Title 前立腺癌の診断におけるEndorectal coil MRIとプロトン MR

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前立腺癌の診断におけるEndorectal coil MRIとプロトン
MR spectroscopyの役割
杉村, 和朗
泌尿器科紀要 (2000), 46(11): 855-859
2000-11
http://hdl.handle.net/2433/114395
Right
Type
Textversion
Departmental Bulletin Paper
publisher
Kyoto University
泌 尿 紀 要46:855-859,2000
855
前 立 腺 癌 の 診 断 に お け るEndorectalcoilMRIと
プ ロ ト ンMRspectroscopyの
役 割
神戸大学 医学部放射線科学教室(主 任:杉 村和朗教授)
杉
村
和
朗
STAGING AND TISSUE CHARACTERIZATION
OF PROSTATE
CARCINOMA : ROLE OF ENDORECTAL MR IMAGING
AND MR SPECTROSCOPY
K azuhiro SUGIMURA
From the Department of Radiology,Kobe UniversitySchoolof Medicine
The role of magnetic resonance (MR) imaging and MR spectroscopy with an endorectal coil in
tissue characterization and local staging was reviewed. Endorectal coil (ERC) MR imaging
demonstrated the detailed zonal anatomy of the normal prostate. The sensitivity and specificity of
staging prostate cancer for ERC MR imaging was superior to both conventional MR imaging and
transrectal ultrasound. ERC MR imaging is the most accurate noninvasive method of staging
prostate cancer. However, the accuracy of the diagnosis made by inexperienced radiologists was
significantly inferior to that made by experienced radiologists. Endorectal MRI failed to differentiate
benign from malignant lesions in some patients demonstrating low signal intensity on T2-weighted
imaging in the peripheral zone. MR spectroscopy may provide additional information on tissue
characterization, monitoring after treatment and staging.
(Acta Urol. Jpn. 46: 855-859, 2000)
Key words : Prostate cancer, Staging, Endorectal coil, MRI, MRS
ル と して,前
緒
MRIは
言
急 速 な 進 歩 を 遂 げ,多
の 主 役 と な っ て い る.泌
の 超 音 波 に 加 え て,画
て,現
くの 臓 器 で 画 像 診 断
尿 器 科 疾 患 に 関 して も,従
来
床 的 有 用 性 とい った 点 に お い
時 点 で はTRUSに
及 ば な い も の の,重
る.本
コ イ ル の 利 点 と して は,躯
に対 し て 侵 襲 性 が 低 い 点 もPACが
る.し
か し な が ら,わ
常 に微細 な所 見 を得 る に は分 解 能 が不 十 分 な こ
シ ンポ
と が あ る(Fig.IA).
び 悪 性 疾 患 の 鑑 別 お よ び 病 期 診 断 に つ い て,直
腸内 コ
よ びMRSの
下ERC)を
用 い たMRIお
有 用 性 と 限 界 に つ い て 解 説 す る.
ず か な 被 膜 浸 潤 の評 価 の よ う
Endorectalcoil(ERC)は
分 解 能 を よ り向 上 させ る
目 的 に 開 発 さ れ た(Fig.IB).本
コ イル を用 い て得 た
MR画
い う.ERCは
像 を,endorectalMRIと
ル を 直 腸 内 に 挿 入 し,前
1.Endorectalcoil(ERC)に
MRIに
る.コ
つ い て
る こ と に よ っ て,よ
は微 弱 な信 号 を検 出 す る コ イル が 重 要 で あ
イ ル は 大 き く,躯
れ る.躯
幹 コ イ ル と表 面 コ イ ル は 分 か
幹 コ イ ル を 用 い た 場 合,広
る こ と が で き る が,局
い 範 囲 の信 号 を得
所 の 信 号 は 弱 い.こ
の た め,小
さ な 病 巣 や 臓 器 に ね ら い を定 め る 場 合 に は,表
ル を用 い る.前
立 腺 も,深
す る 必 要 が あ る た め,表
表 面 コ イ ル は,体
者
優 れ て い る点 で あ
要な画
性お よ
イ ル(endorectalcoil以
幹 コ イ ル に 比 べ て,
ま た コ イ ル を体 表 面 に 装 着 す る だ け で あ る た め,患
立 腺 の 正 常 所 見,良
と し て の 役 割 は 確 立 して い る.本
ジ ウ ム の ま と め と し て,前
用 い られ
高 分 解 能 の 前 立 腺 画 像 を 得 る こ と が で き る 点 に あ る.
