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防災気象情報の利活用について(高知地方気象台)

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防災気象情報の利活用について(高知地方気象台)
平成27年2月8日
南国市自主防災組織対象
今日お話しする内容
防災気象情報の利活用について
 高知県の地域特性
 気象警報・注意報と各種防災気象情報
 防災情報の入手方法と活用上の留意点
高知地方気象台
予報官 熊野繁明
気団
広い地域にわたってほぼ同じような性質を持ち、特有の気
候や気象現象を生み出す巨大な空気の固まりをいう。
シベリア気団:秋から春に
かけて日本に影響する。
日本海で水蒸気を得て、
寒冷・湿潤となる。
(シベリア高気圧)
揚子江気団:春や秋
に日本に影響する。
停滞が明瞭でないこ
とから、気団と扱われ
ない場合がある。
赤道気団:台風はこの気団
の中で発生する。気団の一
部が日本に流れ込むと大
雨となる。
雨が降るために必要なもの
湿った空気
 気団によって運ばれてきた湿った空気
 海の影響を受けた湿った空気
オホーツク海気団:
梅雨期、秋に日本に
影響する。(オホー
ツク海高気圧)
小笠原気団:春
から秋にかけて
日本に影響する。
(太平洋高気圧)
上昇気流




低気圧や前線による上昇気流
風や地形の影響による上昇気流
強い日差しによる上昇気流
上空の寒気による上昇気流
などなど
高知県の地域特性
高知県の地域特性
~地形特性~
年間降水量の平年値
石鎚山系
剣山系
天狗岳(標高1,982m)
剣山(標高1,955m)
1500m以上の山なみ
高知県の地
形
赤丸は特に地形が急なところ
風向別の降雨特性(地形効果)
風が集まりやすい湾の形状
黒潮
国土地理院Webマップより
四国山地が高知県の気候に与える影響は大きく、冬は山間部や豊後水道に面した地
方は雪が多くなりますが、海岸地方では季節風が四国山地に遮られるのに加え、黒潮
の影響も受けて温暖な気候となっています。夏の季節には、黒潮上を渡る南寄りの
湿った気流が四国山地に吹きつけるため、山間部を中心に雨量が多くなっています。
年間日照時間は2000時間を越え、全国1-2位が定位置となっている一方、年間降水
量も平野部で2500ミリ前後、山間部では3000ミリを超え、東部山間部の魚梁瀬は
4100ミリ程度と日本有数の多雨地帯となっています。温暖な海洋性気候、山間部の
内陸性気候、また、多雨気候、低温で雪の降る日本海側の気候、風の強い岬の気候な
ど変化に富んだ気候特性を持っています。
太平洋から多量の水蒸気を
もたらす南よりの風では、
山間部の地域でまとまった
雨となる
平成26(2014)年の年間降水量
大雨による被害
高知豪雨
平成10(1998)年
9月24日~25日
その他、高知県でよく知られている豪雨
・西南豪雨 平成13(2001)年 9月6日
・繁藤豪雨 昭和47(1972)年 7月4日~6日
台風による被害
竜巻などの突風による被害
高潮と高波、更に風による吹き寄せ効果で、海水が防波堤を超
え住宅地まで押し寄せる危険性があります。
高知県は全国的に見ても、竜巻などの突風が発生しやすく被害も発生しています。
①気圧低下による吸い上げ 、②風による吹き
寄せ
2004年台風第23号による高波
台風が接近すると、暴風、激しい雨、波しぶきなどで安全な
場所へ避難することが困難になります。
1994年10月4日高知空港周辺
日本と諸外国の河川勾配の比較
気象に関する特別警報、警報、注意報
日本の河川は急勾配であり、ひとたび大雨に見舞われると急激に河川流量が
増加し、洪水などによる災害が起こりやすくなっています。
気象台では、平成22年5月から、注意報や警報
を市町村ごとに発表しています。
TVなどでは、放送局によって、市町村をまと
めた地域として放送する場合があります。
例:南国市は「高知中央」地域
れる場合も。
として発表さ
阪口、高橋、大森:日本の川(1987岩波書店)
日本と大陸の河川の縦断面曲線
神戸市都賀川 急激な増水
平成20年7月28日
過去の災害から、各市町村ごとに警報・注意報の基準を決め、
予想で基準を超える場合に発表しています。
土壌雨量指数
気象警報・注意報発表基準(南国市)
