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第 5 章 環境放射線等の監視
第5章 環境放射線等の監視 第 5 章 環境放射線等の監視 ■環境放射線等調査の概要 島根県では原子力発電所周辺地域住民の安全確保及び環境の保全を図る立場から、安全協定に基づいて環 境放射線や温排水等の調査を実施しています。 【環境放射線等の調査と公表】 環境放射線等の調査は、島根原子力発電所周辺環境放射線等測定技術会(以下、「技術会」という。)で、 毎年度、島根原子力発電所周辺環境放射線等測定計画(以下、「測定計画」という。)案を立案し、松江市及 び中国電力(株)の意見を踏まえて知事が測定計画を策定します。その後、測定計画に基づき、島根県原子力 安全対策課原子力環境センター、島根県水産技術センター内水面浅海部浅海科及び中国電力(株)が測定を実 施します。 調査結果は、技術会において技術的な検討・評価をした上で、知事に報告され、報告書等に取りまとめて 公表しています。 測定計画の立案 ↓ 測定計画の策定 ↓ 環境放射線・温排水の測定 ↓ 測定結果の評価・報告 ↓ 測定結果の公表 ↓ 安対協での説明 技術会において環境放射線及び温排水等の測定計画を立案します。(毎年立案) 松江市及び中国電力(株)の意見を踏まえ、知事が測定計画を策定します。(毎年 策定) 島根県原子力安全対策課原子力環境センター、島根県水産技術センター内水面 浅海部浅海科及び中国電力(株)が測定を実施します。 技術会において、測定結果の分析評価を行い、知事に報告します。 県は調査結果を公表します。 (四半期報告書・年度報告書の作成、広報誌、新聞広報、ホームページなど) 島根県原子力発電所周辺環境安全対策協議会において調査結果を説明します。 ■島根原子力発電所周辺環境放射線等測定技術会 ◇設置目的:島根原子力発電所周辺地域住民の安全確保等に関する協定の規定に基づく環境放射線及び温 排水等の測定結果のとりまとめ及び評価等を行うこと ◇所掌事務: 環境放射線及び温排水等の測定計画の立案に関すること 測定結果のとりまとめ及び分析評価に関すること その他測定に関する技術的事項に関すること ◇構 成: 技術会は、委員10人以内をもって組織し、委員は以下の者から知事が委嘱し又は任命する。 また、会長は、島根県原子力環境センター長をもって充てる。 学識経験者 島根県防災部原子力安全対策課原子力環境センターの職員 島根県農林水産部技術センター内水面浅海部浅海科の職員 ◇会 議: 会議は、会長が招集し、その議長となる。 【定例会】… 四半期ごとに開催、【臨時会】… 必要に応じて開催 47 ●しまねの原子力 <その他の出席者> ○出席を求め意見を聞くことができる者 原子力規制庁地方放射線モニタリング対策官 松江市、出雲市、安来市、雲南市 ○調査実施者として調査結果や施設の状況等についての説明者 中国電力㈱ ■環境放射線調査の実施状況 ○環境放射線調査の目的 環境モニタリングの基本目標は、島根原子力発電所周辺住民等の健康と安全を守るため、環境におけ る原子力発電所に起因する放射性物質又は放射線による周辺住民等の線量が年線量限度を十分下回って いることを確認することです。 具体的には、 ①周辺住民等の線量を推定・評価すること、 ②環境における放射性物質の蓄積状況を把握すること、 ③発電所からの予期しない放射性物質又は放射線の放出による周辺環境への影響の評価に資すること、 ④異常事態発生の通報があった場合、緊急時のモニタリングの準備を開始できるように体制を整えること、 です。 このような考えに基づき、空間放射線及び環境試料中の放射性物質の測定を行っています。 調査には、 「空間放射線の測定」、 「地表面における人工放射能の測定」及び「環境試料の放射性核種分析」 があります。 ○空間放射線の測定 島根原子力発電所周辺に空間放射線量率を連続測定するためのモニタリングステーション及びモニタ リングポストを設置し、測定結果を集中監視(2分間の平均値を伝送)しています。 なお、平成24年度には、新たに13局を追加設置し、従来の11局から24局に増設して監視体制を強化し ました。 また、原子力発電所周辺に空間放射線積算線量を測定する蛍光ガラス線量計(RPLD)を設置し、四 半期毎の積算線量を測定(16 ヶ所)しています。 ○地表面における人工放射能の測定 可搬型ゲルマニウム半導体検出器を運搬し、現場において地表面での人工放射能の測定を行います。 ○環境試料中の放射性核種分析 島根原子力発電所周辺において、農畜産物、海産生物、土壌、水、大気浮遊じんなどに含まれる放射 性物質の種類と量を測定(=放射性核種の分析・測定)しています。これら環境試料の種類については、 原子力発電所から放出される放射性物質が人体へ取り込まれる経路や、地域で食用にする頻度などを考 慮して選定しています。 【評価方法】 空間放射線の測定結果については、過去のデータから算出した平常の変動幅と比較し、この値を外れ た測定値については気象条件や環境要因の変化、及びその他の関連資料を調査し、原因を検討していま す。 また、地表面及び環境試料中の放射能調査結果については、検出された人工放射性核種の種類や測定 値を平常の変動幅や過去の核実験等の関連資料と比較検討し、島根原子力発電所に起因するものかどう かを検討しています。 48 第5章 環境放射線等の監視 空間放射線の測定 積 算 線 量 【16地点 4回/年】 線 量 率 【24地点常時監視】 モニタリングステーション及びモニタリングポスト リアルタイムデータは、島根県環境放射線情報システム により原子力環境センターへ伝送。 