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講演資料はこちら(PDF形式/1.6MB)
食卓から見たマグロ
~マグロの基礎知識~
社団法人漁業情報サービスセンター
流通課・主査 緑川 聡
1.マグロってどんな魚?
„
マグロ属の8種(7種)
※同一種とされていた
クロマグロ※
大西洋クロマグロ※
メバチ
キハダ
ビンナガ
コシナガ(1m) 見た目がヨコワ
(クロマグロの幼魚)に似ている。東南
アジア~インド洋の沿岸域。メバチ並
みの漁獲量。九州でも獲れる。
大西洋マグロ(1m・20kg)
大西洋西岸のみ分布。漁獲少ない。
1.マグロってどんな魚?
„
„
„
マグロ属は、サバ
亜科という高速遊
泳に特化したグ
ループの魚。カツ
オに近い。
体は紡錘形で、遊
泳速度は時速20
~30kmで、餌を獲
る時はその2~3倍
で泳ぐ。
血合にある熱交換
システムが発達し、
低い水温でも体温
を高く維持できる。
2.どんなマグロを食べているの?
①クロマグロ:本マグロ、ブルーフィンツナ
温帯性マグロ。太平洋のクロマグロ
と大西洋クロマグロは別種。
„ 寿命は20歳以上。大西洋クロマグロ
は25~30歳。
„ 最大は?:黒海で獲れた787kg。
カナダ大西洋岸で獲れた304cm・
679kg。
„ 産卵:沖縄~台湾沖では4~7月(5
歳)に、日本海西部では7~8月に産
卵(3歳)。大西洋クロマグロはメキシ
コ湾(8歳)と地中海(4~5歳)で産卵。
„ クロマグロは2~3歳に一部の群れ
が太平洋を横断。
„
①クロマグロ
■築地市場でのクロマグロの最大サイズは:
最大は:宮崎県油津 496kg(‘86)
2番目:対馬の定置物456kg(’10/7/16)。
■築地市場でのクロマグロの最高値は:
最高値:キロ10万円・202kg・2020万円(’01年の初セリ・大間)、
2番目:キロ7万円・232kg・1628万円(’10年の初セリ・大間)
●香港の寿司チェーンと老舗寿司屋が半分づつ購入
◇松方マグロ:キロ1万5500円・282kg・437万円(’09/11/25・見島)
●東京築地市場では、仲卸750業者のうち250業者がマグロ専門。 築地でセリを
行っているのは、マグロや活魚・エビ・ウニ等で、大半は相対売り。
●天然物のマグロは1尾1尾品質が違うので目利きが必要。養殖物が多くなる
と品質が均一化するので、築地を経由する量が減る。
①クロマグロ
赤身:酸味があるの
が特徴
ヨコワ(メジ)
さっぱりした味。
大トロ
中トロ:背節のカミ・ナカの皮に
近い所からも取れる
②ミナミマグロ:インドマグロ、豪州マグロ
„
„
„
„
„
温帯性マグロ。ク
ロマグロに次ぐ高
級マグロ。体長
2.5mに達する。
1952年に漁獲が
始まった新しい種。
寿命:20歳以上。
最高齢は45歳。
南半球に分布、
ジャワ沖で9~4月
に産卵(8歳)。
赤身が濃く、色の
変化が早いのが
特徴。
③キハダ:黄肌、イエローフィンツナ
„
„
„
„
„
„
熱帯性マグロで中型種
ヒレが黄色いのが特徴。
成長が早く、寿命は7
~10歳と短い。体長
2m・200kgに達する。
水温24度以上の海域で
周年産卵(3歳)。
イルカ・ジンベイ鯨・ク
ジラ・流木につく習性が
ある。
マグロ類の中で最も漁
獲量が多い種。漁獲量
は近年増加傾向。
缶詰:ライトミート
③キハダ
コロ
サク
„
刺身
キハダの刺身は名古屋や
関西で好まれる。身は淡い
ピンク色で、シミや色変わり
が少なく、身質がしっかりし
て「刺身が立つ」。モッチリ
とした食感。
4.メバチ:目鉢、ビッグアイ
„
„
„
„
„
„
熱帯性のマグロで中型種。目
が大きいのが特徴。
体長2m、体重150kgになる。
40kg以上を大バチ、30kg以下
をダルマ、20kg以下を小ダル
マと呼ぶ。
寿命は10~15歳。
水温24度以上の海域で周年
産卵(3歳)。
関東地方で好まれているマグ
ロ。身は柔らかく、色・味が濃
いのが特徴。クロマグロよりも
色持ちが良い。
5.ビンナガ:鬢長、ビンチョウ、トンボマグロ
„
„
„
„
„
温帯性マグロで小型種。
最大でも1.2mほど。胸
びれが長いのが特徴。
寿命は16歳以上。5歳
で産卵。
缶詰:ホワイトミート。
身は極めて柔らかく、
薄い乳白色からピンク
色で味は淡泊。
秋~冬に沖合で獲れ
るものは脂がのり、ビ
ントロとして回転寿司
等で人気。
⑤ビンナガ
„
„
サク
身は極めて柔らかく、薄い乳白色から
ピンク色で味は淡泊。
ビントロは凍っていた方が切りやすい
刺身
3.日本人はマグロをどの位食べるの?
„
„
家庭内の消費は、
1家族あたり、年間
3.5~3.6kg食べてい
たが最近は、
2.5kgまで低下。
1人あたりも90年代
~2000年代前半まで
年間1~1.1kg食べて
いたが、08~09年に
は0.8kgまで低下。
4.日本人はマグロをどの地域が食べるの?
