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2015-2024
お申し込み・お問い合わせはこちらから 03-5696-3370 0120-21-0546 購入特典 24時間受付 下の申込書に、必要事項をご記入のうえ、 そのままファクスでお送りください。 ご購入いただいた皆様には、 『日経ビジネス Digital』 6ヵ月購読をプレゼントします。 日経BP社読者サービスセンター(TEL 03-5696-6000 年中無休9:00〜22:00) ■申込書の右下に記載のお申し込みコードをお伝えください。 ■電話でもクレジットカード支払いを承ります。 http://nkbp.jp/m-catalog お申込書 ※ 『日経ビジネスDigital』 のご利用に関しましては、 本商品をお申し込みいただいたメールアドレス宛てにご案内いたします。 ご利用を希望されるメールアドレスをご記入ください。 ※ご希望の数量とお届け先をご記入ください。 メガトレンド 2015-2024 2014 年 11月26日発行 本体価格 450,000円+税 商品番号 235560 部 テクノロジー・ロードマップ 2015-2024 2014 年 12月17日発行(予定) 本体価格 300,000円+税 商品番号 235570 部 テクノロジー・ロードマップ 2015-2024 ICT融合新産業編 2014 年 11月29日発行 本体価格 200,000円+税 商品番号 235580 部 メガトレンド 2015-2024 自動車・エネルギー編 2014 年 12月25日発行(予定) 本体価格 300,000円+税 商品番号 235590 部 メガトレンド 2015-2024 ICT・エレクトロニクス編 2014 年 12月28日発行(予定) 本体価格 300,000円+税 商品番号 235600 部 商品番号 商品番号 235560 235593 セット 商品番号 235610 セット 商品番号 商品番号 235560 235603 セット 商品番号 235620 セット メガトレンド 2015-2024 メガトレンド 2015-2024 自動車・エネルギー編 セット購入 本体価格 650,000円+税 2014年内の お申込みは こちらへ 本体価格 650,000円+税 2015年から のお申込み はこちらへ 本体価格 650,000円+税 2014年内の お申込みは こちらへ 本体価格 650,000円+税 2015年から のお申込み はこちらへ ※2014年内のセット購入に関しましては、発送及び請求が個別になります。予めご了承ください。 メガトレンド 2015-2024 メガトレンド 2015-2024 自動車・エネルギー編 セット購入 メガトレンド 2015-2024 メガトレンド 2015-2024 ICT・エレクトロニクス編 セット購入 ※2014年内のセット購入に関しましては、発送及び請求が個別になります。予めご了承ください。 メガトレンド 2015-2024 メガトレンド 2015-2024 ICT・エレクトロニクス編 セット購入 フリガナ お名前 (姓) (名) ※必ず個人名(フルネーム) をご記入下さい。 (セイ) (メイ) ご送付先 E-mailアドレス 印を入れてください) ※マンション・ビル名・部屋番号様方もお忘れなくご記入ください。 お役職 FAX ご所属 会社名 TEL □会社(上記で記入の住所が会社の場合 ■ メガトレンド 2015-2024 メガトレンド 2015-2024 自動車・エネルギー編 メガトレンド 2015-2024 ICT・エレクトロニクス編 @ お電話でお申し込みの場合はオペレーターにお申し込みコードをお伝えください。 お申し込みコード 30-404111 お支払いは、商品同封の払い込み用紙でお願いいたします。 クレジットカード払いも承ります。 ■ お申し込み内容により、 クレジットカードもしくは銀行前払いをお願いする場合があります。 予めご了承ください。 ■ この商品の返品・キャンセルはお受けできません。 (返品不可) ■ ご記入いただいた住所やE-mailアドレスなどは、 日経BP社からの事務連絡にも使わせていただきます。 これ以外に日経BP社および日経BPグループ会社から、各種ご案内(刊行物、展示会、 セミナー 等) やアンケート、広告主等の製品サービスのご案内をさせていただく場合があります。 このほか、 「個人情報取得に関するご説明」 (http://www.nikkeibp.co.jp/p8.html) をお読みいただき、 ご同意の うえ、 お申し込みください。 ■ 価格は全て 【本体価格+税】 で国内料金となっています。 ■ 発行済の商品に関しましては、 お申し込みから3∼7日でお届けします (年末年始除く)。 NEW5-201411 ■ 産業・技術・社会の未来を予測する 日経BP未来研究所の最新レポート テクノロジー・ロードマップ 2015-2024 テクノロジー・ロードマップ2015-2024 ICT 融合新産業編 当たらない未来予測が、 当たらないワケ 科学・技術 機械系 ③高名な個人 電子系 ・指導者 / 政治家 ・学者 / 知識人 ・カリスマ経営者 化学系 生物系 その理解なくして、未来のかたちを想像することなどできるはずもないのだから。 話題の広がり 各領域をバラバラに分析していても、領域を超えて起こりつつある変化の「メカニズム」を理解することはできない。 人と社会 株式会社 盛之助 代表取締役社長 川口盛之助 地政学 経済・金融 情報 科学・技術 心理・生理 近未来 氏 予測レンジの長さ 分野特化 ①分野エキスパート 遠未来 ・調査会社 ・業界アナリスト ・アルファブロガー キュレーションサービス ロードマップ集 ・不動産や金融市況予測 ・業界予測調査レポート ・マーケティングレポート 短期予測 集団化 ・2030年の世界像 ・2030年の日本 ・2040年への戦略 広範囲 ②メディア事業者 ・ビジネス誌 ・新聞社 ・情報配信社 科学・技術 機械系 ③高名な 電子系 ・指導者 ・学者 / 知 ・カリスマ 化学系 生物系 ・2015年大予測 ・2015年総予測 ・有望ビジネス展望 ・ ・系 人と社会 著名人化 そうなりたくないのであれば、 「当たらない」未来予測をしないことだ。 まず、絶対に避けねばならないのは「専門家だけを集め、分業で未来を予測する」こと。 長期予測 ④大規模研究機関 ・各国政府系機関 ・グローバル コンサルファーム ・金融系総研 話題の広がり 著名人化 ・ ・系 監修者化 権威団体化 決してそうはならない未来を信じ、 それを基に企業戦略を立てることほど滑稽なことはない。 ・地球環境問題 ・地政学的な 国家関係の変化 ・働き方の変化 ・情報化社会の未来像 ・生命工学の進化予測 地政学 経済・金融 情報 科学・技術 心理・生理 近未来 予測レンジの長さ ①分野エ 遠未来 図2 個別未来像の精緻さがぼやける遠未来の予測 図1 予測レポートの4 類型化 未来を語る書籍はあまたある。ただ、一口に未来予測と言って ただ現実としては、未来を予測する場合には分野ごとの最新ト 市のスマート化を進めていく。最近では、健康・医療、身体といっ 味」を理解し、何がどのようなメカニズムでどの領域に影響を与 も論ずる領域や時間帯は様々だ。これらを分類すれば、大きく以 レンドを分析することに比重が置かれがちで、その比重が増せば た領域でも強い影響力を及ぼすようになってきた。機械、建築、 えていくか、その結果として何が生まれるかを見通す目を持つこ 下のように集約できるだろう。すなわち、 ①短期予測×分野特化、 増すほど「当たらない未来予測」になる可能性は大きくなってい 医療など「他分野のもの」と思っていた技術があまねくICTの影 とである。こうしたジェネラリスト的視点とスペシャリスト的視 ②短期予測×広範囲、③長期予測×分野特化、④長期予測×広範 く。技術分野に限って見ても、分野内で技術はさらに細分化され 響を強く受け、それぞれの垣根を壊しながら一つの巨大システム 点の両方を備えることが、未来を予測するうえでは大前提になる 囲の4パターンである。 ている。その細かな分野にはそれぞれに学会が存在し、ときにテ に統合される方向へと進んでいるようだ。これによって人の価値 といえるだろう。 予測の時間軸で比較すると(図1の縦軸) 、遠い未来の展望にな クノロジー・ロードマップを描き、新技術が拓く未来像を提示し 観も大きく変化し、働き方からリーダーシップの在り方にまで大 るほど書き手には無名の業界アナリストよりは高名な学者や経営 たりもする。しかし、それは本当の未来像ではないだろう。各分 きな影響を与えることになる。組織のフラット化や組織運営の可 者というように「権威」が求められるようになるようだ。一方で、 野の技術は単独で勝手に進化するわけではなく、他分野で発生し 視化といった動きは、その一端といえる。 領域幅(図1の横軸)で見ると、幅が広がるほど著者陣の人数が た技術の影響を強く受け、ときに融合しながら新技術を生み出し このように領域を超えた体系の再構築が進む過程において、各 ただ、専門家集団にジェネラリストを加えればいいというわけ 増えていく。たとえば章ごとに担当執筆者を選任する方法で、著 ていくわけだから。 領域をバラバラに分析していても、そこから何が生まれてくるか ではない。なすべきは分業ではなく協業で、その協業においてい 名人などが全体の「監修者」として冠される場合もある。 さらにいえば技術の進化は、それをビジネスに落とし込んだ を予測することは極めて難しい。長期的な予測をしようとするな かに一体感を高めるかである。ジェネラリストが最低限の専門知 このやり方は現実的かつ効率的だが、弱点もある。著者が増え 場合の市場性や収益性と密接な関係にある( 22 ∼ 25ページ「ど らば、広い視野が必須ということだ。そのうえで、境界領域での 識を習得しておくべきなのはもちろんだが、各分野のスペシャリ るほど主張の羅列になりがちで、全体像が不鮮明になるおそれが れだけ技術を学んでも技術の進化は測れない」参照) 。要するに、 現象、さらには領域をまたいで発生する動きのメカニズムを見抜 ストもあまねく、広い視点で捉えたトレンドについて理解を深め、 増すのだ。短期予測の場合には、さほど大きな問題にはなりにく その分野だけ、技術だけをみていても、未来を予測することはで かなくてはならない。しかし、その作業には極めて大きな困難を 全員がチームとしての 「共通認識」 を植え付けておかねばならない。 い。しかし長期予測では、他分野からの影響が各分野の未来に大 きないのである。 伴う。専門家による精緻な予測結果は、その分野における常識や 筆者が著した、全産業分野における10年後までの未来を予測す 定説を網羅していて がなく、論破が難しい。結局は「専門家が る『メガトレンド』は、 この「ジェネラリスト」の視点を提供し、 言っているのだからそうなのだろう」と信じるしかないのだ。こ 未来予測に関わるチームに「共通認識」を提供することを目的と れは企業の経営会議や企画会議などで日々繰り広げられている光 したものである。ここに示しているのは、各分野におけるトレン きく関わってくるようになるのでやっかいだ。専門家が担当分野 のみを見て予測を立てた結果、 「個々の予測には説得力があるが、 「分野を超えた影響」で未来は動く それらが同時に実現することは論理的にあり得ない」といった自 分業ではなく、 「一体感のある」協業を 己矛盾をはらむ結論が示されることになりかねない。 分野をまたぐ影響ということについて、もう少し詳しく見てい 景でもある。 ドの羅列ではない。領域横断的な視点で抽出した「未来像を決定 それでも、多くのレポートが専門家グループの分業によって作 きたい。 決してそうはならない未来を信じ、それを基に企業戦略を立て づけるメガトレンド」である。著作では、メガトレンドの本質、 成されているのは、未来を予測するためには各分野の専門知識が この現象において現時点で極めて重要な役割を担っているのは ることほど滑稽なことはない。そうなりたくないのであれば、 「専 それらがもたらす変化、その兆候などを明らかにすると同時に、 必要になるからである。ただ長い目で見れば、分野を超えた相互 ICTであろう。たとえば自動車分野では、ICTがこの分野に飛び 門家だけを集めて未来を予測する」ことをやめるべきだろう。も 具体的にメガトレンドが各産業分野にどのような変化をもたらす 作用こそが未来を決める大きな要因になっていく。つまり、分野 火したことで目玉技術は駆動関連から自律走行へと移行しつつあ ちろん、専門分野の知識、技術に対する理解は欠かせない。だが、 かについても論じている。 という領域は遠い未来になればなるほど不明瞭になっていくので る。ICTの影響力はそこにとどまらない。自動車から道路などの それだけでは足りない。専門家としての視点に加え、さまざまな この執筆に当たって悩んだのが、先に挙げた一体感の問題であ ある(図2) 。 インフラ分野でも既存技術と融合しながら新技術を生み出し、都 領域を視野に収め、そこで起こりつつあるさまざまな変化の「意 る。そして最終的には、それを究極的に実現する方法として「全 ・調査会社 ・業界アナ ・アルファ 経済金融 地政学政治 ロングリスト 約1000 件 テーマ 2 打ち手 地政学・政治 ライフスタイル 電機 自動車 ファッション 情報処理・ロボット 自動車 電機 ITメディア 市場規模成長性 テーマ1 中課題 打ち手b 自動車・輸送機 医療 事例紹介表 化学 衣住 農業・食品 金融・不動産 NPO 医療・健康 農食 先端事例 解説 インフラ サービス 金融 1.000 39 AR拡張現実 20 都市インフラ輸出 第3章 21.1 リバースイノベーション 第9章 インフラ 電機 I T・メディア 流通・サービス 衣料・住宅 NPO 図3 メガトレンドの制作工程 4 家族の希薄化 22空気や水の 汚染防止・浄化 17 癒し機能への欲求 19 ジモティ・ヤンキー化する若者 ③記事の量が少ないが、 世の中より ビジネス界の関心の方が更に低い 0.001 10 第5章 44.1 労働者のモジュール化 18 女性化と 10移住ビジネス ユニセックス化 0.010 29 エネルギー効率向上 第8章 第2章 7 ペット関連市場 グローバル化 第6章 第7章 第1章 0.100 27開発・製造・消費の 第4章 ÷ 環境・バイオ 世間の方がビジネス界より 関心が高い 打ち手a 自動車 中課題 重複領域でのトレンドとは? 課題 医療 環境バイオ アプローチ アプローチ メタトレンド抽出 経済・金融 ヒアリング 金融 情報処理ロボット 大課題A テーマ1 Cloud 農食 自然科学 大課題B テーマ 1 テーマ2テーマ3 データベース テーマ50 テーマ3 テーマ2 テーマ1 ライフスタイル アートファッション 全体像構造化 サ ビース 人文科学 調査分析 業界別未来像に 結果翻訳 NPO IT インフラ 電機 化学 自動車 医療 金融 農食 サ ビース ショートリスト 50テーマ化 各テーマ全体像調査 イシューツリー化と市場性評価 日経BP件数 グーグルヒット 件数比率 ︵%︶ 社会科学 主要課題の グルーピングと集約 ビジネス界の方が 世間より関心が高い 未来文献 読み込み ① 記事の量が多く、 世の中全般より ビジネス界の関心の方が高い ② 記事量が少ないが、 世の中全般より ビジネス界の関心は高い 100 記事が少ない ④記事の量は多いが、 世の中全体は ビジネス界より更に関心が高い 1,000 10,000 日経BPビズボード記事件数 100,000 記事が多い 図4 50 のテーマの世の中関心度とビジネス界関心度のバランスプロット 部一人でやる」ことを決断した。特定の技術や業界に対する思い 込みたいとの思いから、さらに丸1年を費やして約200ページ分に 入れを排除し、 「さまざまな分野の動向を調査し、課題と打ち手 及ぶ加筆と、最新情報を踏まえつつ全編を見直すという作業を進 の関係を整理、人に伝えられるよう要約、図式化する」という一 めた。その成果が『メガトレンド2015−2024』である。A4で720 連の作業を一つの頭脳内で完結させようとしたのである。 ページ、文字数にして45万文字、総重量5.8㎏という巨大な代物だ。 50項目についてさらに分析していくと、各領域における出来 の防災に関するテーマが論じられている。項目別で見れば、最も こうした足掛け3年に及ぶ作業を通じて、筆者は一つの「未来 事をざっと眺めていただけでは気付かなかった、さまざまな現象 右上の話題はエネルギー枯渇に関するものだ。一方で左下には、 予測手法」を編み出せたと信じている。もちろんこれが普遍的か が見えてくる。ここでは、その一つを紹介してみたい。 国民と社会資本の老齢化に関する社会課題について論じた第1章 つ最良の手法というわけではないだろう。しかし、現時点にお 50項目を9項目にまとめたのが以下の分類である。ここで示し のテーマが数多くプロットされている。特に値が低いのが、 「家 理屈から言えば、理想的な方法である。だが、それには致命的 いて5年先、10年先といった近未来の姿を垣間見る方法としては、 た9項目は、そのまま『メガトレンド2015−2024』の第1章∼第9 族の希薄化」 「ユニセックス化」 「ジモティ化する若者」などの話 な欠陥があった。作業量が膨大になり過ぎることだ。すでに該当 かなり有効なものではないかと思う。 章に対応している( 12 ∼ 13ページ参照) 。まず、 9項目ついて「世 題だ。これらのテーマは、世間では頻繁に語られている関心事で 分野の専門知識をふんだんに持つスタッフが集まって、それぞれ その手順は、未来予測にかかわる主要な著作物、レポート、論 間での関心の高さと、ビジネス界の関心の高さの相関」を割り出 あるにもかかわらず、ビジネス界ではあまり興味を持たれていな 得意な部分を分担すれば、作業はきわめて効率的に進む。それを 文などの文献類を読み込む作業から始まる。筆者の場合、100以 した結果を図4に示した。関心の高さについては、各テーマ固有 いという状況にある。 せず、さまざまな領域の専門知識を一から頭脳に注入し、さらに 上の文献類を読み込み、そこで語られるユニークな示唆を洗い出 のキーワードを選び、グーグルと日経BPビズボードという2種の この現象は、日本における事業戦略の在り方を、端的に表して は最近の動きをトレースしていく作業は、まさに地獄だった。し して整理し、約1000項目のロングリストへと翻訳した。次に、こ データベースを検索することで推定した。右上ほどビジネス界の いる。太陽光発電や燃料電池自動車、スマートグリッドなどの話 かもそれは準備運動にすぎない。それらの情報を横断的に見渡す れら項目のグルーピングを繰り返し、独自の視点を盛り込みつつ 関心だけが高く、左下ほど世間での高い関心に比べてビジネス界 題は、 企業で極めて関心が高い。 実際、 多くの企業でこの分野を 「有 ことでメガトレンドという現象を発見し、その本質を理解するこ 最終的には9分類50項目のショートリストへと絞り込んだ。この の関心が薄いことを意味している。 望事業」と位置づけ、中期経営計画、新規事業計画に盛り込んで とこそが目的なのであるから。 50の項目については、関連するビジネスの広がりについて網羅的 実際、すさまじい量の作業と時間をこのレポート作成のために に調べ、関連する「課題」とその「打ち手」の関係性をイシュー 誰もメガトレンドからは逃れられない 費やした。構想を練り始めたのは2012年のことである。まずは筆 ツリー構造にまとめた。並行して、注目すべきビジネス上の動き 者と日経BP未来研究所のスタッフとの間で、未来像描写の作業 については、関連する市場データ、国内外におけるユニークな事 に対する思考プロセスや押さえるべき要所、具体論としての未来 例などについても情報を集めた。 (図3) イメージの共有などについて何カ月もかけて議論を重ねた。実際 最も右上に位置する話題は第5章と第6章だ。第6章はビジネス 市場の関心と企業の関心に存在するギャップ モデルの進化に関する項目群、第5章はサステナブルに関する項 目群で、エネルギー不足や食料、資源不足問題に加えて天災など いるはずだ。しかしその分野は、すでに群がるように各社が取り 組んでいる。企業の立場でいえば、この事業計画を採択、実行す 第1章 先進国の本格的老衰:成熟がもたらす新市場 第2章 新興国の成長ラッシュ:日本企業躍進の起爆剤 第3章 成長ラッシュの穽:速すぎる変化がもたらす負の現象 るということは、レッドオーシャンでのし烈な戦いに自ら身を投 じることでもあるのだ。 第4章 市場の強大化:国家機能にも及ぶその影響 一方で、たとえば女性化のテーマに関しては取り組みは本格化 こうして抽出した50項目=メガトレンドは、私たちの思惑や 第5章「消費が美徳」 だった時代の終焉:サステナブルな価値観の台頭 しておらず、企業の関心も高くない。しかし、たとえば米国では、 の情報収集、分析の作業に着手できたのは2013年に入ってから 願いとは無関係に、世の中全体に加わる圧力である。私たち、そ 第6章 ポスト工業化社会の実像: 「人の心を算出する」機能の商用化 LGBT(同性愛者市場)はすでに100兆円に近い規模にまで膨らん である。そこからほぼ1年間の作業を経て『メガトレンド2014− して企業や自治体などあらゆる組織は、メガトレンドがもたらす 2023』は完成した。 変化に対し、これから知恵と工夫を凝らして手を打っていく必要 その執筆過程で、新たに気付くことが多くあった。それを盛り に迫られることになるのだ。 第7章 リアルとバーチャルの相互連動:脳から都市までスマート化が加速 第8章 会社も働き方も変わる:一所一生懸命から オンデマンド機能提供型へ 第9章 超人化する人類:生態と進化の人工操作への挑戦 でいる。それでも、日本企業が関心を示さないということの意味 を真剣に考えるべきではないか。 この図が気付かせてくれるのは、 そのことであろう。 メガトレンド 未来をかたちづくる 「 50のメガトレンド」は、社会と産業に どのような変化をもたらすか? 『メガトレンド 2015-2024 』の予測プロセス 未来予測に関する書籍、雑誌記事、報告書、各種予測データなどから数百に及ぶトレンドを抽出、 それを人・社会・技術のライフサイ クル、成熟度といった視座から構造化し、50のメガトレンドに収斂させました。具体的な未来像を明らかにするために、 このメガトレン ドという 「特記すべき重大な変化」がどのような動きを誘発し、社会や産業に何をもたらすかを提示しています。 1 メガトレンド ロングリスト作成(情報インプットと分析) メガトレンド 2015-2024 本レポートは、未来に関連する膨大な文献 や統計データを人・社会・ 技術のライフ 未来予測関連書籍 統計/新聞記事/Web 技術のライフサイクル分析 国の成長・成熟の分析 ▶技術・ 自然科学系 ▶ 「人」 に関する統計とキーワード抽出 ▶土木 ▶情報 ▶イタリア ▶アメリカ ▶社会学・経済学系 ▶ 「社会」 に関する統計とキーワード抽出 ▶建築 ▶サービス ▶オランダ ▶日本 ▶地政学・歴史学系 ▶ 「技術」 に関する統計とキーワード抽出 ▶機械 ▶脳 ▶イギリス ▶韓国 ▶国内ビジネス誌 ▶ 「経営・ビジネス」に関する統計と ▶電気 ▶生命 ▶ドイツ ▶中国 ▶国内シンクタンク キーワード抽出 ▶電子 ・人文科学・自然科学の 2 社会科学 視点での構造解析 など 知性 老後もときめきたい 贅沢サービス 憧れだった高級旅館など 1. 自動車・輸送機器 ビジネスモデル設計∼ファンディング 大義名分として 習い事は美しい 工程自動化 合理化 農作物改良 農作物開発 物欲 高級消費財 憧れだった高級食材など 高級耐久財 憧れだった高級外車など I T農業 システム (例えば) 社交ダンス 楽器演奏 ロジスティクス 流通マネージ マーケティング 商品企画 農業の6次産業化 農産業クラスター化 農機 農薬 流通 小売り 外食産業 給食 贅沢品 ②安全性欲求 (住居・衣服・貯金) 安心 利殖∼保険 貧乏老後は怖い 身体 ぴんぴんコロリが理想 脳力 ボケたくない 消費者 流通 小売り ときめき体験は 健康増進に 極めて効果的 健康 事業者 官公庁 食料確保 人文科学 的視点 帰属欲求(安心) 100 感性的 ICTスステム 80 6. 衣料・インテリア・雑貨 ソフト 安全欲求 (暴力) プログラム的 複雑なセット品 40 リアル系 インフラ アナログ部品 設計構造的 高機能素材 20 物理特性的 0 1950 70 90 2010 30 50 要素 (年) 部品 セット品 7. 農業・食品 システム 扱う商材の組み合わせ度 建築 土木 スウェーデン 90 ニュージーランド 85 タイ 80 フィリピン インドネシア 60 0 2万 オーストラリア シンガポール 韓国 65 日本 イタリア 4万 6万 一人当たりGDP (US$) 8万 9. 流通・サービス フランス スペイン デンマーク スイス ポーランド 15. 0 ハンガリー 10. 0 5. 0 世代間不均衡率 女性得点比率 25. 0 20. 0 カナダ フランス 米国 ドイツ 香港 ブラジル 70 55 英国 ロシア 75 男好成績 ハード道具 男︶ 得点差 ︵女 ― ハードシステム 女性労働力率 95 (%) 豊かになると学業成績が良い 女好成績 制御プログラム 男働く 自然科学 的視点 労働力率女/男 比率 ︵%︶ 脳 豊かになると社会参加 女働く サービス 生命 8. インフラ・建築・エネルギー 生命体 精神 (サービス) 成 熟 成 熟 情報 技術の成長 ライフサイクル フサイクル」の調査分析結果を新たに掲載し、全編を大幅アップデートしています。 3. IT・メディア・コンテンツ 5. 素形材・化学 経営・経済 システム 情報機器 自然言語的 60 生理的欲求 (生存) 機械 電気 電子 2. 電子・電気・機械 4. 医療・美容・健康 自己実現欲求 (無償) たが、本レポートは、 「市場規模関連情報」 「世界のユニークな情報」 「検索キーワードライ ご活用いただきたい企業 ③社会的欲求 (友情・協同・人間関係) ①生理的欲求 (食欲・睡眠・性欲) 成 熟 『メガトレンド 2014-2023 』を発刊しまし 旧交を温めたい 魅力的と思われたい アグリツーリズム∼工場見学 経済発展 自我欲求(賞賛) アフリカ 地域社会∼ NGO 習い事や新体験で進化 交流会 男女交流 鉱工業 マレーシア 印 民主化 法治化 社会貢献 学習∼体験 美容∼ファッション 交友 性欲 農業 成 熟 中 シンガポール 国の成長 ライフサイクル 韓 社会科学 的視点 ⑤自己実現欲求 ④自我の欲求 (他者からの尊敬・評価) 成 熟 自由人権 英 西 伊 日 米 してまとめ、それらが様々な産業分野に何 をもたらすかを明らかにしました。2013年に 使命 マズロー的 欲求階層 世界との共生 「未来をかたちづくる50のメガトレンド」と など ガトレンドに収斂させ、 3 人50・テーマのメ 4 各産業分野の未来像と 社会・技術の未来を予測 新たなビジネスモデルを予測 サイクルの視点で分析し、未来像をあぶり 出すものです。これから起きる劇的な変化を ▶インド 韓国 10. 金融・保険・不動産 日本 インドネシア + 0. 0 −5. 0 1000 ブラジル チェコ 米国 1万 − 10万 一人当たりGDP (US$) −100 −150 ※世代間不均衡率 各国別・年齢別の生涯純受益を算出した上で、1995年時点での0歳世代の生涯負担に対する将来世代の生涯負担の比率を計算したもの。 ◆ 新規事業創出/事業領域開拓に取り組む企業 ◆ 既存事業の見直しに取り組む企業 ◆ 現状をベースとした経営計画 11. NPO・NGO では成長が見込めない企業 ◆シンクタンク ◆コンサルティング会社 ご活用いただきたい部門 ◆経営企画 ◆新規事業開発 ◆技術開発 ◆市場調査・予測 ◆マーケティング 『メガトレンド 2015-2024 』の新コンテンツ (『メガトレンド 2014-2023』 アップデート) 未来の市場規模や先端事例に関する調査分析結果を約200ページ加え、720ページのボリュームで未来を予測します。 1 市場規模関連情報 著者:川口 盛之助/2014年11月26日発行/レポート (A4変型判、720ページ) CD-ROM(本体に掲載された図表データを収録)/本体価格 450,000円+税/発行:日経BP社 各テーマで論じている市場の規模 や成長度合いをイメージするため に、関連するマーケットデータをグラ フで表記しています。金額的な市 場規模予測データが入手しにくい 場合には、対象とする属性の人口 動態や代表的企業の成長度合い などを示しています。市場が顕在 化していない萌芽テーマの場合に は、対象となる技術論文の推移な どで将来性を表しています。 2 世界のユニークな情報 各テーマで、 2~3件の先駆的な事 例を抜き出して内容を紹介をして います。多少奇抜な事例、商業規 模的にはまだまだ取るに足らない 事例、企画アイデアだけの事例も 含まれていますが、世界にはここま で進んだビジネスを考えている人た ちがいるということを理解するため に、注目すべき先端事例を取り上 げています。 3 検索キーワードライフサイクル 各テーマで特徴的なキーワードを選 び出し、 データベース検索した結果 を示しました。特に重要なワードに 関しては、 グーグルトレンド及び日経 BPビズボードのチャートとしてイン パクトの時間推移を表記し、結果を 解説しています。 また、 日経BPビズ ボードによるヒット数とグーグル検 索によるヒット数結果を記し、 それら の比率によってビジネス界と一般 世間の関心度の比率 (プロアマ比 率) を算出しています。 メガトレンド 2015-2024 目次 序章 第3章 成長ラッシュの穽: 速すぎる変化がもたらす負の現象 人口予測と経済予測 全体の思想について 由して左方向に重心が移動しつつあるというこ とんどなされないまま、医薬開発や手術技術の とだ。 開発が進んできた。ここに遂に生化学が挑みつ 一方で科学は、右下の生体~人体の解明を つある様子も図7に見て取れる。黒線で囲った 目指す方向で急激に流れが生まれつつある。 医学(医術)の世界に上から緑枠線の生化学や DNA 構造が判明しコンピュータの能力の発達 ②三つの科学で考える ③ライフサイクル (主役交代と成熟 の視点) で考える 「人間の心理」はさらに複雑なもので、科学が る。ヒトゲノム計画が2003年に人間のDNA解 苦手とするところだ。そもそも心理学というカ 析を完了し、今では唾液を郵送すれば 99ドル テゴリー自体が立ち上がったのは20 世紀の初 で自分のDNA配列がわかるまでに進歩してい 頭のことで、非常に若い学問なのである。だが、 る。iPS細胞の発明が医学の発達を急加速させ ここにも情報工学の発展の成果が及び始めて ることも期待できる。 いる。ビッグデータという帰納的な計算手法が 従来の「医学」は限りなく「医術」の延長であ マーケティングに威力を発揮し始めている。画 り人間宇宙の複雑さの前にメカニズム解明はほ 像認識や音声認識の技術も充実し、同時に脳を 図8 学問ソーシャルグラフの意味 人間の知恵と工夫は「技術による人間代替」、 「不老長寿」、 「心の安寧」、 「勝利と統治」の4極を目指して進 歩してきたといえる。 後発ほど加速する成長速度 高速成長で生じるゆがみ 成長優先で後回しになる課題とは 3 迫りくる中国・華為技術(ファーウェイ)や台湾 前章でも述べたように、新興国の成長速度は HTC社などとの泥沼合戦にも向き合わなけれ 時代を追うほどに加速している。これは製品の 22.空気や水の汚染防止・浄化技術 メガトレンドの読み方: 本文構成について 総論 総論 後発ほど加速する成長速度 23.「食の安全」問題 ばならないという悩みは切実だ。前述のように、 ライフサイクルが加速していることと同じメカ 韓国貿易協会国際貿易研究院はその2013年の ニズムであることは説明した通りである。 レポートの中で、素材・部品分野で日本に対す ヒト・モノ・カネ&情報の移動性が高まり必 る韓国の貿易収支赤字が年々膨らみ続ける一 要なリソースは調達しやすくなった。成功モデ 方で、中国からのIT部品輸入比率も高まってい ルに対するベンチマークも後発であるほどに、 ることに懸念を示している。日本に追い付く前 先達たちの試行錯誤の結果が織り込まれて分 に中国に追い付かれる加速度にしびれている 析が精緻化してくるので、キャッチアップ速度 のだ。高速に利益を回収し、次のモデルへと変 はますます加速する。追われる方には、新たに 貌しなければならない。こうして商品レベルか 価値を生み出す仕組みを作るイノベーションが ら、企業という単位、あるいは都市や国家の単 求められるわけだ。 位においてもスピード成長競争が繰り広げられ 一方で追いつく側は、自らと同様に遅れてス ることになっている。 タートした新興国が強敵となる。韓国サムスン 速度優先の成長モデルは、その社会の中の弱 電子が先達のソニーやアップルにキャッチアッ 者にとって大きなストレスを強いる。現にサム プする方法論を手にしたと同時に、すぐ後ろに スンでは実質定年40歳となり、若くて低コスト 図36 富裕国と貧困国の格差推移 一人当たりGDPの国際順位の高い国の値を低い国の値で割った倍率を示した。 24.多剤耐性菌対策 一人当たりのGDPの国際順位倍率比率 (倍) 100 25.ユースバルジとBOPビジネス 出所:筆者が作成 成長ラッシュの穽:速すぎる変化がもたらす負の現象 ①課題から落とす 総論 生命科学が覆い被さるように肉薄している。 とともにゲノム解析は飛躍的な進歩を見せてい 第6章 ポスト工業化社会の実像: 「人の心を算出する」機能の商用化 1 30位平均÷71 100位平均 メガトレンド 2014-2023 ©2013 Kawaguchi Morinosuke, All Rights Reserved. 1 20位平均÷21 50位平均 1.0 1975 001-022_序章_入校.indd 14 80 85 90 95 00 05 10 15(年) 出所:国際通貨基金(IMF)のデータを基に筆者が作成 2013/12/12 20:18 メガトレンド 2014-2023 ©2013 Kawaguchi Morinosuke, All Rights Reserved. 第1章 先進国の本格的老衰: 成熟がもたらす新市場 171-184_3章序文_入校.indd 173 1. シニア労働力活用 て、高齢者を労働力として活用する取り組みが 埋蔵金1500兆円の使い方 しかも今後の社会では、従来の業務で身につ 活発になっている。高年齢者雇用安定法の改正 けた知識や能力が通用しない可能性が高い。同 により、65歳までの希望者の継続雇用が2013 じ会社に残り続けるのであれば、自ら役職から 年度から企業に順次義務付けられる。完全義務 宿命の少子化 遠因はメカトロニクスの成熟化 先進国の本格的老衰:成熟がもたらす新市場 ベビーブーマーの老衰 身を引き、給与も減らした上で、若い世代を指 化の2025年度に向けて、企業や労働者は対応 導する役割に徹するべきかもしれない。