Comments
Description
Transcript
第 2大臼歯の近心傾斜に対して Updghting System を
1 5 9 第 2大 臼歯 の近心傾斜 に対 して Up ig r ht i ngSy s t e mを 応 用 した第 1大 臼歯欠損補綴 の 3治験例 伊 藤 伊藤歯科医院 安 藤 生 新潟市 部 安部歯科医院 佐 陸 諭 新潟市 紀 フ ジ デ ン タ ル ラボ ラ ト 1 )一 男 新潟市 ( 昭和 5 9年 1 2月 6日受付) Cor r ect i onofMes i al l yI ncl i nedSecondMol arFol l owi ngLos sof Fi r s tMol arwi t hUpri ght i ngSys t em ;Repor tofThr eeCas es . Ri kuoI TO Z t oDe nt a lCl i ni c Ni i gat aCi t y Sat os hiABE Ab eDe nt a lCl i ni c Ni i gat aCi t y Nor i oSAでO Fu j iDe nt a lL , ab o r a i o r y Nf i gat aCi t y は じ め 白歯の Upr i ght i ngを行ない,架工義歯 による吹 に 合回復 をはか った症例 を経験 し, 良好 な結果 を得 第 1大臼歯 を喪失 し, 適切 な補綴治療 を受けな いまま,長期間放置す ると, 第 2大臼歯は,近心 たので, その方法 と経過,装置の特徴,適応症な どについて考察 を加え報告す る。 傾斜 し,対合歯は挺出 し, それ らの歯は, う蝕や 1) 早期接触, 症 歯周症 を発生 させ るだけでな く, 口 例 。患者 :生徒 ,1 8歳,女性。初診 :昭和 症例 1 睦全体の 阻噛能率の低下や2)顎関節症 の原因 とな 5 7年 9月 1日。主訴 :義歯希望。病歴 :特記事項 り得 る。 しか しその治療は, 大部分は,第 2大臼歯の歯 な し。有川ま数年前, う蝕のため抜歯治療 を受けた 髄処置 を行なって架工義歯 を装着す るか, それが 出来ない場合は, 可撤性義歯 によってい るのが現 が,そのまま放置o現症 健全歯・ 歯周 疾患な し。ー 和 ま,歯軸が近心傾斜 し,且の挺出を 状 であるが, それでは 充分な 機能回復は 望めな 認めた。 Ⅹ繰写真およびスタデ-モデル所見 :早 ous s ar d' sbuccalt ube と い。そ こで,今回 Br 真 1のごとく,可は近心傾斜 し,近心歯槽骨 に軽 Upr i ght i ngSpr i ng を併用 した方法で, 第 2大 度 の骨吸収を,遠心に甘t の埋伏 を認めた。亨l 周囲 : 一 詣 - 83 - 1 6 0 新 潟 齢学会誌 1 4巻 2号 1 984年 写 真 3 に対 して直角 で,その近心端 は,テl 近心頬側唆頭 と-繰 上 に並 らび, 対攻歯 に支障 にな らない位置 と した。 Upr i ght i ng Spr i ng は, 頬粘膜や歯 肉 を損傷 しない よ う屈 曲製作 した。 同年 9月 8日, ous s ar d' Sバ ッカルチ ューブ付バ 口佐内では, Br ン ドをJ 7 lにセ メン ト合 着 し,すす豆 t に対 しては, ダ イレク トボ /デ /グシ イステ ィム ( ORTHOMI - TE Super Bol l d) を用 いて, ブ ラケ ッ トを頬側 に, 唆合平面 と平行 に, 喫合 に支障 のない よ う, また歯 肉辺縁 部 の清掃 性 の よい位置へ 接着 した。 ¢ 0. 4mm) は, セ グメソタル アーチ ワイヤー ( ブラケ ッ トとバ ッカルチ ューブに通 し, 固定歯 の 写 真 ¢0. 2 5mm) で固定 ブ ラケ ッ トとともに結教練 ( 2 した。 Upr i ght i ng Spr i ng は,バ ッカルチ ュー には, 進行 した歯周疾患や喫合 の悪習慣 は認 め な ブのバ -テ ィカルス P ッ トに挿入 し, その遠心端 か った。 