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算数,数学科 - 福岡市教育センター

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算数,数学科 - 福岡市教育センター
平成 25 年度
研究紀要
(第920号)
G3-02
演繹的に考え表現する児童を育む
算数科学習指導の工夫・改善
-第5学年において,根拠をもとに考えをつくる
一単元や一単位時間の工夫を通して-
算数科では,数学的な考え方の育成が求められている。本研究室では,演
繹的に考え表現する算数科学習指導の工夫・改善について研究を進めた。そ
のために,演繹的に考え表現する学習場面を意図的に位置付ける学習過程の
手だてや演繹的に考え表現する学習展開の手だてを工夫していった。その結
果,根拠をもとに図,式,言葉等を用いて考えをつくり説明する児童の姿が
見られ,一単元や一単位時間の工夫の有効性が分かった。
福岡市教育センター
算数,数学科研究室
目
第Ⅰ章
1
次
研究の基本的な考え方
主題について‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥算-1
(1)主題設定の理由
(2)主題及び副主題の意味
2
研究の目標‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥算-2
3
研究の仮説‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥算-2
4
研究の構想‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥算-2
(1)演繹的に考え表現するための一単元の学習過程と一単位時間の学習展開‥‥算-2
(2)演繹的に考え表現する児童の姿‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥算-3
(3)一単元や一単位時間の手だての工夫‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥算-3
5
研究の構想図‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥算-4
第Ⅱ章
1
研究の実際と考察
演繹的に考え表現する児童を育む実践①‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥算-5
「合同な図形」(第7時)
2
演繹的に考え表現する児童を育む実践②‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥算-9
「単位量あたりの大きさ」(第 15 時)
3
演繹的に考え表現する児童を育む実践③‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥算-14
「図形の角」(第4時)
4
演繹的に考え表現する児童を育む実践④‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥算-19
「分数のたし算とひき算」(第2時)
第Ⅲ章
研究の成果と課題
1
研究の成果‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥算-24
2
研究の課題‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥算-25
資料等‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥算-26
第Ⅰ章
研究の基本的な考え方
1 主題について
(1) 主題設定の理由
ア
福岡市の児童の実態から
平成 23 年度の学習定着度に関する調査の結果によると,数学的な考え方に課題があることが
明らかになっている。特に,論述でかき表す問題の正答率が最も低く,用語の理解不足も課題に
挙げられた。
平成 24 年度でも,6年生の設問別正答率を見ると,三角形の面積の求め方の論述が 23 ポイン
トという低い結果があらわれた。児童の解答には,不必要な記述があるものや,逆に必要な言葉
が無いために誤答になっているものが多く見られた。原因としては,答えを求めるための既習が
不明確であることや,根拠をもとに筋道を立てて考えることができていないことが考えられる。
そこで,既習を手がかりとして,言葉や数,式を用いて,なぜそうなるのか,何を求めようとし
ているのか根拠を明確にもちながら解決していくこと,つまり演繹的に考えを進め表現していく
ことが必要であると分かった。
イ
算数科教育の動向から
福岡市教育委員会から出された「新しいふくおかの教育計画」の中で,ことばを大切にする教
育が挙げられている。「ことばの力」を高める指導として,各教科等の学習の中で,要約・説明,
論述等の学習活動を展開し,発達段階に応じた言語活動の充実が求められている。
算数科においては,「言語活動の充実に関する指導事例集」の中に,次のことが示されている。
問題を解決したり,判断したり,推論したりする過程において,見通しをもち,筋道を立て
て考えたり表現したりする力を育むことが重要であり,その際,帰納的な考えや類推的な考え,
演繹的な考えを用いることができるようにする。
このことから,説明,論述等の学習活動を展開していくためには,三つの考えの中でも,演繹
的に考え表現することが求められていると考える。
ウ
これまでの研究から
昨年は「筋道を立てて考える児童を育む算数科学習指導の在り方」として,帰納的,類推的,
演繹的な考えを促すための一単位時間における学習展開の工夫を中心に研究し,指導を行ってき
た。三つの考えをうながす思考モデルの定着と三つの考えを活性化させる手立てを講じたことで,
筋道を立てて考える児童の姿がみられた。
しかし,三つの考えの中から特に演繹的な考えをうながす場面の課題が多く挙がった。以下の
3点がその課題である。
・
定義・性質を根拠とした,解決の過程における説明の仕方やかき表し方の指導の工夫
・
根拠となるものの整理と指導方法の工夫
・
演繹的な考え方をする学習場面における交流活動の在り方
そこで本年度は,演繹的な考えをうながす場面に焦点を当て,研究を進めていくことにした。
また,本年度の研究員全員が5年生担任である。高学年で演繹的に考え表現することは,中学校
での証明の学習の素地を育む上で重要である。このことからも,第5学年において本研究を進め
ていくことは意義深いと考える。
算‐1
このような理由から,本年度は,第5学年において,児童が根拠をもとに説明するための手だ
てを通して,演繹的に考え表現する児童を育む算数科学習指導の工夫・改善を研究として行って
いく。
(2) 主題及び副主題の意味
ア 「演繹的に考え表現する」とは
「演繹的に考える」とは,既にわかっているものや認めたものを前提に特定の事実を導いてい
くことである。「表現する」とは,導いた考えを頭に思い浮かべるだけでなく,図・式・言葉を
用いて表したり,友達に説明したりすることである。つまり,既習を手がかりとして,言葉や数,
式を用いて,なぜそうなるのか,何を求めようとしているのかを明確にもちながら解決していく