これか を迫られそうだ。 らは業務面よりも精神面で、若手を支援する役 こうした労働者を抱え続けるのは、企業にと 割を求められる可能性がある(項目44.1「企業 って負担になり得る。とりわけ同じ企業に居続 と従業員:労働者のモジュール化」参照)。 ける高齢者は若手の活躍の場を奪いかねない。 労働力としての高齢者の活躍の場がなくなる 既に、若年層で高止まりする失業率の一因は、 わけではない。長期的には少子高齢化によって 高い年齢層の社員が居座るからとする見方が 日本の労働力は減り続けるためだ。これを補う1 図1-1 シニア労働力活用のイシューツリー Eラーニングで資格取得 再教育で 戦力化 企業内の配置転換 企業内研修・再教育 企業のサバティカル制 企業のギャップイヤー制 フランスの目的別休暇制度 イスラエルの小中学校教師も利用可 サービス 40歳定年制 電機 熟練作業 (工作機の西島など) 定年引上げなど奨励金 ファーストフード∼化粧品売り場など 小売り∼販売員 シニア起業支援 俺のフレンチ、 MetaMoji、 神内ファーム21、 スマートコミュニティ稲毛など シニア熟練ヘッドハント 人材バンク∼派遣 農食 若者教育、 若者支援 (子育て支援∼小学校補助教員) 大同生命厚生事業団など (障碍者、外国人、 高齢者、 子供などの支援) NPO、NGO JICAシニア海外ボランティア 金融 出所:筆者が作成 メガトレンド 2014-2023 ©2013 Kawaguchi Morinosuke, All Rights Reserved. 43 7.ペット関連市場の拡大 15.軍事技術の強化と輸出解禁 8.老朽インフラ対策 16.アナログ技術への回帰 9.世代間格差対策 17.癒やし機能への欲求 10.移住ビジネス 18.女性化とユニセックス化 11.観光ビジネス 19. 「ジモティー」 「ヤンキー」化する若者 281-308_6章_入校.indd 294 2013/12/12 20:33 力学の錯綜する環境問題 現実的な解釈とは 先進国の発展と ベビーブーマーの消費文化 200000 −0.60 −600000 情M 行政サービス代行 税金徴収代行 駐車監視員∼ 官民の境界 希薄化 警察∼軍事まで代行 民間軍事請負企業 弱者支援 NPO法人 くらし協同館なかよし コミュニティサロン 株式会社 シニア村 高齢者協同生活住宅 有限会社 花農場あわの 無農薬野菜レストラン NPO法人 わたらせライフサービス 来院者介助サービス事業 NPO法人 市民シアター・エフ 手作り映画館 社会福祉法人 めだかすとりぃむ 障碍者の工房 NPO法人 びーのびーの 地域住民の共同保育 NPO法人 暮らしと耐震協議会 家屋補強ソリューション NPO法人 スペースふう イベント向けのリユース食器レンタル 地域∼産業活性化 NPO/NGOの 行政サービス化 コミュニティビジネス 環境問題 災害・セキュリティ 社内SNS 農食 衣住 個人情報収集に協力 医健 マイクロソフトSo.cl、Google、 ヤフー、Facebook、 アップル、 AOL、Skype、YouTube、PalTalk PRISM 情M IOC ∼ FIFA(開催地)、UNESCO(世界遺産指定) 課税回避行為 化学 ヒト・モノ・空間の電装化とスマート化 リアル世界にタグを貼るという 大脳の長年の夢 スマートコミュニティも拡張現実 脳直結コミュニケート 第一生命、 ニトリ、 フジシール、 グリーなど 市場寡占化と 利益誘導 企業のIOC化 金融 Chatter、Spigitなど 従業員株式所有制 :ESOP サービス インフラ 医健 ①街づくり・観光・農業体験などの分野で地域活性化の人・ 仕組みづくり ②子育て支援・高齢者対策などの地域住民の抱える課題に 取り組む ③環境・健康・就労などの分野で社会の仕組みづくりに貢献 ④企業家育成、創業・経営の支援に取り組む 経産省 ソーシャルビジネス55選 社員の経営参加 情M 衣住 サービス グラミン銀行、 ベン&ジェリーズ・ホームメイド、 ザ・ボディショップ、 パタゴニア 営利社会的企業 輸送 農食 ソーシャル・ファーム 媒介的労働市場会社 弱者雇用∼訓練 社会貢献型事業 ソーシャルビジネス 企業の巨大化 社会公器化 (透明経営∼ CSR) 電機 転しなくなることから車への愛着が減り、所有 アリングの専門業者に加えて、自動車メーカー から利用の流れが加速される。この結果、自動 自らが事業に乗り出すようになるだろう。 車のシェアリングが当たり前になる。カーシェ 自動運転車のカーシェアリングが増えると、 IT製品 加工食品 200000 化学工業品 IT部品 精密機械 −100000 穀物 油脂・動植物 0.40 精密機械 鉄鉱石 輸送機器 プラスチック IT部品 化学工業品 一般機械 加工食品 金属 医薬 電気機器 IT製品 鉱物性燃料 −300000 −200000 雑製品 繊維・衣料 −100000 100000 200000 0 100000 雑製品 0.40 加工食品 油脂・動植物 繊維・衣料 IT製品 電気機器 IT部品 鉱物性燃料 一般機械 穀物 輸送機器 精密機械 鉄鉱石 化学工業品 0.00 −0.40 300000 ASEAN4 0.80 0.80 0.00 0 輸出額−輸入額(M$) 米国 −0.40 電気機器 穀物 鉄鉱石 −200000 輸出額−輸入額(M$) 1.20 金属 プラスチック 医薬 油脂・動植物 鉱物性燃料 −300000 プラスチック 金属 −0.80 −40000 医薬 −20000 0 20000 40000 60000 輸出額−輸入額(M$) 輸出額−輸入額(M$) 出所:日本貿易振興機構(ジェトロ)のデータを基に筆者が作成 メガトレンド 2014-2023 ©2013 Kawaguchi Morinosuke, All Rights Reserved. 137-154_2章序文_入校.indd 146 21.2.リバースイノベーション 2013/12/12 20:30 農食 耐熱性プロテオバクテリア 輸送 乾燥に強い屋上緑化植物 インフラ 有機塩素を分解するポプラ 農食 色や香りの良い花卉類 青いバラ 耐過酷環境 耐塩、耐乾燥、耐ウイルス 化学 化学 高栄養価作物 Βカロチン強化米(ゴールデンライス) 医薬品製造 道具を作る (食糧、燃料、道具) 動物 肝炎ワクチンバナナ ペットのクローン ペット 生物系 技術 猫アレルギーの少ない飼い猫 クローン動物 家畜のクローン キメラ動物 猿のキメラ (複数胚の融合) 臓器製造用 農食 医健 豚の肺を人間移植可能に 医健 乳牛の遺伝子組み換え 人の母乳成分を出す乳牛 農食 ヤギ、羊の遺伝子組み換え 人血清アルブミン、 モノクローナル抗体 などの薬効成分乳汁分泌 化学 ヤギの乳から蜘蛛の糸 養蚕 ホウレンソウ豚 環境負荷の少ない豚 リン成分が少ない豚 環境負荷の少ない牛 メタンのゲップをしない牛 成分が調整された鶏卵 アレルギーの出ない鶏卵 高強度蜘蛛の糸生産 医薬品工場化 高濃度インターフェロン 昆虫 害虫 生殖不能性のGM害虫散布 養殖効率改善 トランスジェニック魚類 穀物害虫の蛾 病原菌媒介の蚊 病気抵抗性 魚 観賞魚 蛍光遺伝子で光るメダカ 項目47 インフラ 医健 農食 衣住 部品利用 金融 ソフト 商品名ナイトパール 生体利用 センシング∼アクチュエーティング 化学 化学 寒さ抵抗性 医健 サービス 農食 医健 高速成長(成長ホルモン) 情M 農食 農食 農食 機能性素材精製工場化 輸送 衣住 農食 衣住 豚母体でヒトの膵臓製造 栄養価が改良された豚 遺伝子 組み換え動物 トランスジェニック 電機 農食 高い収穫量 アニマルセラピー、 ペット、介助犬 項目7 出所:筆者が作成 408 メガトレンド 2014-2023 ©2013 Kawaguchi Morinosuke, All Rights Reserved. 403-430_9章_入校.indd 408 2013/12/12 20:59 7 EV HEV / PEV 駆動系 燃料電池 CNG / LPG ガソリン/ディーゼル 自動車 ビジネス 車体が 輸送 コモディティ化する 事故が減る マーケ ティング系 2013/12/12 20:33 ギーや肥満度は膨張し、水の消費量から肉食の 富裕化するほどに1人あたりの浪費が増える 頻度などまであらゆる視点で物質とエネルギー という問題と、新興国の人口が今世紀いっぱい は増え続けること、この2つが掛け算となって、 あらゆるものの消費が爆発的に増加し、資源は 図58 世界各地の都市の気候条件 OECD + α 成長 0~4% 国 GDP伸 び率(%) 英国 フランス イタリア -4.9 -2.6 -5.0 -3.9 -2.7 -3.9 -4.7 -1.9 -5.1 米国 -2.6 カナダ オーストラリア -2.5 1.3 日本 -5.2 ギリシア 韓国 トルコ シンガポール 台湾 -2.0 0.2 -4.7 -1.3 -1.9 ロシア -7.9 中国 9.1 BRICs ブラジル VISTA, VTICs, NEXT11, MENA -0.2 インド 5.7 南アフリカ アルゼンチン メキシコ -1.8 0.9 -6.5 ベトナム 5.3 インドネシア マレーシア タイ フィリピン UAE 4.6 -1.7 -2.3 1.1 -2.5 サウジアラビア 0.6 エジプト イラン 4.7 1.1 高成長 5%以上 都市 ロンドン パリ ミラノ ローマ ウィーン ブラッセル アムステルダム デュッセルドルフ ジュネーブ ストックホルム ニューヨーク ロスアンゼルス サンフランシスコ シカゴ ヒューストン ホノルル アトランタ モントリオール バンクーバ シドニー メルボルン 札幌 東京 福岡 那覇 アテネ ソウル イスタンブール シンガポール 台北 モスクワ ウラジオストック 北京 上海 大連 広州 南京 青島 香港 サンパウロ マナウス ブラジリア ニューデリー カルカッタ ムンバイ ゴア バンガロール ケープタウン ブエノスアイレス メキシコシティ ハノイ ホーチミン ジャカルタ クアラランプール バンコク マニラ ドバイ ジェッダ リヤド カイロ テヘラン 真夏 30℃~ 夏 25~29℃ 1月 2月 3月 4月 5月 4 3 1 8 -1 2 5 5 1 -3 0 12 11 -4 11 22 6 -10 3 22 19 -5 5 6 16 10 -3 6 26 15 -10 -13 -4 4 -4 16 2 -1 16 24 26 21 14 20 24 26 21 20 25 13 18 27 26 26 26 26 20 25 14 14 3 4 4 4 9 1 3 2 2 2 -4 1 13 10 -3 13 22 7 -9 5 22 19 -4 5 6 16 10 -1 6 26 16 -8 -11 2 7 0 17 4 0 16 26 26 21 17 23 24 26 23 20 23 15 19 28 27 27 27 26 20 24 16 15 6 6 7 8 11 5 6 7 8 6 -1 5 14 13 3 16 23 11 -2 6 22 18 0 8 9 18 12 5 7 27 18 -3 -2 8 9 5 19 9 5 19 22 26 22 23 28 27 28 26 19 21 17 19 28 27 27 29 28 24 25 21 18 10 8 10 12 13 10 9 8 9 10 4 11 16 13 10 21 24 16 6 9 19 15 6 14 14 21 15 12 12 27 22 5 4 14 14 11 22 15 10 22 24 26 21 19 30 28 29 28 17 18 18 25 30 28 27 30 29 28 28 25 22 16 11 13 17 17 15 13 12 13 14 10 17 18 14 16 24 25 21 13 12 16 11 12 18 18 24 20 17 16 27 25 12 10 22 19 17 26 21 16 26 20 26 20 33 31 30 30 27 14 14 18 28 29 28 27 29 29 31 31 31 25 22 春秋 11~24℃ 厳冬 0℃以下 冬 1~10℃ 月平均気温(℃) 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 14 16 21 21 18 16 15 17 18 15 22 20 16 21 27 26 24 18 15 13 9 16 22 22 26 25 22 21 27 27 17 13 25 24 19 28 24 20 28 18 26 19 34 30 29 28 25 13 11 17 29 28 28 27 29 29 34 31 34 28 27 16 18 23 24 20 17 21 23 20 17 25 22 16 24 29 27 26 21 17 12 8 20 25 27 28 27 25 23 27 29 18 17 25 27 22 30 27 24 29 19 27 19 31 29 27 27 24 12 11 16 28 28 27 27 28 28 35 32 35 28 30 16 18 22 24 19 17 18 19 19 16 24 23 17 23 29 27 25 20 17 13 10 21 27 27 28 27 25 23 27 29 17 19 25 26 24 29 27 25 28 18 27 20 30 29 27 26 23 12 12 16 28 28 27 27 28 27 36 33 35 28 29 14 15 18 21 15 15 14 14 16 12 20 22 17 19 26 27 22 15 14 15 12 17 23 23 27 23 21 20 27 27 11 15 21 24 22 27 23 21 28 21 28 22 29 29 27 27 24 14 14 16 27 27 28 26 28 27 32 32 32 27 25 11 11 12 16 10 11 9 10 11 7 15 19 14 13 22 26 17 9 10 18 15 11 17 18 25 18 14 15 27 24 5 8 14 18 13 24 17 16 25 22 28 22 26 28 28 28 23 16 17 15 24 27 28 27 28 28 28 30 27 24 19 6 7 7 12 5 6 10 10 6 2 9 16 10 5 16 25 11 2 6 20 16 4 12 13 21 14 7 12 26 21 -2 -1 4 13 5 20 10 9 21 23 27 21 21 25 27 28 22 18 20 14 23 28 27 26 27 28 25 28 21 19 11 4 4 2 9 1 4 5 6 2 -1 2 13 9 -2 13 23 6 -7 4 22 18 -2 7 8 18 11 0 8 26 17 -6 -10 -1 6 0 15 3 2 18 24 27 21 16 21 25 27 21 20 23 13 20 27 27 26 26 26 19 24 16 15 6 出所:JCMのウェブサイト「海外いろは」 (http://www.faminet.co.jp/d_guide/view/1)のデータを基に筆者が作成 238 メガトレンド 2014-2023 ©2013 Kawaguchi Morinosuke, All Rights Reserved. 233-243_5章序文_入校.indd 238 救急医療 負担が減る 交通課の人員削減 自動車免許不要 サービス ∼軽減化 買い物難民、過疎地の通院 子供 学童通学 外国人 外国人の観光旅行 一般人の普通免許(第一種免許) 教習所が不要になる 運送業のドライバー資格(第二種免許) タクシー・トラック運転手不要になる 飲酒時 飲み屋が繁盛 いつでも 運転できる サービス 時間不問 タクシーの深夜早朝割増し料金なし 効率運転 輸送 空力隊列走行で省エネと高速走行(高速道路) 夜間の仕事が繁盛 医薬服用時、体調不良時∼病人、妊婦 緊急搬送(救急車代行) 常に最適な省エネモードで運転 電装・制御系 路肩駐車の精度アップ 道路幅が細くできる、歩道を拡幅 通勤が楽になる 郊外住宅が増える 移動で疲れない、移動中に仕事ができる 鉄道が不要に 自動運転化 快適運転 駐車場面積を少なくできる 送り先で駐車せず、 すぐ別の用事向けに移動 サービス 協調運行で渋滞を作らない 渋滞回避で人の時間ロスが削減 渋滞ルートを未然回避する 計画的運行 ∼協調運行 到着時刻予測と連絡が容易になる 輸送 運送のルーティングビジネス 場所不問なので、 どこでも乗り降り、乗り捨ても可能 レンタル∼シェアードが増える 個々の車体寿命が短くなる 車の稼働率が上がる (シェアになるので) 輸送 運ぶべきモノの在庫が減る 遠隔管理が容易になる、 自分で修理工場に来る 車検業が変わる (メーカーのメンテビジネス化) 空いている時間に自分で給油・充電可能 夜間の給油、 EV充電ステーション繁盛 道路工事や交通事故など情報センサー化 道路沿線情報センサー化 情報管理が重要 電機 輸送 情M 農食 衣住 輸送 事故の解析データレビュー 情M 走行条件と車両消耗のデータ解析 ニーズのありそうな場所にオンタイムで配車 沿線ビジネスへの集客・動線誘導の手段 (店側からのO2O型広告モデル) ロボタクシーで行きたい所へ行って消費を促す 農業・食品 着払い運転で顧客動線を誘導 サービス トラフィック環境の AR化 金融 情報セキュリティビジネス ハッキングによるプライバシー保護 カスタマイズで自宅に送迎タクシー押しかけ 積極的な送迎バス 情M 医健 サービス インフラ 走行セキュリティビジネス ハッキングによる事故防止 車車間通信) 車間距離や情報交換 路車間通信) 道路標識や信号のAR化 道路周辺情報吸い上げ装置 ビッグデータ分析向け 精密なデジタル地図情報 サービス 2013/12/13 10:39 IT・メディア・コンテンツ 衣料・インテリア・雑貨 道路周辺情報吸い上げ装置 ビッグデータ ヒヤリハット事案の情報センサー化 サービス 電子・電気・機械 素形材・化学 病院などでの人の待ち時間のロスが削減 タクシーやバスの 「乗り合い」 が容易になる サービス 自動車の仮想化 (移動・運送の 情M オンデマンド機能化) 自動車・輸送機器 医療・美容・健康 大気汚染防止、環境負荷 一定速度維持運転でサグ部渋滞を作らない ピッタリ車幅駐車できるので面積効率アップ 自動駐車 サービス ∼車庫入れ 人車間通信) 歩行者や自転車のAR化 出所:筆者が作成 メガトレンド 2014-2023 ©2013 Kawaguchi Morinosuke, All Rights Reserved. 320-346_7章_入校.indd 327 327 2013/12/12 20:34 41.おもてなしサービス る。 低成長 -3~0% 軽量化で燃費向上 鉄系金属材の売り上げが減る 自動車保険業 売り上げが減る 車の修理工場∼ JAF 需要が減る 警察の負担が減る 老人、障碍者 ビジネス モデル系 デジタルマニュファクチャリング は仮想現実ものづくり端末 40.自動運転車 内外装のテーラーメイド化が重要 エアバッグなど安全系装備が不要化し安くなる 交通事故(人身事故) の低減 交通事故(物損事故) の低減 パトカーもロボット (偵察ドロ−ン)化 39.AR (拡張現実) と情報のすべてについて大量消費するようにな オーストリア ベルギー オランダ ドイツ スイス スウェーデン カスタム化対応が価値化 安全系の装備が軽量∼不要化 (エアバッグ∼鋼板類まで) 輸送 事故が減る 違反が減る ∼チェックしやすい ニアフィールドビジネス 42.「脳直」 コミュニケーション 停滞 -3%以下 ファブと開発に分離 ブランド衣料的にデザイン価値が重要 技術系 状態管理が容易 メガトレンド 2014-2023 ©2013 Kawaguchi Morinosuke, All Rights Reserved. 情報機器のように製販分離・水平分業化 インテリアや乗り心地インターフェースが差別化ポイント 流通・サービス NPO・NGO 総論 メガトレンドからメタトレンドへの翻訳 ラウドソーシング」を活用し、 「ノマド」と呼ばれ けでは心許ないためである。 閉鎖系・秩序系に好適だった日本式経営 ノマドワーカー 社会貢献というモチベーション なっていく。 NPOがイノベーション創出起点になる ドハントした人材を迎え入れる例が増えるだろ オープン&シェア: 所有より利用、競争より共創 デジタルハイテク分野のオープン化 生産財インフラは仮想化とシェアリング いじりやすい構造 競争より共創、多様性を指向する世界 パトロンの財の余力から 民の知の余剰へ 44.1.企業と従業員: 労働者のモジュール化 50テーマレビュー 世界で勝負できる優秀な経営者を獲得するに は、ただでさえ少子高齢化が進む国内の人材だ る専門家が活躍する時代になりそうだ。 ソーシャルグラフ 従来、外国人を登用する場合は欧米の人材 その先に見えるのは、正社員は中枢を占める が多かった。今後は中国や東南アジア、インド 一部のエリート層にとどめ、その時々で儲かる といったアジア出身の人材も増えていく。人口 事業のみを手掛け、不採算の事業は素早く本体 が多い上に意欲が高く、優秀な人材を排出する から切り離せる身軽な組織である。将来の企業 可能性が高いからだ。背景には日本の大学の相 では、組織や労働者がモジュール化して、事業 対的な地位低下もある(項目12「教育ビジネス」 参照)。実際、アジアのトップ大学を卒業した人 の栄枯盛衰に応じて自在に入れ替わる体制に 材を採用する日本企業は増加傾向にあり、外国 人学生を企業に斡旋する業者も登場している。 □ アジアのエリートを採用 □ 外国人エリートに日本的慣習の壁 今後の日本企業では、経営層に外部からヘッ ただし、外国人の活用には大きな壁がある。 う。将来の幹部候補生を選び、若手の頃から育 サービス残業から不明瞭な意思決定プロセスま 成する動きも強まる見込みだ。とりわけ、外国 で、日本企業に残る独特な労働慣習である。こ 人の経営者や幹部候補生の採用が顕著になる。 れに馴染めずに数年で会社を去る外国人社員 木・建築・機械・電気) 」、緑地の「成長技術(電子・情報) 」、青地の「萌芽技術(サービス・脳・生命) 」 の3段階である。それぞれ、インフラ・社会の領域、電子ネットワークの領域、人と心の領域と言い換え ソーシャルグラフ (知平面) から見たメタトレンド 10 ることもできる。 これに「社会の成熟」 (灰色の領域)を加えた四つの流れから、 各産業の将来を予測する。 50 50のメガトレンドとのかかわり合いは、各産業の解説の末尾に表としてまとめた。第9章までの議論 を参照する上で、参考にしてほしい。 取り上げた産業と、それぞれに含まれる業種は下記の通りである。産業ではないが、今後の社会で 重要になる存在として「NPO・NGO」を最後に加えた。 1 .自動車・輸送機器 (二輪車、 自動車、 重機、 建機、 鉄道、 航空機、 造船) 2 .電子・電気・機械 (情報機器、 精密機械・事務器、 衛星、 産業機械・ロボット) 3 .IT・メディア・コンテンツ (通信、 システム構築、 ソフト開発、 広告・デザイン、 コンサル、 リアルな娯楽 [テーマパーク、 パチンコ、 映画] 、 報道) 4 .医療・美容・健康 (薬品、 介護、 ヘルスケア機器、 スポーツ、 美容) 5 .素形材・化学 (鉄鋼・金属、 紙・パルプ、 繊維、 ゴム・プラスチック、 石油・石炭、 建材) 6 .衣料・インテリア・雑貨 (ファッション、 インテリア・家具、 日用品・雑貨、 宝飾品) 7 .農業・食品 (農林水産業、 飲料、 外食産業) 8 .インフラ・建築・エネルギー (電力、 ガス・水道、 道路、 土木、 鉄道) 9 .流通・サービス(百貨店・スーパー・コンビニ、宅配便・運輸、旅行、人材派遣、レンタル業、冠婚葬祭、商社) 10 .金融・保険・不動産 (銀行・証券・保険、 クレジットカード、 ファンド・ベンチャーキャピタル、不動産) 11 .NPO・NGO (公益法人、 慈善団体、 NPO、 NGO、 宗教団体、 ボランティア) 図80 メガトレンドを成熟技術・成長技術・萌芽技術・社会の成熟の四つに分類 技術起点の動き 技術ライフサイクル 図2 技術のライフサイクルと 社会トレンドの関係 メカトロ技術の成熟 ・デジタル化 ・モジュラー化 ・コモディティ化 ・キャッチアップの高速化 ・新興国の台頭 ・ライフサイクルの短縮化 仮想空間がリアル空間進出 機械 電気 建築 土木 電子 終章 勤務時間を限定して働く職制が広がっている。 初めに50のメガトレンドのそれぞれと、産業のかかわり合いを整理した。それを踏まえた上で、メガ 自然科学の成熟の度合いに応じて三つに分類した。下掲図のピンク地の領域に相当する「成熟技術(土 インフラ・建築・エネルギー 第8章 会社も働き方も変わる: 一所一生懸命からオンデマンド機能提供型へ 非正規雇用では、安価に業務を外注できる「ク 第10章では、産業ごとのメガトレンドを展望する。各々の産業が、9章までに解説した50のメガトレ ンドと、どのように関わっていくのかを解き明かす。 トレンドを大きく四つに分類し、それぞれの範疇での今後の動向を予測した。まず、技術起点の動きを、 常時接続とビッグデータ サービス 脳 心が技術の対象となる時代 生命 萌芽技術 ・ユビキタスセンサー∼M2M ・拡張現実∼ジオサービス ・認識(画像音声)技術 ・スマートコミュニティ ・統計学万能時代 ・常時接続時代 ・外部記憶時代 情報 成熟 成長技術 成熟技術 ・サービスサイエンス登場 ・モチベーション管理 ・脳科学の出現 生命をいじれる時代 ・動植物の遺伝子操作 ・バイオカスタム創薬 ・長寿&機能強化人間 社会トレンド 社会起点の動き ・拡大するインフラ需要 ・高成長に追い付かない社会基盤 ・スラム問題とユースバルジの雇用問題 ・国境を超える市場原理の強大化 ・国境を超えて移動する労働力 ・国家機能の相対的衰退 先進国の少子高齢化 ・過疎化する地方 ・老朽化するインフラ ・足りない労働力 多極化で決まらない 国際政治 ・資源枯渇問題∼地球環境問題 ・ローカライズ∼リバースイノベーション ・ものづくりサービス産業化 ・マーケティング価値の重要性 ・女性の社会進出と製品仕様の女性化 ・場所の制約からの解放 ・デマンドレスポンス型制御 ・都市空間のロジスティクスタグ化 ・ITリソースの仮想化とシェア ・情報移動性の向上 ・情報を隠せない時代 ・情報非対称性の喪失 ・競争より共創 ・保有よりシェア (所有より利用) ・情報のフリーミアム化 ・マイニングでイノベーション ・キュレートが価値化 ・開放系で共創する社会 ・オープン&フラッ トな組織構造 ・オンデマン ド機能型の就業形態(ノマド化) ・ダイバーシティの重要性 ・精神診断∼治療 ・脳直結コミュニケート ・ニューロマーケティング ・精神疾患の革新 ・組織運営手法の革新 ・マーケティング∼商品企画手法の革新 地球温暖化問題 社会科学的視点 人文科学的視点 自己実現欲求 (無償) 世界との共生 自由人権 民主化 法治化 経済発展 食料確保 ・更なる少子高齢化と変わる人生設計 ・食糧不足とGM作物 ・エネルギー不足とバイオマス ・寿命や能力にまで広がる格差問題 ・サステナブル問題を解くゲノム技術 脱工業で農業回帰 自我欲求 (賞賛) 国の成長の ライフサイクル ・利他行為∼NGOを目指す若者 ・モノよりソフト ・ロハスやスローライフ型 オープンソース∼ クラウドソーシング 帰属欲求 (安心) 安全欲求は (暴力) 生理的欲求 (生存) ・草食化する男子 ・ジモティ化する若者 消費と競争が美徳な 団塊世代の引退 ・超人∼超寿命化する人類 日 米 韓 中 印 ・オランダ型 ・高付加価値農業立国 英 シンガポール 西 伊 マレーシア アフリカ 出所:筆者が作成 金融・保険・不動産 43.デジタルマニュファクチャリング メガトレンド 2014-2023 ©2013 Kawaguchi Morinosuke, All Rights Reserved. 431-504_10章_入校.indd 433 の権威の正統的根拠を弾劾される時代になっ た。 その最大の動力源は情報の非対称性が崩れ たことだ。権威を持つ既得権者は排他的なグ ループを作り上げ、そのグループ内にしか渡ら 433 2013/12/12 20:59 は毎年にように対数単位で増強されていく。情 報は秘匿できないのだ。 その結果として、上司や高齢者、宗教者といっ た人々は立場を失うばかりになった。ライフサ イクルの激しい学問分野と言えば情報工学系 ない秘密の情報を共有する。この参入障壁が自 であろう。この分野で教授の権威を保ち続ける らの立場を強化し権威を守り続けてきた。 ことは厳しい。博士論文が出来上がる頃には世 ヒト、モノ、カネや情報の流通速度は飛躍的 界が変わっているからだ。若い者の方が圧倒的 に高まった。これは市場原理が国家主義などの に有利なのだ。この構造が広くあまねくすべて 原理を上回った結果なのだが、そのことによっ のシーンにかかっている。 て情報をどこかに守りとどめておくことは難し かくして親の権威は失墜し、友達親子が生ま くなった。企業や国境を越えて人ごと動くわけ れる。スマホアプリを使いこなせない上司は部 だから、 土台無理な話なのである。 さらに、 クリッ 下の顔色を伺うようになる。スーパーモデルは ク一つで情報を飛ばせるブロードバンドの帯域 読者モデルに置き換わり、アイドルの席も総選 図84 メガトレンド---キーワード群のソーシャルグラフ まとめ:今起きている新産業革命 図44.1-2 企業と従業員:労働者のモジュール化の説明図 オンライン オフライン 世界を渡り歩く仕事人 ノマド/フリーランス エリート採用 上位層の 英語公用化 幹部候補外国人採用 (ゴルゴ13風) 熱い魂で世界を救う NPO/ベンチャー (ゴレンジャー風) ノマド 中途採用 フリーランス/フリーエージェント 正社員 総合職 在宅←テレワーカー→SOHO リア充志向で空気系 ジモティー 嘱託社員 (けいおん風) 地方・現地採用 クラウドソーシング 派遣社員 契約社員 期間工・季節労働 フリーター 勤務時間限定正社員 勤務地限定正社員 一般職∼職種限定正社員 手配師 100000 一般機械 輸送機器 0.00 −0.40 −1.20 0 医健 エタノール収率の高いGMM酵母 燃料用微細藻のGM化 GMユーカリで紙パルプ (対塩性) 花卉類 食物 インターン 外国人単純労働者 ワンコールワーカー 日雇い ローカル人材市場 0.40 蛋白・アミノ酸、醸造用酵母、酵素 燃料用 構造材用 土壌浄化用 GMトチュウで生ゴム生産 植物 GMO グローバル人材市場 繊維・衣料 0.80 −0.80 穀物 鉄鉱石 −100000 400000 項目50, 項目42 バイオエタノール生産性改良 第10章 50のメガトレンドがもたらす各産業分野の変化 図40-1 自動運転車のイシューツリー 進化 油脂・動植物 −0.80 −200000 200000 47.2遺伝子組み換え生物利用 項目50, 項目42 項目48 組織培養各種 50.脳力開発 NPO∼NGO ベンチャー企業 鉱物性燃料 0 中国 雑製品 プラスチック 精密機械 IT部品 繊維・衣料 IT製品 雑製品 一般機械 電気機器 金属 化学工業品 医薬 加工食品 0.00 −200000 輸出額−輸入額(M$) 輸送機器 0.40 −400000 1.20 微生物 GMM 項目49 医薬品成分、食品成分、菌体 終章 100000 33.資源枯渇対策 油脂・動植物 脳力開発 48.人体強化 (生物系技術) 業務委託∼BPO 21.1.昭和日本商材の再活用 0 穀物 雑製品 鉱物性燃料 輸出額−輸入額(M$) NIES3 (韓国・台湾・シンガポール) −0.80 −400000 メガトレンド 2014-2023 ©2013 Kawaguchi Morinosuke, All Rights Reserved. 大企業 リバースイノベーション化 20.都市インフラ輸出の拡大 情M インフラ 英国mySocietyの日本版FixMyStreetアプリ 千葉市公共施設のメンテナンスに市民の手 問題点収集 各種証明書発行 出所:筆者が作成 47.1生物機能利用 出所:筆者が作成 人材バンク −100000 IT製品 繊維・衣料 一般機械 輸送機器 化学工業品 プラスチック 鉄鉱石 −0.40 146 37.ファブライト開発へのシフト 角膜移植 項目32, 33 ライフサイエンス発達の影響 保険業 品質保証 294 臓器移植、再生臓器 遺伝子 組み換え植物 ロボティクスの発達 CGM β版・供試品 ジェネリック 非正規 賞味・消費 期限切れ ヘッドハント 所得収支 36.保険・金融業化 脳直結インターフェース ソフト 酪農 正規純正の 特別工房作 個体の価値 期限切れ 系列企業 次世代型 限定試作品 できたてホヤホヤ 下請け企業 サービス収支 油脂・動植物 穀物 鉄鉱石 −200000 0.00 −0.40 医薬品 加工食品 医薬 進化 進化 雑製品 −1.20 −300000 先祖代々所有物 陳腐化 サービス データ収集・共有 民間導入 官民連携 28.官民の境界希薄化、民間委託 32.食料不足対策 EU15 精密機械 加工食品 金属 IT部品 電気機器 −0.20 IT製品 化学工業品 繊維・衣料 鉱物性燃料 国際競争力指数 ︵輸出差額/輸出入総額︶ インフラのゴールとは 0.00 0.80 国際競争力指数 ︵輸出差額/輸出入総額︶ 一般機械 プラスチック 金属 IT部品 精密機械 電気機器 0.40 −0.40 国際競争力指数︵輸出差額/輸出入総額︶ 国のライフサイクルと外貨を稼ぐ産業 解決アイディア募集 ガバメント (行政) 2.0 オープンガバメント ∼民主主義2.0 総論 0.20 輸送機器 0.80 国際競争力指数︵輸出差額/輸出入総額︶ 指定管理者制度 地方分権∼特区 省庁再編∼リストラ 31.シェールガスによる揺り戻し 日本のデータ 1.20 国際競争力指数︵輸出差額/輸出入総額︶ インフラ輸出の全体像 英国が先進地域 有料道路運営(橋梁)、空港運営、刑務所運営、天文台、病院、 サービス 省庁庁舎管理、給食センター、図書館、斎場、浄化槽、 新交通システム、廃棄物発電、運動施設、 スポーツ関連:プール、体育館、球場 公園関連:公園、霊園、動植物園、 文化関連:図書館、資料館、美術館 医療関係:公立病院、特定機能病院など 福祉関連:高齢者・障害者施設、保育所 生活関連:下水道、斎場、駐車場、駐輪場 教育関連:林間学校、生涯学習センター 公的法人リストラ 行政自身の 効率改善 第5章 「消費が美徳」だった時代の終焉: サステナブルな価値観の台頭 図28 各国の産業別貿易パフォーマンス比較 −1.20 −300000 非所有 中古品 旧型品 人工内耳、人工網膜 ソフト ハード センシング ハード ライフサイエンスの 別用途:動植物の品種改良 近代合理的で 機能重視の価値 人工心臓、電動義肢、 アシストスーツ センシング 生物系 技術 人間をいじる 脳インタフェース 金融業 レンタル シェア 情緒的で プレミアムな価値 化学 進化 インフラ 公共施設/インフラ 運営を委託 行政のアウトソース 政府 財政難 30.