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Loneliness and Risk of Alzheimer Disease

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Loneliness and Risk of Alzheimer Disease
2008/7/17 13th 抄読会資料
担当:山川
1/10
ランク:A総評:
2006年のこの雑誌のIFが13であったため、さすがに論文の形式や書き方は整理され、分か
りやすく、論文構成に必要なエッセンスはほとんど盛り込まれていた。
しかし、納得のいくような目新しい結果が出せなかったためか、解析が非常に複雑であった。その
ため、当然結果も多くなり、筆者が主張したい結果が見えず、結果の解釈も困難であった。
データ分析では、多様なモデルを使用し、そのモデルへの当てはまりを検討していた。しかしモデ
リングに焦点を当てすぎて、現実の状況とかけ離れている可能性が懸念された。
また主観的なlonelinessとして5項目の質問を用いていた。lonelinessと一言で言っても、その理由
によって、lonelinessの深さも異なってくる。孤独の背景についての検討が不十分であったと思わ
れる。さらに、今回de Jong-Gierveld Loneliness Scaleの修正版を使用していたが、他にも
lonelines尺度は多数ある中で、なぜこの尺度を使用したのかの記述が必要であった。
その他、コホートではあるが、追跡期間が短いことが問題であった。
しかしながら、孤独について、従来の客観的な孤独ではなく、主観的な孤独に注目した事は、今
後の対応を考える上でも非常に重要であり、そのあたりは評価できる。
<抄読文献>
Loneliness and Risk of Alzheimer Disease
Robert S. Wilson, PhD; Kristin R. Krueger, PhD; Steven E. Arnold, MD; Julie A.
Schneider, MD; Jeremiah F. Kelly, MD; Lisa L. Barnes, PhD; Yuxiao Tang, PhD; David A.
Bennett, MD
Arch Gen Psychiatry. 2007;64:234-240
<要旨>
CONTENTS:
高齢者における社会的孤立が、認知症の進行に関連があると言われている。しかし認識された
(主観的な)孤立、または孤独に関連しているリスクはあまり知られていない。
OBJECTIVE:
孤独がアルツハイマー病(AD)のリスクの増加に関連しているかという仮説を検証すること。
DESIGN:
年に 1 回の在宅で 4 年間追跡した長期的臨床病理学的コホート研究
PARTICIPANTS:
イリノイ州シカゴ市、及びその周辺地域の高齢者市民施設から、全部で 823 名の認知症のない高
齢者をリクルートした。孤独については、基準時(2.3±0.6)に 5 項目のスケールで評価し、その後
は 1 年ごとに評価した。死亡時は、多発性の脳の部位における AD の病理学的所見や脳梗塞の
存在を定量化するために、脳の同一の検死試験を実施した。
MAIN OUTCOME MEASURES:
AD の臨床診断や変化は、以前に確立された広範囲の認知、特定の認知機能の測定を組み合わ
せた。
RESULTS:
追跡中、76 人が臨床的 AD になった。AD のリスクは孤独でない人(10 パーセンタイルのスコア
1.4)比べ、孤独な人(90 パーセンタイルのスコア 3.2)では 2 倍以上であった。社会的孤立の指標を
制御しても結果に影響はなかった。孤独は基準時に認知レベルがより低いことと関連があり、追
跡中のより急激な認知機能の低下と関連がみられた。孤独における変化では有意差はなく、研究
中の孤独の程度の平均は、認知機能低下と AD の発症と強い関連があった。死亡し、脳の剖検を
受けた 90 人の参加者では、孤独は AD の病理学測定の集約や脳梗塞と関連はなかった。
CONCLUSION:
孤独は老年期認知症のリスクの増加と関連があった、しかしその原因とは関連がなかった。
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担当:山川
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●社会的孤立(狭いソーシャルネットワーク、独身、他者との活動にほとんど参加しないこと、また
はこれらの組み合わせ)は認知症のリスクの増加や認知機能低下と関連があることがいくつか
の前向き研究で明らかにされている。
●感情的な孤立、孤独、いわゆる認識された社会的孤立や、他者との関係がないという気持ち、
つまり欠乏というよりもむしろ社会的相互作用に対しての不満と認知症との関連はほとんど知
