と呼ばれた「浮遊選鉱場跡」などを訪れる。金山資料館ゴールデン
佐渡を 14 時出発 15 時 30 分帰着の現地発着型のツアーで、高校生以
上 1,000 円である。
佐渡金山近代産業遺産散策
お 問 い 合 わ せ
社団法人佐渡観光協会
TEL:0259-27-5000
URL:http:// www.visitsado.com/
69
No.23
NPO 法人
(平成 20 年)
旅行業 3 種
中規模
(平成 20 年) 自主事業比率83%
自然資源
中心タイプ
延べ 728 万人泊(新潟県)
うち県外 509 万人泊
新潟県 南魚沼市
えぬぴーおーほうじん
むいかまちかんこうきょうかい
z
NPO 法人 六日町観光協会
1.取 組 概 要
・着地型旅行商品の企画販売を中心に自立的に活動する NPO 法人である。
・季節に応じて地域の素材を発掘し、地域密着型の旅行商品を展開している。
2.主 要 な 事 業
NPO 法人六日町観光協会では、総収入額のうち旅行業が 74%を占め
ている。この内訳は、募集型企画旅行 35%、受注型企画旅行 5%、手配
年間総収入額の内訳
会費収入
6%
旅行 60%である。
グッズ製造販売は収入の 3%で、Tシャツや入浴剤など天地人ブー
ムの関連商品である。行政からの補助金は 17%で、商店街元気発信事
業などに充てている。
行政からの
補助金17%
旅行業
74%
グッズ製造
販売3%
3.組 織 体 制
●人員
人員体制は、役員 15 名、正職員 3 名の体制である。
●設立の経緯
六日町と大和町の合併により市制が施行され、その後に塩沢町を編
入合併して南魚沼市が誕生した際に、既存の観光協会を整理し、南魚
沼市全体を管轄する南魚沼市観光協会(本会)を設立した。その後、
本会傘下の地区単位協会として平成 20 年 6 月に本会から分離し、同
年 10 月に NPO 法人化、同年 11 月に第 3 種旅行業を取得した。
当法人の窓口
●中核的人材
宿泊施設の支配人として宿泊業務全般ならびに地域住民などとの連携による農業体験プログラムの企画販
売経験のある事務局長の青野氏が、組織の中核的人材として、全ての業務に主導的に取り組んでいる。
4.課 題 と 方 向 性
組織の持続的な運営および活動領域拡大のためには、旅行業事業の拡大による収入の確保が必須である。着
地型旅行商品の需要は増大すると考えられるが、この収益性を確保するためには、宿泊施設による旅行商品販
売への協力が不可欠である。第 3 種旅行業としての業務領域には制限があり、第 2 種旅行業の取得が必要だが、
財源的には厳しい状況である。現在は、第 2 種旅行業を取得している他団体との連携により、対応している。
70
5.着 地 型 旅 行 商 品 事 業
●着地型旅行商品の造成
事務局員が、地域の関係者と密に連絡をとりながら、全員で商
品を企画している。
募集型企画旅行は独自に企画販売するとともに、東日本旅客鉄
道株式会社の旅行商品に企画内容を提供したり、オプショナルツ
アーとして組み込んでいる。受注型企画旅行は、老人クラブなど
の旅行が主で、要望に応じて企画提案している。手配旅行は、主
に会員である宿泊施設への紹介を行うことによって宿泊施設か
ら手数料を得ている。
●着地型旅行商品の販売
当法人ホームページ
募集型企画旅行の販売はパンフレットを作成して、駅や宿泊施
設に設置している。申し込みは、当日の電話申し込みが約3割、
宿でパンフレットを見た人からの申し込みが約3割、ホームペー
ジ経由が約3割である。
受注型企画旅行は、問い合わせを受けた後、発地のオーガナイ
ザーが直接対応している。手配旅行は、六日町に到着後の申し込
みがほとんどである。
ふるさと会員募集のチラシ
6.代 表 的 な 着 地 型 旅 行 商 品
●「芸術&歴史探訪バスツアー」
南魚沼を代表する名所を、地元案内人とともにめぐるバスツアーで、午
前と午後で 2 種類のコースを用意している。午前のコースは、大河ドラマ
の主人公、直江兼続が幼少時に学んだ「雲洞庵」などを訪れ、午後のコー
スでは上杉謙信ゆかりの寺「毘沙門堂」などを訪れる。いずれも 3 時間程
度で六日町駅発着、大人 3,000 円である。平成 23 年 4 月 16 日から 11 月
28 日までの毎週土曜、日曜、月曜日に運行している。当該ツアーは、六日
町温泉または越後湯沢温泉への宿泊客をターゲットに造成した。
●「カタクリ鑑賞
トレッキングバスツアー」
雲洞庵でのガイド
山野草の宝庫であることを売りにして、かたくり開花時期である 4 月上
旬から 5 月にかけて毎日催行する。
対象地をあらかじめ複数設定しておき、
開花状況にあわせて訪問先を決定する。
六日町駅発着で、9 時頃に出発し 12 時 30 分頃に帰着する。参加費用は
大人 2,500 円、子ども 2,000 円で、定員は 25 名の設定である。全コース
に地元ガイドが同行する。秋の紅葉めぐりバスツアーも含め、自然散策型
ツアーでは、ガイドの力量による満足度の高さがうかがえ、リピーター客
カタクリ鑑賞
が増加している。
お 問 い 合 わ せ
NPO 法人六日町観光協会
TEL:025-770-1173
URL:http:// muikamachi.jp
71
No.24
一般社団法人
(平成 22 年)
旅行業 3 種
中規模
(平成 22 年) 自主事業比率50%
自然資源
中心タイプ
延べ 258 万人泊(富山県)
うち県外 182 万人泊
富山県 氷見市
いっぱんしゃだんほうじん
ひみしかんこうきょうかい
一般社団法人 氷見市観光協会
1.取 組 概 要
・旅行商品の販売まで手掛けるために、法人化して第 3 種旅行業を登録した。
・旅行商品の販売を通じて改善点を発見し、商品の質を向上させている。
2.主 要 な 事 業
一般社団法人氷見市観光協会では、総収入額のうち業務委託受任が
35%で、その内容は観光案内コンシェルジェの委託人件費と、まつり
年間総収入額の内訳
行政からの補助金
20%
のイベント実施委託費等である。会費収入は 30%、行政からの補助
金は 20%で、旅行業、グッズ製造販売、その他自主事業が 5%ずつで
会費収入
30%
