Comments
Transcript
国 語 科 学 習 指 導 案 1 日 時 2 学 年 3 単元名 4 単元を貫く言語活動
国 語 科 学 習 指 導 案 学校名(江田島市立大古小学校) 本単元における「思考力・判断力・表現力」とは 本単元では,目的や意図に応じて,書く事柄を収集し,全体を見通して事柄を整理する力,自分の考え を明確に表現するため,文章全体の構成の効果を考える力を高めるために,身近にある風景や建築物,商 店や人などのよさを紹介する「ZINE」を作るという単元を貫く言語活動を設定し,学習を進めていく。こ こでの思考力,判断力とは,魅力を伝えるという目的に応じて,取材した内容を取捨選択し,どのような 文章構成で文章を書けばよいかを考える力である。また,表現力とは,読み手をより惹きつける表現方法 を考え,書く力である。 1 2 3 日 時 学 年 単元名 平成 25 年6月 24 日(水)第5校時 第6学年 男子 22 名 女子 15 名 計 37 名 目的や意図に応じて取材し,文章全体の構成の効果を考えて文章に書く力を高める ~「ZINE(ジン)」を作って私たちの町を紹介しよう~ 関連教材「ようこそ,わたしの町へ」(光村図書 6年 平成22年度版) 4 単元を貫く言語活動とその特徴 本単元を貫く言語活動として「B 書くこと」の言語活動例「ウ 事物のよさを多くの人に伝えるための文 章を書くこと。」を基に考えた「大古にある風景や建築物,商店や人などの魅力を伝える「ZINE」を作るこ と。」を設定する。一般的に「ZINE」は,伝えたい内容に応じて取材を行い,取材対象の特徴や歴史,関わ る人の思いなどを集められ,そのうえで,情報が取捨選択され,主観や感想を交えながら紹介されている ことが多い。そのため,自分の町にある事物のよさを伝えようとすれば,取材を行い,集めた情報の整理 を行うとともに,読み手に伝えたい内容が的確に伝わるよう文章全体の構成の効果を考えて書くことが必 要となる。このことにより,「B 書くこと」の指導事項ア「考えたことなどから書くことを決め,目的や意 図に応じて,書く事柄を収集し,全体を見通して事柄を整理すること。」イ「自分の考えを明確に表現する ため,文章全体の構成の効果を考えること。」を実現するのに,ふさわしい言語活動であると考えた。 5 単元について 単元について (1)児童観 本学級の児童は,5年次に活動報告書の作成やグラフや表を引用して文章を書く活動を行っている。文書 の種類に応じた書式に合わせて書いたり,目的にあった図表を活用したりする経験は積んでいる。しかし, 目的や意図に応じた取材活動の経験は少なく,情報の収集,整理に対しては課題がある。また整理した情報 から文章全体の構成を構築することにも慣れていない。事前に行った,収集した情報を元に文章構成を考え ながら記事を書く力を見取るプレテストでは,取材メモを元に文章構成を考えて記事を書くことができた児 童は 43%であった。できていない児童のほとんどがメモの羅列に終わっており,半数以上の児童が文章構 成を考える力に課題があると言える。 (2) 単元観 本単元では,「ZINE」のことを「ZINE」と紹介する。「ZINE」とは近年使われ始めた言葉で,有志が製作 する少部数の非商業的出版物のことである。単元導入前には,道徳の時間を活用し,郷土愛として,「ZINE」 作りを通して地域の情報を発信している方の思いにふれさせる時間を設定しておく。そのうえで単元導入 時には,教師が製作した地域の建造物についての記事を提示することで,児童に学習の見通しをもたせる とともに,興味関心を高めておく。その上で,展開時には,教師の取材メモを共通教材として,取材の仕 方や集めた情報の整理方法,記事としてふさわしい文章構成や表現方法について考え,文章を書く練習を 行う。その後,発展部では,個々が取材対象を決定し,取材活動を行い,展開時での学習を生かして「ZINE」 の記事を書くという流れで学習を進めていく。 (3) 指導観 指導にあたっては,次の4点について工夫する。1点目は,児童のよく知っている題材を基にした記事 の例を製作し,提示することである。そうすることで児童は見通しをもって学習を進めることができるとと もに,文章全体の構成を考えるヒントをもつことができると考える。2点目は,ワークシートの工夫である。 展開時の学習を発展時の個々の取材活動や情報の整理,文章を書く準備にスムーズにつなげられるようなワ ークシートを作成し,発展時の学習を振り返れば,個々に学習を進められるようにしていく。