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東京湾奥におけるスズキの摂餌対象の周年変化
11 論 文 書 評 実 践 東京湾奥におけるスズキの摂餌対象の周年変化 The seasonal changing of bait for Japanese Sea-Bass 行 事 報 告 Lateolabrax japonicus in Tokyo bay area 紀行文 論 評 山田 暁生 Akio YAMADA The science department, Kokugakuin high school, Tokyo, Japan Seasonal changing of bait for Japanese sea bass was investigated by using lure fishing. The bait of sea bass for each season was predicted from used lure, their action, the operation for each lure, the reversed bait and visible bait that we confirmed from the shore of each season. The investigations were done in 3 areas in Chuo ward and Koto ward. We could catch 105 sea bass from those areas. From the conclusion of this investigation, it was thought that Japanese sea bass would mainly eat floating mysid in March. From April to May, we guessed, they would eat many kinds of lugworm. It was also presumed that 3-4 cm sized shrimp and gobies were eaten by sea bass in June and July. From September, sea bass would eat the little fish including sardine, as well as little shrimp. The present study confirmed there is clearly the seasonal changing of bait for Japanese sea bass. 諸 論 スズキ Lateolabrax japonicus は、スズキ目・スズキ亜目・スズキ科に属す広塩性海産硬骨魚 類で、沿岸や汽水域を中心に河川内も回遊しており、体長は最大で 100cm を超える。分布域は 北海道南部から九州までの日本列島沿岸であることが知られるが、中でも東京湾はスズキの生 息環境に極めて適した要件が揃い、特に生息密度の高い海域であることが知られる。東京湾は 流入河川数が多く、荒川、江戸川、隅田川、多摩川などの大・中規模の河川が多いうえに、こ れらの河口域には多数の運河が広がっていることから汽水域が拡張しており、スズキが摂餌対 象とする生物が豊富である。また運河域は都市と隣接するため、暗部への嗜好性が高いスズキ が定着する人工構造物が多く、さらにこうしたストラクチャー自体が小型の甲殻類やハゼなど やまだあきお:理科教諭 12 國學院高等学校「外苑春秋」第1号 2011 年 をストックするため、スズキの潜伏行動と摂餌行動を両立しやすい環境が多いと考えられる。 さらには三番瀬を始めとする干潟は遠浅なうえアマモ場が育まれ、仔稚魚の成長に適した環境 である。このように東京湾にはスズキが生息する上で必要な基盤が高レベルで整っていること が、日本有数の個体数貯蓄を維持している要因と考えられる。 スズキは魚食性が強く、主にカタクチイワシ、サッパ、コノシロ、ボラ、アユ、ハゼなどの 小型魚類や、エビやカニ、アミなどの甲殻類、イソメ・ゴカイなどの多毛類など多様な動物を 摂餌する。東京湾の場合、スズキは春から秋には内湾や河川内を回遊しながら盛んにこうした 動物を捕食し、冬が深まるとともに木更津、金谷、洲崎へ徐々に南下移動することが知られる。 これは産卵のための移動と示唆されている。産卵期は概ね 10 月から3月で、盛期は 12 月から 1月であるが、東京湾口海域で産卵された卵は孵化後、成長しながら沿岸や河口付近に集まる。 産卵後の個体は3月ごろまでに再び湾口から北上し東京湾奥に回帰する。 本研究では湾奥海域においてスズキの摂餌する生物を経時的に追うことで、摂餌対象の周年 変化を客観的に明らかにすることを目的とした。その調査方法には摂餌対象を確実に追い、な おかつ自然環境に極力影響を及ぼさない疑似餌による釣獲を用いた。しかし、水中における摂 餌行動を周年で定期的に目視観察することは非常に困難であり、かつ被食種を同定することは 多くの場合難しい。