地表面における 人工放射能の測定 環境放射線調査 人工放射能面密度 【13地点 2回/年】 ゲルマニウム半導体検出器を用いた in-situ 測定 環境試料中の放射性核種分析 空気中の浮遊塵 【3地点 毎月】 農畜産物・植物等 【7区分】 精米、茶、野菜類、牛乳、松葉等 海 産 生 物 【8区分】 魚類、海藻類、貝類等 土 【2区分】 海底土、陸土 水 【3区分】 海水、池水、水道原水 ※平成27年度の調査内容 放出監視のため、モニタリングステーション及びモニタリングポストによる空間放射線量率の連続測定や、 浮遊塵の核種分析、人工放射性核種の分析を行っています。 また、蓄積状況を把握するために陸土・海底土の核種分析を、環境の放射性核種濃度のレベル変動を把握す るため浮遊塵・海水・植物等の核種分析を行っています。 環境放射線調査のイメージ図 49 ●しまねの原子力 ■環境放射線測定のフロー ■環境放射線測定のフロー 空間放射線量率 地表面における 人工放射能 空間放射線積算線量 環境試料中の放射性核種 写真A モニタリングポスト(片句) 積算線量測定素子(RPLD) 試料の採取(野菜) in-situ測定 自動測定 島根県原子力環境センター (テレメータ室) 設置 積算線量測定地点 環境試料の前処理 回収 写真B RPLD読み取り装置 γ線スペクトロメトリー 放射化学分析 液体シンチレーション分析 (トリチウム) 島根原子力発電所周辺環境放射線等測定技術会 において結果を評価 公表 50 第5章 環境放射線等の監視 ■島根県原子力環境センターの概要 島根県原子力環境センターは、本県の原子力安全・防災対策の体制強化の一環として整備(平成15年4月 運用開始)され、緊急時対応を含めた環境放射線監視や環境試料中の放射性物質の調査などを行うとともに、 ■島根県原子力環境センターの概要 広報機能として研修ホールや情報コーナーを設けて、県の原子力安全対策や放射線・原子力などについての 島根県原子力環境センターは、本県の原子力安全・防災対策の体制強化の一環として整備(平成 情報提供を行っています。 15年4月運用開始)され、緊急時対応を含めた環境放射線監視や環境試料中の放射性物質の調査 などを行うとともに、広報機能として研修ホールや情報コーナーを設けて、県の原子力安全対策 や放射線・原子力などについての情報提供を行っています。 施設概要 施設概要所在地:島根県松江市西浜佐陀町582-1(島根県保健環境科学研究所敷地内) 建 物:鉄骨造2階建て、約1,672 m2(平成15年3月完成) 所在地:島根県松江市西浜佐陀町582-1(島根県保健環境科学研究所敷地内) TEL : 0852-36-4300 FAX : 0852-36-6683 建 物: 鉄骨造2階建て、約1,672m2 (平成15年3月完成) 地図 TEL : 0852-36-4300 FAX : 0852-36-6683 地図 島根県原子力環境センター 原子力環境センター 施設案内図 島根県原子力環境センター 原子力環境センター 施設案内図 【1階】 【1階】 ・核種分析室 ・核種分析室 ラジオ アイソトープ 実験室 核種分析室 前室 汚染 検査室 試料 保管室 モニタリング 機材室 緊急時汚染検査 車庫 除染室 ・放射化学分析室 環境試料中の放射性物質を測定するために、試料の化学 環境試料中の放射性物質を測定するた 分析を行う部屋。 めに、試料の化学分析を行う部屋。 玄関 ・試料前処理室 ・試料前処理室 アルファ線 測定室 計測室 環境試料中に含まれる、β線やγ線を 環境試料中に含まれる、β線やγ線を放出する放射性物 放出する放射性物質の量を測定・分析 質の量を測定・分析する部屋。 する部屋。 ・放射化学分析室 エレベータ 放射化学 分析室 ドラフト室 放射性物質の種類や量を測定するため 放射性物質の種類や量を測定するために、環境試料の蒸 に、環境試料の蒸発・濃縮・乾燥・灰 発・濃縮・乾燥・灰化などの前処理をする部屋。 化などの前処理をする部屋。 試料 前処理室 ・テレメータ室・データ解析室 【2階】 【2階】 研修ホール 情報 コーナー エレベータ 電気室 事務室 テレメータ室 島根原子力発電所周辺に設置しているモニタリングス テーションやモニタリングポストで連続測定している環 ・テレメータ室・データ解析室 境放射線や気象データを集中監視する部屋。 島根原子力発電所周辺に設置している モニタリングステーションやモニタリ ングポストで連続測定している環境放 射線や気象データを集中監視する部 屋。 データ 解析室 資料 保管室 51 ●しまねの原子力 ■環境放射線情報システムの概要 県では、島根原子力発電所周辺地域住民の安全確保を図るために、昭和51年度からテレメータシステ ムを用いて、発電所周辺の環境放射線を24時間連続して監視しています。平成9年度に「島根県環境放射 線情報システム」として充実整備し、平成21年度に実施したシステム更新では、データ伝送の二重化や 中央監視局(原子力環境センター)機器の多重化、携帯電話向けサイトの開設等の強化を行いました。 また、平成24年度には、13局のモニタリングステーション、モニタリングポスト、及び50基の可搬 型モニタリングポストを整備したことに伴い、これらの測定機器からの測定 データを収集、解析並 びに表示するためのシステム改修と耐災害性を考慮した回線の二重化等の機能強化を実施しました。 