天災対策 −0.80 も許容するだろう。もっともブランド側がこう 図36-2 保険・金融業化の説明図 総論 先進は夕張市(破たん自治体)水道事業PFI化など PFI/PPP 整備、新築∼運営 ネーミングライツ 29.エネルギー効率向上 国際競争力指数︵輸出差額/輸出入総額︶ 成長サイクルの圧縮化 の活動と合わせて、これまでの官が果たしてき 216-232_4章_入校.indd 228 第2章 新興国の成長ラッシュ: 日本企業躍進の起爆剤 況を解消するためにNPOやNGOが自然発生的 に台頭し、社会的責任を求める声に応じた企業 環境問題の全体構造 総論 脳科学との連携 者は、仮にこうした製品の間に価格差があって 正規品に背を向ける消費者の傾向に対して、 ハード 非生物系 技術 生体の 人工操作 成熟 14.衛星・宇宙ビジネス 価値の差を見る場合がある。海外製よりも日本 製を珍重するようなケースだ。ブランドの信奉 □ ブランドらしさに濃淡 る装置として用いる事例も登場している。安全 図47.2-1 遺伝子組み換え生物利用のイシューツリー 成熟 6.幼児教育市場の変化 目的の手段化 ができそうだ。 薬品や食品、あるいは人間の臓器などを製造す 範囲はさらに拡大する。燃料や食物といった、 成熟 13.オランダ型農業立国 ると、同一の製品でも製造工場の違いに応じて 生物を素材として使う用途だけでなく、生物を 物まで幅広く実用化が進んでおり、今後も応用 ライフサイエンスの登場 ただし、消費者に過度におもねる姿勢は禁物 だ。ブランドを重んじる消費者側の視点からす た製品の品質を担保する保険会社と見ること 遺伝子組み換え技術は、微生物、植物から動 メカトロニクスと情報工学 言える。多くのブランドに既に浸透している手 法であり、これからも当面は有効だろう。 企業が責任を持って補償するわけである。将来 のメーカーの役割は、外部の力を借りて開発し 情報メイン ︵走行ログ︶ 5.高齢者の消費 重大要因がメカトロニクス技術の成熟化 官民公の境界が融合 スと言える。消費者が支払う対価はいわば保険 の賭け金であり、万一不具合があった場合には 方で、対策が後手に回るようになった。この状 化や企業の合理化が過度に進んだ結果、雇用 の不安定化など新たな社会問題が噴出する一 図28-1 官民の境界希薄化、民間委託のイシューツリー 228 12.教育ビジネス 国、企業、非営利団体(NPO)や非政府組織 (NGO)の境界が薄れている。官僚組織の硬直 2013/12/12 20:29 4.家族の希薄化 新興国デビューの歴史 財政負担に苦しむ国家とNPO との「ブランドらしさ」に濃淡を設ける手段と 第7章 リアルとバーチャルの相互連動: 脳から都市までスマート化が加速 28. 官民の境界希薄化、民間委託 27.開発〜製造〜消費のグローバル化 医健 043-090_1章_入校.indd 43 を直営店で売ったりする。ある意味で、製品ご このような品質の保証は、広義の保険ビジネ 運用BIZ 2.シニア支援 通貨安競争や税制優遇競争 過程での副産物(例えばお菓子の切れ端など) カーの重要な業務になってくる。 47.2. 遺伝子組み換え生物利用 生命体の夢は永遠の命 のメガトレンドがもたらす 各産業分野の変化 サービス サービス コミュニティ活動参画 ソーシャルワーカー的 弱者支援系 (シルバービジネス従事など) インフラ 保証を与えて製品に仕立て上げるのが、メー 総論 49.人体強化 (非生物系技術) 26.世界的な特区競争 サービス クライス&カンパニーなど 自然塾∼農家里親制度 (NPO) 農業支援 福祉・公益で 社会貢献 衣住 有限責任事業組合 (LLP) 合同会社 (日本版LLC) の立ち上げ プロジェクト型シニア企業 シニア支援サービス →No2 情M 農食 衣住 医健 サービス サービス シニア対人折衝∼接客職 (パートタイマー∼契約社員) 起業∼再就職 支援フレーム 電機 輸送 1.シニア労働力活用 70歳定年∼定年廃止 知識・ノウハウ・ インタフェース 人脈など活用 シニア 労働力活用 国家を超えるグローバル市場の影響力 アウトレットモールで安価に販売したり、製造 周辺BIZ 個人から大企業まで含めた 対応の方向性 大学・専門学校側専門カリキュラム 公共職能再開発施設 サービス (米国のコミュニティカレッジ∼プロフェッショナルスクール的) 自己啓発支援制度 品を投入する方法だ。例えば若干の傷があった り包装に難点があると言った「訳あり商品」を リアルとバーチャルの相互連動:脳から都市までスマート化が加速 地方都市派遣 企業間相互インターン制 高齢化 労働力不足 知識陳腐化 すべてがオフショア化 り興味のない人も引きつける、お手頃価格の製 にする例も登場しそうだ(項目45「ビジネスプ 38.マーケティング手法の劇的進化 総論 製造業からサービス産業化 するときの8つのパターン ブランド側も手を打っている。ブランドにあま る事例が増えてくる。 メーカーが用意したプラッ ラットフォーム設計」参照)。こうした開発品に 車体BIZ 自治体やインフラも老朽化 2013/12/12 20:31 1 ある(項目9「世代間格差対策」参照)。 労働力人口の減少や年金制度の要請に応じ 3.女性の社会進出 173 第4章 市場の強大化: 国家機能にも及ぶその影響 総論 く、ハードウエアでもユーザーが製品を開発す トフォームをユーザーに拡張してもらって製品 35.保守運用ビジネス〜BPO 1位÷50位 1位÷20位 14 サービス化は 長い近代化プロセスの終着駅 34.脱売り切り消耗品化 1位÷100位 10.0 第9章 超人化する人類: 生態と進化の人工操作への挑戦 出所:筆者が作成 メガトレンド 2014-2023 ©2013 Kawaguchi Morinosuke, All Rights Reserved. 523 出所:筆者が作成 505-528_終章_入校.indd 523 366 メガトレンド 2014-2023 ©2013 Kawaguchi Morinosuke, All Rights Reserved. 365-386_8章_入校.indd 366 44.2.企業と従業員: 組織のモジュール化 45.ビジネスプラットフォーム設計 46.シェア&フラット化する価値観 2013/12/13 12:21 2013/12/13 12:22 ・雑貨 ス 一方、自然科学はこれらとは別に下方に配置 NPO・NGO である。最後のNPO・NGOは産 ド検索のヒット数を計測した。具体的には、各 した。自然科学は対象が物質や情報そのものに 業ではないものの、近年社会全体におけるプレ テーマに関連するキーワードを複数選定し、グ がら説明を進めていく。 還元されるので、人の営みとは直接的には関係 ゼンスの高まりに留意して加えたものだ。なお、 ーグルと日経ビズボードという2 種類のデータ らないということになっている。何だか株価予 観に頼らざるを得ない。横並びで著名な学者の 測のような不確かさを感じるが、まずはそのや 学説を比較すると、日本の将来に悲観的な見方 り方で世界各国の豊かさの推移を表したのが わる問題としての資源枯渇やサステナブル社会 の話が展開される。もちろん本書でもそのよう 図0-1 各種出典による世界の人口予測 (億人) (億人) 120 120 100 100 80 80 60 60 傾向がある。日本人ならこの窮地をしのぐに違 いないと思っているようだ。 これだけ予測結果がバラついている上に、寄 せて集めて丸めた結果は現状維持で何も変わ をする人たちは、極端な少子高齢化現象とオー 図0-3である。全体的に世界の経済格差は急激 プン構造に弱い閉鎖的な社会構造を重視し、し に縮小していくという結果だ。その大きな方向 かもそれを解決困難な難題とみている。一方で 性は正しいに違いない。しかしこの図をよく見 楽観的な人たちは、敗戦後からの復興時や震災 ると、違和感を覚える部分もある。例えば、韓 時に見せた忍耐力や団結力を「数字には見えな 国とロシアの急伸ぶりが著しいことだ。韓国に いミステリアスな潜在力」として評価している 至っては、日本や欧州の並みいる主要国を軽々 の激変にさらされます。最大の変化が 「知 能化」です。自動運転技術が実現すれば、 あらゆる産業に大きな影響を及ぼします。 新興国が市場の主流になり、クルマのつく りかたも大きな変化を強いられます。一方、 世界のエネルギーは今後も価格上昇を続 け、米国のシェールガス革命を背景に、天 然ガスの存在感が増していきます。これに対応してクルマのパワートレーンは、 「超省エネ 化」が進みます。当面はエンジンが主流ですが、2020年代半ば以降から世界的に電動 化が進展するでしょう。本レポートを、これから起こる大変化に備え、自社の進路を定める ための羅針盤としてご活用ください。 ご活用いただきたい企業 ◆自動車・エネルギー関連企業 ◆自動車・エネルギー分野の新規事業領域開拓に取り組む企業 ◆クルマの 「知能化」 でビジネスチャンスをつかみたい企業 ◆シンクタンク ◆コンサルティング会社 全体の思想について なく、科学者たちは自然の秘密を解き明かす世 界を楽しんでいる。その結果として個人の生活 左右軸では右端の個人の課題から始まって、左 を楽にしたり、楽しくしたり、あるいは人を効 本書では、本質的な潮流の変化を逃さないた 果的に殺傷する装置を作ったりすることで、人 めに以下①~③の3つの点に留意して分析を進 の感性から組織力学まで全般的に強い影響を めた。 与えている。 になっている。右側は、大ざっぱに言って個人 の心理や人生哲学といった人文科学的な専門 家の領域になる。そして左側に寄るほど人と人 との関係性の調整が重要になり、組織論へと悩 みは変化する。そこでは経済学や国際政治学な どの社会科学者が専門家と呼ばれ、政治家や経 済人が実務執行の任に当たる。 1.2 アメリカ 40 韓国 オーストラリア ドイツ 1.0 20 20 0.8 0 0 0 200 400 600 800 1000 1200 1400 1600 1800 2000 2200 1900 (年) ①USCB ②PRB ③UNDESA ⑥Biraben ⑦McEvedy ⑧Thomlinson 20 40 60 ④HYDE ⑨Durand 80 2000 20 40 60 (年) ⑤Maddison 0.6 図0-6 テーマ集約結果 図中のテーマ番号1〜9が本書における大論点となる。 てはまることが多い。 家用車もカーシェアリングでオンデマンド機能 毒物の投与量と影響の強さ、伝染病による死亡 牽引した主役の変遷を見たものである。現代に として仮想化されている。人の場合にもフリー 者数、新たに発見される元素の数などもこのカ つながる西洋の時代は、15世紀半ばの大航海 ランスを利用することで自社社員でなくても能 変化に対応する「打ち手」というテーマに関 しても、特に日本では、これまで「対応策として どのような先端技術を開発すればよいか」とい 力を調達できる。 会、それは情報網で言えば帯域の太いネットワ 否定するものではないが、現在のビジネストレ ークができてしまうということである。 「優秀で エジプト ンドを見るだけでも、それだけでは不十分であ 高価な人材、高性能なCPUを系の中で共有し イタリア パキスタン メキシコ バングラデシュ ることは明白だ。技術論に限らない打ち手を広 稼働率を高めた方が競争力が増す」という原理 く考える必要がある。 に基づいて進行する現象だ。 こうした認識から、各課題について打ち手の このように仮想化という概念は、ITでも人事 イシューツリー (課題と解決法を樹状に書き出 出所:筆者が作成 図0-12 主要各国1人当たりGDPの歴史的推移 ヒト・モノ・カネ&情報の移動性が高まる社 う議論に終始する傾向があった。その必要性を ナイジェリア ロシア 6 米国 でも生産財でも耐久消費財であっても適用できる 普遍的な概念であり、その要件は太い配管網が 夫した。例えば人口動態的に人類最大の難題は 存在するということである。3つの科学の視点で 世界的なスラム人口の爆発なのだが、そもそも 9 ビジネスアプリシーンを考えることが重要になる。 メガトレンド 2015-2024 ©2014 Kawaguchi Morinosuke, All Rights Reserved. 2040 2050 小さく扱われることが多い。たとえ取り上げた 2060 場合でも、日本企業の場合には打ち手として太 (年) 陽電池パソコンの配布といった「技術課題克服 出所:21世紀政策研究所、シティグループ、HSBC、プライスウォーターハウスクーパース、ゴールドマン・サックス、ザ・エコノミストの予測を基に筆者が作成 メガトレンド 2015-2024 ©2014 Kawaguchi Morinosuke, All Rights Reserved. 序章 人口予測と経済予測 自動車・エネルギー産業に直結するテーマの選定 ライフサイクル(主役交代と成熟の視点)で考える 三つの科学で考える メガトレンドの読み方:本文構成について 第1章 先進国の本格的老衰: 成熟がもたらす新市場 総論:ベビーブーマーの老衰 シニア支援 アナログ技術への回帰 観光ビジネス 癒し機能への欲求 第2章 新興国の成長ラッシュ: 日本企業躍進の起爆剤 総論:新興国デビューの歴史 リバースイノベーション 第3章 成長ラッシュの穽: 早すぎる変化がもたらす負の現象 総論:後発ほど加速する成長速度 空気や水の汚染防止・浄化技術 第4章 市場の強大化: 国家機能にも及ぶその影響 総論:すべてがオフショア化 開発〜製造〜消費のグローバル化 第5章 「消費が美徳」だった時代の終焉: サステナブルな価値観の台頭 総論:力学の錯綜する環境問題 シェールガスによる揺り戻し エネルギー効率向上 資源枯渇対策 第6章 ポスト工業化社会の実像: 「人の心を算出する」機能の商用化 総論:サービス化は長い近代化プロセスの終着駅 ◆経営企画 ◆新規事業開発 ◆技術開発 ◆市場調査・予測 ◆システム開発・構築 ◆マーケティング 保守運用ビジネス〜BPO ファブライト開発へのシフト 保険・金融業化 マーケティング手法の劇的変化 第7章 リアルとバーチャルの相互運動: 脳から都市までスマート化が加速 総論:ヒト・モノ・空間の電装化とスマート化 AR (拡張現実) おもてなしサービス 自動運転車 デジタルマニュファクチャリング 第8章 会社も働き方も変わる: 一所懸命からオンデマンド機能提供型へ 総論:閉鎖系・秩序系に好適だった日本式経営 ビジネスプラットフォーム設計 パックス・アメリカーナ 5 英国 T型フォード 量産1908 GE社ダウ上場 1896 パックス・ブリタニカ オランダ 4 栄光の17世紀 ワット蒸気機関1776 世界の工場1860年代 シンガポール フリュート帆船登場 日本 3 2 ジャパン・アズNo.1 ソニートランジスタラジオ1955 ソニーウオークマン1979 出所:筆者が作成 ドイツ メガトレンド 2015-2024 ©2014 Kawaguchi Morinosuke, All Rights Reserved. 13 ③社会の成熟や主役技術の変遷などのライフサ 0 イクル視点を考慮すること 第一次 産業革命 大航海時代 1400 1500 1600 韓国 漢江の奇跡 サムスン電子半導体参入1977 1 直近のビジネス課題としてはとらえにくいので 2030 集合体である組織や国の成長過程について考 会的変化であれば、予測の重要な要素と見るべ きである。 した図)を描いて、打ち手を網羅するように工 2020 未来予測という観点から極めて重要な、人の えてみる。図0-12は主要各国における1人当た りのGDP(国内総生産)の推移から、各時代を 0.2 2010 ◇時代をけん引した主役の変遷 製品の売り上げ推移に関してもS字カーブが当 そのほかにも、全く異なる分野で S字の法則 出所:それぞれの予測を基に筆者が作成。①米商務省国勢調査局(USCB)、②米PRB(Population Reference Bureau)、③国連経済社会局(UNDESA)、④HYDE(History 0.4 Database of the Global Environment)、⑤Maddison(Angus Maddison著,”The World Economy: Historical Statistics”)、⑥Biraben (Jean-Noël Biraben著, "An Essay Concerning Mankind's Evolution”)、⑦McEvedy(McEvedy and Richard Jones著,”Atlas of World Population History,)”、⑧Thomlinson(Ralph Thomlinson著,”Demographic Problems: Controversy over population control”)、⑨Durand(John D. Durand著, "Historical Estimates of World Population: An Evaluation”)、⑩Clark(Colin Clark著,"Population Growth and Land Use”) 0.0 2000 成長の側面でもこの考え方は当てはまりそうだ。 種の耐久消費財の普及率から、企業における新 例えば「仮想化」という言葉は、ネット上でス フランス 3 生はこのカーブのようなものかもしれない。身 長や体重のような肉体の成長もそうだが、心の は見ることができる。学習曲線、バグ収束率、 中国 メガトレンド 2015-2024 ©2014 Kawaguchi Morinosuke, All Rights Reserved. さらには、芸術家が一生のうち各年齢におい て生み出す作品数もグラフ化すれば、このS字 宅の冷蔵庫は近所のコンビニで仮想化され、自 トルコ ⑩Clark 書籍や雑誌類、官公庁レポート類を分析した上 う構造の中で共通点を考えること ーブで表現できる。 カーブになるという説まである。確かに、人の一 々なリアルシーンでも仮想化は進んでいる。自 ベトナム インド 50のテーマそのものは各種の未来予測系の システムの文脈で用いられることが多いが、様 インドネシア フィリピン の内容紹介を兼ねて各テーマの位置づけに関 して分析した結果を説明する。 ②自然科学、社会科学と人文科学のつながりあ らある動向分析レポートの域を脱することがで イラン 日本 啓発活動を進めたり女性の地位向上に努める、 トレージやCPUのリソースを共有するクラウド に関連するキーワードとは、例えば第1テーマ の「シニア労働力活用」であれば「サバティカ 未来予測に関する3つ目の重要な視点として ル」や「40歳定年」、第11テーマの「観光ビジネ ライフサイクルという概念がある。人や生き物 ス」であれば「ヘルスツーリズム」や「フィルム の営みのありようは S 字型の曲線(シグモイド コミッション」といったような言葉である。それ サイクル)で表せることが多い。フラスコ内で ぞれ、その対象市場において近年注目されてい の微生物の増殖速度から、昆虫やネズミの繁殖 る打ち手やビジネスを意味しており、陳腐すぎ プロセスにも当てはまる。 ず、なおかつ奇抜すぎない用語を選択してい さらにこのS字カーブが不思議なのは、ほか る。2種類のデータベースのうち「日経ビズボー の様々な分野で使われているということだ。各 ここで50のメガトレンドテーマについて、そ というようなモデルを進めている。 ③ライフサイクル(主役交代と成熟の視点)で考える ベース内でヒットする件数を比較した。テーマ ため、狙いとする産業のタグも参照していただ きたい。 ◇選ばれた50テーマの位置づけ 行と組んで、スラム地区の人たちに衛生概念の トピックであっても、それが不可避の重大な社 ブラジル イギリス はダノンレディ (乳製品の配達員)がグラミン銀 きない。一見ビジネス機会に直結しそうにない 図0-4 三つの科学視点で見た社会の様々な課題とビジネスの関係性 社会科学、自然科学、人文科学とい う三つの視点で整理した。 各国の一人当たりGDPの成長予測(対米国比率) 40 素形材・化学は全ての産業の上流に位置する による突破」に終始しがちだが、欧米先進国で 次に、この図 0-4 のフレームワークに具体的 ①社会的なテーマや課題をビジネス課題や具体 なトレンドを当てはめ、構造化した。トレンドは、 的な打ち手に落とすこと 各分野の世界的な専門家たちの未来予測に関 将来予測に関するレポートは、ともすれば現 する著作、情報誌で語られる論点やキーワード、 状のビジネストレンド分析にとどまったり、既 予想結果などから抽出した。これを図 0-4 に当 存の技術ロードマップをベースにした議論にな てはめながら相互の関係性を求め、再分類する ったりしがちだ。そこに終始していては従来か 図0-3 各種出典による各国の一人当たりGDP予測 ご活用いただきたい部門 著者:川口 盛之助、鶴原 吉郎/2014年12月25日発行 (予定) /レポート (A4変型判、約350ページ) CD-ROM(本体に掲載された図表データを収録)/本体価格 300,000円+税/発行:日経BP社 図 0-4 は3つの科学視点で見た社会の様々な 課題とビジネスの関係性を表したものである。 に移るほど帰属する集団のスケールが大きくな り、最終的には世界規模の課題に行き着く構造 序章 年間に起きる人口爆発の様子をおどろおどろし く描写している。そして、その人口爆発にまつ 1 人 当 たりGDPの対 世 界 平 均 値 比 率 クルマはこれからの15年で、100年に一度 で抽出したわけだが、これらの各テーマにかか わる話題が現実の世間でどれくらい関心を持 って議論されているのかを知るためにキーワー ここからは前記①②③の視点に関して、本書 における具体的な予測手順と内容を紹介しな 一人の人間として知っておくべき知識に近い。 豊かさの差は2050年にも現状とほとんど変わ ただこれをマクロ経済予測とからめて考えれ らないという結果になった。それぞれの分析は ば、ビジネスパーソンとしての自分が知りたい みな冷静に各種の因子を盛り込んで独自の手 未来の話に少し近づいてくる。さらに踏み込ん 法で算出しているわけだが、最後は方程式の中 でいけば「この先も日本は豊かなままでいられ のどのパラメータを重視するかという部分で直 メガトレンドの思想について メガトレンド 2015-2024 自動車・エネルギー編 、 (11) な話の展開になる部分は避けようがない。ただ、 この種の話はビジネスパーソンという観点より、 動態の話で、その内容は決まって21世紀の100 序章 自動運転、EV、新興国シフト、 エネルギー事情の変化… 業界を揺るがす、 100年に一度の大変革とは? 、 (8)インフ 、 (9)流通・サービ 、 (10)金融・保険・不動産 世界で多く出版されている未来予測本を開く と、決まって最初に出てくるトピックスは人口 序章 目次 、 (7)農業・食料 ラ・建築・エネルギー 序章 ①課題から落とす 序章 人口予測と経済予測 序章 自動車・エネルギー 1700 1800 第二次 産業革命 1900 中国 2000 2100 社会の近代化と成熟という意味では、まず西 メガトレンド 2015-2024 ©2014 Kawaguchi Morinosuke, All Rights Reserved. 5 出所:筆者が作成 7 メガトレンド 2015-2024 ©2014 Kawaguchi Morinosuke, All Rights Reserved. 33 第9章 超人化する人類: 生態と進化の人工操作への挑戦 総論:生命体の夢は永遠の命 人体強化 (非生物系技術) 第10章 メガトレンドがもたらす自動車・エネルギーの変化 自動車・輸送機器 (成熟技術、成長技術、萌芽技術) 第11章 メガトレンドが突きつける自動車産業の課題 これからのクルマが直面する11の課題 11の課題にこたえる四つの分野 四つの分野のソーシャルグラフ的位置づけ 第12章 クルマの知能化 自動ブレーキの搭載は当たり前に 激化する自動運転車の開発競争 低コスト化が進むミリ波レーダ 自動運転を可能にする技術 レーザレーダは高機能化へ 自動運転の実用化シナリオ 単眼カメラとステレオカメラ アシストロボット 搭載広がるADAS 第13章 新興国への市場シフトとクルマの作り方革新 ブランド価値の再構築 材料革新で樹脂化が進展 コストと多様化を両立するモジュール化 第14章 世界のエネルギー事情とクルマのパワートレーンの変化 世界のエネルギー予測 エンジンの高効率化 電動化技術の将来 第15章 クルマの知能化を支えるネットワーク 光ファイバ超える次世代ネットワーク ビッグデータと機械学習で賢くなるクルマ スマホの車載端末化か、車載端末のスマホ化か 表示の多重化・AR化が進むインタフェース 第16章 クルマの進化がもたらす社会の変化 「所有から利用へ」 が加速 クルマの主流はEVへ 「自動車産業」の定義が変わる 自動車産業もオープン化へ 周辺産業も変わる ※目次は変更になる場合があります。 ※序章∼第10章は、 『メガトレンド 2015-2024 』 のコンテンツを抜粋して掲載しています。 ICT・エレクトロニクス 総論 市場のグローバル化対応や、脱工業化社会への 移行など、悩ましい構造的な難題は多々あるが、 何といっても筆頭課題は老化の問題だ。少子高 齢化に加えて、社会インフラや自治体そのもの の仕組みも老朽化が著しい。 これらは、戦後発展した先進国に共通の課題 であるが、その中では最後発であり戦後成金の 強烈にこの問題のつけを払わされることになっ た。別の見方をすれば、我が国はエマージング 諸国の先頭ランナーとも言えるわけで、明日は 我が身のこととして彼らも危機感を持って我が 化し、その流れの延長には社会的成功者が提 供する優良な精子を扱う精子バンクの注目度も 図1-1 アジア各国の生産年齢(15 ∼ 64歳)人口比率の推移 高まるだろう。そこでは、遺伝子操作を含めた (%) 80 優生学的なアプローチを提供するサービスなど 日本 オーストラリア・ ニュージーランド 60 インド いう仮説だ。このマズロー則は個人の成熟に関 する解釈だが、個人の集合体である社会にも似 たような振る舞いがあり、それを同様な「成熟 度」ととらえることができる。 例えば社会の単位として国を規定し、国が経 発展や福祉などを通じての世界人類への貢献 が責務とされるようになる。政治家が政権公約 設けつつ普及に努めている。倫理的な問題とし で語る内容がこの順で成熟していくという意味 もちろん、貧しい国であっても裕福な人は存 在し、裕福でなくとも無償の奉仕を実践する篤 進出も進む。ただし我が国には、近代化が進ん つまり一人の人生という短いライフサイクルの でいるにもかかわらず、女性の社会進出という 中における成熟と、属している社会全体の成熟 面では極めて後進的だという特徴がある。 度とが合わさって我々の成熟過程は進行するわ メガトレンド 2015-2024 ©2014 Kawaguchi Morinosuke, All Rights Reserved. 序章 人口予測と経済予測 う二つの領域は融合し、ほぼ一つになりま クラウド上で扱われる「IoT (Internet of Things、モノのインターネット)時代」 に、 三つの科学で考える メガトレンドの読み方:本文構成について シニア支援 オランダ型農業立国 教育ビジネス アナログ技術への回帰 総論:後発ほど加速する成長速度 日本は何をつくり、付加価値を提供していく か。それを見通すことが、企業が生き残るための成否を握っています。本レポートは、 「ICT 」 「エレクトロニクス」の新しい潮流によって産業がどう変化していくかを予測します。 都市インフラ輸出の拡大 ユースバルジとBOPビジネス 第4章 市場の強大化: 国家機能にも及ぶその影響 総論:すべてがオフショア化 開発〜製造〜消費のグローバル化 第5章 「消費が美徳」だった時代の終焉: サステナブルな価値観の台頭 ご活用いただきたい企業 ◆ ICT・エレクトロニクス関連企業 ◆ ICT・エレクトロニクスの新規事業領域開拓に取り組む企業 した時代に、何をつくったらよいか苦悩する企業 ◆シンクタンク ◆コンサルティング会社 ライフサイクル(主役交代と成熟の視点)で考える 第3章 成長ラッシュの穽: 早すぎる変化がもたらす負の現象 した。世の中の事象すべてがデータ化され、 ◆ハードとソフトが融合 ご活用いただきたい部門 ◆経営企画 ◆新規事業開発 ◆技術開発 ◆市場調査・予測 ◆システム開発・構築 ◆マーケティング 総論:力学の錯綜する環境問題 エネルギー効率向上 第6章 ポスト工業化社会の実像: 「人の心を算出する」機能の商用化 総論:サービス化は長い近代化プロセスの終着駅 保険・金融業化 脱売り切り消耗品化 ファブライト開発へのシフト 保守運用ビジネス〜BPO マーケティング手法の劇的変化 第7章 リアルとバーチャルの相互運動: 脳から都市までスマート化が加速 著者:川口 盛之助、山本 一郎/2014年12月28日発行 (予定) /レポート (A4変型判、約350ページ) CD-ROM(本体に掲載された図表データを収録)/本体価格 300,000円+税/発行:日経BP社 総論:ヒト・モノ・空間の電装化とスマート化 AR (拡張現実) 自動運転車 おもてなしサービス 「脳直」 コミュニケーション デジタルマニュファクチャリング 第8章 会社も働き方も変わる: 一所懸命からオンデマンド機能提供型へ 総論:閉鎖系・秩序系に好適だった日本式経営 ブラジル 韓国 65 フィリピン インドネシア 60 0 2万 オーストラリア シンガポール 日本 イタリア 4万 6万 8万 から老朽化した橋が落ちるなどの問題が出始 め、80年代以降維持管理予算が増強されてい る。日本では、現在全国にある道路橋、総計15 万橋のうち、築50年を超えるものは8%の1万 3000橋だが、わずか20年後には53%の8万橋に ける高齢者は若手の活躍の場を奪いかねない。 既に、若年層で高止まりする失業率の一因は、 わけではない。長期的には少子高齢化によって 高い年齢層の社員が居座るからとする見方が 日本の労働力は減り続けるためだ。これを補う1 韓国 スイス 日本 電機 インドネシア + 0. 0 −5. 0 1000 1人当たりGDP (US$) ブラジル チェコ 1万 知識・ノウハウ・ インタフェース 人脈など活用 起業∼再就職 支援フレーム シニア支援サービス →No2 情M 過疎化市町村MAP 農食 企業内の配置転換 企業内研修・再教育 企業のサバティカル制 企業のギャップイヤー制 フランスの目的別休暇制度 イスラエルの小中学校教師も利用可 医健 サービス 10万 福祉・公益で 社会貢献 インフラ 1人当たりGDP (US$) 金融 女性顧客系 美容・ファッション 企業ブランド化 なでしこ銘柄など セクハラ対策 勤務∼休職・復職体系 男性育休イクメン 妊娠・出産支援 ベビーシッター、産褥シッター ホームヘルパー サービス 保育ママ∼ チャイルドマインダー制度 サービス 企業内保育所 サービス サービス 電機 育児代行サービス 70歳定年∼定年廃止 定年引上げなど奨励金 女性の就労 支援ビジネス サービス シニア対人折衝∼接客職 (パートタイマー∼契約社員) ファーストフード∼化粧品売り場など 小売り∼販売員 シニア起業支援 俺のフレンチ、MetaMoji、神内ファーム21、 スマートコミュニティ稲毛など 衣住 女性の 社会進出 移民ナニー制度 英国風ハウスキーパー学校 クライス&カンパニーなど サービス 女性就活支援 有限責任事業組合(LLP) 合同会社(日本版LLC) の立ち上げ サービス 省力家電の進化 農業支援 自然塾∼農家里親制度(NPO) 若者教育、若者支援 (子育て支援∼小学校補助教員) 大同生命厚生事業団など (障碍者、外国人、高齢者、子供などの支援) NPO、NGO JICAシニア海外ボランティア 電機 電機 農食 サービス お一人様BIZ 男性の余剰 医健 不要化∼最適化 弱者支援系 (シルバービジネス従事など) 出所:労働政策研究・研修機構と経済協力開発機構(OECD)のデータを基に筆者が作成 サービス 家事代行サービス シニア熟練ヘッドハント 人材バンク∼派遣 プロジェクト型シニア企業 コミュニティ活動参画 ソーシャルワーカー的 衣住 − 米国 女性を登用する 制度しくみ 性の役目が あいまい化 熟練作業(工作機の西島など) 輸送 5. 0 Eラーニングで資格取得 40歳定年制 シニア 労働力活用 NPO公益系∼医療介護 管理職数値目標 大学・専門学校側専門カリキュラム 公共職能再開発施設 サービス (米国のコミュニティカレッジ∼プロフェッショナルスクール的) 自己啓発支援制度 再教育で 戦力化 図1-10 全国の過疎化市町村の分布 ハンガリー ラムのシニア・ディレクター、サーディア・ザヒ 接客サービス系 小売り、外食、教育 企業間相互インターン制 高齢化 労働力不足 知識陳腐化 面化している。ただ、同様の問題を後続国も抱 問題はより深刻になるだろう。日本での問題対 年より3位下がった。調査を担当する同フォー 政府官公庁系 女性を登用する 業種・職種 ・少子労働力不足 ・人権平等社会 ・平和安全化 ・サービス産業化 地方都市派遣 我が国は60年代以降の高度成長期に集中投 づいた今日になってそのしわ寄せが一気に表 出発した国ほど成長速度は速く、このしわ寄せ 1 化したジェンダー・ギャップ指数の2012 年版 で、日本の順位は調査対象135カ国中101位。前 図1-3-1 女性の社会進出のイシューツリー 図1-1-1 シニア労働力活用のイシューツリー 資して国土開発を行ったために、耐用年数が近 えている。高速に成長する国ほど、インフラな デンマーク 身を引き、給与も減らした上で、若い世代を指 導する役割に徹するべきかもしれない。これか 企業や公的機関で女性の力を活用すべきと らは業務面よりも精神面で、若手を支援する役 の意見は多い。しかし日本社会の現状は理想 割を求められる可能性がある(項目44.1「企業 に全く追いついていない。世界経済フォーラム と従業員:労働者のモジュール化」参照)。 (WEF)が世界各国の男女平等の度合いを指数 労働力としての高齢者に活躍の場がなくなる こうした労働者を抱え続けるのは、企業にと 含めた予防保全の体制を構築する必要に迫ら どは突貫工事で作り上げざるを得ない。後から スペイン 度から企業に順次義務付けられる。完全義務化 の2025年度に向けて、企業や労働者は対応を 迫られそうだ。 急増する。寿命延長のための補修・補強工事を 日本全体が、この限界集落に象徴される問題 10. 