また摂餌行動をおこなっているのがスズキであることも目視では確認でき ない場合が多い。さらに目視で観察可能な範囲は陸上から非常に近い範囲に限定されるため、 水深の深い場所や岸から離れたエリアでの目視観察は不可能である。すなわち目視観察では、 限定的な環境の摂餌行動だけが観察される可能性が高く、被食種のデータに偏りをもたらす可 能性が大きい。一方釣獲の場合、目視観察では回避できないこれらの課題を排除し、より広範 囲に、なおかつ海面から海底までの摂餌行動が捕捉できる。さらに釣獲の場合、スズキが意識 する摂餌層(水深)まで見ることができるが、これは投網等での捕獲では捕捉できない。この ため本研究では摂餌層が明確になるように捕獲方法は釣獲とし、摂餌行動の見られた水深から も被食種を推定することとした。さらに釣獲による調査を行う場合でも、餌を使った釣獲の場 合、客観的なデータを収集するためにはスズキが捕食対象とするイワシ、サッパ、コノシロ、 ボラ、アユ、ハゼ、エビ、カニ、アミ、ゴカイ類といった多様な生き餌を周年にわたって準備 しなくてはならず、これは実質的に不可能である。疑似餌の使用は、周年にわたってこれらの 多様な捕食対象への摂餌行動を代替的に可能にする。 本研究では東京湾奥にスズキの姿が多く見られる3~ 12 月中旬の間(スズキが沿岸から離 れる8月は調査対象にせず) 、疑似餌による捕獲調査を行い、そのときの摂餌対象を経時的に調 査することでその周年変化を明らかにするとともに、湾奥の生態系の周年変動を推測すること を目的とした。 東京湾奥におけるスズキの摂餌対象の周年変化 13 材料と方法 本研究では、あらかじめ選んだ 25 種類の疑似餌を使用し、それらを形状や特性から6つのグ ループに分類した。使用した疑似餌とそれらの分類、および各疑似餌に対応する被食者は以下 の通り(Table 1, Fig. 1, Fig. 2 ) Table 1 Category, name and corresponded bait of each lure. group of lure code name of lure Action corresponded bait of each group group A A-1 Marib sinking pencil A-2 Rolling bait St A-3 Yore yore~ W group B B-1 Yarukiba W lugworm, slim shape sinking pencil B-2 Wonder slim70 W small fish (slim shape) B-3 Manic R B-4 Rise B-5 Grasshopper R, B-6 Yaruki stick W groupC C-1 TKLM R small fish: over10cm floating minnow C-2 Komomo counter R especially stringer, C-3 Komomo Ⅱ Wr Wr (over 10cm) W, S small fish, mysid (sardine, needlefish etc.) W, Ri spotted shad C-4 Sardina107 group D D-1 Komomo slim R small fish: less than 10cm , floating minnow D-2 Komomo slim tuned St and lugworm (less than 10cm) D-3 SasukeSF95 S group E E-1 Brast Wo, S small fish: sinking minnow E-2 Brast65 Wo, S mostly sardine E-3 X80SW Wo, S E-4 Pintail tune6 E-5 Su-san group F F-1 Slight edge V, S shrimp, small crab, vibration F-2 Bay slag W, S goby and sardine F-3 Range vib V, S (less than 10cm) Wr R F-4 Slide S, St Category of lure action/ W: waving S: slide St: strait R: rolling Wo: wobbling Wr: Wobbn’roll V: vibration Ri: rising 調査時、疑似餌には6パターンの操作を加え、摂餌行動を誘導することとした。この6パタ ーンの操作のうち、どの動きに反応があるかを調査した。疑似餌に与える6種類の操作は以下 の通り。 14 國學院高等学校「外苑春秋」第1号 2011 年 Fig. 1 Used lures(group A ~ group C) Fig. 2 Used lures(group D ~ group F) 東京湾奥におけるスズキの摂餌対象の周年変化 15 (操作1)Normal retrieve 投入した疑似餌を一定の速度で引いてくる操作。疑似餌は水を受けて動き、その水圧によっ て多くは振動を発生しながら泳ぐ。最も基本的な操作。 (操作2)Jerking 瞬間的に疑似餌を強く引く操作。