土壌雨量指数とは、降った雨が土壌にどれだけ貯まっているか
を計算して指数化したものです。
警報
※平坦地
注意報
流域雨量指数
流域雨量指数とは、河川の流域に降った雨水が、どれだけ下流
の地域に影響を与えるかを計算し、指数化したものです。
大雨(浸水害)警報発表時の文例(南国市)
警報や注意報は、表題だけではなく、市町村ごとの発表内容を
確認するようにしてください。
実際発表した警報です
注意期間、警戒期間
量的な予想
大雨警報の特に警戒すべき災
害(浸水害か土砂災害か)
警報の可能性に言及している
場合もある
付加事項
各市町村ごとに内容が異なるため、該当する市町村を十分に確認してください。
【気象庁HP】
http://www.jma.go.jp/jp/warn/344.html
特別警報の運用開始(平成25年8月30日から)
気象特別警報の基準と指標の関係
【創設となった背景】
東北地方太平洋沖地震では、気象庁は大津波警報などを発表しましたが、必ずしも
住民の迅速な避難に繋がらなかった例がありました。
平成23年台風第12号による大雨災害等においては、気象庁は警報により重大な災
害への警戒を呼びかけたものの、災害発生の危険性が著しく高いことを有効に伝える
手段がなく、関係市町村長による適時的確な避難勧告・指示の発令や、住民自らの迅
速な避難行動に必ずしも結びつきませんでした。
これらのことから、気象庁は、災害に対する気象庁の危機感を伝えるために、「特
別警報」を創設しました。
【特別警報とは】
・警報の発表基準をはるかに超える豪雨や大津波等が予想され、
重大な災害の危険性が著しく高まっている場合に「特別警報」
を発表し、最大限の警戒を呼び掛けます。
・災害の起こるおそれを、「注意報」、「警報」、「特別警報」
の3段階の情報体系で伝えます。
・特別警報が出た場合には、その時点で安全確保が出来ていな
い方は、直ちに安全確保行動をとることが重要です。
雨を要因とする特別警報の指標
台風等を要因とする特別警報の指標
48時間降水量及び土壌雨量指数において、50年に一度の値以上となっ
た5km格子が、共に府県程度の広がりの範囲内で50格子以上出現。
② 3時間降水量及び土壌雨量指数において、50年に一度の値以上となっ
た5km格子が、共に府県程度の広がりの範囲内で10格子以上出現(ただ
し、3時間降水量が150ミリ以上となった格子のみをカウント対象とす
る)。
・①または②のいずれかを満たすと予想され、かつ、
更に雨が降り続くと予想される場合に、大雨特別警報を発表します。
「伊勢湾台風」級(中心気圧930hPa以下又は最大風速
50m/s以上)の台風や同程度の温帯低気圧が来襲する場合
に、特別警報を発表します。ただし、沖縄地方、奄美地方及
び小笠原諸島については、中心気圧910hPa以下又は最大風
速60m/s以上とします。
注)中心気圧は上陸時の気圧です
①
【高知県における50年に一度の値(分布図)】
台風については、指標となる中心気圧又は最大風速を保ったまま、中心が
接近・通過すると予想される地域(予報円がかかる地域)における、大雨・
暴風・高潮・波浪の警報を、特別警報として発表します。
温帯低気圧については、指標となる最大風速と同程度の風速が予想される
地域における、大雨・暴風(雪を伴う場合は暴風雪)・高潮・波浪の警報を、
特別警報として発表します。
トップクラスの勢力
南国市:
800~1800ミリ
48時間降水量
南国市:
250~300ミリ
3時間降水量
南国市:
警報基準の約2倍
土壌雨量指数
上陸時の中心気圧が低い台風
1位 室戸台風(中心気圧911.6hPa、昭和9年)
2位 枕崎台風(中心気圧916.1hPa、昭和20年)
3位 第2室戸台風(中心気圧925hPa、昭和36年)
4位 伊勢湾台風(中心気圧929hPa、昭和34年)
5位 平成5年台風第13号(中心気圧930hPa、平成5年)
「伊勢湾台風」
級の台風が来襲
する地域に、
大雨、暴風、高潮、
波浪の特別警報
を発表します。
特別警報が発表されたら、身を守るために最善を尽くしてください。
○経験したことのないような激しい豪雨や暴風など異常な気象現象が起き
そうな状況です。
○周囲の状況や市町村から発表される避難勧告等の情報に留意し、ただち
に避難所へ避難するか、すでに外出することが危険な状態のときは、無
理をせず家の中で比較的安全な場所にとどまってください。