ある。グッズ製造販売は、氷見市出身の漫画家である藤子不二雄 A(A
旅行業 グッズ製造販売
5%
5%
その他自主事業
5%
業務委託
受任
35%
を○で囲む)先生のキャラクター商品等を扱っている。
3.組 織 体 制
●人員
人員体制は、役員が 10 名、正職員 3 名、契約職員 4 名という構成
である。任意団体から一般社団法人に法人化した際に、役員を 17 名
減員した。一般社団法人では、一定数の役員が出席しないと、理事会
が開催できないため、法人化を機に絞り込んだためである。
●設立の経緯
これまで行ってきた観光協会の事業では、パンフレットを作っても
どれだけ誘客に結び付いたのか、結果を検証することが難しく、その
ため改善もしづらかった。そこで、旅行商品を造成、販売する段階ま
で手掛けることにし、旅行会社と契約することを念頭に法人化して第
藤子不二雄 A 先生に関するお土産
3 種旅行業に登録した。
4.課 題 と 方 向 性
北陸地方には、平成 26 年度に新幹線が建設され、高岡にも駅ができる予定である。高岡駅から周辺の観光
地を廻って宿泊施設に行くようなバスツアーを作れば、高岡駅の利用者が増え、高岡駅に停まる新幹線の本数
も増えることが予想される。
しかし、このような展開にするためには、氷見市だけの努力では難しい。今後は、越中飛騨観光圏協議会な
ど周辺地域とも連携しながら、着地型旅行商品の造成に注力していきたい。
72
5.着 地 型 旅 行 商 品 事 業
●着地型旅行商品の造成
当法人では、着地型旅行商品を作ることで、これまでの観光協
会の事業では気づくことのできなかった課題や改善点を見つけ
出しながら、仮説思考型での商品の造成を行っている。
たとえば「氷見ゆったりまちなか巡り」では、初年度は催行日
を限定しつつ、パンフレットには“4 名以上であれば当該設定日
以外でも催行可能”と小さく表記していたが、二年目ではその表
記を大きくした。その効果もあり、参加者数が約 5 割増加した。
今は、このツアーのミニコース版を作り、所要時間が短く価格を
抑えたコースの反応を探っている。
当法人ホームページ
また、一般的な旅行会社であれば利益の出やすい商品の造成を
優先するが、当法人では売り上げの高い商品造りを心掛けてい
る。売り上げが大きければ、地域への経済効果が大きくなるため
である。
●着地型旅行商品の販売
着地型旅行商品の販売は、当法人のホームページ経由の予約が
8 割以上を占めている。ただ、当法人のホームページを見る人は、
すでに氷見に関心のある人だけなので、氷見に関心を持つ前の人
ツアーを紹介するチラシ
にアプローチをすることが課題である。
6.代 表 的 な 着 地 型 旅 行 商 品
●「氷見ゆったりまちなか巡り」冬のミニコース
ボランティアガイドによるまちなかの散策と、その日に水揚げされ
たお魚を使った昼食(海鮮丼とミニかぶす汁)がセットになったツア
ーである。日吉神社や氷見市立博物館を巡る、氷見の歴史をたどるコ
ースと、氷見市出身の藤子不二雄 A 先生にちなんだ「まんがロード」
などを訪れる 2 コースがある。参加者の自由度が高くなるよう毎日催
行とし、発着時間も特には定めず要望に合わせ、時間も昼食時間を除
けば 1 時間程度と短めに設定した。昼食代や施設入場料を含めて、大
「氷見ゆったりまちなか巡り」
冬のミニコース
人子供ともに 2,200 円である。これまでは価格が高く、時間が長かっ
たのではという仮説のもと、平成 22 年度に実験的に販売している。
●「氷見お手がるタクシープラン」
タクシーを貸切運行にすると割高になってしまうため、コース内普
通運賃の合計額をタクシー代金としたタクシー観光プラン(6 コース)
を販売した。立ち寄り先にはガイドがいるため利用客の満足度も上が
り、タクシー会社には新たな需要を掘り起こせたと好評である。
氷見お手がるタクシープラン
お 問 い 合 わ せ
一般社団法人氷見市観光協会
」
TEL:0766-74-5250
URL:http://www.kitokitohimi.com/
73
No.25
協同組合
(昭和 35 年)
温泉地
タイプ
旅行業 2 種
(平成 22 年)
大規模
自主事業比率48%
延べ 558 万人泊(石川県)
うち県外 418 万人泊
石川県 七尾市
わくらおんせんりょかんきょうどうくみあい
和倉温泉旅館協同組合
1.取 組 概 要
・和倉温泉への宿泊者数の増加を目的に、地域の魅力向上やアクセス改善を図るため第2種旅行業を取得した。
・補助金や会費収入といった安定財源を背景に、定期観光バスなどの着地型旅行商品を造成している。
2.主 要 な 事 業
和倉温泉旅館協同組合は、総収入額のうち行政からの補助金が
50%、会費収入が 40%で、全体の 9 割を安定的な収入源が占めてい
る。近年は、和倉温泉への宿泊客数の減少により会費収入が減少傾向
にあるものの、行政からの補助金は安定している。旅行業、業務委託
年間総収入額の内訳
その他
2%
旅行業2%
行政からの
補助金
50%
グッズ製造販売2%
その他自主事業2%
会費収入
40%
業務委託
受任
2%
受任、グッズ製造販売、その他自主事業がともに 2%となっている。
グッズ製造販売では、温泉成分が含まれた石鹸などを販売している。
3.組 織 体 制
●人員
人員体制は、役員が 12 名、正職員 7 名、契約職員 5 名という構成
である。厚生労働省の「雇用創出の基金による事業」を活用して、契
約職員を 5 名増員した。この契約職員には、デザインのノウハウを持
つなど、特定の能力を有する者を計画的に採用し、パンフレット制作
を内製化するなどコストダウンを図っている。あわせて、旅行業務取
扱管理者(総合旅行業務取扱管理者)の資格を有する者も採用してお
り、着地型旅行商品の造成につなげている。
●旅行業取得の経緯
当法人では、和倉温泉への宿泊者数を増やすことが組織の目的であ
る。そこで、和倉温泉の宿泊者にとって、魅力のある着地型旅行商品
当温泉地の成分を使った石鹸
を販売するため、旅行業を取得した。また、観光圏整備事業の実施も、旅行業取得のきっかけとなった。
4.課 題 と 方 向 性