ことである。
イ 「根拠をもとに考えをつくる」とは
ここで言う「根拠」とは,既習の定義・性質や,誰もが納得できる既習事項や経験ととらえて
いる。「考えをつくる」とは,一般的・普遍的な根拠を用いて,自分の考えを筋道を立ててノー
トにかいたり説明したりして,個別的・特殊的な結論を導き出すことである。
2
研究の目標
演繹的に考え表現する児童を育むために,第5学年の算数科学習指導において,児童が根拠をもと
に考えをつくる一単元や一単位時間の工夫が有効であるかを明らかにする。
3
研究の仮説
第5学年の算数科学習指導において,根拠をもとに考えをつくる一単元や一単位時間の工夫を次の点か
ら行えば,演繹的に考え表現する児童を育むことができるであろう。
○ 演繹的に考え表現する学習場面を意図的に位置付ける学習過程の手だて
○ 演繹的に考え表現する学習展開の手だて
4
研究の構想
(1) 演繹的に考え表現するための一単元の学習過程と一単位時間の学習展開
一単元を「根拠を見出す」「根拠をつかう」「根拠をつかいこなす」の三つの学習過程として
とらえる。このような学習過程で,年間,数単元の学習を繰り返し経験させることで,演繹的に
考え表現する児童を育む(資料-1)。
また,一単位時間を「つかむ→見通す→つくる→まとめる」という基本的な問題解決過程で考
え,演繹的に考え表現する児童を育む(資料-2)。
資料-1
一単元の学習過程
資料-2
算‐2
一単位時間の学習展開
(2) 演繹的に考え表現する児童の姿
演繹的に考え表現する児童の姿としては以下の三つを目指していく。
考えを説明したいと思う
根拠をもとに考えをつくる
かいたことや説明したことを
児童
児童
振り返る児童
「考えを説明したいと思う児童」とは,説明に対する意欲が高まった児童のことである。演繹
的な考えをうながすためには,学習(特に考えを説明するような)に対する意欲が欠かせない。
問題と出会い,ぜひ解決してみたい,考えを説明してみたいと自ら学習に向かう中で,「何とか
して説明してみよう」と試行錯誤することが,演繹的に考え表現することにつながると考える。
「根拠をもとに考えをつくる児童」とは,既習の内容をもとにして考えをつくる児童,根拠と
した既習の内容を明示してかき表す児童のことである。一般的,普遍的な根拠をもとに個別的,
特殊的な結論を導いていくことが,演繹的に考え表現することにつながると考える。
「かいたことや説明したことを振り返る児童」とは,自分がつくった考えや友達の考えの中身
をとらえ,演繹的に考え表現されているかを適切に判断する児童のことである。かいたことや説
明したことを振り返る事で,既習の定義・性質,誰もが納得できる既習事項や経験に目を向けて
いくようになると考える。
(3) 一単元や一単位時間の手だての工夫
ア 演繹的に考え表現する学習場面を意図的に位置付ける学習過程の手だて
一単元においては,演繹的に考え表現する学習場面を以下のように計画的・意図的に位置付け
ることが必要となる。そこで,児童がこの学習場面を意識しやすいように「説明学習」と名付け,
年間を通して各単元に3時間から4時間程度,以下のように位置付けていった(資料-3)。
資料-3
演繹的に考え表現する学習場面を意図的に位置付けた単元計画
算‐3
イ
○
演繹的に考え表現する学習展開の手だて
問題設定
児童が「説明しよう。」「説明したい。」と思えるような問題設定を行う。問題場面を身近な
ものに置き換えたり,数学的な好奇心を刺激するような問題にしたりしていく。そうすることで,
児童の学習意欲を高め,より分かりやすく考えをつくろう,説明しようという思いを引き出せる
と考える。
○ 考えのもと
児童が演繹的に考え,表現するためには根拠となるものが必要となる。そこで,根拠となる定
義や性質を整理したものを「考えのもと」として,掲示物を作成し,掲示する。児童が考えをつ
くる時に,「考えのもとコーナー」から根拠を用いることを繰り返すことで「考えのもと」の活
用が習慣化し,自ら根拠を選択できるようになると考える。
○ 説明の仕方のモデル
説明の仕方(ノートのかき方)のモデルを提示する。自分の考えをかく時に,「問題を解決する
ために必要な根拠」をもと,「問題解決のために自分でやってみたことや計算」を自,「結論」
を結とする。児童は,モデルを見ながらもと,自,結に沿ってかくことで,演繹的に考えたこと
を整理できるようにする。また,演繹的に表現するための内容や順序を理解できるようにする。
○ チェックカード
自分の考えをノートにかいた後,演繹的に考え表現されているかの確認を目的として二人組交
流を行う。その際に,お互いにノートを交換し,チェックカードの項目をもとにチェックを行っ
ていく。
チェックカードの内容は,「考えのもと(定義や性質)が使えていたか」「自分でやってみた
ことや計算はかかれているか」「結論を示せているか」「もと-自-結の順序でかけているか」
など,演繹的に表現するための項目にする。かいたことや説明したことを振り返る事で,必要な
言葉や定義・性質に目を向けていくようになると考える。
5
研究の構想図
算‐4
第Ⅱ章
1
研究の実際と考察
演繹的に考え表現する児童を育む実践①
(1) 小学校第5学年
単元「合同な図形」
(2) 児童の実態
本学級の児童は,「説明する」ということ自体に苦手意識をもっている子が少なくない。また,演
繹的に考え,表現することについては,自分の知っていることをつなげて考えを説明しようとする児童
もいるが,根拠となるこれまでの定義や性質が曖昧であったり,それらを感覚的につかめていたりして
も,適切な言葉で表現できていない状態である。
(3) 単元目標
合同という観点から,図形の形や大きさを決める要素について考え,図形の性質としてまとめ
たり統合的にとらえたりすることができる。
(4) 単元計画
※太枠は演繹的に考え表現する学習場面
時
学 習 活 動
1 ・与えられた三角形,四角形と形も大きさも同じ図形を見つけ,用語「合同」の意味を知る。・
・四角形を裏返して重ね合わせることができるかどうかを調べる。
・合同な図形を弁別する。
2 ・合同な図形について,重なり合う頂点,辺,角を調べる。
・用語「対応する」の意味を知る。
・合同な図形の性質をまとめ,それを用いて合同かどうかを判別する。
3 ・台形や平行四辺形,ひし形を1本の対角線で分割すると,どのような三角形ができるか考える。
・分割してできた三角形について,合同であるかどうかを説明する。
考えのもと
ぴったり重なる図形は,合同
合同な図形は,対応する辺の長さ,角の大きさが等しい
4 ・三角形の構成要素に着目して,合同な三角形のかき方を考える。
・頂点Dの位置の決め方について考える。
5 ・二辺夾角,二角夾辺,三辺のかき方で合同な三角形をかく。
・すべての構成要素を使わなくても合同な三角形がかけることをおさえる。
6 ・合同な三角形のかき方を基に,合同な平行四辺形のかき方を考える。
・三角形の場合と異なり,四つの辺の長さだけでは形が決まらず,かけないことを知る。
7 ・合同条件をもとに,いくつかの図形の中から,提示された三角形と合同な三角形を見つけ,合同である理由を
本 説明する。
時 考えのもと
二つの三角形で,二つの辺の長さとその間の角の大きさが等しければ,合同
二つの三角形で,一つの辺の長さとその両端の角の大きさが等しければ,合同