られていない。
・孤独は社会的孤立と関連があるが、相関は完全とはかけ離れている。
・唯一の先行研究では、孤独と認知の短い測定に基づいており、結果は一致しなかった。様々
な分析で認知機能低下のリスクの増加に孤独は関連していたが、他ではなかった。
→先行研究で指摘しているように、孤独感(孤独 loneliness)が、1 人でいること(社会的孤立)と区
別して、高齢者における認知症のリスクにどの程度寄与しているのかは明らかでない。
●RMAP(*1):高齢者の慢性的な状況に対するリスク因子の長期臨床病理学的コホート研究の
データを用いて上記の問題を調査した。
最長 4 年間追跡
baseline
・1 年ごとに同一の評価 loneliness は de Jong-Gierveld Loneliness Scale の修正版
・死亡したら脳の剖検:AD の変性部分と脳梗塞部分を定量化
→分析では、孤独レベルがより高いことと AD のリスクの増加との関連性をテストした。
→その関連性を説明する変数についても調査した。
例:社会的孤立の客観的測定やうつの兆候など
→さらに、認知における変化と孤独、孤独の変化と孤独の関係、高齢者の認知症と最も一般的
に関連する神経病理学的所見と孤独との関係も調査した。
METHODS
PARTICIPANTS
●RMAP の対象者を参加者とした。
・対象者の選定基準:
・基準時に認知症の臨床診断をうけていないこと。
・年に 1 回在宅で臨床評価を受けること、及び死亡時に剖検されることに賛同した。
・この研究はイリノイ州シカゴの Rush 大学メディカルセンターの(倫理委員会?)の承認を得た。
●対象者はシカゴ周辺の多様なセッティングからリクルートされている
CCRC(*2)、低所得者向け住宅、地元の教会、社会サービス機関
リクルート手順:
①プロジェクトの概要を説明、情報の配信した後、対象者は家族や友人と(参加するかどう
か)を検討するよう薦められた。
②興味を持った者は、研究参加についてさらに詳細な情報を説明できるスタッフと後で会って、
同意を得た。
その後の手順:
基準時とその後 1 年ごとに各参加者について、同一の臨床評価をした。
評価内容→構成された医療歴の質問、神経学的所見、認知テストを含む評価を元に、経
験のある臨床家(JFK や DAB を含む)が認知症や AD を NINCDS-ADRDA の
基準を使用し評価した。
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ASSESSMENT OF LONELINESS
修正版 de Jong-Gierveld Loneliness Scale を使用した。
→内的整合性を検討されている。
→配偶者の死、施設での生活、低いセルフエスティームとの関連で、構成妥当性を支持した。
→修正は以下の 3 点において、修正した。
①感情的な孤独を評価したいので、社会的孤独を評価する5項目は削除した。
②スケールの明確性を改善するために、2 つの類似した項目を統合し、主要でない項目を他
の項目に変えた
③スケールの感度を強化するために、二分法によるものよりもむしろ、各項目について 5 ポイ
ントのスケールで評価した。
→質問の 5 項目は以下の通り
「私は虚しい感じがする」、「私は周りに人がいなくて寂しい」、「私は友達が十分にいないと感
じる」、「私はしばしば見捨てられたと感じる」、「私は親友がいなくて寂しい」
→それぞれに 1 から 5 段階で点数をつけ、点数が高いほど孤独であるといえる。
ASSESSMENT OF SOCIAL ISOLATION
社会的孤立の指標として、2 つの社会機能の測定を行った。
①社会的ネットワークサイズ: それぞれ持っている子供の数、家族、友達の人数とどのくらい彼
らと交流があるかを定量化している。→少なくともつきに一回は会っている数
②社会的活動への参加頻度: 社会的相互作用も含む活動(親戚や友達を訪問する、というよう
なもの)についての 6 項目
→それどれの項目は 5 ポイントで評価される。
1: 1 年に 1 回以下 2: 年に数回 3: 月に数回 4:週に数回 5:毎日またはほぼ毎日
ASSESSMENT OF OTHER COVARIATES
●うつの兆候: CES-D の 10 項目を評価
→項目を参加者が読んで、評価する。
例:「私は悲しいと感じる」では、過去の 1 週間で多く感じたかどうかをあらわす。
→高齢者における先行研究で、是認された兆候の数は罹患率や死亡率と関連がある事が、
示唆されている。
●認知的に刺激のある活動における参加頻度: 9項目
→過去 1 年間における雑誌を読むなどの活動 9 項目において、5 ポイントで評価
1: 1 年に 1 回以下、 5: 毎日かほぼ毎日
→スコアの平均が分析で使用される
●身体的活動: 1985 年の Health Interview Survey からの質問で測定した。