臨床診断 :甘 欠損症 , 亨l 歯軸 の 近心傾 は, バ ッカルチ ュー ブの 遠心 に コの字型 に 屈 曲 eI級O 治療方針 :a),可 の Upr i ght 料 , Angl し, 固定 した。 また近心端 は, フ ック状 に 屈 曲 の削合 , 金 属冠 による歯冠長 お よび i ng,b),旦l し,すTl 歯 間の セ グメ ンタル アーチ ワイヤ-に懸 歯冠形態 の修復 , C ),@ 百一 面■ 架工義歯 の設計 ,装 の Upr i け,固定 した。写真 3に示す よ うに,亨l 着。 ght i ng に ともない 対吹歯 との早 期接触 に よる開 ステ ップ 1, 写 真 2は, セ クシ ョナル 7-チ 嘆や , 外傷性喫合 を 防止 す るため に, 2週 に 1 におけ る矯正用材料 で, オ ー プン コイルス プ リン 回,可 の遠心頬舌側唆頭 お よび,A) の唆合 面 の削 ous s ar d' Sバ ッカルチ ューブ ( RockymOuグ, Br 合 を行 な った。 ステ ップ 2 ,同年 1 1月 2 8日,7匿)Upr i ght i ng Tomy,11 2 25 nt ai n,0 2 2×02 8 ), ブ ラケ ッ ト ( 1 2 -3 5BC1 8 ),屈 曲製作 した Upr i ghト CS 1 8, 1 に よ って, 傾斜歯軸 の 改善 が 認め られた ので, i ng Spr i ng ( 矯正用 0型 ¢0・ 4mm)で あ る。昭 7 i l問の セグメンタル ア-チ ワイヤ弓 こオ ー プン 7年 9月 1日, 石膏模型上 で, 71 に矯正用バ 和5 コイル スプ リングを挿入 し, ボ ンテ ックのため の ous s ar d' Sバ ッ ン ドを製作 した後,バ ン ドに,Br 空隙 を確保 した。 嘆合 調整期間は, 2ケ月間 であ カルチ ューブを以下 の よ うに鎖着 した。7 1 の歯軸 った。 昭和 5 8年 1月 2 0日,Upr i ght i ng とボ ン - 84 - 伊 写 真 藤 陸 1 61 生, そ の 他 5 写 真 7 テ ックのための空隙確保 が終了 した。 写真 4のご 症例 2 。患者 :会社員 ,2 5歳,女性。初診 :昭 の近心歯根面 と歯槽 と く,Ⅹ線写真所見では,7】 7年 9月 1日。 主訴 : 1 旦 義歯希望。 病歴 :特 和5 骨緑 に,一層 の骨添加像 を認めた。 且 の抜歯 を受けたが,その 記事項 な し。数年前 , l ステ ップ 3,7レズッカルチ ューブ近心で,セ〆 メンタルアーチ ワイヤーをフ ック状に屈曲 し, 結 健 全 歯o歯 周 疾 患な まま放置。硯 症 :群 し。t L は歯軸が近心傾斜 してい る。 Ⅹ銀写真お よ 教練 にて バ ッカルチ ューブとセグメンタル7-チ びスタデ-モデル所見 :写真 6に示すごとく, ワイヤーを結激 し,保定 を 2ケ月間行 な った。 同 は近心傾斜 してい るが,歯根の撃曲, 肥大 を認め 7日, 保定期間中, 亨】 遠心 に埋伏 してい 年 1月 2 ず,健康 な歯槽骨像 を示 してい る。 吹合 における るす1 の 抜歯 お よび 可歯肉形態修正術 を 行 な っ 悪習慣 も 認めないO 臨床診断 :且 欠損症 , 且 近 I L た 。 更 に 1週後,旦l 挺 出歯 に対 して金属冠 による 心歯軸傾斜,Angl eI級。治療方針 :症例 1と同 歯冠修復 を行 な った。 様。 1 歯根周囲 ステ ップ 4,Ⅹ線写真診査 によ り,ラ セクシ ョナルアーチにおける Upr i ght i n・ gの方 および歯槽骨骨縁 の治癒 を確認 した後, 適法 に従 港,治療 ステ ップは, 第 1症例 と同様 であった。 って,支台歯形成,印象採得,喫合採得 を行 ない, 写 真 7は, ステ ップ 2で, 昭和 5 7年 11月 1 5日 架工義歯のための技工作業 を行 なった。 技工作業 の状態 を示 し, ボンテ ックのための空隙 を確保 し 中は, レジン製暫間架工義歯 を使用 し, 同年 3月 てい る。 