和倉温泉や能登半島は、2 次交通が弱い。そこで、平成 23 年度に、七尾市の複数のバス会社とのと鉄道が
協力して、フリー乗車券を販売する予定である。これにより、お客さまにとっては公共交通機関の利便性が高
まり、交通事業者にとっては新たな需要の発掘につながり、行動半径の拡大によりお土産店や飲食店など地域
産業への経済効果も拡大される。
この企画は、交通産業ではない当法人が声かけをすることでスムーズに進んでいる。また和倉温泉の宿泊者
が潜在需要として認識されていることも、順調に進んでいることの要因であると考えている。
74
5.着 地 型 旅 行 商 品 事 業
●着地型旅行商品の造成
当法人の目的は和倉温泉への宿泊者の増加である。そのため、
日帰り参加が可能なものは造成せず、宿泊に結びつくような商品
を造成している。
また、平成 26 年度には北陸に新幹線が開業する予定である。こ
れまで和倉温泉や能登半島は 2 次交通が弱いといわれてきたが、
新幹線ができればさらに 2 次交通の重要性が高まる。そこで、能
登半島を巡る定期観光バス商品を造成した。
●着地型旅行商品の販売
着地型旅行商品の販売は、旅館経由での申し込みがほぼ 100%
である。当法人ホームページでは情報発信を行っているが、予約
当法人ホームページ
システムはコストがかかるので対応していない。
ほぼ全ての申し込みが旅館経由であるため、着地型旅行商品の
実施初日は、各旅館から希望者を募って、旅館スタッフに実際に
体験してもらうようにしている。実際の体験を元に宿泊客に商品
を薦めてもらうのが、宿泊客に対して一番説得力があると考えて
いる。
6.代 表 的 な 着 地 型 旅 行 商 品
●バスで行く能登半島ぶらり旅
北陸への新幹線開業を見据え、和倉温泉や能登半島の 2 次交通の弱さを
克服するため、和倉温泉観光会館発着の定期観光バスツアーを平成 22 年
度に造成した。ツアーでは、軍艦島(見附島)や須須神社、珠洲製塩を巡
り、小学生以上 2,000 円(昼食代、施設入館料は別)である。和倉温泉宿
泊者限定の観光バスであり、時間も 8 時 50 分発、17 時 20 分着と宿泊に結
びつくような設定としている。
●和倉温泉ファミリーモーニング「カブトムシ GET&自然ふれあい体験」
能登半島ぶらり旅
和倉温泉に宿泊するファミリー層をターゲットに、自然の中で自分の手
でカブトムシを獲る体験とポニーの乗馬体験を提供する、早朝 6 時 30 分
から 7 時 30 分にかけて行われるプログラムである。最近では、カブトム
シはお店で買う子供が多くなっているが、自分の手で獲ったカブトムシは
非常に満足度が高いようだ。平成 22 年度で 2 年目となる新しい企画であ
るが、すでにリピーターがいるほど人気となっている。3 歳以上 1,000 円
で、夏期のみ催行している。
カブトムシ GET&自然ふれあい体験
お 問 い 合 わ せ
和倉温泉旅館協同組合
TEL:0767-62-1555
URL:http:// wakura.or.jp
75
No.26
財団法人
(平成 15 年)
自然資源
中心タイプ
長野県 長野市
ざいだんほうじん
旅行業 3 種
(平成 22 年)
大規模
自主事業比率6%
延べ 986 万人泊(長野県)
うち県外 732 万人泊
ながのかんこうこんべんしょんびゅーろー
財団法人 ながの観光コンベンションビューロー
1.取 組 概 要
・長野市の産業、自然、文化、歴史および長野冬季五輪の有形無形の財産を活用し観光振興に取り組んでいる。
・平成22年より、長野市の魅力をより具体的に提案していくために、第3種旅行業を取得し事業化した。
2.主 要 な 事 業
財団法人ながの観光コンベンションビューローでは、総収入額
のうち行政からの補助金が 93%で、行政との一体性の高い事業内
容(平成 21 年度実績)となっている。旅行業は平成 22 年 4 月か
業務委託
受任
1%
ら実施しているため、収入にはまだ計上されていない。
旅行業は手探り状態で始めている状態であり、諸課題も多いが、
年間総収入額の内訳
会費収入
6%
行政からの
補助金
93%
観光地域づくりにおいて重要な事業の一つと考えており、今後は
旅行業で収入額の増加を図りたいと考えている。
3.組 織 体 制
●人員
人員体制は役員 27 名、正職員 4 名、自治体からの出向職員 6 名、
契約職員 10 名、派遣職員・パート・アルバイト 4 名という構成とな
っている。
●旅行業取得の経緯
従来、当法人では観光地の情報紹介を中心に活動を行ってきたが、
観光客の嗜好が変わる中で、より具体的に地域の魅力を伝える地元発
想で作った商品を提供する必要があると判断した。
●中核的人材
当法人は、大手旅行会社より複数名の人材を受け入れており、その
ノウハウや人的ネットワークを活用して、各種の事業に取り組んでい
当法人の長野市観光情報センター
る。
4.課 題 と 方 向 性
長野市内には、多くの観光資源があり、多様な旅行商品づくりが可能ではあるが、着地型旅行商品の取り組
みを始めたばかりでもあるため、ガイドや体験事業者などの協力者の確保・組織化や、定番となるような商品
開発、料金の収受方法、造成した商品の流通手段の確保などが課題である。まずは、地元住民を対象とした商
品事業を展開していくことで、仕組みを整えていきたいと考えている。
76
5.着 地 型 旅 行 商 品 事 業
●着地型旅行商品の造成
着地型旅行商品づくりに取り組みはじめたばかりであるが、長
野市との密接な関係を生かして、長野市内の各支所や産業振興課
を通じて地元から旅行商品のネタとなる情報の集約を行ってい
る。今年度は、季節感を生かした商品造成に取り組み、例えば、
桜の季節に複数の桜鑑賞ツアーの造成を行った。
商品造成においては、すでに、地域に観光客の受け入れ対応が
可能な人々(組織)があるところを重点的に行い、着地型旅行商
当法人ホームページ
品造成、提供のノウハウの蓄積を図っている。
次年度以降は、ノウハウとネットワークの蓄積を通じて、定番
商品の造成、提供に取り組んでいく予定である。
●着地型旅行商品の販売
着地型旅行商品は、「旬旅ながの」ブランドにて販売をしてい
る。ただ、その単価と数量の関係から、首都圏などの県外客に向