二つの三角形で,三つの辺の長さが等しければ,合同
8 ・「しあげのもんだい」に取り組む。
算‐5
(5) 本時指導について
ア
本時の目標
三角形の合同条件を根拠として,合同な図形を説明することができる。
イ
本時指導の実際
本時は,学習内容を適用し,問題を解決することをねらいとしている。教科書には,
「力をつけ
るもんだい」として,単元の学習で扱っている基本的な知識や技能の習熟,定着をねらいとした
問題があげられている。そこで,学習内容を適用しながら演繹的な表現方法や手順を身に付けら
れるように,問題設定の工夫やいくつかの手だてをとりながら,本時場面を仕組んでいった。
まず,つかむ段階では,児童たちの興味関心をひきだしたいと考え,宝がある部屋の鍵穴の形
と合同な形を見つけるという問題を
資料-4
学習問題
設定した(資料-4)
。また,
「ぴっ
たり重ねあわすことができる二つの
図形は合同」という合同の定義では
なく,三角形の合同条件を根拠とし
て説明できるように,切り取らない,
分度器や定規は使えないなどの条件
を加えた。
見通す段階では,
「何を使って合同
であることを説明する?」と問いか
け,根拠となる三角形の合同条件「二つの三角形で,二つの辺の長さとその間の角の大きさが等
しければ,合同」
「二つの三角形で,一つの辺の長さとその両端の角の大きさが等しければ,合同」
「二つの三角形で,三つの辺の長さが等しければ,合同」をおさえ,本時のめあてが説明学習で
あることを確認した。
つくる段階では,根拠をもとに筋道を立てて表現できるように,説明の仕方(ノートのかき方)
のモデルを提示し,自分の考えをかく時に,「問題から分かること」を分,「根拠」をもと,「結
論」を結とし,モデルを見ながらそれぞれ項目を立てかかせ,説明に必要な三つのことを意識さ
せていった。自力解決後には,二人組で,考えの交流を行い,その際に,お互いにチェックカー
ドを使ってノートをチェックするようにさせた。その後,全体交流で,よりよい表現の仕方と共
に,答えの確認をしていった。
最後に,
「合同であることを説明するには,合同になる三つの考えのもとを使うとよい。
」と,
説明には根拠となるものが大切であることを意識させるよう,本時学習をまとめた。
(6) 考察
ア
演繹的に考え表現する学習場面を意図的に位置付ける学習過程の手だて
本単元における演繹的に考える学習は,三角形の合同条件を根拠として,合同な図形を説明す
ることが中心である。そこで単元を通して,演繹的に考え表現する学習場面を意図的に仕組んで
いった。具体的には,平行四辺形やひし形を対角線で分割してできた三角形は合同であることを
説明する時間を第3時に仕組んだ。また,第7時では,ある三角形と合同な三角形を見つけ,そ
の三角形が合同であることを説明するような,演繹的な考え表現する学習を仕組んだ。さらに第
8時の「仕上げのもんだい」では,必要な合同条件を自分で見つけ説明する時間として仕組んだ。
このことで,合同条件をもとに表現・説明する経験を重ねることができ,単元の始めにはヒント
算‐6
カードを使って考えをかいていた児童が,単元終末では自力で解決する姿が見られた(資料-5)。
資料-5
児童のノートによる変容
ヒントカードを使ったノート
イ
演繹的に考え表現する学習展開の手だて
○
問題設定
自力で考えを書いたノート
児童たちが「説明しよう。」
「説明したい。」と思えるような問題の工夫・設定として,宝がある
部屋の鍵穴の形と合同な形を見つけるという問題を設定した。児童たちは,
「宝」という言葉や問
題の提示の仕方によって,興味関心を示し,学習に楽しそうに取り組むことができた。このこと
から問題設定の工夫は,児童が意欲的に学習に取り組むという点において有効であると考えた。
しかし,興味関心だけでなく,より数学的な思考力をくすぐるような問題にする必要があると
考え,問題の工夫を考えていかなくてはならないと感じた。また,説明することをめあてとする
学習のため,全員が解決できる問題,説明や交流に時間がかけられる問題にしていく必要がある。
○
考えのもと
資料-6
考えのもとコーナー
本時では,既習の合同な図形の定義・性
質とともに,三角形の作図のときに確認し
た合同条件を「考えのもと」として掲示し
た(資料-6)
。児童は,本時問題の解決に
は,何を根拠としたら良いのかを考え,掲
示物の中から,三角形の合同条件を「考え
のもと」として選ぶことができた。
しかし,問題によっては,単元内の定義
や性質だけではなく,前単元や前学年の学
習での定義や性質が「考えのもと」となる
ことも考えられる。そこで,その単元につ
ながる定義や性質を系統的に整理しておく
ことが必要である。
○
説明の仕方のモデル
根拠をもとに筋道を立てて説明ができるように,説明の仕方(ノートのかき方)のモデルを提示
した。自分の考えをかく時に,
「問題から分かること」を分,
「根拠」をもと,
「結論」を結とし,
モデルを見ながらそれぞれ項目だててかかせることで,説明に必要な三つのことを意識させるこ
とができた。また,二人組で考えを交流するときに,説明が苦手であった児童も,ノートを見な
がら順序よく説明することができた。 しかし,児童の思考としては,
「分かっていること」に合
わせて「根拠」となるもとを選ぶ(分→もと)のではなく,何を根拠として説明をしていくか,
算‐7
その根拠もとが使える三角形はどれか…と,「根拠」にあう三角形を探す(もと→分)という思
考の流れであった。
このことから,児童たちの思考の流れに沿った説明の仕方のモデルを検討していかなくてはな
らない。
○
チェックカード
演繹的な表現方法の確認を目的として二人組交流の際に,チェックカードを使ってお互いのノ
ートをチェックしていった。
チェックカードの内容は,
「分では,
資料-7
チェックカード
二つの三角形の辺の長さや角の大きさ
など,問題から分かることがかかれて
いましたか」
「もとでは,合同な三角
形になるためのきまりなど,考えのも
とコーナーにあるものを使えていまし
たか」
「結では,「*と*の二つの三角
形は合同である」など,考えの結論が
かけていましたか」
「分-もと-結の
順番でかけていましたか(話せていま
したか)」とし,できたかできていない
かを○,△で確認するようにした(資料-7)
。
チェックカードの項目を一つずつ確認することで,児童たちは,分-もと-結の説明に必要な
三つのことを意識できたようであった。本単元は,かけていれば○としたため,内容が不十分で
あったり,わかりにくい表現であっても,相手のチェックカードに○を付けている子も多く見ら
れた。今後,望ましい表現方法,よりよい表現方法へ高めていくためには,全体交流の在り方や,
チェックカードの項目内容をさらに工夫していく必要があると考える。
○
全体を通して
本時授業によって,各手だての有効性は見えてはきたが,児童が演繹的に考え,思考の流れを
そのまま表現につなげていくには十分であるとはいえなかった。授業を通してはっきりとしてき
た課題を改善し,実践を重ねていくことで,児童が自ら演繹的に考え,筋道を立てた分かりやす
い表現をしていくことができるようにしていきたい。
算‐8
2
演繹的に考え表現する児童を育む実践②
(1) 小学校第5学年
単元「単位量あたりの大きさ」
(2) 児童の実態
本学級の児童は,説明することに少しずつ慣れ,数学的な面白さを感じたものには,意欲的に
