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678 クエン酸銀とレシチンを配合した新しい抗菌性コーティングカテーテル 素材のバイオフィルム形成阻止効果に関する検討 ―Robbins device を用いた解析― 岡山大学泌尿器科(*現・川崎医科大学附属川崎病院泌尿器科) 橋本 英昭* (平成 13 年 4 月 16 日受付) (平成 13 年 5 月 9 日受理) Key words: urethral catheter, silver citrate, lecithin, anti-biofilm effect 要 旨 クエン酸銀,レシチン,液状シリコンを 2:2:8 で配合した新しい抗菌性コーティングカテーテル素 材の抗バイオフィルム効果を modified Robbins device を使用する in vitro 実験系で検討した.Pseudomonas aeruginosa 2 株,Escherichia coli 1 株を用いて,細菌付着抑制効果,付着菌に対する増殖抑制効果お よびその持続性を観察した.P. aeruginosa1 株と E. coli では,強い細菌付着抑制効果を認めた.バイオフィ ルム形成能の極めて強い P. aeruginosa 14―210 株は,シリコンでは mature なバイオフィルムを形成した のに対して,本抗菌性カテーテル素材では散在性に付着するのみであった.また,表面に一旦付着した P. aeruginosa 14―210 株は,本抗菌性カテーテル素材より溶出する銀イオンにより,その増殖が抑制され た.さらにこれらの抗バイオフィルム効果は少なくとも 48 時間の人工尿処理後にも減弱を認めなかっ た. 〔感染症誌 序 文 尿道カテーテル留置は,医療現場で日常的に行 75:678∼685,2001〕 Fig. 1 Experimental system using a modified Robbins device われている治療手段の一つである.通常,留置期 間が 1 カ月を越える場合を長期留置というが,こ の場合にはカテーテル表面に細菌バイオフィルム が形成され,慢性持続感染症の発症が避けられな い.長期留置例における合併症としてのカテーテ ルの閉塞,結石形成,有熱性感染症(前立腺炎, 精巣上体炎,腎盂腎炎,敗血症)などはすべてこ の細菌バイオフィルムに起 因 す る と 考 え ら れ る1). 別刷請求先:(〒700―8505)岡山市中山下 2―1―80 川崎医科大学附属川崎病院泌尿器科 橋本 英昭 感染症学雑誌 第75巻 第8号 新しい抗菌性カテーテル素材のバイオフィルム形成阻止効果 679 Fig. 2 SEM of uncoated silicon(A, B)and silver lecithin coated-silicon(C, D)after contact with P. aeruginosa 14―210 A, C:8hrs contact. B, D:24hrs contact A C われわれは,先にクエン酸銀とレシチンを液状 シリコンに配合し,シリコンシートに塗布した新 B D を,modified Robbins device を 用 い た in vitro 実 験モデルで検討したので報告する. 材料と方法 しい抗菌性素材が抗菌力および持続性にすぐれて 2) いることを報告した .次いでこの抗菌性素材を 1.使用菌株 内腔面および外表面に使用した抗菌カテーテルの 岡山大学泌尿器科で尿路感染症患者の尿から分 抗菌力および持続性を,管内性,管外性実験モデ 離した Pseudomonas aeruginosa OP 14―210 株,OP ルを考案し市販の抗菌カテーテルよりも明らかに 14―291 株 お よ び Escherichia coli K108AC 株 を 使 優れていることを報告した3).今回は,この新しい 用した. 抗菌性素材の細菌バイオフィルムに対する効果 平成13年 8 月20日 2.材料 680 橋本 英昭 Fig. 3 SEM of uncoated silicon(A)and silver lecithin coated-silicon(B)24hrs after contact with P. aeruginosa 14―291 A B 通常のシリコン(N S) とクエン酸銀,レシチン, 液状シリコンを 2:2:8 で配合し,シリコンシー トの表面にコーティングした抗菌性シリコン(SL に交換し,24 時間灌流後に表面を走査型電子顕微 鏡で観察した.試験菌は P. aeruginosa OP 14―210 株を使用した.