けてプロモーションを行うことは難しいこともあり、長野市民を
中心とした展開を行っている。これは、テストマーケティングの
意味合いを持つだけでなく、長野市は平成 17 年、22 年に市町村
合併を行っていることから、広域となった新市内における住民相
互の交流促進という意味も持っていると考えている。
ツアーを紹介するパンフレット
6.代 表 的 な 着 地 型 旅 行 商 品
●「巡礼桜」「神代桜」を巡る周遊バスツアー
推定樹齢 1,200 年の巨木「神代桜(国指定天然記念物)」、推定樹齢
700 年の「巡礼桜」の2つを巡る周遊バスツアーである。
所要時間は 3 時間、1 日 3 便(9 時、12 時 30 分、15 時)の運行で、
料金は大人、子供同額で 1,500 円、平成 22 年度は 4 月に 13 日間催行
し、集客人数は 221 名となった。
●プラネタリウム鑑賞とサマーナイト ZOOin 茶臼山
長野市立博物館にてプラネタリウム鑑賞(銀河鉄道の夜、今宵の星
桜を巡る周遊バスツアー
空解)の後、提携の飲食店にてお盆縁日を楽しみながら夕食をとり、
茶臼山動物園にて夜の動物園を楽しむというツアーである。
所要時間は 5.5 時間で出発は 16 時、
ファミリーを主対象としている。
大人が 2,200 円、小中学生が 1,800 円で、平成 22 年度は 6 日間催行し
集客人数は 198 名であった。
プラネタリウム鑑賞とサマー
ナイト ZOOin 茶臼山
お 問 い 合 わ せ
財団法人
ながの観光コンベンションビューロー TEL:026-223-6050
URL:http://www.nagano-cvb.or.jp/
77
No.27
株式会社
(平成 13 年)
自然資源
中心タイプ
長野県 飯田市
かぶしきがいしゃ
旅行業 2 種
(平成 16 年)
大規模
自主事業比率95%
延べ 986 万人泊(長野県)
うち県外 732 万人泊
みなみしんしゅうかんこうこうしゃ
株式会社 南信州観光公社
1.取 組 概 要
・飯田市の取り組んできた教育旅行の受け入れが大規模になり、
「この指とまれ方式」で周辺自治体に拡大した。
・教育旅行の受け入れを核として、得意としている体験商品の企画、体験受け入れに経営資源を集中している。
2.主 要 な 事 業
南信州観光公社では、総収入額の 95%が旅行業によるものであ
る。業務委託などの行政からの収入はわずか 5%に過ぎず、補助
年間総収入額の内訳
業務委託受任
5%
金もない。これは、平成 13 年の設立当初から同様である。業務委
託の内容は、観光案内所の運営である。旅行業は、自社による企
旅行業
95%
画・手配旅行がほぼ 100%であり、他社の造成した商品や当該地
域外への旅行の取り扱いはほとんどない。
3.組 織 体 制
●人員
人員体制は、常勤役員 2 名、正職員 1 名、契約職員 2 名という体
制である。
●設立の経緯
当初は南信州広域連合の域内 18 市町村の連携による設立を目指し
たが、調整が難航したため、
「この指とまれ方式」により 5 市村と地
元企業 10 社の出資によって平成 13 年に設立した。
●中核的人材
代表取締役の高橋氏は旅行会社での勤務経験があり、飯田市に修
りんごの里(事務所所在)外観
学旅行生の送客もしていた。そのため、当地での体験教育旅行に関
する知識や経験が豊富で、また本事業への思い入れも強く、立ち上げ段階での不安定な状況下において、経営
を軌道に乗せることができた。
4.課 題 と 方 向 性
当法人では、地元に住む人がガイドとなって「ほんもの体験」を提供することを経営理念としており、物販
事業といった関連性の低い分野への進出は計画していない。事業分野を絞ることで当法人の専門性が高まると
ともに応用能力がつき、市場環境の変化に柔軟に対応することができると考えている。
当法人では、お客様にも目的意識を持って体験して欲しいと考えている。「研修旅行」であれば、参加者は
きちんと目的意識を持っていると考えられるため、今後はこの分野を拡大していく予定である。
78
5.着 地 型 旅 行 商 品 事 業
●着地型旅行商品の造成
当法人では、着地型旅行商品の造成の中でも、体験商品の企画
や当日の体験受け入れに特化している。
着地型旅行商品は、年間に 1 つか 2 つ程度を開発している。地
域住民との何ともない会話の中から、新商品のアイデアを見つ
け、商品開発につなげることが多い。農家や商工業者など、地域
住民との接点を多く持つ当社の強みが生きている。
教育旅行の受け入れでは、当社から教育旅行の素材を複数提案
し、その中から学校側が希望するものを選び、学校と旅行会社で
旅程を作り上げている。
●着地型旅行商品の販売
体験型教育旅行の受け入れや着地型旅行商品の販売では、地域
外の旅行会社と連携している。
人手を取られる営業活動やお客さまとの細かいすり合わせを
旅行会社に担当してもらうことで、当法人は旅行商品の企画や当
当法人ホームページ
日の受け入れに注力することができている。そのため、旅行会社
に支払う手数料は、その対価として適当であると考えている。
また、旅行会社と条件が折り合わない場合は、無理に相手に合
わそうとせず、旅行会社の担当者がお客さまに興味を示して頂く
ための材料を提示するように考えている。
6.代 表 的 な 着 地 型 旅 行 商 品
●「桜守の旅」
南信州には樹齢 300 年以上を誇る老桜など、樹形の美しい多くの桜があ
る。この桜を「桜守」と称するガイドとめぐり、桜にまつわる歴史や生活と
の結びつきを、保存の取り組みなども合わせて解説する、約 2 時間の現地
発着型のツアーである。実際のコースは当日の開花状況に応じて変わる
が、飯田市だけでなく南信州全域が対象である。
最少催行人数は 5 名で、最大 200 名まで受け入れが可能となっており、
参加料金は参加者 1 名につき 200 円(桜保存協力金含む)
、ガイド 1 名に
「桜守の旅」
つき 2,000 円である。
●「農家民泊」
農家に 1 泊しながら、農家の暮らしや農作業の体験をすることができる。
夕食や朝食は農家の人と一緒に作り、農家には普段と同じ農作業に説明を加