取り組み,自分なりの表現で考えを表そうとしている。しかし,説明するためない必要な言葉が
いくつか省略されていたり,説明に適した順序でかかれていなかったりしたものもあった。
(3) 単元目標
・平均の意味を理解し,それを用いることができる。
・異種の2量の割合としてとらえられる数量について,比べることの意味や比べ方,表し方を理
解し,それを用いることができる。
(4) 単元計画
※太枠は演繹的に考え表現する学習場面
時
1
学
習
活
動
プロローグ
・写真を見て,
「ならす」ということの経験や意味について話し合う。
・6個のオレンジから絞ったジュースの量から,1個あたりに絞れる量について考える。
2
・ならした量を計算で求める方法を考える。
・平均を求める問題の解決を通して,平均の意味や求め方を確かめる。
3
・サッカーの1試合あたりの平均得点について考える。
・平均を求めるときは0を含めて考えることや,分離量であっても平均が小数になる場合がある
ことを説明する。
考えのもと
平均=合計÷個数
4
・1個のオレンジからとれたジュースの平均の量から,20 個ではどれだけの量になるか考える。
・平均を使って,全体量を予測する。
考えのもと
平均=合計÷個数
5
〔やってみよう〕自分の1歩の歩幅を平均の考えを使って求め,それを使って実際にいろいろな
距離や道のりを調べる。
6
「力をつけよう」に取り組む。
7
プロローグ
・イラストを見て,「混んでいる,すいている,かたまっている,ばらけている」ということの
意味や経験について話し合う。
・バンガローにおいて,A と B,B と C を比べ,どちらかがそろっていると比べられることをお
さえる。
・A と C の比較を通して,匹数か面積のどちらかをそろえればよいことを考える。
算‐9
8
・C と D についても,匹数か面積のどちらかをそろえて比べる。
・面積をそろえて1㎡あたりの匹数で比べたり,匹数をそろえて1匹あたりの面積で比べたりす
ればよいことをまとめ,1㎡あたりの匹数の良さを知る。
考えのもと
1㎡あたりの人数が多いと混んでいる
1人あたりの面積がせまいと混んでいる
9
・北京市とバンクーバー市の人口の混み具合を比べる。
・
「人口密度」を知り,人口密度を求める。
考えのもと
1k㎡あたりの人数が多いと混んでいる
10
・米のとれ具合を単位量当たりの大きさを用いて調べる。
考えのもと
1aあたりの重さが重いとよくとれる
1㎏あたりの面積がせまいとよくとれる
11
・1m当たり7gの針金で工作するとき,52.5gの作品では何mの針金を使ったか考える。
12
・身の周りから単位量あたりの考えを使っている場面を探す。
・日本の各県の人口密度を調べ,白地図に 10 万人を一つの点で表す。
13
・
「力をつける問題」に取り組む。
14
・
「しあげの問題」に取り組む。
15
・異なる 2 量を調べるためには,単位量あたりを求めればよい,という既習内容を生かして,
二つの牛肉のどちらが安いのかを明らかにしていく。
本
考えのもと
時
1gあたりの値段が安いと安く買える
1円あたりの重さが重いと安く買える
(5) 本時指導について
ア
本時の目標
単位量あたりの大きさを根拠として,国産とオーストラリア産の2種類の牛肉のうち,オース
トラリア産が安いことを説明することができる。
イ
本時指導の実際
本時では,
異なる2量を比べる時は,
単位量あたりを求めればよいという既習内容を生かして,
2種類の牛肉のうちオーストラリア産の方が安い
ことを解決し,演繹的に表現することをねらいとし
ている。そこで,演繹的に考え表現する学習展開を
次のように行った。
まず,つかむ段階では,児童たちに身近な「スー
パーマーケットの牛肉を買う」という場面を提示し
た(資料-8)。それぞれの牛肉は「230g
のオーストラリア産」と,「120g
805 円
480 円の国産」
という二つの牛肉を比較し,価格のみを見て考えた
算‐10
資料-8
学習問題
「国産の方が安い」という妹の考えを提示し,ゆさぶりをかけた。その後,価格も重さも異なる
ことから,単位量あたりで比べることの必要性を感じさせ,どちらの牛肉が安いのかを説明する
めあてにつなげていった。
見通す段階では,「考えのもと」として,異なる2量を比べる際には,単位量あたりを求めて
比較することを確認し,「1gあたりの値段が安ければ牛肉を安く買える」ことや,「1円あた
りの重さが安ければ牛肉を安く買える」ことを確認した。
つくる段階では,まず,説明の仕方のモデルをもとに考えをかいていった。もと→自→結の
順序に沿ってかくことで,そして,数直線を使って自分の考えを繰り返しかくようにすることで,
演繹的に考えたことを整理していった。
そして,自分の考えをかいた後に,二人組交流を行った。
その際,チェックカードを用いてお互いにチェックをしていった。ほとんどの児童が1gあたり
を求めていたので,その後の全体交流では1gあたりを求めた児童の考えを中心に交流を進めて
いった。その際,もと→自→結の流れに沿って,数直線をかきながら説明するようにしていっ
た。また,その後,1 円あたりを求める考え方は教師側から提示し,代表児童を中心として,学
級全体で一緒に解決していくようにした。
最後に,まとめる段階において,単位量を求めて二つの量を比べることができたことやもと
→自→結の順に説明することが演繹的な説明には大切であることを確認した。
(6) 考察
ア
演繹的に考え表現する学習場面を意図的に位置付ける学習過程の手だて
本単元における演繹的に考える学習は,単位量あたりを求めることで,異なる2量の割合を比
較することが中心である。そこで単元を通して,演繹的に考え表現する学習場面を意図的に仕組
んでいった。具体的には,サッカーの1試合あたりの平均得点について考え説明したり,1個の
オレンジからとれたジュースの平均の量から,20 個ではどれだけの量になるか考え説明したりす
る時間を第3時,第4時に仕組んだ。また,第7時,第8時では,匹数か面積のどちらかをそろ
えてうさぎ小屋のこみぐあいを説明するような,演繹的に考え表現する学習を仕組んだ。さらに
第 10 時では,米のとれ具合を単位量あたりの大きさを用いて調べ説明する時間として仕組んだ。
そして最後に,単位量あたりの大きさを用いて,二つの牛肉のどちらが安いのかを明らかにして
説明するような,演繹的に考え表現する学習を仕組んだ。このことで,単位量あたりの大きさを
もとに表現・説明する経験を重ねることができ,より順序立てて説明する姿が見られるようにな
った(資料-9)。
資料-9
児童のノートの変容
算‐11
イ
演繹的に考え表現する学習展開の手だて
○
問題設定
演繹的に考え表現するために,本時では,「スーパーマーケットに買い物に行く」という場面
で「230g
805 円のオーストラリア産牛肉」と「120g
480 円の国産牛肉」のどちらの方がお買
い得であるか,という問題設定にした。身近な問題場面に設定したことで,児童の興味関心は大
きかった。また,値段のみを見て「国産の方が安い」と思った妹の考えを提示し,児童にゆさぶ
りをかけたことは,既習の「単位量あたりで比べる必要がある」ということに気付き,より「説
明しよう。」と児童がめあてをもつことに有効であった。
○
考えのもと
本時では,本単元で共通の「単位量あたり