に,非
像 診 断 の1つ
の表 面 コ イル を
組 み 合 わ せ たphasedarraycoil(PAC)が
像 診 断 の 一 翼 を 担 い つ つ あ る.
前 立 腺 に 関 し て も,臨
立 腺 疾 患 の 診 断 に は4個
面 コイ
部 にあ る小 さな臓 器 を評価
面 コ イ ル が 不 可 欠 と な る.
る.前
コイ
立腺 直近 か ら良好 な信 号 を得
り明 瞭 な 画 像 を 得 る こ と が で き
立 腺 か ら 得 ら れ る 信 号 が 非 常 に 強 い た め,高
分
解 能 画 像 を 得 る こ とが で き る 利 点 が あ る.し
か し,信
号 は コ イ ル か ら の 距 離 に 反 比 例 す る た め,辺
縁域 か ら
得 ら れ る 信 号 は 強 い が,前
立 腺 の 前 方 よ りか ら の 信 号
は 弱 くな る 欠 点 が あ る 。 ま た,患
者 に と っ て は,直
腸
内 に コ イ ル を 挿 入 さ れ る と い う 不 快 感 が あ る.
2.前
立 腺 の 正 常MRI
表 面 に コ イ ル を設 置 す る 場 合 と,
体 腔 内 に 設 置 す る 場 合 が あ る.体
表面 に設 置 す る コ イ
MRIの
最 大 の 利 点 は,前
立 腺 内部 の構 造 を明 瞭 に
泌 尿 紀 要46巻ll号2000年
856
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ゆ 一
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艦ル
B
A
A:Phased-arraycoil(PAC).
Fig.LMRimagingwithvariouscoils.
B:Twotypesofendorectalcoi1
(ERC).
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等
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齢
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転
AB
Fig.2.
Normalprostate.A:NormalprostatewithPAConT2-weightedimaging.B:Normal
prostatewithERConT2-weightedimaging.Peripheralzonedemonstrateshighsignal
intensityonT2-weightedimaging.DetailstructureiswelldemonstratcdonERCMR
imaging.arrows:neurovascularbundle.
分 離 描 出 で き る 点 に あ る.PAC,ERCの
り,空
利用 に よ
にERC
ス テ ー ジ 正 診 率 は,特
経 血 管束 を
て は,sensitivityが37か
間 分 解 能 が 飛 躍 的 に 高 ま っ て き た.特
を 用 い る こ と に よ っ て,前
立 腺 被 膜 や,神
明 瞭 に 描 出 で き る よ う に な っ た.ERCを
に よ っ て,多
用 いるこ と
くの 場 合 前 立 腺 内 の 腺 管 構 造 が 見 え る よ
う に な っ て きて い る(Fig.2).
た だ し,コ
イル か らの距 離 が遠 くな った場 合 信号 が
極 端 に 弱 く な っ て く る.こ
れ る が,移
の た め辺 縁域 の評 価 には優
行 域 よ り腹 側 の 評 価 は 難 しい こ とが 多 い
ま た 可 視 範 囲 が 狭 い た め,前
用 い た 報 告 に 分 け ら れ る.躯
立 腺 肥 大症 が高 度 な場 合
も 評 価 が 難 し くな る.