○この数十年間災害の経験がない地域でも、災害の可能性が高まっていま
す。油断しないでください。
明るいうち
に避難所へ
土砂災害警戒情報と土砂災害警戒判定メッシュ情報
土砂災害の危険性が高まったときに高知県と気象台が共同で発表します。
実際発表した情報です
補足情報
【土砂災害警戒判定メッシュ情報】
【目的】市町村長の避難勧告等の発令や、
住民の自主避難の判断を支援すること。
逃げ遅れたら
高い建物に
「特別警報」が発表されないからといって安心することは禁物です。
○重大な災害のおそれがあるときは、従来どおり警報が発表されます。
これまでどおり、最新の気象情報に留意し、警戒してください。
○大雨等においては、時間を追って段階的に発表される気象情報、注意報、
警報を活用し、早め早めの行動を取ることが大切です。
【気象庁HP】
http://www.jma.go.jp/jp/dosha/344_index.html
注)高知県では、県の監視基準と気象台の監視基準に基づいて土砂災
害警戒情報を発表していますが、この土砂災害警戒判定メッシュ情報
は気象台の監視基準のみで判定しています。
<県の監視基準に基づいた情報も、県のHP等で提供されています>
指定河川洪水予報
記録的短時間大雨情報
特定河川の特定区間を対象に、河川名を付し、水位または流量を示した予報を、
気象台と河川管理者が共同で発表しています。
<高知地方気象台と各河川国道事務所 「仁淀川」 「物部川」 「四万十川」>
「記録的短時間大雨情報」は大雨がまさに降っている状況です
実際発表した情報です
数年に一度程度しか発生しないような短時間の大雨を、観測(地上の雨量計による観
測)したり、解析(気象レーダーと地上の雨量計を組み合わせた分析)したときに発
表します。
その基準は、1時間雨量歴代1位または2位の記録を参考に、概ね府県予報区ごとに
決めています。
【発表例】10時30分から11時30分の1時間にアメダス後免で125ミリを観測した例
高知県記録的短時間大雨情報 第1号
平成○年8月29日11時55分 高知地方気象台発表
11時30分高知県で記録的短時間大雨
南国市後免で125ミリ
この地域やその周辺では
すでに災害が発生してい
る可能性があります。
自分の身を守ることを第
一に行動してください。
≪以下省略しています》
予め、河川の水位観測点ごとに、
「水防団待機水位」
「はん濫注意水位」
「避難判断水位」
「はん濫危険水位」
が設定されています。
高知県の記録的短時間大雨情報の発表基準:120ミリ
台風情報(予報)
府県気象情報
府県気象情報には、文章で記述したもの、図表を使ったものの2つの形式があります。
なお、文書を使ったものには、見出しのみのものもあります。
実際発表した情報です
実際発表した情報です
【台風予報の発表例:3日先までの予報】
【暴風域に入る確率(分布表示)】
暴風警戒域
台風の中心が予報円
内に進んだ場合に暴
風域に入る恐れのあ
る範囲
【台風予報の発表例: 5日先までの進路予報】
府県気象情報は、当該府県予報区(概ね都府
県の単位)について、雨量、最大風速、波の
高さなどの予想値、防災事項などを詳しく記
述しています。
警報・注意報に先立って注意を呼びかけたり、
警報・注意報を補完したりするために、随時、
「府県気象情報」を発表していますので、ご
利用ください。
現時点で確率が低い地域で
も、台風の進行方向では、
台風が近づくにつれて確率
が高くなりますので、常に
最新の予報をご利用くださ
い。
予報円
台風の中心が70%の確率で
入ると予想される範囲
・台風の中心が予報円内に入る確率は70%です。
・高知県に影響がある台風については、府県情報として
「台風第○号に関する高知県気象情報」を随時発表しま
す。高知県での影響を特化した情報となります。
(気象庁HPで見ることができます)
【気象庁HP】
竜巻注意情報
注)竜巻注意報ではなく竜巻注意情報です。
•竜巻注意情報が発表された場合
には、周囲の空の状況に注意を
払ってください。
•さらに、空が急に真っ暗になる
、大粒の雨が降り出す、雷が起
こるなど、積乱雲が近づく兆候
が確認された場合には、竜巻注
意情報が発表されていなくても
頑丈な建物に避難するなどの身
の安全を確保する行動をとって
ください
この情報の有効期間は、発表から約1時間です
引き続き竜巻やダウンバースト等による激しい