資料-10
考えのもとコーナー
資料-11
説明の仕方のモデル
にそろえる」という考えのもとだけではなく,
「1gあたりの値段が安ければ牛肉を安く買
える」や「1円あたりの重さが重ければ牛肉
を安く買える」という前提までを見通しの段
階で確認したことで,演繹的に考え表現する
ことにつながった(資料-10)。
○
説明の仕方のモデル
実践①の「合同な図形」の課題から,本単
元では,根拠となるもとを最初に明確にし,
数直線や計算等,自分でやってみたことを表
現し,最後に結論をかく,というようにもと
→自→結の順番で演繹的に考え表現するよう
にした。こうすることで,児童の考えが整理
され,より説明がわかりやすいものとなった
ため,効果があったと考えられる。また,説
明の仕方のモデルとして,もと→自→結の順
序でかき方を掲示したことで,児童はスムー
ズにかくことができた(資料-11)。
○
チェックカード
チェックカードのもとでは「1gあたりの
値段が安いと安く買える」や「1円あたりの
重さが重いと安く買える」のどちらかを使っ
て考えをつくることができていますか。自で
は,数直線をもとに式をつくることができま
したか。「1gあたりの値段や1円あたりの
重さを計算で求めることができましたか」結
では「※※産のほうが安い」等,どちらが安
いかがかけていましたか。もと-自-結の順
番でかけていましたか。(話せていましたか)
算‐12
という内容チェックするようにした
資料-12
チェックカード
(資料-12)。お互いにノートをチェ
ックすることで,よりよい表現方法を
求めることができた。
二人組交流を通して,自分の考えを
日頃発表することが苦手な児童が,
「友達に自分の考えを説明することが
できてよかった」「チェックカードで
全部○だったから良かった」と,自信
をもつことができた(資料-13)。
児童の説明をするということの意欲か
らも,チェックカードは有効であった
と考える。
資料-13
○
児童の感想
全体を通して
全体交流において,代表児童が説明をする際に,数直線に数字や矢印をかきながら,式と関連
させて説明することができ,順序立てて表現するという面でとても効果があった。しかし,もっ
とより深め合えるような工夫が必要であると考える。
算‐13
3
演繹的に考え表現する児童を育む実践③
(1) 小学校第5学年
単元「図形の角」
(2) 児童の実態
児童はこれまでの学習を通して,解決までの自分の考えをノートへかき表し,友達へ伝える活
動を行ってきた。しかし,まだ説明のかき方のモデルに頼っている児童が多い。また,説明の文
章で必要な数学的な言葉がいくつか抜けている児童もまだ多い状態である。そのため,考えのか
き方やどんな言葉を付け足すとよいかなどを,全体で確認していく必要がある。
(3) 単元目標
三角形や四角形の内角の和について,図形の性質として見出し,それを用いて図形を調べたり
構成したりすることができるようにする。
(4) 単元計画
※太枠は演繹的に考え表現する学習場面
時
学
習
活
動
1 〔プロローグ〕
・写真を見て,三角形で敷き詰められた模様について話し合い,興味・関心を高めながら
三角形を切り取って実際に2種類の三角形が敷き詰められるかどうか考える。
・敷き詰められた三角形を基に,三角形の三つの角の大きさのきまりを調べる。
三角定規の角の大きさの和を調べる。
2
・いろいろな三角形について,三つの角の大きさの和が180°になることを知る。
・三角形の内角の和が 180°になることを活用して三角形の角の大きさを計算で求める。
3
・角度をはからないで,四角形の四つの内角の和を求める方法を考える。
各自の考えた求め方について発表し,検討する。
考えのもと
三角形の三つの角の大きさの和は 180°
4
・
「五角形」の意味を理解する。
・角度をはからないで,五角形の五つの内角の和を求める方法を考える。
本
時
考えのもと
三角形の三つの角の大きさの和は 180°
四角形の四つの角の大きさの和は 360°
5
・
「六角形」
「多角形」の意味を理解する。
・六角形の内角の和を三角形に分けて調べ,多角形の内角の和について表にまとめる。
6
・折り込みにある一般四角形の同じ図形を並べて,すきまなく敷き詰める。
・形も大きさも同じ四角形が敷き詰められる理由を考える。
・平行四辺形の一部を変形していって,おもしろい敷き詰め模様を作る。
7
・凹型の四角形の内角の和が 360°であることを説明する。
考えのもと
三角形の三つの角の大きさの和は 180°
8
・
「しあげのもんだい」に取り組む。
算‐14
(5) 本時指導について
ア
本時の目標
三角形の内角の和が 180°であることや,四角形の内角の和が 360°であることを根拠として,
五角形の内角の和が 540°であることを説明することができる。
イ
本時指導の実際
本時は,三角形の内角の和が 180°,四角形の内角
資料-14
学習問題
の和が 360°であることをもとにしながら,五角形の
内角の和が 540°になることを演繹的に考え,表現す
ることをねらいとして行った。
つかむ段階では五角形について説明した後,「五角
形の五つの角の大きさの和は何度になるでしょうか。
角度をはからずに考えましょう。」という問題を提示
した(資料-14)。このとき,既習(三角形や四角形
の内角の和)を確認し,四角形の内角の和の学習とつ
ながりを意識させることで,児童からは「できそうだ。」「前の勉強のときのようにすればいい
んじゃないか」といった声が聞かれた。そこで,「今日の問題はどうするといいかな?」と問い
かけ,「三角形の三つの角の大きさの和は 180°であることを使えばよい」「四角形の四つの角
の大きさの和は 360°であることを使えばよい」という考えが出たので,それらが問題を解決し
ていくもとの考えになることを確認した。また,前時の四角形の学習の時と同様に,直線で形を
分けると良いというものが出たので,それを方法の見通しとして確認した。そして,本時が考え
を説明する学習であることを伝え,「図形の角で分かったことを使って,五角形の角の大きさの
和を説明しよう。」というめあてを確認した。
つくる段階では,自分の考えを文章や式で表すようにしていった。児童は,教室に掲示された
演繹的な表現のモデルを見たり,前時(四角形の内角の和を演繹的に考え,説明した児童の考え)
の掲示物を見たりしながら,考えをかいていた。考えが上手くかけない児童にはヒントカードを
渡し,それをもとに考えるように助言した。机間指導では,全体交流で提示したい児童の考えを
教師が模造紙に写しておいた。
自力解決の後,二人組交流を設定した。ここでは,
ノートにかいたものを指示棒(児童用)で指し示し
ながら説明するようにした。説明が終わったら,ノ
ートを交換し,相手の考えのかき方が演繹的になっ
ているか,チェックカードをつけるようにした。
全体交流では,五角形を三つの三角形に分けた考
えの説明の際,かいてある内容が演繹的な表現とし
て不足しているものを出した。そして,代表児が他
者説明を行った後,全体で「どのような言葉がある
と分かりやすいか」「言葉を付け足すとしたらどの
ような言葉がいいか」などを確認した(資料-15)。
その後,三角形と四角形に分けた考えも同様に行っ
た。さらに,教師が意図的に五角形の中に点をとり,
算‐15
資料-15
掲示した児童の考え