えながら体験させるようにしている。小学校から高校までの教育旅行や大学
のセミナー、会社の研修旅行など、10 名から受け入れている。なお、地域
内宿泊施設との併用を受入条件とし、観光産業への波及効果を高めている。
お 問 い 合 わ せ
株式会社南信州観光公社
TEL:0265-28-1747
URL:http://www.mstb.jp/
79
「農家民泊」
No.28
一般社団法人
(平成 22 年)
自然資源
中心タイプ
長野県 飯山市
いっぱんしゃだんほうじん
旅行業 2 種
(平成 23 年)
大規模
自主事業比率80%
延べ 986 万人泊(長野県)
うち県外 732 万人泊
しんしゅういいやまかんこうきょく
一般社団法人 信州いいやま観光局
1.取 組 概 要
・市内の各施設を運営する第三セクターと観光協会を統合し、当法人として設立した。
・以前より体験プログラム開発をしていた「森の家」をはじめ、市内広域で観光地域づくりに取り組む。
2.主 要 な 事 業
一般社団法人信州いいやま観光局では、総収入額のうち飲食・物販・
会費収入
2%
宿泊業が 60%となっており、行政からの補助金は 20%、旅行業は 15%、
町歩きイベントや体験イベント等のその他自主事業は 3%、会費収入
は 2%となっている。
今後は物販(地場産品の通販)で収入額の増加を図りたいと考えて
いる。
その他
自主事業
3%
年間総収入額の内訳
旅行業
15%
行政からの
補助金
20%
飲食・
物販・
宿泊業
60%
3.組 織 体 制
●人員
人員体制は、役員が 15 名、正職員 9 名、自治体からの出向職員 2
名、契約職員が 11 名、派遣職員・パート・アルバイト 49 名という体
制である。
●設立の経緯
昭和 35 年設立の飯山市観光協会を、平成 19 年に法人化した。その
後、地域が一丸となって観光まちづくりに取り組むため、観光交流関
連の第三セクターを統合し、平成 22 年に当法人を設立した。なお、
平成 23 年 2 月に第 3 種から第 2 種へ旅行業登録を変更した。
なべくら高原
森の家
●中核的人材
「なべくら高原森の家」の運営を通じて多くの体験プログラムの開発を行ってきた木村氏と、大学やコンサル
タント業務で観光地域づくり手法を習得した小泉氏が、各種の事業実施において主体的な役割を担っている。
4.課 題 と 方 向 性
当法人は、平成 26 年度に予定されている北陸新幹線の開通に合わせ、
「新幹線時代にふさわしい誘客力のあ
る観光まちづくり『日本のふるさと体感の旅づくり』を推進し、農業や地場産業との連携による飯山らしい観
光の振興を図る」を経営理念にしている。その一環として、信州いいやま旅のプラン「飯山旅々。」として約
300 のプランを立ち上げた。今後は、これらのプランを販売しながら、新幹線開通の経済効果を高めていくこ
とが求められている。
80
5.着 地 型 旅 行 商 品 事 業
●着地型旅行商品の造成
「飯山旅々。」のプログラムの造成は、以前から地域の自然資
源などを生かした体験プログラム開発に取り組んできた当法人
のスタッフたちが、市内の 6 地域においてファシリテーター役を
担って進められた。これまで、体験プログラムに必ずしも関心を
持っていなかった人々が、プログラム造成を通して、地域資源の
活用について関心を抱くようになったり、各事業推進のリーダー
役になるなど、人材育成にも効果的であった。
●着地型旅行商品の販売
着地型旅行商品の販売については、当法人の専用ホームページ
において、検索や予約が出来るように行っているほか、各種の情
報誌、フリーペーパーなどを使って情報発信をしている。また、
こうした着地型旅行商品に興味を持ちそうな旅行会社や、今まで
の活動を通して構築した関係者向けのメーリングリストも活用
して、情報発信を行っている。
なお、旅行業の売上構成比は受注型企画旅行(着地型)が 60%、
募集型企画旅行(着地型)が 25%、手配旅行(着地型)が 15%
「飯山旅々。
」
ホームページ
となっている。
6.代 表 的 な 着 地 型 旅 行 商 品
●森林ヨガとヘルシー高原ランチ ~森に癒される至福の時間~
「森林セラピー(R)基地」に認定された上質な森林環境の中で、気
軽に森林セラピーを体験できる女性グループ限定のツアーである。イ
ンストラクターとともに清々しいブナの森の中でのヨガを体験する。
森の空気を身体一杯に吸い込んで疲れとストレスをはき出したあと
は、温泉とヘルシーランチでリフレッシュする。
5 月下旬から 11 月初旬に催行され、9 時から 13 時で料金は 1 人 5,500
円である。
ブナ林での朝ヨガのひととき
●ふるさと三昧~懐かしい田舎の味~
信濃平の農家民宿で信州の秋ならではの食文化にふれることので
きるツアーである。地元案内人とともに湧き水を求めて集落を散策
し、道中に採った渋柿を民宿に持ち帰り「干し柿づくり」に挑戦する。
翌日は、奥信濃の漬物の代表「野沢菜」の収穫と漬け込みを体験する。
出来上がった干し柿と野沢菜は自宅まで配送してもらえる。
10 月下旬から 11 月上旬に催行され、1 泊 2 日で料金は 1 人 14,200
円である。
野沢菜収穫体験
お 問 い 合 わ せ
一般社団法人信州いいやま観光局
TEL:0269-62-3133
URL:http://www.iiyama-ouendan.net/
81
No.29
一般社団法人
(平成 21 年)
温泉地
タイプ
長野県 千曲市
いっぱんしゃだんほうじん
旅行業 3 種
(平成 19 年)
中規模
自主事業比率25%
延べ 986 万人泊(長野県)
うち県外 732 万人泊
ちくましかんこうきょうかい
一般社団法人 千曲市観光協会
1.取 組 概 要
・「姨捨夜景ツアー」を開発し、その通年化や新たな旅行商品の造成を積極的に行っている。
・「戸倉上山田温泉」「あんずの里」「棚田」など、様々な資源を生かした観光地域づくりに取り組む。
2.主 要 な 事 業
一般社団法人千曲市観光協会では、総収入額のうち行政からの補助
金が 39%、業務委託受任が 36%となっており、合わせて 75%が行政
からの収入となっている。このほか、旅行業が 9%、会費収入が 7%、