一時的に強く引かれるため、疑似餌は側面で水流を受けな がし、左右にスライドする。通常連続してジャーキングを用いる。 (操作3)Drift 流れの上流に疑似餌を投入し、潮流に疑似餌を乗せて流しながら引いてくる。水流を受ける 力が弱いので疑似餌の動きは弱くなる。 (操作4)Slacking 鉛直方向へのジャーキングと斜め下方への自然落下を交互に連続させる操作。主に足元で行 う。 (操作5)Drift + Retrieve 流れのやや上流に疑似餌を投入し、潮流に乗せて流した後、リトリーブに入る。リトリーブ に入ってから徐々に水を受ける力が大きくなるため、次第に大きな振動を発生しながら動く。 (操作6)Combination 「数回のジャーキングからリトリーブ」という操作をくり返す。不規則な動きを演出し、反射 行動を誘発する動きと、摂餌行動を可能にする間を両立する。 それぞれの疑似餌をスズキが実際に摂餌した回数を計測するとともに、疑似餌の種類や動き から実際に被食されている対象を推定した。同じ疑似餌を使用した場合でも、操作によって演 出できる被食者が変わるため、捕獲時に施した操作も同時に記録した。同時に吐瀉物が確認で きる場合はそれを構成する未消化物を分析することでこれを裏付けた。調査海域は地域性の違 いを極力排除するために、中央区一地点・江東区二地点の計三地点に限定し、すべて隅田川の 影響を受ける海域であることをその条件とした。また調査時の潮汐は無作為選択、一度の調査 時間は2~3時間とした。また摂餌行動は魚が完全に食いつき、なおかつ魚がスズキであるこ とを確認できた場合のみをカウントした。 また、岡本ら( 2001 )によれば、疑似餌の色や背景色が捕食行動に影響し、疑似餌色と背景 色の組み合わせによって食いつきの回数に有意差が認められることが指摘されている。しかし 本調査は隔離空間における実験試行ではなく、条件の常に変化するフィールドにおける調査で 16 國學院高等学校「外苑春秋」第1号 2011 年 あるため、水色や水温、流れ、光量などといった実験背景のコントロールは実質的に不可能で ある。またフィールドにおいて天然魚を対象にした調査は、水槽で行われる場合に比べてデー タ数の確保が格段に難しい。そのため疑似餌色は昼夜問わず白系統、透明、鏡面反射する色彩 の三系統色のみに絞り、その時の状況によってこの三色を使い分けることを許容する方式をと った。こうして色の影響を極力排除するとともに、データ数の確保を最優先することとした。 結 果 1.疑似餌の種類と捕食行動の周年変化 2010 年3月から7月、9月から 12 月に計 46 回の調査を行った結果、合計 105 個体の捕食行動 を得た。調査月における各疑似餌の捕食数は以下のとおりである(Table 2, 3 )。 Table 2 Number of fish bites for each lure. group of lure code Mar. Apr. May Jun. Jul. Sep. Oct Nov. Dec. Total Number group A A-1 1 1 2 sinking pencil A-2 3 3 A-3 1 1 group B B-1 3 3 6 sinking pencil B-2 1 1 (slim shape) B-3 10 3 13 B-4 1 1 B-5 7 7 B-6 1 1 group C C-1 0 floating minnow C-2 0 (over 10cm) C-3 0 C-4 2 2 group D D-1 0 floating minnow D-2 1 1 (less than 10cm) D-3 1 1 2 group E E-1 2 1 4 7 sinking minnow E-2 7 3 10 (less than 10cm) E-3 0 E-4 7 1 1 9 E-5 1 4 1 6 12 group F F-1 2 12 1 15 vibration F-2 1 1 1 1 4 F-3 0 F-4 8 8 Number of bites/Month 7 18 13 7 24 5 15 12 4 105 Number of research times 3 6 4 6 7 2 7 7 4 46 times/year Average number of bites 2.28 bites/ 2.33 3 3.25 1.17 3.43 2.5 2.14 1.71 1 /1 research for each month 1reserch 3月は E-4 という、調査に用いた疑似餌のうち最も小さな疑似餌のみに摂餌行動が得られ た。4・5月は概ね細身のシンキングペンシル(B類)に摂餌行動が集中し、6月は動きの大 17 東京湾奥におけるスズキの摂餌対象の周年変化 きな E-1、操作によって左右に大きくスライドする F-1 に多くの摂餌行動があったが、同時に 逆に動きの小さな A-2 が 42.9%もの摂餌行動を獲得し、スズキの捕食を誘発した疑似餌は複合 的であった。7月から 10 月は概ね小魚の動きを模した動作の大きな小型ミノーや、操作を加え ることで水中を左右にスライドしやすいバイブレーション(F類)に摂餌行動が集中した。