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第14回(平成27年度)

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第14回(平成27年度)
第14回(平成27年度)中部科学技術センター顕彰
公益財団法人中部科学技術センター
表彰式 平成27年12月8日(火) 場所 愛知県産業労働センター13階1302室
受賞者、業績の名称
中部科学技術センター大賞
株式会社豊田自動織機
星野
中根
城丸
正木
辰幸
芳之
勝俊
大輔
氏
氏
氏
氏
業績の名称「FCV用エアコンプレッサーおよび水素循環ポンプの製品開発」
業績の概要
近年、石油の枯渇、CO2排出量低減の観点から、環境に配慮した自動車として「燃料電池自動車
(以下、FCV)
」が注目されている。FCV は燃料電池スタックで発電した電気を利用して走行するた
め、発電に必要なガス(酸素と水素)を供給する必要があり、従来の内燃機関自動車とは、大きく
違ったシステムとして構成される。システム部品の中でも、FCV の加速性、燃費、静粛性の点で重
要機能部品となる「酸素供給用コンプレッサー(以下、エアコンプレッサー)」と「水素循環用ポ
ンプ(以下、水素循環ポンプ)
」を新たに開発し、量産化に成功した。
今回開発したエアコンプレッサーは、
① 独自開発した圧縮機構により、従来品に対し実使用域の効率を 14%向上させて、FCV の燃費向
上に貢献
② 独自開発したモータにより、従来品に対し高応答・高効率を図り、FCV の加速性向上に貢献
今回開発した水素循環ポンプは、
① 独自開発したモータの放熱機構により、従来品に対し、循環流量増加に伴うモータの損出発熱
を燃料電池スタックへ放熱する構造とすることで、小型化・軽量化を達成し、燃料電池システ
ムの簡素化に貢献
② 従来品に対し、ポンプ内部の形状を最適化することにより、-30℃以下の氷点下からの起動
を可能とすることで、内燃機関自動車と同等の始動直後の出力確保に貢献
中部科学技術センター振興賞
株式会社デンソー
澤田 明彦 氏
谷口 真 氏
湊 秀樹 氏
業績の名称「2系統機電一体EPS-MCUの開発」
業績の概要
EPS(電動パワーステアリング)は、従来の油圧に変わり、モータとそれを制御する ECU を用いて、
ドライバーのステアリング操舵時の負荷を軽減させる技術である。EPS は車の基本機能である「曲
がる」機能を担う事から、重要保安部品としての高い安全性確保は勿論の事、機能安全の国際規格
である ISO26262 への準拠が求められている。
そこで当社は、電子回路とモータを2系統化した冗長設計の概念を取り入れ、万が一、1 系統が
機能失陥したとしても、残りの1系統でアシスト継続が可能となる、世界初の「止まらない EPS」
を実現。更に、モータ・ECU を一体化構造とすることで、従来比▼30%の小型化、▼20%の軽量化、
モータロータ構造疑似極化による希土類ネオジム磁石▼50%など、小型・軽量・省資源といった環
境面も両立させた、2 系統機電一体 EPS-MCU(モータ・コントロール・ユニット)である。
将来の自動運転では、ドライバーのステアリング操作を伴わず、車両システムのみで曲がる機能
を実現させる必要があり、今回の冗長設計を取り入れた EPS が大きく貢献すると推測される。
中部科学技術センター振興賞
株式会社豊栄工業
小松技術士事務所
美和 敬弘 氏
小松 道男 氏
業績の名称「植物由来生分解性樹脂製品及び射出成形技術の開発」
業績の概要
植物由来・生分解性プラスチック「ポリ乳酸」は、約10年前に商業化がスタートし、地球環境
に優しいサスティナブルな素材として注目されたが、原材料価格が石油系樹脂に比較して2倍程度
コスト高で、耐熱性や強度も不十分な点が障害となり、製品への普及はほとんど進まなかった。物
性を改善した素材では射出成形が困難となり、さらに高コストになってしまっていた。
そこで、2005年より、製品コストを低減させる革新的な金型や射出成形技術の開発を目的に、
国の競争的な研究資金の支援(サポイン)を受けながら、研究開発シーズを小松技術士事務所から
供与してもらい、生産技術開発と製造販売を豊栄工業が担当することで共同開発に着手した。その
結果、2014年までに一連のポリ乳酸射出成形品の量産技術群を確立し、新製品開発、生産コス
