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特 許 公 報 特許第5745303号

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特 許 公 報 特許第5745303号
〔実 6 頁〕
特 許 公 報(B2)
(19)日本国特許庁(JP)
(12)
(11)特許番号
特許第5745303号
(45)発行日
(P5745303)
(24)登録日 平成27年5月15日(2015.5.15)
平成27年7月8日(2015.7.8)
(51)Int.Cl.
FI
A01N 47/44
(2006.01)
A01N
47/44
A01N 25/08
(2006.01)
A01N
25/08
A01P
3/00
(2006.01)
A01P
3/00
C02F
1/50
(2006.01)
C02F
1/50
510A
C02F
1/50
532D
請求項の数4
(全12頁) 最終頁に続く
(21)出願番号
特願2011-72776(P2011-72776)
(22)出願日
平成23年3月29日(2011.3.29)
株式会社シナネンゼオミック
(65)公開番号
特開2012-206967(P2012-206967A)
愛知県名古屋市港区中川本町1丁目1番地
(43)公開日
平成24年10月25日(2012.10.25)
審査請求日
(73)特許権者 391031764
(74)代理人 110000109
平成26年1月17日(2014.1.17)
特許業務法人特許事務所サイクス
(72)発明者 谷口
明男
愛知県名古屋市港区中川本町1丁目1番地
株式会社シナネンゼオミック内
(72)発明者 林
直樹
愛知県名古屋市港区中川本町1丁目1番地
株式会社シナネンゼオミック内
(72)発明者 木▲ざき▼
樹里
愛知県名古屋市港区中川本町1丁目1番地
株式会社シナネンゼオミック内
最終頁に続く
(54)【発明の名称】抗微生物用水処理剤および水処理方法
1
2
(57)【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【請求項1】
【技術分野】
ポリヘキサメチレンビグアナイドと、縮合リン酸、タン
【0001】
グステン酸、四ホウ酸およびメタケイ酸ならびにそれら
本発明は、抗微生物用水処理剤およびこれを用いる水処
の塩からなる群から選ばれる少なくとも一種、との反応
理方法に関するものであり、詳しくは、水中で安定した
生成物からなることを特徴とする抗微生物用水処理剤。
溶解性(有効成分の徐放性)を示し、細菌、黴、藻等の
【請求項2】
各種微生物の生育を長期間抑制し得る抗微生物用水処理
前記反応生成物が、多孔質粒子に吸着されてなる請求項
剤およびこれを用いる水処理方法に関するものである。
1に記載の抗微生物用水処理剤。
【背景技術】
【請求項3】
10
【0002】
25℃の水に0.1質量%の濃度で添加した場合に添加
空調機器、冷却塔、プール、噴水、公衆浴場等、水が存
1日後の水中の前記ポリヘキサメチレンビグアナイド濃
在する環境においては細菌や藻などの有害微生物が繁殖
度が1∼200ppmの範囲となる徐放性を有する請求
することが、悪臭の発生や、装置腐食、冷却効率の低下
項1または2に記載の抗微生物用水処理剤。
など、種々の障害の原因となっている。このような水中
【請求項4】
における有害微生物の増殖を防止するために、薬剤を被
請求項1∼3のいずれか1項に記載の抗微生物用水処理
処理水中に直接注入する方法が従来から一般的に行われ
剤を被処理水と接触させることにより、被処理水におけ
ている。そのような水処理方法に使用する薬剤について
る微生物の生育を抑制することを特徴とする水処理方法
、例えば特許文献1、2には、グアニジン基(−NH−(
。
C=NH)−NH−)を有する化合物(以下、「グアニジン系
( 2 )
JP
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B2
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3
4
化合物」と記載する。)の塩酸塩、硫酸塩等を、水処理
、タングステン酸、四ホウ酸、メタケイ酸およびそれら
剤として利用することが提案されている。
の塩、ならびに炭酸水素塩からなる群から選ばれる少な
【0003】
くとも一種、との反応生成物からなることを特徴とする
しかしながら、従来提案されていたグアニジン系化合物
抗微生物用水処理剤。
の各種塩は高い水溶性を有するため、水中における薬剤
[2]前記反応生成物が、多孔質粒子に吸着されてなる