3点目は発展 時の学習形態の工夫である。個々の力を高めるため,記事は個別に製作させるものの,取材対象が,多岐に わたると指導も難しくなる。そのため,取材活動に関してはグループを作って活動してもよいこととし,集 めた情報を個々で活用するよう,指導していく。 6 単元の目標 ○「ZINE」を作る活動に関心をもち,意欲的に制作に取り組んでいる。 (国語への関心・意欲・態度) ◎「ZINE」を作るために取材活動を行い,集めた情報を整理して,読み手により伝わりやすい文章構成を考 えながら,文章を書くことができる。 (書くこと) ○「ZINE」のようなガイドブックの文や文章にはいろいろな構成があることを理解する。 (伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項) 7 単元の評価規準 国語への関心・意欲・態度 書く能力 言語に関する知識・理解・技能 言語活動例「ウ 事物のよさを多くの人に伝えるための文章を書くこと。」 ○「ZINE」を作ることに関心をも ◎「ZINE」を作るという目的に応 ○「ZINE」には,取材対象と対話 ち,進んで取材を行いたくさん じて,取材対象を選択し,情報 するような文体で書かれたもの の情報を集めたり,集めた情報 を収集するとともに,収集した や,紀行文のような文体で書か を活用して文章を書いたりして 情報を取捨選択している。(ア) れたものがあることを理解して いる。 ◎取材対象や取材時の様子が伝わ いる。(イ(キ)) るよう,文章全体の構成を考え ている。(イ) ○自分が伝えたい内容に合った写 真を活用して誌面を作ってい る。(エ) ○互いの記事を読み合い,目的に 応じた文章構成や表現になって いるかを助言し合っている。 (オ) 8 指導と評価の計画( 指導と評価の計画(全 10 時間) 時間) 評 価 時 学習内容 関 書言 評価規準 1 ○単元のめあて,学習計画を知る。 ◎ ○ ◎「ZINE」を作ることに関心をもち,様々 な取材対象案を挙げている。 ・自分達の町の風景や建築物,商店 や人などの様子や良さを伝える 「ZINE」を作ることを確認し,制 作手順を確認する。 ・自分達の町の取材対象案について 意見を出し合う。 2 ○取材内容を考える。 ◎○ ◎自分が決めたテーマに応じた取材内 ・取材対象は,何をテーマにして取 材をすることが可能な対象であ 容を考え,自分用の取材シートを作って いる。 るかを考えるとともに,そのテー マに応じた取材内容を考える。 ◎取材時には,事前連絡を行うなど,実 ○取材方法について知る。 3 ・実際に取材活動を行う際のマナ 際の取材方法について理解している。 ー,事前連絡の仕方,インタビュ ー方法,メモの取り方などを確認 する。 4 ○文章構成,表現の工夫について考 える。 ・作品例がどのような文章構成で書 ◎「ZINE」に応じた文章全体の構成をと らえ,読み手に伝わりやすくなるように かれているか,また読み手にわか りやすく伝えるために,どのよう 対話形式を用いて書くなどの工夫を理 な書き方の工夫をしているかを 解している。 話し合う。(本時) 5 ○自分が伝えたい風景や建築物,商 ○ ◎ 6 店や人などの魅力についての取 「ZINE」の記事を 7 材活動を行い, 8 作成する。 9 ・取材活動を行う。 ・取材活動で集めた情報を整理し, 伝えたい内容について決定する。 ・文章構成や表現方法を考え, 「ZINE」の記事を書く。 ・書いた記事を読み合い,目的に応 じた文章構成や表現になってい るかを助言し合うとともに,加 筆,修正を行う。 10 ○ 出来上がった「ZINE」を交流し, ○ 様々な施設に届けるとともに,学 習を振り返る。 評価方法 発言 ノート 発言 ワークシ ート ワークシ ○自分の伝えたい風景や建築物,商店や ート 人について,進んで取材を行い,たくさ んの情報を集めようとしている。 ◎集めた情報を内容に応じて整理し,そ の中から伝えたい内容を決定している。 ◎学習した文章構成や表現方法を用い て,「ZINE」の記事を書いている。 ○お互いの「ZINE」を読み合い,文章構 成や表現方法について助言を行ってい る。 ○学習を振り返り,成果と課題を挙げて いる。 「ZINE」記 事 振り返り シート 9 本時の学習 (1) 本時の目標 「ZINE」の記事の文章構成や表現方法の工夫を話し合うことを通して,取材対象や取材時の様子が伝わるよ うな文章全体の構成や表現の工夫を理解することができる。 (2) 本時の評価規準 「ZINE」に応じた文章全体の構成をとらえ,読み手に伝わりやすくなるように対話形式を用いて書くなどの表 現の工夫を理解している。 指導上の留意点(・) 評価規準 学習活動 配慮を要する児童への支援(◆) (評価方法) 1 本時の課題を確認する。 「ZINE」の記事例から,書き方のうまさを見つけよう 2 文章全体の構成や,書き方の工夫 ・まず個別に,記事の例を読みながら,「うま いな,真似したいな」と思った書き方のベス について話し合う。 ト3を挙げさせる。 ・個別に考えた書き方のうまさベスト3を班 で交流させ,自分以外が見つけた書き方のう まさにもふれさせる。 ・班の交流で出されたベスト3を元に,どの ような工夫がされているかを話し合わせ,考 えをまとめさせる。 3 文章全体の構成や書き方の工夫に ついて確認する。 ・冒頭部には取材対象の概説,中の部分に取 材した内容,終結部に自分の感想を書くと言 った構成になっていること,対話形式で書く などの工夫がされていることを理解させる。 ・対話形式で文章を書く場合に,相槌や,文 末表現を工夫すると,より臨場感が高まるこ とを理解させるとともに,それらは表現上の 工夫としておこなってもよいことをおさえ る。 4 本時のまとめを行うとともに,次 時の学習について確認する。 ・記事の例が,文 章構成を工夫し たり,インタビュ ー形式で書くな どの表現を工夫 したりしている ことを理解して いる。 (ワークシート) 6年 単元名 学校名(江田島市立大古小学校) 目的や意図に応じて取材し,文章全体の構成の効果を考えて文章に書く 力を高める ~「ZINE( ~「ZINE(ジン ZINE(ジン) ジン)」を作って私たちの町を紹介しよう~ 関連教材「ようこそ,わたしの町へ」 (光村図書6年平成2 (光村図書6年平成2 2年度版) 「ZINE」を作るために取材活動を行い,集めた情報を整 ZINE」を作るために取材活動を行い,集めた情報を整 理して,読み手により伝わりやすい文章構成を考えなが ら,文章を書くことができる。 本単元における「思考力・判断力・表現力」とは 本単元では,目的や意図に応じて,書く事柄を収集し,全体を見通して事柄を整理する力,自分の考え を明確に表現するため,文章全体の構成の効果を考える力を高めるために,身近にある風景や建築物,商 店や人などのよさを紹介する「ZINE」を作るという単元を貫く言語活動を設定し,学習を進めていく。こ こでの思考力,判断力とは,魅力を伝えるという目的に応じて,取材した内容を取捨選択し,どのような 文章構成で文章を書けばよいかを考える力である。また,表現力とは,読み手をより惹きつける表現方法 を考え,書く力である。 本単元は,小学校学習指導要領国語(平成20年)における第5学年及び第6学年の「B 書くこと」の指導事 項ア「考えたことなどから書くことを決め,目的や意図に応じて,書く事柄を収集し,全体を見通して事柄を 整理すること。」イ「自分の考えを明確に表現するため,文章全体の構成の効果を考えること。」を受けて設定 した。大古にある風景や建築物,商店や人などの魅力を伝える「ZINE」を作ることを目的として,自分の町に ある事物のよさを伝えるために,取材を行い,集めた情報の整理を行うとともに,読み手に伝えたい内容が的 確に伝わるよう文章全体の構成の効果を考えて書く力を高めることをねらいとする。 [単元のねらい] 単元のねらい] 「ZINE」とは近年使われ始めた言葉で,有志が製作する少部数の非商業的出版物のことである。単元導入前 には,道徳の時間を活用し,郷土愛として,「ZINE」作りを通して地域の情報を発信している方の思いにふれ させる時間を設定しておく。そのうえで単元導入時には,教師が製作した地域の建造物についての記事を提示 することで,児童に学習の見通しをもたせるとともに,興味関心を高めておく。その上で,展開時には,教師 の取材メモを共通教材として,取材の仕方や集めた情報の整理方法,記事としてふさわしい文章構成や表現方 法について考え,文章を書く練習を行う。その後,発展部では,個々が取材対象を決定し,取材活動を行い, 展開時での学習を生かして「ZINE」の記事を書くという流れで学習を進めていく。 指導にあたっては,次の4点について工夫する。1点目は,児童のよく知っている題材を基にした記事の例 を製作し,提示することである。そうすることで児童は見通しをもって学習を進めることができるとともに, 文章全体の構成を考えるヒントをもつことができると考える。2点目は,ワークシートの工夫である。