その点と五角形の頂点を結び,五つの三角形に分けた考えを提示した。このとき,すでに演繹的
な表現の言葉をかき,それを紙で隠して提示した。児童は隠された部分に入る言葉を補いながら,
全体で考えの確認をすることができた。
まとめる段階では,再度めあてを確認し,「図形の角で分かったことを使えば,五角形の角の
大きさの和が 540°であることを説明できる。」とまとめ,学習を結んだ。
(6) 考察
ア
演繹的に考え表現する学習場面を意図的に位置付ける学習過程の手だて
本単元における演繹的に考え表現する学習は,①三角形の三つの角の大きさの和が 180°であ
ることをもとにして,四角形の四つの角の大きさの和が 360°になることを考え説明すること,
②三角形や四角形を内角をもとにして五角形の五つの角の大きさの和が 540°であることを考
え,説明することである。そこで単元を通して,演繹的に考え表現する学習場面を意図的に仕組
んでいった。具体的には,角度をはからないで,四角形の四つの内角の和を求め説明する時間を
第3時に仕組んだ。また第4時では,前時(四角形の内角の和が 360°であること)の学習を積
み重ね,五角形の内角の和を説明する演繹的に考え表現する学習を仕組んだ。さらに第7時では,
凹型の四角形の内角の和が 360°であることを説明する学習を仕組んだ。このことから,三角形
の三つの角の大きさの和が 180°であることや四角形の四つの角の大きさの和が 360°であるこ
とをもとに表現・説明する経験を重ねることができ,考えをかき表す内容や順序が的確になって
きた(資料-16)。
資料-16
児童のノートの変容
算‐16
イ
演繹的に考え表現する学習展開の手だて
○
問題設定
本時は,既習の四角形から角を一つ増やした五角形の内角を求める場面である。児童には「三
角形の三つの角の大きさの和は 180°,四角形の四つの角の大きさの和は 360°でしたね。では,
五角形はどうなるだろうね。」と学習のつながりを感じさせながら,「できそうかな。」と投げ
かけた。そうすることで,問題解決への意欲が高まり,演繹的に考え表現しようとする児童の姿
につながったと考える。
○
考えのもと
資料-17
考えのもとコーナー
本時では,「三角形の三つの角の大き
さの和は 180°」,「四角形の四つの角
の大きさの和は 360°」の二つを掲示し
ておいた(資料-17)。児童は自分の考
えを演繹的に考え表現する際,これらを
明確にかき記すことができていた。また,
考えのもとをはっきりと覚えていなかっ
た児童も,掲示物を確認することで考え
のもとを確実にかき表すことができてい
た。考えのもとを掲示したことは,児童
に根拠を意識させる上で有効であった。
○
説明の仕方のモデル
モデルとしては,年間を通して掲示し
てあるモデルとあわせて,前時の学習の
モデルも掲示しておいた(資料-18)。
資料-18
児童の中には,考えはつくれても,そ
れをどのように表現したらよいかわから
ない,どんな順番で表現したらよいかが
分からないというものが多かったが,そ
んな児童も説明の仕方のモデルを見たり,
前時の学習のものを見たりしながら,
もと,自,結 を適切な内容・順序でか
き表せていた。
また,全体交流の時には代表児の考え
を取り上げながら,その児童のどんな表
現がいい表現なのか,どんな言葉をつけ
るともっと分かりやすくなるかなどを確
認した。演繹的な表現でよりよいものは
どんなものかを全体で確認,共通理解す
ることで,さらに一人一人の表現の内容
に向上が見られた。
算‐17
説明の仕方のモデル
○
チェックカード
資料-19
今回は①「友達の説明は分か
チェックカード
りやすかったか」②「もとでは,
『三角形の三つの角の大きさの和
は 180°』や『四角形の四つの角
の大きさの和は 360°』を使って,
考えをつくることができたか」③
「自では,言葉や数,式で問題を
解くための考えをつくることがで
きていたか。」④「結では『五角
形の五つの角の大きさの和は**
度』と,きちんと答えがかけてい
たか」,⑤「もと-自-結の順番
でかけていましたか。」の五つに
した(資料-19)。
児童は互いのノートの記述をチェックすることを通して,チェックの項目である記述の内容や
順序を意識するようになり,一人一人のかき方を向上させていく上で有効であった。
○
全体を通して
演繹的に考え表現する際,単元によってかき表す内容が異なってくる。どの内容をどのように
かき表すかを教師がイメージし,掲示物等を準備しておくことで,演繹的に考え表現することが
できるようになると感じた。また,全体交流で代表児の考えに付加修正することで,何をかき表
したらいいかを児童一人一人に意識させることができた。
算‐18
4 演繹的に考え表現する児童を育む実践④
(1) 小学校第5学年
単元「分数のたし算とひき算」
(2) 児童の実態
児童はこれまでに演繹的に考え表現する学習活動を行ってきた。「合同な図形」では,モデル
をもとにしながら考えをかき表すことができた。「単位量あたりの大きさ」では,問題解決のた
めに必要な考えのもとを意識して選び,数直線を使って式をつくりながら,単位量あたりの求め
方を説明することができていた。
しかし,考えのもとの意味を意識して考えをつくることや自分の考えを,より演繹的に文章で
表現することを苦手とする児童がいることが課題である。
(3) 単元目標
分数の性質や異分母分数の加法および減法の意味について理解し,それらを用いることができ
るようにすることができるともに数についての感覚を豊かにする。
(4) 単元計画
※太枠は演繹的に考え表現する学習場面
時
学
習
活
動
1 〔プロローグ〕
・14の4人の考えなどを参考にし,分数についての既習内容を振り返る。
・1/4と大きさの等しい分数のつくり方を考える。
・1/4=4/16であることを確かめる。
分数の性質として大きさの等しい分数のつくり方をまとめる。
2 ・A,Bに分けられた四つの分数の特徴を考え,21/28がどちらのグループに入るか,大き
本
さの等しい分数の性質を使って説明することができる。
時 ・用語「約分」を知り,方法をまとめる。
考えのもと
分数は分母と分子に同じ数をかけても分数の大きさは変わらない
分数は分母と分子を同じ数でわっても分数の大きさは変わらない
3 ・3/4と4/5の分数の大きさの比べ方を考える
・用語「通分」を知り,方法をまとめる。
4 ・1/5+1/2の計算の仕方を考える。
・通分してから計算のしかたを説明することができる。
考えのもと
分母の違う分数を,それぞれの大きさを変えないで,共通な分母の分数にすることを
通分するという
5 ・2/3と3/4の大きさを比べる。
・3/4-2/3の計算の仕方を考える。
・加法も減法も通分してから計算すればよいことをまとめる。
6 ・1/6+3/8の計算の仕方を考える。
・途中で約分する方が手際のよいことをおさえる。
・1/2+3/4-4/5の計算の仕方を考える。
算‐19
7 ・2と1/3+4/5の計算の仕方を考える。
・通分してから整数部分,分数部分どうしを計算する方法と,仮分数にして通分し計算する
方法をおさえる。
・1と3/5+2と1/6の計算の仕方を考える。
・計算練習をする。
8 ・帯分数の加法計算の仕方を基に,2と1/4-2/3の計算の仕方を考える。
・2と4/5-1と1/3の計算の仕方を考える。