11 月に入るとそれらの疑似餌に加え、潮の流れに同調させて泳がせるタイプの A-1 での摂餌行動 が見られた。また夏期はジャーキングで多数の摂餌行動を得られていた E-5 も、この時期はリ トリーブ操作によって摂餌を誘発した。しかし 12 月に入ると大きな動作をする疑似餌への摂 餌行動は減り、10 cm以上の大きなフローティングミノーに摂餌行動があった。 Table 3 Number and percentage of fish bites in each lure category for each month. group Mar. Apr. May Jun. Jul. Sep. 3 A 42.90% Oct. Nov. Dec. Total 1 1 1 6 6.67% 8.33% 25.00% 5.71% B 16 13 29 88.90% 100% 27.62% 2 2 C 50.00% 1.90% D 1 1 1 3 5.55% 4.17% 25.00% 2.86% 13 9 E 7 2 2 5 100% 28.55% 8.33% 100% 2 21 1 2 27 6.67% 16.67% 25.71% 5 15 12 4 105 F Bites/Mon. 7 1 5.55% 18 13 28.55% 87.50% 7 24 38 86.66% 75.00% 36.19% 3月、4月、5月、7月、9月、10 月では 86%以上の摂餌行動が特定のカテゴリーに集中し、 11 月も 75%の摂餌行動が特定のカテゴリーに偏重した。この結果から考えて疑似餌の特定の カテゴリーへの季節的嗜好性が極めて顕著に存在することが明らかになった。 2.疑似餌の操作と捕食行動の周年変化 次に疑似餌の操作による動きの違いが、スズキの摂餌行動数にどのように影響するかを季節 ごとにまとめた。疑似餌の操作を6つのパターンに分類し、どの操作で摂餌行動を誘発したか を記録したのが以下の結果である(Table 4 )。 18 國學院高等学校「外苑春秋」第1号 2011 年 Table 4 Number and percentage of fish bites in each operation for each month. operation Mar. Apr. May Jun. Jul. Sep. Oct. Nov. Dec. Total Normal 3 2 1 6 retrieve 42.85% 8.33% 8.33% 5.71% Jerking 4 21 5 5 35 57.15% 87.5% 100% 33.33% 33.33% Slacking 1 1 1 2 5 5.55% 4.17% 6.67% 16.67% 4.76% Drift 17 13 1 94.45% 100% 25.0% 29.52% Drift + 7 1 3 retrieve 100% Combination 7 8.33% 75.0% 10.48% 9 8 60.0% 7 24 5 15 18 13 31 11 17 66.67% 16.19% 12 4 105 3月はドリフト+リトリーブという比較的緩やかな操作で摂餌行動が誘発された。ジャーキ ングや速めのリトリーブで摂餌行動を誘発することはできなかった。 4月・5月は概ね潮流に疑似餌を同調させながら引いてくる比較的疑似餌の動きを抑えた操 作でほとんどの摂餌行動が得られた。ドリフトで得られた 30 回の捕食がこれに当たるが、その うち 29 回は夜間に得られた。残りの1回は同じドリフトながら明るい時間に摂餌行動があっ た。 6月に見られた摂餌行動は、ノーマル・リトリーブによって得られたパターンとジャーキン グによって得られたパターンに完全に割れたことが特徴的だった。7月入るとそれまでのドリ フトやノーマル・リトリーブのような一定の動きでは摂餌行動が見られなくなり、リトリーブ やジャーキングといった疑似餌を大きく動かす操作に摂餌行動が集中するようになった。この 傾向は 10 月まで続いたが、10 月に入るとコンビネーションで誘発される摂餌がそれを上回っ た。11 月以降はこうしたジャーキングやコンビネーションの操作に加え、リトリーブやドリフ ト+リトリーブによって引き出された摂餌行動も併せて見られた。 また 12 月にはジャーキングやコンビネーションには反応しなくなり、ドリフト+リトリー ブもしくはドリフト操作にのみ摂餌行動があった。 考 察 以上の結果から、疑似餌の種類や動き、および疑似餌の操作によって得られる摂餌行動のパ ターンには明らかに季節性があると見ることができる。これらの結果から各季節の摂餌対象の 変遷を推測していきたい。 東京湾奥におけるスズキの摂餌対象の周年変化 19 3月は今回の調査で用いた疑似餌の中で最も小さな E-4 のみに摂餌行動があり、それはドリ フト+リトリーブという潮流を意識してスズキが定位すると思われる範囲に疑似餌を流し込ん でいく操作によってのみ得られた。特に夜の橋の下などにできる明暗部の境目に、潮流に乗せ て疑似餌を流し込み、そこからごく低速で引き始めた段階での摂餌がほとんどであった。