1 6日,写真 5に示す ごと く,金属製架工義歯 をセ メン ト合着 した。 ヱ 近心歯槽骨 写真 8は,保定期間中の状態で, l に骨添加が, 遠心部では骨の吸収像 を認めた。 - 85 - 1 62 新 潟歯学会誌 1 4巻 2号 1 984年 写 真 9 写真 9は,昭和 5 8年 1月 2 9日,趣旦塁 EC ボ ン ドポ-セ L /ン架工義歯 を セメン ト合 着 した状態 で , 且 歯根周囲, 歯槽骨 の健康保持が 良好 であ る。 。 患者 :主婦 ,3 0歳。 初診 :昭和 5 7年 症例 3 9月 2 7日。 主訴 :可 部の歯間離開。 病歴 :特記 事項 な し。 抜 歯 の 既 応 につい て 不 明。 硯 症 : 了駄 現在歯数,数歯 に う蝕治療 あ り。 歯周 疾患な し。 Ⅹ 繰写真 お よびスタデーモデル所見 : 0の ごと く,刊 の近心傾斜 による 可 欠損部 写真 1 の空隙 は狭 ま く,可の近心傾斜 と歯冠 の一部萌 出 写 真 1 2 を認めた。 喫合 の悪習慣 を 認めない。 臨床診断 : eI級。治療 il 欠損症,亨l の歯軸近心傾斜,Angl と同様 であ った。 方針 :症例 1, 2. 改善が不充分であ る。 Upr i ght i ngの トル クを強 i ght i ngSpr i ngを ¢0. 5mm に め るため,Upr 甘】は, 術前 に 抜歯 し, 3週後 よ り子lの Upri- 近心根 の根尖 に 写真 変更 した ところ,71 1 2のご i ght i ng は困難 であ ght i ng を開始 したが, Upr と く,歯根破折 を生 じた。 自覚症状 は,皆無 で, った。 動揺 も認めなか った。 歯髄反応は,バ ー トン電気 1は, ステ ップ2の状態で, 傾斜歯軸 の 写真1 歯髄診断器 で 検査 した ところ, バ イタル であ っ - 8 6- 伊 藤 陸 1 63 生, そ の 他 用 いた M. T. M. が,特 に4)歯周疾患 の非外科的治 療や予防 のために, 一般臨床 に広 く応用 され て き てい る。 しか し私共 の症例 の よ うな臼歯部 におけ T. M.治療 は, 前歯部ほ ど,臨床応用 され る M. てない し,5 )うーの近心歯軸傾斜 に 対 す る 改善方 汰 ,装置 についての記載 は, 少 な く,あ ってもそ の装置や術 式は, 一般臨床家に とって復雑 な もの であ った。 傾斜歯 の移動 に際 して, 症例 3に見 られた歯根 の破折な ど, ときには脱 臼,挺 出,外傷性唆合 , 目的以外 の位置へ の歯 の移動 な ど 偶発症が考 え ら 3 写 真 1 i ght i ngの適応症 と診断が重要で れ るため, Upr た。 根破折部の吸収が停止 す るまで,保定期間 4 i ght i ng の症例 は, あ る。 私共が 行 な った Upr ケ月を要 した。 1 歯根周囲の歯槽骨 は,健全 に保 たれ た状態 で,7 Angl el級 , 子 の 頬舌的位置異常 のない, 歯周 疾患 を認めない症例 であ った。 7 i ghtingの適応症 と して, スケルタル 7の Upr てお り,根の吸収 も停止 してい る。 パ ターン, 筋組織 ,歯列 弓 と歯 の相互関係 か ら, 写真 1 3は, 金属製架工義歯 を セメン ト合着 し 6 ) 7 ) Car l e A.Evansや Ro be r t L Vanar s dal l 考 察 J r.は Angl el級 ない しは軽度 の 2級 を適応症 と 臨床上 しば しば経験す る‡欠損 に ともな う一 ㌢の 歯軸近心傾斜歯 は, 架工義歯 の支台 とす ることは 困難 であ る。 しか し単 に歯軸 の傾斜 のみな らず, して, またセ クシ ョナルアーチに進行 した歯周疾 ,Ⅰ 患 のない こと に捻転や 頬舌的 な 位置異常 の ない こと, 攻合位 を安定 させ る対合歯 の存在す る 歯列 弓に存在す る諸疾患 の治療がなされ, 口腔環 こと, 開嘆 のない こと ( 顎運動時 に,唆合 を誘導 境 の改善が可能 な らば, 架工義歯 の装着に よる喫 す る前歯 の存在す ること)な どを挙 げてい る。 