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100人 - 辰已法律研究所
辰已〈司法試験〉対策書籍 カタログ CD1458 ★辰已刊行書籍をEショップやデリバリーサービスでご購入の場合、送料は次の通りとなります。辰已書籍お買い上げ合計が¥5,000 以上の場合→送料無料。辰已書籍お買い上げ合計が ¥5,000 未満の場合→本州は¥500、北海道・四国・九州は¥700、沖縄は¥1,000 となります。※その他の地域(淡路島・佐渡島等)は、辰已・東京本校へお問い合せください。 ★通信講義カセット& MD と一緒に辰已刊行書籍をお申込いただく場合は、書籍のお買い上げ合計にかかわらず、送料は無料となります。 短答対策の定本。知識の習得・定着を図るのにベスト! 平成 26 年版 司法試験・予備試験・ロースクール既修者試験 短答肢別本シリーズ 1 問 1 答・○×形式で司法試 験 短答式試 験 問題を編集・収録した、短答対策定番書の最 新版が登場です。 勉強しやすい体系順配列で、各問につき必要 十分な解説と参考文献情報を掲載しました。ま た、持ち運びやすい B6 サイズなので、移動中 にも手軽に知識チェックが可能です。 本書では、①必ず押さえておきたい重要肢に ★マークをつけています。また、②大変使いや すい「判例索引」を掲載し、③司法試験予備試 験の重要肢までフォローしています。 司法試験や予備試験受験生の直前期の知識 総まとめにも、ロースクール生や学部生の基礎 固めにも使える、必携のマルチアイテムです。 近刊 '14 年 12 月中旬発売予定 2014 司法試験 ※写真は平成 25 年版です 辰已恒例 100 人 合格体験本 (原稿 118 本・合格者 106 人) ● 1 公法系憲法 定価 本体¥3,000 +税 ● 2 公法系行政法 定価 本体¥3,200 +税 全国版 ● 3 民事系民法① ● 4 民事系民法② 定価 本体¥3,000 +税 定価 本体¥3,000 +税 未修者 1 回合格 既修者 1 回合格 ● 5 民事系商法 定価 本体¥3,200 +税 ● 6 民事系民訴 定価 本体¥3,200 +税 ● 7 刑事系刑法 定価 本体¥3,000 +税 ● 8 刑事系刑訴 定価 本体¥3,200 +税 未修者 Revenge 短答と論文の同時学習に役立つ! 平成 26 年版 NEW 短答過去問パーフェクトシリーズ 既修者 Revenge 司法試験・予備試験 予備試験合格・司試 1 回合格 選択科目 司法試験全問題(プレテスト・サンプル問題・ 平成 18 ∼ 26 年)と、予備試験オリジナル全 問題(平成 23 ∼ 26 年)を完全収録・完全解 説した、短答対策の定番本・最新版が登場です。 体系順の問題配置で、かつ問題と解答が表 裏一体なので非常に使いやすく、また解説の重 要部分が太字になっておりスピーディな理解が 可能です。さらに、短答と論文を関連させた有 機的な学習に役立つ「論文リンク」や、短答過 ● 1 公法系憲法 定価¥3,200 +税 ● 2 公法系行政法 定価¥3,400 +税 ● 3 民事系民法① ● 4 民事系民法② 定価¥3,200 +税 定価¥3,200 +税 去問で問われたテーマに関する 「論文コラム」 (憲 無料配付 法・民法・刑法)、正答率、出題頻度等のコン テンツも充実。 司法試験 / 答練 Standard 人気の肢別本シリーズとの併用で短答過去問 対策はパーフェクトです!!なお、 「5 民事系商 法」については、平成 26 年会社法改正に完全 対応しています。 辰已法律研究所 http://www.tatsumi.co.jp ● 5 民事系商法 定価¥3,400 +税 東京本校 横浜本校 大阪本校 京都本校 名古屋本校 福岡本校 ● 6 民事系民訴 定価¥3,400 +税 ● 7 刑事系刑法 定価¥3,200 +税 〒 169-0075 東京都新宿区高田馬場 4-3-6 〒 221-0835 横浜市神奈川区鶴屋町 2-23-5 銀洋第 2 ビル 4F 〒 530-0051 大阪市北区太融寺町 5-13 東梅田パークビル 3F 〒 604-8152 京都市中京区烏丸通錦小路上ル手洗水町 670 京都フクトクビル 6F 〒 450-0003 名古屋市中村区名駅南 1-23-3 第 2 アスタービル 4F 〒 810-0001 福岡市中央区天神 1-10-17 西日本ビル 8F ● 8 刑事系刑訴 定価¥3,400 +税 TEL TEL TEL TEL TEL TEL 03-3360-3371(代表) 045-410-0690(代表) 06-6311-0400(代表) 075-254-8066(代表) 052-588-3941(代表) 092-726-5040(代表) 辰已法律研究所 Tokyo・Yokohama・Nagoya・Osaka・Kyoto・Fukuoka 提携校 Okayama・Takamatsu・Kagoshima '14 年 司法試験合格者座談会 ■座談会実施日 2014 年 10 月 23 日(木) 辰已法律研究所 東京本校 ■参加者 勝木 萌さん (中央大学法科大学院・既修コース修了) 北岡 諭さん (早稲田大学法科大学院・既修コース修了) 根本 敬英さん(東京大学法科大学院・既修コース修了) 林 奈緒子さん(早稲田大学法科大学院・未修コース修了) 丸山 真幸さん(桐蔭横浜大学法科大学院・未修コース修了) 司会:辰已法律研究所 司法試験・企画担当 '14 年 司法試験合格者座談会 '14 年 司法試験合格者座談会 【司会】 本日は、2014 年第 9 回司法試験に受験 1 回目で合 たからです。法科大学院に復帰したのが 2012 年 6 に入れて倍速で聴くというのをやっていました。ノ 今は未修で入られる方も法学部出身者の方がほとん 格された皆様をお招きしました。今年ご参加いただ 月でしたが、残していた単位の関係で卒業が 2013 ート等を取るのは好きではないので聞き流しという どですし…既修と未修の差は法律の試験に慣れてい きますのは、学部卒業と同時に法科大学院に入学さ 年 9 月で、司法試験に受験できるのが早くても今年 感じです。 るかどうかだと思います。そうだとすれば、未修 1 れた方だけではなく、社会人経験を有する方や LS の 5 月でした。 年目で授業での勉強に加え、たとえば行政書士試験 入試で挫折を経験された方もいらっしゃいます。バ 【勝木】 勝木萌と申します。出身は中央大学法科大学院の ■未修と既修の司法試験合格率の差は生むものはアウトプ ックグラウンドが実に様々ですが、果たして、皆様 既修コースです。学部は法政大 の合格体験に一発合格の共通項がありますでしょう 学法学部法律学科です。学部時 か。 代はお金が無かったというの 【司会】 法科大学院入学前の法律学習では、北岡さんと勝 【根本】 私が通った東京大学法科大学院では、やはり既修 ット経験の差 等で 1 度法律系の試験を受けてみるとか、目標を持 って勉強して行けば既修と未修の差も無くなると思 います。 と、体育会や企画団体に入って 木さんのお二人は独学で、林さんや丸山さんのお二 者で入ってくる人は過酷な入試を突破してきた方で ■まずは自己紹介から いて卒業間際まで忙しく活動し 人は入門講座を利用と、そして根本さんは入門講座 すので、そういった経験の差が 今年の参加者のバックグラウンドは様々 ていたので、予備校の入門講座 のテキストのみを利用と、それぞれ分かれましたね。 司法試験の合格率の差にも出て 等は受講しませんでした。勉強 法科大学院の授業の負担はいかがでしたか。特に未 くるように感じます。未修 1 年 【北岡】 北岡諭と申します。東京大学法学部出身、今年早 のためのまとまった時間を確保するのが難しい生活 修で入られた方は授業の負担が大きいとよく聞きま 目の学習の締めくくりとして、 稲田大学大学院法務研究科既 でしたので、スキマ時間に法科大学院入試向けの問 す。 その年の既修者試験の問題を解 修 者 コ ー ス を 修 了 し ま し た。 題集で参考答案を読むぐらいしかできませんでし 【丸山】私が通った桐蔭横浜では、あまり勉強時間の取れ 法律の勉強は学部 3 年生から た。幸いにも既修者コースに受験 1 回目で合格でき ない社会人学生への配慮からか、授業内容も高度な にご自分が受験していたら合格 始めたのですが、学部 4 年の たのですが、未修者で入った方のレベルが自分より ことをやるよりは基礎的な内容が中心で、課題も事 できたかどうか、をチェックしてみる。危ないよう 時に受験した早稲田、首都大、 高いと感じましたし、大学院の授業について行くの 例問題に沿って起案をしてくる等、司法試験でも役 だったら、そこまでのご自分の学習に何か問題が無 東大の LS は全滅でした。そし で精一杯でした。 いてみると良いと思います。仮 立つトレーニングが多かった かったか、早めに軌道修正をはかる機会が得られま て 1 年留年した後の受験 2 年 【根本】 根本敬英と申します。早稲田大学法学部出身、東 です。ただ、私は授業料の全 す。要するに目標を明確にもって 1 年目で何とかク 目は早稲田と明治に補欠合格、一橋は不合格と不本 京大学法科大学院既修者コース修了です。私は学部 額免除を受けるために良い成 リアするという意識を強く持てば自ずと学習の仕方 意な結果を繰り返しました。学部時代の勉強は予備 2 年生の時に予備校の入門講座を申し込んだのです 績を得たいと考えていました が変わってくると思います。例えば論証ブロックの 校等を全く利用していません。基本書等はよく読ん が、ほとんど通っていませんでした。ただ、テキス ので、やはりそれなりに苦労 暗記等は批判が強いものでありますが、目的達成の でいたのですが「答案を書く」ということに意識が トだけはよくまとまっていたので学部 3 年生の後期 しました。もっとも、その苦 ためには使わざるを得ない実情もありますし、上手 全く向かっておらず、そのため LS 入試では全然答 ぐらいから自分なりに真面目に読んでいたと思いま 労も 3 年生の前期までで、3 年 く使いこなすためにはどうすれば良いかを考えるよ 案の形になっていなかったのが失敗の原因だと思い す。学部 3 年生の 11 月に択一対策として法学検定 2 生の後期からは週に 1、2 日だけ授業に出れば大丈 うにもなります。既修だから未修だからということ ます。 ではなく、そういった姿勢が大事だと思います。 級を受験しました。結果は不合格だったのですが、 夫なように予め単位を取りきっておき、そこから司 【林】 早稲田大学政治経済学部出身、早稲田法科大学院 勉強するための動機づけとしては良かったと思いま 法試験対策に集中することができました。 未修者コース修了の林奈緒子と申します。学部 2 年 す。論文対策としては、学部 3 年生の年明けごろか 生のときに予備校の入門講座を受講し、基本六法の ら友人とゼミを組んで、東大、一橋、早稲田、慶應 一つでも単位を落として留年すれば翌年全てを取り の LS 入試過去問を二人でひたすら書いていました。 直しという学校もあります。未修と言ってもほとん 基礎的な知識は押さえました。 【林】 特に未修は 1 年生の頃が一番厳しいかと思います。 ■ LS 在学中に予備試験は受けた方がよい? 私は受けた、受けなかった そのときに、簡単な短い論文 【丸山】 丸山真幸です。私は東京大学の「工」学部の出身 どの方が法学部出身者ですし、他学部から入る方は 【司会】 そうしますと予備試験はアウトプットを経験でき の演習は自分なりに行いまし で理系ということになります。大学在学中は大分留 やはり入学前までに基本的なところはある程度押さ る絶好の機会ということになりましょうか。法務省 た。また短答の憲民刑につい 年してしまい(笑)、まともな就職は難しいと思い えておかないと、今は進級もままならずリタイヤす が公表している DATA を見ますと、今年の予備試 る方も多いようです。 験では出願時現在の基準で実に 1,891 人もの法科大 ても、自分で過去問をそこそ まして弁理士試験を受験し合格できました。学部卒 こやった記憶があります。た 業と同時にすぐに弁理士として特許事務所で働き始 【司会】 仰る通り今は未修者コースで入る方のほとんどが だ、私が入学した 2008 年当時 めたのですが、3年くらいしたころに弁理士会の研 法学部出身者で実質的には既修者だと思うのです 【根本】 予備試験は私が学部 4 年生のときから始まったの は、早稲田は未修者コースがメインでしたので、特 修で弁護士の先生に「法科大学院に入ってみないか」 が、司法試験の合格率は今でも既修と未修で相当な ですが、最初の年は冷やかしで受けたこともあり短 に考えることもなく未修者コースで入りました。私 と誘われました。それで働きながら通える、近くて 差があります。今年は既修全体が 32.8% に対して未 答で不合格となりました。翌年、法科大学院 2 年生 が皆さんと違うのは、大学院 3 年生の時に就職と迷 通いやすい桐蔭横浜大学法科大学院の夜間社会人コ 修全体は 12.1% とダブルスコア以上に開きがあり、 (既修 1 年目)のときは受けず、3 年生(既修 2 年目) ってしまいまして単位をほんの少し残して留年した ースに入りました。理系出身とはいえ、弁理士試験 当 年 修 了 者 に 限 れ ば 既 修 は 44.8% に 対 し 未 修 は のときに予備試験を受け論文試験まで進みました。 ことです。留年した 2 年半くらいは様々な会社で働 で特許法と著作権法、産業財産権法等で法律の勉強 16.6% とその差はさらに開きます。その差はどこか 予備試験の短答に合格した後は友人に誘われて辰已 いたり、海外でバックパッカーをやったりと(笑) 。 を行った経験が有ります。ただ、逆に言うと基本六 ら出てくるのでしょうか。 の予備試験論文予想答練、公開模試、論文早まくり それで復帰できたのは、ある通信会社で働いていた 法はほとんど知らなかったので、大学院合格後の 9 際の成功体験により自分に自信が持てるようになっ 月から入学までに予備校の入門講座の講義を iPod 【勝木】 私は既修で入学しましたが、入った当初、未修で 入られた方もレベルが高い人が多いと感じました。 