突風の発生するおそれがある場合は、新たに竜
巻注意情報を発表します。
http://www.jma.go.jp/jp/typh/
レーダー・ナウキャスト
自分の地域に警報等の防災情報が発表されているときには、レーダー・ナウ
キャスト等で雨の強さ、雨雲の広がり、移動方向などを自ら確認するととも
に、気象台が随時発表する気象情報なども確認してください。
レーダー・ナウキャスト
大雨(土砂・浸水)災害時における市町村や住民の対応例
市町村や消防本部を経由した伝達
・専用回線やJアラート、
防災情報提供システムを通
して、気象庁から県市町村
や消防本部に伝達します。
そこから、防災行政無線、
無線機、広報車、直接の呼
びかけ等、各地域防災計画
等に基づいた方法により、
住民の皆さんにお伝えされ
ます。
段階的に発表される防災気象情報に留意し、早めの行動をお願いします。
テレビ・ラジオ等では
・テレビ、ラジオ等により放送
されます。
・特に重要な情報は、速報やテ
ロップで流れます。
・更に携帯電話やスマートフォ
ンをお持ちの方は、
☆高知地方気象台ホームページ
防災情報提供センターから
http://www.jma-net.go.jp/kochi/
地図をクリックすると
気象庁HPにつながります。
更に市町村をクリックすると、
現在の警報・注意報の内容を
確認できます。
・携帯電話から気象情報などを確認できます
国土交通省防災情報提供センター 携帯サイト
http://www.mlit.go.jp/saigai/bosaijoho/i-index.html
バーコード
(QRコード)
携帯電話で
読み取れます。
トップページ
気象ナウキャスト
(降水)
全国の現在の雨の様
子、1時間後までの雨
量の予想を見ることが
できます。
津波警報・注意報
現在発表されている
津波警報・注意報を
確認できます。
地図をクリックすると
気象庁HPにつながります。
レーダーや雷の状況など確認
できます。
火山情報
現在発表されている
噴火警報などを確
認できます。
防災情報の他、過去の
統計資料や各種資料は、
こちらでご覧になれます。
防災気象情報の活用上の留意点(1)
 土砂災害は、雨がやんでから発生する場合があります。この
ため、大雨警報(土砂災害)や土砂災害警戒情報は雨がやん
でもすぐには解除しません。
 大雨が降り続いて一旦小康状態になった後に非常に激しい雨
が降ると、土砂災害の危険度が一段と高くなります。
土砂災害に巻き込まれないよう身の安全を確保してください。
 警報や気象情報の内容は、随時更新しています。常に最新の
ものを活用してください。
 1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨が数時間続くと、土
砂災害、河川の急な増水やはん濫、道路や田畑の浸水、アン
ダーパスや地下空間の水没などの災害が発生する可能性が極
めて高くなります。皆さんは自分の身の安全を確保してくだ
さい。
防災気象情報の活用上の留意点(2)
 警報や土砂災害警戒情報が発表されても、いつも重大な災害
が発生するとは限りません。その場合も、「災害が発生しな
くてよかった」という考え方が大切です。
 「まだ大丈夫」「自分は大丈夫」「これまでも大丈夫だっ
た」など自分に都合よく考える傾向を社会心理学では「正常
化の偏見」といいます。自然を甘く見ることなく、常に最悪
の事態を想定した行動をお願いします。
身近にできる水害対策
災害時の心得として
「自分の身は自分で守る」が基本的な考え方です。
【住宅の備え】
① 浸水が想定される区域等を確認する。
② 家の浸水を予防する。
③ 浸水から生活(非常用食料等)を守る。
④ 家財を保全する。
【日頃の備え】
① 家族で話し合いを。
② 雨水排水溝の手入れを怠らない。
③ 非常持ち出し品を用意する。
④ 水害体験を参考に。
⑤ 地域で高齢者のサポートを。
洪水ハザードマップの確認
ご清聴いただき、ありがとうございました。
気象情報は、常に最新の情報
をご利用願います。
気象庁マスコットキャラクター 「はれるん」
【本件に関するお問い合わせ先】
高知地方気象台 熊野
電話 088-822-8881
FAX 088-825-0887
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