このシステムでは、測定データを県庁県民室や松江・出雲・安来・雲南の各市役所等に設置した屋内型表 示装置や、各所に設置した屋外型表示装置及びインターネットや携帯サイトの「環境放射線データリアルタ イム表示」により、表示・公表しています。 測定局と設置機器の一覧表 局 番 項目 1 計測項目名 線 測定局名 西浜 佐陀 量 2 御津 4 5 6 古浦 深田北 片句 北講武 7 8 佐陀 本郷 末次 9 10 11 大芦 上講武 手結 空間放射線量率 1 NaI 率 ● ★ ★ ● ● ● ★ ★ ★ ★ ★ 2 電 離 箱 線 量 率 ● ● ● ● ● ● ★ ★ ★ ★ ★ 3 半導体検出器 線量率 4 NaI 全 計 数 率 ● ★ ★ ● ● ● ★ ★ ★ ★ ★ 5 NaI SCA1(50-250keV) ● ● ● ● 6 NaI SCA2(1650-1850keV) ● ★ ★ ● ● ● 7 N a I M C A ● ★ ★ ● ● ● ★ ★ ★ ★ ★ 8 Geγ 線 エ ネ ル ギ ー ● ● ● ヨウ素・ダスト 気象項目 9 (ダスト)α線放射能濃度 ● ● ● ● 10 (ダスト)β線放射能濃度 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ★ ★ ★ ★ ★ ● ● ★ ★ ★ ★ ★ ● ● ● ● ● ● ● 11 (ヨウ素)γ線放射能濃度 12 ラ ド ン 系 列 核 種 ● 13 風 速 ● ● ● ● 14 気 温 ● ● ● ● 15 湿 度 ● 16 気 圧 ● ● ● ● ● ● ● 向・ 風 17 降 水 量 ● 18 日 射 量 ● 量 ● 雨 ● 19 放 射 収 支 20 感 その他 21 降 雨 強 度 ● 22 地 上 気 温 ● 23 デ ー タ 表 示 盤 ● ● ● 24 テ レ メ ー タ ー 化 ● ● ● ●島根県設置 ★中国電力(株)設置 52 3 ● 第5章 環境放射線等の監視 環境放射線データリアルタイム表示 http://www.houshasen-pref-shimane.jp/ http://www.houshasen-pref-shimane.jp/m/ (携帯サイト) 島根県ホームページ画面 測定局と設置機器の一覧表 局 番 項目 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 測定局名 手結南 池平 名分 魚瀬 上大野 東長江 比津 持田 大芦 加賀 出雲 雲南 安来 計測項目名 1 NaI 線 量 率 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 2 電 離 箱 線 量 率 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 空間放射線量率 3 半導体検出器 線量率 4 NaI 全 計 数 率 5 N a I S C A 1 (50-250keV) 6 N a I S C A 2 (1650-1850keV) 7 N a I M C A ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 8 Geγ線エネルギー ヨウ素・ダスト 9 (ダスト)α線放射能濃度 10 (ダスト)β線放射能濃度 11 (ヨウ素)γ線放射能濃度 12 ラ ド ン 系 列 核 種 13 風 向・ 風 気象項目 速 ● ● ● ● ● ● 14 気 温 ● ● ● ● ● ● 15 湿 度 ● ● ● ● ● ● 16 気 圧 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 17 降 水 量 18 日 射 量 19 放 射 収 支 量 20 感 雨 その他 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 23 デ ー タ 表 示 盤 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 24 テ レ メ ー タ ー 化 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 21 降 雨 強 度 22 地 上 気 温 ●島根県設置 ★中国電力(株)設置 53 ●しまねの原子力 ■環境放射線等測定計画(平成27年度) (1)測定法及び測定器 調査項目又は対象 空間放射線 積 算 線 量 浮 遊 塵 ガンマ線放出核種 ストロンチウム 環 境 試 料 中 の 放 射 能 トリチウム 90 文部科学省編「蛍光ガラス線量 計を用いた環境γ線量測定法」 による。 蛍光ガラス線量計 (RPLD) 島 根 県 エネルギー補償方式 計測試料 島 根 県 NaI(Tl)シンチレーション検出器 (深田北、北講武及び片句はゲル マニウム半導体検出器によるγ 線エネルギー弁別装置付き) ゲルマニウム半導体検出器によ るin-situ測定 分析法 捕集フィルター 風乾物 高分解能γ線スペクトロメータ 文部科学省編「ゲ (ゲルマニウム半導体検出器) ル マ ニ ウ ム 半 導 高分解能γ線スペクトロメータ 吸着物 体 検 出 器 に よ る (ゲルマニウム半導体検出器) 濃縮物 γ線スペクトロ 生試料 メ ト リ ー」 に よ 灰化物 (ヨウ素 る。 131以外の核種) 風乾物 島 根 県 中国電力 生体 (ヨウ素131) 海 水 陸 土 植 物 島 根 県 文部科学省編「放射性ストロン チウム分析法」による。 