なお,P. aeruginosa OP 14―210 株に 対する LVFX の 1MIC は 3.125µg ml を示した. S)を使用した. 5.付着菌に対する増殖抑制効果の持続性 3.細菌付着抑制効果の検討 細菌バイオフィルムの作成には,当教室におい N S 及び SL S を modified Robbins device に て以前より使用している人工尿路モデル4)∼6)を用 装着し,人工尿で 48 時間前処理した後,4.と同様 いた(Fig. 1) .バイオフィルムサンプラーである に試験菌を 3 時間灌流後,LVFX 3MIC 含有人工 modified Robbins device の 10 個の sampling port 尿に交換し,24 時間後に観察した.試験菌は P. に,直径 10mm の円形に切り抜いた SL S あるい aeruginosa OP 14―210 株を使用した. は N S のディスクを装着した.試験菌を 2 代継代 6.走査型電子顕微鏡用試料の作成 7) 6 培養し,人工尿 に終濃度が 10 cfu ml となるよう 試料を 2.5% グルタールアルデヒドーリン酸緩 modified Robbins device 内 を 37℃ に て 40ml hr 衝 溶 液(phosphate-buffer saline;PBS) (PH 7.4) , の流速で灌流し,装着した SL S および N S ディ スク表面を走査型電子顕微鏡で観察した. タンニン酸および 1% 四酸化オスミウムー PBS (PH 7.4) にて固定,エタノール系列で脱水した後, P. aeruginosa OP 14―210 株 で は,灌 流 開 始 後 臨界点乾燥,白金―パラジウム蒸着を行った.S- 8,24 時間,P. aeruginosa OP 14―291 株では灌流開 570 型 走 査 電 子 顕 微 鏡(Hitachi Ltd. Tokyo, Ja- 始後 24 時間,E. coli K108AC 株では灌流開始後 pan)を用いて,加速電圧 15kV で観察した. 72 時間で観察した. 成 績 4.付着菌に対する増殖抑制効果の検討 1.細菌付着抑制効果 N S 及び SL S を modified Robbins device に 1)P. aeruginosa OP 14―210 株 装着し,試験菌を 3 時間灌流した後, N S では 8 時間の灌流で,菌は全面に付着・増 1)LVFX 1MIC 含有人工尿 殖し強固なバイオフィルムを形成していた(Fig. 2)LVFX 3MIC 含有人工尿 2A) .さらに,24 時間の灌流ではバイオフィルム 感染症学雑誌 第75巻 第8号 新しい抗菌性カテーテル素材のバイオフィルム形成阻止効果 681 Fig. 4 SEM of uncoated silicon(A)and silver lecithin coated-silicon(B)24hrs after contact with E. coli K108AC A B は重層化し,より強固になっていた(Fig. 2B) .こ 方,SL S では,3 時間の灌流ではごく一部に菌の れに対して, SL S では 8 時間の灌流では菌は一部 付着を認めるのみであった(Fig. 5D) .LVFX 1 集塊状に付着を認めるものの,細菌付着のない面 MIC 含有人工尿に交換して 24 時間灌流後には, の方がはるかに優位であった(Fig. 2C) .また,24 菌の付着は散在性ではあるが明らかに増加してい 時間の灌流でも菌の付着は部分的であった(Fig. たが,付着菌の溶菌に伴うと思われる多数の cell 2D) . debris と,微小顆粒物質を認めた(Fig. 5E) .一方, 2)P. aeruginosa OP 14―291 株 LVFX 3MIC 含有人工尿の 24 時間灌流後には付 N S では 24 時間の灌流で全面に菌の付着が認 着菌の増殖は完全に抑制されていた(Fig. 5F) . められ,一部重層化している(Fig. 3A)のに対し 3.付着菌に対する増殖抑制効果の持続性 て,SL S では細菌の付着は全く認められなかっ 48 時間の人工尿での前処理を行った場合,P. た(Fig. 3B) . 3)E. coli K108AC 株 aeruginosa OP 14―210 株 の 3 時 間 灌 流 後 の SL S ディスク表面への菌の付着 は ご く 少 数 で あ り N S では全面一様に菌の付着を認めた(Fig. 4 (Fig. 6A) ,未処理の場合とほぼ同様の成績であっ A) .これに対して SL S ではごく一部に菌の付着 た.