→5 つの身体的活動(運動のために歩く)を過去 2 週間の間に実行したかどうか、もし実行した
場合、何回か、期間はどのくらいかを質問した。
→5 つの活動において、週に費やした時間を身体活動レベルの指標とした。
●基準時での血管への負担: 3 つの血管への危険因子の数(高血圧など)、4 つの血管の状態
の数(梗塞など)
●収入: 40 歳時と基準時での 10 項目の収入の順位スコア
→カードを見せる方式で確認
●障害: 基準時に Katz スケール(*3)の 6 項目で評価した。
ASSESSMENT OF COGNITIVE FUNCTION
1 年ごとに 20 の認知機能テストを、訓練されたリサーチアシスタントによって実施した。
・MMSE
・7つのエピソード記憶テスト:短期、長期の想起テスト(Logical Memory Story A、 East Boston
Story、 Word List Memory、 Word List Recall)
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・3つの意味記憶テスト:Verbal Fluency Test、 Boston Naming Test の短縮版、National Adult
Reading Test)
・3つの作動記憶テスト:Digit Span Forward、Backward、Digit Ordaring
・4つの知覚スピードテスト: Number Comparison、 Symbol Digit Modalities Test(口頭版)、修正
版 Stroop Neuropsychological Screening Test から2つのインデックス
・2つの視空間認知テスト: Judgment of Line Orientation の 15 項目版、Standard Progressive
Matrices の 17 項目版
→ランダムな分散を減らすため、これらの個々項目について、結果の 2 つ以上を組み合わせて分
析に使用した。
これがなぜランダムな分散を減らすのか不明
→素点は標準化し Z スコアに変換した。
ASSESSMENT OF AGE-RELATED NEUROPATHOLOGY
・脳を取りだし、解剖学的区分と組織の確認のために標準的な手順を使用した。
※AD の病理学的定量化と脳梗塞の定量化は他で報告した。
DATA ANALYSIS
●年齢、性別、正規の教育を受けた年数を調整した Cox 比例ハザードモデルを仮説の検証に使
用した。
→最初のモデルは孤独の項目を含んでいた。このモデルは、社会的ネットワークサイズ、社会
的活動頻度、認知的活動、身体的活動、人種/民族、収入レベル、障害、血管の危険因子と
状態のためにコントロールした後の分割し、入れなおして分析を繰り返した。
→うつの兆候の役割を評価するのに、CES-D から寂しい感情についての項目を分けた。
●混合効果モデル(他で掲載)は、孤独の程度が高いほど、より急激な認知低下に関連している
という仮説の検証に使用した。(必ずしも孤独感は線形ではないということへのモデルの当て
はまり)
●一般化推定方程式モデル(*4)は、研究期間での孤独の変化を評価するために使用した。
●分割した線形回帰モデルは、死亡し、剖検を実施した者で、それぞれの病理学的測定と孤独の
関連を検証するのに使用した。
●SAS を使用した。
RESULTS
DESCRIPTION OF COHORT
・データは 2000 年 11 月 30 日から 2006 年 5 月 5 日まで収集され、分析された。
・基準時には 1023 人の参加者がいた。そのうち 67 人は認知症基準にあっていたので、除外した。
さらに 1 年以内に死亡した 23 名を除外し、76 人が 1 年に満たすにドロップアウトした。
・残りの 857 人の参加者のうち、92.3%の 791 人が少なくとも 1 回の追跡評価を受けた。
・参加者につき、平均追跡回数は 3.3 回の評価ができた。生存者として評価できたのは 97.6%であ
った。
・基準時での参加者の年齢は 80.7±7.1 歳、教育レベルは 14.5±3.0 年、75.7%が女性で 91.0%が
白人と非ヒスパニックであった。
・66%が定年後の家、30%が単身用の家、4%がアシステッド・リビングやナーシングホームに住
んでいた。
METRIC PROPERTIES OF LONELINESS SCALE
・基準時には孤独の測定値は大よそ正規分布であった。(2.3±0.6、歪度 0.5)。スコアの幅は
1.0-4.6. 高いスコアほど孤独が強い。
・オリジナルスケールと比較したときの Cronbach α係数は 0.78。中等度の内的整合性を示した。
・孤独と負の相関:社会的ネットワークサイズ(r=-0.21、p<0.01)、社会的活動の頻度(r=-0.23、