濃度を長期に亘り一定範囲内に維持するためには、薬剤
[1]に記載の抗微生物用水処理剤。
を連続的または間欠的に被処理水中に注入する必要があ
[3]25℃の水に0.1質量%の濃度で添加した場合
り、注入装置の設置および維持管理が不可欠であるとい
に添加1日後の水中の前記ポリヘキサメチレンビグアナ
う難点があった。また、必要以上に薬剤を投入した場合
イド濃度が1∼200ppmの範囲となる徐放性を有す
、溶液の発泡や、配管や設備に使用される銅部材を腐食 10
る[1]または[2]のいずれかに記載の抗微生物用水
させるという問題も抱えていた。
処理剤。
【0004】
[4][1]∼[3]のいずれかに記載の水処理剤を被
一方、繊維やプラスチックに対してグアニジン系化合物
処理水と接触させることにより、被処理水における微生
をそのまま使用することや(特許文献3参照)、水溶性
物の生育を抑制することを特徴とする水処理方法。
のグアニジン系化合物の溶解性を低下させる目的で、い
【発明の効果】
くつかのアニオン成分とコンプレックス化すること(特
【0009】
許文献4、5参照)も提案されている。しかし、これら
本発明の抗微生物用水処理剤は溶解安定性に優れ、被処
は繊維やプラスチック部材の表面における使用を目的と
理水中に長期間安定的にポリヘキサメチレンビグアナイ
しているために溶解性が極端に低く、水中で微生物を殺
ドを放出することができる。したがって、本発明の抗微
菌するために必要な濃度の溶解性を発揮することができ 20
生用水処理剤を被処理水中に浸漬または循環させるだけ
ず、水処理剤として利用することは困難である。
で、長期に亘り細菌や藻などの有害微生物の生育を抑制
【先行技術文献】
することが可能となる。本発明の抗微生物用水処理剤は
【特許文献】
、水処理のために特別な設備やランニングコストを必要
【0005】
としないため、幅広い分野の水処理に応用することがで
【特許文献1】米国特許第4014676号明細書
きる。
【特許文献2】特開2003−267807号公報
【発明を実施するための形態】
【特許文献3】特開平07−252378号公報
【0010】
【特許文献4】特開平09−195171号公報
本発明の抗微生物用水処理剤(以下、単に「水処理剤」
【特許文献5】特開平09−235478号公報
ともいう)は、ポリヘキサメチレンビグアナイドと、縮
【発明の概要】
30
合リン酸、タングステン酸、四ホウ酸、メタケイ酸およ
【発明が解決しようとする課題】
びそれらの塩、ならびに炭酸水素塩からなる群から選ば
【0006】
れる少なくとも一種、との反応生成物からなる。ポリヘ
そこで本発明の目的は、水中において細菌や藻などの有
キサメチレンビグアナイドは、高い抗微生物作用を有し
害微生物の生育を長期に亘り抑制することができる水処
微生物の生育を効果的に抑制する成分であることが知ら
理剤を提供することにある。
れているが、従来使用されていた形態(塩酸塩、硫酸塩
【課題を解決するための手段】
等)では水溶性が高いため、水中において長期に亘り、
【0007】
その作用を発揮することは困難であった。これに対し本
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重
発明は、本発明者らが、ポリヘキサメチレンビグアナイ
ねた結果、ポリヘキサメチレンビグアナイドと、縮合リ
ドを、縮合リン酸、タングステン酸、四ホウ酸、メタケ
ン酸、タングステン酸、四ホウ酸、メタケイ酸およびそ 40
イ酸およびそれらの塩、ならびに炭酸水素塩からなる群
れらの塩、ならびに炭酸水素塩からなる群から選ばれる
から選ばれる少なくとも一種と反応させて得られた反応
少なくとも一種との反応生成物が、グアニジン系化合物
生成物は水溶性が比較的低く、これにより水中にポリヘ
の中でも優れた抗微生物性を有することで知られるポリ
キサメチレンビグアナイドを徐々に放出することができ
ヘキサメチレンビグアナイドを被処理水中に継続的に放
る(良好な徐放性を有する)ことを見出し、完成された
出することができ、これにより様々な微生物に対して長
ものである。
期間高い抗微生物効果を発揮することができることを見
以下、本発明の水処理剤について、更に詳細に説明する
出し、本発明を完成するに至った。
。
【0008】
【0011】
即ち、上記目的は、下記手段によって達成された。
ポリヘキサメチレンビグアナイドとは下記一般式(I)
[1]ポリヘキサメチレンビグアナイドと、縮合リン酸 50
で表される繰り返し構造:
( 3 )
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5