0 3. 女性の社会進出 って負担になり得る。とりわけ同じ企業に居続 ポーランド 15. 0 しかも今後の社会では、従来の業務で身につ けた知識や能力が通用しない可能性が高い。同 じ会社に残り続けるのであれば、自ら役職から れている。 保守・更新の負担問題に悩むことになる。イン フランス 20. 0 カナダ フランス 米国 ドイツ 香港 70 55 英国 ロシア 75 のは第二次大戦前の1930年代である。70年代 サービス サラ金 金融 女性が入りやすい店 パチンコ サービス 横のつながり 働き女子向けセミナー∼ SNS 働く女性向け ビジネス 女性向けコンビニ サービス 女性専用レストラン サービス 出所:筆者が作成 輸送 情M メガトレンド 2015-2024 ©2014 Kawaguchi Morinosuke, All Rights Reserved. 農食 メガトレンド 2015-2024 ©2014 Kawaguchi Morinosuke, All Rights Reserved. 57 衣住 医健 サービス インフラ 金融 67 高齢出産 生理的課題 従業員の更年期障害 更年期医療 メガトレンド 2015-2024 ©2014 Kawaguchi Morinosuke, All Rights Reserved. 医健 サービス 健康管理の運動施設 グンゼ中高年向け快適衣料 衣住 出所:筆者が作成 出所:全国過疎地域自立促進連盟のウェブサイト 55 総論:生命体の夢は永遠の命 ICT・エレクトロニクス産業に直結するテーマの選定 総論:新興国デビューの歴史 タイ 80 は民間企業の資金と運営ノウハウを活用するこ とになるだろう。米国の公共投資が盛んだった ある(項目9「世代間格差対策」参照)。 発になっている。高年齢者雇用安定法の改正に より、65歳までの希望者の継続雇用が2013年 メガトレンド 2015-2024 ©2014 Kawaguchi Morinosuke, All Rights Reserved. 65 81 第9章 超人化する人類: 生態と進化の人工操作への挑戦 第2章 新興国の成長ラッシュ: 日本企業躍進の起爆剤 進化によってハードウエアとソフトウエアとい ニュージーランド 85 社会全体が豊かになってからの熟成期間が長 な社会貢献を志す若者の数は増えてきがちだ。 総論:ベビーブーマーの老衰 に見られるように、情報通信技術(ICT)の スウェーデン 90 1 ぶ必要があるが、概して言えば、その方向性と を抱えており、社会インフラの加齢に伴っての 女性と男性の得点差 25. 0 1 労働力人口の減少や年金財政の悪化に応じて、 高齢者を労働力として活用する取り組みが活 フラ老朽化先進国である欧米各国の事例に学 ングできるかが問われることになる。 豊かになると学業成績が良い 女性労働力率 95 志家はいる。だが、全体の傾向としては、その いほどに NGO やボランティアなどの草の根的 が進み人権啓発が進めばそれだけ女性の社会 第1章 先進国の本格的老衰: 成熟がもたらす新市場 クラウドコンピューティングやスマートフォン 豊かになると社会参加 になる。 49 ありそうだ。感覚的に言えば、一般的に近代化 メガトレンドの思想について メガトレンド 2015-2024 ICT・エレクトロニクス編 図1-7 1人当たりGDPと女性の労働力率/得点比率の関係 安の確保、汚職や腐敗を排除した法治の確立を になり、最後には地球環境や世界平和、科学の 社会の成熟と女性の社会進出には関連性が ることはあたわず、いかにしてソフトランディ ベルがクリアされれば、次には所得の向上、治 技術が改善され、先進各国ではガイドラインを ◇社会の成熟と女性化の関係 働力を全開にすることにあるだろう。 インを国民に提供しなければならない。そのレ 染色体異常の確率が高まるなかで、出生前診断 止めることはできないだろう。 れた福音とは十分に活用されていない女性労 全な水や食糧といった生存にかかわるものへ の欲求であり、国としては、まずこのライフラ 齢も年々高まっている。高齢出産による胎児の メガトレンド 2015-2024 ©2014 Kawaguchi Morinosuke, All Rights Reserved. この視点で見ると、日本や韓国は順当にその 法則に従って優秀な人材を育成しているにもか かわらず、社会の富を生み出す機能として女性 高齢化を迎える今後の日本社会において、残さ なるだろう。まず人々の間で顕在化するのは安 求めていく。さらに成熟度が高まると、民主的 00 05 10 15 20 25 30 35 40 45 50 (年) いる。 まだ人類が経験していないほどの強烈な少子 釈すると、図1-6 の左から右への流れのように な政治体制や人権保護問題なども問われるよう 20 Assessment, PISA)によれば、国が豊かになる た地域では女性の方が男性の成績を上回って を十分活用できていないことが明らかである。 済的に豊かになっていく過程をマズロー風に解 女性の社会進出が進み、それとともに出産年 出所:国連の「World Population Prospects: The 2012 Revision」のデータを基に筆者が作成 分かる。また OECDによる学生の学習到達度 調査(Programme for International Student と女性の学業成績が向上し、多くの場合成熟し 男性高い 東南アジア 50 55 60 65 70 75 80 85 90 95 19 全確保→所属と愛→承認と尊敬→自己実現」と も将来的には見込まれる。 ての議論もあるが、長期的にはこの流れをせき 55 50 過程を心理学では「マズローの欲求段階説」で 表現する。人の欲求レベルは「生理的欲求→安 いう段階を経ながらステップアップしていくと 内での日本の値の低さは際立っていることが 得点差 ︵女 ― 男︶ 65 1 労働力率女/男 比率 ︵%︶ 男性高い 70 ここでもう一度各国の社会の成熟度を横並 びで評価してみよう。人の精神的な成熟の発達 1. シニア労働力活用 1 サービス産業が主役になる点も見逃せない。こ の点は第6章で後述するが、男性と女性が得意 な学問を分類すると分かりやすい。工業社会を ている。面積で言うと全国37万8000km2の面 支える物理学や数学に相当する基盤学問とは、 積のうち21万6000km2、つまり57.2%が過疎市 サービス産業社会においては心理学や言語学 町村である。そして人口で言えば全国1億2千8 ということになるだろう。現に上述の得点比率 百万人のうち1000万人、つまり8.1%が過疎市 の結果でも、非サイエンス系領域では女性の得 町村に暮らしている。維持し続けることはでき 点率がさらに高まるという結果が出ている。 ないのだ。 サステナブル社会の到来という状況も女性化 先に触れた通り、国連の推計によれば 2050 を後押ししている。新たに開拓するフロンティ 年までに我が国の人口の98 %は都市に暮らす アはなくなり、地球というエコシステムに100億 ことになる。この値はシンガポールやクウェー にも達しようかという人口が調和して暮らさな トといった都市国家のレベルに並ぶ数値であ ければならないという未曾有の状況が生まれ り、1億もの人口を有する国家としては異例の ている。サステナビリティは、エネルギー不足 状態と言えるだろう。総人口が減る中で首都圏 や資源枯渇などの環境問題として語られること や大阪圏の人口は2050年に至ってもまだ増え が多いが、その本質は閉鎖系において、いかに 続ける。つまり、図1-10に示した緑色の過疎化 相互に協調し生き延びていけるかということに 地域とは、遅かれ早かれ消滅集落として放棄さ ある。その文脈においても社会全体として女性 れることを意味している。この現象自体を止め 女性高い 中国 韓国 に社会的な機能として活用が進むだけでなく、 実際に女性の労働力率(男性の就業率に対す 女性高い 75 に大きな存在感を示すようになる。上述のよう の一部の戒律の厳しい地域と同レベルなのだ。 先進国の本格的老衰:成熟がもたらす新市場 ステナビリティ問題や、新興国台頭への対応、 女性的な価値観は、今後の社会では、さら 活用度とは、世界的には未開の地域と捉えられ ているサハラ以南アフリカや中央アジア~中東 先進国の本格的老衰:成熟がもたらす新市場 激な老衰化だと言い切ってよい。地球環境~サ 出が突出して立ち遅れている。我が国の女性の る女性の比率)を見てみると(図1-7)、先進国 先進国の本格的老衰:成熟がもたらす新市場 サイクルは加速している。後発組ほど速く立ち りは社会全体で仮想化して共有する方が効率 上げられるが、その代償として高速な劣化圧力 的という意味である。 にさらされるのだ。 まさにクラウドコンピューティングの思想そ 世界的に共通して訪れている「先進国の衰 のものである。個人の教育~再教育に積極的な 退」の最大要因は、人口構成のボリュームゾー 仕組みを身につけた社会の方が競争に勝つと ンであるベビーブーマー世代の高齢化と、社会 いうことだ。具体的には個人の再教育の機会や 全体の富裕化、すなわち生活レベルの向上に伴 費用を、現状で雇用している側、次に雇用する う少子化である。言い換えるとOECD加盟国に 側、雇用をあっせんする側が相応な割合で負担 共通して、人口オーナスと呼ばれる労働生産人 するような育成システムが求められるようにな 口比率の低下に見舞われている。 る。 ベビーブーマーとは、第二次世界大戦の終結 一方で子供の早期教育化の流れもさらに加 直後に、復員兵の帰還に伴って出生率が上昇し 速することになる。少子化は、直近では生徒数 た時期に生まれた世代を指すもので、世界の先 の減少をもたらすために、教育市場のボリュー 進国に共通する人口動態現象である。1946~ ム縮小を招くものの、高度で贅沢な教育市場が 1959年生まれの米国のベビーブーマーや、日本 出現する。これを受け、幼児教育や胎教が一般 先進国の本格的老衰:成熟がもたらす新市場 &情報の流通速度が増す中で、すべてのライフ 先進国の本格的老衰:成熟がもたらす新市場 国の処し方を注視している。ヒト・モノ・カネ 現在の日本が抱える課題を1つだけ述べよと 問われたとしたら、それは間違いなく国家の急 代表格である日本において、最も顕著に表れ、 クラウド、人工知能、 ビッグデータ、 Internet of Things… ICT・エレクトロニクスの新しい潮流とは? 先進国の本格的老衰:成熟がもたらす新市場 目次 1 ベビーブーマーの老衰 ビジネスプラットフォーム設計 人体強化 (非生物系技術) 第10章 メガトレンドがもたらすICT・エレクトロニクスの変化 電子・電気・機械 IT・メディア・コンテンツ 第11章 10年後の未来を考える 10年は遠い未来なのか、近い未来なのか 一つの反証としてデジタルネイティブという幻想 変化速度が加速化しているのは間違いない 東京オリンピック 第12章 メカトロニクス、 エレクトロニクス、ICT すべてが渾然と融合した時代へ 全く新しい技法で実現可能に 第13章 ICT・エレクトロニクス各分野の変化 クラウド データ IoT (InternetofThings) ロボット デジタルファブリケーション 航空・宇宙 ロジスティクス オープンネス マンマシンインタフェース メディア 人工知能 (AI) セキュリティー 第14章 アンチテーゼとしてのディストピア論 安全保障問題 資源問題 エネルギー問題 ※目次は変更になる場合があります。 ※序章∼第10章は、 『メガトレンド 2015-2024 』 のコンテンツを抜粋して掲載しています。 テクノロジー・ロードマップ 本当に「使える」技術ロードマップ。 イノベーションを起こす100テーマを選定し、 今後10年の流れを予測する。 テクノロジー・ロードマップ 2015-2024 事業・技術開発戦略立案に実践的に役立つ 『テクノロジー・ロードマップ 2015-2024 』 の特徴 ①市場 2024年までの「市場のすがた」を予測する ②商品 /サービス 市場ニーズに合わせた「商品機能」を定義する ③技術 商品機能を実現するための「技術」を提示する ■ 従来のテクノロジー・ロードマップ 現状を踏まえた 技術進化を計画 技術の積み上げで 商品を設計 市場に適合する 商品を投入 従来の技術ロードマップは、製品や技術が 市場に受け入れられるかどうかの議論が抜 け落ちています。本レポートは、まず「市場 ニーズ」を予測し、 それを満たす「商品機能」 ■『テクノロジー・ロードマップ 2015-2024 』 市場の将来像を描く 市場ニーズに合う 商品機能を定義 商品機能に必要な 技術を特定 を定義し、その機能を実現するための 「技 術」を提示するという、従来とは全く違うア プローチ方法を採りました。2013年に『テ と共に、コンテンツを全面改訂しています。 ◆事業・技術開発戦略を策定する企業 ◆事業戦略と技術ロードマップの統合化を推進する企業 ◆経営層が技術起点の ロードマップに納得しない企業 ◆シンクタンク ◆コンサルティング会社 ご活用いただきたい部門 ◆技術開発 ◆経営企画 ◆新規事業開発 ◆市場調査・予測 ◆マーケティング 著者:出川 通、青木啓二、樋口世喜夫、丸田昭輝、堀 雅夫、近藤淳太、安田圭佑、鈴木央一、古川 修、佐藤幹郎、横井行雄、牛 山 泉、玉浦 裕、澤 一誠、岩間剛一、 白方雅人、太田健一郎、瀬戸山 亨、河野修己、増田智子、加藤勇治、川越雅弘、梅田智広、 長谷川高志、鎮西清行、伊藤勝彦、脇田慎一、杉沼浩司、染谷隆夫、丸山正明、神永 晋、藤田公子、小林啓倫、志村一隆、山 路達也、山上俊彦、川村 保、久塚智明、冨岡伸一、村瀬博昭、河田孝雄、佐野雅昭、平島 寛、三木 優、段野孝一郎、小長井由 隆、八幡晃久、伊庭健二、松浦晋也、大橋弘隆、中防嘉宏、山本喜久 (A4変型判、約450ページ) 2014年12月17日発行(予定)/レポート CD-ROM(本体に掲載されたロードマップを収録)/本体価格 300,000円+税/発行:日経BP社 商品レベル 期待機能と予定製品に分かれる。 期待 機能は、 ニーズに沿ったユーザーの期 待価値を表す。 この期待機能がニーズ からのアプローチであるのに対し、 予定 製品は第3層の技術レベルからのアプ ローチによる具体的な商品/サービスと その実現時期を示す。 技術レベル 従来の 「技術ロードマップ」 はこの部分 だけを詳細に示したものが多い。本レ ポートでは、 ニーズに沿った商品/サー ビスを実現するためのコア技術、優先 度の高い技術を明確にし時系列で整理 している。 社会や顧客の価値にひも付く 技術をいつ用意しなければならないか を判断する材料となる。 国名 中国 2 1999 2000 2001 2002 2003 1 2004 3 1 2005 3 2006 2007 1 米国 欧州 2008 1 1 2 2 9 6 5 17 15 13 5 5 5 2 7 10 10 5 9 7 6 11 4 2 17 4 9 6 31 12 21 2009 13 2 2010 2 1 3 14 12 16 5 2 1 4 2 5 9 2 6 12 5 20 28 38 35 21 22 27 32 35 48 57 22 19 多国籍 合計 1 1 日本 ロシア け合っている。中国は米国が衛星を中国に対して禁輸し ているので、商業打ち上げには参入できていない。イン 1998 インド International Launch Services(ILS)社や米・ロシア・ ノルウェー・ウクライナ合弁のSea Launch社などが分 ドは低価格を武器に、商業打ち上げ市場への第一歩をし 7 9 るしたところだが、打ち上げ成功率が低いためにまだ市 (出所:日本航空宇宙工業会の平成22年度宇宙産業実態調査資料) 分析アルゴリズムの高度化と容易化が引き続き取り組 集されるデータは、消費者にとっても自らの生活を定量 場の信頼を得るには至っていない。 com社の創業者であるJeffrey Bezos氏による米Blue まれる。QS を実現する上で M 2M(machine to ma化するものとして利用価値が高い。実際にスマートメー 米国の基幹ロケットである「アトラスV」を擁する米 Origin社、3Dゲーム「DOOM」 の作者John Carmack氏 積極的に個人データを収 化すれば、 ファルコン9の第1段を再利用できる可能性が 有人宇宙船開発にも 「CCDev (commercial crew devel□ 市場トレンド こうしたメリットを認識し、 chine) 利用が欠かせないことから、 M2M活用基盤の整 ターのデータを省エネ促進だけでなく、 健康維持やセ Lockheed Martin社、 の米Armadillo Aerospace社など。 彼らが目指したのは、 見えてくる。第1段はロケットの中でも最も大きく、特 opment)」という同様の補助金プログラムを開始した。 今やあらゆる活動がデータを生み出すようになった。 集・分析しようとする消費者が増える一方で、 セキュリ および「デルタ4」を持つBoeing社 備も進むだろう。特に今後は現実空間そのものがデジタ キュリティー管理等のサービスに役立てようという動き は、基本的に米国の官需衛星打ち上げを担っている。米 一様に低コストの宇宙輸送システムの開発だった。皆、 にエンジンの製造コストが高い。第1段の再利用は、宇 「ニュースペース」はこれに応募することで新技術の開 2011年に全世界で生成された情報量は1.8ゼタ (×1021) ティーやプライバシーに関する懸念が根強く残ることが ル化されることから、あらゆる面でデータ量が急増し、 が出ている。スマートメーターが2020年までに全世界で ッグデータ 6-1. ビッ 6 政府は、これら2社に対しては商業的に見合う数の衛星 現在の宇宙開発が今ひとつ地上の経済とリンクした大 宙輸送システムの運航コスト低減の一歩となり得る。 発経費への補助金を受け取ることができた。 実機が完成 バイトであり、それが2020年までに50倍以上に達する 考えられる。彼らの懸念を解決する技術やアプリケー ストレージへの対応が重要になる。オブジェクト・スト 10億台が導入されると予想されており、 国内でも東京電 打ち上げを発注しており、両社は国際的な商業打ち上げ きな産業になり切れない問題の根源が、 宇宙輸送システ すればISSへの輸送業務という官需も受注できる。 だろうとの予測もある。現在「ビッグデータ」 と呼ばれ ション、サービス類への需要が高まることだろう。 レージやフラッシュ・ストレージなどの技術への対応が 力と関西電力が2023年ころまでに管内のほぼ全世帯に 市場への進出には消極的である。日本では、 宇宙航空研 ムのコスト高にあることを見抜いていた。その中でも、 □同様にネットワーク 技術トレンド SpaceXは、COTSで大気圏再突入可能な無人輸送船 る領域に含まれている実験的な試みも、 10年後には日常 逆にデータ分析に価値を認める消費者たちは、 製品や ここ数年の間に急速に進むだろう。 導入する計画を立てている。ほかにも自動車から電気 ■ HMI(human machine interface) 究開発機構(JAXA)の「H-IIA/H-IIB」ロケットが三菱 SpaceXは、 大型ロケット「ファルコン9」 の開発に成功し、 静止衛星打ち上げ向けのトレンドとして、慣性誘導に 「 ドラゴン」とドラゴンを打ち上げるためのロケット 的な業務として扱われているだろう。 ビッグデータは特 サービスの壁を越えて、 より一層データを統合しようと についても、肥大化したデータを効率的に処理するため ポットに至るまで、無数の機器類からデータを収集する 持つことから、内装材の難燃性などの基準の緩和を可能 速道路走行不可) 、定員1名と規定されており、道路運送 重工業に移管されて、 商業打ち上げ市場に参入するべく 商業打ち上げ市場の台風の目となりつつある (図1) 。 かつ何度も再着火可能な 「ファルコン9」 を開発。ドラゴンは2010年12月に初飛行 定の分野ではなく、すべての製品やサービスを支える要 するに違いない。具体的には、 データベースのデータを に、SDN(software defined network) の活用が進むと ことが取り組まれているが、最近普及しつつある 「お掃 1 よる精密な軌道制御を行え、 としている。そして、最高速度30km/h以下の道路のみ 車両法では第一種原動機付自転車扱いで、 運転には普通 営業活動を続いている。韓国の多目的実用衛星 「アリラ とはいえ、 商業打ち上げの市場規模は小さい (図2) 。 アッパーステージの必要性が浮かび上がってきている。 を成功させ、2012年からISSへの貨物輸送に使われてい 素として、普遍的な存在になると予想される。 ここでは、 整理して価値を高めるデータクレンジング、 あるいは外 考えられる。また、データ量のさらなる増加と、 個人や 除ロボット」に注目した例もある。これはシャープと東 められた。第1次石油ショックを機会にボディを備えた □ 市場トレンド 利用する場合には、死亡事故が極めて少ない実態から、 運転免許証を必要としている。実際のニーズとしては、 ン3」の打ち上げ (2012年5月18日)に続き、2013年9月 打ち上げが必要になる衛星機数は静止軌道に年間20機 静止軌道への打ち上げでは、打ち上げ地が赤道に近いほ る。COTSでは、同社の他に米Orbital Sciences(OSC) コンシューマー系サービスにおけるビッグデータ活用を 部データの存在を把握し入手・統合するサービスへの 中小企業での利用拡大、 データ統合へのニーズの高まり 京急行電鉄(東急電鉄)が共同で行った実証実験で、 ロ 原付軽量四輪車「クワドリシクル」が登場した。16歳以 日本は、2015年に4人に一人、2050年に3人に一人が パッシブセーフティの基準の追加緩和を可能としている。 軽自動車より小さい二人乗りの近距離用超小型モビリ にはカナダの Telesat 社の静止通信衛星「 テルスター 程度。金額ベースでは年間 2000 億円ほどで 、欧州の ど有利である。打ち上げに必要なエネルギーが小さくな 社の無人貨物輸送船「シグナス」 と打ち上げ用ロケット 考える。 需要が高まると考えられる。個人専用のデータマネジメ が見込まれることから、 クラウド活用が中心となってい ボットの稼働状況や動作時間帯などから所有者の生活 上で5時間の座学での交通安全受講証(BSR)を取得す 65歳以上となり、4分の1は独居と夫婦世帯になると予測 さらに、電気駆動になれば、排ガス対策、燃費対策、騒 ティ (高速道路走行不要) 、最高速度は60km/hで良く、そ Arianespace社が市場の過半を占める独占に近い市場だ るからだ。しかし、軌道上で希望した任意のタイミング 「アンタレス」も開発中。シグナスは2013年9月に試験飛 インターネットというデジタル空間上での人間の行動 ント・サービスというわけだ。 12V」の打ち上げ(2015年打ち上げ予定)を受注した。 くだろう。 パターンを割り出し、ニーズに合わせた情報を提供する れば、自動車運転免許証が無くても運転できた。また、 されている。超高齢社会において、健常な高齢者が自立 音対策などが不要になり、安全性向上に一層注力でき、 れに適した安全性能を持ち、30kg程度の荷物が載せら Arianespace社が市場の過半を占めている理由は、 手 で何度もロケット噴射を行うことができれば、 打ち上げ 行に成功した。SpaceXは最大7人が搭乗できる有人仕 履歴を収集・分析し、ユーザー個人の趣味や嗜好に合わ 究極的には、消費者一人ひとりが、 自分だけの未来を さらに、社会全体を「定量化」するためには、 正確な位 という試みである。 国連ではL6、L7カテゴリが規定されている。これらは主 して生活するために、移動の確保が求められている。移 低速走行のため新技術を導入しやすくなる。次世代自動 れ、坂道も楽に登れる、二人乗り電動ミニカーである。 図1 米SpaceX社の「ファルコン9」ロケット 厚いサービスとリーズナブルな価格に加えて、 これまで 場所とは無関係に効率良く衛星を静止軌道に投入するこ 様のドラゴンもCCDevの補助金を受けて開発している。 せた最適化を行うという発想は、既に当たり前の話に 見ることができる「水晶玉」をモバイル端末の中に所有 置情報を取得する仕組みが欠かせないが、 日本では2019 このような個人・家庭内で収集されたQS系データの として、地方の年配者、自動車運転免許取得年齢に達し 動の足が無くなると4人に3人は自立が困難になるとい 車では次の安全等技術開発が進められている。 (1) 「認 高齢者はぶつからない安全要望が強い。 (1) 「事故防 200機以上の打ち上げ実績によって信頼性を裏打ちして とが可能になる。効率良く静止軌道に投入できると、そ 最初の有人打ち上げは2010年代半ばの予定だ。 なっている。今後10年で、この取り組みはネットの世界 するような状態が実現されるだろう。 それは占い師の水 年までに準天頂衛星システムの運用開始が計画されて 商用利用について、経済産業省はデータをコンテンツ配 ない若者などで、30万台以上が使用されている。最近の う。そして、行動範囲が狭く日常生活で使用でき二人乗 知支援技術」として、全方位障害物検知、追突警報・回避、 止機能」として、 アクセルとブレーキの踏み間違い事故 いることが大きい。同社は、 1986年のスペースシャトル の分、衛星寿命を規定する衛星搭載スラスターの推進剤 ロケットという観点からは、 COTSやCCDevを通じて、 を超え、現実空間でも同じ対応が行われるようになるだ 晶玉と同じように、質問者の未来を何でも見通してくれ いる。それと並行する形で、 屋内での正確な位置把握を 信やマッチングなどに活用する「パーソナル情報活用市 二人乗り電動超小型車は、フランスでは、Renault社の りでよいという、省エネで小さい車への要望が高い。 交通標識認知・警告、疲労検知、緊急通報など、 (2) 「衝 防止、の空中爆発事故後、 追突事故防止、出合い頭事故防止、 右折時の事故 「チャレンジャー」 米国の宇宙開発の を余らせることができる。 つまり衛星の寿命が長くなる。 SpaceXがファルコン9というH-IIAと同クラス (地球低 ろう。各種の記録装置とデータ分析の普及・高度化によ る。しかし魔術や奇術の類いではなく、所有者の合意の 可能にする技術の整備も促されると考えられる。 場」 、および健康や医療に活用する「情報薬市場」の合計 「Twizy」 、Peugeot社の「VeLV」 、ドイツでは、Daimler 交通事故死亡者は、高齢者が全体の半数を超え、その 突回避・被害軽減技術」として、ペダルの踏み間違い防 防止、 (2) 「運転補助機能」として、 知覚機能の補助、体 停滞を踏み台として市場シェアを伸ばした。 シェアを伸 ロシアは北緯45度のバイコヌール宇宙基地から静止 軌道に10t)の大型ロケットの開発に成功したことが大 り、現実空間をあたかもデジタル空間であるかのように 下でクラウド上に集約された膨大なデータと、 高度なア こうして消費者に関するデータの蓄積が進めば、 個人 が約13兆円の規模になると予測している。 社の「fortwo」 、BMW社がリーダーになって産学官で開 うち歩行中が1/2、自転車乗車中が1/4、両者で3/4を占 止装置、自動緊急ブレーキ、緊急操舵回避など、 (3) 「運 力・筋骨格の補助、情報処理の補助。 ばすことで打ち上げ実績を積み上げ、 実績に基づく信頼 衛星打ち上げを行っているが、 「ブロックDM」 「フレガー きい。これまでロケットの多くは、 国の主導で開発され 計測できるようになる。 ルゴリズムを駆使することで実現される。 が将来どのような状況に置かれているかを推測しやす 一方で、身体や周辺環境に関するデータを収集・提供 発している「Visio.M」研究プロジェクト車、スペインで める。また、歩行者と自転車利用者の死者は、自宅から 転支援技術」として、自動パーキング、ACC(adaptive 国土交通省が2013年1月に公布した超小型モビリティ 性でブランドを確立し、 打ち上げ市場の勝者となったわ ト」といった高性能なアッパーステージを使用している。 てきたが、 ファルコン9は国からの資金援助を受けつつ かつてPeter Drucker氏は「計測できるものは管理で くなる。その結果、自然言語処理の高度化が実現される する装置が身の回りにあふれることで、 データを安全に はスペイン政府と米Massachusetts工科大学(MIT)が 500m以内でほぼ半数を占める。政府は2018年までに交 cruise control) 、低速時の先行車追随など。 けである。 の認定制度は、大きさ、性能などに関して一定の条件を 北緯7度の南米フランス領ギアナから打ち上げている も、完全に民間主導で開発された。 これは、SpaceXが今 きる」と語った。現実空間すべてが「デジタル化」して計 □ 商品トレンド だろう。それは利用者とデータ分析システムとの間のイ かつ統合された形で管理したいというニーズが増える。 共同開発した「Hiriko」などが提案されている。 通事故死者数を2500人以下にする目標を設定している その他の技術として、生体モニター情報・緊急通報、 付すことで、安全・環境性能が低下しない範囲で一部の Arianespaceと商業的に対抗できている。一方、 日本は 後いかようにでもファルコン9を利用し、 発展させるこ 測可能になることで、さまざまな問題が管理できるよう 社会全体を定量化し、現実空間をデジタル化するため ンタフェースにも活用されるようになると考えられる。 機器単体のセキュリティーを継続的に改善しながら、そ 米国では、連邦自動車安全基準「FMVSS500」に準拠 (2012年は4411人) 。一方、ガソリンスタンドの数が最盛 スマートフォン活用、HEMS(home energy manage公道走行を可能とする制度である。メー □ 商品トレン基準を緩和し、 ド 現在、高性能のアッパーステージを持っていない。この とができるということだ。現在同社は、 になる。その可能性は無限大だが、特に先進国では今後、 に、多種多様な記録装置が大量に求められるようになる。 実際に前掲のブースターを付 「お掃除ロボット」の例では、 ロボットが れとは別に制度的にデータの安全性・統一性を守るよ した高齢者居住地域で使用する低速の近隣用電気自動 期の2/3となり、給油所過疎地は250自治体を超えた。地 ment system)連携、非接触充電、カーシェアリング・シ カーから提案のある車両タイプは、 二人が前後に座る二 米国内で「ニュースペース」 が勃興した背景には、 ス ため北緯28度の種子島から打ち上げているH-IIAは、そ 加して地球低軌道に53tと打ち上げ能力を飛躍的に増強 高齢化社会の中で健康維持がより重要なテーマになる 2013年時点で既に多様なウエアラブル機器が商用化さ 音声認識機能を備え、ユーザーからの呼びかけを認識し うな動きが進むだろう。具体的には、 個人のデータを代 車(NEV)は、今は生活の足として一般道路で、また 方では電動シニアカーを利用している高齢者を目にす ステム、バイ・ワイヤ、ヘッドアップ・ディスプレイ、側 輪車感覚の四輪車、前席はドライバ一人で後席に子供二 ペースシャトルの引退 の分打ち上げエネルギーの面で不利になっており、国際 した「ファルコン・ヘビー」 、さらに第1段をロケット噴 と考えられる。予防医学やフィットネス、見守りなどの れているが、今後、小型化とコストダウン、 収集できる (2011年7月に最後の打ち上げ) て会話するコミュニケーション機能が設けられている。 理人の立場で一元管理する「データマネジメント・サー ショッピングモールや観光地の業務用にも使用されてい る。その場合、家で充電できるメリットは大きい。 方・後方バーチャル映像情報などが開発されている。 人の四輪車、左右二人乗り四輪車、三輪車、 そしてドアの に合わせて米国が宇宙ベンチャーを計画的に育成し、 地 市場から商業打ち上げを受注できない原因の一つとも 射で着陸させて再利用するための垂直離着陸実験機 「グ自然な形でビッグデータを 分野において、ビッグデータ技術が活用され、個人ごと データの多様化がさらに進むと考えられる。 このように一般の人々でも、 ビス」が登場すると考えられる。そこではデータの取捨 る。現在、米General Motors(GM)社がICTを取り入れ 2011年5月に全国35道府県知事から、高齢者が自立し 欧州では、速度制限の車内表示と警告が普及し、小型 有無など、ユーザー志向の発想豊かなモビリティとなっ 球周囲の宇宙空間における活動を積極的に任せる政策 なっている。現在JAXAは、H-IIA第2段に複数回着火機 ラスホッパー」の飛行実験を繰り返している。 にカスタマイズされたアドバイスが提供されることにな スイスCredit Suisse社は今後3〜5年の間に、 ウエアラ 活用するシステムの利用が可能になるだろう。 選択・統合、および外部サービスへ提供する際のコント た一人乗りの「EN-V」を開発中である。 やすいように、二人乗りで最高速度が遅く二輪車より安 車にまで自動緊急ブレーキが装着されてきている。一方、 ている。また、動力系では、1モータ、 2モータ、インホイー を採ったことによる。まず2006年から、 国際宇宙ステー 能を持たせるための技術開発を行っている。第2段に高 るだろう。 ブル技術の市場が全世界で500億米ドルに達するだろう ロールが行われるようになる。 ファルコン・ヘビーは完成すると、アポロ計画に使っ 中国は、2006年に米国からNEVの商談を受け2008年 全で手荷物も積める、近距離用超小型電気自動車の要請 生活道路の速度抑制策として、速度抑制のための突起(ハ ル・モータなどバラエティに富んでいる。 ション(ISS) への無人貨物輸送船の開発を促す「COTS 性能アッパーステージの機能を持たせようとしているわ た「サターンV」ロケットに次ぐ、米国にとって2番目の 例えば自分に関するあらゆるデータを集め、分析する と予測している。ここでも需要をけん引しているのは、 データ分析については、個人レベルで利用可能な予測 に低速電気自動車(LSEV)を生産するようになり、国内 が出た。同年8月に閣議決定された「日本再生のための ンプ) 、 カーブや植え込みなどの道路対策に加え、 車両で 将来に向けては、 観光地や私有地内、 あるいは交通量 (commercial orbital transportation services)」という けだ。改良2段は、2014年度に最初の打ち上げを予定し 打ち上げ能力を持つロケットとなる。また、グラスホッ という「自己定量化(QS: Quantified Self)」の動きが本 スポーツ時の活動量測定や、ヘルスケア系の身体情報測 分析が整備される。対応するスキルや時間がない人のた では地域限定で使用され量産工場も登場している。イン 戦略に向けて」の中で、高齢者にやさしい自動車の開発・ は自動速度制御装置(ISA)により、アクセルペダル振動 の少ない自宅から病院・店・集会所などへの決まった 大規模な補助金プログラムを開始。 