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p<0.01)、教育(r=-0.19、p<0.01)
・孤独と正の相関: うつの兆候(r=0.47、p<0.01)と年齢(r=0.16、p<0.01)
LONELINESS AND INCIDENT ALZHEIMER‘S DISEASE
・追跡中、76 人が AD と診断された(71 人はおそらく AD、5 人は AD の可能性)。
・診断された者は診断されていない者よりも年齢が高く、男性である傾向があり、収入が低かっ
た。
・さらに彼らは認知機能が低く、孤独と障害のレベルが高く、社会的、認知的活動レベルが低かっ
た。(表1)
・6 人は他の認知症だったので、AD の発症における分析からは除外した。
・Cox 比例ハザードモデルによる分析結果:
-臨床的 AD のリスクは各孤独のスケール上で、ポイントが 1 上がるごとに 51%増加した。
rr=1.51、95%CI;1.06-2.14
-高い孤独を持っている人(90 パーセンタイルのスコア 3.2 以上)は低いスコアの人(10 パーセン
タイルのスコア 1.4 以下)に比べ、追跡中に AD になる確率は 2..1 倍であった。
-社会的孤立の指標(社会的ネットワークサイズと社会的活動頻度)はより高齢者では認知症や
認知機能低下と関連があった。
→それでも、社会的ネットワークと社会的活動の項目を加え、最初のモデルを繰り返した。そ
の結果、
-疾患の発生に対しての孤独の関連はあった(rr=1.45、95%CI;1.01-2.09)
-社会的活動の頻度が高いほうが、AD のリスクの減少と関連はみられなかった。(rr=0.52、
95%CI;0.34-0.79)
・このコホートでは、孤独は認知的活動レベルと逆比例の関係があり、先行研究で身体的活動レ
ベルと関連があった。
-認知的、身体的活動の頻度は AD のリスクと関連があるので、認知的活動における最初の参
加とその後身体的活動に対してコントロールし、元の分析を繰り返した。
- 認 知 的 活 動 の 調 整 後 、 孤 独 と AD の 発 症 の 関 係 は 約 15 % 減 少 し た 。 ( r r = 1.41 、
95%CI;0.99-2.01)、身体的活動を調整した後は影響されなかった(rr=1.54、95%CI;1.08-2.19)
・後の分析で、潜在的人口学的、健康関連要因を入れて調査した。
-孤独と AD の関係は、以下の項目の調整後も変化はなかった。
人種/民族: rr=1.52、95%CI;1.07-2.15
収入: rr=1.47、95%CI;1.01-2.15
Katz スケールでの障害: rr=1.51、95%CI;1.06-2.15
血管のリスク因子と状態: rr=1.51、95%CI;1.07-2.15
LONELINESS、DEPRESSIVE SYMPTOMS、AND AD
・寂しいと感じることはうつの兆候であり、寂しい人はうつの兆候を経験していることが明らかであ
るため、これらの(もつれた)関連した構造を解くための努力において、さらに分析した。
→CES-D の「私は寂しいと感じる」という孤独についての 1 項目を除外して、残りの 9 項目を調整
し、分析した。
-9 項目の CES-D を調整したら、孤独と AD のリスクの関係は約 16%減少した。rr=1.41、95%CI;
0.97-2.16
-比較によると、9 項目の CES-D は AD のリスクとごくわずかの関連があった。rr=1.13、95%CI;
0.98-1.30
-孤独を調整した後では、9 項目の CES-D と AD のリスクの関連は半分以下になった。rr=1.02、
95%CI;0.92-1.24
→さらに、CES-D で寂しいと感じている対象者(146 人)は、そうでない者よりも AD の発症が 86%
高かった。rr=1.86、95%CI;1.10-3.14
-これらの兆候を調整したら、CES-D9 項目と AD のリスクの関係は半分以下に減少した。rr=
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1.06、95%CI;0.90-1.24
- 一方で、9 項目を調整したら、項目の影響が 18%以下で減少した。rr=1.13、95%CI;0.90-3.07
LONELINESS AND COGNITIVE DECLINE
・孤独と AD のリスクの関係に対しての認知機能障害より前の寄与を評価するために、認知機能
低下、疾患の原則的な臨床症状、に対する孤独の関係を、混合効果モデルを用いて調査した。
→(評価)期間とその二乗の項目はコホートにおける平均の年次変化を示している
-孤独は各認知機能測定では、基準の機能レベルと逆比例の関係かあった。
-さらに、この基準の効果を調整すると、広範な認知、意味記憶、知覚スピード、視空間認知能
力において、期間と孤独の相互作用によって見られるように、より急激な低下と関連していた。
