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かつお・まぐろ類に関する国際情勢について (国際資源管理の動向)

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かつお・まぐろ類に関する国際情勢について (国際資源管理の動向)
かつお・まぐろ類に関する国際情勢について
(国際資源管理の動向)
目次
1. 主要なかつお・まぐろの種類
2. 漁業の種類
3. 世界のかつお・まぐろ類の漁獲量の推移
4. 海域別、国別、魚種別かつお・まぐろ類の漁獲量
5. 我が国のかつお・まぐろ類供給量と価格
6. 国連海洋法条約
7 かつお・まぐろ類の地域漁業管理機関
かつお まぐろ類の地域漁業管理機関
7.
8. 主要なかつお・まぐろ類の資源状況
9 地域漁業管理機関における資源管理の取組
9.
平成21年4月
水
産
庁
1.主要なかつお・まぐろの種類
クロマグロ(Bluefin Tuna):
クロマグロ(Bluefin
Tuna):
地中海を含む大西洋、太平洋の主として北半球に分布。本
マグロとも呼ばれ、マグロ類の中でも最高級品とされる。イン
ド洋には分布しない。主に刺身に利用。
ク
クロマグロ
グ
ミナミマグロ
ミナミマグロ(Southern Bluefin Tuna):
南半球の高緯度海域を中心に分布。インドマグロとも呼ば
れ、クロマグロに次ぐ高級品とされる。主に刺身に利用。
メバチ(Bigeye Tuna):
世界中の温帯から熱帯の海域に分布。目玉が大きくぱっち
りしていることから目鉢マグロと呼ばれる。主に刺身に利用。
メバチ
キハダ(Yellowfin Tuna):
メバチとほぼ同じ海域に分布。体色が黄色味がかっている
ことから黄肌マグロと呼ばれる。刺身及び缶詰に利用。
キハダ
ビンナガ
カツオ
0
1
2
3m
ビンナガ(Albacore Tuna):
世界中の海に広く分布する小型のマグロ。長い刀状の胸
びれが特徴で油漬けの缶詰の原料になる。最近は刺身にも
利用される ビンチョウ トンボとも呼ばれる
利用される。ビンチョウ、トンボとも呼ばれる。
カツオ(Skipjack):
世界中の海に広く分布し、特に南方水域では一年中獲ら
れる 腹側に濃青色のしまが入っているのが特徴 かつお
れる。腹側に濃青色のしまが入っているのが特徴。かつお
は用途が広く、刺身、タタキ、節、缶詰等に利用される。
資料:日本かつお・まぐろ漁業協同組合
1
2.漁業の種類
図:社団法人大日本水産会
※図は一本釣り
はえ縄
・主にクロマグロ、ミナミマグロ、メ
主 ク
グ
ナ
グ
メ
バチ、キハダ、ビンナガを対象
・日本、韓国、台湾、中国、インドネシア等
(刺身用)
許可隻数(H20.8.1現在)
竿釣り
まき網
・主にカツオ、ビンナガを対象
・日本[一本釣り](刺身用)
・ガーナ等(缶詰用)
・主にカツオ、キハダを対象
・日本(鰹節、缶詰用)
・スペイン、メキシコ、米国等(缶詰用)
・スペイン、フランス等(蓄養クロマグロ用))
許可隻数(H20.8.1現在)
遠洋まぐろはえ縄漁業 407隻
遠洋かつお釣り漁業 44隻
近海まぐろはえ縄漁業 349隻
近海かつお釣り漁業 60隻
2
許可隻数(H20.8.1現在)
海外まき網漁業 35隻
3.世界のかつお・まぐろ類の漁獲量の推移
界
類 漁獲
推
約4,351(千トン)(2006年)
(千トン)
5,000
4,500
合計
4 000
4,000
マグロ類
グ 類
3,500
カツオ
3 000
3,000
約2 5倍
約2.5倍
約
約1,751(千トン)(1976年)
2,500
2,000
1,500
1,000
500
0
1970
1975
1980
1985
1990
1995
2000
2005
資料:FAO統計及びWCPFC資料
3
4-1.海域別かつお・まぐろ類の漁獲量(2006年)
類 漁獲
2006年海域別漁獲量
合計
大西洋
(地中海を除く)
地中海
インド洋
東太平洋
西太平洋
合計
ビンナガ
メバチ
キハダ
(単位:万トン)
大西洋
クロマグロ
太平洋
クロマグロ
ミナミマグロ
カツオ
37.9
6.1
6.6
10.4
1.0
-
0.1
13.7
2.9
112.6
79.5
202 6
202.6
435.2
0.6
2.2
3.9
10 7
10.7
23.5
10.4
12.9
11 4
11.4
41.3
39.2