こ 合 回復 は, 容易であ りその予後 も良好 であ る。私 れ らの適応症 の範囲以外 の症例 におい ては, 一般 共の症例 では, 進行 した歯周疾患や唆合 の悪習慣 臨床家は歯 の移動 を行 な うべ きでな く, 矯正科や ≡ 欠損補綴時 ,子 の近心歯 は認め られ なか った。 ) 1 ) 固定性架工義歯 の支 軸傾斜 を改善す る場合 ,3 歯周科のあ る歯科病院での治療が 必要であ ると述 べ てい るO また武藤 ら8)は, 甘 欠損 に ともな う亨 ) 台歯 とす る。 2)支台歯形成 の簡素化 のため。 3 の歯軸傾斜 ( 近心的,頬舌的 あるいは ヱ の位置異 平行性 を 得 ること0 4 )近心歯質部の骨性 ポケ ッ i ght i ng治療 の診断 として,セ 常 を含む) の Upr トの治癒促進 のため ( 非外科的療法)0 5) ポンテ クシ ョナルアーチにおけ る 症例 を 6分類 し診療 の ィ ックの 形態改善 のため。 6)歯冠歯根長比 の改 シイステ ィム化 を試み てい る。 歯軸 に対 す る垂直力)0 善 。7)喫合 力方 向の改善 ( Ⅰ の Upr i ghti ngを行 な う際,私共が臨床応用 i ght i ngの装置 は,Br ous s ar d' Sバ ッカ した Upr 8)傾斜歯 の喫合への参加。 9) 歯周組織 の保全 な どを考慮 し, 私共は Ⅰ の Upr i ght i ngを行 ない, その 日的はほぼ達成 された。 しか し傾斜歯 の移動 i ght i ngSpr i ng, さらにオ ルチ ューブと Upr に際 しては, 患者 に この 目的 を充分理解 して もら を併用 した固定矯正装置 であ るため, 患者 に とっ うことが,大切 であ ると思われた。 て 審美的観点 か ら, 矯正期間中, 異和感 のない 近年,歯 の位置異常や叢生は, う蝕や歯周疾患 プンコイル スプ リングと ダイ レク トボンデ ング法 点, 装置 の装着が簡便 であ ることな どで優れ てい の主要原 因 として 挙 げ られ, 局部的 な 歯 の移動 る。 またダイ レク トボンデ ング法 は,歯間離開 の は, 床矯正装置 よ りもダイレク トボンデ ング法 を 必要 もな く, 固定歯 の歯周組織 に損傷 を与えない - 87 - 1 6 4 新潟歯学会誌 1 4巻 2号 1 9 8 4年 A)S PRI NG C)BOX LOOP 図 1 -C B)HELJ CAL LOOP 図 1 -B 利 点 がある。 私共の 行 な-た 子 の Upr i ght i ng 方法は, 歯根の移動にともな う骨の抵抗量か ら, 歯根の近心移動が可能で, 少 しでも有利 な,移動 期問も短か くてす る装置であった と考 えられ る。 i ght i ngの方法 ,装 一般 に行なわれてい る Upr 置, 矯正 の トルクならびに リアクシ ョンの方向 と 吹合調整量などを3)7)8)文献的に考察す ると, 図 1 の通 りである。 Upr i ght i ngを行な う歯に対す る i ght i ngSpr トルク量や方向を診断 した上で Upr 図 1 -E i ngのループやベ ン トの形を決定 し, 固定歯の撰 択 においては, リンガルア-チワイヤ-を反対側 は 少な く, 歯根 の 近心移動 のための トルクが強 犬歯 まで延長 し, 固定す る方法が一般的である。 い。 D) トルクによる リアクシ ョンは,固定歯へ 図 1の各装置の特徴 を挙げると,A)Upr i ght - 垂直的, 水平的に均等 に分散 され,セクシ ョナル i ngの装置ではな く, ボンテ ックに必要な空隙 を ァーチ ワイヤーの作用で,誤 ÷ 恐列延長線上に, 確保す るための方法である。 吹合調整量が多 くな る。 