また この時期の吐瀉物の大半はアミを中心とするプランクトンから構成されており、なおかつ摂餌 行動が得られる地点は1m四方ほどの狭いエリアに限定されていた。摂餌行動が観察された日 はアミの発生が目視で確認できた。 このことからこの時期は動きの小さなアミが大量発生し、それが潮流に乗って流れてくるの をスズキは流れの中に定位して待っている状態であると推測できる。反応する範囲も限定され た極めて狭いエリアで、そこに疑似餌を通したときに弱々しく疑似餌を咥えるものばかりであ った。 ニホンイサザアミを代表とするこれらのアミ類は、全長が1cm 前後という非常に小さな動 物である。そのことと小さな疑似餌にしか反応がなかったことに相関関係があるかどうかは、 スズキが疑似餌の大きさに反応したのか、それとも動きに反応したのかがはっきりしないため 現在のところ不明である。一方この時期は透明な疑似餌への反応が良好であり、これは色素が 未沈着、あるいは非常に少ないアミ・エビ・仔魚への摂餌履歴に起因する学習行動の可能性が 指摘されている(岡本,川村,田中 2001 ) 。本研究においてもこの傾向は顕著に肯定され、透 明の疑似餌への反応性が高かった。 4・5月は概ね細身のシンキングペンシル(B 類)に摂餌行動が集中し(4月 88.9%,5月 100%) 、なおかつ潮流に疑似餌を同調させながら引いてくる比較的疑似餌の動きを抑えたドリ フト操作でほとんどの摂餌行動が得られたが(Fig. 3 )、この時期の吐瀉物はほぼ 100%多毛類 (イソメ類)で構成されていた。この時期は日没からイソメ類の産卵行動(いわゆるバチ抜け) が見られ、日によっては大量のイソメ類の遊泳行動が目視で確認された。イソメ類は細長い形 態で、主に3~6月に産卵行動が見られるが、体長は概ね5cm から長いもので 20cm ほどで、 潮流に流されながら遊泳している。そのため細身でゆらゆらとS字カーブを描いて泳ぐスリム タイプのシンキングペンシルを潮流に逆らわずに流しながら操作するドリフトがイソメ類の動 きを描写し、その動きにこの時期のスズキが強く反応したと考えられる。 調査中、スズキが遊泳するイソメ類を水面の定点で摂餌する行動が繰り返し確認され、そこ に疑似餌を通すとあっさりとその疑似餌を咥えるケースが多かった。またこの時期は疑似餌を ひったくるような摂餌ではなく、疑似餌を咥えてゆっくり沈下するようなケースがほとんどで あった。このことからスズキは基本的に定位しながら、潮流に乗って流れてくるイソメを吸い 込むように捕食し、その後定位置に戻る行動をくり返していると考えられる。4・5月に得ら れた 30 回の摂餌行動のうち 29 回は夜間に得られたこともバチ抜けの起こる時間帯と重なる。 20 國學院高等学校「外苑春秋」第1号 2011 年 残りの1回は明るい時間に得られたが、夜間と同じように細身のシンキングペンシルを使用し た水面直下のドリフトでゆっくりと摂餌してきた。これは小型魚類を追っているときの動きで はなく、夜間に記憶したイソメの幻影を追っているような捕食行動であった。 Fig. 3 An individual bit drift operated B-5. 6月に見られた摂餌行動は、ノーマル・リトリーブとジャーキングという対照的な2つのパ ターンに割れたことが特徴的だった。単一な動きのノーマル・リトリーブと、疑似餌を左右に スライドさせるジャーキング、日によって言わば「静」と「動」それぞれの動きにパターンが 分かれた。 疑似餌の種類でもスリム型のシンキングペンシルに変わり、大きな波動で泳ぐブ E-1 で2 回、長いダート幅でスライドする F-1 で2回の摂餌行動が得られた。ともに連続のジャーキン グで疑似餌を瞬間的に左右にスライドさせることで得られた摂餌行動であった。 一方で逆に動きの小さな A-2 への摂餌も3回見られた。E-1 や F-1 を摂餌した個体の吐瀉物 は4~5cm のハゼとエビであったが、A-2 で摂餌を得た個体の吐瀉物はイソメ類で構成され ていた。また A-2 の場合は水面直下をごく低速で引いたときに静かに摂餌されていることもあ り、これらはイソメ類を意識した個体であったことが強く推測される。 6月以降の摂餌行動は潮の流れの中よりも人工構造物や障害物周辺で行われることが多かっ た。この時期はイソメ類の産卵行動もほぼ終盤で、スズキの摂餌対象がイソメから障害物周辺 東京湾奥におけるスズキの摂餌対象の周年変化 21 Fig. 4 One individual bit nomal retrieved E-5 lure. に着く小魚や甲殻類に移行する過渡期であると考えられる。イソメを意識した個体に比べ、小 魚やエビを意識した個体の捕食行動は非常に激しく、突然疑似餌をひったくるように攻撃して くるのが特徴であった。 7月から 10 月は小魚の動きを模した動きの大きな E-1 などの小型ミノーや、ジャーキング操 作を加えると水中でスライドしやすい F-1、F-4、E-5 に摂餌行動が集中した(Fig. 4, Fig. 5 )。 これらの疑似餌は泳がせれば小魚を模し、障害物周りでジャーキングをすると壁際から跳ね逃 げるエビやハゼを演出することもできる。