学院在学生が受験しています。 特訓講座、実務基礎科目集中答練等の対策講座を受 講しました。たくさん受講させていただいたのです '14 年 司法試験合格者座談会 '14 年 司法試験合格者座談会 が、一般教養で大失敗してしまい、残念ながら論文は落ち た。予備試験は司法試験と似ているとはいえ異なる 【勝木】 短くて詰まった良い問題という意味では、私は旧 例や条文についてはしっかりとインプットすること ました(笑)。ただ、そのとき集中して勉強できた 部分も多々あります。あくまで目的は司法試験に合 司法試験の論文問題を解きました。要件事実につい になるので、短答は特に意識して対策しなくても自 ことがよかったと思います。それまでは私も法科大 格することにありますから、予備試験のために司法 ては、法科大学院で受けた授業が役立ったので、予 学院の授業について行くだけで精一杯で、司法試験 試験とは少し異なる部分の勉強をするのが余計なこ 備試験の問題を解いていなくてもなんとかなったの に合格するイメージを持てませんでした。しかし、 とのように感じられ受けませんでした。その代り私 予備試験の論文対策で初めて本試験・予備試験レベ は辰已の司法試験全国公開模試を 2 年生の段階で申 【林】 私は旧司の問題もやりました。過去にさかのぼる 最初は低い点数しか取れなかっ ルの問題に取り組んで一生懸命答案を書いたこと 込んで受けました。結果ですが、自分では短答をそ 形で最低でも 10 年分やるぞと決めて取り組みまし たのですが、それでも論文の勉 で、司法試験の論文には合格できる自信が持てるよ れなりにやっていたと思っていたのですが平均にも た。 強を進めていくうちに短答の得 うになりました。さらに、予備試験の論文式試験に 届かず、論文については下から 100 人くらいと散々 【丸山】 昔の旧司の問題は学説が鋭く対立する論点がメイ 点も一定程度までは自然と上が 不合格となった悔しさや危機感は、その後の勉強の なものでした。しかし、自分がどの程度の段階まで ンで聞かれていたりしますので、今の司法試験と傾 っていきました。論文の勉強は 糧となりました。ですから、予備試験については、 到達できたかを確認したり、その年に本試験を受け 向がかなり違うような気がします。最近のものであ 積極的に受けることが大事だと思います。 る受験生の雰囲気を感じたりすることができて良か れば役立つと思いますが、無理に昔の問題まで遡っ 【丸山】私も大学院 2 年生と 3 年生の時に予備試験を受け ったです。1 年早く辰已の全国模試を受けておけば、 て解く必要もないと思います。ただ、皆さんが仰る 【丸山】 私が司法試験の対策を本格的に始めたときのこと その後の 1 年間の勉強計画を考える上でとても良い 通り、法律論の基礎を固めるトレーニングは大事だ を思い出しますと、まず上位合格者、ギリギリ合格 と思いますのでお勧めです。 ました。私は 2 回とも短答落ちという情けない結果 だったのですが、短答は問題 然と点数が取れると思います。 【勝木】 私も短答より論文の勉強を先に始めました。短答 かなと思います。 が最初から出来たわけではなく 短答にも直結すると感じていま した。 と思います。司法試験では、「あてはめにおける事 者そして不合格者のそれぞれの再現答案を比較しな が司法試験と被りますし、試 【勝木】 実は私も北岡さんと同じように本試験を受ける 1 実の抽出や評価」で点差が開きますが、それは「普 がら自分の答案スタイルを確立することから始めた 験会場の雰囲気も知ることが 年前に辰已の全国模試は受けています。やはり私も 通の合格」と「上位合格」を分けるもので、合否を ように思います。何をどのような項目を立ててどう できるので、役に立つと思い 実戦の空気を知りたくて受けたのですが、結果も同 分けるのは法律論の部分になると個人的には思いま いう順番で論じるのかという研究を行いました。最 ます。さすがに 2 回目に受け じような感じで私もボロボロで下から 100 番くらい す。 初に自分のアウトプットの型を固めて、その型に流 た時も短答落ちだったのはシ という感じでした(笑)。危機感を強く持つために、 ョックでしたが、このままで はいけないと気合いが入りました。私は弁理士試験 【司会】皆様、予備試験にせよ辰已の全国模試にせよ、1 年 し込むようにインプットを行う感じですね。根本さ このままじゃダメだと自分にやる気を出させるため 前にご自分の到達度を確認しその経験を最後の 1 年 んに近いかもしれませんが、参考答案集もたくさん に受けたようなものです。 間での学習に活かされている点で共通しますね。ま 読み込みました。逆に、基本書や判例集を読み込ん だり、短答の問題集を解きまくったりということは で法律の短答式試験は経験しており、その経験から 【根本】 在学生へのアドバイスとしては、予備試験を受験 た、具体的な学習面でも、予備試験あるいは旧司法 何をどれくらいやればどの程度の点数が取れるかは しない方も予備試験の民事実務基礎科目の問題は解 試験の問題を使って基本となる法律論の論じ方を固 何となく掴んでいました。そこで、弁理士受験時代 いておいた方がよいと思います。司法試験でも要件 めていらっしゃる点も共通するように思います。 の経験と上記の予備試験の結果を踏まえた上で、そ 事実的なイメージで答えろという問題とそうではな の後の勉強計画を軌道修正しました。結果的には、 く民事実体法の話をいつもと同じように書けという ■「短答から始める」派?「論文から始める」派? 私自身としても予備試験を受けてとてもよかったと 問題があり、それぞれの問われ方や書き方のお作法 一発合格に有利なのは? 思います。 がありますが、その違いについて司法試験のみの勉 【勝木】 私は受けていないです。予備試験の教養試験にハ ードルの高さを感じました。というのも教養試験で 強をするよりも予備試験の民事実務基礎科目の勉強 もする方がよく分かるようになります。 あまりしなかったですね。 【司会】 根本さん、勝木さん、丸山さんは、先に論文の答 案の型を固めてしまうのが良いという意見ですね。 【林】 私は逆なんですよね(笑)。個人的に短答式が好 きだというのもありますが、先に短答から学習しま した。学部時代もそうですし、 【司会】 では司法試験の具体的な対策についてお聞かせい 法科大学院でも授業の進度に合 せて短答の問題を解いていまし ただけますか。 は高校で学習する化学や物理もでると聞いていて、 【北岡】私も受験はしませんでしたが民事系の科目につい 【根本】 私は論文対策から、具体的には辰已の『えんしゅ た。そういう勉強をしていると 私は高校時代にほとんど勉強していなかったので、 ては予備試験の問題を解いてい う本』レベルの論述例を見るところから始めるのが 基礎知識が固まってきますの 自分には無理だと思ってしまいました。法律科目も ました。司法試験は長文問題で 良いと思います。なぜかと言 で、じゃあそろそろ論文をやる 実力に自信が持てず私の場合はまず法科大学院での あてはめでの事実の評価の仕方 いますと、私たちは法律の知 勉強をしっかりやって修了での受験資格をきちんと を聞いてきますが、予備試験で 識を入れること自体は目的で 根本さんや丸山さんが仰っていた論文の書き方やお 取れるようになることが先だと思っていました。 は法律構成をしっかりできるか はなく、法律の論文式試験の 作法、何をどこまで書くかといった研究を自分でや という点を真正面から聞いてき 答案を書いて点が取れること るのが面倒に感じまして(笑)、宣伝ではありませ ますので、基礎が出来上がって が目的なはずです。したがっ んが辰已の福田俊彦先生の「絶対にすべらない答案 て、答案の形になっているも の書き方講座」で教わった書き方をそのまま実践し 【林】 私も受けていません。私の場合は働いていました し、復帰した時も今年の 5 月に照準を定めてスケジ か、という感じでした。そして、 ュールを組んでいましたので、最初から眼中にあり いるかを確認するのに最適だと思います。 ませんでした(笑)。ただ、過去問を解く勉強の中 【林】 予備試験の問題は短いので、司法試験の長文問題 のでインプットを一気に行った方が、基本書や法科 ていました。あの講座をとれば手っ取り早く本試験 で素材の一つとして予備試験の問題を利用していま への取り組み方は学べないのですが、逆にあの短さ 大学院の講義で学んだ知識を答案でどのような形で の過去問分析も全部終えられますし、とてもお勧め した。丸山さんと同様に出題が被りますので全て過 が良いと言いますか、短さの中にも詰まった良い問 流していくかも分かるので、最初に答案の形を固め です。福田先生が講座の中で上位合格答案、普通の 去問は短答も解き、答案も書いてみました。 題です。早い段階で基礎を固めるのに最適な問題だ た上で知識を習得して行くのが効率的です。そして 合格答案、ギリギリ合格答案の 3 つを比較してくれ と思います。 知識を習得するときも答案を書く上で必須となる判 るので、もう全部福田先生にお任せでしたが(笑)、 【北岡】 私は予備試験のことは全く考えていませんでし '14 年 司法試験合格者座談会 '14 年 司法試験合格者座談会 に 2 時間で書けなくなって危険です。司法試験の難 し、答練を受けて気づいたことをどんどん蓄積して られて高い評価を得ることができたのですが、「自 【北岡】私も、学部時代に基本書で勉強して何も頭に残ら しさは 2 時間という制限にあると思います。時間無 自分なりの書き方を確立していきます。そうするこ 分の書き方は正しい」ことが分かったのは大きな経 なかった反省もあって、法科大学院の授業の進捗に 制限で答案が書けるなら、司法試験はずっと楽な試 とで、時間配分や答案構成でのメモの仕方等、細か 験でした。もちろん、時間内で書けば数段ランクダ 合せて短答の問題を解いていました。司法試験の短 験になり、多くの方が今の合格点をクリアできると いことまで、自分と高い点数を取れる方とでどこが ウンする答案になってしまうことは間違いないので 思います。 異なるかを具体的に比較することができ、改善すべ すが、答案の形が定まったのであとは時間内でいか きポイントが明確につかめるようになります。 に書くか、途中答案とならないようにするかに対策 とても役立ちました。 答 は 基 礎 的 な 出 題 が 大 半 で、 か つ 網 羅 性 が あ り ま す か ら、 【根本】 答案に書けない知識を身につけるのは無益なだけ 短答の問題をひたすら解いて でなく有害だというお話ですね。私もそう思います。 【勝木】 私も 3 年生の秋から辰已のスタンダード論文答練 の主眼を絞れました。もっとも、そうはいっても第 行けば、どこが重要かを自分 また答案は考査委員に読んでいただくものいわば読 を受けました。添削で「知識はあるが三段論法で論 2 クールから始めたのは本当に遅く、もしも答案が で考えなくても大事な基礎知 み物ですから、書かれている知識の量よりもいかに じていない」というコメントいただいたので、それ ダメな評価で返ってきていたら軌道修正はできなか 識が網羅的に頭に入ると思い 読みやすく書かれているかが大事です。必要な知識 で辰已書籍の「外せない判例で押さえる答案作成マ ったと思います。また、練習不足で途中答案になっ ます。ですから、いろいろと としては短答に合格できるレベルで十分だと思いま ニュアル本」を買って、公法系、民事系、刑事系の てしまうのではないかと本試験直前まで不安でたま す。 全てを 5 回以上回しました。時間短縮のためにパソ 分析したり研究したりするのが苦手な人はお勧めだ りませんでした。 と思います。また、私は自分にやさしいといいます 【勝木】 ただ、来年は短答が憲民刑の 3 科目になりますの コンを使いましたが全て写経というか書き殴りをし 【北岡】 私も途中答案の不安は大きかったです。LS 入試の か、最初からあのすごい量の論文を見てしまうと自 で、行政商訴については注意した方が良いと思いま て三段論法の型をつけました。そして、スタ論では 失敗はまさに途中答案だったからです。私の場合は 分はきっとびっくりして勉強をやらなくなってしま す。行政商訴についてはこれま 「時間をはかって形式に沿って書く」という点を意 答案構成に多くの時間を割いてしまう割にそれが全 うと思いましたので、一歩一歩着実に進む短答から で短答で問われていたことが論 識して受けていました。ただ、スタ論で点数がなか く構成になっていなかったので本当に苦しみまし 勉強を始めました。論文のアウトプットの枠を固め 文の方に回されるように思いま なか伸びず、受けるのが怖くなって答案を書けなく た。3年生の前期の期末試験でも途中答案を連発し てからインプットを行うという考えも効率的でそれ す。短答で問われていたような なったことが何度かあります。そういう時は無理を てこのままだと司法試験も絶対に合格できないと落 はそれでありだと思います。ただ、私のように、と 細かい知識も一通りはやってお せず、最初に受付で解説資料一式をもらってしまい、 ち込んでいた時に辰已さんからタイミングよくパン っつきにくい論文から始めて嫌になって途中でやめ いた方が論文の行政商訴でいざ 他の受講生の方が答案を書いている時間に自分は喫 フレットが届きました(笑)。パンフレットのスタ てしまうぐらいなら、とっつきやすい短答から始め 書こうとしたら書けないという 茶店に行き頭の中で一度答案構成をしてから解説冊 論福田クラスの紹介ページを読みましたら、まさに るのもそれはそれでありなんじゃないでしょうか。 事態が起きるのを防げると思います。具体的には論 子のパーフェクト答案、スタンダード答案等を熟読 自分が悩んでいることが書かれていたので「これ どっちから始めてもいいと思います。また、私も林 文で問われる論点に関連する知識は短答で問われる していました。もちろん、時間をはかって書く練習 だ!」