B)亨 の挺 出の恐れがあ り,対合歯が欠損 し 与 の挺出の恐れ もな く,歯根の近心移動が可能で さらに 唆合調整 による 歯冠の削除量 も少 ない。 てい る歯列 弓に応用す ることができない。 C) セ E) 4) 9) 1 0) ll ) テ官 を同時に Up r i ght i ng する場合 クシ ョナルアーチワイヤーを使用 しないため頬舌 に有利 である。 これ ら各装置の特徴か ら,私共の 側方向への移動の恐れがある。 しか し唆合調整量 臨床応用 した D)の Upr i ght i ngの方法,装置が - 8 8- 伊 藤 陸 1 65 生, そ の 他 優 れ てい ると考 え られ, 私共 の症例 では歯 の移動 症例 中 には, 異常 な 根吸収は 認め られなか った 期間 も短 か く は良好 であ った。 が,第 3症例 の根 の吸収 は, 歯槽 中隔 を抱 く,近 喜 ÷5 の固定歯 に限定 したが,結果 心根の禦曲 と Upr i ht g i ng Spr i ngを 4 )0. 4mm か ら 0. 5mm に変更 した 矯正 トル クの強い負荷が 子 の Upr i ghting に際 して, 隣接す る‡ の坂 扱いが問題 とな るが, 第 3大 臼歯 は埋伏 の状況や 重 な ったため 根 の破折 とそれ に ともな う吸収 であ 歯冠 の形態 な どか ら, Upr i ght i ng に よる吹合- った。 これ に対 し,術 中,術後 の経過観察 は, Ⅹ の参加 は,一般的 に困難 なため, 抜歯 の適応症 と 線写真 による診査 を行 な ってい るが, 破折根の吸 され てい る。私共 は,第 1症例 は Upr i ght i ngの 収 は完了 してお り, 歯根周囲の歯槽骨 は,各症例 完了後,亨 歯冠周囲の歯肉形態修正 と同時 に抜歯 とも 健全 に 保 たれ てい る。 Upr i ght i ng Spr i ng を行 な ったが, Upr i ght i ng に支障 とな ることは の強 さほ, ¢0. 4mm ワイヤーで, 十分であ ると なか った。 第 3症例 は,術前 に抜歯 を行 な ってい 考 え られた。 一 る。 ㌢の抜歯 の時期 については,症例 によ-て異 な るが, 外科的歯周治療 と同時 に行 な うことも考 え られ る。 しか し すすは,経年的 に う蝕や歯周疾 患 に よって喪失 しやす く, 歯列 弓に第 3大 臼歯 を 歯 の矯正移動終了後 は, 保定期間が必要 とされ ,‡ てい る。 私共の場合 Upr i ght i ng完了後,第 3症例 を除い て, 約 2ケ月間の保定 を行 な った。 収容 す るスペ-スが 存在 す るな らば, Upr i ht g - Ⅰ の歯周組織 の回復 をⅩ線写真で診査 し,架工義 歯 の設計 を行 な った。 保定期間が短 い理 由は,架 i ng4)9)1 0 ) l l ) の適応症 と考 え られ る。 工義歯装着 による固定が 可能 であ るためであ る。 一般的 に,第 1大 臼歯が 喪失 した まま放置 され 架工義歯 の 設計 , 技工作業 , 架工義歯 の 装 着 ると対合歯 は挺 出す る。 挺 出 した歯 に対す る矯正 は,適法 に従 って行 な った。 ボ ンテ ックは,舟底 力に よる圧下 は困難 とされ てい るため,旦 の挺 出 状 とし,充分 な鼓空空隙 を附与 し, 吹合 は早期接 のみ られた第 1症例 では, Upr i ght i ngの完了後 触 を防止 し, 吹頭釣合位 で, 阻噂が 可能 とな っ の保定期間中, 金属冠 による 歯冠修復 を 行 な っ た。 た。 ま ,Ⅰ Ⅰ の Upr i ght i ngの経過 中 の7, 早期接触 が 認め られ るよ うにな る。 これ に対 して唆頭 の削合 と め 調整 を行 な ったが,本症例 の場合 , 対合歯相互 間 Ⅰ の歯軸近心傾斜歯 は, Up r i ght i ng矯正治療 によって, 架工義歯 の支台歯 として,吹合 に参加 に完全 な接触 を失 な うほ ど 多量 な削合 の必要 もな で きた。 