グッズ製造販売が 3%、その他が 6%となっている。
その他
6%
年間総収入額の内訳
旅行業
9%
行政からの
補助金
39%
会費収入
7%
グッズ製造
販売
3%
業務委託
受任
36%
3.組 織 体 制
●人員
人員体制は役員 1 名、正職員 5 名、嘱託職員 1 名、臨時職員 1 名と
いう体制である。
●設立の経緯
千曲市は平成 15 年 9 月に「更埴市」
「埴科郡戸倉町」「更級郡上山
田町」が合併して発足した。その後、旧市町の観光推進組織を再編し、
平成 19 年度に新市を統括する観光推進組織を有限責任中間法人とし
て設立し、同年 11 月には第 3 種旅行業を取得した。その後、平成 21
千曲市総合観光会館外観
年度に一般社団法人化した。
●中核的人材
当法人の着地型旅行事業は、大手旅行会社での勤務経験のある営業部長の若林氏が、そのノウハウと人的ネ
ットワークを活用し、地域資源の商品化、流通の促進を行っている。
4.課 題 と 方 向 性
千曲市では市町村合併を契機に、旧市町が有していた多様な観光資源を総合的に活用できるようになった。
当法人は、こうした多様な資源を発掘して商品化に取り組み、幅広い事業者との連携体制も構築されつつある。
近年、法人としての自立も求められてはいるが、観光協会という法人の性格上もともと営利を追求する組織で
はなく、基本的に着地型旅行商品は収益面で厳しい面が多いことに加え、大規模な対応も難しいことから、事
業性の確保は容易ではない。
82
5.着 地 型 旅 行 商 品 事 業
●着地型旅行商品の造成
千曲市には戸倉上山田温泉など観光事業者も多いが、着地型旅
行商品を造成する際には、地域の自然景観や夜景、農業や製造業
など、多様な地域資源や事業者を巻き込みながら展開している。
例えば、観光農園ではない一般のリンゴ農園の人たちに声かけを
して、当法人が観光客と農園を結ぶワンストップの窓口になるこ
とで、観光客がそれらの農園にてリンゴ狩りを手軽に楽しめるよ
うにしている。
当法人ホームページ
●着地型旅行商品の販売
着地型旅行商品は県外客をターゲットにしており、現在は県外
客が 7 割となっている。造成した商品は、当法人のホームページ
や印刷物、有料情報誌などで情報発信や販売を行っている。
夜景ツアーなどは、宿泊施設での予約と料金収受を可能として
いる。(後日、一括して集金している。)
なお、旅行業の売上構成比は手配旅行が 30%、募集型企画旅
行と受託販売がともに 20%、受注型企画旅行が 10%、その他が
20%である。
パンフレット
6.代 表 的 な 着 地 型 旅 行 商 品
●「姨捨夜景ツアー」
訪ねる価値のある駅(日本経済新聞による調査)で全国第 2 位に選
ばれた「姨捨駅」に入場するほか、全国の夜景百選にも選ばれた善光
寺平のイルミネーションと、「日本三大車窓」の景色とスイッチバッ
クする列車見学を行うツアーである。
専門の案内人(タクシーの場合はタクシードライバー)によるガイ
ドを受けられるほか、高速道路のサービスエリアからの夜景を楽しん
だり、老舗の手づくりによる地元の素材(味噌、醤油、漬物、フルー
姨捨夜景ツアー
ツジャム等)を味わうことができる。
週末に催行され、戸倉上山田温泉を 20 時頃出発、21 時 30 分頃帰着
で、大人 1,000 円である。
●「リンゴ狩り体験」
戸倉上山田温泉近くの観光農園ではない、一般のリンゴ農園にてリ
ンゴ狩りを体験出来るプログラムである。大人 600 円で、30 分リンゴ
食べ放題、リンゴ 2 個のお土産付きである。9 時から 16 時までの間で
リンゴ狩り体験
体験が可能である。
お 問 い 合 わ せ
一般社団法人千曲市観光協会
TEL:026-275-1326
URL:http://chikuma-kanko.com/
83
No.30
株式会社
(平成 18 年)
温泉地
中心タイプ
長野県 阿智村
かぶしきがいしゃ
旅行業 2 種
(平成 18 年)
中規模
自主事業比率23%
延べ 986 万人泊(長野県)
うち県外 732 万人泊
ひるがみおんせんえりあさぽーと
株式会社 昼神温泉エリアサポート
1.取 組 概 要
・全国での知名度向上を目的に、首都圏への情報発信と交通アクセスの改善を主体に各種事業を実施している。
・継続的な取り組みにより、地元観光事業者との連携も進み、黒字転換した着地型旅行商品もある。
2.主 要 な 事 業
株式会社昼神温泉エリアサポートでは、収入額の 57%を行政から
年間総収入額の内訳
の補助金が占めている。業務委託受任は 20%を占めているが、これ
旅行業
21%
は昼神温泉ガイドセンターの運営を昼神温泉観光協会から受託して
いるものが中心である。グッズ製造販売は 2%で、温泉を使ったミス
行政からの補助金
57%
トや、湯めぐり手形などを販売している。
グッズ製造
販売
2%
業務委託
受任
20%
旅行業は 21%となっている。
3.組 織 体 制
●人員
人員体制は、役員 5 名、正職員 3 名、派遣職員・パート・アルバイ
ト 3 名という体制である。かつては村からの出向者もいたが、公務員
はゼネラリストであるのに対し、観光まちづくりにはスペシャリスト
が求められることもあり、現在は阿智村からの出向はない。
●設立の経緯
当社は、村長が当村の将来を考え、3 年間で 1 億円近い予算を用意
して設立した。阿智村が大半の出資をしているが、当初から当社の経
営方針には干渉しない立場を鮮明にし、自律的な経営ができている。
当法人外観
●中核的人材
代表取締役の木下氏は、かつて村内のスキー場を復活させた手腕を買われ、村長が当社の経営幹部に迎えた。
村のためになると考えれば、信念を持って実行し、事業を進めてきた。
4.課 題 と 方 向 性
当法人は行政からの補助金の占める比率が高い。そのため、当法人の経営は村の方針に大きく左右される可
能性もある。そこで、今後はさらに地域内の関係者等に当社の活動について情報発信し、当法人の取り組みへ
の理解を得る必要を感じている。
また、現状の補助金がいつまでも続くとは考えていない。現在は、首都圏への昼神温泉のPRのために赤字の