と思って申し込みました。実は私が今話して さんと同じで辰已で福田俊彦先生に答案の書き方を ような細かめなものも浅くて構わないので一通りや も大事なので各科目で最低でも 1 回は会場で書くよ いることの多くが福田先生の受け売りだったりしま 学びました。私が受講したのは「スタ論(福田クラ っておいた方がよいと思います。 うにはしていました。 になったような講座です。 【司会】 「論文から派」と「短答から派」の二手に分かれ 【根本】 答案構成が時間内に上手く出来るかどうか、は本 ■これが一発合格者のやり方 なる在学生の方は多いですが、勝木さんのように書 当に大事で、ここで勝負がついていると言っても言 自分にあった学習法を見つけ実行する けなくてもとにかく会場まで行くという攻めの姿勢 い過ぎではないと思います。で があればこそ、最終的に本試験までに間に合うこと すから、私は辰已のスタ論を受 が出来たのでしょうね。 けていたときも答案構成では答 ましたが、問題演習を通じてインプットを行うとい う点は共通しますね。 【根本】 むやみやたらに勉強を進めるというのではなく、 す(笑)。 【司会】「どうせ書けないから答練はまだいい」と消極的に ス)」で、スタ論とすべらない答案の書き方が一つ 【司会】 最後に一発合格された皆様に勉強の具体的なやり 【林】 私は怖くて第 1 クールからは受けられなかった方 案の読みやすさに大きく影響す です(笑)。そして第 2 クールから受けて後悔しま るナンバリングもしっかり入れ 【丸山】 私は辰已のスタンダード論文答練を 2 年生の秋か した。それまで短文事例問題で論点の論証を固める ました。答案の流れイコールナ 【北岡】 そうですね。法律の勉強は広げようと思えばどこ ら受講していたのがよかったと思います。本当は 1 勉強はしていたのですが、司法試験の長文事例問題 ンバリングだと思っていました までも広がってしまいます。一つの法律の学究に人 年生の時から受けたかったのですが、未修というこ で答案を書くというのはスタ ので、答練後に友人と答案を見せ合ってダメ出しを 生を賭けていらっしゃる先生方の議論に寄り添いま ともありさすがに難しかったで 論の第 2 クールが初めてでし 行うときも書いた内容よりもナンバリングに注目し すと私たちも勉強だけで一生が終わってしまいます す。答練を受ける最大のメリッ た。最初は問題文の長さに圧 て答案の流れや形式に集中して議論しました。三段 (笑)。だからどこかで線引きが必要ですよね。私た トは私が先ほどから申し上げて 倒されてしまって、丸山さん 論法の部分の確認やナンバリングの振り方のレベ ちの目標は司法試験に合格することにあるわけです いる「2 時間で書けること」を が仰る「2 時間で書く」ことが ル、見出しのつけ方等までかなり細かく適切かどう から、そのために必要十分な勉強以外には手を広げ 強く意識できることであり、多 とてつもなく難しく感じまし か議論しました。それと辰已のスタ論は一番大きな ないように強く意識することが大事です。 くの気づきが得られます。例え た。それで通信部で受講して 母集団ですから、「みんなの答案」も参考にして、 【丸山】 法律学自体の広さもありますが、所詮 2 時間で答 ば、問題文を分析する段取りや 案に書ける内容はたかが知れているということで す。したがって、書けないことを追い求めて勉強す るのは非効率だと思いますし、手を広げ過ぎると逆 答案例を読むことから勉強を始めるのもインプット の指針を最初につかむためです。 方や工夫でこれがよかった、というものを教えてい ただきましょう。 いたこともあって、時間内に答案を書くことは諦め、 みんなが書いていることを自分も書けているか、あ 答案構成の具体的なやり方、答案で何をどこまで書 時間無制限で自分で納得ができる良い答案を仕上げ るいは誰も書かないことを自分だけが書いてないか くべきか等を具体的に考えられるようになることで ました。最初の憲法は 8 時間くらいかかったと思い 等、自分のインプット学習が適切かどうかもチェッ す。この体験はできる限り早くやった方がよいです ます(笑)。そうやって書いた答案が高得点を付け クしていました。また 2 時間で書ける分量が適切か '14 年 司法試験合格者座談会 '14 年 司法試験合格者座談会 で 50 点ぐらいに到達するよう ま す。 来 年 か ら 5 年 5 回 に な 同じで、アウトプットをすればインプットも自然と になりました。合格した今だか り受控えを考える必要もなく できるようになります。また、私は専業ではなく仕 らこそ言えるのですが、合格に なりますから 1 回目の受験の 事をしながらの兼業受験生でしたから、とにかく時 必要なことは実はあまり多くあ プレッシャーも減ると思いま 間が無く勉強方法の選択でミスはできないと強く思 【根本】 私は法科大学院に入った 1 年目、既修ですので 2 りません。最後まで焦らず余計 す。5 年受ければどこかで 1 回 っていました。だからこそ学習の方向性と効率性を 年生のときですか、2 年前のこの合格体験記に掲載 なことをせずに自分のやるべき 受かるだろうと思いがちです 強く意識しましたが、やり方さえ正しければ働きな が、そういう気持ちですと人 がらでも一発合格はできると思います。社会人の方 も確認し足りていないならどうやったら書く速度を上げら れるか、答練はそういう練習の場でもあります。 【司会】 皆様が勉強のやり方や工夫を考える上で参考にな ったものは有りますか? されていたリベンジ合格者座談会を参考にしまし た。ともすれば誰もが陥りやすいミスの経験やどう ことを着実にやれば合格できる 試験です。 間は弱いですからいろいろな場面で少しずつ妥協し も頑張ってください。 やって軌道修正を行って結果を出したかが語られて 【林】 私も勝木さんが仰った自分のやり方を見つけて自 てしまうと思います。あえて自分にプレッシャーを 【司会】 今年の一発合格者座談会にご参加いただいた皆様 いたので、自分が学習の指針を立てる上で本当に参 分を信じ決めたことを毎日繰り返すことができれ かけることは大事だと思います。そしてプレッシャ は、バックグラウンドも個々の勉強の仕方も実に 考になりました。 ば、合格ラインをクリアするのに十分だと思います ーに立ち向かうには、結局は現状を冷静に分析する 様々でしたが、最後までお話を聞かせていただきま 【林】 私も根本さんと同じで何年か前のリベンジ合格者 ので、毎日、朝起きてから寝るまでの間、30 分ずつ しかありません。ゴールはどこで、今の自分はどの すと強く意識されたことや目的としたところはやは 座談会を参考にしました。リベンジ合格者の方の体 やるべきことを決めてしまえば自分のペースで淡々 辺で、その間を埋めるのは何か、どうすれば埋めら り共通する点が多いように思います。個々の勉強の 験記には失敗の経験が語られ と勉強を進めることが出来ると思います。1 週間の れるか、自分はどこまでできるか、落ち着いて考え 仕方は異なりましたが、早い段階から司法試験の合 ているので自分も今同じよう 計画も土日は遊ぶようにする等、適度に息抜きを入 て行けばやるべきことも自ずと定まります。頑張っ 格を具体的にイメージされていたこと、ご自身の性 な失敗をしていないかチェッ れて、最後まで無理なく続くようにするのが良いと てください。 格や学習状況を冷静に見つめ現実的な思考で対処方 クするのに役立ちました。ま 思います。また、勉強の仕方についてもあれこれ思 【丸山】 皆様と同じでゴールから考えればやるべきことが 法や勉強の効率性を追求されたこと、一度ご自身が た失敗の反省を踏まえた後の い悩んで何もできなくなるよりももっとシンプル 決まります。私は弁理士として仕事をしているため 打ち立てた方針に沿ってぶれずに一気に突き進む強 勉強方法を自分は最初から実 に、例えば私の場合は毎日短答を 200 肢解く論文 強く感じていたのかもしれま い意思等、一発合格の秘訣が大分見えたかと思いま 践すれば一発合格できると思 は 1 通書く、ということを決めてそれができていれ せんが、本当にアウトプット す。本日は、大変参考となるお話をいただき誠にあ って参考にしました。例えば、授業の進捗に合せて ばよいぐらいに気楽に考えていました。自分がやる が全てです。出力できないも りがとうございました。 早くから毎日肢別本を解く等は実行しました。 べきことをしっかりやればきっと合格できます。 のは意味がありませんし不要 【北岡】 私も体験記はよく読んで、自分の性格に合った学 【根本】 私は自分の性格上自分にプレッシャーをかけた方 ですからインプットをする必 習方法等は取り入れました。林さんと同じで短答の が良いので、この試験は受かりたい試験ではなく落 要もありません。水泳でまず 問題を早くから解いてインプットを固めるというの ちてはいけない試験と自分に暗示をかけました。そ 息を吐けば自然と吸えるのと も自分が読んだ合格体験記に書かれていたことで して絶対に落ちないためには、どんな問題が出ても す。 惑わされてはいけない。惑わされないためには、日 【丸山】 :私も体験記は読みましたが、あとはネットで先生 ごろからたくさん問題を解い や合格者のブログ等も参考にしました。やみくもに て、辰已の趣旨規範ハンドブッ 学習をするのではなく、いろいろな勉強の仕方を参 クに載っている基礎知識を万遍 考に自分ももっと上手いやり方ができないかと考え なく押さえ条文も大切にしっか ることが大事だと思います。 り勉強する。そしていつも同じ 書き方をすると決めました。わ ■振り返れば一発合格の勝因はここに 来年の受験生へのエール からない問題が出るからこそ、 自分で決めた形式を守ってわかりやすい文章を丁寧 に書くことが重要です。また、直前期も答案を書か 【司会】 時間が参りました。最後に一発合格を果たした経 ないと力が落ちます。直前期はいまさら知識を入れ 験を総括して来年の受験生へのエールとしてくださ てもしょうがないので私は毎日書くようにしていま い。 した。要するに落ちないためには何をしなければな 【勝木】 自分を見失わないことが大事です。まわりの人を らないのか、しっかりと見極めてやるべきことをや 見て焦って同じことをやろうして空回りするより れば落ちない、合格できる試験だと思います。頑張 も、自分に本当に必要なことは何かを見極めて着実 ってください。 にこなしていけば最後は結果が出ると思います。私 【北岡】根本さんと同じく私も直前期は毎日答案を書いて も答練でなかなか点数が上がらず 12 月のころは 10 いましたし、強くお勧めします。また同じように絶 点台も連発していましたが、最後の辰已の全国模試 対に 1 回で受かるという強い気持ちが大事だと思い '14 年 司法試験合格体験記 【File no.11】 未修者はできるだけ早い短答対策を す み あ や な 鷲見 彩奈さん ○早稲田大学政治経済学部 ○東京大学法科大学院・未修コース 2011 年入学 2014 年修了 受験歴 辰已受講歴 ■新試験 1 回 未修者 一発合格 スタンダード論文答練(第1クール・第2クール)、全国公開模試 他 1 司法試験受験を決意した経緯 社会科学全般に興味があり、主専攻として政治・経済 学を、副専攻として法学を勉強できる早稲田大学政治経 済学部を受験し、入学しました。その後、法科大学院に 進学した先輩に話を聞いたり、政治・経済学、法学双方 の勉強を進めたりする中で、法律や法曹に興味を持ち、 司法試験を目指すことに決めました。 2 法科大学院受験前の学習状況 商法と行政法以外の主要な5法は一通り勉強しました。 とはいっても、大学の講義で扱った分野しか学んでいな かったので、知識量は多くなく、穴だらけでした。 3 法科大学院入学後の学習状況 (1)1年次 未修1年次は、7法全てをこなすかなり詰め込んだカ リキュラムで、授業の予復習に追われ、ほぼ毎日自習室 にこもっても終わりませんでした。試行錯誤し、復習型 の勉強が自分に合っているとわかってからは、予習は必 要最小限度にとどめ、疑問点は、講義や、講義後の先生 への質問で解決していました。といっても、先生の講義 を耳で聞いただけではとても理解が追いつかなかったの で、先生の講義を書き起こす勢いでノートをパソコンで とり、何度も何度もノートを読み返して、理解を深める ようにしました。また、司法試験直前期に見直すものを つくる、という意識から、まとめノート(後述)も徐々 に作り始めました。 夏休み以降は、既修コースに入学した学部からの友人 3人のゼミに参加させてもらい、演習書や司法試験の過 去問にとりくみました。もちろん、既修者と同じように 答案を書けるわけがないので、 「習ったことがある分野だ け」 、 「時間制限なし、教科書等を見て書き直した答案の 提出も可」等の特別ルールをもらっていました。既修者 の答案をみて、1 年後に自分が到達すべきレベルがわか ったこと、司法試験がどのような試験か、雰囲気(問題 文が長く、のんびり読む時間はない等)だけでもつかめ たことは、非常に有意義でした。未修者も、問題は解け なくてよいので、早めに過去問に目を通して敵を知ると よいと思います。 (2)2・3年次 2年次以降も、相変わらず授業の予復習に追われてい ました。私の出身ロースクールは、司法試験対策講座な どはなく、学生各自の努力に委ねられていたため、司法 試験対策は、もっぱら、クラスメイトと組んだゼミで過 去問を解くことで行いました。 また、私は、履修計画に失敗し、3年次の夏学期に選 択科目(知的財産法)を初めて勉強した上、3年の冬学 期に 14 単位を残し、結局最後まで授業に追われることに なってしまいました。そのため、司法試験の勉強が思う ように進まず、精神的に相当追い込まれました。履修計 画はしっかり立てましょう。 4 受験対策 (1)勉強方針 私は、1、2年次の2年間、ロースクール公認のサー クルに所属し、サークル活動にも打ち込んでいたため、 春休みを中心に、自分の勉強をする時間があまりとれま せんでした。また、自分の性格上、 「完璧」を求めるとド ツボにはまってしまう自覚がありました。