架工義歯 の装着後, 2年経過 したが,歯 く,少量 であ り, 従 って知覚過敏 も生ず ることな 周組織 は健全 に保 たれ, 唆合 回復 が可能 とな った く, 1-2点の接触 を残 しなが ら行 な った。 近心 3症例 につい て報告 した。 傾斜歯軸 の改善や歯冠, 歯根の移動量,歯 の動揺 の様子 は・視診や触診・Ⅹ線写真 によ-て,子 周 囲骨組織像 を 監視 しつつ 2過間隔で行 な った。歯 の矯正移動 中には, 時 として異常 な動揺が認め ら れ ることがあ るが, 本症例 では全 く異常所見 は認 め られ なか った 。Mlよ り強い動揺が,本術 式中に おいて認め られ る場合 は 矯正 力によるものではな く,外傷性唆合 に よると云われ,M2以上 の動揺が 認め られ る 場合 は, 7)ホ- レ-のバ イ トプ レ- ン の使用が有効 であ ると云われ てい る。 術 中の根 の吸収 につい ては, 矯正 力の大小 に原 因す ると考 え られ てい るが, 不 明な点 もあ る。本 - 89 - 最後 に本論文を御校閲戴 きま した第 1口腔 外科 中 島民雄教授 に謝意 を表 します。 文 献 1 ) 田端恒堆訳 : ケルバ ー の 補綴 学 (第 1巻) . 285-293貢,クインテッセンス,東京,1 982. 2) 波多野春夫編訳 : ギ シエ ーの吹合 治療入門. 5767頁,株式会社 ヨシダ,東京,1 9 82. 3 ) Tunc a y,Or ha nc . ,e tal . : Mo l a rup r i ght i ngwi t hTl o o ps pr i ng.J ADA 100:863866,1 9 80. 4) Wa ge n b e r g,Ba r r yD. ,e ta l . : Or t ho do nt i c 1 66 新潟歯学会誌 1 4巻 2号 1 984年 pr o c edur es t hati mpr o ve t he pe r i odo nt al の分額 な らび にシイステ ィム化- の 臨床 的 ア 00:3 70373,1 980. pr o gno s i s.JADA 1 プ ローチ. 日本 歯科評論 ,4 7 7巻 ,1 87-202, 478巻 ,1 63-1 72,4 81巻 , 1 5 4-1 81 ,1 982. ラ) 一般臨床 家が行 な う成人 の歯科矯正 治療/歯界 76京,医歯薬 出版 ,東 京 ,1 980. 展望別冊 ,ト3 9) 竹腰洋三 : 下顎半埋伏 智歯 の矯正一 一般臨床 6) Ca r l a A.Evans: I ndi cat i o n f or o r t ho - 医 の 歯 牙移動 の 応用-. 日本歯科評論 , 481 do nt i ccol l a bo r at i on i n dent alt r e at me nt . JADA 99:825-830,1 979. % ,5 4-64, 1 982. T. M.日本 歯科評論 ,475 1 0) 栗 田春海 : 私 の M. 巻 ,1 37-1 59,1 982. 7) Ro be r tL Vanar s dal lJr ∴ Upri ght i ngt he i ncl i ned ma ndi bul a rmol a ri npr ep㌢ r at i o n f orr es t or a t i vet r e at me nt .ByDent afMedト ll ) Wi l l i amR.Shi l l er: Pos i t i onalc ha ngei n me s i o angl ua ri mpa ct edmandi bul art hi r d ci neUni ver s i t yofPe nns yl va ni a.1:ト51 , -4 64, mol ar sdur i ngaye ar .JADA 99:460 1 977. 1 979. 8) 武藤克己 : 甘喪失 による亨の整直 - タイ プ別 - 90 -