事業も実施しているが、知名度向上という当初の目的が達成されれば事業構成も変化することが考えられる。
84
5.着 地 型 旅 行 商 品 事 業
●着地型旅行商品の造成
当温泉地は宿泊客が中京圏に偏りすぎていた。一方で、首都圏
での知名度が低く、観光魅力に乏しいというアンケート結果もあ
った。そこで、首都圏での情報発信と、昼神温泉の観光魅力向上
を目的とした着地型旅行商品の造成を進めている。
たとえば、特急あずさを利用して茅野駅からバスで昼神温泉に
来るツアーを造成している。駅に貼られるポスターの情報発信力
を狙ってのことで、バスの運行そのものは赤字だが、十分な費用
当法人ホームページ
対効果を見込んでいる。
また、着地型旅行商品にガイドが同行すると旅行商品としての
魅力が大きく高まるため、平成 22 年から専属ガイドをつける商
品を増やした。
●着地型旅行商品の販売
半日のバスツアーでは、販売の過半数は宿泊施設での販売であ
る。最少催行人数を下回っても催行して実績を作ったため、当商
品の利用者満足度の高さが地元の宿泊施設の方に理解され、宿泊
施設での販売数も増加傾向にある。
また、東日本旅客鉄道株式会社と連携したツアーでは、旅行会
社による販売が多い。
ツアーを紹介するチラシ
6.代 表 的 な 着 地 型 旅 行 商 品
●「ガイドと行く花巡りツアー」
長野県南信州に 80 本以上点在する樹齢 300 年以上の桜の古木を中
心に、個人ではなかなか行けない名所をガイドと巡る現地発着ツアー
である。
9 時に出発し 12 時に戻ってくる半日のバスツアーで、花や桜の名所
を 3 カ所程度まわる。大人 1,800 円、最少催行人数は 2 名の設定で、
4 月中は毎日催行される(平成 22 年実績)。
●「ガイドと行く秋の木曽路ツアー」
ガイドと行く花巡りツアー
平成 21 年に、阿智村に清内路村が編入した。この清内路峠を超え
て、昼神温泉からバスで 30 分、秋の訪れとともに歴史色づく美しい
木曽路の風景を楽しむことができるツアーである。妻籠宿に立ち寄っ
た後は木曽の伝統工芸、木地師の里に立ち寄る。
9 時に出発し 12 時頃に戻ってくる半日のツアーで大人 1,800 円、最
少催行人数は 2 名の設定で、10 月から 11 月の毎日催行される(平成
22 年実績)。
ガイドと行く秋の木曽路ツアー
お 問 い 合 わ せ
株式会社
昼神温泉エリアサポート
TEL:0265-43-3001
URL:http://www.hirugamionsen.jp/
85
No.31
一般社団法人
(平成 17 年)
自然資源
中心タイプ
長野県 白馬村
いっぱんしゃだんほうじん
旅行業 2 種
(平成 17 年)
大規模
自主事業比率42%
延べ 986 万人泊(長野県)
うち県外 732 万人泊
はくばむらかんこうきょく
一般社団法人 白馬村観光局
1.取 組 概 要
・白馬村の観光振興策を検討する有識者会議の答申によって、「行政から民間へ」をキーワードに設立した。
・日本を代表する6つのスキー場と600軒あまりの宿泊施設を抱える同地域の観光振興を担う。
2.主 要 な 事 業
一般社団法人白馬村観光局では、総収入額のうち行政からの補助金
が 58%となっている。会費収入は 25%、旅行業は 7%、飲食・物販・
その他
5%
年間総収入額の内訳
旅行業
7%
宿泊業は 5%となっている。その他は 5%で、チケットの販売や製作
物の販売等となっている。
現在は 7%にとどまっている旅行業であるが、今後は収入額の増加
行政から
の補助金
58%
会費収入
25%
飲食・
物販・
宿泊業
5%
を図りたいと考えている。
3.組 織 体 制
●人員
人員体制は役員 14 名、正職員 5 名、自治体等からの出向職員 6 名、
契約職員 3 名、派遣職員・パート・アルバイト 1 名という体制である。
●設立の経緯
白馬村への観光客の入り込みが減少する巌しい状況の中、平成 12
年度から平成 13 年度にかけて、
「白馬21観光振興対策会議」を開催
し、今後の白馬の観光振興について検討を行った。これらの検討を踏
まえ、これまで「白馬村観光推進本部」
「役場観光国際課」
「白馬村観
光連盟」の 3 つに分かれていた組織を、平成 16 年4月に統合した。
当法人外観
白馬村観光連盟と白馬村観光推進本部を一元化し、「白馬村観光局」
として、より実効性の高い組織を構築した。その後、平成 17 年に法
人化した。
4.課 題 と 方 向 性
当地域は、早期から地域資源を発掘し、商品を作ることのできる人材を「マイスター」として組織化してき
た。また、発地側に対しても大手旅行会社や、各種団体からのワンストップ窓口の役割を担っており、いろい
ろな着地型旅行事業に対応できるようになってきている。その一方で、マイスターの高齢化や、オンシーズン
(7~8 月、マイスターが足りなくなるほど観光客が集中)とオフシーズンとの落差などが顕在化してきてお
り、その対応が求められるようになっている。
86
5.着 地 型 旅 行 商 品 事 業
●着地型旅行商品の造成
当法人は、地域内に 105 人のマイスターを擁している。マイス
ター制度は平成 13 年度に設立した。すでに 10 年近くが経ち、ノ
ウハウおよび人的ネットワークが構築され、彼らを中心に多様な
商品を季節毎に作っている。
また、こうした事業の積み重ねによって、旅行会社との関係も
十分に構築されており、旅行会社から改善点を聞き、要望に応じ
た旅行商品を造成している。
これら商品は、毎年見直しを行っており、2 割程度をスクラッ
当法人ホームページ
プ&ビルドしている。
●着地型旅行商品の販売
造成した着地型旅行商品は、当法人のホームページを始め、提
携している旅行会社や、地域内の宿泊施設が宿泊プランと体験プ
ログラムを組み合わせて販売するなど、複数のチャンネルにて販
売している。
また、5 月から 6 月を中心に、修学旅行の受け入れも行ってお
り、平成 22 年度実績では、総受入学生数は約 8,500 人泊、総受
入団体数は約 30 校で、主に大阪などの関西方面を中心に販売し
ツアーを紹介するパンフレット
ている。
6.代 表 的 な 着 地 型 旅 行 商 品
