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中国の電力市場の課題と今後 - NIRA総合研究開発機構

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中国の電力市場の課題と今後 - NIRA総合研究開発機構
中国の電力市場の課題と今後
―ある側面からの見解―
西江嘉晃
電源開発㈱国際事業部
30 November 2005
中国電力消費事情
一人当たりの電力消費量は日本の1960年代中頃。
人口1人当たり発電電力量
中国(◇)と日本(△)1946-1967年)の比較
中国2005年の値は中国電力企業連合会の見通しに基く
3500
3000
kWh/年 ・人
•
日本
日本の1964年
2500
日本1966年
2000
中国
1500
1000
500
0
1980
1985
出典
1990
1995
2000
2005
2010
日本統計年鑑、中国統計年鑑、日本電気便覧、中国電力年鑑
西暦
X
家電の普及状況
•
中国家電普及状況(百世帯当りの普及台数)
都市部住民
:
日本の1970年代前半、韓国の1990年代
前半の生活水準
エアコンの普及率は日本の1990年と同じ。
家庭用エアコン普及の伸びでピーク電力
1000万kW程度/年の需要増を創出。
160
140
カラーTV(都市部)
120
台/百世帯
•
農村部住民
台 /百 世 帯
100
:
都市部より10-20年の遅れ
農村配電網整備で農村の洗濯機、冷蔵庫、
エアコンが急速に普及する可能性大。
農民の所得水準引き上げが課題 (11次
5カ年計画の主題:添付資料―2 参照)
洗濯機(都市部)
冷蔵庫(都市部)
80
エアコン(都市部)
60
カラーTV(農村部)
40
洗濯機(農村部)
20
冷蔵庫(農村部)
エアコン(農村部)
0
1999
2000
2001
2002
2003
2004
西暦年
出典:中国統計年鑑 2005年
農村人口の都市化
1996年以降、第一次産業の就業人口割合は大きな変化なく、50%前後で停滞
2003年で49.1%、2004年で46.9%と再度農業就業人口の移動が開始した。
内陸部に中都市、学校の建設を急ぎ、農業人口の2次、3次産業への移動を推進中
出典 「東アジア共生のシナリオ」 浜松誠二 より引用
中国は世界エネルギー消費の中核的な立場に向かっていく
一人当たりの発電量で見たアジアの市場規模 (2002-2003)
13,000
Australia
Consumption per capita (kWh)
11,000
9,000
Singapore(2002)
Taiwan
7,000
South Korea
Hong Kong(2002)
5,000
China
Malaysia
3,000
Thailand
1,000
Philippines(2002)
India
注) 円の大きさは発電設備容量を示す
Indonesia
(2,000)
(1,000)
3,000
8,000
13,000
18,000
23,000
28,000
33,000
GDP per capita (US$)
出典: World Markets Research Center (Electricity Consumption, Generation Capacity, GDP) , Energy Information Association
(Consumption and Generation datas of 2002), CIA Country Briefs (Population,)
中国電力需要の課題
2001年‐2004年の電力消費の伸びは対GDP弾性値1.46(平均)と浪費型で成長
日本の高度成長期は1.2程度だったことから異常な体験
原因は高度成長期の鉄鋼・アルミ需要の伸びにエアコン需要が重なったこと
弾性値
6.0
5.0
発電量/GDP弾性値(日本)
4.0
発電量/GDP伸張弾性値(中国)
3.0
深セン経済特区解放
2.0
1.0
0.0
1962年
-1.0
-2.0
1965年
1968年
1971年
1974年
1977年
1980年
1983年
1986年
1989年
1992年
1995年
1998年
日本と中国に於ける発電量伸び/実質GDP成長の弾性値比較
(1962年∼2003年)
出典:中国統計年鑑、中国電力年鑑、日本統計年鑑
2001年
中国第11次5ヵ年計画の目指す方向
•
ゆとりある社会の建設を科学的な発展により実現
資源節約型・環境型社会の構築
地域間、都市・農村間の調和の取れた発展
•
実施済みの具体的な動き
電力多消費型産業の過分な発展を抑制するマクロ政策実施
電力小売料金を値上げ電力消費量の抑制を実施
購買力平価から見た電力料金はすでに高水準
アジア主要各国の電力料金比較(2002年、米ドル単純換算及びPPP調整)
50.00
45.00
40.00
35.00
¢/kWh
30.00
¢/kWh
¢/kWh-PPP
25.00
20.00
15.00
10.00
5.00
0.00
¢/kWh
¢/kWh-PPP
China
India
Indonesia
Japan
Korea
Malaysia
Philippines
Singapore
Thailand
4.83
22.22
4.65
25.68
4.81
19.00
13.48
11.56
5.91
10.00
6.32
15.00
10.21
43.55
7.82
8.75
6.12
20.87
出典:電力料金水準: 海外電力調査会版「アジア諸国の電力統計 2002年」
購買力平価換算指数: 国連International Comparison Program「2004 World
Development Indicators」
中国電力管理監督部署への提言
•
一律な料金アップによる電力消費抑制には限界がある。
日本と同じ生活様式を送っている富裕層が貧困層と同じ電力料金は不公平。
地域間、都市・農村間の料金差別化をはかり、調和の取れた発展を目指しては
どうだろうか。
電力を多く消費する富裕層は過分に消費する電力量に対
し高い料金を支払い、得た収益を発電事業者に還元し環境
対策設備に投資するシステムを採用してはどうだろうか。
日本の家庭用電力は使用量に応じ料金が段階的に上昇
• 高効率型発電設備、資源節約型発電設備をベース負荷対
応設備とし、その発電所から電力を買い取る電網公司にイン
センティブを与え普及の促進を図ってはどうだろうか。
インセンティブにより小型発電設備は順次、石炭産業の廃棄物(ボタ利用)利用
の資源総合利用発電や熱供給発電に設備改造を図りエネルギーの利用効率を
高める方向に向かうのではないだろうか。
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