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熊本市レジ袋削減社会実験 報 告 書
熊本市レジ袋削減社会実験 報 告 書 平成22年1月 熊本市温暖化対策室 1 1 目的 ~なぜ「レジ袋削減」なのか~ 地球温暖化の防止と循環型社会の構築の ためには、省エネ・省資源やごみの減量など の取組が不可欠であり、行政はもちろん、事 業者や市民の日常生活での取組みが重要で ある。 そこで、市民が普段の買い物で身近に取組 むことができる“レジ袋の削減”を「社会実 験」として全市的に展開することにより、市 民の環境保全意識の向上と実践行動の促進 を図ることを目的として実施したもの。 私たちが目指すもの 地球温暖化の防止・循環型社会の構築 省エネ・省資源 ごみの減量 などの取組みが必要! 身近にできる取組みのひとつ 「レジ袋の削減」 ≪レジ袋削減による4つの効果≫ ① ごみの減量 レジ袋は1人あたり年間約300枚使われているとされており、熊本市内の使用 枚数は、約1億7千万枚と推計される。 ⇒不要なレジ袋を断ることで、ごみの量を減らすことができる。 ② 石油資源の消費抑制 レジ袋1枚を生産するのに、原料として約 18.3 ミリリットルの原油が使われてお り、熊本市内で1年間に約 3,100 キロリットル、ドラム缶※で約 15,500 本分の原 油を使用している計算になる。 ⇒レジ袋を減らすことで、貴重な資源である石油を大事に使うことができる。 ※・・・1缶200リットル換算 ③ 地球温暖化の防止 レジ袋の使用により、熊本市で1年間に約 8,180 トンの二酸化炭素(CO2)を排 出している計算になる。これは約 60 万本の杉が1年間に吸収するCO2の量に相 当する。 ⇒レジ袋を減らすことで、CO2の排出を減らし、温暖化を防ぐことができる。 (市内で使用するレジ袋を半分に減らした場合、杉の木約 30 万本分のCO2削 減効果。 約 800 世帯が1年間に排出する量に相当) ④ 使い捨てライフスタイルの見直し レジ袋を断ることは、普段の買い物で、誰でも、すぐに、簡単に取り組むことが できる身近な行動である。 ⇒レジ袋削減の取組みは、 「使い捨てライフスタイル」から「資源を大切にする ライフスタイル」へ見直すきっかけとなる。 2 2 社会実験実施までの経緯 平成 21 年 2 月に設立した学識経験者・事業者・市民団体・市等からなる「熊本市レジ 袋削減推進協議会」において、 「社会実験」の提案があったことをきっかけに、6 月まで に 5 回の協議を経て実施することとなった。 協議会設置まで (~H20年12月) ≪協議会設置まで≫ ●市民団体・事業者の声 市民団体や事業者から次のような声が市に寄せられていた。 ◆市民団体 「レジ袋削減のためのマイバッグ持参運動を進めてきたが、さらに一歩踏み 込んだ形で取組みを広げる必要がある」など ◆事業者 「ポイント付与など独自のサービスでレジ袋削減に取り組んできたが、大幅 な削減にはつながらない」 「容器包装リサイクル法の改正に伴い、レジ袋な ど容器包装の使用削減義務が生じているが、事業者だけでの取組みには限 界がある」など ●「環境にやさしい“買い物”からはじめる循環型のまちづくりシンポジウム」 開催(平成 20 年 12 月 2 日) 地球温暖化防止と循環型のまちづくりに向けて、レジ袋削減をテーマに次 の内容でシンポジウムを開催した。 ◆基調講演「身近な環境問題とレジ袋削減~三重県の事例」 講師…三重大学学長補佐 朴 恵淑(ぱく けいしゅく)氏 ◆パネルディスカッション(市民、市民団体、事業者、行政の代表による) ⇒レジ袋削減に向けた協議の場の設置について提案された。 3 ≪平成21年2月 協議会設置≫ シンポジウムでの提案を受け、学識経験者、市民団体、事業者など35団体からなる 「熊本市レジ袋削減推進協議会」を設置。 ●第1回熊本市レジ袋削減推進協議会開催(平成 21 年 2 月 9 日) ・レジ袋削減に向けた伊勢市の取組みについて(朴恵淑先生による講演)) ・レジ袋削減に向けた基本方針、協議会の活動方針等について 協議会設置 ●第 2 回熊本市レジ袋削減推進協議会開催(平成 21 年 2 月 27 日) レジ袋削減に向けた基本方針、協定内容、支援体制等について協議が行われ、 協定に先がけて、レジ袋有料化に向けた「社会実験」を行うことが決定した。 ~ 社会実験実施が決まるまで (H21年2月~7月) ●第 3 回熊本市レジ袋削減推進協議会開催(平成 21 年 3 月 19 日) レジ袋有料化社会実験に向けた取組内 容案、広報・PR方法等について協議が行 われ、「社会実験実施にあたり、今回欠席 の協議会会員も含め、より多くの事業者の 理解と協力を得ることが必要」との意見が 出された。 ●第 4 回熊本市レジ袋削減推進協議会開催 (平成 21 年 5 月 13 日) 実施時期の見直し、参加要件などについて協議が行われ、 「市内スーパーの足 並みを有料化で揃える必要がある」 「周知期間が必要」などの意見が出され、6 月上旬に再検討することとなった。 ●レジ袋削減に関するスーパー関係者会議開催(平成 21 年 6 月 4 日) 熊本市内のスーパーに参加を呼びか け、スーパー関係者会議を開催。「スーパ ー・その他店舗」についての参加要件につ いて検討を行い、①社会実験は9月から2 ヶ月間実施すること、②レジ袋無料配布中 止の価格設定は「3円以上」とすること、 ③10月下旬に協定を締結し、引き続き取 組みを継続することの3点について合意 がなされた。 4 ●第 5 回熊本市レジ袋削減推進協議会開催(平成 21 年 6 月 4 日) スーパー関係者会議の検討結果を踏まえ、 「スーパー・その他店舗」の参 加要件が提案され、原案どおり承認され、社会実験の実施内容が決定した。 ●第 6 回熊本市レジ袋削減推進協議会開催(平成 21 年 7 月 23 日) 社会実験 内容決定 レジ袋削減社会実験参加申込状況についての報告のほか、報告書の記載 方法の確認や今後のスケジュール、協定時期の確認等を行った。 ●レジ袋削減社会実験キックオフミーティング(平成 21 年 8 月 4 日) レジ袋削減社会実験の参加団体に 対し市長から「参加登録証」を交付し、 各団体に対し感謝の意を表するとと もに、社会実験の成功に向けた機運を 参加団体募集・事前告知等 (~H21年8月) 高めることを目的として実施した。 ●レジ袋削減社会実験オープニングイベント(平成 21 年 8 月 29 日) 交通センターセンターコートにて、社会実験 PR のためのステージイベン トを開催したほか、新市街・下通アーケードで、社会実験参加団体など約 170 名による街頭パレードを実施し、マイバッグの持参を呼びかけた。 社会実験 スタート (9 月) 5 3 社会実験の実施内容 1.名 称:熊本市レジ袋ダイエットキャンペーン ~レジ袋削減社会実験~ 2.テーマ:「どれだけCO2を削減できるか? 68万人の挑戦」 3.期 間:平成21年9月1日~10月31日(2ヶ月間) 4.対 象:全市民 5.主 催:熊本市レジ袋削減推進協議会・熊本市 6.目 標:マイバッグ持参率50% 7.内 容:①レジ袋の辞退、マイバッグ持参に関する呼びかけ・キャンペーンの実施。 ②レジ袋無料配布中止の場合、レジ袋は有料で提供し、収益が発生した場 合、収益金は社会貢献活動に活用する。 (収益…売上から経費を引いた残り) ③事業者は毎月のマイバッグ持参率を事務局に報告、協議会は結果を公表。 【事業者の取組内容】 スーパー・その他店舗については、レジ袋無料配布中止(3円以上での有料化)を 必須要件とするA方式で実施した。 ただし、コンビニエンスストア・商店街・百貨店についてはB方式でも参加できる こととした。 ①スーパー・その他店舗(A方式) ②百貨店・商店街・コンビニ(B方式) □レジ袋無料配布中止 □キャッシュバック □ポイント制 うち3項目以上 □マイバッグの販売 □声かけの徹底 □意思表示カード □その他 【目標】マイバッグ持参率30% □レジ袋の無料配布中止 (3円以上での有料化) ※必須 □マイバッグの販売 □声かけの徹底 うち2項目以上 □意思表示カード □その他 【目標】マイバッグ持参率80% 【市民団体の取組内容】 市民団体は、消費者に対しマイバッグの持参を呼びかけるとともに、店頭での消費 者への呼びかけなど、事業者の取組の支援を行った。 【社会実験参加団体数】 40事業所85店舗、4市民団体 ・スーパー・その他店舗 …………………………85店舗(30事業所) ・百貨店・商店街・コンビニエンスストア ……10団体 ・市民団体 …………………………………………4団体 6 8.社会実験PR方法 補正予算にて新たな広報経費を計上し、社会実験のPRを強化した。 ・ テレビCMスポット放送 ≪ねらい≫ (8~9月、民放4社、15秒CM) ・ ケーブルテレビ放送(8月) 市民・都市圏住民へのPR 機運の醸成 ・ 熊日新聞5段広告(8月末) ・ 生活情報誌掲載(リビング新聞など) ・ 市電ポスター掲出(8月~) ・ ラジオ広報 ・ 市政だより特集号(9月) ・ オープニングイベント(8月末) 社会実験開始のPR 機運の醸成 ・ 市街地での街頭パレード(8月末) ・ ポスター、のぼり旗、レジ用POP提供 ・ 店内放送用CD提供 ・ 店頭用啓発チラシ ・ 店頭での市民への呼びかけ 店頭での顧客へのPR 顧客の理解の促進 等 9. 社会実験スケジュール 5月 6月 7月 8月 9月 環境月間 ◆ 協 議 会 ◆ 協 議 会 ◆ ◆ イベント ◆オープニング ◆ 協 議 会 10月 ◆ 協 議 会 ◆ 公 表 広報・PR 協定締結 以後 随時募集 ◆報告 ~7/10受付分 →市政だより特集号、 →ポスター等への反映 12月 地球温暖化 防止月間 協定締結による 本格実施 社会実験 協定参加事業者募集 社会実験 参加団体募集 11月 3R推進月間 協定に基づく広報・PR 市政だより特集号 CMスポット放送など 7 家庭ごみ有料化スタート ★環境フェア ★環境の日 ★ごみゼロの日 節水社会実験 4.「社会実験」実施結果について 全体のマイバッグ持参率平均値をみると、実施前の19.1%から、実施後の10月は 79.0%に上昇しており、目標の50%を大きく上回る結果となった。 また、方式別にみると、無料配布中止(有料化)によるA方式は、85%前後で推移して いる。B方式(有料化以外)も実施前と比較して持参率が大変上昇しているが、有料化によ る方法のほうがレジ袋削減の効果は高いことがわかる。 マイバッグ持参率の推移(全体・方式別) 100.0% 84.1% 90.0% 85.7% 80.0% 70.0% 79.0% 77.2% 全体 60.0% 50.0% A方式 (有料化) 40.0% 30.0% 32.5% 20.0% 17.3% 10.0% 0.0% 24.8% 19.1% 2.2% 7月 B方式 (有料化以外) 32.5% 25.8% 3.5% 8月 9月 10月 (8 月)実施前 ⇒ (9 月~)実施後 5. 「協定」締結と今後の展開について 社会実験の結果を受け、この流れを止めることなく、引き続き取組みを進めるため、10 月下旬に「レジ袋削減に向けた取組に関する協定」を締結し、11 月以降も継続して実施す ることとなった。 市及び協議会としては、今後も引き続き参加団体を募りながら取組みを拡大していく方針。 (1)参加団体:39事業所89店舗(スーパー、百貨店、商店街、コンビニ、医療機関等) ※平成 21 年 10 月 22 日締結 ※近隣の協力自治体と関係事業者との協定締結も同時に実施 (2)内容: 事業者・市民団体・行政による三者協定。 事業者ごとに締結 〔事業者〕 レジ袋の無料配布中止やレジでの 声かけ等、市への定期的な報告 〔市民団体〕 市民への呼びかけや事業者の支援 〔行政〕 市民への啓発や広報等による支援 …等 (3)協定期間:平成 21 年 10 月 22 日から平成 25 年 3 月 31 日まで 8