用 い たMRIに
を凌 ぐ値 で は な い.一
求 め る こ と に は 無 理 が あ る.多
MRIに
方,分
期 診 断 の 感 度,特
異 度 と も に20%程
る 報 告 が 多 い1'2>し
均65%とTRUS
解 能 に 優 れ るERCを
常 のMRIに
比 べ て,前
か しERCの
用
立 腺 癌 の病
度 優 れ て い る とす
読影経験 が少 ない
医 師 で は 正 診 率 が 低 い と い う 問 題 点 も あ る3)(Fig.
3A,B)。PACを
用 い たMRIは,躯
幹 コ イル を用 い
た 場 合 に 比 べ て 良 好 で あ る が,局
所 の空 間分 解 能 は経
よ る前 立 腺
高 い診 断 能 を
施 設 調 査 で は,被
膜外
嚢 浸 潤 のsensitivity29%,病
い う 値 が 得 ら れ て い る.
つ い て は 多 くの 報 告 が あ る が,コ
イル の 比
較 試 験 と し て は 躯 幹 コ イ ル を 用 い た 報 告 と,ERCを
用 い たMRIは,PACや
た 場 合 に 比 べ て,可
狭 い.こ
局 所 の 病 期 診 断 に お い て,TRUSに
期 診 断 の 正 診 率58%と
ら80%,平
直 腸 コ イ ル に は 及 ば な い4)(Fig.3C,D).
癌 の診 断 能
浸 潤 の 正 診 率49%,精
に重 要 な被 膜 浸 潤 の 有 無 につ い
い たMRIは,通
ERCを
3.PACとERCを
幹 コ イ ル を用 い た場 合 の
躯 幹 コ イル を用 い
視 範 囲(丘eldofview:FOV)が
の た め,ERCを
用 い たMRIに
よ る骨 盤 内
リ ン パ 節 の 評 価 は 難 しい(Fig.4).
4.今
後 の展 開
良 性 疾 患 と 癌 の 鑑 別 に,H-lMRspectroscopy
(MRS)の
利 用 が 進 ん で い る.こ
れ は 癌 で は ク エ ン酸
の 低 下 と コ リ ン の 上 昇 を 認 め る が,前
立腺肥大症 をは
杉 村:EndorectalMRI・
ミ鱒灘 嘉
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く久!絢
857
前 立腺 癌
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BD
Fig.3.StageT2prostatecarcinomaonT2-weighted.A,B:ERCMRimaging.C,D:PAC
MRimaging.RightperipheralzoneisdcmonstratedaslowsignalintcnsityonT2weightedimaging.Lowsignalintensitycapsuleispreservedonbothimage,butis
moreclearlyinERCimaging.arrows:tumor.arrowhead:cupsule.
AB
Fig.4.
Prostatecancer,lymphnodesmetastasespre-andpost-hormonaltreatment.Metasta.
ticlymphnodesshrankaftertreatmenしMRimagingwithbodycoilorphased.array
coilisuse釦lintheevaluationofpelviclymphnodesbecauseofwidefieldofviewcomparcdthatwithERC.arrows:lymphnodes.
じめ と す る 良 性 疾 患 で は 変 化 し な い と い う現 象 に 基 づ
い て い る(Fig.5).MRSの
前 立 腺 のMRSを
MRSは,今
信 号 は 非 常 に 弱 い た め,
行 う に は,ERCが
必 須 と な る.
後治 療 効 果 の 判 定 な どで 重 要 な 検査 法 と
な る こ とが 予 測 さ れ る5)
現 時 点 でMRSは,MRIで
多 い,前
立 て ら れ て い る(Fig.6).ま
れ た,ホ
は 診 断 が 困難 な こ とが
立 腺 生 検 後 の 出血 を伴 う前 立腺 癌 の診 断 に役
ル モ ン治 療,放
た前 立腺 癌 に対 して行 わ
射 線 治 療 な どの効 果 判 定 にお
け る 有 用 性 も高 い と さ れ て い る6)(Fig.7).
