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参考資料1 大規模学術フロンティア促進事業について
参考資料1 科学技術・学術審議会 学術分科会研究環境基盤部会 学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会(第 22 回) H23.11.04 大規模学術フロンティア促進事業について 1.概要 ○ 我が国の独創的なアイデアをもとに推進されてきた「Bファクトリー」 、 「スーパーカ ミオカンデ」などの大規模プロジェクトは、ノーベル賞につながる研究成果を創出する など、欧米主要国においても極めて高い評価を得ている。今、世界の学術フロンティア を先導するプロジェクトは、さらなる挑戦的な課題に臨んでいる。 ○ その一方で、大規模プロジェクトに対する安定的・継続的な予算の確保は、世界各国 で困難な課題となっているが、欧米主要国では、人類の将来への先行投資と国際公共財 という観点から、これに対する財政支援を惜しまない姿勢を見せており、我が国にも大 きな期待が寄せられている。 ○ 我が国においては、東日本大震災からの復興や産業の空洞化の解消といった大きな課 題の克服が急務となっているが、そのような中で、希望と誇りある日本再生を実現する ため、24年度要求組み替え基準において、 「新たなフロンティア及び新成長戦略」が 重点化措置の対象の一つとされた。今こそ、我が国の研究水準の高さと独創的な先端技 術により、日本の底力を世界に示すことが必要である。 ○ このため、大規模プロジェクトへの安定的・継続的な支援を図るべく、新たに「大規 模学術フロンティア促進事業」を創設し、世界が注目する大規模プロジェクトについて、 我が国の「ロードマップ」等にもとづき、社会や国民の幅広い理解・支持を得つつ、国 際的な競争・協調に迅速かつ適切に対応できるよう支援し、戦略的・計画的な推進を図 る。 【参考】 ○学術研究の大型プロジェクトの推進について(審議のまとめ) (抜粋) -平成22年10月27日 学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会- (4)安定的・継続的な財政措置 ①安定的継続的な予算の確保 ○ 基礎科学で新しい知見を得るためには、非常に息の長い研究が必要であり、国はロード マップを基本に、長期的視点に立ち、大型プロジェクトの着実な推進に向けて、安定的・ 継続的な予算の確保に最大限の努力をすることが必要である。 ~ (中略) ~ ③安定的・継続的財政措置の在り方の検討 ○ 大型プロジェクトの財政措置については、現状において、施設や設備の整備費について は、主として施設整備費補助金により、運転経費等の運用費については、主として運営費 交付金により措置されているが、安定的・継続的な財政措置を実現するためには、施設・ 設備の整備費や運用費が一体となった予算枠の確保など、新たな予算措置方策の可能性も 含め、幅広い観点から検討を進めていくことが必要である。 1 2.要求内容 「大規模学術フロンティア促進事業」において、現在整備中又は推進中の大規模プロ ジェクトの着実な実施とともに、新規大規模プロジェクトの推進を図る。 【整備中又は推進中の大型プロジェクト】 ○ 「スーパーカミオカンデ」によるニュートリノ研究の推進 ○ 大型低温重力波望遠鏡(LCGT)計画 ○ 大型光学赤外線望遠鏡「すばる」共同利用計画 ○ アルマ計画の推進 ○ 超高性能プラズマの定常運転の実証 ○ Bファクトリー加速器の高度化による新しい物理法則の探求 ○ 大強度陽子加速器による実験研究 3.新規大規模プロジェクトの選定のプロセス (1)基本的考え方 新規大規模プロジェクトについては、2010年10月に策定された、学術研究 の大型プロジェクトの推進に関する基本構想「ロードマップ」に基づき、既存の大 規模プロジェクトの進捗状況を勘案し、決定する。 (2)プロセス ① 「ロードマップ」に基づき、文部科学省において、早急に着手すべきと考えら れる新規大規模プロジェクトを検討し、 「科学技術学術審議会 学術分科会 研 究環境基盤部会 学術研究の大型プロジェクトに関する作業部会」に諮る。 ② 上記①において了解を得た新規大規模プロジェクトについて、同作業部会にお いて事前評価を行う。 【評価の観点】 ①研究者コミュニティの合意 ②計画の実施主体 ③共同利用体制 ④計画の妥当性 ⑤緊急性 ⑥戦略性 ⑦社会や国民の理解 【評価のまとめ】 上記の観点別の評価を踏まえて総合的な評価を行う。 ③ 事前評価の結果を踏まえ、新規大規模プロジェクトについて、 「科学技術学術 審議会 学術分科会 研究環境基盤部会 国立大学法人等の運営費交付金(学術 研究関係)に関する作業部会」に諮り了解を得る。 ④ ②及び③の結果を踏まえ、新規大規模プロジェクトの概算要求について、文部 科学省において「国立大学等の大規模整備事業に関する連絡調整会議」に諮り対 応方針案を策定し、政務三役の了解を得て、概算要求の内容を決定する。 2 4.支援期間 整備中又は推進中の大規模プロジェクトについては、プロジェクトの進捗状況等を 踏まえ適切な時期に見直し作業を行い、終了・縮小・継続を判断する。 新規大規模プロジェクトについては、20年(建設5年、運用15年)を目安とし、 終期の前の適切な時期に評価を行い、当該大規模プロジェクトの終了・縮小・継続を 判断する。 3 大規模学術フロンティア促進事業 平成24年度要求額:38,948百万円 うち日本再生重点化措置:38,948百万円 ( 新 規 ) ○ 我が国発の独創的なアイデアをもとに推進されてきた「Bファクトリー」、「スーパーカミオカンデ」などの大規模プロジェクトは、ノー ベル賞受賞につながる研究成果を創出するなど、欧米主要国においても極めて高い評価を得ている。今、世界の学術フロンティアを先導する プロジェクトは、さらなる挑戦的な研究課題に臨んでいる。 ○ その一方で、大規模プロジェクトに対する安定的・継続的な予算の確保は、世界各国で困難な課題となっているが、欧米主要国では、人類 の将来への先行投資と国際公共財という観点から、これに対する財政支援を惜しまない姿勢を見せており、我が国にも大きな期待が寄せられ ている。 ○ 我が国においては、東日本大震災からの復興や産業の空洞化の解消といった大きな課題の克服が急務となっているが、そのような中で、希 望と誇りある日本再生を実現するため、24年度要求組替え基準において、「新たなフロンティア及び新成長戦略」が重点化措置の対象の一つ とされた。今こそ、我が国の研究水準の高さと独創的な先端技術により、日本の底力を世界に示すことが必要である。 ○ 世界が注目する大規模プロジェクトについて、我が国の「ロードマップ」(※)等にもとづき、社会や国民の幅広い理解・支持を得つつ、 国際的な競争・協調に迅速かつ適切に対応できるよう支援し、戦略的・計画的な推進を図る。 ※ 大規模プロジェクトの推進に当たっては、広範な研究分野コミュニティの意向を踏まえて策定された大規模プロジェクトの推進に関する「ロードマップ」(H22.10科学技術・学術審議 会学術分科会研究環境基盤部会)にもとづき、科学的な評価を背景とする戦略的・計画的なプロジェクトの推進を図っているところである。 主な世界の学術フロンティアを先導する大規模プロジェクト 3つの謎(消えた反物質、暗黒物質の正体、質量の起源)の解明に挑戦 ニュートリノの検出~質量の存在~いよいよ実体の解明へ Bファクトリー加速器の高度化による新しい物理法則の探求〔高エネルギー加速器研究機構〕 「スーパーカミオカンデ」によるニュートリノ研究の展開〔東京大学宇宙線研究所及び高エネル ギー加速器研究機構〕 2008年ノーベル物理学賞を受賞した小林・ 益川氏の「CP対称性の破れ」理論を実証し、 両氏の受賞に大きく貢献した我が国の素粒子 物理学分野の総力を結集した加速器。今後も 国際的な頭脳循環を促す世界的拠点として物 理学における未知なる課題の解決を目指す。 15カ国・地域から 400名を上回る実験参加者 が集結。