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緊急リポート:「米国大統領選挙の展望」

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緊急リポート:「米国大統領選挙の展望」
リサーチ TODAY
2016 年 10 月 25 日
緊急リポート:「米国大統領選挙の展望」
常務執行役員 チーフエコノミスト 高田 創
米大統領選は第3回のTV討論会も先週終わり、事実上、最終段階に差し掛かってきた。クリントン候補
が優勢で終盤戦を迎え、逃げ切り体制に入りつつある。トランプ候補の女性蔑視発言発覚等による共和党
支持者の離反が続けば、トランプ支持は底割れの不安もある。さすがにこの段階ではクリントン候補にほぼ
決まりといえようが、「嫌われ者」同士の選挙のため、どちらの候補が勝っても、幅広く国民の支持が得られ
ない「熱狂なき新大統領」になるリスクが強い。今や焦点は議会選挙に移り、接戦である上院に加えて、共
和党優位の下院でも多数党交代が意識されかねない展開にある。みずほ総合研究所は、「米国大統領選
挙の展望」と題する緊急リポートを発表している1。下記の図表は、緊急リポートで示した各政権の特徴であ
る。大統領政権の勝者による最大の違いは予測可能性の有無にある。クリントン政権の場合、新味はない
が、政策の方向性は概ね予測可能である。基本路線はオバマ路線の継続であり、保護主義等で左傾化の
リスクはあるも、堅実な政権運営が想定される。
■図表:各政権の特徴
<大統領>
<方向性>
<特徴>
オバマ路線の継続(+やや左傾化)
緩やかな財政赤字拡大
予測可能性大
ヒラリー・クリントン
=
富裕層に限定された増税
(Known Known:分かり切っ
た展開)
=
規制強化
移民受け入れ推進
不透明(一貫性・能力への疑念等)
極端な財政赤字拡大?
不透明性大
ドナルド・トランプ
=
大型減税?
(Known Unknown:分からな
いことだけが分かっている)
=
規制緩和?
移民排斥?
(資料)みずほ総合研究所作成
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リサーチTODAY
2016 年 10 月 25 日
下記の図表は今回の緊急リポートで当社が掲げるメッセージである。クリントン候補勝利の場合、年末に
向けた利上げの制約は少なく、短期的には日本にとって円安・株高の影響が生じうる。ただし、いずれの候
補も保護主義的なスタンスが強く、ドル高進行も限定的だろう。
■図表:緊急リポートの5つのメッセージ
・米国の大統領選はクリントン氏優勢で終盤戦。焦点は議会選挙へ。
・両候補に共通する保護主義的な政策、トランプ氏の「米国第一主義」など、米国は閉鎖的な
政策に進む瀬戸際。TPP実現には時間が必要に。
・トランプ氏勝利の場合、不透明感が著しく高まり、利上げの障害に
・クリントン氏勝利の場合、安心感から短期的には円安・株高もあり得るが、保護主義的な
姿勢から、ドル高進行は限定的。
・新政権の政権運営は議会との関係次第。来年秋にも必要となる債務上限の引き上げに
手間取れば、市場が混乱するリスクも。
(資料)みずほ総合研究所作成
下記の図表は新政権が迎えるスケジュールである。選挙が終われば、すぐに来年に向けての政治日程
に注目が集まる。新政権にとっては、公約の実現はともかく、円滑な財政運営を行うことが、最低限達成し
なくてはいけない課題である。最初の試練は、2017年の夏から秋にある。2018年度予算・債務上限の引き
上げが問題となるだけに、議会との対立等で米国債のデフォルト懸念が強まれば、リスク回避の動きが強ま
り市場が混乱する不安に留意が必要だ。いずれにしても、米大統領選の行方は2020年程度までを展望し
た世界の大きな潮流を定める分岐点になるため、当社として今後もその行方をフォローする所存である。
■図表:新政権のスケジュール
【第一フェーズ】
助走
11月 8日 選挙投開票
【第二フェーズ】
離陸
3月
レイムダックセッション
(暫定予算期限切れ?)
4月
人事選考
1月 3日 新議会開始
7月
16日 債務上限適用再開
(予算、TPP?)
12月 9日 暫定予算期限切れ
【第三フェーズ】
試練
8月
15日 為替報告書
5月
「最初の100日」
9月
債務上限引き上げ期限?
20日 就任式
2月
議会演説?
30日 2018年度予算期限
6月
10月
人事議会承認
15日 為替報告書
予算教書?
(注)流動的な日程も含む
(資料)CQ資料等よりみずほ総合研究所作成
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「米国大統領選挙の展望」 (みずほ総合研究所 『緊急リポート』 2016 年 10 月 24 日)
当レポートは情報提供のみを目的として作成されたものであり、商品の勧誘を目的としたものではありません。本資料は、当社が信頼できると判断した各種データに基づき
作成されておりますが、その正確性、確実性を保証するものではありません。また、本資料に記載された内容は予告なしに変更されることもあります。
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