また,LVFX 3MIC 含有人工尿に交換後,24 を極めて散在性に認めるのみであった(Fig. 4B) . 時間では伸長化し菲薄化した細菌の付着を散在性 2.付着菌に対する増殖抑制効果 に認めるものの(Fig. 6B) ,対照の N S(Fig. 5C N S で は P. aeruginosa 14―210 株 の 3 時 間 灌 流 参照)とは全く異なる様相を呈していた. 後にディスク表面に散在性,一部集塊状に付着し 考 察 た菌が認められた(Fig. 5A) . これらの付着菌は, 一般に,尿路へのカテーテル留置は,院内感染 LVFX 1MIC 含有人工尿で 24 時間灌流する間に, 症の主因であり,院内でみられる致死的なグラム 菌体は伸長化しながらシリコンディスク表面で増 陰性菌敗血症の最大の誘因と考えられている.閉 殖し, バイオフィルムを形成していた(Fig. 5B) . 鎖式導尿回路をいかに無菌的に管理しても,尿路 また,LVFX 3MIC 含有人工尿においても同様に への細菌の定着は 10 日から 2 週間以内に半数の バイオフィルムの形成が認められた(Fig. 5C) .一 患者に生じる8).また,ひとたび生じた尿路への細 平成13年 8 月20日 682 橋本 英昭 Fig. 5 SEM of uncoated silicon(A, B, C)and silver lecithin coated-silicon(D, E, F)3 hrs after contact with P. aeruginosa 14―210(A, D)and subsequently 24hrs after contact with artificial urine containing LVFX 1MIC(B, E)or LVFX 3MIC(C, F). A B C D E F 菌の定着は,カテーテルを抜去しないかぎり困難 る要因として,尿路に侵入してきた細菌が,留置 であり,留置期間の延長に伴い尿路感染症はほぼ カテーテル表面に付着・定着し,バイオフィルム 全例に発症する.しかも,カテーテル留置患者か を形成することが挙げられる.そこで, バイオフィ らの分離菌は,P. aeruginosa を中心とする弱毒グ ルム対策を施した種々の新しい抗菌性素材,抗菌 ラム陰性桿菌が多数を占める.複数菌感染症の占 性カテーテルが研究・開発され,なかでも,銀イ める割合も,カテーテル非留置例での複雑性尿路 オンはバイオフィルム形成菌に対して他の抗菌剤 感染症の 10∼15% に対して 20∼30% と有意に高 よりも極めて低濃度で有効であり6),銀イオンの 9) 率となり ,個々の患者の管理だけではなく院内 抗菌作用を応用した抗菌性カテーテルが最も種類 感染対策上の主要課題となる.この難治化の主た が多く開発・市販されている. 感染症学雑誌 第75巻 第8号 新しい抗菌性カテーテル素材のバイオフィルム形成阻止効果 683 Fig. 6 SEM of uncoated silicon(A)and silver lecithin coated-silicon(B)48hrs after prewashing, 3hrs after contact with P. aeruginosa 14―210 and subsequently 24hrs after contact with artificial urine containing LVFX 3MIC. B A 我々も,クエン酸銀,レシチン,液状シリコン テーテル表面への付着を抑制することによりバイ を 2:2:8 で配合し,シリコンシートに塗布した オフィルムの形成が抑制されると考えられる.今 新しい抗菌性素材(SL S) を開発し, クエン酸銀, 回は,この新しい SL S の抗バイオフィルム効果 レシチンの選択に至る過程とその抗菌効果,なら を modified Robbins device を使用する in vitro 実 びに内外面に SL S を使用した試作カテーテルの 験系で検討することを目的とした.本実験系にお 抗菌効果を管内性,管外性モデル実験を行い報告 いても,SL S は,細菌付着抑制効果および付着菌 2) 3) した .SL S のバイオフィルム形成阻止効果と の増殖に対する抑制効果を示すことが確認され しての抗菌効果と細菌付着抑制効果のメカニズム た. については, 以前にも報告したが2)3),SL S より溶 本実験系では 108cfu ml を超える菌量が灌流さ 出する銀イオンが最も主要な役割を担っている. れ,実際の臨床での感染防止を考える条件に比べ 銀イオンの抗菌作用そのものは紀元前より知られ て格段に菌量が多いこと,また今回,主に使用し ており,グラム陽性菌,グラム陰性菌,好気性菌, た P. aeruginosa OP 14―210 株は,他菌株に比較し, 嫌気性菌と幅広いスペクトラムを有する作用が認 極めてバイオフィルム形成能の高い菌株であるこ められ,その殺菌作用機構として 1)電子伝達系 と4)から,細菌付着抑制効果の評価は 24 時間の時 阻害,2)細胞膜損傷,3)DNA との結合,の 3 つ 点で実施した.