そこで、 『全て を万篇なく完璧にこなそうとするのではなく、優先順位 を決めて、優先度の高いものからこなしていく』という 大きな方針を立てました。 (2)短答式試験対策 過去問を繰り返し解くことが重要です。 『短答過去問パ ーフェクト』 (辰已法律研究所)を一通り解き、解けなか ったものには “ A ”、なんとなく正解したが次回も正解す る自信はないものには “ B ”、なんとなく正解し、次回も なんとなく正解するだろうものには “ C ”、自信をもって 正解したものには “ D ” と優先度ランクをつけ、優先度 の高いランク(A>B>C>D)のものから再度回して いくことにしました。また、優先度の高いランクほど、 日を空けず繰り返し解くようにしました。また、過去問 をこなしていくうちに、科目ごと、あるいは科目のなか でも分野ごとに、得意、不得意が分かってきたので(民 法(親族・相続以外)が一番できる/刑法の中でも総論 は得意だが各論は不得意 etc) 、とにかく不得意な分野か ら回すようにしました。科目や分野、ランクにより異な りますが、1~4、5回は過去問を解いたと思います。 また、 『短答過去問パーフェクト』は解説が充実してい るので、解説を読み込み、ポイントを判例六法にメモし たり、自分にとって重要な解説についてはコピーをとっ て判例六法に貼り付けたりして、判例六法に情報を集約 しました。直前期(短答式試験前日を含む)は、市販の 条文読み上げCDを聴き続け、ひたすら判例六法の条文 と自分の書き込みメモを目で追いながら、復習しました。 本格的な対策の開始は、3年の秋頃からになってしま いましたが、知識量が足りない未修者にとっては遅すぎ だと思います。多くの未修の方にとって、短答式試験の 通過は大きな関門です(私自身、短答式試験は、辰已の 公開模試ではC判定、実際の本試験でも 3000 番くらい と、散々な結果でした)から、できるだけ早く始めた方 がよいです。 (3)論文式試験対策 1・2年次は、友人達とのゼミの他、自分では、各科 目『えんしゅう本』 (辰已法律研究所)を回して、答案の 書き方を学びました。ロースクール入試前にえんしゅう 本を何度も回したという既修者の友人も多いです。勉強 の初期段階では、 『えんしゅう本』がおすすめです。 3年次の 9 月下旬から、辰已のスタンダード論文答練 (以下、スタ論)を受講しました。前述の通り、私は復習 型の勉強スタイルをとっていたため、スタ論のために予 習をするということはせず、復習に力を入れました。大 半の答案が 20 点~ 40 点台を推移し、採点者の辛辣なコ メントに幾度となく心が折れかけましたが、スタ論の解 説冊子を読みながら、自分の答案のどこが悪かったのか、 どう書けばいいのか、自分の悪い癖はなにかといった分 析を続けました。スタ論は勉強のペースメーカーになり ますし、知識の穴を補充できるので、おすすめです。また、 友人達とのゼミでは、 『ぶんせき本』 (辰已法律研究所) の超上位答案を検討していましたが、自分は落ちない程 度のそこそこの答案を目指すべきだと直前期に悟ってか らは、一応の水準と不良の答案の違いを自分なりに研究 しました。 また、3年から始めた選択科目に不安があったので、 合格者講義を受講し、過去問分析に利用しました。直前 早まくり講座も、直前期の知識の確認になり、良かった です。 情報集約は、 『趣旨・規範本』 (辰已法律研究所)を自 分なりの論証に変えたり、余白部分にメモを書き込んだ りしてまとめを作成しました。直前期は、このまとめを 何度も読み返し、基礎の確認に努めました。まとめノー トの作成は、自分の思考過程を整理し、直前期に見直す ものを残すという点で大事なことですが、非常に時間が かかるので、 『趣旨・規範本』を元ネタにするのも、ひと つの手だと思います。本試験の会場でも、 『趣旨・規範本』 を手にする受験生が多く見られました。 直前に受けた辰已の全国公開模試は、本番と同じ曜日・ 時間・会場で行われたため、良い練習になりました。模 試の論文・総合成績が良かったことも、本番に向かう最 後の追い込みのモチベーションになりました。 5 受験生へのアドバイス 司法試験本番に至るまでの勉強は苦しく、幾度となく もう無理だと思いました。また、実際に受けてみた司法 試験は、想像以上に過酷でした。実際、私は、民事系(本 試験2日目)の前日には3時間しか眠れず、当日は発熱 と激しい頭痛に襲われ、泣きながら本試験を受けました。 それでも、励まし続けてくれた家族や友人達のおかげで、 絶対に諦めないという強い気持ちだけは最後まで持ち続 けることができました。感謝の気持ちでいっぱいです。 合格率や合格者数といった数字を必要以上に恐れるこ となく、自分を信じて頑張ってください。この合格体験 記を読んでくださった皆さんの、そして今年残念ながら 合格に至らなかった友人達の努力が実を結ぶことを心か ら願っています。 辰已法律研究所 受講歴 スタンダード論文答練(第1クール・第2クール) 全国公開模試 直前予想早まくり(3科目+知的財産法) 他 ※この原稿は H26 年 10 月 30 日までに寄稿いただいたものです。 未修者一発合格 未修者一発合格 '14 年 司法試験合格体験記 '14 年 司法試験合格体験記 '14 年 司法試験合格体験記 【File no.19】 ふちがみ たかひろ 渕上 貴弘さん ○東京大学法学部 ○東京大学法科大学院、既修、2012 年入学・2014 年修了 受験歴 辰已受講歴 ■新試験 1 回 既修者 一発合格 スタンダード短答オープン(第2クール)/スタンダード論文答練/全国公開模試 1 司法試験受験を決意した経緯 私は、問題を解決することによって人の役に立てるような仕事に就 きたいとかねがね考えていました。そして、大学で弁護士のゼミや無 料法律相談のサークルで活動する中で、法律を使って様々なトラブル や人々の悩みを解決する弁護士という職業に魅力を感じるようになり、 司法試験の受験を決意するに至りました。 2 法科大学院受験前の学習状況 私は大学1年生の秋ごろから予備校の入門講座を受講し始めていま した。しかし、その当時は法科大学院入試までまだ3年あったことも あり、あまり勉強をする意欲がわかず、予備校の授業も「何となくわ かる」程度にしか聴いていませんでした。おまけに大学の授業も「予 備校で一度聞いた話だから」とわかったつもりになっていました。そ の結果、周囲にいつの間にか後れをとり、法科大学院入試にあたって は猛勉強を強いられることになりました。 3 法科大学院入学後の学習状況 (1)既修コース1年目(2年次) 幸い法科大学院には入学することができましたが、1年目は授業 の予習に忙しく、司法試験の論文対策に特化した勉強はほとんどで きませんでした。それでも、私の法科大学院では判例読解を中心と した授業が多く、しばしば問題視されるような学説偏重の授業は少 なかったため、法科大学院の授業も司法試験を受ける上での基礎固 めとして有意義でした。 一方、短答対策は辰已の肢別本を使って行っており、その甲斐あ ってかその年の予備試験短答式試験は通過することができました。 ところで、過去問についてですが、法科大学院に入学して間もな い頃から解き始めるべきなのでしょうか。確かに「敵を知って学習 の方向を定める」という意味で1~2年分解いてみるというのは多 分に効果的だと思います。しかしそれ以上、しっかりした基礎力が 備わらないまま闇雲に解きまくっても、さほど学習効果が期待でき るわけではないと思います。 (2)既修コース2年目(3年次) ① 短答対策 辰已書籍では「肢別本」「短答過去問パーフェクト」の2種類が ありますが、前述の通り私は肢別本を使っていました。肢別本は 一問一答形式であり書籍自体もコンパクトであるため、どこでも 手軽に演習ができるのが便利でした。また、一問一答形式の問題 集は他にもありますが、肢別本は1問ごとに学習内容が重複しな いよう問題が選び抜かれているので、効率よく学習ができました。 また、年明け以降は辰已のスタンダード短答オープン(以下、 スタ短)を受講しました。過去問を肢別本で勉強していた私にと って、スタ短は本来の択一形式で短答問題を解くよい機会になり ました。また、解説講義も、受験生が間違えやすいところや差が つきやすいところを重点的に解説してくれるので、ためになりま した。 短答の情報一元化は、自分が間違えた問題の条文・判例知識を 判例六法にマークする方法で行っていました。その際、全ての問 題についてマークをしていたら時間がかかる上に重要な知識とそ うでもない知識とが区別できなくなってしまうと考え、マークす るのは重要な問題(肢別本でいえば星マークがついている問題、 スタ短でいえば正答率の高い問題)に絞っていました。 ② 論文対策 司法試験では採点実感において「論点主義に陥るな」というこ とがしつこく書かれていますが、だからといって重要論点・論証 が頭の中に染みついていなければ、厳しい制限時間内に出題趣旨 に沿った答案を書き上げることはできません。しかし、受験に当 たって必要な論点を漏らさずまとめるのは時間がかかる作業です。 そこで私は、辰已の『趣旨・規範ハンドブック』に、基本書や演 習書、さらに辰已のスタンダード論文答練(以下、スタ論)で学 んだことなどの追加情報を書き込んで使用していました。この本 は多くの受験生が使用しており、ここに書いてあること、特に星 印のついている論点・規範については大半の受験生が理解してい るものと考え、自己の理解が確たるものとなるようにしていまし た。 そして司法試験は、範囲が膨大だからこそ、他の受験生ができ ることが自分もくまなくできれば受かってしまう試験です。した がって、逆に言えば、覚えることはこの本に書いてあることでほ ぼ十分だと思います(もっとも、繰り返しますが、「確たる」理解 でなければいけませんので、絶対に穴がないようにしてください)。 過去問を初めて時間を計って解いたのは法科大学院2年目に入 る春休みでしたが、その後はしばらく不定期に数問解くのみで、 集中して解きはじめたのは年明け、すなわち受験の年の2月ころ からでした(さすがにこれは遅すぎたかと思います。お勧めはし ません)。 いるのかがわかりにくいものもあります。その点、辰已の全国模 試は、毎年最も多くの受験者数を誇り、その母集団も実受験集団 に近く、その時点での自分の客観的な位置を知るのに最適である と考えます。そして何よりも、最大の受験者数を誇る模試ですから、 仮に本番で同じような問題が出題されたときに他の受験者に後れ をとらずにすむということが大きいと思います。 私は辰已の模試でA判定を得ることができ、本番直前の不安な 時期に精神的な安定を得ることができました。ちなみにそんな私 でもスタ論では平均点を割る回も多々ありました。どうやらスタ 論の母集団のレベルは模試に比べてかなり高いようですから、ス タ論の成績が良くないからといって必要以上に落ち込む必要はな いと思います。 4 使用した書籍 基本書は基本的に定評のあるものを使用していました。以下、前述 した自主ゼミで使用した演習書やその他重宝した書籍を挙げます。 憲法…原田・君塚『ロースクール憲法総合演習』 行政法…大貫・土田『行政法 事案解析の作法』 民法…千葉ほか『ロープラクティス』、 池田「基本事例で考える民法演習」(法セミ連載) 商法…黒沼ほか『ロープラクティス』、 大杉ほか『事例で考える会社法』 民訴…山本ほか『ロープラクティス』 刑法…佐伯ほか『刑法事例演習教材』 刑訴法…古江『事例演習刑事訴訟法』、 亀井『ロースクール演習刑事訴訟法』 労働法…水町ほか『事例演習労働法』 5 おわりに これまで述べてきたように、私は何か特別な勉強方法を行っていた わけではありません。私の勝因は何かといえば、「誰でも知っているよ うな基本的知識に絶対に穴がないよう努力した」ということに尽きる と思います。したがって、あまり難しいことに手を出さず、基礎固め に徹してください。「基礎が大切」というのは受験生の皆さんであれば 耳にたこができるほど聞かされていると思いますが、それほど重要な ことなのです。 試験本番では、模試でも味わえなかったような緊張感と焦りが受験 生に襲いかかります。私も、行政法の試験時間中に頭が真っ白になり1、 2分ほど思考停止に陥ったのをはじめ、多くの科目で色々なミスをし てしまいました。しかし、「自分があれだけ勉強した上で苦戦している のだからたぶん周りもできていないだろう」という多少の楽観視と、 「そ れでも自分は」と諦めずに問題文に必死に食らいつく貪欲な心が、最 終的には私を合格へと導いてくれたのだと思います。 合否を決める権限は考査委員の先生方のみにあり、受験生自身には ありません。そのことを銘記して、どんなことがあっても諦めずに、 一科目ごとに新鮮な気持ちで問題と向き合ってほしいと思います。 辰已法律研究所 受講歴 スタンダード短答オープン(第2クール) スタンダード論文答練 全国公開模試 ※この原稿は H26 年 10 月 30 日までに寄稿いただいたものです。 既修者一発合格 既修者一発合格 誰でも知っているような基本的知識に 穴を作らないことが重要です それではそれまで何をやっていたかといえば、秋頃からほぼ毎 日市販の演習書を解いていました。実際に答案も作成していまし たが、その時点で基礎の理解が不足していると感じていた民事系 は答案作成の負担を減らすためワープロで答案を作成し、インプ ットに労力をかけるようにしていました。 演習書・過去問とも、5人ほどで自主ゼミを組み、時間を計っ て答案を作成し、演習書であれば解説を、過去問であれば出題趣 旨や採点実感等を読んだ後、答案を見せ合って互いに気になった 点を指摘し合うということを行っていました。他の自主ゼミを見 ていると、各自で答案を書いてきて見せ合いをする方式のところ が多かったようですが、私たちのメンバーはともすれば答案を書 きそびれたまま参加し自身の学習効率を下げてしまいそうな人間 が(私を含め)多かったので、その場で答案を作成するテストゼ ミ形式にしていました。 