28.5
37 4
37.4
115.5
2.3
3.3
0.9
15
1.5
2.4
1.1
01
0.1
1.3
0.0
59.7
33.3
141 5
141.5
248.1
2006年海域別漁獲量
総計435.2万トン
250.0 カツオ
200.0 ミナミマグロ
150.0 太平洋
クロマグロ
100.0 大西洋
クロマグロ
キハダ
50.0 メバチ
0.0 大西洋
(地中海を除く)
地中海
インド洋
東太平洋
西太平洋
ビンナガ
資料:FAO統計及びWCPFC資料
4
4-2.国別・魚種別かつお・まぐろ類の漁獲量(2006年)
2006年国別漁獲量
2006年魚種別漁獲量
ビンナガ, 23.5
(単位:万トン)
(単位:万トン)
日本, 49.4
メバチ, 41.3
その他, 87.6
台湾, 37.3
米国, 9.1
総計
中国, 9.8
435.2
パナマ, 10.7
万トン
総計
インドネシ
ア, 37.2
435.2
カツオ, 248.1
万トン
キハダ, 115.5
スペイン
スペイン, 31.3
フランス, 14.2
イラン, 14.3
フィリピ
ン, 31.3
モルジブ, 16.1
メキシコ, 16.3
エクアドル, 20.3
大西洋クロマグ
ロ, 3.3
韓国, 29
太平洋クロマグ
ロ, 2.4
ミナミマグロ, 1.3
パプアニュー
ギニア, 21.1
資料:FAO統計及びWCPFC資料
5
4-3.国別・魚種別まぐろ類の漁獲量(2006年)
2006年国別漁獲量
2006年魚種別漁獲量
太平洋クロマグロ, 2.4
(単位:万トン)
大西洋クロマグロ, 3.3
(単位:万トン)
ミナミマグロ, 1.3
日本 21 8
日本, 21.8 ビンナガ, 23.5
その他, 41.7 台湾, 17.9 米国, 3.6 総計
セーシェル, 3.8 187.1
イラン, 4.1 万トン
総計
メキシコ, 14.9 187.1
万トン
フィリピン 14 9
フィリピン, 14.9 パナマ, 5.0 メバチ, 41.3
キハダ, 115.5
中国, 5.0 パプアニューギニア, 5.2 エクアドル, 6.1 フラン
ス, 8.7 スペイ
ン, 14.4 韓国, 8.3 インドネシア, 11.6 資料:FAO統計及びWCPFC資料
6
5-1.我が国の主要なかつお・まぐろ類供給量
類
2006年国別供給量(推計)
セーシェル, 0.6 2006年魚種別供給量(推計)
クロアチア, 0.5 (単位:万トン)
(単位:万トン)
バヌアツ, 0.8 オーストラリア, 1.0 ビンナ
ガ, 5.7 その他, 6.1
その他, 6.1 マーシャル, 2.1 インドネシア, 2.1 フィリピン, 2.9 中国, 2.6 韓国, 3.4 台湾, 8.6 キハダ 18 3
キハダ, 18.3 輸入量合計
30.7
総計85.1
万トン
カツオ, 37.9 我が国
生産量
合計
54.4
総計85.1
万トン
メバチ, 17.3 ミナミマグロ, 1.5 クロマグロ, 4.4 資料:漁業・養殖業生産統計、財務省貿易
統計に基づく推計
資料:漁業・養殖業生産統計、財務省貿易
統計に基づく推計
7
5-2.我が国の主要なまぐろ類供給量
類
2006年国別供給量(推計)
2006年魚種別供給量(推計)
ミナミマグロ, 1.5 (単位:万トン)
クロアチア, 0.5 ク
アチア, 0.5 セーシェル, 0.6 その他, 5.7 クロマグ
ロ, 4.4 バヌアツ, 0.8 ビンナガ, 5.7 オーストラリア, 1.0 インドネシア, 1.3 フィリピン, 1.7 中国, 2.6 総計47.3
万トン
我が国
生産量
21.6
総計47.3
万トン
メバチ, 17.3 韓国, 3.4 キハダ, 18.3 輸入量合計
25.7
台湾, 8.1 資料:漁業・養殖業生産統計、財務省貿易
統計に基づく推計
8
資料:漁業・養殖業生産統計、財務省貿易
統計に基づく推計
5‐3. 海外におけるまぐろ養殖(蓄養)の輸入量の推移
蓄養マグロ輸入量の推移(製品重量:千トン)
地中海クロマグロ
太平洋クロマグロ
ミナミマグロ
輸入量(
千トン)
40.0 30.0 20.0 10.0 0.0 1998年 1999年 2000年 2001年 2002年 2003年 2004年 2005年 2006年 2007年
蓄養マグロ輸入量の推移(国別、製品重量:千トン)
魚種
海域
国名
1998
2004
2005
2006