さらに2010年からは、 (出所:SpaceX) ている。 パーで試験しているロケット噴射による垂直着陸が実用 格化しつつある。米Gartner社は今後2〜5年の間に、QS 定など健康維持系のデバイスだ。 さらに高齢者に負担の めに、自動的にアドバイスを生成するシステム (パーソナ ドでも生産されイギリスなどに輸出されている。これら 普及が取り上げられた。また、生活道路で最高速度を による速度制限超過の警告や、自動で車速抑制を行うシ ルートで自動運転するというアイデアも出ている。田畑 参考文献 が一般にも普及すると予測している。そうなれば消費者 少ない、シート型のセンサや画像解析型の記録技術など ル・コンシェルジュ)や、会計士のようにデータ管理・活 1)“Digital Universe”, EMC は、最高速度を抑え、高速道路の走行を禁止し、安全装 30km/hに制限する「ゾーン30」の導入や、情報通信技術 ステムが検討されている。また、走行エネルギー節約の で活躍する農作業車、鉱山などで活用する運搬トラック、 http://www.emc.com/leadership/programs/digital-universe.htm 146 テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 147 テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 たちは、自分の身体だけでなく、 周囲の環境に関する「定 が実用化されつつあり、身体情報のデジタル化をさらに 用を代行するパーソナル・データ・アカウンタントといっ 2)“Hype Cycles 2013 Research Report”, Gartner, http://www.gartner.com/ 備を義務付けているが、通常の自動車に適用される衝突 (ICT)の活用が推進されている。 ため、車両の軽量化(炭素繊維強化樹脂やアルミ材の活 米国の軍用車などは、自動運転の実用化に向けて既に動 technology/research/hype-cycles/ 量化」も願うようになるだろう。実際にさまざまなホー 容易にする商品が普及していくだろう。 たサービスが登場するだろう。情報通信技術(ICT)の専 3)“The Future of Wearable Technology - Sectors and Companies”, Credit 安全要件は免除されている。 国土交通省は2012年に「超小型モビリティ」の導入に 用)やハーネスの軽量化、LED照明による省エネなどが き出している。今後は、モビリティとICTとエネルギー Suisse, 2013/7/4 ム・オートメーション機器が、消費者の居住空間や生活 一方で、従来はデータ収集とは無縁であった家庭内機 門知識を持たない人々であっても、特に意識することな https://www.credit-suisse.com/ch/en/news-and-expertise/news/ 今後、この種のモビリティは、急速に進む高齢社会や 向けたガイドラインを発表、2013年1月には公道走行を 注目されている。 多様化とが一体となり 、希望する人々に移動を確保 economy/sectors-and-companies.article.html/article/pwp/news-andパターンに関するデータを生み出すようになっている。 器類が、データの供給源として活用されるようになる。 く、ビッグデータを個人で活用できる時代が到来する。 expertise/2013/07/en/the-future-of-wearable-technology.html 環境保全に向けた人々の生活の足となるだけでなく、地 可能とするモビリティの認定制度を創設し、2月に先導・ 将来は、物理的手法ではなく、自然に交通安全を意識 し、生活環境を高度化する一翼を担い、災害時のエネル 4)“Global Installed Base of Smart Meters to Near 1 Billion Units by 2020”, こうしたデータが消費者の元に戻され、分析に活用され その良い例がスマートメーターだ。スマートメーターは Navigant Research, 2011/8/9 域産業の活性化の手段ともなり 、スマートコミュニ 試行導入に対する補助の公募を開始した。そして、自治 した歩行者とドライバが目を合わせてコミュニケーショ ギー活用にも貢献するビジネスが進展する。併せて、多 http://www.navigantresearch.com/newsroom/global-installed-base-ofるようになるはずだ。QS の「 S」は「 Self」ではなく、 デジタル化された電力量計で、通信機能を備えることで、 smart-meters-to-near-1-billion-units-by-2020 □ 技術トレンド ティーや環境未来都市構想の推進とともに一つのカテゴ 体が中心となり、地域産業の育成をも狙い、高齢者や子 ンができるような道路空間デザインが注目されている。 くの異業種がパートナーとなりモジュール開発とオープ 5) 『ビッグデータ時代のライフログ ICT社会の“人の記憶”』、東洋経済新報社、2012 「Society(社会)」も意味するようになる。 計測の効率化と高頻度化を行うことができる。そこで収 データ処理の高速化と分散化、ネットワークの高速化、 年 リを形成するとみられている。一方、バリエーションと 育て支援用、環境を重視する観光地用、都市における配 また、歩道と車道の段差解消やオープンカフェなどの共 ンイノベーションの下、楽しく、安全で、賢いモビリティ 型 1-2. 超小型モビリティ 達用・コミューター用・見回り用などに向けた超小型モ 10 して新興国の人々のタクシーとしても期待されている。 テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 ビリティの実証実験が開始され、同年6月には認定第1号 が誕生した。 欧州では、1960年代に既に「バブルカー」と呼ばれる カテゴリがあり、多くのメーカーが超小型車を作って、 44 ご活用いただきたい企業 図2 国別の商業打ち上げ受注数 (日本航空宇宙工業会調べ) 。残りは米国・ロシア合弁の Exploration Technologies(SpaceX)社、米Amazon. の実現に向けたソリューション・ビジネスの機会が増大 用空間が提案されている。ぶつからない、ぶつけない二 する。 人乗りのチョイ乗り超小型モビリティが期待される。 テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 □ 商品トレンド 軽自動車より小さい三・四輪車には、最高速度6km/h で歩道を走行する一人乗りの歩行補助車(電動シニア □ 技術トレンド 超小型モビリティ認定制度では、高速道路などを走行 参考文献 1) 「高齢者にやさしい自動車開発シンポジウム」、高齢者にやさしい自動車開発推進 知事連合、 2011年2月 モータリゼーションの黎明期を支えていた。フランスは、 カー)と、車道を走る一人乗りミニカーがある。ミニカー 1943年に50cc未満のガソリンエンジン搭載の二輪車・ は、道路交通法において総排気量50cc以下、または定格 とを条件に、パッシブセーフティの基準緩和を可能とし 3) 「超小型モビリティの認定制度について」、 国土交通省、 2013年1月 三輪車が、免許不要の原付自転車として道路交通法で認 出力0.6kW以下の原動機を有し、制限速度は60km/h(高 ている。車幅1300mm以下の場合に二輪自動車の特性を 4) 「Low Speed Electric vehicle 内外の動向」、第9回日中自動車技術研究会、 2012年7月 テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 せず、 交通の安全などが図られている場所で運行するこ 2) 「超小型モビリティ導入に向けたガイドライン」、 国土交通省、 2012年6月 テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 45 11 10 航空宇宙・海洋開発 通信、材料・製造、ネット・サービスなどにおいて、予測テーマを合計 100項目に拡充する □ 市場トレンド 2000年代後半から、米国では「ニュースペース」と呼 投資し始めたのである。少額ネット決済の米PayPal社 の創業者である Elon Musk氏が立ち上げた米Space 自動車 発刊しましたが、本レポートは自動車、エネルギー、医療・健康、エレクトロニクス、情報 各分野、各テーマにおける市場の大き な動きを俯瞰するのが全体潮流であ る。市場ニーズでは、 その全体潮流を 踏まえて、 世の中が期待するユーザー・ ニーズの動きを示す。 さらに、関連する 商品またはサービスの規模感を、定量 化した市場規模で表している。 10-3. ロケット ばれる宇宙ベンチャーが勢力を伸ばし始めた。主にイン ターネット・ベンチャーで成功者となった者が、宇宙に ネット・サービス クノロジー・ロードマップ 2014-2023 』を 市場レベル テクノロジー・ロードマップ 2015-2024 目次 の考え方を参考にして活用してほしい。第1に、階層を 要なところをうまく活用できれば良い。 「 テクノロジー・ロードマップ」の利用プロセスを 越える関連付け(縦方向の矢印)である。これは特に強 STEP1からSTEP6までフローチャートで整理した(図 く関連するもの同士を矢印でつなぐ。比較的弱い関連も 6) 。 200X 年 場合には、技術の階層(項目)から、予定製品への方向性 を持つ上向きの矢印となり、市場ニーズからの強い要請 なっている図に、各項目を読み解くためのポイントやひ の製品ならばその矢印(方向性)は下向きになる。これ も付けの事例イメージを記入してみた。 は企業の中での統合ロードマップの作成と、解釈、共有 「テクノロジー・ロードマップ」においては、最終的に 化の場合に重要なポイントとなり、そこを意識すれば現 は企業において機能が分かれる経営、事業、営業、技術、 実的な戦略の策定や相互理解の実現に大きく役立つこ 研究開発などの各部門における未来情報の共有化に役 ととなる。 製品・商品レベル (製品ロードマップ) 製品③ 技術㋑ 技術要素レベル (技術ロードマップ) 技術㋺ 技術㋩ 技術㋥ (筆者が作成) それぞれ、サブとなる層に分かれる。市場レベル(第1層) は、全体潮流、市場ニーズ、市場規模、商品レベル(第2層) 図6 「テクノロジー・ロードマップ」の利用プロセス 来に調達すべき技術資源などの戦略的対応が共有化で (顧客価値) 、さらにその実現に必要な技術(技術仕様)へ 社内で関係する事業部や営業部、研究開発部門などと議 研究開発部門向け 研究開発部門における新規事業分野への展開におい 値につなげていくことで、市場と商品/サービスを関連 いて例示する。もちろん、実際の使用については、各社、 付けることができる。大きなトレンドからは焦点が絞り ては、例えばSTEP1を「技術シーズ+商品トレンド」と 各組織の目標やロードマップ作成の意図、趣旨に沿って、 して議論、研究開発テーマ別のスケジュールを統合ロー 適宜修正することが必要になる。 ドマップの最下部に配置させ、研究開発の進捗状況を検 あると考えやすい。一方、商品レベルにおいても、市場 証するという使い方もある。そのイメージを図8に示す。 ニーズからいきなり未来商品にはつなげにくいので、ま 経営幹部(新事業担当役員)向け 一度分解することで次の予定製品とつなげやすくする そのほかの事例も考えられるが、ミッションに応じて、 ここでは経営幹部の間における有望な新事業の共通 企業の事業部門における新規事業分野への展開では、例 認識の場をイメージしている。すなわち、既存事業を越 えばSTEP1を「市場ニーズ+商品トレンド」として議論、 えてさらなる新ビジネス展開を目的にして展開を考え る際のロードマップの使い方の例 (STEP) を以下に示す。 【STEP1】ターゲットとする分野・テーマを選び、そのト レンドを今回のロードマップの中の市場ニーズから抽出 未来の商品やサービスのイメージとその仕様が明確に し、自社の検討結果と比較する。 なることで、第3層に設定した固有の各種要素技術やイ 【STEP2】自社の得意な事業領域について、今回のロー ンフラ系の基盤技術につなげることが可能となる。これ ドマップから読み取れる該当部分と自社で考える内容 検証することが有効となる。また、この他に企業以外の 活用事例としては、業界団体、学会、専門集団や技術系 企業のコンサルタントなど、新規事業などの戦略立案に 関わる部署での活用も想定できる。 2-3.ロードマップ活用の利点と活用への指針 「新規事業」が「未来のあるべき姿」として、それぞれ テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 19 る。今回のロードマップの基本的な考え方と、 これを使って各企業のロードマップに落とし 込む活用法について解説する。 テクノロジー・ロードマップの考え方と活用法 テクノロジー・ロードマップ2015-2024のサマリー ■ 超小型モビリティ 時期(年) ∼2013 2015 2016 2017 2018 2020 2023 1 自動車 超小型モビリティの グローバル展開 新カテゴリーの超小型 モビリティ本格普及開始 超小型モビリティ元年 実証実験 市場レベル 高齢者用、 子育て 支援用、 コミューター用、 環境重視の観光地用、 連絡・配達用、 農作業用 移動の足が必要だが、 加害者になりたくない 操作補助 視界確保補助 事故防止、 運転支援化 歩行者・自転車との共生 ぶつからない車、 ぶつけない車 事故防止の高度化健康監視 カー・シェアリング 2016 2015 市場規模 2018 2020 第7期介護保険事業計画 (市町村) 介護報酬改定/介護サービス提供体制に関する検討 診療/介護報酬改定 (2018年4月) 少子高齢化の進展 ・75歳以上:2043万人 ・15∼64歳:7192万人 介護費:約18兆∼21兆円 (2025年推計) 生活支援サービス 図2 後期高齢者人口の増加量が多い上位 後期高齢者人口の増加量が多い上位5都県 なお、このサービスが効率的に提供されるためには、 情 多様な事業主体による生活 2015年 サービス付き高齢者向け 住宅の整備開始 サービス付き高齢者向け 東京都 住宅の整備促進 □ 技術トレンド ●サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) 地域包括ケアにおける「技術」としては、 (1)要介護者 地域包括ケアでは、高齢者の生活基盤となる住まいが と専門職間、専門職同士の連携支援、 (2)高齢者の自立や 整備され、かつ、その中で希望にかなった「住まい方」が 福祉用具・介護ロボット 確保されることが前提となる。そこで、 高齢者の居住の 期高齢者)は、2013年の1567万人から2023年には2043 予定製品 安定を確保することを目的として、バリアフリー構造を 場合、医療や介護サービスだけでなく、住まい、生活支 有し、安否確認や生活相談サービスが付帯した「サービ 2025年 147.3 147. 73 7. 増加量/率 101.6 148.5 47.0 47. 70(46.2%) 7. 107.0 107. 70 7. 152.8 45.8(42.8%) 76.5 117. 117.7 77 7. 41.2(53.9%) ロボット介護機器の 普及促進 ス付き高齢者向け住宅」の都道府県知事への登録制度が 援サービス(見守り、配食サービスなど)に対するニーズ スタートした。2013年4月30日現在の登録数は3425物 これまでの取り組みの ロボット関連 センサやロボットを医療・介護等に活用する ためのプラットフォーム構築 課題の整理 件(11万134戸)となっている。 登録戸数が多いのは三大 供される「地域包括ケア」のシステム構築が、重要な政 個別重要技術 センサ技術やロボット技術を活用したサービス創設 都市圏。それ以外の地域では、北海道、広島県、福岡県に 策課題となっている。なお、後期高齢者の増加は、大都 3 次世代の住宅・ 街づくり産業の創設 50.5(34.3%) 197.7 197. 77 7. 神奈川県 大阪府 埼玉県 ロボット介護機器の普及 (自立支援/介護負担軽減) 実用化支援事業開始 万人に増加すると見込まれている(図1) 。後期高齢者の も高い。そのため、これらサービスや支援が包括的に提 生活支援サービス 提供体制の強化 多様な事業主体による生活 2010年からの5年ごとの推計となっているため、2015年と2025年の数字を用いた。 単位は万人。四捨五入の関係で端数が一致しない部分あり。 報通信技術(ICT)の活用が不可欠となる。支援サービスの普及促進 れる主なサービスについて解説する。 医療・介護サービス受給率が高い75歳以上の高齢者(後 3 市町村の地域マネジメント 機能の強化 少子高齢化の進展 ・75歳以上:1760万人 ・15∼64歳:7525万人 提供体制の構築 (買い物、見守り等) 期待機能 日本の人口動態をみると、総人口は2004年をピークに 減少局面に入るとともに、少子高齢化が一層顕著となっ ている。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、 2023 第8期介護保険事業計画 介護報酬改定/介護サービス提供体制に関する検討 DBの充実およびDBを活用した取り組み (市町村支援強化、 ケアの質評価等) の推進 地域ケア会議の開始 (全市町村にて) 介護費:約9兆円 3-4. 地域包括ケア □ 市場トレンド 2017 第6期介護保険事業計画 (市町村) 介護報酬改定 (2015年4月) DB項目/市町村等に提示する各種指標の検討 データベース化 おいて突出している。2012年8月時点の調査によると、 市部や地方の県庁所在地周辺で顕著になることから、 都 地域マネジメント機能の 強化 ケアの質評価指標等の検討 平均要介護度は1.8、要介護1〜2が全体の40%を占めて 。 市部対策が重点課題となる(図2) いるが、要介護4〜5といった重度者も15.7%を占めてい 高齢化の進展に伴い、介護サービス受給者も増加して いる(図 3) ) 。今後も後期高齢者が増加することから、 る。入居者の平均年齢は82.6歳である。都市部では土地 確保の困難さなどから介護保険施設(特別養護老人ホー 2025年には介護人材が237万〜249万人は必要と見込ま ム、老人保健施設、介護療養病床)の整備がなかなか進 れている(2009年現在で約134万人) 。ただし、生産年齢 センシング 基盤技術 人口(15〜64歳)は1995年から年々減少しており、 介護 マーケティング さまざまな動作環境、 住宅環境での安定した測定の実現 まないため、今後も整備拡大が見込まれている。 高齢者の生活支援ニーズ、 介護従事者ニーズの分析および現場主導での製品開発 人材の確保は非常に厳しい状況下にある。また、独居高 ●定期巡回・随時対応型サービス 齢者の増加、介護者の高齢化など、家族の介護環境も厳 しさを増している。こうした状況を受け、高齢者の自立 要介護者がケアを必要とする際に、介護サービスや家 支援や介護従事者の負担軽減などを目的に、 福祉用具や 134 テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 族による介護が継続的に提供できなければ、病院への入 テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 135 院や介護保険施設への入所などにつながってしまう。そ 介護ロボットの実用化に向けた取り組みが注目されて こで、24時間のケア提供体制を設けることによって、在 いる。 宅生活の限界点を高めることを目的に導入されたのが □ 商品トレンド 「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」である。このサー ●福祉用具・介護ロボットの開発 ビスは、 日中・夜間を通じて、 看護師と介護職が一体的に、 地域包括ケアは、 (1)医療(特に、在宅医療) 、 (2)介護、 (3)予防、 (4)生活支援サービス、 (5)高齢者向け住宅の またはそれぞれが密接に連携しながら、定期的な巡回と 五つの要素で構成される。ここでは、今後拡大が見込ま 随時の対応(緊急時訪問など)を行うというものである。 2013年 総人口 2023年 差 12,725(100.0%) 12,212(100.0%) 1,628 (12.8%) 1,377 (11.3%) 0〜14 歳 15〜64 歳 7,900 (62.1%) 1,630 (12.8%) 1,601 (13.1%) 1,567 (12.3%) 2,043 (16.7%) 介護職の腰痛予防の観点から「ノーリフト(持ち上げな 身体的な負担にならないこと、 (6)できるだけ安価であ ること、などである。 福祉用具や介護ロボット開発においては、介護現場や い介護)」の考え方が定着し、さまざまなノーリフト機器 利用者の意向を十分に把握した上で、製品を開発してい が開発され、現場で使用されている(北欧も同様) 。 くといった手法が重要となる。また、販売戦略も含めた 介護ロボットの開発を共同で推進している経済産業 マーケティング力も、普及を図る上で重要となる。 省と厚生労働省は、介護ロボットの重点開発分野として、 ▲ 513(▲ 4.0%) 7,192 (58.9%) 65〜74 歳 75 歳以上 ▲ 251 (▲ 15.4%) 移乗介助、移動支援、排泄支援、認知症の対象者の見守 ▲ 708 (▲ 9.0%) りなどを挙げている。見守りや、リフトを用いた入浴介 ▲ 29 (▲ 1.8%) 助などは市販化された商品もあり、現場でも活用されて 476 (30.4%) いるが、歩行、ベッドサイドでの移乗、排泄などを支援 する機器などはほとんど普及していない。福祉用具や介 (出所:国立社会保障・人口問題研究所) 132 できること、 (4)誤作動を起こさないこと、 (5)精神的、 介護の現場では、入浴介助やおむつ交換など、身体負 担が大きい介助が存在する。オーストラリアでは、看護・ 図1 年齢階級別人口の推移 人口の単位は万人。 参考文献 1) 「日本の将来推計人口 (平成24年1月推計) 」、国立社会保障・人口問題研究所、 2012年3月 2) 「日本の地域別将来推計人口 (平成25年3月推計)」、国立社会保障・人口問題 研究所、2013年3月 3) 「介護給付費実態調査月報」、厚生労働省 4)小山剛、 「民間・行政のコラボレーションによる地域包括ケア」、 『 地域包括ケアシス テム− 「住み慣れた地域で老いる」社会をめざして』、国立社会保障・人口問題研 究所編、pp.265-267、2013年3月 テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 133 20.ゲノム医療 24.遠隔医療 21.がん医療 25.先進医療機器 22.地域包括ケア 26.治療用医薬品 23.予防医療/見守り 900億円/年 800億円/年 27.POCT (pointofcaretesting) 安全機能フェーズ 3 (生活道路での速度抑制 対応、限定条件下での 自動運転モード) 自動運転 市場レベル 安全 被害軽減ブレーキ、 ペダル踏み間違い防止 れに適した安全性能を持ち、30kg程度の荷物が載せら システム技術 500m以内でほぼ半数を占める。 政府は2018年までに交 つながり 通事故死者数を2500人以下にする目標を設定している 共同開発した「Hiriko」などが提案されている。 非接触充電 知支援技術」として、全方位障害物検知、追突警報・回避、 交通標識認知・警告、疲労検知、緊急通報など、 (2) 「衝 防止、追突事故防止、出合い頭事故防止、右折時の事故 社の「fortwo」 、BMW社がリーダーになって産学官で開 歩行者・障害物、 側方・後方車両検知、 防止、 (2) 「運転補助機能」 として、 知覚機能の補助、体 全方位障害物検知 および衝突警報・被害軽減ブレーキ 認知・運転支援・ 衝突回避ペダルの踏み間違い防 ・ 前車自動追従システム、 突回避・被害軽減技術」 として、 被害軽減、利便性の高度化 道路交通標識認知・警告 疲労検知、緊急自動通報 システム 転支援技術」 として、自動パーキング、ACC(adaptive 国土交通省が2013年1月に公布した超小型モビリティ 、低速時の先行車追随など。 大きさ、性能などに関して一定の条件を ヘッドアップ・の認定制度は、 ディスプレイ V2H対応充電器 cruise control) 非接触充電システム その他の技術として、生体モニター情報・緊急通報、 付すことで、安全・環境性能が低下しない範囲で一部の ハーネスの軽量化 安価なシステムと技術 米国では、連邦自動車安全基準「FMVSS500」に準拠 基準を緩和し、公道走行を可能とする制度である。メー した高齢者居住地域で使用する低速の近隣用電気自動 FRP等車体軽量化 カーから提案のある車両タイプは、二人が前後に座る二 ment system)連携、非接触充電、カーシェアリング・シ 方では電動シニアカーを利用している高齢者を目にす 車(NEV)は、今は生活の足として一般道路で、また 電力系 る。その場合、家で充電できるメリットは大きい。 輪車感覚の四輪車、前席はドライバ一人で後席に子供二 ステム、バイ・ワイヤ、ヘッドアップ・ディスプレイ、側 バッテリー (Liイオン電池の効率的利用、 革新的電池の利用) 、 モーター ・インバーター等の効率向上と小型化、 どHEMSとの連携技術、電磁誘導・電磁界共鳴・電波等非接触充電方式 ショッピングモールや観光地の業務用にも使用されてい 人の四輪車、 左右二人乗り四輪車、 三輪車、そしてドアの V2Hな方・後方バーチャル映像情報などが開発されている。 2011年5月に全国35道府県知事から、高齢者が自立し 機構・制御 る。現在、米General Motors(GM)社がICTを取り入れ 技術レベル (2012年は4411人) 。一方、ガソリンスタンドの数が最盛 節約 地 期の2/3となり、給油所過疎地は250自治体を超えた。 スマートフォン活用、HEMS(home energy manage- た一人乗りの「EN-V」を開発中である。 ている。また、動力系では、1モータ、2モータ、インホイー 車にまで自動緊急ブレーキが装着されてきている。一方、 全で手荷物も積める、近距離用超小型電気自動車の要請 中国は、2006年に米国からNEVの商談を受け2008年 ル・モータなどバラエティに富んでいる。 生活道路の速度抑制策として、速度抑制のための突起(ハ 信頼・効率 が出た。同年8月に閣議決定された「日本再生のための センサ技術 (レーダ、 ステレオ・カメラ、360度カメラ、 センサ・フュージョンなど) 、 生体モニター、 SLAM (simultaneous localization and mapping) 技術、側方・後方視界のバーチャル・モニター では地域限定で使用され量産工場も登場している。イン ドでも生産されイギリスなどに輸出されている。これら による速度制限超過の警告や、自動で車速抑制を行うシ ルートで自動運転するというアイデアも出ている。田畑 で活躍する農作業車、鉱山などで活用する運搬トラック、 将来は、物理的手法ではなく、自然に交通安全を意識 ギー活用にも貢献するビジネスが進展する。併せて、多 した歩行者とドライバが目を合わせてコミュニケーショ くの異業種がパートナーとなりモジュール開発とオープ ンができるような道路空間デザインが注目されている。 ンイノベーションの下、楽しく、安全で、賢いモビリティ また、歩道と車道の段差解消やオープンカフェなどの共 の実現に向けたソリューション・ビジネスの機会が増大 用空間が提案されている。ぶつからない、ぶつけない二 する。 人乗りのチョイ乗り超小型モビリティが期待される。 ビリティの実証実験が開始され、同年6月には認定第1号 47 注目されている。 多様化とが一体となり 、希望する人々に移動を確保 し、生活環境を高度化する一翼を担い、災害時のエネル 域産業の活性化の手段ともなり 、スマートコミュニ リを形成するとみられている。一方、バリエーションと して新興国の人々のタクシーとしても期待されている。 体が中心となり、地域産業の育成をも狙い、高齢者や子 テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 用)やハーネスの軽量化、LED照明による省エネなどが き出している。今後は、モビリティとICTとエネルギー 今後、この種のモビリティは、急速に進む高齢社会や 環境保全に向けた人々の生活の足となるだけでなく、地 ステムが検討されている。また、走行エネルギー節約の ため、車両の軽量化(炭素繊維強化樹脂やアルミ材の活 米国の軍用車などは、自動運転の実用化に向けて既に動 安全要件は免除されている。 ティーや環境未来都市構想の推進とともに一つのカテゴ 育て支援用、環境を重視する観光地用、都市における配 達用・コミューター用・見回り用などに向けた超小型モ 試行導入に対する補助の公募を開始した。そして、自治 欧州では、1960年代に既に「バブルカー」と呼ばれる 軽自動車より小さい三・四輪車には、最高速度6km/h □ 技術トレンド で歩道を走行する一人乗りの歩行補助車(電動シニア 参考文献 超小型モビリティ認定制度では、高速道路などを走行 カー)と、車道を走る一人乗りミニカーがある。ミニカー は、道路交通法において総排気量50cc以下、または定格 とを条件に、パッシブセーフティの基準緩和を可能とし 3) 「超小型モビリティの認定制度について」、 国土交通省、 2013年1月 三輪車が、免許不要の原付自転車として道路交通法で認 出力0.6kW以下の原動機を有し、制限速度は60km/h(高 ている。車幅1300mm以下の場合に二輪自動車の特性を 4) 「Low Speed Electric vehicle 内外の動向」、第9回日中自動車技術研究会、 2012年7月 せず、 交通の安全などが図られている場所で運行するこ 2) 「超小型モビリティ導入に向けたガイドライン」、 国土交通省、 2012年6月 45 テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 3.燃料電池車 8.IVI(in-vehicleinfotainment) 4.HEV/PHEV/EV 9.カー・エレクトロニクス 5.軽量化設計車 10.ワイヤレス給電 (EV) 2016 2015 2017 新しい小型機器の創造 大型化、 生産性向上、 性能向上により、 あらゆる 機器への適用が進む デザイン、施工・組込 自由度による新しい 商品価値 製造技術の確立による 生産性向上とコスト低下、 システム化 軽量、低コスト、 ロバスト性 2023 人と融合したデバイス、 医療・ヘルスケアへの 展開が進む 4 人が装着感を持たない、 生体と調和した エレクトロニクス 生体との親和性、 生体のような柔らかさ、 装着感のなさ 軽量、壊れにくさ、薄さ 期待機能 ほかの技術と同等の性能、 耐久性 形態の自由度、柔らかさ 有機EL情報端末、 有機ELテレビ デジタル・サイネージ クなフレキシブル・センサの用途も、今後拡大していく 量化された究極のフレキシブル・ディスプレイが実現す ウエアラブル・ ディスプレイ 反射型電子ペーパー 4-5. フレキシブル・デバイス れば、公共の場におけるデジタル・サイネージや家庭に RFIDタグ、 スマートパッケージ □ 市場トレンド RFIDタグ、 流入してくる。この目指す姿を、 米国では「センサ・ネッ おける臨場感のある壁掛けテレビなど、用途が拡大して 従来のエレクトロニクスは、予定製品 Siやガラスを基材として トワーク」 、筆者らのグループでは「アンビエント・エレ いくものと期待される。 製造されているため、電子機器は硬くて曲がらない。ま クトロニクス」と呼んでいるが、基本的には似た概念で ヘルスケア・生体 た、落とすと壊れやすい。エレクトロニクスの薄型化・ ある。実空間の情報というと抽象的に聞こえるが、火災・ 域である。特に有機EL照明は、 ユニークな形状をした照 ハウス・アプライアンス機器 煙探知機、ガス漏れ、 水漏れ、不審者侵入の自動通報シ 太陽電池、 有機EL照明 明器具として商品化が今後進むと考えられる。無機LED ステムや中央集中管理システムは、この先駆けである。 照明では容易に実現できない商品性を持ったフレキシ モニタリング機器 壊れないような耐衝撃性を実現するのは容易なことで また、自動車の位置データから渋滞情報が高精度になり、 ブル照明として今後の展開が期待される。 製造 生産性革新 クを経由して医療機関に情報を転送するサービスが始 ている。このような背景の中、高分子フィルムのように、 耐久性 耐久性 個別重要技術 薄くて、軽くて、曲げたり丸めたりできる素材を基材に まっている。 コスト、生産性を犠牲にし 実用化 このようにセンサを含むさまざまなエレクトロニクス は実空間にばらまかれると、 今までとは比較にならない 求められない応用 ンテレフタレート(PET)など汎用の高分子基材が本命 エレクトロニクス と同等 幅な価格下落のため、 Si以外の太陽電池は苦戦を強いら 実用的機械強度 長期耐水性 となっていく。これに伴い、 プロセス温度も大幅な低減 れている。その一方で、フレキシブル化が可能な有機太 が求められる。 Siと有機エレクトロニクス 陽電池は、高分子基材への製造の容易さから、自由曲面 のハイブリッド レベルの日常生活での頑丈さや耐久性が求められる。こ れは硬いものでデバイスを保護するという従来の方式 一方で、モバイル通信機器の市場トレンドに目を向け 4 フレキシブル・デバイスの技術トレンドを考える際に ロボット皮膚 インプランタブル医療機器 上に製造されたデバイスをフレキシブル基材に転写する 方法から実用化が始まり、次にフレキシブル基材に直接 薄型ガラスなど耐熱性の高いものから順に市場に現れ、 より低コストの基材へと移行し、最終的にはポリエチレ して活発に開発が進められてきた。近年は、Si原料の大 ガラス、 Siの 集積度の低い、速度の まず重要なのは、基材の選択である。最初はガラスやSi 製造する方法に移行していく。基材は、金属フォイルや 太陽電池のフレキシブル化は、 塗布・印刷法による 塗布型プロセスによる 製造の容易さから、低コストの再生可能エネルギー源と してデバイスを製造していく技術が注目を集め、 「 フレ キシブル・エレクトロニクス」と呼ばれる新技術が隆盛 機能・性能 ロール・ツー・ロール製造、 支持基板を用い枚葉プロ 気温や降水量などの気象データはより細粒化されてい る。