多くの摂餌行動はこうした疑似餌を中心に得られ た。 吐瀉物の構成は7月まではハゼとエビであったが、9月以降はハゼの姿が消え、カタクチイ ワシを中心とする小魚が主体となった。特に 10 月に小型のカタクチイワシの群れが接岸した 際には吐瀉物も 100%イワシで締められていた。 また 10 月のイワシの接岸以後はジャーキングのみの操作よりも、ジャーキングとリトリー ブを合わせたコンビネーションへの反応が高く、摂餌行動の誘発数でジャーキングを上回るよ うになった。コンビネーションは、左右に疑似餌をスライド操作するジャーキングと、疑似餌 を摂餌するための間を与えるリトリーブを複合した操作である。この時期のスズキは7~9月 と同様に大きな動きに反応する点では変わりはないが、動きの速いイワシを意識しているた め、より複雑な(複合的な)動きに対して反射的に摂餌する傾向があると推測できる。 22 國學院高等学校「外苑春秋」第1号 2011 年 Fig. 5 One sea bass bit jerked F-1. また 11 月に入るとそれまでの動きの大きな疑似餌に加え、潮の流れになじませて泳がせる タイプである A-1 への摂餌行動が見られた。一方これまでは、大きくジャーキングすることで 順調に摂餌行動が得られてきた E-5 であったが、この時期は流れの中をゆっくりとリトリーブ することによってスズキの摂餌行動を得た。これらはいずれも夜間であった。コンビネーショ ンに対する反応が良好な一方で、こうした潮流を通したときに得られる捕食はいずれも比較的 表層を引いたときに得られたものであり、ボラの稚魚を意識した個体ではないかと思われる。 また 11 月下旬はシラスの大群が接岸し、どの疑似餌でも捕食を誘発するのが難しい状況があ った。スラッキングやコンビネーションといった複雑な動きを演出することによって反射的に 摂餌させることはできたが、こうした個体は疑似餌の大きさがスズキが実際に意識している対 象と大きく異なるためになかなか摂餌しない状況であった。逆に言えば、この状況でスズキが 意識していたのは完全にこのマイクロベイトであった。 12 月に入ると岸際の魚数が減り、20 cm以下の未成熟な個体を残して、多くの個体が産卵の ために湾奥を離れていったと考えられた。残った個体も岸近くに着いているものは少なく、夏 から秋にかけて反応の良かった大きな動きの疑似餌や操作には反応しなくなった。また流れや 海底の起伏、照明、意識している捕食層(水深)を厳格に推定しないと食わせるのが難しい状 況になった。摂餌行動が起こるのは広大なフィールドのなかの限られたピンスポットになった 東京湾奥におけるスズキの摂餌対象の周年変化 23 ことからも、個体数が少ないためにそれぞれの魚は最も条件の良い場所に定位できる状態のよ うに思われた。また夏のように餌の動きに反射的に反応する食い方から、じっくりと見て捕食 しているように摂餌のあり方も大きく変化したように感じられた。個体数の減少が競争を緩和 している可能性がある。またデータの少ない中でも 10cm 以上の疑似餌で初めて摂餌行動があ り、捕食対象の小魚が大きくなっていることがうかがわれた。 一方で、スラッキングによる摂餌行動は4・7・11 月に得られたが、どの場合も障害物際で なおかつ陰になっているなどの、スズキが姿を隠す上で好条件の重なった限定的なエリアに定 位していた個体であった。スラッキングでの疑似餌の動きは大きく、やはり小魚や跳ねたエビ を模した動きに対応すると考えられるが、こうした場所では連続して摂餌行動が得られること はなかったことから、単独で障害物に着いていた個体が反応したものと思われる(Fig. 6 )。 Fig. 6 An individual bit slacking operated F-2. スズキの口器は非常に大きく(Fig. 7 ) 、捕食行動を見ると周囲の水ごと疑似餌を吸い込むの が分かる。この口器でアミのようなわずか1cm にも満たない動物から、ボラの稚魚のように 20cm 近い小魚まで捕食することができる。スズキの食性の貪欲さから考えて、体調1cm ~ 20cm の範囲の動物で、その時その周囲の生態系において最も個体数の多い動物を摂餌対象と して意識しているであろう。 24 國學院高等学校「外苑春秋」第1号 2011 年 Fig. 7 Mouth of Japanese sea bass. こうして摂餌された疑似餌の動き、操作方法、吐瀉物の構成、その他摂餌行動があった時の 状況から推定した、その時々のスズキの主な摂餌対象生物は以下のとおりである(Table 5 )。 スズキが意識する捕食対象は季節ごとに変化することがわかる。 Table 5 Seasonal changes of main bait for sea bass in Tokyo bay area. Main bait Mysid Lugworm Mar. Apr. May Jun. ◎ Jul. Sep. Oct. Nov. Dec. ◎ ○ ◎ ◎ ◎ ○ ○ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ Goby ○ ◎ ◎ Shrimp ○ ◎ ◎ Sardine Springer ◎:main bait ○:secondary bait 今回の調査では、アミの発生とイソメの産卵行動は季節性の現象であったが、ボラについて は年間を通じて遊泳する姿が目視された。