過去問集について、辰已書籍では『ぶんせき本』(年度別)と『論 文全過去問集』(科目別)の2種類がありますが、『ぶんせき本』 はボリュームがとても大きく、過去問研究を始めるのが遅かった 自分には使いこなせる自信があまりなかったので、『論文全過去問 集』の方を利用しました。この本は、問題・出題趣旨・採点実感・ ヒアリング・答案構成例・上位合格答案・中位合格答案がコンパ クトにまとまっており、必要にして十分だといえます。 その他、辰已のスタ論を通学部で受講していました。通学部に したのは、特に怠けがちな自分にとって、決まったスケジュール の中で強制的に書く機会を作ることが必要だと思ったためです。 また、自宅や法科大学院の自習室など普段勉強している場所とは 違い、知らない受験生とともに一斉に同じ問題に取り組む緊張感 のある環境で答練を受けることが練習に適しているとも思いまし た。スタ論は前期は2週間に1回、後期は1週間に1回のペース で進められていきますが、毎回受ける曜日を変えることができる ところが便利でした。 「本試験の過去問で自主的に答練をすればよいのであって、わざ わざ高いお金を払ってまで質の面で本試験に及ばない予備校答練 を受ける必要はない」と思う方もいるかもしれません。実際、答 練を受けずに合格した知人もいます。しかし、未知の問題(過去 問ではたとえ解いていなくても「○○年には○○の問題が出た」 などという噂を聞いてしまい、未知の問題として解くのは難しい はずです)を制限時間内で解くにあたり、どのように問題文を読み、 どのように時間を使うかという練習はしておく価値があると思い ます。スタ論の問題は、その年に出題されそうなテーマから出さ れており、出題に当たっても内部で数多くの検討が重ねられてい るため、比較的質の高い問題が出されていると思います。 ③ 全国模試 辰已の全国模試は、本番同様のスケジュール、本番と全くある いはほぼ同じ会場でリハーサルをすることができるまたとない機 会ですので、ぜひ受験することをお勧めします。模試の期間には、 答練とは異なり試験時間以外にも様々な「体験」をすることがで きます。たとえば、朝何時に起きればよいか、電車の混み具合は どのくらいか、試験中の飲み物は何がよいか、昼食はとるべきか、 コーヒーを飲むと途中でトイレに行きたくなったりしないか、試 験の中日には勉強をすべきか…など。5日間ありますので、色々 な試行錯誤をしてみてください。 全国模試は、辰已の他にも複数の予備校が開催していますが、 中には問題がやたらと難しかったり、受験者のレベルも高かった りして、本番で受験する1万人弱の中で自分が一体どこの位置に '14 年 司法試験合格体験記 '14 年 司法試験合格体験記 【File no.29】 6 受験対策として私が使用した本 基本を納得がいくまで繰り返す ま い こ 小島 舞子さん ○横浜国立大学経済学部 ○早稲田大学法科大学院、既修、2012 年入学・2014 年修了 受験歴 辰已受講歴 ■新試験 1 回 既修者 一発合格 スタンダード短答オープン(第2クール)/スタンダード論文答練(第2クール)/全国公開模試 1 司法試験の受験を決意した経緯 私は、元々公務員を志し、経済学部に入学しました。しかし、現代社会福祉という科 目を履修して、障害者や高齢者、子どもなど、いわゆる社会的弱者といわれる人々を取 り巻く様々な問題について知り、法整備だけではなく、個別具体的な事案に即して問題 を解決していく必要があると思い、司法試験を受験し弁護士になることを決意しました。 2 法科大学院受験前の学習状況(法律学習) 経済学部でも、経済学と並行して憲法や民法などの法律科目を履修することはできま した。しかし、経済学部の法律科目であったため、一般教養のようなものでした。その ため、大学3年から法科大学院入試に向けた講座を受講しましたが、アルバイトや遊び に忙しく途中で行かなくなってしまい、論文もまともに書いたことがない、「上3法・下 4法」といわれてもピンとこない、という状態で法科大学院に入学しました。 3 法科大学院入学後の学習状況(法律学習) (1)2年次 それまで基本書や判例集を全く読んだことがなく、基本的な知識が不十分であった ため、授業についていけるように予習・復習をするので精一杯でした。授業に慣れて からは、週に3~4回、事前に作成した答案を添削し合うゼミや、問題集の答案構成 をしてきて検討するゼミなどを行いました。 後期は、授業数も多く進級もかかっていたため、一つ一つの授業を大切にして、授 業に合わせてゼミで問題集を解いていました。 (2)3年次 春休みくらいから、ゼミで新司の過去問に手を出し始めました。大学院の授業も演 習系のものを中心的に履修し、先生に論文の添削を受けたり、授業で取り上げられる 生徒の答案を読むことは、非常に勉強になりました。ただ、授業を詰めすぎたため、 自習時間の確保が大変でした。 4 受験対策としてとった、辰已講座の利用方法とその成果 (1)スタンダード短答オープン(第2クール) 毎回辰已本校で受講しました。私は短答が苦手で、解くスピードも遅かったため、 緊張感のある中で時間を意識して解くというのは、とても有意義でした。受講後は解 説冊子を一通り読み、間違えた問題をチェックして足りない知識を択一六法に書き込 み、まとめの表をコピーして直前期に見直しがしやすいようにしていました。 (2)スタンダード論文答練(第2クール) ゼミの準備で論文を書くときには、途中で中断したり時間を延長してしまったりと どうしても自分に甘くなってしまうので、自信のない論点や未知の論点に食らいつき、 きっちり2時間で答案を仕上げるというのは、本番のシミュレーションとしてとても 有意義でした。また、解説冊子は、採点表を見てどういうところに点が振られている のか分析をしたり、参考答案を読んで色分けをしたり規範を参考にしたりして使用し ました。 しかし、私は2~3回目の答練が直前期にある2月末スタートの講座を受講したた め、なかなか答練の復習まで手が回らず、各科目3回目の答練を受講することができ なかったなど、消化不良になってしまいました。特に現役生は学校の試験もありこの 時期忙しいので、答練の使い方にはメリハリをつけた方がいいと思います。 (3)全国公開模試 全国公開模試は、実際に本試験で使用される会場で本試験と同じ形式で問題を解く ことができるので、シミュレーションとして最適でした。模試を受けた結果、4日間 試験を受け続けることが体力的に非常に厳しいこと、休憩時間は勉強をするのではな くリラックスして友人と話している方が自分にあっていることなど、試験本番の過ご し方がわかりました。 5 受験対策として私がやって成功した方法 (1)短答式試験対策 対策として行った勉強は、辰已の短答過去問パーフェクトを繰り返し解き、解説を 読み込み、苦手な問題をチェックする、短答対策用の六法に知識を集約して移動中に 読む、といった基本的なことです。 短答対策はできる限り早めに準備を始めるべきだ、という話はよく聞くと思います。 私も勿論聞いていましたが、短答対策が嫌いで後回しにしてしまい、直前期になって も短答対策を完成させることができませんでした。直前期に周りの友人が論文の勉強 をしているなか1日の半分の時間を短答対策に費やすというのは、想像以上のプレッ シャーです。短答対策は論文の勉強にもなるので、今すぐに準備を始めてください。 (2)論文式試験対策 私は、自主ゼミのメンバーに恵まれたため、論文対策は苦痛ではありませんでした。 対策として特によかったのは、書いた論文を必ず読んでもらい表現や論理構造を中心 に意見をもらうこと、ゼミ仲間の論述や辰已のぶんせき本の上位答案の論述でうまい と思ったものをどんどん盗んで自分のものにしたことです。また、自分の答案と上位 答案を色分けして、三段論法や事実の適示と評価がきちんとできているか、論理に飛 躍がないかなどを見比べたり、添削を見直して自分に何が足りないかを分析したりす るのも役に立ったと思います。 問題文を読む時間や答案構成の時間は人それぞれで、科目ごとにも違うと思います。 2時間しっかり計って解く練習を繰り返し、自分のベストを見つけることが重要です。 7 自己の反省を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス 私が合格することができたのは、自分の勉強の方法を早くに見つけることができたこ とと、ゼミの仲間に恵まれたおかげだと思います。 私は大学院入学時に、周りの法学部出身者と比べて大きな差があることを強く感じ、 この差を埋めるために基本的な勉強をしっかりすることだけを心掛けてきました。その ため、難しい学説の議論は全く知りませんし、上記の通り基本書も問題集も最低限のも のしか手を付けていません。しかし、この「基本を納得がいくまで繰り返す」という勉 強方法が、自分にはよかったのだと思います。 また、ゼミの仲間は、一番身近な先生であり、ライバルであり、辛い時期に励まし合 える大切な存在です。しかし、なんとなくゼミを組んでだらだらとおしゃべりをしてい ては全く意味がありません。私は、問題集をつぶすペースメーカーとするため、答案を 回し読み添削しあうためなど、目的を明確にして、ルールをきちんと決めてゼミを組み ました。ゼミはメリハリをつけて行うことが大切だと思います。 あとは、とにかく何があっても最後の最後まで諦めずに頑張ってください。私は2日 目の民事系が全くできず、3日目の試験の前日は一睡もできませんでした。それでも諦 めずに最後まで受け、合格することが出来ました。司法試験は本当に過酷な試験ですが、 最後まで諦めずに合格を勝ち取ってください。 辰已法律研究所 受講歴 スタンダード短答オープン(第2クール) スタンダード論文答練(第2クール) 全国公開模試 ※この原稿は H26 年 10 月 30 日までに寄稿いただいたものです。 既修者一発合格 既修者一発合格 こ じ ま (1)各科目共通 ・『判例百選』有斐閣(憲法・刑法を除く) →解説まで読み込む(特に民事訴訟法・刑事訴訟法・会社法) ・新司法試験の過去問 →3年春から時間を計って解いた(全科目1~3回ほど)。その後、出題趣旨と採 点実感を繰り返し読み込んだ。 ・『短答過去問パーフェクト』辰已法律研究所 →全科目3回ほど解いた。解説も繰り返し読み、出題されている判例をチェック して論文の勉強にも役立てた。苦手な問題は付箋をつけて試験の直前まで繰り 返し見直した。 ・『司法試験論文過去問答案パーフェクトぶんせき本』辰已法律研究所 →「上位答案」の分析に主に用いた (2)憲法 ・高橋和之『立憲主義と日本国憲法』有斐閣 →直前期に1回通読。 ・淺野博宣他『判例プラクティス憲法』信山社 →2回ほど通読。解説がコンパクトであるがまとまっているので、論文の勉強に 非常に役に立った。 ・曽我部真裕他『憲法論点教室』日本評論社 →薄くて内容も易しいので、憲法の答案の書き方が分からない人におすすめ。 (3)行政法 ・櫻井敬子・橋本博之『行政法』弘文堂 →5回以上通読。 ・高木光・稲葉馨編『ケースブック行政法』弘文堂 →2回ほど通読。引用が長いので、規範とあてはめを色分けして読んだ。 ・石森久広『ロースクール演習行政法』法学書院 →全問題2回ほど解いた。事例研究は難しいと聞いていたので、事例研究に取り 組む前に解いた。 ・曽和俊文・金子正史編『事例研究行政法』日本評論社 →第2部のみ時間を計って答案を作成した。行政法のポイントがおさえられるの で、解説のポイントやゼミで出た意見を自分でまとめたノートを作成した。 (4)民法 ・千葉恵美子他『Law Practice 民法Ⅰ・Ⅱ』商事法務 →2回ほど解いた。計100問あるが1問が短く、解説も読みやすいので、民法 が苦手な方におすすめ。 ・『新趣旨・規範ハンドブック〈2〉民事系』辰已法律研究所 →授業や基本書の知識を書き込んだり、ノートを継ぎ足したりして、直前期に皆 をせるようなサブノートとした。 (5)商法 ・伊藤靖史他『LEGAL QUEST 会社法』有斐閣 →3回ほど通読。 ・江頭憲治郎『株式会社法』有斐閣 →講義の予習・復習の際や、リークエや問題集で分からないところがあった場合 などに、部分的に読んだ。 ・中村信男・受川環大『ロースクール演習会社法』法学書院 →全問題5回以上解いた。解説も充実しているので、繰り返し読み込み、苦手な 論点はまとめたり付箋をつけたりして、何度も見直すようにした。 ・『新趣旨・規範ハンドブック〈2〉民事系』辰已法律研究所 →民法と同じ。 (6)民事訴訟法 ・伊藤眞『民事訴訟法』有斐閣 →2回ほど通読。 ・長谷部由紀子他『基礎演習民事訴訟法』弘文堂 →2回ほど解いた。基礎固めにおすすめ。 ・『新趣旨・規範ハンドブック〈2〉民事系』辰已法律研究所 →民法と同じ。 (7)刑法 ・今井猛嘉他『LEGAL QUEST 刑法総論』有斐閣 →2回ほど通読。 ・西田典之『刑法各論』弘文堂 →2回ほど通読。 ・井田良他『刑法事例演習教材』有斐閣 →全問題4回以上解いた。この教材を用いた演習講義をまとめて、解説と合わせ て繰り返し読んだ。 ・『新趣旨・規範ハンドブック〈2〉刑事系』辰已法律研究所 →民法と同じ。 (8)刑事訴所法 ・宇藤崇他『LEGAL QUEST 刑事訴訟法』有斐閣 →2回ほど通読。 ・『新趣旨・規範ハンドブック〈2〉刑事系』辰已法律研究所 →民法と同じ。刑事訴訟法は特に、講義で得た知識や基本書をもとに重要論点の 論証パターンを作成した。 (9)環境法 ・大塚直『環境法 BASIC』有斐閣 →3回ほど通読。問いを簡潔にまとめて、ゼミで繰り返し確認テストをした。従 来のものより分かりやすくまとまっているのでおすすめ。 ・大塚直・北村喜宣『環境法ケースブック』有斐閣 →演習教材として使用。 '14 年 司法試験合格体験記 '14 年 司法試験合格体験記 【File no.40】 常に合格ラインを強く意識する や ま だ ともゆき 山田 友幸さん 東京都立大学 法学部 明治学院大学法科大学院 未修者コース 2007 年入学、2010 年修了 受験歴 リベンジ合 スタンダード論文答練/全国公開模試 1 はじめに 私は、いわゆる上位ロー出身ではありません。