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【化1】
上記反応におけるポリヘキサメチレンビグアナイド10
0質量部に対する前記した酸または塩の混合比について
は、良好な徐放性を有する水処理剤を得る観点からは、
10質量部以上とすることが好ましく、30質量部以上
とすることがより好ましい。ただしポリヘキサメチレン
[一般式(I)中、nは1以上の整数であり、*は他の
ビグアナイドと反応せず未反応物として反応系内に残留
部分との結合位置を示す。]
する酸ないし塩が多いことはコスト面から好ましくない
を有する化合物である。なお繰り返し構造の末端は特に
。この点から、前記の酸または塩の混合比は、ポリヘキ
限定されるものではなく、水素原子またはアルキル基等
サメチレンビグアナイド100質量部に対して1000
の任意の基であることができる。ポリヘキサメチレンビ 10
質量部以下とすることが好ましく、300質量部以下と
グアナイドとしては、ヘキサメチレンビグアナイドが平
することがより好ましい。
均12個重合した重合体(上記一般式(I)においてn
【0016】
=12)が抗微生物成分として広く用いられており、本
ポリヘキサメチレンビグアナイドと前記した酸および/
発明においても好ましく使用することができる。
または塩との反応生成物は粘着性を有する場合がある。
【0012】
そのような場合には、反応時に多孔質粒子を共存させて
本発明の水処理剤において、ポリヘキサメチレンビグア
反応生成物を該粒子に吸着させることが好ましい。これ
ナイドは、縮合リン酸、タングステン酸、四ホウ酸、メ
により、流動性のある粉末として、本発明の水処理剤を
タケイ酸およびそれらの塩、ならびに炭酸水素塩からな
得ることができる。多孔質粒子としては、活性炭、セル
る群から選ばれる少なくとも一種と反応生成物を形成し
ロース、非晶質シリカ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸カ
ている。上記縮合リン酸としては、ピロリン酸、トリポ 20
ルシウム、タルク、カオリン、酸化アルミニウム、ゼオ
リリン酸、テトラポリリン酸、ペンタポリリン酸、テト
ライト、酸化チタン、炭酸カルシウム、多孔質ガラス、
ラメタリン酸、ペンタメタリン酸、ヘキサメタリン酸、
層状ケイ酸塩、層状リン酸塩などが挙げられる。多孔質
ウルトラリン酸を挙げることができ、ポリヘキサメチレ
粒子の使用量は、適宜調整すればよく特に限定されるも
ンビグアナイドの徐放性の観点から好ましい縮合リン酸
のではない。
およびその塩としては、テトラポリリン酸、ペンタポリ
【0017】
リン酸、テトラメタリン酸、ペンタメタリン酸、ヘキサ
本発明の水処理剤を得るための原料成分は、いずれも市
メタリン酸およびその塩を挙げることができる。
販品として入手可能であるか、または公知の方法で容易
【0013】
に調製することができる。
前記した酸の塩および炭酸水素塩としては、ナトリウム
【0018】
、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、ア 30
本発明の水処理剤は、反応後に得られた状態のままで被
ルミニウムなどの金属塩、およびアンモニウム塩が挙げ
処理水中に浸漬、および循環させることができ、または
られる。
、有機系や無機系の結合剤により粒状、シート状、繊維
このうちナトリウム、カリウム、アンモニウム塩がポリ
、ハニカム状などに加工し被処理水中に設置・浸漬し使
ヘキサメチレンビグアナイドとの反応性の観点から特に
用することも可能である。更には塗料などのコーティン
好ましい。
グ剤に配合し、被処理水が接する配管やタンク等の内面
【0014】
をコーティング処理してもよい。
本発明の水処理剤は、ポリヘキサメチレンビグアナイド
【0019】
を、前記した酸および/または塩と水、アルコール等の
上記結合剤としては、良好な耐水性を有し、かつ親水性
溶媒中で混合することにより調製することができる。例
が大きい材料を使用することが好ましい。そのような結
えば、室温∼100℃の範囲内の液温の溶媒中で、ポリ 40
合剤の具体例としては、カゼイン、デンプン、セラック
ヘキサメチレンビグアナイドを、前記した酸および/ま
、アルギン酸、セルロース、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポ
たは塩と混合することで、反応を容易に進行させること
リビニルアルコール系樹脂、エチレン−ビニルアルコー
ができる。なお反応に使用するポリヘキサメチレンビグ