(時間が経てばたつほどリスクは大きくなるということ)
REPEATED MEASUREMENT OF LONELINESS
・毎年の評価ごとに孤独は評価された。(平均 3.3 回)
・孤独の変化を特徴づけ、基準時の広範な認知レベルとの関連を検証するために一般化推定方
程式モデルを使用した。
→孤独の変化で線形の証明がなかった、あるいは非線形であった
→後の分析では、基準の広範な認知レベルが基準での孤独と関連がみられたが、孤独の変化
とは関連がみられなかった。
・研究中の孤独の安定性の観点から、孤独であることの恒久的な傾向をよりよく捉えるために、評
価を超えたそれぞれの参加者のスコアを平均した。
→2.3±0.6 で幅は 1.0-4.6 で、基準時の孤独とスコアは強い相関がみられた(r=0.85、p<0.01)
→すべての共変量を同時に調整したモデルでさえも、この累積的な測定において、より高いレベ
ルの孤独は、AD の発症のより高い見込み、広範な認知機能のより急激な低下と関係がみられ
た。
LONELINESS、AD PATHOLOGIC FEATURES、AND CEREBRAL INFARCTION
・分析の最終段階では、孤独は高齢での認知機能の喪失と最も一般的に関連している神経病理
学的病変の早期のサインであるという可能性を調査した。
→研究中に死亡した選定された 135 人の対象者のうち、脳の剖検は 78.5%の 106 人で実施した。
それらのうち、結果が入手できた 90 人を分析対象とした。
-死亡年齢は 86.1±5.8 歳、剖検までの時間 8.4±8.7 時間
-最終臨床評価は死亡する 9.1±7.2 ヶ月前、MMSE スコアは 24.4±7.5、参加者の 30%は AD
と診断された。
・分割された線形回帰モデルの結果:
-基準時の孤独スコアは、以下で同定された、広範な AD の測定との関連はなかった。
銀染色(*5)、βアミロイド免疫反応斑の占める領域の割合、γ-免疫反応性神経線維変化の
密度、脳梗塞の存在
-後の分析結果、孤独と神経病理学的測定の両方とも、死亡直前の広範な認知と期待された負
の関連が見られた。孤独と病理学の相関がないのは、測定の限界、あるいは検出力が不十分
であったためとは考えにくい。
-結果は、基準時の孤独の代わりに研究期間中の孤独の累積的測定を使用して分析で比較で
きた。(データは掲載してない)
COMMENT
・4 年間まで毎年約 800 人の高齢者の追跡をしたコホートでは、社会的孤立のレベルを調整した後
でさえも、寂しいと感じた者はそうでない者の 2 倍以上で AD のような認知症症候群を発症する
可能性があった。
・死亡し、その後剖検を実施した参加者では、孤独は AD の病理学的結果や脳梗塞とは関係がみ
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られなかった。
→これらの結果によって、孤独は晩年では、AD のような認知症のリスクに寄与するもので、そして
それは AD の病理学、脳梗塞とは別の機序であると考えられる。
・認知の喪失に対する社会資源の関連についての先行研究は、社会的孤立にまず焦点が当てら
れていた。社会的孤立とは、他者の身体的欠如である。
-より大きな社会的ネットワーク、結婚していること、社会的相互作用を含む活動の実行、あるい
はこれらの組み合わせは認知症、あるいは認知機能低下のリスクを減らすことと関連が見られ
た。
-これに対し、認識された(主観的な)社会的孤立についての研究は少なく、結果の結論は出て
いない。
-このように、社会的関係性に対しての不満は 1 つの研究では認知症のリスクの増加と関連が
見られたが、もう 1 つの研究では、この影響は見られていなかった。
・孤独は障害された認知機能と基準時に関連が見られた、これは、いくつかの研究と一致し、他
の先行研究の結果とは一致しなかった。
・基準時の認知機能を調整後、孤独は多機能領域においてより急激な認知機能低下とも関連
が見られた。
→この結果は孤独と認知機能低下でよく知られている唯一の研究(10 年間の観察で、孤独が認
知機能低下のリスクの増加と関連が見られたという研究)と一致している。
→しかし、これらの結果は対象者が 200 人より少ないので、短い観察期間では、孤独は認知
機能低下と関連は見られなかった。おそらく統計学的な検出力が限られていたことや、孤独
は一つの質問で評価され、認知機能は短い広範な測定で評価されていたからである。
・AD や認知機能低下と孤独の関連性の基盤は不確かである。
→1 つの可能性は、孤独は認知症の結果であり、おそらく、消えた認知に対する行動の反応とし
てや、認知症に寄与する病理学の直接的な結果としてである。
→しかし、基準時での認知機能のレベルは孤独の変化とは関連は見られず、認知機能では(研
究中)減少は少ししか見られなかったが、孤独ではかなりの増加がみられた。
・さらに、孤独は晩年の認知症の原因に繋がるβアミロイド斑、神経線維変化、脳梗塞との関連