島 根 県 中国電力 文部科学省編「トリチウム分析 低バックグラウンド 法」による。 液体シンチレーション計数装置 農 産 物 低バックグラウンド ガスフロー計数装置 海産生物 海 水 陸 水 低バックグラウンドガスフロー計数装置 54 島 根 県 中国電力 海 水 植 物 農 産 物 海産生物 測定器 陸 土 牛 乳 測定法 海 底 土 陸 水 測定機関 線 量 率 島 根 県 (モニタリングポスト) 人工放射能面密度 ゲルマニウム半導 体検出器によるinsitu測定 第5章 環境放射線等の監視 (2)空間放射線の測定 調 査 項 目 実施者及び測定月 測 定 地 点 島 根 県 備 考 中国電力 4~6 上講武・佐陀宮内 7~9 大芦・加賀 10 ~ 12 西生馬・西川津 積 算 線 量 1~3 片句・御津 古浦・南講武 4 ~ 6・7 ~ 9 蛍光ガラス線量計 10 ~ 12・1 ~ 3 (RPLD) 一矢・佐陀本郷 4~6 深田・旦過 7~9 恵曇・手結 10 ~ 12 1~3 西浜佐陀・御津・古浦 深田北・片句・北講武 佐陀本郷・末次・大芦 上講武・手結 線量率 連 続 手結南・池平・名分 モニタリングポストによる 魚瀬・上大野・東長江 比津・持田・大芦別所・加賀 出雲・雲南・安来 (3)地表面における人工放射能の測定 調 査 項 目 測 定 地 点 実施者及び測定月 島 根 県 中国電力 備 考 片句・手結・古浦・佐陀本郷 人工放射能 西生馬・西川津・加賀 面密度 大芦・御津・上講武 5・11 ゲルマニウム半導体検出器 によるin-situ測定 北講武・佐陀宮内・西浜佐陀 用語解説 環境試料中の放射能(分析)……放射性核種の分布や変動の程度を把握するために、一般環境に存在するものを採取し、放射能 分析を行っています。 放 射 性 核 種……放射能を持つ原子の種類。 核 種 分 析……物質から放出される放射線のエネルギーとその放出量を測定することで、物質に含まれる放射 (γ線スペクトロメトリー) 性核種の種類と量を分析することです。 積 算 線 量……ある地点で一定期間にわたって測定された空間放射線量の積算量をいいます。 (空間放射線積算線量) 蛍光ガラス線量計(RPLD)……銀活性リン酸ガラスという物質が、放射線を照射した後、紫外線を受けるとその照射量に応じ た蛍光を発するという性質を利用して、積算線量を測定する器具です。 線量率(空間放射線量率)……単位時間あたりの空間放射線量をいいます。 モ ニ タ リ ン グ ポ ス ト……空間放射線量率を自動連続測定する装置を備えた野外測定設備をいいます。 モニタリングステーション……モニタリングポストの設備に加えて、気象観測装置などを備えている設備をいいます。 i n - s i t u 測 定……「現場での測定」を意味します。可搬型ゲルマニウム半導体検出器を環境中に運び、現場でγ 線スペクトロメトリーを行うことをいいます。 55 ●しまねの原子力 (4)環境試料中の放射性核種分析 試料区分 試料名 部位 採取地点 御 津 浮 遊 塵 浮 遊 塵 地 上 塵 古 浦 西浜佐陀 一 矢 ※ 池 水 表層水 上講武 ※※ 陸 水 古志浄水場 水道原水 着 水 井 忌部浄水場 御 津 植 物 松 葉 二年葉 深 田 北 西浜佐陀 御 津 大 根 根 根 連 木 御 津 ほうれん草 葉 根 連 木 農産物 御 津 キャベツ 葉 根 連 木 精 米 尾 坂 茶 葉 北 講 武 牛 乳 原 乳 南 講 武 南 講 武 片 句 陸 土 陸 土 表層土 佐陀宮内 西浜佐陀 実施者別分析件数 小 計 分 析 件 数 小 計 対象核種及び測定機関(数字は採取月) γ線スペクトロメトリー対象核種 ストロンチウム トリチウム 90 ヨウ素131を除く ヨウ素131 島 根 県 中国電力 島 根 県 中国電力 島 根 県 島 根 県 中国電力 毎月 - - - - - - 毎月 - - - - - - 毎月 - - - - - - 5 5 - - - 5 5 - 5 - - - - - 5・11 5・11 - - - 5・11 5・11 5・11 5・11 - - - - - 4 - 4 - 4 - - 10 10 10 - - - - 7 - 7 - - - - 12 - - - - - - 12 4 - - - - - 12 - 12 - 12 - - 12 12 12 - - - - 5 - - - - - - 5 - - - - - - 10 10 10 - - - - 5 5 5 5 5 - - - - 4・7・10・1 4・10 - - - 5 - - - - - - 5 - - - - - - 5 5 - - 5 - - 5 - - - - - - 56 12 11 3 4 3 3 68 14 4 6 (注)※宇杉池、 ※※赤田新池 測定法と対象核種 ・γ線スペクトロメトリー 対象核種:54Mn, 59Fe, 58Co, 60Co, 137Cs, 131I (一部試料のみ) (マンガン-54、鉄-59、コバルト-58、コバルト-60、セシウム-137、ヨウ素-131) ・放射化学分析法 対象核種:90Sr(ストロンチウム-90) ・液体シンチレーション分析法 対象核種:3H(トリチウム) 用語解説 放 射 化 学 分 析 法……試料中の特定の放射性核種を測定するために、適切な化学的方法により元素の分離・精製を 行い、その中に含まれる放射性核種の量を求めることです。 液体シンチレーション分析……測定試料を液体発光物質(液体シンチレータ)に溶かし、試料が出す放射線が発光物質に衝 突して発する光を測定して、放射性核種の量を求めることです。 (エネルギーの弱いβ線のみを放出する放射性核種(3H:トリチウム、14C:炭素-14など)を 分析する際に用いる) 56 第5章 環境放射線等の監視 対象核種及び測定機関(数字は採取月) 試料区 試料名 部位 分 γ線スペクトロメトリー対象核種 採取地点 ヨウ素131を除く ヨウ素131 ストロンチウム 90 トリチウム 島 根 県 中国電力 島 根 県 中国電力 島 根 県 島 根 県 中国電力 1号 機 放 水 口 4・10 4・10 - - - - - 2号機放水口付近 4 10 - - - - - 3号機放水口付近 海水 4 10 - - - - - - 4・10 - - - - - 1号 機 放 水 口 沖 4・10 - - - 4 4・10 4・10 2・3号機放水口沖 4・10 - - - - 4・10 4・10 沖 4 10 - - - 4 10 肉 発電所付近沿岸 4 - - - - - - 肉 1号機放水口湾付近 1 - - - - - - 肉 宮 崎 鼻 付 近 1 - - - - - - 1号機放水口湾付近 4・7・10・1 - - - 4 - - 宮 崎 鼻 付 近 4・7・10・1 - - - 4 - - 1号機放水口湾付近 4・7・10・1 - - - - - - 宮 崎 鼻 付 近 4・7・10・1 - - - - - - 1号機放水口湾付近 7 7 - - - - - 宮 崎 鼻 付 近 むらさき むき身 いがい 浜 田 市 7 7 - - - - - 7 - - - - - - 松江市 美保関町 7 7 - - - - - 6・10 - 10 - - - - 6 10 - 10 6 - - 6 6 - - - - - 海水 表層水 取 手 かさご なまこ 肉 さざえ 内臓 海産生 物 水 結 口 1号機放水口湾付近 仮根を 宮 崎 鼻 付 近 あらめ 除く 宮崎鼻付近 海底部 わかめ 〃 1号機放水口湾付近 4 4 4 4 4 - - いわのり 全体 1号機放水口湾付近 1 - - - - - - 1号機放水口湾付近 6 6 6 6 - - - 宮 崎 鼻 付 近 ほんだ 仮根を 輪 谷 湾 わら類 除く 浜 田 市 6 6 6 6 - - - 6 6 6 6 - - - 7 - 7 - - - - 松江市 美保関町 7 7 7 - - - - 1号 機 放 水 口 沖 表層底 2・3号機放水口沖 海底土 海底土 質 手 結 沖 4 - - - - - - 4 - - - - - - 4 - - - - - - 17 7 5 5 5 5 5 10 9 8 実施者別分析件数 小 計 46 分 析 件 数 小 計 63 12 (注) 1.海水採取場所のうち、取水口は輪谷湾。 2. 宮崎鼻付近海底部は、 水深約15m。 3. 「発電所付近沿岸」 は、 1号機放水口湾付近と宮崎鼻付近とのコンポジット。 実施者別分析件数 小 計 分 析 件 数 小 計 102 29 131 18 8 26 9 8 16 57 ●しまねの原子力 付図1 環境放射線測定地点図 58 第5章 環境放射線等の監視 付図2 環境放射線測定地点(海域拡大図) 59 ●しまねの原子力 ■環境放射線等調査結果(平成25年度) 平成25年度の調査結果を検討・評価したところ、島根原子力発電所の影響は認められませんでした。 なお、本書発行時点では平成26年度調査結果がとりまとまっていないため、平成25年度の結果を掲載してい ます。 1.空間放射線 ○蛍光ガラス線量計(RPLD)による年間の積算線量の測定値は、そのほとんどがその地点の自然放射線に よるものと考えられます。 60 第5章 環境放射線等の監視 ○モニタリングステーション及びモニタリングポストによる2分間毎の線量率の測定値は、そのほとんどが その地点の自然放射線によるものと考えられます。平常の変動幅を外れる線量率は、降水や積雪等による ものです。 20 40 60 80 100 120 140 160 20 40 60 80 100 120 140 160 20 40 電離箱検出器 60 80 100 120 140 160 20 40 80 100 120 140 160 ゲルマニウム半導体検出器※ NaIシンチレーション検出器 モニタリングステーション(深田北) 60 感雨雪器 雨量計 ※深田北、北講武、及び片句に設置 島根県では、平成19 年度にモニタリングポストとしては初めて深田北 測定局にGe(ゲルマニウム)半導体検出器を設置しました。この検出 器は、放射性核種の識別能力が高く、既存のNaI検出器と併用するこ とで、線量率の上昇原因の特定が容易になりました。 61 ●しまねの原子力 2.環境試料中の放射能 ○大気浮遊塵、水道原水、植物、農産物(大根、ほうれん草など)、原乳、海産生物(さざえ、あらめなど) の試料の核種分析を行ったところ、一部試料から人工放射性核種を検出しました。 検出された人工放射性核種のうち、セシウム137については、福島第一原子力発電所の事故の影響による ものと過去の大気圏内核実験等の影響によるものとの両方の影響と考えられます。 なお、その他の核種については、過去の大気圏内核実験及び自然放射能等に起因するものと考えられます。 