(24年度要求額 8,025百万円) アインシュタインが予言した重力波(時空の歪み)を世界に先駆けて観測 大型低温重力波望遠鏡(LCGT)計画〔東京大学宇宙線研究所〕 日米欧の3国が「重力波」の世界初観測を 目指したプロジェクトを進行中。日本は高度 な技術力を駆使し、重力波望遠鏡の高性能化 の実証に他国に先んじて成功。完成後はアジ ア・オセアニア地域の観測拠点として国内外 200人の研究者が集結。 (24年度要求額 5,140百万円) ニュートリノに重さがあることを世界で初め て発見し、新たな物理への扉を開く。ニュート リノ研究の世界的な中核拠点として、米国、韓 国、欧州など国内外 100名の研究者が集結。 ※ 前身である「カミオカンデ」は、超新星爆発からの ニュートリノを世界初観測。2002年ノーベル物理学賞。 (24年度要求額 675百万円) 多様な粒子ビーム(中間子、反陽子、中性子、ミュオンなど)を用いた世界最先端の研究を 広範な分野で展開 「大強度陽子加速器施設(J-PARC)」による物質・生命科学及び原子核・素粒子物理学 研究の推進〔高エネルギー加速器研究機構〕 高エネルギー加速器研究機構(KEK)と日 本原子力研究開発機構(JAEA)が共同で 世界最大級のビーム強度を持つ陽子加速器施 設を運営し、物質・生命科学、原子核・素粒 子物理学など、基礎研究分野から産業利用ま で幅広い分野に寄与する研究開発を推進する。 (24年度要求額 10,200百万円) 大規模プロジェクトの推進の現状と今後の展開 我 が 国 の 現 状 ○我が国で推進している大規模プロジェクトは、最先端の技術や知識を 集約し、人類未踏の研究課題に挑戦し、その中からノーベル賞の受賞に 貢献するなど独創的かつ画期的な成果を生み出している。 また、広く国民一般、とりわけ未来を担う青少年に夢やロマンを与えるなど、 学術・科学技術に対する関心と理解を高めている。 ○支援にあたっては、予算の範囲内で順次推進してきたところ。 (課題) 大規模プロジェクトの推進について、国として広範な研究分野を 俯瞰したうえで戦略的・機動的に支援する方策・枠組みがない。 現状では、諸外国からみて我が国の姿勢・推進方策等が明確ではなく、 国際的な競争・協調下での我が国の遅れを防ぐため、早急な対応が 必要である。 平成22年10月 ○諸外国の現状を踏まえ、社会や国民の幅広い理解を得ながら、 大規模プロジェクトに一定の資源を継続的・安定的に投入していく ことを我が国の学術政策の基本として明確に位置づける必要性か ら、広範な研究分野コミュニティの意向を踏まえ、 大規模プロジェクトの推進に関する日本版「ロードマップ」(科学技 術・学術審議会学術分科会研究環境基盤部会)を策定。 平成24年概算要求 諸 外 国 の 現 状 ○欧米諸国では、研究者の意見を取り入れ,大規模研究計画の推進のための ロードマップを策定するなど、意識的に大規模研究計画に特化した戦略的・計画的 な政策を有しており、政府として明確に出資する姿勢を示している。 (ロードマップの事例) ●米国DOE:大規模研究施設の種別6分野ごとに策定(※明確に優先順位付け) (コンピュータ科学、基礎エネルギー科学、生物・環境、核融合科学、高エネルギー物理、核物理) ●米国NSF:大規模研究施設の種別4分野で策定 (※政府として出資すべき対象として位置づけ) (数物計科学、地球科学、工学、極地研究) 〔国際会議等での対応〕 国際会議等での対応〕 経済協力開発機構(OECD)での会合や、G8の科学技術大臣会合などに おいて新たな大規模研究施設建設の将来計画に関しての各国の取組みや 提案は、ロードマップ等を踏まえたものとなっている。 一方、我が国においては、そのような対応がなされていなかったところ。 このため、現状では我が国の大規模プロジェクトに対する方針がみえにくく、 早急に我が国の姿勢の明確化が求められている。 日本版「ロードマップ」の策定により、我が国における大規模プロジェクトの の取組みや提案を明確化することが可能となったところ。 今後は諸外国との国際的な連携と協力の下で、我が国がプロジェクトに 参画するにあたっての国としての基本的な支援方策が必要。 