●「スノーシュートレッキング
自然を体験
岩岳」
冬から春の白馬村の自然を体験するスノーシューツアーである。白
馬村を代表するビューポイントであり、かつ歩きやすく冬山経験の無
い人でも参加可能な岩岳を、経験豊富な白馬マイスターと共に、約 3
時間かけて巡る。
12 月末から 3 月下旬までの土日祝日に催行される。午前 9 時からと
午後 1 時からの 1 日 2 回で、大人、子供ともに 3,000 円、各回 20 名
スノーシュートレッキング
募集(最少催行人員 2 名)である。
●「八方ネイチャーウォーク~雲上の八方池を訪ねて~」
北アルプス稜線の山岳パノラマを満喫するネイチャーウォークツ
アーである。足下に高山植物、眼前には白馬連峰や五竜岳、鹿島槍ヶ
岳の岩稜と残雪が織り成す山岳景観の中を、現在、整備を進めている
自然研究路をたどる。
7 月中旬から 8 月下旬まで、毎日催行される。午前 9 時から午後 1
時くらいまで(歩行時間 3 時間程度)で、料金は、大人 4,600 円、子
供 3,600 円、各回 15 名募集(最少催行人員 2 名)である。
八方ネイチャーウォーク
お 問 い 合 わ せ
一般社団法人白馬村観光局
TEL:0261-72-7100
URL:http://vill.hakuba.nagano.jp/
87
No.32
合同会社
(平成 22 年)
温泉地
タイプ
旅行業 3 種
(平成 19 年)
大規模
自主事業比率82%
延べ 986 万人泊(長野県)
うち県外 732 万人泊
長野県 野沢温泉村
ごうどうがいしゃ のざわおんせんかんこうきょうかい
合同会社 野沢温泉観光協会
1.取 組 概 要
・野沢温泉の観光地域づくりを推進するために、既存組織を再編して法人化した。
・歴史ある温泉地であり、民宿も多いという特徴を生かした活動を展開している。
2.主 要 な 事 業
合同会社野沢温泉観光協会では、自然体験事業、イベント事業、
駐車場事業等のその他自主事業にて収入の 68%占めている。その
他、行政からの補助金が 16%、会費収入が 11%、業務委託受任と
年間総収入額の内訳
行政からの
補助金16%
会費収入
11%
旅行業1%
その他自
主事業
68%
グッズ製造販売はともに 2%で旅行業は 1%である。
現状でも自主事業比率が高くなっているが、今後は旅行業で収
入額の増加を図りたいと考えている。
グッズ製造
販売
2%
業務委託
受任
2%
3.組 織 体 制
●人員
人員体制は、役員 8 名、正職員 4 名、自治体等からの出向職員 2 名、
パート 3 名という体制である。
●設立の経緯
当法人は、もともと任意団体であり、村内の宿泊事業者の団体や村、
商工会など6団体で構成されていた。そのため、観光協会のイベント
であっても、各団体が持ち回りで企画、運営するケースが多かったた
め、イベントごとのつながりが薄く、観光協会としての自主的な活動
も行いにくいなどの課題を抱えていた。そこで、1 年かけて関係者に
当法人外観
て議論を積み重ね、法人化を行い活動の幅を広げることとした。その
際、法人格については、出資者が職員となることで地域全体が運営に携わることが期待できる、合同会社を選
択した。
4.課 題 と 方 向 性
野沢温泉村は、歴史ある温泉地であり、スキー場や多くの宿泊施設が立地するリゾート地でもある。しかし、
バブル期には 100 万人に達していた観光客数は、近年では 60 万人程度にまで減少している。当法人は、地域
資源を束ね、新しい魅力をつくることで、観光振興を図っていくことが求められている。
ただ、そうした活動において重要な、ガイドなどの人的資源は発展途上の段階にあり、観光関連事業者等の
意識転換やスキル育成などを進める必要がある。
88
5.着 地 型 旅 行 商 品 事 業
●着地型旅行商品の造成
当法人は、法人としての歴史は短いが、観光協会としての活動
そのものは長期にわたって実施してきている。各種イベントを始
めとした取り組みの多くは、実行委員会形式にて実施されてお
り、観光協会だけではなく幅広い主体、事業者が参画している。
新しい旅行商品を造成する場合でも、こうした人的ネットワーク
や組織ネットワークを活用して取り組んでおり、近年は、アウト
ドア事業者との連携も深め、自然体験活動などの充実を図ってい
る。
当法人ホームページ
●着地型旅行商品の販売
造成した商品は、当法人のホームページやブログ、印刷物など
を利用して情報発信や販売を行っている。
その他、当法人では、一般の消費者が野沢菜の「蕪主」となる
ことで、野沢菜の宅配サービスや、地元の人々との交流イベント
の情報案内などを受けることの出来る「野沢温泉のざわな蕪四季
会社」も主催している。こうした消費者との特別なネットワーク
も活用することで、情報発信や販売の促進を図っている。
のざわな蕪四季会社
6.代 表 的 な 着 地 型 旅 行 商 品
●菜の花パノラママーチ
新緑と菜の花の季節に開催されるウォーキング大会で、「日本・温
泉と健康ウォーキングリーグ公式大会」等、4 つの団体の認定大会に
もなっている。平成 23 年度は 5 月 14 日から 15 日にかけての 2 日間
の開催を予定しており、
それぞれ 5km 程度のショートコース、
10~15km
程度のミドルコース、20~25km 程度のロングコースが用意されてい
る。参加登録料は大人 2,000 円、高校生以下 1,000 円である。宿泊や
当日の昼食、連絡バスなどの手配も併せて行っている。
菜の花パノラママーチ
●野沢菜収穫体験
野沢菜発祥の地ならではの歴史やエピソードを聞きながら、1m 以上
に育った野沢菜の収穫体験を楽しむ。その後、「お菜洗い」温泉で野
沢菜を洗い(温泉で洗うことで、虫離れが良いとされている)、洗った
野沢菜を時漬けにして持ち帰る体験プログラムである。
11 月中旬の週末に実施しており、所要時間は 3 時間、集合時間は 9
時または 13 時で、費用は大人 3,500 円である。
野沢菜収穫体験
お 問 い 合 わ せ
合同会社野沢温泉観光協会
TEL:0269-85-3155
URL:http://www.nozawakanko.jp
89
Fly UP