文献的にも modified Robbins de- が報告され,このうち 2) の機構が有力であるとい vice を使用する実験系では,同様に比較的短時間 われている10).もう 1 つは,SL S に配合されてい で評価している.McLean らは,modified Robbins る界面活性剤であるレシチンによる細菌付着抑制 device を使用する実験系で,銀・銅コーティング 効果があげられる.界面活性剤は菌表面の細胞壁 カテーテル素材への P. aeruginosa の付着は,14 に吸着され,菌の働きを妨害することにより細菌 時間では,対照のカテーテル素材に比べ,有意に 11) 付着を抑制するとされている .バイオフィルム 少なかったと報告してい る12).ま た,Liedberg はカテーテル表面に細菌が付着,定着後,菌体外 らも modified Robbins device を使用する実験系 多糖が産生され形成されていくため,細菌のカ で,ラテックスと金属銀コーティング素材の P. 平成13年 8 月20日 684 橋本 英昭 aeruginosa によるバイオフィルム形成過程を比較 最終的には,これらの付着抑制ならびに増殖抑 観察し,10 時間では,金属銀コーティング素材で 制効果の持続期間が最も問題となる.本モデルで 細菌付着抑制が認められたと効果を報告してい の実験条件は通常の臨床レベルに比べて極めて厳 13) しい条件であると考えられるが,結果として,人 さらに,今回はバイオフィルム形成能の極めて 工尿の 48 時間での前処理後にも SL S の細菌付 高い P. aeruginosa OP 14―210 株を用いて,3 時間 着抑制効果は変わらず(Fig. 6A) ,しかも付着菌の 灌流後の付着菌の,その後の増殖を観察すること 増殖に対する抑制効果も持続していた(Fig. 6B) . とした.この場合,P. aeruginosa を含まない新しい このことは,SL S を内腔面および外表面に使用 人工尿に交換するだけで,3 時間の灌流で付着し した試作カテーテル片の抗菌力試験において3),7 た菌のみの増殖様式が観察できると理想的であ 日間の人工尿処理後にも E. coli に対する抗菌効 る.しかし,実際にはシステム内に残存する細菌 果が持続していたこと,さらに,この試作カテー により交換した人工尿中で時間の経過とともに テルの溶出銀濃度の測定では,7 日後にも約 200 P. aeruginosa が増殖し,結果としては先の実験と ppb の銀濃度が認められたことから考えると,少 同様に高い菌量の浮遊液を再灌流することにな なくとも 7 日間程度の効果は期待されると思われ る.そこで,新たに交換する灌流液に 1MIC ない る.今後は,この抗菌効果ならびにバイオフィル し 3MIC の LVFX を添加した.LVFX 1MIC を添 ム形成阻止効果の持続力を実際のヒトでの臨床で 加した系では,modified Robbins device を含む全 確認する必要があると考えられる. る . 体のシステム内で菌の増殖が完全に抑制できない 稿を終えるにあたり,御指導,御校閲を頂いた恩師公文 ため,灌流時間の経過とともに,新たな付着菌が 裕巳教授, 研究遂行にあたり御協力頂いた大野勝雄技官, 増加していた(Fig. 5E).しかし,SL S 素材から 光畑律子技術補佐員に深謝いたします. 溶出する銀イオンの効果により付着菌の多くは溶 菌することが確認された.一方,LVFX 3MIC は modified Robbins device を含む全体の シ ス テ ム 内での浮遊菌の増殖を抑制するのには充分な濃度 であるが,付着菌には必ずしも殺菌的に作用せず, 時間の経過とともに明らかなバイオフィルム形成 を認めた14).ただし,バイオフィルム形成のある 程度の抑制を認め,1MIC の場合(Fig. 5B)と異な り,伸長化した菌の溶菌像と溶菌に伴う顆粒状物 質の付着を認めた(Fig. 5C) .この 3MIC の LVFX 添加の系では,SL S 上での菌の付着は 24 時間後 に認められないことから,3 時間で付着した菌の 増殖は完全に抑制できるものと考えられた. 