また、一発合格でもあ りません。さらに、会社員を経てからローに入学しているので、若くも ありません。このような私が、体験記の執筆をする資格などあるのかと 悩みましたが、私のような者でも合格することができたという事実から、 みなさんに少しでも自信と勇気を持っていただければと思い、体験記の 執筆を引き受けることにしました。 2 リベンジ合格に至った経緯(敗因とその克服方法) 私は、5年目3回目の受験で合格することができました。受験・受け 控え・受験・受け控え・受験という経緯です。 (1)1年目 1回目の受験は、ほぼ記念受験に近い状態でした。短答はかろうじて クリアしたものの、論文は 5000 番台で不合格でした。 (2)2年目 1回目の不合格後、1日14時間の勉強時間を確保しましたが、合格 するための勉強方法が全く分かっていなかった私は、ただ闇雲に勉強し ていただけで、ほとんど成果に結び付きませんでした。直前模試でも成 績は振るわず、受け控えを決意しました。 (3)3年目 受け控え後、自分一人では限界を感じ、初めてゼミを組みました。そ の内容は、論文過去問の完全解を作成し、合格者の先輩に見ていただく というものです。これは非常に有益であったと思います。完全解を作成 するためには、当然のことながら、法律を正確に理解する必要がありま すので、定義・趣旨から丁寧に勉強することになります。また、いくら 法律を理解していても、読み手に伝わらなければ分かっていないという 評価になりますので、読み易い文章を作成する訓練になります。さらに、 嫌でも出題趣旨・採点実感・ヒアリングを熟読することになるので、採 点者の先生が何を求めているのかを知るきっかけとなります。 ただ、ここで注意していただきたいのは、決して満点の答案を作るこ と自体が目的ではないということです。完全解(勉強の上限)を知った 上で、現実的に書くことができるライン(合格ライン)を知るという点 に目的があります。すべての論点について逐一定義・趣旨から丁寧に書 くことや、採点者の要求にすべて応えることは、2時間8枚という制約 の中では事実上不可能です。そうであるとすれば、書くべき優先順位と いうものがあるはずです。このことを知ることで、記述の濃淡や書くべ きことの取捨選択ができるようになるのではないかと考えています。 しかし、当時の私は、合格するために勉強しているという意識があま りにも低かったため、いつの間にか完全解を作ることが目的になってし まい、まるで趣味であるかのように瑣末な点に必要以上にこだわり、時 間ばかりが掛かるという非常に効率の悪い勉強状態になってしまいまし た。しかも、2時間で書き切ることの重要性が全く分かっていなかった ため、その訓練を怠り、答練では途中答案を連発するという状態でした。 しかも、最初の問だけ必要以上に丁寧に書くという非常にバランスの悪 い答案でした。これでは合格できるはずがありません。案の定、2回目 の受験でも実質途中答案というものばかりで、勉強はしてきたものの論 文の順位は 3500 番ぐらいにとどまり、不合格でした。 (4)4年目 2度目の不合格を経て、初めて再現答案を合格者に見てもらうという ことに取り組みました。ここが私のターニングポイントでした。添削者 の中に、合格ラインというものを非常に強く意識している方がいて、私 がやってきた勉強のうち、余計な部分を徹底的にそぎ落としてください ました。その結果、私の勉強姿勢は、正解を出すというものから、最低 限のことだけは落とさないという合格ラインを意識したものに変わって いきました。加えて、あてはめの薄さを指摘されたので、問題文を使い 切ることを意識するようになりました。 上記意識の下、論文過去問を2時間で書きお互いに添削するというゼ ミを組みました。このゼミのおかげで、途中答案は徐々に減り、事実の 使い方もうまくなっていきました。また、書くという作業を通じて、理 解が深まることが多々ありました。論文を書くためには一定程度時間を 要することになりますが、基本書を読むだけという勉強よりも効率が良 い面もありますので、なんとか書く時間を確保してみてください。 以上のような添削とゼミを経た結果、答練でもときどき良い成績を得 ることができるようになりました。ただ、残念ながら、合格ラインを安 定して超えるレベルに至るには、少しだけ時間が足りませんでした。直 前まで受験するか否か悩んだのですが、このままこの勉強を続けていけ ば、格段に伸びるという確信があったので、受け控えることにしました。 (5) 5年目本試験終了後、すぐに本試験と同じスケジュールで本試験 問題に取り組みました。仮に受験していたとしたら、どの程度勝負でき たのかを知りたかったので、本番さながらの緊張感をもって取り組みま した。そして、ここで書いた答案をその年の合格者に見てもらいました。 (6)最後の本試験 以上のような勉強を経て、いざ本番に臨みました。本番では、合格で はなく、後悔しないことを目標にしていました。 本番では、他の受験生よりも良いことを書こうと力んでしまったり、 何か深い意味があるのではないかと必要以上に慎重になり時間を浪費し てしまいがちです。その結果、バランスを崩したり、途中答案になって、 総合的には普段よりも良くない答案になってしまいます。普段どおりや った結果不合格であれば、実力不足ということで諦めもつきますが、普 段と違うことをやって落ちたら、必ず後悔します。そこで、普段やって きたことをそのまま出すという意識で書くようにしました。そうするこ とで、余計なプレッシャーからも解放されます。そもそも、普段と違う ことを本番でやるのであれば、普段の勉強がなんのためにあるのかよく 分からないということになってしまいます。 合格するか否かは受けてみなければ分かりませんが、後悔しないよう にすることは自分次第で可能です。このような目標を設定した結果、概 ね普段どおりに処理することができました。そして、幸運なことに合格 することができました。 希望にかなうものでした。 なお、点数は、あまり気にする必要はないと思います。それよりも、 触れるべき点に触れることができていたかどうかを確認してください。 その際に基準となるのは、『みんなの答案』という冊子に載っている受 験生の答案と採点者による採点講評です。たとえ模範解答に書いてあっ ても、他の受験生が書いていないことは、自分も理解する必要はありま せん。逆に、多くの受験生が書いている点については、自分にとって初 めて聞いたようなことであっても、一応確認しましょう。 また、知っている問題点であるのにうまく書くことができなかったと いうときには、色々な答案を見て、自分が真似し易いものを参考にしつ つ、確実に、かつ瞬時に書けるように準備していました。 (2) 全国模試については、辰已が最も受講者数が多いとのことでした ので、受講を決めました。なぜなら、私が全国模試を受講する理由は、 他の受験生と比べて自分の実力がどの程度なのかという相対的な評価を 知る点にあったからです。 また、辰已は、他の予備校に比べて、運営が厳格なようです。当然な がら、本試験の運営は厳格なので、良いシミュレーションになると思い ます。 4 私が使用した辰已書籍 (1)論文について 趣旨規範本を使用しました。典型論点については瞬時に論証すること が求められますので、書けるようになるまで繰り返し見ました。 (2)短答について 辰已の過去問集を使用しました。この本は解説が詳しいので、他の本 を見ないで済むことが多かったです。また、直前期には解説部分だけ見 るという使い方もできます。 5 おわりに 私は、たくさんの方々に支えられてなんとか合格することができまし た。それらすべての方々に感謝申し上げたいと思います。 みなさんにも、みなさんの合格を信じて待ってくださっている方々が いらっしゃることと思います。ぜひ合格してそれらの方々を喜ばせてあ げてください。それができるのは、みなさん自身だけです。 辰已法律研究所 受講歴 スタンダード論文答練 全国公開模試 3 辰已講座の利用方法とその成果 辰已では、スタンダード論文答練(以下、スタ論)と全国公開模試を 受講しました。 (1) スタ論は、初見の問題を2時間で処理する訓練になると思います。 本試験では、誰も見たことがないような問題が出題されるのですから、 初見の問題に対応するための訓練は必須だと思います。辰已の答練は、 回数も多く、訓練する機会を数多く持つことができるので、受講しまし た。また、本試験まで流れよくスケジューリングされている点も、私の ※この原稿は H26 年 10 月 30 日までに寄稿いただいたものです。 未修者 リベンジ 合格 未修者 リベンジ 合格 辰已受講歴 ■新試験 3 回 未修者格 その結果、おおむね高評価をいただきました。それと同時に、足りない 点も明確になりました。この時点で、点数を取る方法が具体的に分かっ た気がします。 前年のゼミ仲間が合格したことで、勉強の方向性が間違っていないこ とを確信した私は、新たな仲間とひたすら書く練習をしました。過去問 は、すでに何度も書いていましたが、何度書いても新たな発見があり、 理解を深めてくれますので、ぜひ何度も書いてみてください。 また、論文を書く時間以外にも、ゼミ室にこもって一緒に勉強するよ うにしました。頭では合格ラインの重要性を分かっていても、勉強をし ているとついつい深みにはまってしまいがちです。その点、ゼミ室は、 自習室と異なり、いざとなれば喋ることができるので、「瑣末な点にこ だわり、一人で悶々とする」ということを防ぐことができます。つまり、 常に合格ラインを見据えた効率的な勉強ができるのです。加えて、相手 からの質問に答えることで、自分の理解を深めることにつながります。 さらに、朝一番に集合するという約束をしていたので、サボることも なく、安定して勉強を続けていくことができました。また、時には談笑 をしてストレスを発散したり、お互いに励まし合ったりもしていました。 このゼミも、私を合格に近づけてくれたものだと思っています。 なお、この年は、選択科目を重点的に勉強するという方法も取り入れ ました。なぜなら、選択科目については、他の受験生もあまり手が回っ ていないと思われるので、差をつけるチャンスとなるからです。加えて、 他の7科目ほど勉強が大変ではないのに配点は同じなので、勉強時間に 比して得点効率が良いです。さらに、選択科目は、本試験の初日の最初 の科目なので、これに自信を持っていると、良いスタートダッシュが切 れます。 '14 年 司法試験合格体験記 '14 年 司法試験合格体験記 【File no.67】 スタ論福田クラスですべらない答案をイメージ たかまつ こうだい 高松 浩大さん ○中央大学法学部 ○中央大学法科大学院既修コース 2011 年入学 2013 年修了 受験歴 辰已受講歴 ■新試験 2回 既修者 リベンジ合格 2014年スタ論福田クラス(第1クール、第2クール)/スタ短(第2クール)/全国公開模試 他 5 一回目の反省 私は、テレビドラマの影響で法律家に興味を持ち、司 法試験を目指しはじめました。そして、大学で実際に弁 護士さんや検察官と接することでより強く法律家という 仕事に憧れを抱いていき、いつしかそれが目標になって いきました。 合格発表後、成績の通知を受け、自分があと数点足り なかったばっかりに不合格となった事実を知りました。 それからは、なぜ自分がその数点を取れなかったのかを 徹底的に分析しました。再現答案を早速作成し、合格者 数人に見てもらいアドバイスをもらって今までの学習が 間違っていたのか、何が足りなかったのかを考え抜きま した。 その結果、私の敗因は、法的三段論法があやふやにな っているところがあること、事実の評価が薄いことであ るということがわかりました。そして、何より、私には 司法試験が試験であること、どうすれば点を取れるかを 考える意識が全く足りていなかったことを強く反省しま した。 2 法科大学院受験前の学習状況 大学時代は、法科大学院入試に向けた勉強として、基 本的知識の習得と旧試験型の問題演習に力を注いでいま した。そのために、辰已のローラー答練等を学習のペー スメーカーとして利用していました。この時期は、本格 的な基本書等を何度も読むということはしておらず、答 練で問われた論点の論証を自分で作成し、覚えるという 勉強が多かったと思います。 司法試験界ではよく覚える勉強は良くないと言われま すが、最低限の暗記や論証の流れというのが必要になる のは間違いないと思うので、この時期の覚える勉強は有 意義だったと思っています。 3 法科大学院入学後の学習状況 法科大学院に入学してからの1年間は、授業の予習復 習に追われ、いわゆる受験勉強をすることはほとんど不 可能でした。そして、短答の過去問を解き始めたのは3 年次の4月くらいだったと思います。論文の過去問に関 しては、3年の夏まで見たこともない状況でした。今考 えると、司法試験の過去問、特に論文試験に取り組む時 間をもっと取るべきだったと思っています。 4 一回目の受験 今考えるとお恥ずかしいのですが、一回目の受験のと きは、自分が考えたことを最後まで均等な割合で書きき れば最低でも 50 点は付くと思っていました。その結果は、 短答は合格したものの、あと数点で合格という成績で不 合格となってしまいました。 6 反省をふまえた対策 私は、上記自己の敗因を改善するため、過去問を解き、 合格者の再現答案を読んで、合格者の法的三段論法、事 実の評価を研究し、自分のものとできるよう務めること にしました。そして、自分で書いた答案はできるだけ合 格者に添削してもらうことにしました。 7 私の受験に役に立った辰已の講座 (1)スタ論福田クラス スタンダード論文答練(以下、スタ論)の試験を受け た後の解説講義をすべて、辰已専任講師・弁護士 福田 俊彦先生がご担当する講座です。福田先生の解説講義で は、スタ論の解説はほとんどしません。その代わり、各 回で、司法試験の過去問と合格者の再現答案数通(ぶん せき本)を使用し、当該過去問について何を書き、どの ように書けば合格答案となるか、どの程度の答案を書け ば「すべらない答案」になるのかを丁寧に解説します。 