Comments
Description
Transcript
社会システムとしての情報システム
社会システムとしての情報システム 2001 年 5 月 22 日 牧野真也 情報システムとは (ガイダンス参照) ・情報を収集・保管・加工・伝達するシステム 情報技術を利用した(デジタル情報を扱う)システム ・本質は人間活動のシステム:複数の人間が関連し合うシステム=社会システム(経済・ 経営システム,その他さまざまな組織や集団など) ・今日の情報システムの特徴:「人間活動」と「情報技術」が密接に絡み合って一体不可分 となった社会システム ・情報技術と社会システムとの関係:複雑で相互作用的 情報技術が社会(システム)を変える←→社会(システム)が情報技術を選択する(受 け入れたり,受け入れなかったり) ・情報技術による社会システムの効率化→これまでと違ったシステムへの変容 今日の情報化・情報技術の特徴 ・オープンで安価で(高速な?)通信ネットワーク=インターネット:誰でも簡単に参入 cf. VAN, EDI ・高性能で安価な情報機器(端末)の普及:パソコン,PDA,携帯電話,ゲーム機? クリチカル・マスを超えて爆発的に普及 ↓ ・多様・大量の情報の処理・伝達,迅速・広範囲・低コスト ・財の情報的側面大→情報財(デジタル財) ・情報のもつ特性(希少性がない,結合による価値の向上・創発)の顕在化: e.g.ハイテク市場のロックイン,連結の経済性 今日の社会・経済環境の変化 ・グローバル化,社会主義体制の崩壊,市場経済の拡大,市場の融合・規制緩和,工業社 会の成熟・限界,ものあまり・欲求の高次化/多様化,地球規模での環境問題(部分的・ 技術的に乗り越えられない)など ←情報化と密接に関連しているものも多い ・サステナブルな社会システムをいかに構築するか 情報システムの研究のアプローチ (募集要項・シラバス参照) ・情報技術・情報化の実態は?将来どうなるか?(社会システムとの関連で) ・情報技術・情報化によって社会システムはどう変わるか? ・社会システムとしての情報システムはどのようなものか?どうあるべきか? ・社会システムとしての情報システムはどうつくられるべきか? 参照学問領域:経済学・経営学・社会学・システム論… ─1─ 社会システムとしての情報システムに関するいくつかの論点 いくつか思いつくものをあげてみる。それぞれは相互に関連し合っている。 組織 vs 市場 ・市場・組織は資源配分のシステム ・情報化により市場を使うコスト(取引コスト:相手を見つけたり交渉したり契約したり) の低下→市場にシフト e.g. アウトソーシング,選択と集中,オープン化… ・情報化により企業が密接に関連→再組織化 ・環境問題への対応 売り手→買い手(生産者→消費者) ・情報の非対称性(売り手が商品などの情報を多くもっている)の解消・逆転 情報化によって買い手が十分な情報を簡単に入手 ・消費の多様化→消費者が本当に求めているものをつくらないと売れない 見込み生産→受注生産 ・BTS→BTO:買い手主導 マーケティングの変化?,一物一価? 集団(組織)→個人 ・買い手主導→現場主導 ・組織の境界,構造の変化,多様化する環境への対応 ・個人の情報処理・情報発信能力の飛躍的拡大 分業→協働(効率→変化・創造) ・決まり切ったことを効率よく→新しい創造的活動 ・分業の非効率性:とくに知的生産において 営利→非営利 ・情報のもつ特性→非営利 希少性のなさ=市場での取引困難,情報を出し合うことによる創発 ・欲求の高次化→直接的充足:e.g.ボランティア活動 リアル vs バーチャル ・適切な役割分担が必要←.com 企業の破綻,リアル企業の成功 クリック&モルタル ─2─