最近では、人の健康状態をモニターして、ネットワー セス、従来プロセスを踏襲 人との親和性の高い柔らかい電子素材への期待が高まっ ものと期待される。 □ 技術トレンド 照明もまた、フレキシブル・デバイスの重要な応用領 軽量化へのニーズは、モバイル通信機器を中心に日々高 まっている。また、これを達成する一方で、落としても はない。さらに、使いやすさを重視するという視点から、 製造 繰り返し変形に対する 生体への安全性、 高精細、 複雑な回路への デバイスの製造手法としては、まず真空やフォトリソ 展開 にも貼り付けられるユニークな用途展開が期待されて グラフィのような既存の半導体プロセスの転用からス いる。また、軽量性・薄型性も重要なポイントである。 タートし、次にフレキシブル基材とより整合性の良い印 支持基板利用時の生産性の向上、 ロール・ツー・ロール 生産の確立、 塗布・印刷プロセスの確立、 プロセスおよび構造の大幅な簡略化、 タクト・タイムの短縮、 プロセス・ルールの標準化 プロセス ると、スマートフォンやタブレット端末などのタッチパネ では対応しきれない。有機EL素子のように、本来は柔 ルの全世界的な広がりとともに、エレクトロニクス分野 らかい半導体を使っていても、硬いガラス基材の上に製 基板 身に付けて使うウエアラブル機器での用途を見いだす 造されると、落とした時に壊れてしまう。これに対し、 の競争条件が急速に変化している。コンピュータといえ 基盤技術 刷プロセスへと移行する。また最初はバッチ・プロセス に始まり、次により量産性の高いロール・ツー・ロール・ ことで、新たな展開が期待できる。 耐熱性の向上、 表面硬度の向上、 熱膨張率・熱変形の低減 耐熱性の向上、 表面硬度の向上、 熱膨張率・熱変形の低減 センサ・パッケージへの応用は、近年、特に活発に研 プロセスへと移行するだろう。 材料 ばそれまでは、動作周波数や記憶容量を指標に「もっと 低温プロセスでの膜性能向上、有機材料の性能向上、 高移動度・高安定な半導体材料、 低抵抗・高密着力な導電材料、 塗布・印刷プロセスへの適応、 新たなセンサ用材料 高分子フィルム上に作れば、薄くて軽くて曲げても壊れ フレキシブル・デバイスを実現する半導体材料も多岐 究開発が進められている。まず、 印刷プロセスによる無 速く」 、 「もっと大容量に」というのが競争の中心であった。 ない、たたいても壊れない、非常に耐久性に優れた新し しかし、スマートフォンなどの次世代情報端末の登場に いデバイスができる。このようなフレキシブルなデバイ 封止・保護膜 よって「より使いやすいデバイスへ」という流れに変化し スの量産化技術の確立が待たれている。 すくなった。直感的で使いやすいことを重視したデバイ スがいかに重要であるか、広く認識されるようになった。 注目すべきは、スマートフォンによって「仮想空間のア プリケーション」がほとんどすべてカバーされるつつあ るという点である。仮想空間とは、つまりインターネット 線タグは、もともと有機トランジスタの本命とされてき にわたる。薄膜化された単結晶Si、低温多結晶Si、アモル た。Siの無線タグの価格下落に伴い、単純なコスト勝負 ファス Si、酸化物半導体 、有機半導体 、カーボンナノ は難しい状況にあるが、曲げてもぶつけても壊れない丈 チューブやグラフェンなどのナノカーボン系など、広く 夫な無線タグとして強みを発揮できる。Siチップをフレ □ 商品トレンド キシブル配線板に実装する手法は既に確立され、広く商 フレキシブル・デバイスの用途は多岐にわたるが、期 品に利用されているが、繰り返しの曲げには十分な耐久 待が大きいのは、 (1)ディスプレイ/ 照明、 (2)太陽電池、 (3)センサ・パッケージである。それぞれについて、ト 性を確立できていない。一方で、食品のトレーサビリティ の機能を持ったスマート・パッケージへのニーズが高 開発が進んでいる。これらは機械的特性と電気特性の両 第2章 エネルギー ∼2013 2014 拡大から高効率化、多様な用途展開へ ウエアラブル応用品 自立用電源化 (2.5∼3世代) メガソーラ−2世代 メガソーラー2.5世代 また、フレキシブルで、かつガス透過性が低い封止膜の センサ自体も急速に進化している。特に、少子高齢化 開発も急務である。 (2)精細度を上げるためにボトルネッ 社会の到来を受けて、生活の質の向上や激増する医療費 クとなるのは、各層の重ね合わせの精度である。プロセ 分の薄膜トランジスタに高周波数応答性が求められな の削減は国家レベルで取り組むべき重要な社会的課題 いうように、ディスプレイのサイズが異なるだけで、ほぼ いため、技術的な難易度が低い。モノクロから始まり、 となっている。このような背景の中、ヘルスケア、医療、 相似形の三つの中にどんどん電子機能が集約されていく。 カラーへ移行後、より色再現性の高いフルカラー・ディ なドキュメント・サイズ、お茶の間のテレビのサイズと これから先、エレクトロニクスはどこに向かうのか。 スプレイと発展していくと考えられる。モバイル用途の 一つの方向として、仮想空間から人間が生活する実空間 中小型ディスプレイは、軽量性・薄型性・耐衝撃性の向 福祉分野における情報・エレクトロニクスの活用の機会 テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 スを低温化する技術や基材の固定・搬送方法などによっ て、総合的に解決する必要がある。 (3)高速化や高機能 化のためには、素子の微細化並びに集積度を上げるため が増えている。特に、柔らかいセンサは、人との親和性 のパターニング技術が必要となる。これらの問題が解決 が高いため、装着してもストレスのないヘルスケア・モ され、当該分野が大きく発展することを期待したい。 にターゲットを変えていく、と考える研究者は少なくな 上が急務であり、フレキシブル化への期待が高い。大型 ニターの実現の決め手になると期待されている。また、 い。つまり、大量のセンサ・ノードがわれわれの生活空 ディスプレイの分野では、投射スクリーンのような本当 ロボットの表面に貼り付けて人間の皮膚感覚のような 参考文献 間に設置され、実空間の多様な情報がインターネットに の意味での壁掛けテレビは実現していない。薄型化・軽 センサを実現しようとするロボット・スキンなどユニー 2)応用物理、第73巻第5号、pp.610-614、2004年 1)応用物理、第80巻第6号、pp.461-471、2011年 テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 171 などの損失を減らし、デバイス構造や材料の工夫やパ ワー制御でわずかな出力でも外部に取り出せる。 市場創造型の典型例が、量子ドットというナノ技術を ントでも高い変換効率の実現を目指して開発を続けて 駆使した第3世代の太陽電池である。発電効率を飛躍的 ト低減も2010年の23円/kWhから2020年に14円/kWh、 に高め、太陽光だけで動く電気自動車やスマートフォン いるが、 「第2世代」までは限界が見えている。このため、 高効率 (2.5世代) モジュール 中国や台湾など海外勢を中心に太陽光パネル・メーカー 2030年には7円/kWhが目標となる。 薄膜・化合物 第2世代(薄膜、 化合物) の競争が激しさを増している。今や、国内需要量の1/4 従来技術を改善した「第2.5世代」や量子ドットなどの新 有機物の試作品 薄膜・化合物 一方で、世界の太陽光発電市場は太陽電池モジュール しい「第3世代」 、さらには効率的に80%を超えるとされ 第3世代・第4世代 が輸入品であり、今後は太陽光発電を国内産業の振興に 結び付けられるかどうか、日本企業は岐路を迎えている。 太陽光発電システムの国内市場は、電卓や時計の電源 新材料 販売金額ベースで2010年に3兆4000億円であるが、2015 30%とされるが、これに対し、量子ドット太陽電池は飛 躍的に効率を高められる。バンドギャップの間に中間バ ンドと呼ぶ中継点を設け、バンドギャップを大きく広げ 技術レベル 量子ドット実施化 る。このことから結晶Si型太陽電池以外の各種の技術開 ニクス、 (3)波長変換材料の三つの可能性がある。 設置場所としては工場や商業施設などの屋根から始まっ 低コスト・軽量・高耐久性 ・高品質化 発が加速している。一つは応用技術展開型、 もう一つは (1)強相関電子系材料は、光や電界、圧力などのわず たが、最近では空き地に太陽電池パネルを敷き詰めたメ 理論限界を超えた革新技術創造型である。 かなエネルギーのやり取りで材料の状態が絶縁体から 新しい原理の発見 (第4∼5世代への挑戦) 影響を与えている。パネル供給の中心地が、日本→ドイ ガソーラーへ展開されている。電力の安定供給やスマー 第1の応用技術展開型では、 「軽い」 、 「織れる」 、 「暗所で ツ→アメリカ→中国と目まぐるしく変化し、それに伴っ トグリッドに合わせて、住宅用需要もさらに拡大するも も発電」など、多彩な特徴を持つ太陽電池である。また てトップシェアのメーカーも入れ替わっている。部材開 80 テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 のと考えられる。出力ベースではこれらの需要が中心で 周辺技術に関しても太陽電池の出力を最大化する技術 金属、あるいはその逆へと、高速に切り替わる。Mn系酸 化物やTaOxなど遷移金属を含む酸化物が多いが有機材 料もある。高温超電導や抵抗変化型メモリ(ReRAM)に や、影による出力への影響を減らす技術の開発が進んで 商品化されている多くの太陽電池モジュールは結晶Si いる。多くの分野に応用できそうなのが、軽量化である。 (2)プラズモニクスは、金属表面上での光と電子の共 日本の太陽光発電システムの市場は、2020年度に2010 型などの「第1世代」 、そして薄膜Si型などの「第2世代」 現在主流の結晶Si型太陽電池モジュールで最も重い部材 鳴状態を利用する技術で光の利用効率の大幅な向上が 技術開発内容と狙い 結晶 Si 型(効率 25%まで) • 半導体としての Si は電子回路の材料として 埋蔵量が豊富、地球の地殻の中で最 50 年以上の歴史があり、よく研究されている も多く含まれているのが酸素で46.4%、 • 歴史とともに、使用実績も豊富、多結晶 Si 太 陽電池は低価格の太陽電池 Siは第 2 位の28.2% 待機時と課題 • 現在住宅用太陽光発電システムとして最も 多く利用されているのは結晶 Si 太陽電池。 性能面や価格面で長所がある • メガソーラーでも薄膜と並んで使われている 見込める。太陽電池に限らず、超高効率LEDや有機EL、 板を使っている。これを0.5mm程度の薄いガラスに替え 光LSIや分子間光通信など、電気と光の境界領域でさま たり、アクリルなど樹脂材に置き換えたりする取り組み ざまな応用が研究されている。 がある。 「織れる」ことは、体や服に装着できる「ウエアラブル (3)波長変換材料を用いるのは紫外線や赤外線を可視 光に変換するアプローチである。既存の蛍光材料の発展 第 2 世代 薄膜型(効率 15%まで、コスト安い) 結晶 Si の 1/100 程度の厚さの Si 薄膜 を使う太陽電池で各種の化合物や有 機系材料も使う • 薄膜の非結晶 Siのほかに化合物系太陽電池 (CIS 系、CdTe 系、集光型)有機系(太陽 電池、色素増感、有機薄膜) などがある • 省資源で多結晶 Si に次ぐ性能が出せる太 陽電池。量産性やデザイン性がよく、価格を 下げる余地が大きい • 変 換 効 率では劣るが 、大 量 生 産しやすく、 • 次世代の太陽電池として、少ない量の材料 計 量でフレキシブルなモジュールも造ることが で生産可能。温度変化に強いなどの性質が できる ある 太陽電池」につながる。将来は人体に貼り付けて使うセ 形で、ディスプレイや照明、医療など幅広い分野にとっ ンサの電源として、医療・ヘルスケア分野への応用が可 て大きな波及効果が見込める。 第 3 世代 量子ドット、ヘテロ多接合型 多接合型セル、中間バンド型セル、ホッ ト・キャリア型セル、MEG 型セル、効 率 60%以上 • 構造と接合方法でバンドギャップを多段階に 設定して、Si の30%の効率の壁を超えようと する • 太陽光だけで動く電気自動車やスマートフォン などを実現 小さな球状の太陽電池を糸状につないだ織物にしてそ 第 4 世代 強相関電子系、プラズモニクス、波長 変換型、効率 80%以上 • 技術が複雑でコスト低減のメドがついていな い。コストが安い方式は性能が確認されて いない まだ課題が多い • 実用化は10〜20 年後、 まだ課題が多い • 半導体技術を用いない方式で大幅に高効率・ • 実用化は20〜30 年後、 低コスト化を狙っている (各種資料を基に筆者が作成) テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 13.太陽熱発電 17.燃料電池 14.バイオマス・エネルギー 18.人工光合成 1) 「メガソーラー:2050年に2億kWの導入も 建設コストが採算性を左右」、 日経エコ ロジー、2012年7月号、 pp.66-69 2) 「第3部:次世代エレクトロニクス技術で半導体から太陽電池を解放」、 日経エレクト ロニクス2011年10月17日号、 pp.47-57 3) 「第2部:軽い、伸びる、 暗所に強い 多彩な特性で勝負する」、 日経エレクトロニクス, 2013年2月4日号、 pp.34〜38 テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 79 2014 2016 2015 2017 2018 技術が相当程度、 統合・ 制御された都市が出現 ICTや環境技術等を 利活用したスマートな都市 環境への負荷が 小さい低炭素化社会 各種機器に組み込まれる画像認識システム、 組み込みシステム、情報基盤となる高性能コ ンピュータ、M2M/IoT、無線通信インフラ、近 距離無線通信(NFC)、 ストレージ・システム、 CDN、人と機器の接点となるユーザー・インタ フェース、拡張現実(AR)、情報機器の電源供 給の進むべき方向の一つであるワイヤレス給 電について、 それぞれの将来像をまとめた。 先行自治体、 先行モデル において各ニーズの実証、 各技術の評価付け 活力と魅力があって、 人が集まる エネルギーが管理・制御 場を奪ったのである。 ICTの利活用 再生可能エネルギーの 効率向上 高度化 ICT利活用の高度化 揮発性を期待できない。DRAMのようなリフレッシュ動 エンタープライズ用途のSSDは、高速のインタフェー く状況は楽観できない。SSDは2016年までの間、台数ベ スで品ぞろえを増やすだろう。最上位に「PCIe」をイン 予定製品 図1 ソニー開発のブルー ー開発のブルーレイによる大容量アーカイブス装置 (都市の姿) ースで年率32%の成長を見せると同社は予想する。 世界的にデータ・ストレージへの需要は旺盛である。 ICTスマートタウン 2020年に向けて、HDDの容量拡大以上に記憶容量への 需要が強いとみている。特に2019年は転換点で、個人用 のストレージ容量がここから減り始め、 環境未来都市 クラウドが爆発 になる。なお、個人向けでは、SATAが一般的なインタ 普及・高度化 でTDKが公開した。同社は既に、ヘッドをHDDメーカー 価格差は8倍程度あり、SSDは価格差が正当化できる用 が、ここにもHDDが使われることになる。コールド・ス 有望な新技術は提案されているため、 これらを採用して は年率20%の記録密度向上が期待できる。 スマートメーターの設置→スマー トグリッドの構築→低コス ト化、 標準化 容量増大のペースを回復するという見方と、導入が間に ブルーレイ・ディスクの市場投入後、しばらく容量増 発電の高効率化→低コスト化、 蓄電池の低コスト化 大のペースが落ちていた光ディスク陣営も、急激な追い 合わないという見方がある。 磁気テープは、 「LTO-6(2.5TB)」が販売されているが、 放送事業者などの日本のコンテンツ業界ではLTO-5が 上げを始めた。ブルーレイは、多層化で容量を増大して おり、4 層で 128GB を実現した。1 層当たりの容量は 個々の施設に対するEMSの導入→全体系統の統合・構築→低コスト化、 標準化 利用の中心だ。LTOは第8世代までロードマップが発表 32GBに増大している。 されており、12.8TBまで容量を増やすとされている。 た 多層化は、TDKニング技術の進歩→データ提供 (図3)と富士フイルムが技術開発を センシングに関するノウハウの蓄積→データ処理技術の進展→データマイ ・表示の深化→低コスト化 ムは、多値化と100層化で両面15TBの光ディスクを将来 的に可能と主張している。 ジ装置を持つ光ディスク陣営だ。ソニーは、放送業界向 前出のソニーとパナソニックの共同開発は、まず1枚 放送業界では、過去の番組をアーカイブに残すため、 分野を目標に光ディスクによる大容量記憶装置の共同開 けに1カートリッジ最大1.5TBの装置を提案している(図 ( 1) 。光ディスクは、後方互換性の確保が比較的容易で、 導入先の世代交代への圧迫が少ないことを訴求点の一 つとしている。 発に合意した。ブルーレイ・ディスクを基に技術開発を 行うとされている。 このように、ストレージ・システ 79.中・大規模木造建築 77.スマートハウス 80.BIM&CIM 第10章 社会インフラ ビッグデータ活用を差異化要因とする領域は 急速に広がっている。 個人の行動データを蓄積 するライフログ、 インターネットを介して個人決 済するモバイルペイメント、 新たなコミュニケー ション手段であるソーシャルテレビ、 新たなマー ケティング手法を実践するアドテクノロジーや ゲーミフィケーションなども進化していく。 81.電力産業 55 モバイルペイメント 59 ソーシャルテレビ 56 ライフログ 60 コンテンツ配信/OTT(ove he op) 57 アドテクノロジー 61 位置情報サービス 58 ゲーミフィケーション 62 個人認証サービス 時期(年) ∼2013 全体潮流 食の本来的価値の再認識 2次産業 (食品加工業) での栄養価値保持 2014 2016 2015 健康価値ニーズの高まり 2017 2018 伝統食の価値再発見 簡便型健康食の追求 1次産業の栄養価値 (栄養作物) 短時間調理 2020 2023 グローバルに展開 和食価値、薬膳価値の再認識 世界市場を リードする日本の 食ビジネス 低カロリー 高栄養化 市場の展開 新鮮供給 廃棄ロスの低減 食材の簡略化 食の価値 の再定義 7 その価値の保存技術 食への意識と環境の変化により、食品技術と 農業体制が融合しながら大きく変わろうとし ている。 まず、食の安全性と価値である。加工 食品は、 内食用、外食用、 中食用と多様化して きた。生産者、生産地を核に食のブランド化が 進んでいく。技術的な方法論では植物工場の 本格的な展開とクラウドの活用による農業生 産の最適効率化の大幅な進展がある。 食材市場で45兆円 総菜市場比率は高まる 市場規模 超ファストフード的 加工食品の隆盛 (サプリメント市場の隆盛) それも短時間で可能となる (簡便調理) 少量で栄養素を取得 期待機能 食品メーカーと調理機器メーカーとのコラボレーション化商品の実現 調理専門家不要の業務用加工食品市場の拡大 簡易調理、 簡易保存性の付与 7-1. 食の価値 (1)高齢化比率の増加 たくさん食べなくても栄養を確保 □ 市場トレンド 例えば、野菜を購入する生活者が、今後どのような情 今後の10年の 「食の価値」 のトレンドを述べる上で、 「誰 がその価値を作るのか」という基本原則を最初に考えて 予定製品 おく必要がある。短期のトレンドであれば、流通が作る、 生産者が作る、オピニオン・リーダーが担う、との視点 家庭内食 報を有した野菜を購入したいか、その答えは容易に想像 できる。つまり、最終的な購入者である生活者、すなわ 災害に備えた備蓄食品拡大 ち消費者の視点に基づく価値提供こそが今後10年のト 常温流通によるトータル・コスト・ダウンの追求 レンドとなる。生活者に向けた価値提供こそが流通の命 と考える流通業者も、その流通の期待に応えようとする 生産者も、本来的価値の提供に収れんしていく。ただし、 トレンドというものは、常に経済合理性を加味していか 冷凍技術 にとって、食は生命維持の上で、最も重要な基本価値で ある。その食のおいしさや本質的な価値、健康価値など 微粉砕技術 なければならない。これが新たな価値を創出し、従来の 延長を超えた新たな商品トレンドを生み出すことにな る(図1) 。 衝撃波の食品への応用 ているのである。その本質的な価値を見失わなければ、 自ずとトレンドも見えてくる。 □商品トレンド 会でも時々、聴衆に本質論を考えてもらうためにこのよ 殺菌・保存 うな質問をする。最初はけげんな表情を浮かべていた人 品質管理 も最終的に本質的価値を見いだすことで確信に満ちた 経済合理性に与える要因を今後の10年のトレンドを 考えてみる。国内市場として(1)高齢者比率の増加、 (2) 高圧殺菌、 過冷却冷凍、 微生物のバクテリオシンの活用 単身者世帯・二人世帯の増加、 (3)専業主婦比率の低下、 (4)食の外部化、 (5)調理技術の低下、 (5)都市人口の増 トレーサビ リティの完全化 生産・単位操作加と地方の過疎化、 表情となる。同様に、 「 野菜を作る人は何を作っている (7)年金・健康保険制度の見直し、 (8) 基盤技術 の栄養価値や値段の割には美味しいといった新たな割 安感を与えることが重要となる。先の野菜を事例に取れ ば、重量当たりのミネラル、ビタミン、機能性成分の寡多 が価格の決定に及ぼす因子となり、その訴求が重要とな る。店頭やカタログの表示だけでなく、自主的な訴求ポ イントも現状とは大きく異なるものとなる。技術面でも、 過冷却技 術の応用 生産時の廃棄ロスの低減化 また、酵素を利用した新技術で形状を維持しつつ、えん 下困難者に食べやすくした加工食品も出てきている。 より細かなロ ット管理と (2) 単身者世帯の増加・二人世帯の増加 短時間分析 少量パックの多品種のニーズの増加が見込まれる中、 少量パックの多品種のニーズの増加が見込まれる中、 その生産方式には革新性が求められる。その保存形態も 冷凍食品中心から、常温食品での高品質化が図られる。 ために野菜を食するのか」と再度質問をすると、 「栄養摂 取のため」や「健康維持のため」 、さらには「おいしさを 42 テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 感じ、人生を能動的に過ごすため」 、 「野菜の機能性を摂 取するため」という答えを正確に言えるのである。つま ネラル・ビタミン含量の寡多を気にしていくことにつな がるのである。これまで多くの野菜づくりは重くなる方 前述のような本質的価値を重視する中、量的な縮小と 質的な向上が望まれる傾向となる。さらには、若年層に おいても、食生活に対する自己判断が進み、カロリーが 少なくても栄養素がしっかり取れる食生活への憧れに 進むこととなる。そして、生活者の所得が急速には拡大 せず、流通の価格競争も一段落する中、消費生活者の効 率的な食生活がさらに進み、調理技術の低下と相まって、 が有利な「重量販売」を志向していたが、価値の視点を 家庭内で行われていた調理や食事を家庭外に依存する 持ち込むことで、基本的な考え方を見直す傾向が出始め ようになる「食の外部化」はさらなる勢いで進行する。 ている。 また、地方の過疎化や都心での高齢者の増加も顕著と なる中、買い物に出向くこと自体が難しい状況となって 図1 食に対するニーズの変化 くる。新しい宅配ビジネスや通販ビジネスが隆盛を極め 食感 より柔らかい方向になる(物性コントロール技術) 保持技術 色、香り、栄養成分などの変化防止、保持のニーズ が高まる 栄養強化型作物 おいしく微量成分を摂取したいとする要望が出てくる 新鮮感 調理する時まで鮮度保持することへの要望がさらに 高まる さらなる簡便化 調理工程の簡略化と調理時間のさらなる短縮が進む (筆者が作成) てくる中、その期待に応える商品や物流形態が出現して くることになる。 新機能冷凍・解凍技術による食材の通年利用の可能化 家庭内の新調理機と「自分へのギフト」 して登場 デーのチョコレートでも の市場が出 い高電圧利用の衝撃波による加工法も開発されている。 具体的には、冷凍食品においては、2個ずつ3種類の6個 パックといった、飽きさせない「おかずシリーズ」や、冷 凍米飯類でも60gの白飯と混ぜ御飯やおこわとの組み合 わせによるパック食品化が進む。また、常温品もレトル ト食品に代表されるパック食品では現在の3~4人前の 前提から、2人前の2パック化が主流となってくる。これ らは、世帯人員の少数化とともに、4人家族でも違う味を 楽しみたいというニーズに合致するからである。その分、 生産技術の革新性が図られなければならない。 (3)専業主婦比率の低下 短時間調理のニーズの中で、より簡便性を付与した加 工食品群が登場する。この段階では、包装・容器の技術 革新も重要となる中、ごみ問題や廃棄のしやすさなどの 価値も付加されたものとなってくる。今後の調理におけ 廃棄量の低減化 好みの食感を自在に創出 現してきている。今後は、自分への励ましや、 少人数の 商品化技術 (新 ・食品 単位操) の確立 疑似パーティーなどの市場が続伸するだろう。 それに合 わせた商品開発は大きな可能性を生み出すこととなる。 安価で安全な保存期間の延長が可能 (5)調理技術の低下 保管時間 食品の開発と相まって、 食品の開発と相まって、 調理機器の開発も推進される の短縮 品質検査の削減が可能 中、食品メーカーと調理機器メーカーのコラボレーショ ンが当たり前になってくる。 (6)都市人口の増加と地方の過疎化 食の本質価値の研究 その価値の維持技術 宅配ビジネスが大きく成長する中、 宅配ビジネスが大きく成長する中、以前のような「御 価値発信マーケティング 88.小型衛星 93.スペースコマース 89.リモートセンシング 94.ジェット旅客機 90.測位衛星システム 95.GA (generalaviation) 91.ロケット 96.海洋資源開発 92.有人探査/宇宙科学 97.海洋エネルギー 用聞き」機能を有する携帯端末の活用や「富山の薬売り」 的な使用した分のみを支払うといった魅力ある商品・ テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 43 サービス形態が出現してくる。 (7)年金・健康保険制度の見直し 生活習慣病対応や栄養素を特徴にした加工食品が出 生活習慣病対応や栄養素を特徴にした加工食品が出 現してくる中、1次産品の栽培においても、野菜工場やク ラウド技術を利用した高栄養価値作物の生産方式など、 食品加工業者の協業による新たな技術開発が進む。 (8)買い物難民の増加 通販・宅配の新市場が形成される中、その発注方式や 保管・受け渡し、食品の保存技術などを組み合わせた新 たなサービスが大きく伸びていく。 (9)新たなコミュニティーの出現 る大きな課題は、上手な段取りである。料理の本も段取 単身世帯や二人世帯の生活から脱却し、血縁関係のな りを解説した本が見られるようになってきているが、そ い新たな関係性の構築が求められる中、半調理品による □ 技術トレンド の段取りの事前準備まで広がることとなる。例えば、 「帰 手づくり部分を少し残した新加工食品が出現してくる。 前述のトレンドに沿って技術とともに具体論を示して 宅したら、コートを脱ぐ前に最も時間を要する炊飯の準 今後10年で、人は食を通じた新たな仲間づくりが始まる。 いく。 備をする」というような具体的なものとなる。また、米 テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 7 非日常の食と、 非日常の食と、日常の食を楽しむ外食が二極化し、日 常食としては中食(惣菜)市場が続伸していく。 「ハレの 業務用の食 材・原料処理 い過冷却現象を応用した-13℃まで凍らない超音波利 分子美食学 (モレキュラ ー・ガストロノミー) の研究 生産時の廃棄ロスの低減化 買い物難民の増加、 ( 9)新たなコミュニティーの出現、で りは、野菜のおいしさの追求であり、それは、野菜のミ べき機能と考えられる。 と非日常が存在する。この市場は大きく、バレンタイン あり、それぞれの変化に応じた商品が出現していくこと 常に生活者視点での開発が推進される になる。 「野菜!」となるのである。ところが、 「 われわれは何の 宅配・通販ビジネス 級な高額炊飯器も売れているのも事実である。楽して、 おいしく食べたいという根源的ニーズは、 今後も提供す 常温領域市場の拡大 日」の定義も変化し、自分のための「ハレの日」が増えて くる。例えばビール関連でも、通常は発泡酒でも個人の 「ハレの日」にはプレミアム・ビールを飲むように、日常 術の実用化が進む。例えば、マイナス温度域でも凍らな のか」 、 「野菜を流通させている人は、何を流通させてい 生活者研究 宇宙・航空関連では、規制緩和や民間参入によるコストダウンが進む。 リモートセ ンシングおいては画像と位置情報の高精度化と解放が進む。 ロケット、有人探査、 スペースコマースでは民間活用が加速する。海洋資源開発では次世代海底資 源のメタンハイドレートや鉱物資源の開発の必要性が高まっており、海洋エネル ギー発電は今後の商用化が期待される。 や無菌充填米・冷凍米飯市場が伸長している。一方で高 トータル・エネルギーのコスト・ダウンを業界全体として探究 (4)食の外部化 生産や保存・保管や流通において現在とは異なるもの るのか」と問いかけてみると、最初は当然の答えとして 多品種少量生産 87.スマートグリッド を炊飯するニーズが今後どこまで残るのかという観点 中食用食品 (惣菜) の拡大 においても、単に安いというものではなく、重量当たり となってくる。新たな保存方法や流通における革新的技 粒度を小さくすることで、新しい 加工食品、新しい食感の提供 用の冷凍庫や、食品の栄養価値を低下させず、退色しな 匠の技の工業化 「野菜を買っている人は、何を買っているのか」 。講演 86.静脈産業 84.交通・物流産業 もビジネス・チャンスの芽となる。現在も、 無洗米市場 当然のことながら、 当然のことながら、食が細くなる中でも必要な栄養素 健常者向け濃厚 (流動) 食 本格的出汁・ ブイヨン活用の本物のスープの復権 の摂取が可能となる形態の食が求められる。食材・原料 外食・中食 経年の中でもおいしさを保持 栄養、経済価値(無駄の排除)、 自然、各世代に対するおいしさ提供と、本質的価値追求と、市場 の世代間細分化が推進 のトレンドを生み出すというべきである。やはりそのよ うな生活者視点抜きに「食の価値」を語れない。生活者 を経済合理性の中で判断し、生活者は賢い消費者となっ 個別重要技術 40 省エネ、省時間用調理機器と食材開発 長期保存可能食品市場の拡大と併せ、 超フレッシュ市場も拡大する もあるが、10年のスパンとなると、 「 生活者こそ」が、そ 85.情報通信産業 83.水産業 第11章 航空宇宙・海洋開発 ■●食の価値8-1 食の価値 市場ニーズ 82.ガス産業 テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 41 披露しており、両者とも片面16層以上の記録で500GB、 両面化により1TBの達成は可能としている。富士フイル 作業を始めなければならない。 LTOの後方互換性の不 足を突くのが、ブルーレイ・ディスクを用いたストレー のが2013年の製品化を目指して開発されている。 現在は「LTO-5(カートリッジ容量1.5TB)」を使用して 78.次世代超高層ビル 76.ゼロエネルギー・ビル (ZEB) センシングに関するノウハウの蓄積→データ処理技術の進展→データマイニング技術の進歩→データ提供・表示の深化→低コスト化 だし、後方互換性は基本的に2世代であるので、LTO-5 のユーザーは、LTO-7の時点でLTO-5の内容を移送する トレージ向けHDDとしてヘリウム・ガスを封入したも いる。ソニーとパナソニックは、2013年7月にこれらの (筆者が撮影) (筆者が撮影) 環境未来都市 HDDは、今後も年率20%での大容量化は進むか否か 環境未来都市モデル アシスト記録は、2011年に「CEATEC 普及 JAPAN 2011」 ・高度化 に納入している。両技術が投入されれば、2020年頃まで Open)などの磁気テープが採用されると見られていた 236 ICTスマートタウン 普及・高度化 フェースとなる。 容量化を図ったが、近年容量拡大のペースが落ちている。 く収めるかも問題となる。当初は「LTO(Linear Tape- テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 タフェースとする機種が位置し、次いで SAS(serial attached SCSI) 、SATAがSSDでは下位に位置すること 先行モデルの実現 ICTスマートタウン・モデル (全国で10カ所程度) は見方が分かれている。垂直磁気記録方式を導入して大 ズ分野では低価格化が遅れる。HGSTでは、2015年度第 5 スマートコミュニティ 普及・高度化 的に伸びる。個人が記憶装置を手元に持つのを諦め、ク 4四半期の段階でも15000rpmの高性能HDDとSSDとの 再生可能エネルギー 途にのみ採用されるとみている。 (筆者が撮影) HEMS、BEMS、 MEMSの統合 (=CEMS) クラウドへのストレージ移管が進むと、あまりアクセ 基盤技術 図2 TDKが公開したHDD用高密度記録技術「熱アシスト記 スの無い情報(コールド・ストレージ)をいかに効率良 センサとICTの融合 ッド 録」対応ヘッ 88 スマートコミュニティ ・モデル ラウドに任せることが一般化するという予想だ。 スマートグリッド アクセス速度に優れるSSDであるが、エンタープライ 個別重要技術 ICT利活用の浸透 作が必要であり、これらを勘案した装置開発が待たれる。 コン(PC)の一部と同社は見る。ただし、HDDを取り巻 HDD出荷台数は減少した。不揮発性半導体で構成した SSD(solid state drive)の急速な低価格下でHDDの市 再生可能エネルギーの 浸透 図3 TDKが発表したブルーレイ・ディスクを両面 16層に拡大 する技術 エネルギー管理・制御の 浸透 証のデータ保存期間が1年のものもあり、HDD並みの不 が大きく変化した。2011年、2012年と2年連続で世界の スマートコミュニティ 高度化した安心・安全社会 ないとデータが揮発する(情報が欠損する) 不具合が起 ・制御の エネルギー管理 き始めている。最近のフラッシュ・メモリは、メーカー保 ストレージ・システム大手の米HGST社の予想では、 2020年の時点でもデータの85%をHDDが収容するとし ている。