„
購入金額・数量とも静岡市
がダントツで全国平均の
2.7倍。
„
購入量・金額の上位には、
甲府や前橋等の内陸が目
立つ。購入量では那覇が
2位。
購入量・金額とも中国地方
や九州が少ないのが特徴。
„
=青魚やカレイなど地元近郊で水
揚げされる魚の種類が豊富。
5.日本人はいつから『鮪』を食べているの?①
„
„
„
„
„
„
„
江戸初期まで、マグロはシビ(死日を連想)と呼ばれ、忌み嫌われた。
江戸中期になると定置網が発達してマグロも大量に獲れることもあった。
「目黒」「真っ黒」が転じてマグロと呼び名が替わり、負のイメージが払
拭。鮪の醤油漬け「漬け」が江戸で人気に。一般的には塩まぐろなど。
明治~昭和初期は、カツオ一本釣りが夏季に行なわれ、裏作として冬季に
マグロ延縄漁が行なわれた。
昭和10(1935)年頃にマグロ専業船が出現し、マグロ漁業が一気に拡大。昭
和16(1941)年には南方に進出。
戦後、食料確保のためにマグロ延縄漁業は早期に制限緩和され、昭和
27(1952)年にマッカーサーライン全廃。
昭和29(1954)年に輸出水産物振興法が制定され、外貨獲得のために冷凍
のキハダ・ビンナガが缶詰原料として欧米に輸出。
昭和31(1956)年にインド洋・太平洋全域に出漁、昭和32(1957)年には大西
洋に出漁。昭和41(1966)年頃に全世界の漁場に日本のマグロ漁船が進出。
5.日本人はいつから『鮪』を食べているの?②
„
„
„
1960年代に入ると漁獲量が停滞し、台湾・韓国がマグロ漁業に進出したこと
で、缶詰原料としても国際競争力低下。
昭和39(1964)年の東京オリンピック前後から高度経済成長期を迎え、所得
向上とともに刺身需要拡大。
この頃までは、刺身用マグロは近海で獲れた生鮮物のみ。マグロは赤身を
基本的に食べ、ようやく中トロも食べるようになった。1950年頃まで大トロは
アラとして捨てられていいた。
【缶詰原料→刺身向け】
„
1960年代半ばに超低温凍結技術が普及し、刺身向け
冷凍マグロの生産が可能になった。
それまでの船の冷凍設備は-20℃なので長期間刺身用としては保存できなかったが、
-60℃の冷凍設備だと刺身用として2年間変化なく保存でき、陸の流通網も整備された。
„
操業期間が長期になり、マグロ漁業経営に多額の運転資金が必要になり、
1970年代に強い資金力を有する商社による『一船買い』が本格的になった。
→商港の清水港がマグロの港に。
5.日本人はいつから『鮪』を食べているの?③
蓄養(養殖)マグロの登場・・・トロの部分を増やす
„
„
„
„
1970年代半ばにカナダの東岸で行われたのが始まり、日本でも1970年にマ
グロ養殖の研究が始まる(2002年に近畿大学が完全養殖に成功。)。
本格的な蓄養が始まったのは1991年・オーストラリアで、ミナミマグロの蓄養
技術が開発されたことによる。
地中海に蓄養技術が移転し、1994年(クロアチア)・1995年(スペイン)にス
タート。メキシコや日本でもクロマグロの蓄養が行われている。
バブル時代~平成初頭まで高級寿司店でしか食べられなかったトロが、蓄
養(養殖)クロマグロ・ミナミマグロの登場で、回転寿司やスーパーや扱うよう
になり、一気に大衆化。
トロが一般的になったのは、ほんの15年位前から。
【蓄養の方法】
●地中海方式:まき網で獲った産卵後の痩せた魚を、半年間餌を与えて太らせ
て出荷。スペインだと200kg位。
●日本の方式:100~500gのヨコワを釣り、2~3年で30~60kgに育てて出荷。一
部、採卵して人工種苗も利用されている。
5.日本人のマグロに対する『食』の変化は?
„
„
マグロの供給量は既に40
万トンを割れ。50万トンを
割るとパニックになると言
われていた。
メバチ・キハダといった赤
身系のマグロの消費は
年々は減っている。クロマ
グロは2万トン台から5万ト
ン台に増加。うち1万トン弱
は国内の蓄養物。
5.日本人のマグロに対する『食』の変化は?
„
„
購入金額は「まぐろ」「さし
み盛り合わせ」とも減ってい
る。さけ(サーモン)は落ち
ていない。まぐろは27%・
700円減、盛合わせは22%・
500円減、さけは1300円前
後で安定。
購入量は「いか」 24%・300g
減、 「まぐろ」 27%・300g減、
「さけ」は1000g前後で1位。
「さんま」は2002年以降700g
台で安定。
5.日本人のマグロに対する『食』の変化は?
„ 購入金額は「まぐろ」「さし
●まぐろはサーモンと競合。
み盛り合わせ」とも減ってい
る。さけ(サーモン)は落ち
●まぐろに対する消費者の嗜好は、赤身よりも
ていない。まぐろは27%・
養殖物のトロの方が強い。700円減、盛合わせは22%・
500円減、さけは1300円前
●まぐろ全体の食べる量は減少傾向。
後で安定。
„ 購入量は「いか」 24%・300g
減、 「まぐろ」 27%・300g減、
「さけ」は1000g前後で1位。
「さんま」は2002年以降700g
台で安定。
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