過去問や、合格答案の研究が不十分だった私にとって この講座は非常に役に立ちました。 福田先生の講義は、 「受験」に特化したものです。いわ ゆる受験テクニックや各科目で意識すべきことをおしえ (2)全国公開模試 最も多くの司法試験受験生が受験する試験です。私は、 この試験が文字どおり司法試験の最後の模擬演習と位置 づけて受験しました。この試験の前は、本番の司法試験 の直前と全く同じスケジュールを組みました。 そして、全国公開模試の特筆すべき点は、成績の算出 法だと思います。この模試では、本試験とほとんど同じ 点数の算出法をとっています。これにより、より正確な 成績がつき、自分の実力が全国の受験生の中でどの位置 にいるのか把握することができます。 そして、自分の実力を把握した上で、試験本番までの 期間、最終合格のために何が必要かをはっきり示してく れる有効な模試です。 (3)スタンダード短答オープン 私は、短答に対して特に苦手意識は持っていませんで した。しかし、司法試験の制度上、短答で失敗すれば三 日間の試験で必死に書いた答案を試験委員に読んでもら えません。こうなるのを強くおそれた私は短答の不安を 少しでも払拭するためにスタンダード短答オープンを受 講しました。 この講座を受講し、毎週短答の問題を解くことにより 自分の弱点や、得意な科目が分かり、コンスタントに自 分が目標とする点数が取れるようになりました。本講座 で点数を安定して取れることにより、短答への不安はな くなっていきました。 そして、この講座の最大の利点は、短答式の問題に対 しては珍しいほどに丁寧な解説が付いていることだと思 います。確かに、短答式の解説には一般的に詳細な解説 は求められず、読むのが面倒くさいと思われる方もいる かもしれません。しかし、私は短答式で問われた知識は 論文で問われてもおかしくないと考えて勉強していたの で本講座の詳細な解説は大変役に立つものでした。本講 座の解説には、問われた条文の趣旨や、問われた判例の 結論を支持する理由が必ず書いてあり、同じ知識が論文 で問われても理由からしっかり論証することができるも のとなっています。また、このような解説なので論文に 活かせるだけでなく間違った知識をただ覚えなおすだけ でなく、理由とともに確認できるので非常に覚えやすい と思います。 8 私が使用した本 憲法:憲法(芦部信喜) 。 憲法判例を読む(芦部信喜) 。 憲法の急所(木村草太) 。 行政法 : 行政法(宇賀克也) 。事案解析の作法。 民法 : 民法入門(川井健) 。民法概論①~⑤(川井健) 。 商法 : リーガルマインド会社法、 商法総則・商行為、手形法・小切手法。 リーガルクエスト会社法 民事訴訟法:基礎からわかる民事訴訟法。 リーガルクエスト民事訴訟法。 刑法:刑法(山口厚) 。 刑事訴訟法:刑事訴訟法(上口裕) 労働法:労働法(水町勇一郎) 。事例演習労働法。 全科目共通:判例六法。判例百選。 9 最後に 来年のリベンジ合格を期する方へ。 私も、昨年不合格になり、非常に辛く、何より悔しい 気持ちでいっぱいだったのを覚えています。それでも、 その気持ちを糧になんとか一年間勉強し、合格すること ができました。今年不合格となったことの悔しさを忘れ ず、一年間しっかり勉強すればみなさんなら必ず合格出 来ると思います。皆さんの合格を心から祈念しておりま す。 辰已法律研究所 受講歴 入門講座(天野クラス) ローラー答練、日曜答練 スタ論スタート 2013 年スタ論(第1クール、第2クール)、スタ 短(第1クール、第2クール)、全国公開模試 2014 年スタ論福田クラス(第1クール、第2ク ール)、スタ短(第2クール)、全国公開模試 ※この原稿は H26 年 10 月 30 日までに寄稿いただいたものです。 既修者 リベンジ 合格 既修者 リベンジ 合格 1 司法試験の受験を決意した経緯 ていただけます。この講義では福田先生のオリジナルレ ジュメが配布されます。このレジュメは、先生の受験ノ ウハウや、各科目の勉強の仕方から答案の書き方まで丁 寧に書いてあります。私にとっては、合格者のここが聞 きたいという部分が書いてあったので、非常に参考にな るものでした。私は、このレジュメを試験会場に持って いき、試験直前最後に読むものとして大変重宝しました。 この講義のおかげで、合格答案のイメージが具体的に 分かるようになり、スタ論で実践するという非常に合理 的な訓練が出来たと思っています。 '14 年 司法試験合格体験記 '14 年 司法試験合格体験記 【File no.87】 予備試験の論文対策で痛感した実践訓練の必要性を 司法試験論文対策ではスタ論毎週受講という形で取り入れた。 た か ま ゆ う き 高間 裕貴さん ○東京大学法学部 ○ 2013 年予備試験合格 受験歴 辰已受講歴 ■新試験 1 回 予備合格 司試一発合格 スタンダード論文答練 スタンダード短答オープン 選択科目集中答練 全国公開模試 1 司法試験の受験を決意した経緯 私は幼いときから社会貢献を果たしたいという思いが 強く、それが実現できる職業として漠然と法曹に対する 憧れを抱いておりました。大学入学後、しばらく時間が 経ってからですが法律の勉強を開始してみると、なかな か面白い分野であると感じるようになり、大学2年生の 夏頃からは勉強を本格化させ法曹を目指すため司法試験 の受験を決意しました。 2 予備試験合格までの学習状況(法律学習) 3 予備試験合格後の学習状況(法律学習) ●11月から1月 目標として設定していた大学在学中の予備試験合格を 達成することができた喜びでうかれてしまいなかなか勉 強に身が入らず、またこの時期は予備試験合格者向けの 事務所説明会が多くの法律事務所で開催され、10程度 は参加していたので勉強時間の確保自体もそれまでより は難しかったです。ただ、そのような状況の中でも辰已 の司法試験スタンダード論文答練には毎週欠かすことな く参加していました。予備試験の論文対策で実践訓練の 必要性を痛感していたので、司法試験の論文対策におい ても同様の訓練は早くから取り入れたかったからです。 予備試験と問題の分量、制限時間など形式が全く異なる ことに加え前述のようにこの時期は勉強時間がかなり少 なく知識の抜けも多かったので、答練の成績は良いもの ではありませんでしたが、成績は全く気にせずとにかく 答案作成に慣れることに重点を置きました。その結果、 答練の後半の方では満足のいく答案作成ができることも 増えてきて、成績も改善されていきました。また選択科 目(労働法)の勉強が不十分だったので、この時期に一 通りの知識を入れることも時間を見つけて行っていきま した。 ●2月から3月 答練もほぼ終了し、自宅学習時間が十分に確保できる 時期であったので、 (新)司法試験の論文式試験の過去問 の検討や、市販の演習書の検討に時間を割きました。演 4 司法試験対策に利用したもの ●行政法 『行政法解釈の基礎 「仕組み」から解く』 (橋本博之) は個別法の解釈のコツを丁寧に解説していました。その コツをもとに司法試験の過去問の解説も著者が行ってお り本書を繰り返し読んでそのコツをもとに答練や模試で 何度か実践すれば行政法の点数は安定すると思います。 ●労働法 『事例演習労働法 第2版』 (水町他編)はたくさんの事 例問題と解答例が掲載されており、繰り返し解きました。 演習不足になりがちな選択科目ですが、労働法について は本書が演習書として大変有用だと思います。 5 自己の反省を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス 私は前述のように11月から1月まではかなり勉強を さぼってしまっていたので、その間に過去問の検討など を早めに行っておけば受験直前にもう少し余裕をもって 過ごすことができたと思います。ただ、これはある程度 予想の範囲内だったので、予備試験合格後に司法試験ま ではそのことを考慮した勉強計画を立てており、ほぼ忠 実に実行できました。司法試験対策は膨大なので全てに 手を回すことはなかなか難しいと思います。しかし、そ れだからこそ、自己分析を行って自分には何が必要かを 見極め長期的な計画を立てた上であとは自己分析が正し いと信じ計画を淡々と実行していくことが重要だと思い ます。 辰已法律研究所 受講歴 予備試験対策 予備総択 予備論文予想答練 予備論文公開模試 予備試験口述模試 司法試験対策 司法試験スタンダード論文答練 司法試験スタンダード短答オープン 選択科目集中答練 司法試験全国公開模試 予備試験合格者の方は基本的に予備試験合格までの勉 強の復習で足りると思いますが、私が予備試験合格後に 初めて手をつけた教材で特によかったものを紹介させて いただきます。 ●民法 法学教室367号から390号に連載されていた「事 例から考える民法」シリーズが大変有用でした(現在は『事 例から民法を考える』として書籍化されています) 。基本 的に判例を参考にした事案が出発点ですが、自らの判例 の読み込みの浅さを解説を読んで痛感させられました。 平成25年度の民法の論文式試験のように判例の理解を 問う問題が今後も出題されることがあるかと思いますが、 そのような問題のときには特に有用な記述が豊富にあり ました。 ※この原稿は H26 年 10 月 30 日までに寄稿いただいたものです。 予備試験ルート合格 予備試験ルート合格 勉強を本格化させたものの、司法試験受験の具体的な イメージが掴めなかったため、より身近に、より手前に 目標を設定してモチベーションを上げようと思いました。 そこで大学在学中に予備試験に合格するという目標を設 定しました。 ●短答対策 予備試験の最大の山場は論文式試験であり、短答式試 験の成績が後の論文式試験の点数に加算されるというこ ともなかったため、短答式試験についてはできるだけ時 間を割かず、必要最小限の勉強で合格最低点をクリアで きるように努めました。実際、論文式試験で不合格とな りましたが大学3年生時に受けた予備試験でも短答式試 験については合格することができました。論文式試験で 要求される程度の基本的な条文・判例の知識を基本書等 でさらうことを繰り返し、直前1か月ほどだけ上記より も細かい条文・判例の知識の習得に努めることで合格最 低点を上回ることは十分可能であると思います。 ●論文対策 大学3年生時に論文式試験で不合格になった際、不合 格の原因は知識不足に加え、実践練習の不足で本番で思 うような答案作成ができなかったことにあると分析しま した。そこで大学の講義等での知識の習得と併行して辰 已の答練、模試などを利用して答案作成の機会を適宜設 けていきました。これは司法試験にも通じますが、論文 答案の書き方は結局のところ人それぞれで完全なマニュ アルなど存在しない以上各自で書き方の勘をつかむまで ひたすら練習するしかないと思います。 ●口述対策 私は昨年ロースクールに出願していなかったので入試 シーズンである8月でも論文式試験の解放感からあまり 勉強に手が付きませんでした。ただ、大学の期末試験が 9月上旬にあったため徐々に勉強を再開し、期末試験が 終わると今度は口述対策を本格化させました。具体的に は民訴、刑訴の基本的な条文・判例の知識の復習から始 まり、訴訟手続の流れの確認、流れに沿ったやや細かい 条文の確認などを行いました。 習書は一部新たなものにも手を出しましたが、基本的に は予備試験受験時に使用したものを復習していました。 論文式試験で要求される知識の程度は予備試験と司法試 験でほとんど差はないと思いますので、予備試験合格者 の方は司法試験の論文対策に際して基本的にはそれまで 使用した教材の復習に重点を置かれるのがよいのではな いかと思います。またこの時期に辰已の司法試験全国公 開模試を受けましたが、5日間の過ごし方、疲労具合な どを肌で感じることができ、大変有意義でした。 ●4月から本番 前述のように予備試験の短答対策ではできる限り楽を しようとあまり勉強をしていませんでしたが、司法試験 においては短答式試験の成績は論文式試験の成績に加算 されて合否判定がされるということもあり、高得点を狙 いにいこうと思っていました。しかし、予備試験合格か ら3月まではなかなか短答対策の時間をとることができ なかったため、4月に入ってから毎日1~2時間程度短 答対策の時間を確保しました。具体的には、辰已の『短 答過去問パーフェクト』シリーズを全科目で用い、これ を解いていくことを進めていきました。最終的には過去 問の肢の正誤がほぼ全て正確に答えられるようになって いましたが、司法試験の短答式試験では表記は変わって も同じ内容が何度も問われているので過去問を徹底的に 反復することは高得点をとるうえで非常に効果的だった と思います。また、この時期は司法試験が迫り緊張も徐々 に出てくるのですが、論文対策よりも短答対策は勉強し た実感が得られやすく、精神を安定させる面でもこの時 期に短答対策にそれなりの時間を確保したことはよかっ たと思います。 論文対策については、学習の遅れていた労働法の勉強 に重点を置き、他の科目についてはこれまで受けた答練 や使用してきた演習書の復習をすることにし、新しい教 材に手を出すことは控えました。ただ、最新判例につい ては短答、論文対策の両方において押さえておくことが 必要と感じていたので、辰已の『受験用最新重判』シリ ーズを2, 3回通読しました。 '14 年 司法試験合格体験記 '14 年 司法試験合格体験記 【File no.88】 もあり、年内でひと通り学習を終えることができました。 知財は条文重視なので、司法試験の勉強で条文を重視す る姿勢もこの勉強の中で身につけられたように思います。 これも、まず演習書を読んで、後から基本書を読むとい う形を取りました。 演習重視で法的三段論法を身に付ける まつもと ゆ う き 松本 祐輝さん 予備合格 司試一発合格 ○東京大学法学部 ○ 2013 年予備試験合格 受験歴 辰已受講歴 ■新試験 1 回 スタンダード論文答練 全国公開模試 1 司法試験の受験を決意した経緯 私は、東大入学当初は官僚になるという進路を考えて いました。