SSDの利用は、クラウドとクライアントのパソ 8 約1兆5000億円 (2020年) に活気が見られるだろう。ただし、SSDは長時間使用し 期待機能 □ 市場トレンド ストレージ・システムの中核には、長らくハードディ 価格化がHDDの地位を支えてきた。しかし、この状況 技術が統合・制御された都市 高度化した活力・魅力 ある社会 約7200億円 (2016年) 約4000億円 (2013年) 再生可能エネルギー利用 5-10.. ストレージ・システム 期待機能 スク・ドライブ(HDD)があった。急激な容量拡大と低 2023 高度化した低炭素社会 常時は快適 (安心・便利) 、 非常時は安全 市場ニーズ 市場規模 (国内スマートシティ関連ICT市場) 2020 情報通信 16.2次電池 「暗所に強い」太陽電池も開発されている。例えば色 素増感型太陽電池には結晶Si型太陽電池などには見られ ∼2013 全体潮流 技術レベル 15.シェールガス 12.風力発電 の糸で服を作ることも可能となる。 参考文献 第5章 情報通信 商品レベル 11.太陽光発電 能となる。例えば、有機トランジスタの製造技術を用い て電極を工夫し、3倍程度の伸縮性が出るものもある。 81 時期(年) 建築・土木 は、受光面にあるガラスであり約3mmの厚さのガラス 太陽電池の世代 材料・技術の特徴と効率目標 テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 使う材料も、この強相関電子系材料の一種である。 9-3 ●スマー トシティ ■ スマートシティ 市場レベル 展開するとみられる。 れている状況である。 第 1 世代 一部実用化 75.スマートシティ インフラ形成において重要である 「電力」、 「ガス」、 「水」、 「交通・物流」、 「情報通 信」、 「静脈」 の五大産業分野および、電力網と情報網を融合したスマートグリッド について、将来像を示す。新興国の経済成長や米国のシェールガス生産国として の台頭が論点となる。 日本は要素技術における存在感はあるもののインフラ・シス テム全体の受注は出遅れており、 各国のニーズに合わせた提案力が課題となる。 技術レベル おり、産業用と住宅用の二つが大半を占める。産業用の システム化 基盤技術 しかし、太陽電池パネルのコモディティー化、 低コス 図1 太陽電池の世代別の主な技術と期待用途 第4世代 新化合物 低コスト高効率化の進展 さらに将来は「第4世代」と呼ばれ、半導体技術を使わ ト化による事業収益性の悪化が導入のインセンティブに 基礎物理 発・調達などのバリュー・チェーンも変化を余儀なくさ 低コスト化 特殊用途実用品 伝導帯に乗り移っていくためロスが少ないことによる。 最終目標は商品レベルで変換効率60%が目標だが、順調 ずに光電変換技術を使うものが出てくる。バンドギャッ いった低コストも実現できる可能性がある。この第4世 53 3Dプリンター 第8章 農業・食品工業 高効率・低コスト化 た上でバンドギャップより小さい光エネルギーを吸収し プの呪縛を超え、80%超の変換効率や1W当たり数円と 試作品化 (2)プラズモ り単接合の太陽電池では変換効率は約30%止まりとな 第2.5世代 代では、大別すると(1)強相関電子系材料、 第3世代 プロセス 35.IoT半導体 にいけば今後10年以内に量産化も可能と言われる。 □ 技術トレンド 太陽電池の技術開発は、第1世代の結晶Siをベースに を構成する半導体のバンドギャップ相当分の電力、つま 産業用、メガソーラーまで幅広い用途で使い分けられて 第1世代・第2世代中心の製造技術の改善 太陽電池には多くの商品群があり、発電効率や形状、 32.どこでもディスプレイ 低光量高効率発電化 2 有機 (色素増感) の実用化 置開発のほかに、用途に応じた有効なシステムを構成す る周辺機器にも価値連鎖は広がっている。 した材料、 構造から多様化している。一般的には、 電池 強相関電子系、 プラズモニ クス、 波長変型 (研究開発) 経済性から選択肢が分かれる(図1) 。電卓用から住宅用、 万kWに達し、そのうち非住宅・メガソーラーが60%を 占める。 78 などが実現する。理論的な変換効率は、結晶Si系が約 商品群のビジネス・チェーンはシステム産業の集積とい CI S、CdTe 軽量化 量子ドット、 ヘテロ接合 (研究開発) □ 商品トレンド 経済産業省が試算した例では2050年の導入量は2億4780 50 医療用材料 農業・食品工業 グリッド 争を繰り広げている。 る「第4世代」の商品に期待がかかる。こうした太陽電池 え、電池本体の部品・材料技術、効率的な製造技術や装 Si系 (結晶、 非晶) 測される。こうした巨大市場を狙い、欧州や北米、中国、 日本を拠点とする世界の太陽電池メーカーは激しい競 軽量・システム化 住宅用が占めていたが、メガソーラーへの移行が始まっ 個別重要技術 電気に変換する効率の向上など技術進歩が、メガソー 試作品 (量子ドット) 年にはその2倍超の7兆3000億円、2020年に10兆円を超 え、2030年には13兆円を上回る規模まで拡大すると予 用途から始まり、これまでは住宅の屋根置き用途が中心 だった。実際に2011年度は太陽電池出荷量の約86%を ている。助成金やFITなどの政策支援に加え、太陽光を 構造系 52 MEMS・ナノ製造プロセス 商品レベル 界で30%、実際は10〜20%となる。各メーカーは1ポイ 住宅用と肩を並べる見通しである。技術開発によるコス ガソーラーへの投資の拡大が期待される。その一方で、 ラーを含めた公共・産業用途への展開を後押ししている。 新原理 34.フレキシブル・デバイス 実用化 ない特性が確認されており、暗いところでもリーク電流 上限は、第1世代、第2世代ではSiのバンドギャップで商 低光量発電 品の変換効率がほぼ決まる。変換効率はこの理論上の限 に日本市場では固定価格買取制度(FIT)が導入され、メ 第1世代(Si) 31.どこでもカメラ エネルギー 商品レベル 各種応用展開 年度比2.6倍の1兆7000億円規模に拡大するとの予測が ウエアラブル電池 49 環境・エネルギー機器用材料 農業・食品工業 と呼ばれる技術に基づく。太陽電池の変換効率の理論的 多目的用途 (先端用途) 33.ウエアラブル・センシング・デバイス 14円/kWh フレキシブル電池 世界中で設置事例を積み重ねている太陽光発電は、 特 ある。公共・産業用では、 同5.7倍の8600億円規模となり、 結晶Siモジュール 第1世代(Si) 30.スマートテレビ 50%の出現 低コスト化へ 23円/kWh (2010年) 51 ディスプレイ材料 市場レベル 30%の出現 48 高効率モーター用磁性材料 54 ビッグデータ 10兆円 (2020年) 日本は1兆7000億円 15∼20% 74.インフラ監視システム 173 今後の課題としては、 (1) 高信頼性化、 (2) 高精細化、 (3) 高速化・高機能化が挙げられる。 (1)高信頼性化を達成 するためには、大気安定な半導体の開発が重要である。 きる壊れにくいフレキシブル無線タグが有効活用できる。 キシブル・デバイスである。この用途では、駆動回路部 メガソーラー3世代 7兆円 (2015年) 10∼20% 低コスト・ 高パフォーマンス 予定製品 2023 エネルギー 市場レベル メガソーラ−1世代 3兆4000億円 (2010年) 変換効率 2-1. 太陽光発電 2020 2 高効率家庭用 家庭用 市場規模(世界) □ 市場トレンド 2018 フレキシブル 特殊用途 各種民生用 市場ニーズ(日本) 期待機能 2017 メガソーラーの再興期 日本 急拡大すると考えられる再生可能エネルギー を中心にトレンドをまとめた。 自然エネルギー である太陽光、風力、太陽熱の各発電、 また バイオ燃料とバイオマス発電を対象にしたバ イオマス・エネルギー、燃料電池、 それらを蓄 える2次電池を採り上げた。 そのほか、エネル ギー勢力図を変えるシェールガス、技術開発 の進展が著しい人工光合成を挙げている。 2016 補助金終了によるサバイバル期へ (低コスト・高効率・耐久性へ) 世界 全体潮流 2015 73.地震対策 (南海トラフ巨大地震) 方の視点で見ると、それぞれ一長一短あり、用途に応じ まっており、そこでは食品包装に印刷で簡単に直付けで ディスプレイについては、紙の代替として開発されて いる反射型電子ペーパーが、実用化への期待が高いフレ 見るには、 「 iPhone」のような名刺サイズ、 「 iPad」のよう 29.スマート家電 時期(年) 地震対策として防災・減災対策、 インフラの老朽化対策として各種デバイスやロ ボットを利用した監視システム、省エネ対策としてゼロエネルギー・ビル (ZEB) が ある。 ハードウエアの新規なものとして次世代超高層ビル、 中・大規模木造建築の 未来のあるべき姿を展望する。総合的なICT応用としてスマートシティやスマート ハウスの将来像を議論する。 て選択されていくものと考えられる。 レンドを概観したい。 の世界とも言い換えることができる。そのコンテンツを 28.ウエアラブル機器 7-1 太陽光発電 ■ 太陽光発電 各産業分野を支える材料、製造についても市 場の将来像を起点にしたシナリオは今後重要 となる。材料では応用製品を意識したテーマ を選定、製造では、 ビッグデータを収集するセ ンサの中核技術となるMEMS・ナノ製造プロセ スや、 ものづくりの体系を根本的に変える3Dプ リンターを採り上げた。 ガス・水分バリア性の向上、 ピンホール等欠陥不良の解消、 表面硬度の向上、 プロセスの低温化、 プロセス・コストの低減 ていく。タブレット端末の出現によって、 高齢者でも簡単 172 テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 に字の大きさを変えることで、新聞や本を端末で読みや 170 2020 有機EL2兆円の5%、 電子ペーパー1800億円の 50% 市場規模 しつつある。 2018 エレクトロニクス 7.HMI(humanmachineinterface) ディスプレイへの付加 価値、既存製品への適用 全体潮流 市場ニーズ 2014 技術レベル 6.低燃費車 (内燃機関) ∼2013 商品レベル 1) 「高齢者にやさしい自動車開発シンポジウム」、高齢者にやさしい自動車開発推進 知事連合、2011年2月 モータリゼーションの黎明期を支えていた。フランスは、 1943年に50cc未満のガソリンエンジン搭載の二輪車・ 時期(年) 「ポストスマホ」 との呼び声が高いウエアラブ ル機器が姿を見せ始めた。単体機器やテレビ やカメラ、ディスプレイは、いつでもどこでも 存在し、時と場所に応じて適切な機能を発揮 するユビキタス化が進む。 デバイス関連は、人 が使いやすくなる観点に加え、五感と適応す るもの、 モノ同士がインターネットでつながる M2M/IoTへの対応が進む。 □ 商品トレンド が誕生した。 カテゴリがあり、多くのメーカーが超小型車を作って、 テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 ●フレキシブルエレクトロニクス ■ フレキシブル・デバイス 市場レベル 可能とするモビリティの認定制度を創設し、2月に先導・ は自動速度制御装置(ISA)により、アクセルペダル振動 の少ない自宅から病院・店・集会所などへの決まった は、最高速度を抑え、高速道路の走行を禁止し、安全装 備を義務付けているが、通常の自動車に適用される衝突 国土交通省は2012年に「超小型モビリティ」の導入に 向けたガイドラインを発表、2013年1月には公道走行を 2-8 エレクトロニクス 30km/hに制限する「ゾーン30」の導入や、情報通信技術 効率向上、 信頼性向上、 原価低減、 軽量化技術 (熱利用、 信号線で電力供給、 電子安全技術、異材料接合技術、 光通信技術など) ンプ) 、カーブや植え込みなどの道路対策に加え、 車両で 将来に向けては、 観光地や私有地内、 あるいは交通量 に低速電気自動車(LSEV)を生産するようになり、国内 戦略に向けて」の中で、高齢者にやさしい自動車の開発・ 普及が取り上げられた。また、 生活道路で最高速度を 46 テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 (ICT)の活用が推進されている。 第4章 エレクトロニクス 欧州では、速度制限の車内表示と警告が普及し、小型 有無など、ユーザー志向の発想豊かなモビリティとなっ インホイール・モーター、 バイ・ワイヤー、 スマートフォンのアプリ 個別技術 やすいように、二人乗りで最高速度が遅く二輪車より安 センシング 自律運転 緊急操舵回避システム 止装置、自動緊急ブレーキ、緊急操舵回避など、 (3) 「運 力・筋骨格の補助、情報処理の補助。 発している「Visio.M」研究プロジェクト車、スペインで はスペイン政府と米Massachusetts工科大学 (MIT) ICT連携コンセプト スマートフォが ン利用緊急通報システム 限定ルートの自動運転モード 非常時の家庭電源 止機能」として、アクセルとブレーキの踏み間違い事故 二人乗り電動超小型車は、フランスでは、Renault社の める。また、歩行者と自転車利用者の死者は、自宅から さらに、電気駆動になれば、排ガス対策、燃費対策、 騒 限定ルートの自動運転モード (観光地や私有地、地方の交通量の少ない 音対策などが不要になり、安全性向上に一層注力でき、 車では次の安全等技術開発が進められている。 (1) 「認 高齢者はぶつからない安全要望が強い。 (1) 「事故防 スマホ連動エアコンや緊急通信・ 見回りのための情報 ない若者などで、30万台以上が使用されている。 最近の ・警報 「Twizy」 、Peugeot社の「VeLV」 、ドイツでは、Daimler 動力系での明確な安全コ ンセプト うち歩行中が1/2、自転車乗車中が1/4、両者で3/4を占 利用する場合には、死亡事故が極めて少ない実態から、 地域での通院・買物・集会場・耕作地往復など 疲労・健康異常自動通報 定常ルー ト) 低速走行のため新技術を導入しやすくなる。 次世代自動 国連ではL6、L7カテゴリが規定されている。これらは主 視線移動の少ない表示、駐車支援 れ、坂道も楽に登れる、二人乗り電動ミニカーである。 として、地方の年配者、自動車運転免許取得年齢に達し 動の足が無くなると4人に3人は自立が困難になるとい う。そして、行動範囲が狭く日常生活で使用でき二人乗 交通事故死亡者は、高齢者が全体の半数を超え、その ティ (高速道路走行不要) 、最高速度は60km/hで良く、 そ 被害軽減ブレーキ、 ペダル踏み間違い防止 超小型モビリティの提案 して生活するために、移動の確保が求められている。移 自動車 上で5時間の座学での交通安全受講証(BSR)を取得す れば、自動車運転免許証が無くても運転できた。また、 りでよいという、省エネで小さい車への要望が高い。 1 車と家の間での電力授受 健康状態モニター としている。そして、 最高速度30km/h以下の道路のみ 車両法では第一種原動機付自転車扱いで、運転には普通 運転免許証を必要としている。実際のニーズとしては、 前後二人乗り四輪車、 前席一人 後席子供二人乗り四輪車、 左右二人乗り四輪車、 三輪 トラック、 一人乗り四輪車など パッシブセーフティの基準の追加緩和を可能としている。 軽自動車より小さい二人乗りの近距離用超小型モビリ 原付軽量四輪車「クワドリシクル」が登場した。16歳以 65歳以上となり、4分の1は独居と夫婦世帯になると予測 されている。超高齢社会において、健常な高齢者が自立 予定製品 持つことから、内装材の難燃性などの基準の緩和を可能 速道路走行不可) 、定員1名と規定されており、道路運送 スマートフォンを活用した カー・エアコン操作や車外との通信 められた。第1次石油ショックを機会にボディを備えた 日本は、2015年に4人に一人、2050年に3人に一人が 44 安全機能フェーズ 2 (複合機能の同時自動化) 車内空間確保およびユニットの小型化と合理的レイアウト 1-2. 超小型モビリティ □ 市場トレンド 安全機能フェーズ 1 (特定機能、 特に視界確保の強化と操作系の自動化) 第9章 建築・土木 第7章 ネット・サービス 950億円/年 二人乗り近距離用超小型モビリティ(高速道路走行不要) 、 30kg程度の荷物積載、 二輪車より安全、 歩行者等にも安全な運転支援、 自動パーキング、医療モニター・緊急通報 安全機能フェーズ 0 (視界の確保) 期待機能 第6章 材料・製造 47 輸送機器用材料 非常時電源 市場規模 商品レベル 2.超小型モビリティ 2014 超高齢社会での 自立高齢者の移動手段確保、 スマートコミュニティ・環境未来都市構想の推進 全体潮流 市場ニーズ 1.高度運転支援/自動運転 2014 第5期介護保険事業計画 (市町村) 少子高齢化の進展 ・75歳以上:1567万人 ・15∼64歳:7900万人 19.再生医療 第1章 自動車 自動車は、社会の様々な課題解決を担うよう になる。 その典型例が自動運転技術を導入し た超小型モビリティである。高齢者の日常の 足となるだけでなく、渋滞の解消やエネルギー の有効利用など環境対策にも寄与する。脳内 情報処理によるドライバの運転行動の予測な ど、最先端の技術開発を先導する役割として も注目される。 ∼2013 介護報酬改定/介護サービス提供体制に関する検討 地域包括ケアの見える化に関する情報 データベース (DB) の開発 (市町村支援) 地域ケア会議のモデル試行 (ケアマネ ジメントの機能強化、地域課題抽出) 市場ニーズ 技術レベル ずはその中身を期待機能と予定製品の二つに分けてい ためである。 (2)商品レベル(第2層)と技術レベル(第3層) (筆者が作成) 共有化を行う。 する。 2-2. 企業の各部署別の使用想定事例 企業の各部門のさまざまな階層の人たちが、今回の ロードマップを用いて、どのように活用していくかにつ る。これは、市場ニーズを期待機能(顧客価値)として、 STEP5: 縦方向の矢印 (ひも付け) を使って各層の間の関連を明確化 を比較し、一致する点や異なる点を関係者間で議論し、 【STEP3】 必要に応じて、 商品トレンドや技術トレンドを、 論し、自社に必要なロードマップに落とし込み、共有化 ブレークダウンすることが可能となる。 基本的に市場トレンド、市場ニーズを将来の商品ニー ズと捉え、市場全体から、商品群やサービス群の顧客価 にくいので、全体潮流とは別に市場ニーズに具体化して STEP4: 自社ロードマップの中で不足している部分があれば、 今回のロード マップの該当部分を追記 (実現時期など必要に応じて自社情報を 基に修正可能) STEP6: 必要に応じて検証作業を各層で行い完成度を高める (事業、 経営、 市場、 技術) 時期(年) 全体潮流 医療・健康 きる。これで市場ニーズから商品/サービスの期待機能 要技術、基盤技術といった具合である。これは、各層の 意味付けをより明確にするための工夫である。 STEP3: 今回のロードマップと自社のロードマップを比較 らの技術要素が明確になることで、自社の技術資源や未 は、期待機能、予定製品、技術レベル(第3層)は、個別重 (1)市場レベル(第1層)と商品レベル(第2層) ●地域包括ケア ■ 地域包括ケア 商品レベル STEP1: 分野とテーマを選定 (例えばエネルギー分野、 太陽光発電のテーマ) STEP2: 自社の内部状況を考慮した上記の分野・テーマのロードマップを 作成 (どの階層でも良く、 複数の階層を統合したロードマップで あればなお良い 18 技術㋭ レベル(第3層)の各層に関するつなげ方を示す。各層は 統合ロードマップ全体の表示においては、以下の2点 4-5 高齢化社会に向けた課題解決の実現手段と して様々な選択肢が出てきた。深刻な状況に なる前に手を打つ事前のサービスが医療の分 野でも現実となってくる。再生医療、 ゲノム医 療はその先端を走り、予防医療、地域包括ケ アは現場の対応力を強化する実践的な解とな る。 センサなどICT手法で収集したデータを活 用する解析手法やその場で検査するPOCTの レベルアップが差異化要因となる。 製品② 以下に市場レベル(第1層) 、商品レベル(第2層) 、技術 は、次の項で詳細を述べる。 2024年) をロードマップとして描いたものであ 200T 年 ○○新時代 の到来 製品④ □ 各階層の関連項目のつなげ方 ウトプット・イメージの作成プロセスや考え方について る領域の各テーマにおける今後10年(2015∼ 200Z 年 市場ニーズの 立ち上がり 製品① 立つことを目指している。統合化したロードマップのア 今後の日本の産業界にとって重要と考えられ 200Y 年 社会トレンドA→B 事業・市場レベル (事業ロードマップ) 第2に、矢印の向きである。この向きは大切で、基本的 には両者の因果関係を示す。例えば技術主導型の製品の 工夫してある。今回のロードマップの階層構造の基礎に 市場レベル 『テクノロジー・ロードマップ2015-2024』 は、 第3章 医療・健康 図7 統合ロードマップにおける各階層のつなぎ方 すべてつないでしまうと、矢印だらけになってしまうこ とから、過分につながないようにすることも重要である。 □ ひも付け後のアウトプット・イメージ 各階層を縦矢印でつなげた統合化のイメージが図7と なる。既存の考え方の枠を越えて広く活用できるように 医療・健康 序章 テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 89 63.食の価値 300GBを目指すという。現行のブルーレイ・ディスクの 3倍を多層化で達成するのか、記録密度向上による1層当 たりの容量増大で達成するのかは不明である。しかし、 現行比約3倍が達成できれば、磁気テープに対する競争 力は高まる。カートリッジには16枚収納できるため、1 □ 技術トレンド ムは、従来のハードディスク一辺倒から、SSD、HDD、磁 SSDは、半導体技術の微細化に乗って容量を増やして 気テープ、光ディスクと異なる形式のデバイスが混在す きたが、フラッシュ・メモリの微細化は、限界に達しよ る方向に進んでいる。今後、横断的なアクセスを効率よ うとしている。今後は、チップの3次元化といった形で 個あたり4.8TBとなる。エンタープライズ用途では、 「ロ ボット」と呼ばれるテープライブラリ装置によりカート リッジを入れ替えつつアクセスを行うものとなる。 ストレージ関連技術は、2010年ころより一時的な停滞 く実現するシステムの開発が期待される。 の容量増大となるので、増加速度は大幅に落ちる。 期に入っていたが、急速にペースを戻しつつある。HDD HDDは、新技術を導入しないと記録密度を向上でき と光ディスクで容量増大に向けて準備されてきた技術 □ 商品トレンド なくなってきている。 「shingled write recording(瓦記 が本格投入される兆しにある。今後5年間程度は伸びを SSDは、パーソナル分野での価格低下は続くとみられ 録)」や「熱アシスト記録」といった方式が提案されてお 取り戻しそうだ。そして、方式間の主戦場は、コールド・ る。今後、HDDの置き換えとしてノート型パソコン分野 り(図2) 、いずれも投入時期は近いとみられている。熱 ストレージ分野となるだろう。 テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 237 36.画像認識システム 37.組み込みシステム 42.ストレージ・システム 38.高性能コンピュータ 43.CDN(contentsdeliverynetwork) 39.M2M/IoT 44.ユーザー・インタフェース 40.無線通信インフラ 45.拡張現実 (AR) 41.近距離無線通信 (NFC) 46.ワイヤレス給電 (情報機器) 64.食の安全・評価 65.ブランド作物 69.植物工場 66.加工食品 (内食) 70.農業クラウド 67.加工食品 (外食・中食) 71.CSA(communitysupportedagriculture) 68.機能性食品 72.魚類養殖 第12章 エマージング 新規の発展段階にあるテーマを採り上げた。 様々な場面で人の代わりをしたり、 お もてなしのサービスをしたりするロボット、人の五感を拡張または超越する次世代 センシング、既存のコンピュータの限界を超え広範な科学技術分野でブレークス ルーを起こす量子コンピュータについて、 未来像を描く。 98.ロボット 99.次世代センシング 100.量子コンピュータ/量子通信 ICT融合新産業 3-9 ロケット ■ ストレージ・システム ●ス トレージシステム ∼2013 2014 2015 2016 2017 2018 2020 時期(年) 2023 階層の最適化に よる経済性の追求 SSD・HDDの階層化 2016 2015 2017 2018 2020 市場規模 全世界の商業打ち上げ市場は静止衛星が年間20機、金額ベースでは2000億円程度、 官需を含めた市場は2011年段階で4800億円、2020年までほぼ一定規模を維持と予測 (米連邦航空局報告書) 11億台 (HDD・世界) 15億台 (HDD・世界) ブースターの増減で幅広い打ち上げ能力を持たせたロケット 期待機能 「イプシロン (E-1) 」 各自治体が目指すスマートシティの姿を「商品」と捉 える。スマートシティは、官民連携して面的に取り組ま 込む必要があり、国の補助金が欠かせない。国の事業の 市場規模に達すると予測される。 □ 技術トレンド 「イプシロン」 (発展型) ムなどで、個々の要素技術とそれらを統合化する技術が 月、東日本大震災が発生し、エネルギー問題が一層、ク スマートタウン」 (総務省) 、スマート化を通じた経済活 域での再生可能エネルギーの生産・利用を目指す「 ス マートビレッジ」 (農林水産省・環境省)などがある。 スマートグリッドは、発電所や送電網にとどまらず、 図1は、スマートコミュニティ、ICT スマートタウン、 家庭や工場などの電力消費地をネットワーク化し、最新 (1)スマートメーターを含めたスマートグリッドの構築 3. 電子政府/電子自治体 5. 老朽化対策 1. 次世代POS 2. ショッパー・マーケティング 3. 受発注システム 4. オムニチャネル・マーケティング 5. モバイル決済 10 4 22 5 個別重要技術 公道走行型物流 搬送ロボット 物流搬送ロボット 農作業ロボット 重作業用装着型ロボット 遠隔手術ロボット 1 9 2 Lockheed Martin社、および「デルタ4」を持つBoeing社 は、基本的に米国の官需衛星打ち上げを担っている。米 政府は、これら2社に対しては商業的に見合う数の衛星 発経費への補助金を受け取ることができた。実機が完成 打ち上げを発注しており、両社は国際的な商業打ち上げ すればISSへの輸送業務という官需も受注できる。 市場への進出には消極的である。日本では、宇宙航空研 SpaceXは、COTSで大気圏再突入可能な無人輸送船 opment)」という同様の補助金プログラムを開始した。 「ニュースペース」はこれに応募することで新技術の開 11-3. ロボット モーター □ 市場トレンド 機構/材料 1 2 10 27 7 4 6 11 17 9 6 12 21 2 1 4 31 13 3 7 自律型施工ロボット 遠隔診断ロボット 9 2 6 12 5 35 48 57 22 19 見えてくる。第1段はロケットの中でも最も大きく、特 にエンジンの製造コストが高い。第1段の再利用は、宇 宙輸送システムの運航コスト低減の一歩となり得る。 と、人間の上体を再現した上体ヒューマノイドのような れらのセンサは、ゲームやスマートフォンに搭載される 双腕で視覚センサを多用した新しいロボットが登場す ことで飛躍的にコストが下がることがある。例えば、カ 作業や点検メンテナンス作業、建築労働をロボットで代 小型/軽量/高出力化、 急速充電、 容易交換、 非接触給電 替することが必要となってくる。従事者の高齢化が著し い農業分野でも同様な課題に直面しており、行政や担い の生産、物品の搬送にロボットが活用されるようになる。 手の意識の変化をきっかけに、ロボットの導入が始まる これら産業分野でのロボット導入のハードルは、主に導 る。これにより、多品種少量生産、あるいは低価格商品 人工知能的な高度な認識処理はクラウド側での 処理やSNS機能を活用、 既存のインターネット知識資産の有効活用 の間増加した後、高い水準を保つ。一方、労働人口は将 3次元シミュレーション制御 来にわたって減少し続ける。個人レベルの欲求として、 これまでの安全で快適な生活を維持しつつ、厳しい労働 は避けたいという傾向が続く。このことから、現在、大 178 149 れており、これまで公共事業として人が行ってきた土木 小型高効率減速機、 変速機、 アクチュエータ/ギア一 体型筐体、 ハンド機構、CFRP、 3Dプリンターによる造形、 洗浄可能な筐体、 人と接触する柔軟な筐体 ロボットの価値は、これまで人が行ってきた肉体作業、 超えた高速化、高精度化を実現したりするところにある。 クラウド、実世界認識、 ソーシャル・ネットワーク 量の労働力を消費している労働集約的な職場、過酷な労 テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 働環境の職場は、いつでもロボットに置き換わる潜在的 なニーズがあるといえる。 □ 技術トレンド 力が重要になる。GPSやレーザ距離センサ、赤外線セン 産業用分野では、従来型の産業用ロボットの低価格化 日本の人口動態が示すように、高齢者人口は今後数年 と考えられる。 入時のコストをどれだけ下げられるかにあり、安価な力 人工知能的な高度な認識処理はクラウ ド側での 処理やSNS機能を活用、 既存のインターネット知識資産の有効活用 基盤技術 サなどの非接触センサ、および力センサや接触センサな 減少の中で、インフラはその維持と一定の拡充が求めら 人手ではコストがかかりすぎたり、あまりにも過酷な作 業をロボットで代替できれば、普及、活用が進む。 10 化すれば、ファルコン9の第1段を再利用できる可能性が テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 識、統計データなどのデータベースのサポートが活用さ れるだろう。 小型/軽量/高出力化、 低価格化、 低騒音化、 コントローラ一体型、 減速機一体型、 インホイール・モーター、 リニア ・アクチュエータ、 油圧、 人工筋肉 繰り返し単純作業を肩代わりしてくれたり、人の能力を 電池/電源 9 5 32 (出所:日本航空宇宙工業会の平成22年度宇宙産業実態調査資料) 現在の宇宙開発が今ひとつ地上の経済とリンクした大 もう一つの潮流として、持続可能な成長に対する意識 どの柔軟な接触動作を実現するためのセンサがある。こ メラなどの視覚センサは既に高性能で低価格なものが 手に入る。ただ、ロボット用途を考えると、動画像や高 解像度画像の伝送、圧縮認識処理などが必要であり、技 術革新の余地がある。 センサを利用したダイレクトティーチングや 3 次元シ 知能の要素として、クラウド技術が基盤技術として挙 実時間以上の速度での 3次元シミュレーションを行い、 の高まりがある。 特に物流・交通分野で自動車の代替と 常に最適な行動を探索しながら制御 ミュレーションを活用した高度な自動動作計画、視覚セ げられる。低次の制御コントロール以外の高度な認識・ 実時間以上の速度での 3次元シミュレーションを行い、 常に最適な行動を探索しながら制御 して省エネルギーのパーソナル・モビリティや屋外搬送 ロボットのニーズがある。ただし、これには交通行政と の整合性が必要条件となる。 ンサなどによる自己完結型の安全技術が必要である。 インフラ分野では、まず点検メンテナンス・ロボット が普及する。超音波診断など熟練工の能力をロボットで 最後に個人の生活観点から、安全・安心の追求とマス 代替し、大規模な準備工事なしに、あるいは設備や施設 (大衆)から個への流れがある。例えば医療分野では、誰 の稼働中に利用を中断せずに点検やメンテナンスがで 179 の膨大な統計、知識データベースによる認識や対話処理 が有効活用される。また、3次元シミュレーションや最適 きるようにする。社会インフラ、産業インフラ、あるい 行動探索をリアルタイムに行うことで、単純なアルゴリ があり、遠隔医療用のロボットが活用されるようになる。 は一般建築などでの幅広い利用が見込まれる。 ズムによる制御を超えて、常に環境に適応して行動を修 アッパーステージの必要性が浮かび上がってきている。 ドルがあり、それらすべての条件が解決するまではロ また3Dプリンターによる造形やスマートフォン連携な 医療分野では、高度な医療の要求を満たすものとして、 ボットの導入が進まない。例えば高齢者福祉の分野では、 ど、ロボット技術の低コスト化、大衆化が進むことで、 まず装着型のリハビリ機器が使われるようになる。また いるが、ICTやエネルギー・環境技術などを利活用して 都市や街全体のインフラを効率化(スマート化)するこ とによって、社会活動・生活環境を向上させ、かつ低炭 素化を徹底する都市を目指すことに、大きな差はない。 各事業に採択されている自治体では、実証実験が試行 されている。それ以外の都市も独自の施策を進めている。 東京都は2020年のスマートシティ実現に向けて、 「オフィ スビルや住宅でのエネルギー使用量の見える化及びエネ めてスマートシティの将来像を捉えるのが妥当である。 ルギーの効率的制御を可能とするエネルギーマネジメン 世界各地でスマートシティの実証実験が進んでおり、 トシステムを普及させること」を目標としている。 日経BPクリーンテック研究所の推計によれば、世界の 各都市が定めているスマートシティの目標達成時期 は、おおむね 2020 年から 2030 年になっている。IDC の累計で約3900兆円(定置用蓄電池と送電設備で60%以 Japanによると、国内スマートシティ関連IT市場(ハー 上)に上ると見込まれている。 ドウエア、ソフトウエア、IT サービスを含む)の支出額 ター」をすべての施設に設置する。それによって各施設 の詳細な電力消費量を把握し、発電所はきめ細かなリア ルタイムの電力供給が可能になる。 さらに、電力消費の場所に、再生可能エネルギーなど の自家発電の仕組みを導入し、地域で必要な電力を消費 地で生産できるという仕組みに対応できる。需給がひっ 迫する時間帯に需要者に節電を促すデマンド・レスポン とはいえ、商業打ち上げの市場規模は小さい(図2) 。 (4)センサを利活用した公共サービスや減災システム 打ち上げが必要になる衛星機数は静止軌道に年間20機 各種センサをネットワーク化し、公共交通運行情報や 程度。