ただし吐瀉物中にボラが確認されたのは 11 月以降 であった。また東京湾奥におけるイワシの接岸は秋以降に不定期にあることが知られるが、 2010 年もやはりその傾向があった。エビとハゼについては6~7月に多く見られたがその他の 季節にも存在していると考えられる。しかし特に4・5月はこれらは存在していたとしても、 東京湾奥におけるスズキの摂餌対象の周年変化 25 多毛類の個体数の多さにかくれて主たる捕食対象にはなっていない可能性がある。 スズキは特定の動き(もしくは特定の疑似餌)にしか反応しないことが多く、日によってそ のパターンは異なる場合が多い。それはスズキが特定の摂餌対象のみを意識していて、日によ ってそのコンディションが変化するからと考えられる。多くの場合それはその時その周辺にお いて、1~ 20cm 前後の生物の中で個体数が多い種であるため、本研究ではスズキが意識して いる捕食対象となっている動物の季節変化を追うことで、湾奥水圏における構成生物、ことに 低次消費者層の周年変化をある程度推測することができた。 ただし生態系として見るのではなく、スズキについてのみ考えればこれらはあくまでも概況 であり、実際にはこれにあてはまらない状況もしばしば見られた。季節外れの餌が大量に接岸 した場合、スズキの意識は季節性に関係なくそちらに向かう場合があった。シラスが接岸した 場合などがそれにあたり、スズキはこの季節外れの対象に執着していた。 しかしこうした季節的例外が顕著に示すように、いずれの生物を捕食している場合も、スズ キの意識はその時の状況に応じ、特定の一対象への執着性が極めて高く、たとえあらゆる疑似 餌を用いたとしても常に特定の動作にのみ反応し、異なる動きの疑似餌は完全に無視される場 合がほとんどであった。また摂餌行動が複数回得られた場所では、同時に摂餌対象の生物の存 在を同場所において目視で確認できることが多く、逆に摂餌行動の得られなかった場合は同地 点に餌となる生物が確認できなかったことが多かった。すなわちスズキの食性はその場に高密 度で存在する生物に依存して常に変化し、なおかつそうした小型動物がまとまって存在する箇 所を探してスクールを形成しながら回遊していると思われる。そして餌の個体群を発見すると その場に(摂餌対象生物に)定着し、捕食をくり返す性質があると考えられる。 しかしながらスズキの個体が捕獲された場所には経験上多くの共通点がある。客観的な検証 がなされていないためその記述は控えるが、筆者はスズキが「場」と「餌」の双方に着く傾向 があると考えている。また水の色や潮流、塩分濃度、気温、水温、降雨、日照、風向き、風の 強さなど、自然条件によって捕食行動が得られやすい時とそうでない場合がパターンとして存 在すると感じている。今後はそうした諸条件の客観的解明も視野に入れていく必要があろう。 また本研究において結果は出たものの、現段階はいまだデータ数が充分ではない。経年変化 や年ごとに変異、もしくは月によってはデータ不足による誤謬が存在する可能性もあり、本研 究における客観性の強化と再現性の確認のためにさらなるデータの蓄積を要する。 26 國學院高等学校「外苑春秋」第1号 2011 年 摘 要 本研究では東京湾奥にスズキの姿が見られる3~ 12 月の間、疑似餌による捕獲調査を行い、 そのときの食性を経時的に調査することでスズキ類の摂餌対象の変化を明らかにするととも に、湾奥の生態系の周年変動を推測することを目的とした。捕獲方法は釣獲とし、疑似餌を使 用することで、周年にわたって多様な摂餌対象の再現を代替的に可能にした。25 種類の疑似餌 を使用し、かつ6パターンの操作を加え、摂餌行動を得ることとした。またそれぞれの疑似餌 に対してスズキが実際に摂餌行動を起こした数を計測するとともに、疑似餌の動きから実際に 捕食している対象を推定した。同時に吐瀉物が確認できる場合はそれを構成する未消化物を分 析することでこれを裏付けた。 2010 年3月から7月、9月から 12 月中旬に東京湾奥3地点において計 46 回の調査を行った 結果、合計 105 個体の摂餌行動を得た。 3月は小さな疑似餌のみに摂餌行動が得られた。4・5月は概ね細身のシンキングペンシル に摂餌行動が集中し、6月以降は概ね小魚の動きを模した動きの大きな小型ミノーや、操作を 加えることで水中でスライドしやすいバイブレーションに摂餌行動が集中した。11 月に入ると それらの疑似餌に加え、潮の流れに同調させて泳がせるタイプの疑似餌で摂餌行動が得られ、 12 月には 10cm を超える疑似餌で摂餌行動が見られた。 また疑似餌の操作では、3月はドリフト+リトリーブで摂餌行動が見られた。4月・5月は ドリフト操作でほとんどの捕食行動が得られた。6月以降はリトリーブやジャーキングといっ た疑似餌を大きく動かす操作に捕食行動が集中するようになった。11 月にはこれに加え、ドリ フトやドリフト+リトリーブの操作でも捕食が観察された。