しかし、大学での色々な友人や先輩方との交 流を経て、自身がかなり実社会のビジネスに強い興味が 有ることを自覚し、法学部という強みを活かして企業法 務に携わろうと決意して弁護士を目指すことにしました。 2 予備試験合格までの学習状況(法律学習) (2)基礎知識よりも演習を重視したこと 法律学習というと、教科書を読んで学習し、その後演 習して知識の定着を図るというイメージが強かったので すが、私は大学受験の経験を活かしてまったく逆の方法 を取りました。刑事訴訟法に至っては、いわゆる演習書 をまず読み、まったくわからないながらも条文と格闘し ながら考える、という方法を取りました。そして、理解 できない部分について後から教科書等を読んで知識を補 充していきました。結果的にそれは大正解で、刑訴は得 意科目になりました。 あくまで一例ですが、常に「まずは論述問題を解いて みる」という意識はかなり司法試験においては大切だと (1)辰已の講座・書籍 ① スタンダード論文答練 司法試験を最速で合格するならば必須といえるでしょ う。結局のところ、答案を練習する機会、それを他人に 見てもらう機会をいかに確保するかが合格の鍵を握って いるので、答練の利用はその点で非常に便利かつ有意義 なものだと思います。なるべく会場に行って受けるのも 大事だと思います。本番と同様の雰囲気や、知らない人 がたくさんいる状況で試験を受けることに慣れる機会に もなると思います。 (3)得意科目を意識する 予備試験は論文が 10 科目もあるので、ミスは避けられ ないとまずは考えました。そこで、ひとまず得意科目を 作り、直前期までに苦手科目を解消するという方法を取 りました。特に、旧司にはなかった分野である行政法、 実務科目は、受験のノウハウが少なく現役生の強みを活 かしやすいと考えました。 ② えんしゅう本 とにかく、私は予備試験も司法試験もこれで乗り切り ました。基本書のように突っ込んだことはほとんど書い ていませんが、頭の整理や、理解した部分を暗記するた めの材料としては非常に優秀な書籍だと思います。私は、 この本に書いてある規範は積極的に噛み砕いて、すぐに 書けるようにしておきました。 (4)勉強範囲を絞る ひとまず3年までは学習の幅を広げましたが、年明け になるとかなり学習対象を絞りました。同じ良質な参考 書を何周も繰り返すことが大事であると考えたからです。 実際、本番でも繰り返した部分が出題されたりしたので、 効果は高かったと思います。 (2)その他の演習書 演習中心、と書いたのである程度学者の先生の書いた ものを紹介しておくべきかと思いますので、紹介させて いただきます。 ・基本事例で考える民法演習(池田) ・事例で考える会社法 ・ロープラクティス民事訴訟法 ・刑法事例演習教材 ・事例演習 刑事訴訟法 ・論点解析 知的財産法 これらは、確実に何周もした自信がある演習書です。 もちろん、参考書には好き嫌いがあるのは当たり前です ので、一番いいのは自分が好きな、使いやすいものを使 うことだと思います。 3 予備試験合格後の学習状況(法律学習) 予備試験の勉強で、ひと通り基本7科目の勉強は終わ らせていたので、新司法試験までにやることは、 (1)過 去問を徹底的に検討する(2)選択科目を学習する、で した。 (1)過去問の検討 いわゆる三種の神器(問題、出題の趣旨、採点実感) を全ての科目、全ての年度を読み込みました。答案構成 は行いましたが、特に答案を書くことはしませんでした。 答案練習は時間が掛かり過ぎるし、答練である程度の分 量が確保できていたからです。それよりも、 「落としては いけない部分」と「できなくてもいい、書けなくてもい い部分」を丁寧に把握すること、試験委員がどういう答 案を高く評価しているのかを把握することを心がけまし た。 (2)選択科目の学習 私は知的財産法選択でしたが、元々興味があったこと 辰已法律研究所 受講歴 スタンダード論文答練 全国公開模試 予備試験ルート合格 予備試験ルート合格 私は、大学4年在学中に予備試験に合格しました。そ れまでの学習方法を簡単にまとめたいと思います。 (1)大学の授業及び辰已の答練をペースメーカーにしたこと 大学の授業では、3年後期まででひと通りの法分野の 学習を終えるような構成になっていました。そこで、4 年次での合格を目指すにあたり、まずは大まかには大学 の授業に合わせて勉強を進めることにしました。すなわ ち、3年終了時には、ひと通りの学習が終了し、本格的 に論文対策に専念できるようになりました。 また、辰已の答練は科目ごとに週末に用意されていた ので、その1週間の論文対策はその科目に当てるという 形をとっていました。予備論文本番までに3クール用意 されており、同じ論文対策本を3周するというふうに、 ペースを守る事が出来ました。クールが進むたびに、問 題を解きながら学習が進んでいることを実感していまし た。 思います。こうすることで、条文を探し出し、形式的に 適用して修正するという、いわゆる法的三段論法を、効 率的に身につけることができるように思います。 4 司法試験対策に利用したもの も論文を正確に得点する技術、それを支える知識を予備 試験までに身に付けることが必要だと思われます。そし て、それが間に合わないと思った場合には、すぐに試験 後切り替え、自分に足りない技術を年内から手を付けて おくことが必要でしょう。これに関して、やはり合格者 に自らの答案を評価してもらう機会は必須だといえます。 司法試験は、合格率が予備試験ほど低くはないとはい え、非常に難しい試験です。自分の実力を丁寧に見極め、 必要十分な対策をする、という意識が合格につながった と考えています。これから受験する人も、そのことを頭 においた上で頑張って頂ければと思います。 5 自己の反省を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス 反省としては、予備試験合格後に十分に司法試験に切 り替えられなかったことです。過去問はほとんど手を付 けていなかったこともあり、年明けになってもパラパラ とめくった程度でした。 ただ、論文の書き方の基本は予備論文で確実に身に付 けていたので、後はそれを司法試験に合うように変えて いくだけでした。大まかな論証は覚え直す程度で済み、 新たに理解を進めるということはしませんでした。 このように考えると、司法試験の合格には、少なくと ※この原稿は H26 年 10 月 30 日までに寄稿いただいたものです。 '14 年 司法試験合格体験記 '14 年 司法試験合格体験記 【File no.89】 どの科目でも通用する基礎を定着させることに専念 ほ し の み ほ 星野 光帆さん ○中央大学法学部 ○ 2013 年予備試験合格 受験歴 辰已受講歴 ■新試験 1 回 予備合格 司試一発合格 スタンダード論文答練 スタンダード短答オープン 選択科目集中答練 全国公開模試 1 司法試験の受験を決意した経緯 中学生の頃に裁判傍聴をし、法廷に立つ女性弁護士が とてもかっこよく自分もそのようになりたいと思ったこ と、原爆で被曝された方が国から金銭的給付を受けられ ずに困っているとのお話をきいて理不尽な思いをされて いる人を救いたいと思ったことがきっかけです。大学に 入ってからは企業法務の魅力を知り、弁護士という職業 の可能性の大きさを感じ、司法試験合格へのモチベーシ ョンが高まりました。 2 予備試験合格までの学習状況 (2)論文対策 予備試験スタンダード論文答練を比較的早い時期から 受講していたため、予備試験論文当日までには、論文を 書くことに抵抗はほとんどありませんでした。 自習としては、まず、持っている問題集を3日で1科 目のペースで全科目答案構成だけをしました。問題とな っている点を抽出できる能力が鍛えられました。また、 大学や辰已で受けた答練の見直しは何度もやりました。 予備試験では、判例から少し事案が異なっており、その 射程をきく問題や、考えたことのない論点で試験中に頭 をフル回転させて考えなければならない問題等、暗記だ けでは通用しない試験だと思ったので、どの論文、どの 科目でも通用するような基礎を定着させることに専念し ました。趣旨から、原則から、条文から考える練習を何 (3)口述試験対策 ヒアリング、過去問の分析、民法・刑法の論点確認、 辰已の実務基礎ハンドブック、執行保全の本、旧司口述 の過去問、刑訴民訴の条文素読、法曹倫理の対策をしま した。口述の対策は、いままで意識していなかった手続 の流れが掴めて、勉強していて楽しかったです。 3 予備試験合格後の学習状況(法律学習) (1)一科目につき一つの演習書 予備試験に合格するだけの知識は一応身につけている ということにし、アウトプット中心の勉強をしました。 具体的には、流行っている又は司法試験のネタ本だと噂 されている演習書を一科目につき一つだけ決めて、全科 目を広く勉強することです。予備試験合格までに多く検 討した旧司法試験の過去問等は避けて、予備試験合格ま でに一度は解いたことがあるが身にしみて理解できてい ない演習書をもう一度解き直すことにしました。一冊に しぼる理由は時間がないためです。また、多くのことを 暗記しようとせずに一冊で集中して法的な思考方法を確 認する方が効率がよいと思ったからです。 (2)選択科目の学習 私は国際関係法(私法)を選択しました。その理由は 他の選択科目と比べて範囲や条文数が少ないという噂を きいたためです。予備試験に合格するまで選択科目につ いては一切勉強していなかったため、半年で選択科目を 仕上げるには国際私法はもってこいでした。年内に『国 際関係私法入門』でインプットをし、年明けからは司法 試験の過去問や辰已の選択科目集中答練でアウトプット をしました。知識の集約には辰已の 『一冊だけで国際私法』 を用いました。これは私の受験する年に出版されたもの で、出題が予想される論点が網羅されているため大変役 立ちました。 (4)短答対策 予備試験合格後はほとんど短答対策をしませんでした。 辰已の全国公開模試で短答の点数が悪くなかったためで す。予備試験短答の前に短答対策用でまとめたノートが あったので、それを司法試験の本番前に1回見返す程度 でした。最新重要判例のチェックはしました。 (5)司法試験の過去問の分析 2回解きました。何度解いても新しい発見があるので、 できるだけ多く解きたくさん分析することをおすすめし ます。出題趣旨、ヒアリングも何度も読みました。また、 合格のレベルを分析するために辰已のぶんせき本を用い ました。ぶんせき本には上位答案、平均の答案、不合格 答案が全て載っており、どのくらいの答案が書ければ合 格できるのかを分析するために大変役立ちました。 4 司法試験対策に利用したもの (1)各科目の演習書 民法…Law Practice民法Ⅰ Law Practice民法Ⅱ 刑法…事例演習教材 憲法…判例から考える憲法 法学教室 民事訴訟法…Law Practice民事訴訟法 刑事訴訟法…事例研究刑事法Ⅱ刑事訴訟法 商法…事例から考える会社法 行政法…事例研究行政法 能です。そうであれば、実際にどのような問題がでるの かの感覚を養い、2時間という限られた試験時間内にい かに合格に近い答案をつくりあげるかを出題趣旨やヒア リングと照らし合わせながら分析すべきでした。私は司 法試験の過去問は年明けから本格的に解き始めたので本 番ぎりぎりまで分析が終わらず気持ちが焦りました。早 めの分析をおすすめします。 予備試験の受験開始から司法試験受験まで、ロースク ール受験を含めて試験ばかりの一年でした。精神的にも 相当に辛いものがありました。適度に息抜きすることも 必要だと私は思います。試験本番に体調も精神状態も勉 強も最高の状態に持っていけるよう自分にあった勉強方 法、息抜きの仕方で本番を乗り切って下さい。応援して います。 辰已法律研究所 受講歴 予備試験対策 予備スタンダード論文答練 予備総択 予備論文予想答練 予備論文公開模試 法律実務基礎科目集中答練 予備試験口述模試 司法試験対策 司法試験スタンダード論文答練 司法試験スタンダード短答オープン 選択科目集中答練 司法試験全国公開模試 予備試験ルート合格 予備試験ルート合格 (1)短答対策 自習としては、肢別本を何度か解いて、条文と判例が まとめてある参考書に、理由付け等を写してまとめ、情 報の一元化をしました。肢別本は重要な肢を1つ1つ答 え合わせしながら解き進めることができ、効率的に網羅 することができます。さらに、肢別本の情報を転記し、 全て一冊にまとめることによって、直前の見直しはまと めた参考書を見返すことだけで、短時間で記憶の整理を することができました。他には、重判を手当たり次第コ ピーして判旨を全て読みました。 度もしました。基礎を定着させ、誤った知識を覚えてし まわないよう、基本書も読みながら論文対策を進めまし た。 (3)論文を書くこと 本番は書き慣れているということも大事になります。 本番直前に論文を全く書いていないと本番当日も思うよ うにペンが進みません。私は本番ぎりぎりまで論文を書 けるように、辰已の全国公開模試はあえて本番と同じ5 日間集中のコースではなく、夜に1科目ずつ解き本番ぎ りぎりまで論文が書けるコースを選択しました。また司 法試験スタンダード論文答練も本番ぎりぎりのコースを 選択しました。司法試験特有の長文の問題を2時間で解 き始めたばかりの頃はほとんどが途中答案になってしま い絶望しましたが、だんだん慣れてきてペース配分がう まくなり、文量も多く書けるようになりました。 (2)選択科目の対策 国際関係私法入門 一冊だけで国際私法(辰已) 選択科目集中答練(辰已) 5 自己の反省を踏まえ、これから受験する人へのアドバイス 司法試験の過去問を早い段階から解き始めることです。 私は予備試験合格後もまだ知識が足りないという気持ち から、自分の満足するまでインプットをした後に司法試 験の過去問を見ようと思ってしまいました。しかし、程 度の差はあれインプットを完璧にすることはおよそ不可 ※この原稿は H26 年 10 月 30 日までに寄稿いただいたものです。 当パンフレットの内容に関しては、 資料をご請求の上、ご覧ください。