金額ベースでは年間 2000 億円ほどで 、欧州の インフラの損傷・欠陥情報、災害危険情報などを収集し Arianespace社が市場の過半を占める独占に近い市場だ て、平常時のサービス向上やインフラの老朽化による危 図1 米SpaceX社の「ファルコン9」ロケット 環境未来都市 総務省 内閣府 横浜市、豊田市、けいはんな 柏市、豊田市、三鷹市、塩尻市、袋井市 北海道下川町、柏市、横浜市、富山市、北九州市、東日本大震災の被災 学研都市、北九州市 地から、岩手県気仙広域(大船渡市・陸前高田市・住田町) 、釜石市、 岩沼市、東松島市、南相馬市、新地町の合計 11 都市・地域 12V」の打ち上げ(2015年打ち上げ予定)を受注した。 厚いサービスとリーズナブルな価格に加えて、これまで 200機以上の打ち上げ実績によって信頼性を裏打ちして いることが大きい。同社は、1986年のスペースシャトル 「チャレンジャー」の空中爆発事故後、米国の宇宙開発の インターネットの普及により、ネット販 売の急激な伸びと、取引先とのデータ 交換による効率化・高度化が進む。 ま た、 スマートデバイスの普及に伴い、消 費者の行動に大きな変化を与え、 ネット と店舗の融合という新しい小売ビジネ スモデルへと変化する。 モータおよび機構材料とバッテリー技術では、あらゆ れ、 そのために構成要素の一体化が進む。個別の技術ニー ズとして医療福祉分野では低騒音、モビリティ分野では は、防水や洗浄可能な筐体も重要になる。新技術の観点 ロボットはセンサと知能、そしてアクチュエータから からは、人工筋肉など新しい原理に基づくアクチュエー タ、炭素繊維強化プラスチックなどの軽量高強度な新素 材、あるいは非接触給電技術などが利用されるようにな 性でブランドを確立し、打ち上げ市場の勝者となったわ てきたが、ファルコン9は国からの資金援助を受けつつ ト」といった高性能なアッパーステージを使用している。 けである。 も、完全に民間主導で開発された。これは、SpaceXが今 後いかようにでもファルコン9を利用し、発展させるこ □ 商品トレンド 参考文献 1) 『 世界スマートシティ総覧2012』、 日経BP社、2011年10月 2) 「国内スマートシティ関連IT市場予測を発表」、IDC Japan、2012年11月 3) 「スマートシティ実現に向けた 取り組みと今後の課題」、 日本総合研究所、2013年 4月 4) 「 ICTを活用した街づくりと グローバル展開に関する懇談会 (報告書概要)」、総務 省、2012年6月 5) 「スマートグリッド・スマートコミュニティーとは」、経済産業省、http://www.meti. go.jp/policy/energy_environment/smart_community/ テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 加して地球低軌道に53tと打ち上げ能力を飛躍的に増強 した「ファルコン・ヘビー」 、さらに第1段をロケット噴 146 ロボットの開発側のみならず、利用者や介護福祉関係者、 行政の間で共有され始めることで、ロボット介護機器が 北緯7度の南米フランス領ギアナから打ち上げている 導入される素地ができる。いったん導入が始まれば、 Arianespaceと商業的に対抗できている。一方、日本は PDCAサイクルが継続して回り、コスト面、機能面でロ 現在、高性能のアッパーステージを持っていない。この ボットの商品価値が一気に向上し、市場が急拡大する可 ため北緯28度の種子島から打ち上げているH-IIAは、そ 能性がある。 の分打ち上げエネルギーの面で不利になっており、国際 知能による自動応答、自動危険検出なども活用される。 上が起こったものを活用する。それらをロボットに導入 一方、高齢者の自律を促進するものとして買い物やお出 することで、ロボットの性能向上や新規アプリケーショ かけを支援する移動支援ロボット、施設や在宅での介護 ンの開発を進める。ロボットで解決したい課題に対して 労働を支援する移乗支援ロボットが普及する。 それ以外のパーソナル・ロボット分野では、スマート フォン・アプリ機能を活用したホビー・ロボットの利用 いかに適切な要素技術を組み合わせ、ソリューションを 構築するかが、新たなロボット・アプリケーション開発 の鍵になる。 る。 近年、米国では油圧技術をロボットに活用する動きが ある。油圧は一般に高精度な制御に難があるが、高出力 を簡単に得ることができる。日本ではロボットでの油圧 技術利用はほとんど見られなかったが、ロボットではな い一般の建機に広く使われている。今後、建機の無人化 射で着陸させて再利用するための垂直離着陸実験機「グ 市場から商業打ち上げを受注できない原因の一つとも 同様の変化は、介護福祉分野以外にも起こりうる。東 が盛んになり、遠隔地で自分の代わりに移動したり会話 球周囲の宇宙空間における活動を積極的に任せる政策 ラスホッパー」の飛行実験を繰り返している。 なっている。現在JAXAは、H-IIA第2段に複数回着火機 日本大震災や中央自動車道の笹子トンネルの事故以降、 したりするアバター・ロボットがオフィスや工場などで ションに重要なのは、人と環境を認識する能力である。 ルド・ロボットが盛んになれば、油圧技術によるロボッ ファルコン・ヘビーは完成すると、アポロ計画に使っ 能を持たせるための技術開発を行っている。第2段に高 道路や橋、トンネルや港湾などの社会インフラの維持管 用いられる。一人乗りの小型の乗り物で、歩道あるいは 人と接する日常生活の場でロボットを活用するには、人 トが発展する可能性がある。 た「サターンV」ロケットに次ぐ、米国にとって2番目の 性能アッパーステージの機能を持たせようとしているわ 理、あるいは災害時の早期復旧などが社会全体として重 車道を走行するパーソナル・モビリティが普及し、GPS を確実に検知して安全な動作を保証する必要がある。ま 要と考えられるようになった。いわゆる「ナショナル・ による位置情報や周囲環境の認識による自動走行も可 た屋外や整備されていない環境でロボットを利用した 参考文献 レジリエンス(国土強靭化)」の流れである。今後の人口 能になる。いずれもクラウドとの連携により、環境や知 り、ロボットが自ら移動したりする場合、環境の検知能 1) 「ロボット介護機器開発・導入促進事業」、 経済産業省、 2013年5月28日付ニュー スリリース ション(ISS)への無人貨物輸送船の開発を促す「COTS 打ち上げ能力を持つロケットとなる。また、グラスホッ けだ。改良2段は、2014年度に最初の打ち上げを予定し パーで試験しているロケット噴射による垂直着陸が実用 ている。 (commercial orbital transportation services)」という (出所:SpaceX) 87 とができるということだ。現在同社は、ブースターを付 米国内で「ニュースペース」が勃興した背景には、ス ペースシャトルの引退(2011年7月に最後の打ち上げ) に合わせて米国が宇宙ベンチャーを計画的に育成し、地 を採ったことによる。まず2006年から、国際宇宙ステー 大規模な補助金プログラムを開始。さらに2010年からは、 テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 第6章 ICTと金融 1. 次世代金融システム 2. 仮想通貨 6. パーソナル情報ビジネス 正する自律的な知能行動が可能になる。ロボットの応用 範囲がますます広がるだろう。 る応用分野で小型軽量化、高出力化、高効率化が求めら バッテリー運用の最適化がある。また新しい応用分野で □ 技術トレンド 構成される。ただし各要素はほとんどの場合、ロボット 7) 「 2020年の東京」、東京都、2011年12月、http://www.chijihon.metro.tokyo. jp/tokyo_of_2020/booklet_of_2020/ 生活の利便性・質向上と安心・安全の 確保、環境負荷低減は世界的に重要な 課題であり、 その解決のためには、 エネ ルギー、交通、行政サービス、施設管理 の分野でICTを活用し新しいインフラを 構築するとともに、既存インフラを適切 に管理する必要がある。 病院内の設備として遠隔操縦の手術ロボットが利用さ れるようになり、家庭内の計測器や端末を通じた遠隔診 断、自動診断が普及して、病院に通院する代わりに遠隔 医療が行われるようになる。 □ 商品トレンド 介護福祉分野では、まずクラウド技術や、安価で高性 専用ではなく、ロボット以外の分野で技術革新や性能向 エネ機器などによる住宅用(HEMS) 、ビル用(BEMS) 、 4. 脳関連ビジネス media)の一形態として個人によるロボット開発が盛ん 能なセンサ技術を活用した見守り型ロボットが導入さ れるだろう。ネットワークを利用して遠隔地から見守り、 コミュニケーションするだけでなく、クラウド上の人工 マンション用(MEMS) を統合した地域(AEMS)やコミュ 個人の日常データを有効利用した 「個 別化」医療へ進むと同時に、ICTを活用 した「予防」および「健康な生活の維 持」へと利用拡大が進む。 また、脳の健 康も重要なテーマになる。 ところが近年、社会全体として介護福祉にかかる費用 緩和することで、人によるサービスの質を向上させるこ 6)「環境未来都市構想」、内閣官房地域活性化統合事務局、http://futurecity. rro.go.jp/ 5. 生鮮流通・販売支援 個人が情報発信する CGM(consumer g enerated になる可能性がある。 存在したわけである。 面、労働面でのコストが著しく増大したため、ロボット の導入でこれを少しでも抑制し、また過酷な労働条件を とが必要と考えられるようになった。このような認識が agement system) 」 など、 ビッグデータ、 クラウド、 ブロー 今後の農林水産は様々な課題とリスク を抱えることが明白で、ICT技術を浸透 させることがその解決の一助として期 待される。生産に関する情報集約、 およ び多くの機器類の通信に活用される。 場所とは無関係に効率良く衛星を静止軌道に投入するこ の分、衛星寿命を規定する衛星搭載スラスターの推進剤 を余らせることができる。つまり衛星の寿命が長くなる。 ロシアは北緯45度のバイコヌール宇宙基地から静止 すり合わせによるサービスの高度化が進む。 4. 自動運転/安全運転支援 術的に未熟である以前に、社会的、心理的なハードルが で何度もロケット噴射を行うことができれば、打ち上げ とが可能になる。効率良く静止軌道に投入できると、そ ロケットという観点からは、COTSやCCDevを通じて、 SpaceXがファルコン9というH-IIAと同クラス(地球低 衛星打ち上げを行っているが、 「ブロックDM」 「フレガー ワークなどのICTと、他分野や既存技術との組み合わせ、 自動運転が新たな市場を形成するとと もに、 クラウド・サービスへの依存の高 まりと日常生活における移動中のサー ビスへの要求により、ICTと自動車の関 係は今後増々強まっていく。 介護は真心を持った人の仕事との考えが強く、これまで ロボットを導入しようとしてこなかった。ロボットが技 るからだ。しかし、軌道上で希望した任意のタイミング 最初の有人打ち上げは2010年代半ばの予定だ。 軌道に10t)の大型ロケットの開発に成功したことが大 ドバンド、センサ・ネットワーク、ワイヤレス・ネット テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 ど有利である。打ち上げに必要なエネルギーが小さくな 様のドラゴンもCCDevの補助金を受けて開発している。 きい。これまでロケットの多くは、国の主導で開発され 太陽光や風力、地熱などの再生可能エネルギーの導入・ 広域を対象に大規模に、電気自動車および充電システ 静止軌道への打ち上げでは、打ち上げ地が赤道に近いほ 社の無人貨物輸送船「シグナス」と打ち上げ用ロケット 行に成功した。SpaceXは最大7人が搭乗できる有人仕 ばすことで打ち上げ実績を積み上げ、実績に基づく信頼 系統安定化策として、発電施設への蓄電池の併設などが ム、太陽光パネル・燃料電池・蓄電池などの省エネ・創 る。COTSでは、同社の他に米Orbital Sciences(OSC) 停滞を踏み台として市場シェアを伸ばした。シェアを伸 可能にする「交通システム(TDMS:traffic data man- 象条件に左右されるため、安定的な出力にも課題がある。 平準化のために、大規模蓄電池の低価格化も必要になる。 (3)広域を対象にしたエネルギー管理システム を成功させ、2012年からISSへの貨物輸送に使われてい 「アンタレス」も開発中。シグナスは2013年9月に試験飛 医療輸送システムや、交通渋滞を予測して円滑な移動を 普及には効率向上、低価格化が必須である。発電量が気 側での設置例は少ない。再生可能エネルギーの出力安定・ ICTスマートタウン 経済産業省 家 庭やビル、交 通システムを ワイヤレス・ネットワークやクラウドなど 環境・超高齢化対応などに向けた、人間中心の新たな価値を創造する IT ネットワークでつなげ、地 域 の災害に強い技術とビッグデータの活 都市。地球温暖化、資源・エネルギー制約、超高齢化対応等の諸課題を、 でエネルギーを有 効 活 用する 用やセンサネットワークの最先端技術を 持続可能な社会経済システムを構築しつつ、また社会的連帯感の回復を 次世代の社会システム 組み合わせたICTが実装された都市 図りながら解決し、新たな価値を創造し続ける都市 にはカナダの Telesat 社の静止通信衛星「 テルスター カー・ナビゲーションなどの「高度道路情報システム (ITS:intelligent transport systems)」を活用した緊急 入札などで買い取るネガワット取引も可能になる。 考えられるが、現時点では導入コストが高く、供給・系統 スマートコミュニティ 所管 定義 参加 都市例 営業活動を続いている。韓国の多目的実用衛星「アリラ ン3」の打ち上げ(2012年5月18日)に続き、2013年9月 Arianespace社が市場の過半を占めている理由は、手 険回避、災害時の減災に役立たせる。システム構成のノ ウハウの蓄積、信頼性向上、低価格化が必要になる。 (5)ICTの高度化 スを利用した可変的な料金体系(ダイナミック・プライ シング)や、企業など需要側が節電した分を電力会社が (2)再生可能エネルギーの低価格化 テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 147 176 センサに関して、今後の新しいロボットのアプリケー 施工などから発展して土木工事や建築を施工するフィー テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 ICT技術の進展により金融サービスの 様々な側面に変化が生じる。例えば仮 想通貨、 クラウドファンディングである。 これまで金融機関を支えてきた既存の 金融システムは再構築の時期を迎え ており、徐々に新しいシステムに置き換 わっていく。 4. クラウドファンディング 第7章 ICTと製造 1. 次世代工場 3. 遠隔保守サービス M2Mとクラウドコンピューティングの進 展、人工知能の活用により装置自体が 自律的な生産、設計、予防保全を行う 工場に転換していく。環境経営が発展 し循環型工場づくりが進み、工業団地 も3Rを実現してエコタウン化が進む。 4. エコタウン 第8章 ICTと教育 1. フューチャースクール 3. 生涯学習 第9章 ICTとメディア 1. 電子出版 3. 次世代SNS 社会の急激な変化に伴い、教育の置か れた状況は大きく変わりつつある。ICT を活用し、グローバルでオープンな大 学、学び続けられる環境、学校運営の 効率化や戦略化が求められる。 4. eポートフォリオ 印刷媒体、 テレビ放送、人対人のコミュ ニケーションなど、 あらゆるメディアで デジタル化が進み、ICT利用が拡大して いる。今後も、ICT利用の場面はデジタ ルサイネージなど屋外広告にも広がり、 デジタルコンテンツを流通させる仕組 みも拡大してくる。 4. デジタルサイネージ 5. コンテンツ・サービス 第10章 ICTと企業経営 1. 経営情報システム 3. クラウドソーシング ICTは顧客サービスの向上から、物流、 外部リソースの活用など、企業経営の 様々な場面で普及拡大する。 また、 ビッ グデータを活用した高度な利用が進 み、 企業の意思決定を支援する。 4. 次世代物流 11 知能処理については、ロボット本体の限られたリソース を利用するよりも、モバイル・無線環境を通したクラウ ド環境を活用する方向に進む。SNSやビッグデータなど テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 もがオーダーメイドで高度な医療を受けたいという欲求 2. コンタクトセンター 第5章 ICTと小売・マーケティング 2 ただし、これまで人が行ってきた仕事がロボットに置 4. オープンデータ・ビジネス 著者:緒方真一、出川 通、高内 章、坂田芳孝、塚田周平、平田史明、浜屋 敏、西尾好司、榎並利博、佐々木一人、大島義正、玉 置彰宏、大西 徹、刀川 眞、西野伸一朗、 アントニオ神谷、為ヶ谷秀一、内山幸樹、町田 聡、齊藤 勝、吉田丈治、 角井亮一、秋葉 淳一、福田将彦 (A4変型判、248ページ) /CD-ROM (本体に掲載されたロードマップを収録) / 2014年11月29日発行/レポート 本体価格 200,000円+税/発行:日経BP社 5 7 1 21 一様に低コストの宇宙輸送システムの開発だった。皆、 2. 次世代放送 2. 交通システム 13 5 2 35 有人宇宙船開発にも「CCDev(commercial crew devel- の米Armadillo Aerospace社など。彼らが目指したのは、 2. オンライン大学 1. スマートシティ 2010 2 き換わるには、それぞれ技術的、社会的、心理的なハー 3. 農業ロボット 第4章 ICTと社会インフラ 5 15 5 米国の基幹ロケットである「アトラスV」を擁する米 2. 設計支援 3. 医療データ共有 5 17 16 38 再利用に向けた長寿命化、許容起動・停止回数の増加、単段式再利用機に向けた比推力の強化 場の信頼を得るには至っていない。 3. 格付け/リスク管理 第3章 ICTと医療 2009 1 静止衛星打ち上げ向けのトレンドとして、慣性誘導に 序章 4. 植物工場 9 6 12 28 多国籍 るしたところだが、打ち上げ成功率が低いためにまだ市 打ち上げ前自律点検、冗長化、省電力化 2008 1 よる精密な軌道制御を行え、かつ何度も再着火可能な (経済産業省、総務省、 内閣府の資料を基に筆者が作成) 2. スマートアグリ 2 14 ているので、商業打ち上げには参入できていない。イン ドは低価格を武器に、商業打ち上げ市場への第一歩をし 合計 ンクの実用化 20 炭素複合材使用による軽量化、極低温推進剤対応の炭素複合材タ Exploration Technologies(SpaceX)社、米Amazon. com社の創業者であるJeffrey Bezos氏による米Blue Origin社、3Dゲーム「DOOM」の作者John Carmack氏 ムのコスト高にあることを見抜いていた。その中でも、 2007 1 実機の運用 2 米国 欧州 投資し始めたのである。少額ネット決済の米PayPal社 の創業者である Elon Musk氏が立ち上げた米Space きな産業になり切れない問題の根源が、宇宙輸送システ 2006 3 「 ドラゴン」とドラゴンを打ち上げるためのロケット 統合化を推進する企業 ◆シンクタンク ◆コンサルティング会社 ◆技術開発 ◆経営企画 ◆新規事業開発 ◆システム開発・構築 ◆市場調査・予測 ◆マーケティング テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 2005 3 「ファルコン9」を開発。ドラゴンは2010年12月に初飛行 図1 スマートシティ関連プロジェクトの比較例 2. 医療ロボット ご活用いただきたい部門 148 239 ICTはエネルギーの管理・制御に必要であるが、市民 ロシア 高度化第2段の運用 2004 重工業に移管されて、商業打ち上げ市場に参入するべく スマートシティに関連する産業市場規模は2030年まで 1. センシング・ネットワーク ◆ 事業・技術開発戦略を策定する企業 ◆ 事業戦略と技術ロードマップの 展が、エネルギー面からのスマートシティの目標となる。 に対するさまざまな公共サービス、医療・介護サービス、 け合っている。中国は米国が衛星を中国に対して禁輸し 1 最初の実機開発 日本 ノルウェー・ウクライナ合弁のSea Launch社などが分 2003 究開発機構(JAXA)の「H-IIA/H-IIB」ロケットが三菱 を描いています。基本的にテクノロジー・ロー ICTの活用で顧客価値を打ち出したい企業 アビオニクス ニティー (CEMS)のエネルギー管理システムの開発・進 テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 ばれる宇宙ベンチャーが勢力を伸ばし始めた。主にイン 「H-IIA」高度化開発 ターネット・ベンチャーで成功者となった者が、 宇宙に 2002 SpaceXは、大型ロケット「ファルコン9」の開発に成功し、 その結果、日本ではエネルギー制約、社会の高齢化と 1.農業クラウド ◆ 機体構造 ロケットエンジン 2001 商業打ち上げ市場の台風の目となりつつある(図1) 。 災・治安)といった人々の生活に密着するサービスの重 ICTと融合することで新たな価値を生む自動 ご活用いただきたい企業 アッパーステージ (JAXAの場合) 2000 インド 垂直着陸による再利用 2000年代後半から、米国では「ニュースペース」 と呼 ト International Launch Services(ILS)社や米・ロシア・ 実験機によるテス (スペースX) 基盤技術 1 セキュリティーなどの向上にも欠かせない。その応用と 要性も高まっており、ハード、ソフト双方のインフラを含 体の進化だけを論じるものではありません。 の活用で顧客価値を打ち出したい企業が事業戦略を立案する際のバイブルとなるでしょう。 8 1999 2 して、以下の技術開発が求められる(図2) 。 環境技術などを駆使したスマートシティが脚光を浴びる 第2章 ICTと農業 ドマップのコンセプトである市場から商品、技術に関連付ける構造を踏襲しています。ICT 外部連携インタフェース その他 (経済産業省の資料を基に筆者が作成) 1998 の電力技術とICTを駆使して、効率よく電気を供給する ジー・ロードマップ』の ICT(情報通信技術) 教育、メディアなど10分野の産業の未来像 共通 ID プライバシー リアルタイムデータ 公共データ その他の各種データ (センサなどによ (国、地方自治 (民間等保有) る) 体保有) 国名 中国 ことが目的の一つである。そのために、 「 スマートメー ICTの進化とポストスマホ 車、農業、医療、社会インフラ、小売、製造、 クラウド ワイヤレス・ネットワーク データ センサ 図2 国別の商業打ち上げ受注数 環境未来都市を比較したものである。所管省庁の違いに 『テクノロジー・ロードマップ2015-2024ICT融合新産業編』 のサマリー に焦点を当てた派生版です。ただし、ICT自 上体ヒューマノイド型 産業用ロボット よって、名称、注力技術、構想の組み立て方は異なって が主体ではあるが、医療や介護、教育、セキュリティ (防 3. ビークル・クラウド 介護用移乗支援ロボット 無人化施工 (遠隔操縦) ロボット 人の位置姿勢の検出、 屋外/屋内での 自己位置の認識、 安価な力センサ、 画像圧縮伝送、 従来型センサの小型・省電力化 スマートシティが目指す方向性と一致している。 やガスなどのエネルギー、交通システム、水処理施設など 2. コネクテッド・カー (商用) 11 公道走行 ソフト面(医療・介護サービス、セキュリティなど)とも 『テクノロジー・ロードマップ2015-2024ICT融合新産業編』 の考え方と活用法 本レポートは、好評を博している『テクノロ 個別重要技術 ビッグデータの連携・処理・管理 ネットワーク ブロードバンド・ネットワーク まず、エネルギー関連で中心となる技術・システムは 以下の通りである。 さらに将来、日本が急速な高齢社会を迎えるに当たっ て、国が街づくりの一つの処方箋として描いている「コ ンパクトシティ」も、ハード面(インフラ、集合住宅など) 、 いう大きな課題を背景に、都市全体でICTやエネルギー・ 1.コネクテッド・カー (個人) 移動支援ロボット 点検メンテナンス・ロボット 過酷環境対応 エマージング 必須である。各技術が最適合化されて、人々の社会活動 や生活環境を支えるシステムやサービスが実現する。 (日本航空宇宙工業会調べ) 。残りは米国・ロシア合弁の 航空宇宙・海洋開発 業省) 、エネルギー全般のスマート化を目指す 「スマート 信号処理 ・磁気ヘッド・光ヘッド技術 素材 (物性) 技術 見守りコミュニケーション・ ロボット 3ピン産業用ロボット 予定製品 「GSLV MARK3」 (インド) □ 市場トレンド 災害対応(防災、減災) プラット フォーム スマートシティの実現には、エネルギー、交通システ ブリッド車の導入を目指す「EV・PHVタウン」 (経済産 コミュニティ」 (経済産業省) 、ICTの活用を目指す「ICT 性化を主眼とする「環境未来都市」 (内閣府) 、農林漁業地 パーソナル・モビリティ 「アリアン6」 (欧州) 「長征5、6、7」 (中国) 10-3. ロケット 各階層における構成要素 アプリ 総合的なサービス ケーション (医療・福祉、環境・エネルギー、交通、観光、行政など) 大容量不揮発性RAM セキュリティ 中で目指す都市としては、電気自動車やプラグインハイ 果的であるという認識が高まっていた。そこに2011年3 こととなった。スマート化の対象となるインフラは、電力 86 近接場記録 トレンドで推移すると、2020年には1兆5000億円程度の システムの 階層 技術レベル テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 多値記録 アシスト技術の進化 なければ効果は薄い。効果を実証するために民間を巻き ギー問題に移り、その解決策としてICT利用が極めて効 ローズアップされることになった。 第1章 ICTと自動車 屋外自律移動 「ファルコン・ヘビー」 (SpaceX) 5TB/枚の 光ディスク導入 図2 ICT活用の基本システムのイメージ 建築・土木 技術レベル 日本では、社会インフラ整備が量的にほぼ一巡したた 記録媒体 238 規模は2011年が2912億円、2012年が3399億円(前年比 2016年には7219億円に拡大すると予測している。その 多層記録 スマートシティとは、 「 情報通信技術(ICT) やエネル 率的に運営(スマート化)することにより、社会活動・生 活環境で快適に低炭素化を目指す都市」と定義できる。 記録再生 2023 4兆円 (製造業以外2.6兆円) モバイル、 無線ネットワーク アバター・ロボット リハビリ用装着型ロボット 16.7%増) 、2011〜2016年の年間平均成長率は19.9%で、 ギー・環境技術などを利活用し都市全体のインフラを効 ヘリウム封入 HDD 2020 2.9兆円 (製造業以外1.6兆円) 「アンガラ」 (ロシア) 1TB/枚の光ディスク導入 □ 商品トレンド め、人々の関心が生活の質の向上や地球環境・エネル 基盤技術 2018 遠隔医療 ホビー・ロボット 技術レベル 光ディスク 個別重要 技術 2017 省エネ 「SLS」 (米国) 予定製品 熱アシスト・瓦記録の進化 (HDD) 300GB/枚の 光ディスク導入 8-3. スマートシティ 2016 持続可能な成長 スマートフォン連携 「デルタ4」、 「アトラスV」 (米国) □ 市場トレンド 労働集約型産業の 省人化、 負担軽減 1.6兆円 (製造業以外0.5兆円) 期待機能 次世代ロケット 「H-X (H-III) 」 「イプシロン (E-0) 」 2015 労働人口の減少 マスから個へ 社会インフラ維持 高度医療 商品レベル 商品レベル 商品レベル 記憶劣化の ないSSD ヘリウム封入の導入 (HDD) 熱アシスト・瓦記録の導入 (HDD) 2014 安全・安心 0.8兆円 (製造業以外0.1兆円) 市場規模 使い捨て型を保ちつつ低コスト化を 徹底した新世代ロケット 「H-IIA/H-IIB」 光ディスクの大容量化 ∼2013 高齢者人口の急増 市場ニーズ 10 エマージング 8億台 (HDD・世界) HDD運用コストの 大幅低下 期待機能 「アリアン5」 (欧州) テクノロジー・ロードマップ 2015-2024 ICT 融合新産業編 時期(年) 全体潮流 輸送系低コスト化による新需要創出 民間による宇宙観光旅行打ち上げ 機体の一部/全部を再利用する打ち上げ機 5.6億台 (HDD・世界) 市場規模 予定製品 自動車、農業、医療、社会インフラ、 小売、製造、教育… ICTと融合することで 新たな価値を生む産業の未来像は? 2023 再利用型宇宙輸送システムの 運用開始、一層の運用コスト低減 再利用輸送系開発の本格化 静止軌道/極軌道への 衛星打ち上げ 航空宇宙・海洋開発 個人レベルでの クラウド利用普及 2014 民間開発による低コスト化 市場ニーズ 市場レベル 情報通信 市場レベル 市場ニーズ 市場レベル 5 光ディスクの 新たなマネジメント 方式 コールド・ストレージへの 対応 ∼2013 全体潮流 クラウド化の 爆発的普及 大容量化 目次 ロボット ■ ロボット ■ ロケット 時期(年) 全体潮流 177 新サービス 日経 BP 未来研究所のレポートラインナップ(既刊) 日経BP未来研究所 『Mirai engine (Ver.1.0)』オンライン検索サービス をご利用いただけます。 [メガトレンドシリーズ] 『 Mirai engine 』 とは? 関心をお持ちのキーワードについて、どのレポートのどこに関連情報が 記載されているかを検索表示させることができます。また、日経 BP社が インフラ産業 2014-2023 半導体 2014-2023 監修・著者 (代表) :時吉康範 レポート (A4変型判、 上製本、 319ページ) CD-ROM (本体に掲載された図表データを収録) 本体価格:300,000円+税 発行日:2013年12月27日 執筆・監修:津田 建二 編集:日経BP半導体リサーチ レポート (A4変型判、 上製本、 294ページ) CD-ROM (本体に掲載された図表データを収録) 本体価格:300,000円+税 発行日:2013年12月17日 発行する雑誌の記事や Webコンテンツからも見出し情報をピックアップ することができます。本サービスは Ver.1.0となりますが、今後はキーワー ド・ヒット数推移分析など機能を拡張していく予定です。 [消費トレンドシリーズ] 2014年内の検索対象レポートは以下になります。 ※新刊レポートは発行の約1カ月後に検索対象となります。 メガトレンド 2014-2023 アジアの未来 2014-2025 ASEAN編 テクノロジー・ロードマップ 2014-2023 アジアの未来 2014-2025 インド編 半導体 2014-2023 消費トレンド 2014-2018 インフラ産業 2014-2023 若者研究 2014-2018 『 Mirai engine 』のご利用に関しましては、 レポートお届け時に書面でご案内いたします。 経営・事業戦略立案のための 未来予測プログラム 5∼10年先の社会像を予見することで、将来起こりうる チャンスやリスクを見定め、中長期的な戦略を立案する 企業や組織の課題解決を支援するサービスです。未来を 起点にした「バックキャスト」 の考え方で戦略立案、事 業企画、新商品・新サービスの企画開発など企業が中 長期的視点で取り組んでいるプロジェクトを日経 BP未来 研究所の知見やメディアカンパニーとしての人脈・ネット オープン・プラットフォームの中核として 社内外の知見やノウハウを最適化して提供 クリーンテック研究所 雑誌 ヒット総合研究所 Webサイト イノベーションICT研究所 情報収集力 ビジョナリー経営研究所 編集ノウハウ 人脈・ネットワーク インフラ総合研究所 日経BP社の 各メディア 日経BPコンサルティング 日経BPグループ シンクタンク 日経グループ各社 提供するサービス 新商品・サービス企画立案支援 全社中期経営計画立案支援 新規事業領域探索支援 事業部門:中期事業計画立案支援 グローバル・メガトレンド探索支援 技術ロードマップ作成支援 特定市場動向調査 中長期市場予測 成長産業/業種探索支援 新規事業企画支援 若者研究 2014-2018 著者:太田 恵理子 レポート (A4変型判、 バインダー形式、 242ページ) CD-ROM (本体に掲載された 図表データを収録) 本体価格:100,000円+税 発行日:2013年12月27日 著者:原田 曜平 レポート (A4変型判、 バインダー形式、 213ページ) CD-ROM (本体に掲載された 図表データを収録) 本体価格:100,000円+税 発行日:2013年12月27日 [アジアの未来シリーズ] ワークをフルに活かしサポートします。 未来洞察 消費トレンド 2014-2018 日経BP未来研究所 調査会社 リサーチ会社 有識者 スペシャリスト コンサルティング会社 シンクタンク アジアの未来 2014-2025 ASEAN編 アジアの未来 2014-2025 インド編 著者:山田聡 (代表) レポート (A4変型判、 バインダー形式、 405ページ) CD-ROM (本体に掲載された図表データと 未来年表を収録) アジアの未来年表 (ASEAN編、 インド編、 共通となっています) 本体価格:200,000円+税 発行日:2013年12月27日 著者:中道健太郎 (代表) レポート (A4変型判、 バインダー形式、168ページ) CD-ROM (本体に掲載された図表データと 未来年表を収録) アジアの未来年表 (ASEAN編、 インド編、 共通となっています) 本体価格:200,000円+税 発行日:2013年12月27日 [未来予測レポートシリーズ] 未来予測レポート2013-2025 医療・健康編 未来予測レポート2013-2025 食料・農業編 著者:田中 栄 レポート (A4変型判、 バインダー形式、 301ページ) CD-ROM (本体に掲載された図表データと 未来年表を収録) 未来年表 (医療・健康編、 食料・農業編、 共通となっています) 本体価格:200,000+税 発行日:2013年7月31日 著者:田中 栄 レポート (A4変型判、 バインダー形式、 298ページ) CD-ROM (本体に掲載された図表データと 未来年表を収録) 未来年表 (医療・健康編、 食料・農業編、 共通となっています) 本体価格:200,000+税 発行日:2013年7月31日