環境試料中の核種分析結果(平成25年度) 試料区分 浮遊塵 海 水 陸 水 植 物 農産物 牛 乳 54 Mn 59 Fe 58 Co 60 Co 131 I 137 Cs 134 Cs 3H 90 Sr 測定値 ND ND ND ND ND ND 試料数 36 36 36 36 36 36 測定値 ND ND ND ND 0.9~2.4 ND ND 1.8 mBq/l, 試料数 16 16 16 16 16 16 10 1 但し3 HはBq/l 測定値 ND ND ND ND ND ND ND~0.37 mBq/l, 試料数 11 11 11 11 11 11 6 但し3 HはBq/l 測定値 ND ND ND ND ND ND~0.03 ND 2.5 試料数 3 3 3 3 2 3 3 1 測定値 ND ND ND ND ND ND~0.03 ND 0.07~0.32 試料数 12 12 12 12 5 12 12 2 測定値 ND 試料数 6 μBq/m3 ND ND ND ND ND ND~0.11 ND ND 生 物 試料数 44 44 44 44 12 44 44 4 測定値 ND ND ND ND 0.83~6.3 ND 2.4 試料数 5 5 5 5 5 5 1 測定値 ND ND ND ND ND ND 試料数 3 3 3 3 3 3 海底土 62 Bq/kg(生) Bq/kg(生) Bq/kg(風乾物) Bq/kg(風乾物) (注)NDは検出下限値未満を示す。 網掛け欄は分析の対象外であることを示す。 乾燥試料(海産生物) Bq/kg(生) mBq/l 海 産 測定値 陸 土 測定値の単位 原乳の前処理 第5章 環境放射線等の監視 ■その他の環境放射線調査 ○環境放射能水準調査(原子力規制庁) 原子力規制庁(文部科学省から移管)は、海外での核実験等による我が国への放射能の影響などを全国的 に調査し、放射能の分布状況を把握するために、昭和32年以降調査体制を整備しています。 現在は、47都道府県等に委託し、陸・海水、土壌、農畜産物・海産生物中の放射性物質などについて、放 射能水準の調査を行っています。 島根県では、以下の項目が調査対象となっています。 (平成27年度) 試料名 試料採取地点等 検体数 降下物(月間) 松江市 12 松江市 1 土壌(0-5cm、5-20cm) 大田市 2 野菜類(生産地) 大田市 2 松江市 1 陸水 上水(蛇口水) 牛乳(生産地) 海産生物 魚類(生産地) 空間放射線量率(モニタリングポスト) 浜田市 1 奥出雲町 浜田市 ・大田市 江津市※2・邑南町※2 ※1 ※2 ※2 連続測定 ※1 平成27年3月より測定開始 ※2 平成24年4月より測定開始 (直近の調査結果については 原子力規制庁「放射線モニタリング情報」 http://radioactivity.nsr.go.jp/ja/index.htmlに掲載) (過去のデータについては、原子力規制庁「日本の環境放射能と放射線 環境放射線データベース」 http://search.kankyo-hoshano.go.jp/servlet/search.top で検索可能) ※水準調査のモニタリング強化 原子力発電所の事故や海外での核実験実施等、環境中に放射性物質が放出され、放射線被ばく並びに環 境への放射能汚染のおそれがある事象が発生した場合、放射線レベルの把握等を目的として、国からモニ タリング強化の指示が発せられます。これを受けた都道府県等は、測定項目の追加や試料採取頻度の増加 等対応を行います。 平成23年3月11日の福島第一原子力発電所での事故時や平成25月2月12日の北朝鮮の地下核実験実施時に もモニタリング強化の指示が発せられました。 ※モニタリングポストの増設 文部科学省では、国民の安全・安心に応える「きめ細かなモニタリング」を実現するため、平成23年度 第二次補正予算で全国に250基の水準調査のモニタリングポストを増設のうえ、既設も含めオンライン化 することとし、島根県には4基が割り当てられました。一般環境の放射能水準を調査する、という水準調 査の目的を考慮し、島根県では、島根原子力発電所から比較的遠い地域で人口の多い地点を4箇所選定し、 当該モニタリングポストを配置することとしました。また、平成26年度において、県内の環境放射線量の 水準をより広域的に把握するため、従来より松江市に設置していた1基を奥出雲町に移設しました。配置 箇所については別図のとおりです。 63 ●しまねの原子力 ○環境放射線等モニタリング調査(環境省) 環境省では平成12年度より、以前から離島等に設置していた国設酸性雨測定所の施設を活用して環境放 射線等モニタリングを実施しており、空間放射線量や大気中の放射性物質の測定、環境試料中の放射性物 質の分析等を行っています(島根県内では益田市及び隠岐の島町の国設酸性雨測定所で実施されていま す) 。これにより、国内や海外で原子力災害や事故等が発生したときや、海外での核実験等が行われたとき、 国内の影響を速やかに把握することができます。 (調査結果等については、環境省ホームページhttp://housyasen.taiki.go.jp/ に掲載) ○可搬型モニタリングポストの常時設置 島根県では、福島第一原子力発電所の事故以降の放射線測定に対する関心の高まりを受け、「緊急時に 備えた」放射線監視体制を強化するため、平成24年度に整備した50基の可搬型モニタリングポストのうち 11基を、松江市(6基) 、出雲市(2基) 、安来市(1基)、及び雲南市(2基)にそれぞれ常設し、連続測定 を行っています。 なお、可搬型モニタリングポストで測定した値については、固定型モニタリングポストと同様に、県の ホームページにてリアルタイムで表示・公表しています。 