2007
4.7
4.3
4.3
4.4
3.7
3.3
マルタ
0.2
0.0
0.3
0.6
1.1
0.7
1.7
2.2
4.5
2.2
キプロス
-
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.3
0.7
1.1
0.8
イタリア
1.1
1.3
1.4
0.8
0.9
1.2
0.6
1.1
2.7
2.8
ギリシャ
0.3
0.2
0.3
0.3
0.1
0.1
0.1
0.4
0.8
0.4
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
4.8
6.5
6.4
6.5
6.8
6.3
7.0
8.8
12.8
9.5
-
-
-
-
0.3
1.6
2.8
2.8
3.2
3.4
クロアチア
0.2
0.3
0.7
1.0
2.2
2.7
3.6
2.5
4.7
4.0
チュニジア
0.7
0.5
0.5
0.5
0.3
0.5
0.7
1.3
1.7
1.8
パナマ*1
-
-
0.9
1.6
2.4
3.3
4.0
1.1
0.2
18.7
地中海 計
5.7
7.3
8.5
9.6
12.0
14.4
18.1
16.5
22.6
メキシコ
0.0
0.1
0.3
0.3
0.6
1.9
3.8
4.1
3.2
2.6
5.7
7.4
8.8
9.9
12.6
16.3
21.9
20.6
25.8
21.3
クロマグロ 計
オーストラリア
合計
2003
4.8
トルコ
ミナミマグロ
2002
4.4
EU計
太平洋
2001
5.0
ポルトガル
クロマグロ
2000
3.2
EU
地中海
1999
スペイン
6.3
7.0
7.8
8.2
8.2
6.4
9.7
8.7
8.6
8.4
12 0
12.0
14 4
14.4
16 6
16.6
18 1
18.1
20 8
20.8
22 7
22.7
31 6
31.6
29 3
29.3
34 4
34.4
29 7
29.7
資料:財務省貿易統計(国名及び魚種から蓄養生産と推定)、WCPFC資料及びCCSBT資料
*1:パナマ籍船舶において船上加工されたもので、原料は地中海産の蓄養クロマグロと推定
9
5 4.かつお まぐろ類価格(卸売価格)の推移(生鮮)
5-4.かつお・まぐろ類価格(卸売価格)の推移(生鮮)
※
単位:円/kg
ク
クロマグロ・ミナミマグロ(生鮮)
グ
グ 生鮮
くろまぐろ・みなみまぐろ(生鮮)
3 000 メバチ(生鮮)
めばちまぐろ(生鮮)
2 500 キハダ(生鮮)
きはだまぐろ(生鮮)
カツオ(生鮮)
かつお(生鮮)
2 000 1 500
1 500 1 000 500 0
0 55年 56年 57年 58年 59年 60年 61年 62年 63年 元年
2年
3年
4年
5年
6年
7年
8年
9年
10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年 19年
資料:農水省水産物流通統計
注:クロマグロ・ミナミマグロは両魚種の加重平均
※バブル経済下での高級品需要の高まりにより「クロマグロ及びミナミマグロの
加重平均価格」は平成2年がピーク(2,848円/kg)となった。
10
5-5.かつお・まぐろ類価格(卸売価格)の推移(冷凍)
※
単位:円/kg
6 000 くろまぐろ・みなみまぐろ(冷凍)
クロマグロ・ミナミマグロ(冷凍)
5 000 めばちまぐろ(冷凍)
メバチ(冷凍)
きはだまぐろ(冷凍)
キハダ(冷凍)
4 000 カツオ(冷凍)
かつお(冷凍)
3 000 2 000 1 000 0
0 55年
56年
57年
58年
59年
60年
61年
62年
63年
元年
2年
3年
4年
5年
6年
7年
8年
9年
10年
11年
12年
13年
資料:農水省水産物流通統計
注:クロマグロ・ミナミマグロは両魚種の加重平均
※バブル経済下での高級品需要の高まりにより「クロマグロ及びミナミマグロの
加重平均価格」は平成元年がピーク(5,101円/kg)となった。
11
14年
15年
16年
17年
18年
19年
6.国連海洋法条約
国連海洋法条約
(1993年発効 157カ国等締結)
(1993年発効、157カ国等締結)
第64条は、各国に対し、国際機関
を通じ 高度回遊性魚種(例 マグ
を通じ、高度回遊性魚種(例:マグ
ロ)の資源管理につき協力すること
を要請。
12
7.