展開時 の学習を発展時の個々の取材活動や情報の整理,文章を書く準備にスムーズにつなげられるようなワークシー トを作成し,発展時の学習を振り返れば,個々に学習を進められるようにしていく。3点目は発展時の学習形 態の工夫である。個々の力を高めるため,記事は個別に製作させるものの,取材対象が,多岐にわたると指導 も難しくなる。そのため,取材活動に関してはグループを作って活動してもよいこととし,集めた情報を個々 で活用するよう,指導していく。 [指導上の工夫] 指導上の工夫] 「ZINE」を作るために取材活動を行い,集めた情報を整理して,読み手により伝わりやすい文章構成を考えな がら,文章を書くことができる。 [指導計画(全 10 時間)] 時間)] 評 価 時 学習内容 評価方法 関 書言 評価規準 1 ○単元のめあて,学習計画を知る。 ◎ ○ ◎「ZINE」を作ることに関心をもち,様々 発言 ノート な取材対象案を挙げている。 ・自分達の町の風景や建築物,商店 や人などの様子や良さを伝える 「ZINE」を作ることを確認し,制 作手順を確認する。 ・自分達の町の取材対象案について 意見を出し合う。 発言 2 ○取材内容を考える。 ◎○ ・取材対象は,何をテーマにして取 ◎自分が決めたテーマに応じた取材内 ワ ー ク シ 材をすることが可能な対象であ 容を考え,自分用の取材シートを作って ート るかを考えるとともに,そのテー いる。 マに応じた取材内容を考える。 ○取材方法について知る。 ◎取材時には,事前連絡を行うなど,実 際の取材方法について理解している。 3 ・実際に取材活動を行う際のマナ ー,事前連絡の仕方,インタビュ ー方法,メモの取り方などを確認 する。 4 ○文章構成,表現の工夫について考 える。 ・作品例がどのような文章構成で書 ◎「ZINE」に応じた文章全体の構成をと かれているか,また読み手にわか らえ,読み手に伝わりやすくなるように りやすく伝えるために,どのよう 対話形式を用いて書くなどの工夫を理 な書き方の工夫をしているかを 解している。 話し合う。(本時) ワークシ 5 ○自分が伝えたい風景や建築物,商 ○ ◎ 6 店や人などの魅力についての取 ○自分の伝えたい風景や建築物,商店や ート 7 材活動を行い,「ZINE」の記事を 人について,進んで取材を行い,たくさ 8 作成する。 んの情報を集めようとしている。 9 ・取材活動を行う。 ・取材活動で集めた情報を整理し, ◎集めた情報を内容に応じて整理し,そ 伝えたい内容について決定する。 の中から伝えたい内容を決定している。 ・文章構成や表現方法を考え, ◎学習した文章構成や表現方法を用い 「ZINE」の記事を書く。 て,「ZINE」の記事を書いている。 ○お互いの「ZINE」を読み合い,文章構 ・書いた記事を読み合い,目的に応 成や表現方法について助言を行ってい 「ZINE」 じた文章構成や表現になってい る。 記事 るかを助言し合うとともに,加 筆,修正を行う。 10 ○ 出来上がった「ZINE」を交流し, ○ ○学習を振り返り,成果と課題を挙げて 振り返り 様々な施設に届けるとともに,学 いる。 シート 習を振り返る。 [単元の目標] 単元の目標] 「ZINE」の記事の文章構成や表現方法の工夫を話し合うことを通して,取材対象や取材時の様子が伝わるよう な文章全体の構成や表現の工夫を理解することができる。 [本時の展開] 本時の展開] 指導上の留意点(・) 評価規準 学習活動 配慮を要する児童への支援(◆) (評価方法) 1 本時の課題を確認する。 「ZINE」の記事例から,書き方のうまさを見つけよう [本時のねらい] 本時のねらい] 2 文章全体の構成や,書き方の工夫 ・まず個別に,記事の例を読みながら,「うま いな,真似したいな」と思った書き方のベス について話し合う。 ト3を挙げさせる。 ・個別に考えた書き方のうまさベスト3を班 で交流させ,自分以外が見つけた書き方のう まさにもふれさせる。 ・班の交流で出されたベスト3を元に,どの ような工夫がされているかを話し合わせ,考 えをまとめさせる。 3 文章全体の構成や書き方の工夫に ついて確認する。 ・冒頭部には取材対象の概説,中の部分に取 材した内容,終結部に自分の感想を書くと言 った構成になっていること,対話形式で書く などの工夫がされていることを理解させる。 4 本時のまとめを行うとともに,次 時の学習について確認する。 ・対話形式で文章を書く場合に,相槌や,文 末表現を工夫すると,より臨場感が高まるこ とを理解させるとともに,それらは表現上の 工夫としておこなってもよいことをおさえ る。 ・記事の例が,文 章構成を工夫し たり,インタビュ ー形式で書くな どの表現を工夫 したりしている ことを理解して いる。 (ワークシート) 「ZINE」の作品例から,どのような構成で文章が書かれているのか,視覚的にわかりやすいように,写真 などを用いて提示した。また,作品例から児童が書き方のうまさとして挙げたポイントを整理し,簡潔な言 葉で板書することで,理解しやすいよう工夫した。 [板書] 板書] [児童の変容] 児童の変容] プレテスト・ポストテストから プレテストとポストテストは,ある架空の工場を取材した際に書かれたメモ(工場の周囲の様子,工場の外 観,インタビューに応じてくれた方の様子,向上に関する様々な質問に対する回答など)を資料として用意し, その資料に書かれた情報を取捨選択しながら活用し,記事を書くというものを行った。このテストによって, 集めた情報を整理して,読み手により伝わりやすい文章構成を考えながら,文章を書くことに関する力の変容 を見取ることとした。テストにおける評価と判断基準を次に示す。 「十分満足できる」(A) 「ZINE」の記事を書くという目的に応じて,資料の情報を整理して,読み手にわかりやすい文章構成(初め・中・終わ りの大まかな段落に分かれ,読み手が実際の取材の流れを感じることができるようなもの)で,表現上の工夫(インタビ ュー形式の採用など)を適切に用いて,記事を書いている。 「おおむね満足できる」(B) 「ZINE」の記事を書くという目的に応じて,資料の情報を整理して,読み手にわかりやすい文章構成(初め・中・終わ りの大まかな段落に分かれ,読み手が実際の取材の流れを感じることができるようなもの)で記事を書いている。 「努力を要する」 「努力を要する」(C) 書かれた記事が資料の情報の羅列になっており,文章構成を意識できたものになっていない。 集めた情報を整理して,読み手により伝わりやすい文章構成を考えながら文章を書くことについての評価と判断基準 プレテスト・ポストテストの結果を基に,集めた情報を 整理して,読み手により伝わりやすい文章構成を考えな プレテスト がら文章を書くことについての児童の変容を図1に示す。 プレテストでは,「ZINE」の記事を書くという目的に応 じて,資料の情報を整理して,読み手にわかりやすい文 ポストテスト 章構成で,表現上の工夫を適切に用いて,記事を書いて いると判断したA評価の児童は,6人(16.2%),資料の 情報を整理して,読み手にわかりやすい文章構成で記事 を書いている B 評価の児童は,15 人(40.5%),書かれた A B C 記事が資料の情報の羅列になっており,文章構成を意識 できたものになっていないと判断した C 評価の児童は 16 図1 集めた情報を整理して,読み手により伝わりやす 人(43.2%)であった。 い文章構成を考えながら文章を書くことについての これに対してポストテストでは,「ZINE」の記事を書く 児童の変容 という目的に応じて,資料の情報を整理して,読み手にわかりやすい文章構成で,表現上の工夫を適切に用い て,記事を書いていると判断したA評価の児童は,16 人(43.2%),資料の情報を整理して,読み手にわかり 6 15 16 16 0% 20% 18 40% 60% 3 80% 100% やすい文章構成で記事を書いている B 評価の児童は,18 人(48.6%),書かれた記事が資料の情報の羅列にな っており,文章構成を意識できたものになっていないと判断した C 評価の児童は3人(8.1%)であった。 A評価とB評価の児童がプレテストでは21人(56.7%)であったのに対し,ポストテストでは34人(91.9%) となった。このことから,本単元で,集めた情報を整理して,読み手により伝わりやすい文章構成を考えなが ら文章を書く力を高めるために,身近にある風景や建築物,商店や人などのよさを紹介する「ZINE」を作ると いう単元を貫く言語活動を設定し,学習を進めていくことは有効であったと考える。 [課題と今後の改善点] 課題と今後の改善点] 今回設定した単元を貫く言語活動である「ZINE」の記事を書く活動は,ねらいとする力を高めるに有効であ った。今後の課題としては内容の焦点を絞るという点である。時間的な制約もあるが,一度取材した内容から 一番興味をもったことを再度深く取材し,そこに焦点を絞って記事をまとめられるとよりよいものになると思 う。国語科のみならず他の教科とも関連付けながら,螺旋的,継続的に指導を重ねることでそれらの力を高め ていきたいと思う。