・分数部分がひけないことがある場合を知る。
・計算練習をする。
考えのもと
帯分数の計算は通分して考える。
帯分数の計算は仮分数にして計算する。
9 ・2/5+0.3の計算の仕方を考える。
・小数を分数にすればいつでも計算できることを理解する。
・計算練習をする。
10 ・45分を時間の単位で表すことを考える。
・9/12時間,3/4時間が45/60時間と等しいことを通分して確かめる。
11 ・
「しあげのもんだい」に取り組む。
(5) 本時指導について
ア
本時の目標
・「分子と分母を同じ数でわっても分数の大きさは変わらない」ことを根拠として,21/28 と
大きさの等しい分数を見つけ,説明することができる。
・「約分」の意味について理解する。
イ
本時指導の実際
本時は分数の性質を用いながら,21/28 がAグループとBグループどちらの大きさのグループ
に入るのかを,演繹的に考え表現することをねらいとしている学習である。
つかむ段階では,四つの分数を一つずつ児
資料-20
学習問題
童に見せ,各グループのどちらに入るのかを
考えさせながら仲間分けしていった。その後,
21/28 がどちらのグループに入るのかと問い
かけ,考えることで,本時学習問題をつかま
せるようにした。その際,二つのグループは
どのような観点で仲間分けされているのかを
予想させ,同じ大きさのグループであること
伝えることで,21/28 がどちらのグループに
はいるのかを「考えたい」「説明したい」と思えるようにした(資料-20)。児童には,分母と分
子がそれぞれ違う分数が同じ大きさであることを理解することが難しかったようで,同じ大きさ
のグループということをつかむことに時間がかかっていた。
見通す段階では,各グループがどんな大きさの分数なのかを知るために,何を使えばよいか考
算‐20
えるようにした。児童の反応で「分母をそろえれば分数の大きさが分かる。」という言葉をひろ
って展開することで,既習内容であり考えのもとである「分数の性質①(かけ算)」と「分数の
性質②(わり算)」を見通しとしてもつことができていた。当初のねらいとして,どちらの考え
のもとを使えば簡単に解決できそうかを考え,見通しを選択させたかった。しかし,自力解決の
ためには①Aグループの大きさを求める②Bグループの大きさを求める③21/28 はどちらの大き
さにはいるのか,三つの課題を解決する必要があることをつかめておらず,自分なりの見通しを
もてていない児童が多かった。
資料-21
児童のノート
つくる段階では,自力解決に入る前に,
問題解決のために三つの課題を解決する必
要であることを伝えた。自力解決では,演
繹的に考え表現できるように,考えのもと
→ 自分でやってみたこと → 結論 の順番で
ノートにかいていった。多くの児童が簡単
に解決するためにどの見通しを使えばよい
かを把握できていなかったので,もう一度
見通しをふり返り,方向付けを行った。そ
の後はしっかり考えをつくることができて
いた(資料-21)。
次に二人組交流を行った。この際に考え
のもと,自分でやってみたこと,結論が正
しくかけているかのチェックを,チェックカードを用いて行った。この交流を行うことで,お互
いに演繹的に考え表現されているのかの視点をもって聞くことができていた。
全体交流では,まず,Aグループがどんな大きさの分数なのかの発表をした。児童の1人が「な
ぜ分母と分子をその数でわったのか」という質問をして,発表者が「その数でしかわれないから」
と答える場面があった。このことを取り上げ,「分母の○と分子の△は□でしかわれない」とい
う言葉を板書した(資料-3)。より演繹的に考え表現するために必要な言葉であったので,B
グループの発表や結論を発表する児童にも,その表現を参考にして発表するようにした。全体交
流の中で演繹的に考え表現する積み上げができた。
まとめる段階では,どちらのグループに入るかを説明するには何を使えばよいかを確認し,分
数の性質を使えば説明できることを明らかにした。また,分母と分子をわっている同じ数が,二
つの数の公約数であることを確認した上で,「分母と分子をそれらの公約数でわって,数の小さ
い分数にすることを約分する」ということを教え,本時の学習をまとめた。
(6) 考察
ア
演繹的に考え表現する学習場面を意図的に位置付ける学習過程の手だて
本単元における演繹的に考える学習は,分母と分子に同じ数をかけても分母と分子を同じ数
でわっても分数の大きさは変わらないことや分母が違う分数は,通分して分母をそろえると計
算することができることを根拠として説明することである。そこで単元を通して,演繹的に考
え表現する学習場面を意図的に仕組んでいった。具体的には,A,Bに分けられた四つの分数
の特徴を考え,大きさの等しい分数の性質を使って説明する学習を第2時に仕組んだ。また,
第4時では,異分母分数の計算の仕方を通分の考えをもとにして説明するような,演繹的に考
算‐21
え表現する学習を仕組んだ。さらに第8時では,通分の考えや仮分数にする考えをもとに,帯
分数の計算の仕方を説明する学習を仕組んだ。このことで,分数の性質をもとに表現・説明す
る経験を重ねることができ,筋道を立てて説明する姿が見られるようになった(資料-22)。
資料-22
イ
演繹的に考え表現する学習展開の手だて
○
問題設定
児童のノートの変容
問題設定にあたっては,2点の工夫を行った。1点目は演繹的に自分の考えを説明できる
内容であること。2点目は児童が「説明したい」「解いてみたい」と思える内容であること
である。1点目に関しては,それぞれのグループの大きさを調べる場面を設定することで,
分数の性質を用いて考える必要性を見出すことができた。2点目に関しては,四つの分数を
一つずつ児童に提示し,21/28 がどちらのグループに入るかを考えさせたり,二つのグルー
プがどういった観点で分かれているのかを考えさせたりしたことで,「説明したい」「解い
てみたい」という数理的な意欲をもたせることができたと考える。
取り上げた分数の数値が大きかったことや,前時の学習内容の習熟が不十分だったことも
あり,分母と分子の数値の違う二つ分数が同じ大きさであるということを把握できていない
児童がいた。このことは,児童が把握できるような提示の仕方や数字の検討が必要であるこ
とを感じた。
○
資料-23
考えのもと
本時では「分数は分子と分母に同じ数をかけても分数の大きさ
は変わらない」「分数は分子と分母を同じ数でわっても分数の大
きさは変わらない」が考えのもととなる。これまでの実践では,
選ぶ「考えのもと」は一つに選びやすいことが多かった。かけ算
の性質とわり算の性質の二つにわけて「考えのもと」を掲示する
ことで(資料-23),自力解決に必要な「考えのもと」が複数あ
る場合でも,必要なものを自分で選べる場面を設定することがで
きたのは意義深いことである。
しかし,問題把握と見通しのもたせ方に課題があり,本時では
多くの児童がより簡単な「考えのもと」を選ぶことができていな
算‐22
考えのもと
かった。本時では,必要な考えのもとを選ぶことは難しかったが,こういった複数の考えのもと
から選ぶ活動をくり返すことで,演繹的に考え表現する児童が増えていくものと考える。
○
説明の仕方のモデル
資料-24
説明の仕方のモデル
説明の仕方(ノートのかき方)のモデル(資料-24)を提