7.かつお・まぐろ類の地域漁業管理機関(RFMO)
Tunas Regional Fisheries Management Organization
大西洋まぐろ類保存国際委員会
International Commission for the
Conservation of Atlantic Tunas
(ICCAT)
マドリッド(スペイン) 1969年
中西部太平洋まぐろ類委員会
Western and Central Pacific
Fisheries Commission
(WCPFC)
ポンペイ(ミクロネシア) 2004年
全米熱帯まぐろ類委員会
Inter-American
Inter American
Tropical Tuna
Commission
(IATTC)
ラホヤ(米国) 1950年
インド洋まぐろ類委員会
Indian Ocean
Tuna Commission
(IOTC)
ヴィクトリア(セーシェル) 1996年
みなみまぐろ保存委員会
Commission for the Conservation of
the Southern Bluefin Tuna
(CCSBT)
キャンベラ(オーストラリア) 1994年
13
8.主要なかつお・まぐろ類の資源状況
まぐろ類の海域別資源状況
魚種
クロマグロ
ICCAT
大西洋
東大西洋:
低位/減少
西大西洋:
低位/横ばい
IOTC
インド洋
IATTC
東部太平洋
WCPFC
中西部太平洋
CCSBT
ミナミマグロ
-
-
中位/横ばい*
-
ミナミマグロ
-
-
-
-
低位/横ばい
メバチ
チ
低位/横ばい
中位/減少
低位/横ばい
中位/減少*
-
キハダ
中位/横ばい
中位/減少
中位/横ばい
中位/横ばい
-
北大平洋:
高位/横ばい
南大平洋:
高位/横ばい
-
高位/横ばい
-
ビンナガ
カツオ
北大西洋:
低位/増加
南大西洋:
中位/減少
高位/横ばい
中位から低位/
減少
高位/増加
高位/横ばい
(注)
水産庁 「平成19年度 国際資源の現況」より
「資源水準/資源動向」の順に表示
資源水準:最近20年の資源状況と比較し、高位、中位、低位の3段階で評価
資源動向:最近5年の資源動向から、増加、横ばい、減少の3段階で評価
*WCPFCのクロマグロ、メバチについては国際機関での直近の資源評価に基づく
14
9.地域漁業管理機関における資源管理の取組
ICCAT
大西洋
主な措置
IOTC
インド洋
IATTC
東部太平洋
WCPFC
中西部太平洋
CCSBT
ミナミマグロ
クロマグロの国別漁
メバチ及びキハダの 巻き網の漁獲努力量 キハダの漁獲努力量 ミナミマグロの国別
獲枠及び漁獲証明
漁獲努力量制限
制限
制限
漁獲枠
制度
東大西洋クロマグロ
の漁獲可能量の段
2008年における
海鳥の混獲回避措
階的削減(2008年:
主な決定事項 28,500トン → 2011年: 置の導入
18,500トン)
ト )
メバチ漁獲量を今後
3年間で30%削減す
るため 2009年に
るため、2009年に、
●集魚装置を用いた
2008年以降のメバ まき網操業の2ヶ月
チ・キハダの管理措 禁止、又は漁獲量を ミナミマグロの漁獲
置(例:禁漁措置、漁 2001年~2004年の 証明制度の導入
獲枠)に合意出来ず 平均値から10%削減
●延縄によるメバチ
漁獲量を2001年~
2004年の平均値から
10%削減
(注) 漁獲証明制度:漁獲、水揚及び貿易を書類にてモニターする制度
15
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