図 各調査におけるモニタリングポストの配置状況 64 第5章 環境放射線等の監視 ■温排水調査の概要 島根県と中国電力(株)では、原子力発電所から放出される温排水が周辺海域に及ぼす影響を調査するため、 発電所周辺の海域で水温分布や水色の調査を実施しています。 65 ●しまねの原子力 ■温排水測定計画(平成27年度) 島根県と中国電力(株)では、原子力発電所から放出される温排水が周辺海域に及ぼす影響を調査するため、 発電所周辺の海域で水温分布や水色の調査を実施しています。 測定 項目 測定点 沖合定線34点 放水口沖 (1号) 水温 沿岸 定点 7点 測定水深 測定方法 測定 回数 資料整理 0 ~ 20m 1m間隔 可搬式水温計 25m による測温 30m~海底 10m間隔 年 4回 1.測定温度表 2.水温水平分布図 3.水温鉛直分布図 0m~海底 可搬式水温計 (水深約20m) による測温 1m間隔 毎月 3回 測定日の 10時データの表 常設水温計に よる自動記録 連続 1.毎日の 10時データの表 2.沖合定線測定日の 毎時データの表 可搬式水温計 による測温 年 4回 1.測定温度表 2.水温水平分布図 3.水温鉛直分布図 フォーレルの 水色計による 観測 年 4回 フォーレルの 水色標準液番号の表 1号機放水口 1m 2号機放水口 1m 3号機放水口 4m 輪 谷 湾 1・ 3m * 片 句 1・ 3m * 実施者 島根県 中国 電力 御 津 1・ 3m * 0 ~ 20m 1m間隔 格子状定線 89点 25m 30m~海底 中国 電力 10m間隔 水色 沖合定線の測定点 7・9・10・17・18 島根県 *この3測点の海底までの水深は4m以浅。 備考 (1) 島根原子力発電所の運転状況について、測定結果とともに温排水部会へ報告する。 (2) 温排水測定地点は次ページの図を参照。 (3) 水色は、白昼海面の真上から肉眼で観察した海の色で、一般にフォーレルが考案した標準液と比較する方法で 測定されます。標準液番号は1~ 11まであり、1は澄んだ海を表す青色で、数字が大きくなるほど濁った海 色を表す黄色がかった色になります。 波の立ち方が異なっている円状の海域が 2号機温排水の浮上点です。 フォーレルの水色計 2号機放水口からの放水 66 第5章 環境放射線等の監視 ■温排水測定地点図(平成27年度) 67 ●しまねの原子力 ■温排水調査結果(平成25年度) 平成25年度の調査結果について、沿岸定点及び格子状定線における水温等の各測定項目ごとに島根原 子力発電所の温排水の影響に関する詳細な検討を行ったところ、特異な状況は認められませんでした。 なお、本書発行時点では平成26年度調査結果がとりまとまっていないため、平成25年度の結果を掲載して います。 68 第5章 環境放射線等の監視 ■島根県漁業試験船「やそしま」 島根県漁業試験船「やそしま」は平成12年3月に進水した、総トン数9.1トンの強化プラスチック船で、調 査に必要な各種の航海機器や海洋観測機器を装備しており、水産技術センター内水面浅海部浅海科では魚類、 貝類、海藻類の栽培漁業に関する調査や漁場環境調査などの多様な試験研究を行っています。 島根原子力発電所からの温排水影響調査や、放射性物質の測定用の試料である海底土や海水の採取も重要 な業務の一つです。 やそしま 可搬式水質計 潮流計 沖合定線の水温測定 69 ●しまねの原子力 ■福島第一原子力発電所事故を受けたモニタリングの強化について 福島第一原子力発電所での事故発生後、島根県では、文部科学省の委託による環境放射能水準 ■福島第一原子力発電所事故を受けたモニタリングの強化について 調査のモニタリング強化に加え、県独自のモニタリングの強化を実施し、事故による県内幅広い 福島第一原子力発電所での事故発生後、島根県では、文部科学省の委託による環境放射能水準調査のモニ 地域の環境への影響把握に努めました。 タリング強化に加え、県独自のモニタリングの強化を実施し、事故による県内幅広い地域の環境への影響把 握に努めました。 調査は事故翌日の平成 23 年 3 月 12 日より開始しましたが、その概要は下表のとおりです。 調査は事故翌日の平成23年3月12日より開始しましたが、その概要は下表のとおりです。 福島第一原子力発電所事故を受けた島根県のモニタリング強化概要 福島第一原子力発電所事故を受けた島根県のモニタリング強化概要 70 ◎モニタリング強化の結果について 第5章 環境放射線等の監視 平成 23 年 3 月 22 日の松江市の大気中のちり及び降水から、福島原発事故の影響と推測され るごく微量の放射性物質が初めて検出されました。以降、断続的に検出が続きましたが、いず ◎モニタリング強化の結果について れもごく微量で、健康に影響を与えるものではありませんでした。(ヨウ素 131 の最大値は益 平成23年3月22日の松江市の大気中のちり及び降水から、福島原発事故の影響と推測されるごく微量の 田市の「大気中のちり」の 0.0056Bq/m3 で、原子炉等規制法に基づく原子力発電所周辺監視区 放射性物質が初めて検出されました。以降、断続的に検出が続きましたが、いずれもごく微量で、健康に 域外の空気中濃度限度に対して約 900 分の 1 です。) 影響を与えるものではありませんでした。(ヨウ素131の最大値は益田市の「大気中のちり」の0.0056Bq/ 検出頻度の低下や、放射能測定ニーズの多様化への対応のため、7月 22 日分をもって一部試) m3で、原子炉等規制法に基づく原子力発電所周辺監視区域外の空気中濃度限度に対して約900分の1です。 