は見られなかった。
→これらのデータにより、孤独は初期の認知症やその病理学的な早期の兆候に対する反応で
あるという考えは支持されない。
→この複雑な問題に対して更なる研究が必要である。
・もう一つの解釈として、孤独はともかくも、認知や記憶の基礎をなす神経システムからなってい
ると考えられる。それに関して、孤独な者は、加齢に関連した神経病理学の有害な影響(神経
の予備力の減少)に対して脆弱になるということである。
-社会的孤立に対しての動物を対象にしたものでは、障害された記憶や認知形成に付随して、
海馬や前前頭皮質における樹状突起の分枝の減少や脳に由来する神経栄養の要因のダウ
ンレギュレーション(*6)がみられる。
-人間では孤独は社会的スキルの障害と関連がみられている。
→社会的行動の基礎をなす神経システムは、結果として、寂しさを感じる人では精巧さが少なく、
加齢に関連した神経病理学からなるほかの神経システムを補うことも出来にくい。
→更なる臨床病理学的、臨床放射線学的研究か必要である。
・社会的孤立についての結果は一致しなかった。
-社会的活動での参加頻度が多い事は AD のリスクの減少と関連が見られ、認知症や認知機
能低下での先行研究の結果と一致している。
-社会的ネットワークサイズは、いくつかの研究では認知機能低下、あるいは認知症と関連が
みられ、他の研究では AD の発症とは関係はみられなかった。
→全体として、これらのデータは社会的相互作用の量と社会との接触の質の両方が晩年の認
知症のリスクに影響していることを提示している。
・孤独とうつの兆候は精神測定学的、概念基盤的に分けられるが、中等度の相関があり、相互
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に影響しあうと見られる。
-うつのスケールの孤独の項目はそれ以外の 9 項目の合計よりも AD のリスクをよりよく予測す
ることが分かった。
-うつの兆候を調整すると AD のリスクと孤独の関連性は減少したが、その減少は、孤独を調整
したあとの AD のリスクとうつの兆候との関連性でのかなりの減少と比較して中等度であった。
→これらのデータは孤独と認知症の関連性は少なくともうつの兆候と部分的に独立していること
を提示し、孤独は AD とうつの兆候との関連性の重要な要素であると考えられる。
・これらの研究結果の信頼性については、いくつかの因子によって強化される。
-認知症と AD の臨床分類は同一の評価方法に基づいており、経験のある臨床家によって、基
準を広く受け入れている。診断上の偏りや不正確さが結果に影響を与える可能性を減らして
いる。
-対象者につき、3-4 回の均等な観察が出来たことや、既に確立された認知の測定を組み合わ
せたことは多機能領域における認知機能低下の個別のルートの信頼できる評価に対しての
可能性を強化した。
-臨床評価の追跡や脳の剖検における高い参加率は、選択的バイアスによる結果の偏りの可
能性を減らした。
-結果は孤独、認知機能、AD の病理学での異なった測定と一致した。
・研究結果には重要な限界がある。
→大部分は白人のボランティアのコホートに基づいており、平均観察期間は 3 年に満たなかった。
また AD の発生が 76 人、剖検実施者は 90 人しかなかった。
→、より長期間で、より多様な参加者で再現することが重要である。
・結論として、孤独であるという認識は、客観的な社会的孤立や他の共変量を調整した後でも、
認知機能低下や AD のような認知症の発症と関連が見られた。
・AD の病理学所見や脳梗塞はどちらもこの関連を説明することが出来なかった。新しい神経生
物学的機序があることを提唱する。
【補足】
*1 Rush Memory and Aging Project
http://www.rush.edu/rumc/page-1099611542239.html より
Medical research has greatly contributed to increasing our life expectancy. Unfortunately, many
people develop problems with memory, mobility, and strength in the later stages of life. Although
these problems are common, they are not necessarily normal. Research suggests that many of these
problems may be caused by neurologic conditions that damage different parts of the nervous system,
including the brain, spinal cord and other nerve tissue.