示した。自分の考えをかくときに,「問題を解決するのに必
要な定義や性質」をもと,「問題解決のために自分でやって
みたこと」を自,「結論」を結とするもと-自-結の順序に
かくことによって,演繹的に考えたことを整理できるように
し表現のための内容や順序を理解できるようにした。このモ
デルを使って,何度も説明学習を行うことで,少しずつでは
あるが演繹的な考えをノートに表現できるようになってきて
いる。
全体交流の際には,最初に発表した児童の考えから,演繹
的に考え表現されている部分を取り上げたり,交流の中で必
要な言葉を付け加えたりすることを取り入れた。このこ
とで,次に発表する児童が自分の考えを,より聞き手に
資料-25
修正された児童の考え
分かりやすく発表することができており,全体交流の中
での積み上げができていた。いくつかの考えをただ発表
するのではなく,演繹的に考え表現することを深めてい
くために,1回の全体交流の中でも,どんな言葉や式を
用いたらよいかを話し合い,修正することがよかったと
考える。
また,交流の中で修正された考えをノートに赤でかき
加えることをさせた(資料-25)。このことで,ノート
をふり返った際に,演繹的に考え表現することを意識で
きるようになり,より演繹的に考え表現していきたいと
感じるようになってきている。
○
資料-26
本時のチェックカード
チェックカード
お互いにチェックカード(資料-26)を用いて,ノ
ートをチェックした。チェックの項目を「○と△」の
2段階にすることで,演繹的に考え表現することがで
きているかできていないかをはっきりさせることがで
きた。単元を通して2~3時間こういったチェックカ
ードを用いた二人組交流を行うことで,もと・自・結
の順番を意識することや,友達の考えをしっかり聞く
視点をもたせられたことがよかった。
○
全体を通して
「図形の角」での実践を受け,全体交流の中で演繹的に考え表現する内容について付加・修正
を行った。このことで,次の発表者が修正した表現を意識して発表することができた。これは,
演繹的に考え表現する力を育成していく上で,技術的にも意欲的にも意義のあるものであった。
今後の実践の際にも,発表順番や板書の示し方の工夫を行っていく必要がある。
算‐23
第Ⅲ章
1
研究の成果と課題
研究の成果
第5学年の算数科学習指導において,根拠をもとに考えをつくる一単元や一単位時間の工夫をしな
がら,学習指導を継続的に行ってきた。このことで,以下のような児童の姿に高まりが見えてきた。
(1) 演繹的に考え表現する学習場面を意図的に位置付ける学習過程の手だて
児童が演繹的に考え表現することができているか,変容を見取るために,事前と事後に同じ問題
を行った(資料-27)
。
その後,児童の解答を,①考えの根拠と
資料-27
児童の変容を見取るための問題
なるもの(「平行四辺形は向かい合う辺の長
さが等しくなる」
)を正しい言葉でかけてい
るか,②考えの根拠がかけた上で,
「辺オク
と辺カキが等しくなる」ということがかけ
ているか,の2点で考察した。
まず,①については,平行四辺形の性質
を正しくかけている児童が,事前と事後で
比較するとおよそ2倍に増えた。この結果
から,根拠を明らかにしてかき表そうとす
る児童が増えていることがわかる。これは,
考えのもとを掲示したことや考えのモデル
を示したことなど手立てが有効であったと
考える。
次に②については,事前と事後で比較す
るとおよそ2.5倍に増えた。この結果か
ら,根拠を明らかにした上で,演繹的に必
要な言葉をかき表している児童が増えてい
る傾向があることが分かる。考えのモデルを示したことがかき表す内容や順序性を児童に意識させ
ることにつながったのではないかと考える。
これらのことから,演繹的に考え表現する学習場面を意図的に位置付ける学習過程の手だてが有
効であったと考える。
(2) 演繹的に考え表現する学習展開の手だて
ア
資料-28
問題設定
「説明学習で新しい問題に出会った時,それを
解いてみたいと思いますか。
」の問いに対して,
「当てはまる,やや当てはまる」の数値が 70%
から 87%と上がっている(資料-28)
。このこ
とから,問題設定を手だてとしたことで,児童
の学習意欲を高め,より分かりやすく考えをつ
くろう,説明しようという思いを引き出すこと
に有効であったと考える。
算‐24
児童へのアンケート
イ
考えのもと
資料-29
児童へのアンケート
資料-30
児童へのアンケート
資料-31
児童へのアンケート
「考えのもとをはっきりさせて解決しようと
していますか。
」の問いに対して,
「当てはまる,
やや当てはまる」の数値が 66%から 80%と上が
っている(資料-29)。このことから,考えのも
とを手だてとしたことで,解決に必要な根拠を
意識したり,既習内容から引き出したりするこ
とに有効であったと考える。
ウ
説明の仕方のモデル
「学習したことをもとにして,自分の考えを説
明できますか。
」の問いに対して,
「当てはまる,
やや当てはまる」の数値が 51%から 73%と上が
っている(資料-30)
。このことから,説明の仕
方のモデルを手だてとしたことで,児童は,根
拠,必要な言葉や図等に目を向けたり,もと→
自→結の順序を意識したりすることに有効で
あったと考える。
エ
チェックカード
「問題の解き方や考え方が分かるようにノー
トにかいていますか。
」の問いに対して,「当て
はまる,やや当てはまる」の数値が 78%から
90%と上がっている(資料-31)
。このことから,
チェックカードを手だてとしたことで,児童が
自分の表現(ノートにかいたことと説明したこ
と)を振り返り,よりよい表現・説明をしよう
とすることに有効であったと考える。
以上のことから,ノートの表現が整理され,
児童が必要な言葉を適切に使い,自分の考えを
筋道を立ててかくことができるようになり,演
繹的に考え表現する学習展開の4つの手だてが
有効であったと考える。
2
研究の課題
研究を重ねた結果,以下のような 3 つの課題が残った。
○
演繹的に考え表現する児童を育むために,発達段階を踏まえた指導や各領域の特性に応じた
指導をより工夫していく必要がある。
○
演繹的に考え表現する児童を育むために,単元構成をより工夫をしていく必要がある。
○
演繹的に考え表現する児童を育むために,二人組交流だけでなく全体交流でも,チェック
カードのよりよい活用の工夫を考えていく必要がある。
算‐25
資料等
引用文献
1
文部科学省
小学校学習指導要領解説
2
文部科学省
算数編
東洋館出版社
(平成 20 年)
言語活動の充実に関する指導事例集
教育出版
(平成 23 年)
小学校学習指導要領解説
東洋館出版社
(平成 20 年)
参考文献
1
文部科学省
算数編
2
福岡市教育委員会
新しいふくおかの教育計画
3
日本数学教育学会
算数教育指導用語辞典
(平成 21 年)
第四版
教育出版
(平成 23 年)
研修員
瀬津田
河野
剛
泰也
(弥永西小学校教諭)
堺
(松島小学校教諭)
津留
研究指導者
清水
紀宏
(福岡教育大学教授)
細川
浩司
(研究支援係長)
算‐26
真理子
明日香
(筑紫丘小学校主幹教諭)
(小笹小学校教諭)
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