今回は P. aeruginosa 及 び E. coli に 対 し て 実 験 を行い,他の菌種に対しては検討を行っていない が,SL S を内腔面および外表面に使用した試作 カテーテルの管外性実験において3),S. aureus に 対して E. coli と同等以上の効果を認めたこと,ま た,グラム陽性菌は尿路への定着性が低いことか らも他の菌種に対しても問題はないと考えられ る. 文 献 1)公文裕巳:尿路におけるバイオフィルム感染症. 臨泌 1999;53:7―16. 2)橋本英昭,小野憲昭,門田晃一,公文裕巳,斯波 徹,安達俊明,他:抗菌性尿道留置カテーテルの 開発に関する基礎的研究(第 1 報)―抗菌性コー ティング素材の開発―.感染症誌 2000;74: 431―40. 3)橋本英昭,小野憲昭,門田晃一,公文裕巳,斯波 徹,安達俊明,他:抗菌性尿道留置カテーテルの 開発に関する基礎的研究(第 2 報)―新しい抗菌 性 カ テ ー テ ル 抗 菌 力 と 持 続 性―.感 染 症 誌 2000;74:441―9. 4)西谷嘉夫:In vitro 実験モデルによる複雑性尿路 感染症の解析.西日泌尿 1991;53:717―27. 5)小野憲昭:緑膿菌バイオフィルム解析法として の glycocalyx 簡易定量法と ATP 測定法.日泌尿 会誌 1995;86:1440―9. 6) Kumon H : Pathogenesis and management of bacterial biofilms in the urinary tract . 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Antimicrob Agent Chemother 1995;39:1038― 44. Evaluation of the Anti-biofilm Effect of a New Anti-bacterial Silver Citrate Lecithin Coating in an In-vitro Experimental System Using a Modified Robbins Device Hideaki HASHIMOTO Department of Urology, Okayama University School of Medicine The anti-biofilm effect of a newly developed antibacterial coating, a mixture of a silver citrate, soybean lecithin and liquid silicon at the ratio of 2:2:8, for silicon catheters was investigated in an in vitro experimental system using a modified Robbins device. The inhibitory effect against bacterial adherence, killing effect against adhered bacteria and durability of these anti-biofilm effects were examined using two strains of Pseudomonas aeruginosa and one of Escherichia coli . Almost complete inhibition of bacterial adherence was demonstrated in the case of one of two strains of P. aeruginosa and E. coli. The more resistant strain of P. aeruginosa OP 14―210 adhered at scattered sites of the silicon with antibacterial coating, while mature biofilm developed on the surface of the silicon without coating. Using already adhered P. aeruginosa OP 14―210, we confirmed the killing effect of silver ion released by this new coating. These anti-biofilm effects did not change after treatment with artificial urine for at least 48 hours. 平成13年 8 月20日