The Rush Alzheimer’
s Disease Center is strongly committed to discovering the causes of these
disabling conditions. By participating in the Memory and Aging Project you join us in our efforts to
better understand, treat and hopefully prevent these problems associated with abnormal aging
Program Description
It has long been recognized that some type of reserve can protect the nervous system from
expressing injury or pathology as functional impairment or clinically diagnosed disease. The overall
goal of the Memory and Aging Project is to identify the structural bases of neural reserve and examine
the neurobiologic mechanisms through which environmental and genetic risk factors lead to the
functional consequences of four neurologic diseases of aging.
We hypothesize that redundancy of several cellular and subcellular components of the functional
neural systems responsible for cognition, mobility, and strength are crucial for efficient performance
of these systems, and thereby comprise the structural basis of neural reserve. Furthermore, we
hypothesize that some risk factors lead to the clinical expression of disease by promoting the
accumulation of disease pathology within selectively vulnerable neural systems, whereas other risk
factors reduce the likelihood that disease pathology is expressed clinically by increasing or
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maintaining reserve capacity (i.e., the ability of the nervous system to tolerate pathology thereby
delaying the clinical expression of common diseases).
To test these hypotheses, we propose a longitudinal, epidemiologic clinical-pathologic study of 1,200
older persons with a wide range of educational and lifetime experiences who agree to annual detailed
clinical evaluation and donation of brain, spinal cord, and muscle after death. Identifying factors that
increase or maintain neural reserve offers a new and potentially powerful method whereby the
clinical signs of multiple neurodegenerative diseases can be delayed. Even relatively small reductions
of risk from common disabling conditions will have a major public health impact for future
generations.