ル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ブチラール系樹脂、セル
アナイドは、塩酸塩等の塩を形成した状態のものでもよ
ロールアセテート系樹脂、ポリアクリル系樹脂、シリコ
い。反応時間は、反応が十分に進行する時間に設定すれ
ーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂などの有
ばよい。上記反応は、大気中常圧下で良好に進行させる
機系結合剤、およびケイ酸ソーダ、シリカゾル、アルミ
ことができる。反応後にろ過、水洗、乾燥等の後工程を
ナゾル、セメント、粘土などの無機結合剤が挙げられる
必要に応じて実施することで、反応溶液から反応生成物
。
を採取することができる。
【0020】
【0015】
50
粒状、シート状、繊維状、ハニカム状に加工する方法は
( 4 )
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7
8
公知の方法を利用することができる。例えばエマルジョ
いて細菌や藻などの有害微生物が繁殖し、悪臭の発生や
ン系の結合剤を使用する場合は、押出造粒法、転動造粒
、装置腐食、冷却効率の低下などの種々の障害が発生す
法、スプレードライ法などにより粒状体やペレット成形
ることを防止することができる。
体を得ることができる。また、熱可塑性樹脂を使用する
【実施例】
場合は、本発明の水処理剤と熱可塑性樹脂を溶融混合し
【0025】
、押出成形法、射出成形法、インフレーション法などに
以下、本発明を実施例により更に説明する。ただし、本
よりペレット、シート、繊維などの各種成形体を得るこ
発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
とができる。
【0026】
【0021】
1.抗微生物用水処理剤の作製
また、本発明の水処理剤は、本発明の効果を阻害しない 10
【0027】
範囲で、消泡剤、防錆剤、スケール防止剤、pH調整剤
1−1.水処理剤Aの作製
、酸化防止剤、紫外線吸収剤、抗菌剤、防藻剤等の他の
ポリヘキサメチレンビグアナイド(前記一般式(I)に
添加剤と任意の割合で混合して使用することができる。
おけるn=12の重合体)の塩酸塩水溶液(ロンザジャ
【0022】
パン株式会社製LONZABAC-BG、固形分20質量%水溶液
以上説明した本発明の水処理剤は、被処理水に添加され
)22gに、多孔質粒子(非晶質シリカ)を3.0g添
ると抗微生物成分であるポリヘキサメチレンビグアナイ
加し、8.9gの成分A(ピロリン酸ナトリウム・10
ドを徐々に放出する、良好な徐放性を示すことができる
水和物)を含む水溶液を100ml添加し、室温下で6
。水処理において抗微生物成分の徐放性に劣る薬剤を使
時間攪拌した後、ろ過、水洗し、80℃の乾燥器にて一
用すると、短時間のうちに抗微生物成分が流出してしま
晩乾燥し、ポリヘキサメチレンビグアナイド・ピロリン
い抗微生物作用の持続性が十分でないばかりか、被処理 20
酸塩が非晶質シリカ粒子に吸着されてなる水処理剤Aを
水の発泡や、配管や設備に使用されている銅部材を腐食
得た。
させるため好ましくない。一方、被処理水中で薬剤から
【0028】
の抗微生物成分の放出が不十分であると、被処理水にお
1−2.水処理剤B∼D、H∼K、比較水処理剤1、3
いて微生物の生育を十分に抑制することができず好まし
の作製
くない。これに対し本発明の水処理剤は、好ましくは2
成分Aの種類および使用量を表1記載のように変更した
5℃の水に0.1質量%の濃度で添加した場合に添加1
以外は、上記1−1.と同様の操作を行い、水処理剤B
日後の水中のポリヘキサメチレンビグアナイド濃度が1
∼D、H∼K、比較水処理剤1、3を得た。
∼200ppmの範囲となる徐放性を有するものであり
【0029】
、更には上記濃度が1∼50ppmとなる徐放性を示す
1−3.水処理剤E、比較水処理剤2の作製
こともできる。これにより被処理水中で長期に亘り良好 30
多孔質粒子を使用せず、成分Aの種類および使用量を表
な抗微生物作用を発揮することができる。
1記載のように変更した以外は、上記1−1.と同様の
【0023】
操作を行い、水処理剤E、比較水処理剤2を得た。
更に本発明は、本発明の水処理剤を被処理水と接触させ
【0030】
ることにより、被処理水における微生物の生育を抑制す
1−4.水処理剤F、Gの作製
ることを特徴とする水処理方法にも関する。本発明の水
多孔質粒子の種類、ならびに成分Aの種類および使用量
処理剤と被処理水を接触させるためには、先に説明した
を表1記載のように変更した以外は、上記1−1.と同
ように、本発明の水処理剤を被処理水中に浸漬、および