泌 尿 紀 要46巻11号2000年
858
Choline
Creatine
Creatine
Citrate1
Ch・li・e＼1
/y・at・
ppm3。53.02.52.01。51.Oppm3.53.02.52.01.51.O
AB
Fig.5.ProtonMRspectroscopyoftheprostate.A:ProtonMRspectroscopyofprostate
Highcitratepeaksandlowcancer.B:ProtonMRspectroscopyofnormalprostate.
cholinepeaksinnormalpatients.Thereareelevationsofcholinepeaksanddecrcased
citratepeakswererepresentedinprostatecancer.
Coline
、
Creatine
Creatine
iI
h・li剛
t・.
1Citrate
ノ ヲ ・a・
・
..嬬呈『霊.」 ・
ppm3.53.02.52.01.51.Oppm3.53.02.52.01.51.O
AB
Fig.6.
Postbiosyhemorrhage:MRimagingandprotonMRspectroscopy.A:Prostatecancer.
B:Chronicprostatitis.T2-weightcdimagingdemonstrateslowsignalintensityintheright
peripheralzoneonbothAandB.ProtonMRspectroscopycoulddifferentiatemalignant
(A)倉ombenignlesion(B).
騨
物
グ
.'
際
。
箆麟
ew.易,穿E;雲
'隷
義 ゴ
麟
〃=
彫
〆.
Fig.7.ProtonMRspectroscopicimaging.Prostatecarcinoma.Befbreand
afterhormonaltrcatment.ProstatecancerisdemonstratedasdiffUse
lowsignalintensityinthebilateralperipheralzoneonT2-weightcd
image(A).Residualtumorcouldnotevaluateafterhormonal
treatment.Areaofcholine/citratepeakswassuperimposedonT2weightedimaging。
結
ERCを
MRIが
語
用 い る こ と に よ っ て,前
得 ら れ る が,現
時 点 で はPACで
立腺 の 明 瞭 な
撮像 された
MRIで
異 常 を認 め た場 合 の 補 助 に と どま っ て い る.
MRSに
はERCが
必 須 で あ り,良
目 的 も 合 わ せ て,ERCの
る.
好 なMRIを
得 る
よ り一 層 の 進 歩 が 望 ま れ
杉 村:EndorectalMRI・
文
献
859
前 立 腺癌
phased-arraycoilsversus藍ntegratedendorectalpelvicphased-arraycoils.Radio且ogy193:703-
1)
2)
杉 村
和 朗=特
集;泌
尿 器 科
断.前
立 腺 疾 患
のMRI一
断 一
臨 床 泌 尿 器51:483-489,1997
領 域
直 腸 内
し い 画 像
コ イ ル
診
に よ る 診
709,1994
5)KubhanewiczJ,VigneronDB,H㎡cakH,etaL:
Three-dimensionalH-1spcctroscopicimagingof
HarrisRD,schnedARandHeaneyJA:stagingof
theinsituhumanprostatewithhigh(0.24-0.7cm3)
prostaticcancerwithendorectalMRimaging:
sptatia】resolution,Radiology198:795-805,1996
lessonsfromalearningcurve.RadioGraphics15:
813-829,1995
3)
の 新
6)KajiY,KurhanewiczJ,HricakH,etaL:Localiz量ng
prostatecancerinthepresenceofpostbiopsy
0utwaterEK,PetersenRD,SiegelmanES,etaL:
changesonMRimages:roleofprotonMR
Prostatecarcinoma:assessmentofd肱gnostic
spectroscopicimaging.Radiology206:785-790,
criteriaforcapsularpenetrationonendorectalcoil
1998
MRimaging.Radiology193:333-339,1994
4)
HricakH,WhiteS,VigneronD,etal.:Carcinoma
ofthcprostategland:MRimagingwithpelvic
俣:::翻 瓢bcrll:;898)