David A. Bennett, MD
Director, Memory and Aging Project
600 South Paulina, Suite 1028
Chicago, IL 60612
老人性痴呆症患者の脳にはアルツハイマー症と脳梗塞(脳溢血)の併発が最も多く見られること
が米シカゴのラッシュ大学医学センターアルツハイマー症センター(Rush Alzheimer’s Disease
Center at Rush University Medical Center in Chicago)の Julie Schneider 博士らの研究で明らか
になった。この研究は、国立衛生研究所(National Institute of Health )の国立老化研究所
(National Institute on Aging)の資金助成により進められているもので、毎年の脳検査と死亡後の
脳解剖に同意したラッシュ記憶老化プロジェクト(Rush Memory and Aging Project)参加の老人ボ
ランティア 1200 人を対象にしている。今回の研究では 1200 人中死亡した 141 人の脳解剖の結果
がデータとして使われた。このうち 85%の患者にアルツハイマー症、脳梗塞、パーキンソンズ症、
脳出血などの脳疾患の兆候が見られたが、生存中にアルツハイマー症と診断された患者は 47%
だった。また、生存中老人性痴呆症と診断された患者の 30%がアルツハイマー症に罹っていたが、
42%はアルツハイマー症と脳溢血、また 16%がアルツハイマー症とパーキンソンズ症の併発が見
られた。今回の研究結果は 6 月 13 日の Neurology のオンライン版に発表された。
*2 CCRC (Continuing Care Retirement Community)
CCRCは、継続したヘルスケアを提供するという福祉哲学に基づいて、住宅と医療と介護に、アメ
ニティサービスを総合的におこない、新しい高齢者のライフスタイルを提供するものである。CCR
Cは、高齢者の自立と健康のニーズに対応することにより、人生の最終ステージをいきいきと、楽
しく過ごすことにより、医療コスト、介護コストを最適化するモデルとして実績をあげている。このモ
デルを療養型医療施設の事業転換に活用していく意義は大きい。
CCRCでは入居者の健康レベルに応じ、3つのレベルの住まいが用意されている。
インディペンデント・リビング(IL)健常インディペンデントは、生活住居スペースで、アパート形式が
主流。内部はバリアフリー、非常緊急通報システム・空調など細部に渡り、生活に負担の無い
よう工夫されている。
アシステッド・リビング(AL)介護度:小・中アシステッドは、入居者が生活支援、介護支援が必要
になったとき、ILから移り住む施設で、提供されるサービスとして、衣服の着替え、投薬、入浴
介助、その他生活に必要なサービスを提供。
ナーシング・ホーム(NH)介護度:大ナーシング・ホームは、常時介護が必要な入居者のためのも
の。24時間体制を必要とする短期、および長期の看護、医療サービスを提供する施設である。
CCRCでは、医療ケアが常勤医師、専門セラピスト、専門看護師、精神ケアセラピスト(mental
health providers)が連携して提供される。これらの専門家集団は、高齢者ケアに専念してきており、
公的医療制度(メディケア)から支払いを受けている。
*3 Katz scale ADL を評価する障害のスケール
The Katz scale considers six basic domains: bathing, dressing, toileting, ambulating or transferring,
continence, and feeding.
2008/7/17 13th 抄読会資料
担当:山川
10/10
*4 一般化推定方程式モデル
モデルの構造:一般化線形モデルに誤差項の系列相関を組み込んだモデル
→ (医薬品の臨床統計や疫学研究など)経時測定データの解析で威力を発揮!
注)変量効果は基本的には使用しない
*5 silver stain(銀染色)
Ca 塩の沈着物、スピロヘータ、神経組織を染色する。
*6 ダウンレギュレーション
薬理学的あるいは生理学的活性物質の繰り返し投与の結果として生じる早期の無反応性または
耐性状態の発生
参考:孤独の尺度
UCLA Loneliness Scale 日本語版あり
Indicate how often each of the statements below is descriptive of you. Circle one letter for each
statement:
0 indicates "I often feel this way"
S indicates "I sometimes feel this way"
R indicates "I rarely feel this way"
N indicates "I never feel this way"
1.
How often do you feel unhappy doing so many things alone?
OSRN
2.
How often do you feel you have nobody to talk to?
OSRN
3.
How often do you feel you cannot tolerate being so alone?
OSRN
4.
How often do you feel as if nobody really understands you?
OSRN
5. How often do you find yourself waiting for people to call or
OSRN
write?
6.
How often do you feel completely alone?
OSRN
7.
How often do you feel you are unable to reach out and
communicate with those around you?
OSRN
8. How often do you feel starved for company?
OSRN
9. How often do you feel it is difficult for you to make friends? O S R N
10. How often do you feel shut out and excluded by others? O S R N
(with permission of Daniel Russell)
 Russell, D. (1996). The UCLA Loneliness Scale (Version 3): Reliability, validity, and factor
structure. Journal of Personality Assessment, 66, 20-40.
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