様の操作を行い、水処理剤F、Gを得た。
循環させる;本発明の水処理剤を有機系や無機系の結合
【0031】
剤により粒状、シート状、繊維、ハニカム状などに加工
【表1】
し被処理水中に設置・浸漬させる;本発明の水処理剤を 40
塗料などのコーティング剤に配合し、被処理水が接する
配管やタンク等の内面をコーティング処理する、といっ
た手段を、被処理水の状態に応じて適宜選択することが
できる。
また、水処理剤の使用量は、被処理水の置かれている環
境、汚染の程度等に応じて適切な範囲に設定すればよい
。
【0024】
以上説明した本発明によれば、空調機器、冷却塔、プー
ル、噴水、公衆浴場、加湿器等の水が存在する環境にお 50
( 5 )
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10
pm/日の範囲となる徐放性を有することが確認された
。
これに対し比較水処理剤1、2は、ポリヘキサメチレン
ビグアナイドの放出量が本発明の水処理剤と比べて大幅
に高かった。比較水処理剤3はポリヘキサメチレンビグ
アナイドの放出が著しく少なく、水溶性が乏しく実質的
に不溶化されていることが確認された。
【0035】
3.水処理剤による水処理
10
転動造粒機を用い、表3に記載した種類の結合剤溶液を
用いて表3に記載した配合量にて各種粒状体(1∼5m
mφ)を作製した。試験No.1∼6では得られた粒状
体5gを水道水1000mlの入った容器に投入し、試
験No.7では粒状体を添加せず、それぞれ容器を屋外
に放置した。1週間に一度、容器中の水を500ml排
水し、新たに水道水を500ml追加注入する操作を1
5週間繰り返した。所定時間毎に水中のポリヘキサメチ
レンビグアナイドの濃度、生菌数、および藻の発生状況
を確認した。水中のポリヘキサメチレンビグアナイドの
20
濃度は前記2.と同様の方法で測定し、生菌数は混釈平
板法にて測定した。藻の発生有無は目視により判定した
。結果を表4に示す。
【0036】
【0032】
【表3】
2.徐放性の評価
表1に示す水処理剤各0.3gを300mlの水道水に
懸濁し、150rpm、25℃にて24時間振盪した。
24時間後、上澄み液をサンプリングし、紫外可視分光
光度計(日本分光株式会社 V−650)を用いて23
3nmにおける吸光度を測定し、検量線法により溶出し 30
たポリヘキサメチレンビグアナイドの濃度を測定した。
結果を表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
表2に示す結果から、本発明の水処理剤A∼Kは、25
℃の水に0.1質量%の濃度で添加した場合に水へのポ
リヘキサメチレンビグアナイドの放出量が1∼200p 50
【0037】
( 6 )
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12
【表4】
【0038】
表4に示すように、本発明の水処理剤を使用した試験N
o.1∼3においては、長期間に亘り被処理水中のポリ
ヘキサビグアナイドの濃度が比較的安定的に維持されて
おり、被処理水中の微生物生育抑制効果が非常に高いこ
とが確認された。
これに対し、試験No.4、6においては、被処理水へ
の投入後初期に水処理剤から多量のポリヘキサメチレン
ビグアナイドが溶出してしまい、水交換に伴い水中の濃
10
度が急激に減少し、多量の微生物の生育および藻の発生
が確認された。試験No.5は、抗微生物成分であるポ
リヘキサメチレンビグアナイドの放出量が著しく少ない
ため、被処理水において微生物の生育を抑制することは
できなかった。
以上の結果から、本発明によれば長期に亘り優れた抗微
生物作用を有する水処理剤が提供されることが示された
。
【産業上の利用可能性】
【0039】
20
本発明によれば、空調機器、冷却塔、プール、噴水、公
衆浴場等、水が存在する環境において水中での微生物の
生育を長期に亘り抑制することができる。
────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.
審査官
(56)参考文献
FI
三上
C02F
1/50
532L
C02F
1/50
540F
晶子
特開2003−267807(JP,A)
特開平05−076873(JP,A)
特表2010−516800(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.,DB名)
A01N
1/00−65/48
A01P
1/00−23/00
C02F
1/50
CAplus/REGISTRY(STN)
Fly UP