料の測定を休止しましたが、その後も採取を継続した松江市の大気中のちり・降水からもそれ 検出頻度の低下や、放射能測定ニーズの多様化への対応のため、7月22日分をもって一部試料の測定を 以降は放射性物質の検出はありません。 休止しましたが、その後も採取を継続した松江市の大気中のちり・降水からもそれ以降は放射性物質の検 (期間中に検出された放射性核種;テルル 132、ヨウ素 131、セシウム 134、セシウム 136、 出はありません。 セシウム 137) (期間中に検出された放射性核種;テルル132、ヨウ素131、セシウム134、セシウム136、セシウム137) なお、これまでの検出状況については、原子力安全対策課ホームページ内の「放射線監視結(詳細) なお、これまでの検出状況については、原子力安全対策課ホームページ内の「放射線監視結」 (http://www.pref.shimane.lg.jp/bousai_info/bousai/bousai/genshiryoku/monitor_kyouka_shosai.html) (詳細) 」 に掲載しています。 (http://www.pref.shimane.lg.jp/bousai_info/bousai/bousai/genshiryoku/monitor_kyouka_s hosai.html)に掲載しています。 大気中のちりの人工放射性物質の監視調査結果(松江市西浜佐陀町) 〈平成 23 年3月 12 日~7月 21 日(22 日採取分)まで※7月 22 日~12 月 28 日までの間は検出されず〉 大気中のちりの人工放射性物質の監視調査結果(益田市昭和町) 〈平成 23 年3月 22 日~7月 21 日(22 日採取分)まで〉 71 ●しまねの原子力 ◎モニタリング強化方法の見直しについて 文部科学省が実施してきたモニタリングにおいて、測定精度の向上や対象の重点化を図り、測定頻度を 縮減する考えが示されたことを受け、島根県では、それまでの測定結果を踏まえ、平成23年12月28日に、 より低いレベルの影響を調査する観点から環境試料の採取期間を延ばすなど、測定項目や測定方法の見直 しを行いました。 なお、事故発生以降、文部科学省が実施してきたモニタリングについては、現在、原子力規制委員会に おいて引き続き実施されています。 【見直しの内容】 ○測定方法に変更のない項目 モニタリングポストによる空間放射線の測定 ○測定頻度を変更した項目 降水 「1日間連続採取して測定」を「1ヶ月間連続採取して測定」に変更 上水(蛇口水) 「1日に1回採取して測定」を「3 ヶ月間毎日(平日のみ)採取して測定」 ○測定を休止した項目 大気中のちりの放射性核種分析 (通常測定で1ヶ月連続採取しての測定を行っているため) 地表面の放射性核種分析 (監視強化期間中を通じて福島原発事故影響が認められないため) サーベイメータによる地上1mの放射線量測定 (文部科学省において今後はモニタリングポストの値から推計することとされたため) ※島根県では、引き続きモニタリング結果や福島第一原子力発電所から大気中への放射性物質の放出状況等 を注視し、状況に応じてモニタリング方法を再考するなどの対応をとることとしています。 ■福島県のモニタリング活動に対する支援について 文部科学省や福島県等の要請により、福島県でのモニタリング活動に 対する応援要員の派遣や、福島県産加工食品の安全性確認のための放射 能検査(検体受け入れ)等を実施しました。 1 走行サーベイ・環境試料採取に対する応援要員の派遣 期 間;平成23年4月19日~ 4月24日、4月30日~ 5月14日 派 遣 先;福島県原子力センター福島支所(福島県福島市方木田) 派 遣 根 拠;文部科学大臣による依頼 環境試料(土壌・雑草)採取の様子 延べ派遣人数;10名(2名ずつ5班)+1名 活 動 内 容;10名…おもに発電所30km以遠の地域における走行サー ベイ、環境試料採取、積算線量計指示値読み取り 等 の野外活動 1名…原子力センター福島支所における核種分析補助 及びモニタリング計画立案支援 サーベイメータによる定点での放射線 量率測定の様子 72 第5章 環境放射線等の監視 2 放射能分析要員の派遣 期 間;平成23年10月17日~平成24年3月31日 派 遣 先;福島県原子力センター福島支所(福島 県福島市方木田) 派 遣 根 拠;全国知事会の要請に基づく派遣 延べ派遣人数; 1名 活 動 内 容;福島県が行う環境試料・農林水産物・ 加工食品等の核種分析及び分析結果 の評価 福島での分析の様子 3 地表面に沈着した放射性物質調査への協力のための派遣 期 間;平成23年10月24日~ 11月21日 派 遣 先;福島県原子力センター福島支所(福島 県福島市方木田) 派 遣 根 拠;福島県の依頼に基づく派遣 延べ派遣人数;4名(1名は全期間を通じて派遣、他 の3名は補助要員として交替で1名 ずつ派遣) 活 動 内 容;警戒区域を除く福島県全域における、 ゲルマニウム半導体検出器を用いた、 地表面に沈着した放射性物質の沈着 状況の調査 放射性物質の沈着状況調査の様子 4 福島県産加工食品に関する放射能検査の実施(検体の受け入れ) 検 査 期 間;平成23年8月15日~平成24年12月28日 検査実施場所;島根県原子力環境センター 実 施 根 拠;福島県の依頼に基づく検査 受 入 検 体 数;246検体 実 施 内 容;検査を希望する福島県内の食品加工事 業者から、福島県を通じて毎週一定数 の検体が送付され、島根県で放射能 測 定 を行ったのち、結果を福島県あ て報告 73