大規模学術フロンティア促進事業の創設 日本版「ロードマップ」の策定を契機として、我が国がこれまで培ってきた世界に誇る「科学技術」の有用性を再認識し、国際協調・国際共 同による大規模プロジェクトへの安定的・継続的な支援を図るべく、新たに「大規模学術フロンティア促進事業」を創設する。 ○日本版「ロードマップ」を計画的に実施する事業として、これまでにない科学技術・学術への支援方策として、今後様々な研究分野の 研究動向に応じた戦略的・機動的な大規模プロジェクトの推進が可能となる。 ○本事業の推進は、大規模プロジェクトの推進に代表される「科学技術・学術への投資」を象徴するものであり、世界的に厳しい財政状況下 にある今、人類の将来への先行投資と国際公共財の創出という国際的な貢献の観点から、震災からの「開かれた復興」を目指す日本に とって、世界における日本のプレゼンス、日本の底力を世界にアピールすることができる。 大規模学術フロンティア促進事業に係る政府方針等に関する記述 平成24年度予算の概算要求組替え基準について(平成23年9月20日閣議決定) 平成24年度予算の概算要求組替え基準について(平成23年9月20日閣議決定) 1.平成24年度予算の概算要求に当たっての基本的考え方 (2)我が国経済社会の再生に向けた取組(「日本再生重点化措置」) ②各省からの「要望」 ロ)重点化措置の対象となる分野 ⅰ)新たなフロンティア及び新成長戦略(科学技術・エネルギー・海洋・宇宙等、インフラ整備を含めた成長基盤の強化) 新成長戦略~「元気な日本」復活のシナリオ~(平成22年6月18日閣議決定) 新成長戦略~「元気な日本」復活のシナリオ~(平成22年6月18日閣議決定) 第3章 7つの戦略分野の基本方針と目標とする成果 (5)科学・技術・情報通信立国戦略 (研究環境・イノベーション創出条件の整備、推進体制の強化) (中略)基礎研究の振興と宇宙・海洋分野など新フロンティアの開拓を進める (中略)独自の分野で世界トップに立つ大学・研究機関の数を増やす 《21世紀日本の復活に向けた21の国家戦略プロジェクト》 (成長を支えるプラット・フォーム) Ⅴ. 科学・技術・情報通信立国における国家戦略プロジェクト (15.「リーディング大学院」構想等による国際競争力強化と人材育成) (中略)最先端研究施設・設備や支援体制等の環境整備により国内外から優秀な研究者を引き付けて国際頭脳循環の核となる研究拠点(中略)を形成する。 成功戦略実行計画(工程表) Ⅴ 科学・技術・情報通信立国戦略 1.国際競争力ある科学・技術・イノベーションシステムの構築 国際化 「トップレベル頭脳循環システム(仮称)」の構築 ・国際研究開発拠点、最先端共同研究施設・設備、研究支援体制の整備 第4期科学技術基本計画(平成23年8月19日閣議決定) 第4期科学技術基本計画(平成23年8月19日閣議決定) Ⅳ.基礎研究及び人材育成の強化 1.基本方針 (中略)我が国の科学技術イノベーションの礎を確たるものとするためには、国として、独創的で多様な基礎研究を重視し、これを一層強力に推進していくことが 不可欠であり、基礎研究の抜本的強化に向けた取組を進める。 2.基礎研究の抜本的強化 (2)世界トップレベルの基礎研究の強化 国内外の優れた研究者を惹き付け、世界最先端の研究開発を推進するとともに、国際的に高く評価される研究を更に延ばすためには、国際研究ネットワークのハブ となり得る研究拠点を形成する必要がある。このため、世界トップレベルの研究活動、教育活動を行う拠点の形成に向け、大学運営の改革と弾力化を促進するとともに、 海外の優れた研究者や学生が活発に行き来し、かつ、定着するための環境整備を進める。 4.国際水準の研究環境及び基盤の形成 (1)大学及び公的研究機関における研究開発環境の整備 ・国は、大学が中心になって進める科学研究の大型プロジェクトについて、研究者コミュニティーの議論を踏まえて、運用段階も含めた推進計画を策定し、これを基本としつつ、 客観的かつ透明性の高い評価の実施の上で、安定的、継続的な支援を行う。