しかし 12 月に入るとジャーキン グやコンビネーションのような大きな操作への反応性は極端に下がった。 以上の結果は、疑似餌の種類や動き、および疑似餌の操作によって得られる摂餌行動のパタ ーンには明らかに季節性があることを明瞭にした。3月は動きの小さなアミが大量発生し、そ れが潮流に乗って流れてくるのをスズキは流れに定位して待っている状態であると推測でき た。4・5月はスズキは基本的に定位しながら、潮流に乗って流れてくるイソメを吸い込むよ うに摂餌し、その後定位置に戻る行動をくり返していると考えられた。6月はイソメ類の産卵 行動もほぼ終盤で、スズキの摂餌対象がイソメから障害物周辺に着く小魚や甲殻類に移行する 過渡期であると考えられた。7月まではハゼとエビ、9月以降はエビに加え、カタクチイワシ を中心とする小魚が主たる摂餌対象であり、特に 10 月はイワシを反射的に捕食する傾向があ ると推測できた。11 月に入るとボラの稚魚を意識した個体が増えたと推測された。以上のこと から湾奥におけるスズキの摂餌対象には明確な季節性があることが客観的に明らかになった。 スズキの食性から考えて、体調1cm ~ 20cmの範囲の動物で、その時の生態系において最も 密度の濃い種が摂餌対象生物になっていると推定できた。これらの生物が湾奥水圏における低 東京湾奥におけるスズキの摂餌対象の周年変化 27 次消費者構成の主役として、季節ごとに高次消費者の個体数を支える役割を演じていると考え られた。 謝 辞 文献の検索・取り寄せを快く引き受けてくださった國學院高等学校図書室の只木慧司書教諭 に心から感謝申し上げたい。只木司書教諭の仕事の早さ、情熱には頭が下がる思いである。ま た筆者の釣りに対する独特の見方に関心を持ち、共感してくださった諸先生方に感謝したい。 生物学は理論と実学から成立しており、筆者にとってはこの魚を追うことが理論と実際を符合 させる作業であり、なおかつ生徒にとって興味深い授業を作り上げるための極めて大事な材料 となっている。そのことを理解してくださったことに心から感謝する。また本研究は疑似餌に よる釣獲法が確立されることで初めて可能であった。長年にわたりこれを確立された村岡昌憲 氏・大野ゆうき氏に謝意を申し上げたい。技術的に未熟な筆者が周年調査をコンスタントに行 うことができたのは、両氏に依るところが大きい。 【文 献】 岡本一,川村軍蔵,田中淑人:異なる背景色におけるスズキのルアー色の選択.日本水産学会 67( 3 ) , 449-454( 2001 ) 尾崎真澄,庄司紀彦:東京湾における遊漁船によるスズキ釣獲量の推定.千葉県水産試験場研究報告 ( 57 ),173-179,2001-03 畑中正吉,関野清成:スズキの生態学的研究-Ⅰ スズキの食生活.日本水産学会誌,28, 851-856 ( 1962 ) 畑中正吉,関野清成:スズキの生態学的研究-Ⅱ スズキの成長.日本水産学会誌,28, 857-861 ( 1962 ) 畑中正吉,関野清成:スズキの生態学的研究-Ⅲ スズキの生産効率.日本水産学会誌,28, 949-954 ( 1962 ) 日比野学,上田拓史,田中克:筑後川河口域におけるカイアシ類群集とスズキ仔稚魚の摂餌.日本水産 学会誌 65( 6 ),1062-1068, 1999-11-15 28 國學院高等学校「外苑春秋」第1号 2011 年 【資 料】 以下の疑似餌の機能についての資料は論文内容に含まないが、専門外の読者の本論への理解 を助けるために収録する。 (1)疑似餌の構造と動きのメカニズム 疑似餌は主に小魚などスズキの捕食対象生物の形態を模している(補助図1)。バルサ材やプ ラスティック、シリコン等を素材とし、錘を下部に内蔵して上下軸を作り、多くは前方下部に リップとよばれる水圧を受ける部位をもつ。リップをもたないものもあるが、いずれもライン を引いてくる際にリップおよびボディーに水圧を受けることでそれぞれ独自の動作を生じる。 リップの形状や大きさ、ボディーの形状、錘の重さ、錘の位置、ボディーの浮力、フックの重 さなど多くの要素がその動きを決める。 ライン 水流をリップで 受ける リップ 重り 補助図1 疑似餌の基本構造 前方からの物理的水圧を受けることで生じる疑似餌の動きは大別すると、直進、S字型、ウ ォブリング(上下を固定軸に左右に振幅する) 、ローリング(前後を固定軸に回転方向に振幅す る) 、ウォブンロール(ウォブリングトローリングの中間的動作)、微細動振動などに分別でき る。 29 東京湾奥におけるスズキの摂餌対象の周年変化 (2)疑似餌の操作と動き 疑似餌の操作方法に関しては便宜上ノーマル・リトリーブ、ジャーキング、ドリフト、スラ ッキング、ドリフト+リトリーブ、コンビネーションに分けた。それらの操作の俯瞰図が補助 図2である。 (立ち位置) (立ち位置) (立ち位置) ジャーキング による スライド (立ち位置) ドリフト 潮流 潮流と同調させて引く 潮流に逆らって引く ノーマル・ リトリーブ (立ち位置) ドリフト + リトリーブ コンビネーション ※スラッキングは平面運動ではないので図示は不可。表2参照のこと。 補助図2 各操作による疑似餌の動き