ト低減等を行った。また、ハイエンド製品への適用を試みるビジネスモデルを考案し、中でも幼児
用の食器の製品化は、植物由来の環境に優しい特許製品としてグッドデザイン賞を受賞し、国内外
で商業化に成功、日本発の自然に優しい本物の製品として広く社会への受け入れが始まっている。
中部科学技術センター奨励賞
アイシン精機株式会社
石黒 幹久 氏
業績の名称「エンジン冷却用電動ウォーターポンプの開発」
業績の概要
一般のエンジン冷却用機械式のウォータポンプは、出力水量がエンジン回転数に比例して増加す
る構造であり、循環させる冷却水の量を任意にコントロールするのが難しく、エンジン冷却の最適
化、アイドリングストップ時、ハイブリッド車(以下 HV と表記)のモーター走行時などエンジン回
転が停止する場面での冷却が難しかった。
今回開発したエンジン冷却用電動ウォーターポンプは、従来のベルトで駆動される機械式と比べ、
動力源をバッテリー駆動とすることで、エンジンの運転状況に応じ自由に冷却水量を設定できる為、
エンジンの冷却をより最適にコントロールすることを可能とした。さらに、従来の機械式はエンジ
ン回転によって駆動されていたが、バッテリー駆動とすることで、ウォーターポンプを駆動するた
めエンジンにかかっていた負荷も軽減され、また、エンジン周りの構造も簡素になった。
こうした点を総合し、当製品により車両全体の燃費を2%程度向上させる効果がある。
中部科学技術センター奨励賞
株式会社佐藤鉄工所
斉藤 篤 氏
大石 正樹 氏
半田 真一 氏
業績の名称「プリプレグ材のハイブリッド成形技術と量産装置の開発」
業績の概要
近年、自動車は EV 化が進み重量が増しており、各自動車メーカ共2020年の重量規制をクリ
アするため、車体の軽量化に取り組んでいる。
軽量化の手段として金属部品の樹脂化があり、中でも高強度材の連続繊維強化樹脂(プリプレ
グ)の活用が有力手段として検討が盛んである。しかし、熱硬化樹脂に比較し、安価な熱可塑性
樹脂も、材料が高く、従来工法では製造時間が掛かる上、形状の制約などもあり、コスト及び用
途の点で採用が進まなかった。
そこで、当社は大幅なコスト低減と形状の多様性を実現するため、プリプレグのプレス成形と
繊維強化樹脂の射出成形を1型、1工程で完結し、且つ、複雑形状で機能性を付与が出来る「高
速ハイブリッド成形技術と成形装置」を開発した。
本工法の特徴は、①材料の歩留まり100%、②成形時間の大幅短縮、③複雑形状品の1工程
完結などコスト低減と用途拡大を実現した。本工法はヨーロッパでも取り組みが始まっているが、
日本国内では初めての技術であり市場評価は高く、量産品への採用も始まり、川上、川中、川下
産業の活性化に大きく貢献している。また、ここ1、2年、装置販売も順調に伸び、会社経営に
大きく寄与している。
中部科学技術センター奨励賞
株式会社ジェイテクト
大谷 尚 氏
古畑 鉄朗 氏
柴田 英紀 氏
業績の名称「ギヤスカイビング加工技術と加工機の開発」
業績の概要
自動車、建機、航空機等の部品には、多くの歯車が用いられています。燃費向上、低コスト化
のニーズが益々高まる中、歯車部品に対しても軽量化や小型化が強く求められています。近年、
歯車加工において、小型化への対応や加工時間の短縮などのメリットを持つスカイビング加工が
注目されてきました。スカイビング加工の原理は1960年代に欧州で提唱されましたが、高い
制御技術や工具技術が必要なため実用化が困難でした。
候補者は、
① スカイビング加工で歯車を創生するための工作物と工具の同期制御加工技術
② 工具軌跡をシミュレーションし、切削抵抗の少ない工具形状を算出する技術
③ 高精度加工を行うための高速・高剛性・高減衰の工作物主軸
などの独自技術を開発し、世界ではじめてマシニングセンタでの歯車加工を実現しました。本開
発により、旋削・ホビング・シェーパ・面取り・穴あけの5工程をマシニングセンタ1台で集約
し、設備コスト、スペースを大幅に削減すると共に、自社とお客様の製品自体の小型・軽量化に
貢献しました。
コーディネート賞
国立大学法人岐阜大学 仲井 朝美 氏
推薦支援実績 株式会社佐藤鉄工所
「プリプレグ材のハイブリッド成形技術と量産装置の開発」
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