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慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所
平成23年5月9日(月)
寄附講座「ツーリズム論」
講演:16:30~18:00
「日本のホスピタリティ文化の海外展開」
場所: 慶應義塾大学三田キャンパス
㈱ 加 賀 屋
小 田 禎 彦
Ⅰ、宿泊産業を取り巻く環境
1、東日本大震災による自粛を自粛
2、何を売っているのか
・コンピューター会社<明日の意志決定補助産業>・飛行機会社<時間短縮補助産業>
・旅館<明日への活力注入産業・・・お客様が抱える問題を誰よりも上手く解決>
3、客志向・ニーズの変化(新しい時代が始まっている)
・金銭消費型→時間消費型
・畳→イス、テーブル
・歓楽的→癒し ・健康・教育
4、老舗旅館の相次ぐ倒産、格安旅館の台頭
5、観光庁設立
①観光圏構想、着地型旅行(2.7泊を4泊へ)
②休暇取得の分散化
③グローバル観光戦略の推進<ビジット ジャパン>
・アウトバウンド 1,663 万人・インバウンド 796 万人(2010 年)
・外国人旅行者訪日促進―2010 年に 1,000 万人の訪日外国人誘致
2020 年には 2,000 万人 2030 年には 4,000 万人(フランスは 8,000 万人)
Ⅱ、観光の果たす役割
1、観光とは-中国の古典の『易経』(国の光を観る)
2、観光の経済波及効果
①地域の活性化―この地域に定住者が増えるか、一時滞留的に交流人口が増えること
②1 次 2 次 3 次産業の全てにおいて波及効果&地域滞留分が他産業に比べ高い
③国土の貧富格差是正(都会地の富を地方へ)
3、観光振興のために
①パイを大きく-観光は 1 次~3次産業、衣食住に関わって皆が幸せに
②来やすく
―mobility―東海北陸自動道、能越自動車道、北陸新幹線、能登空港
③来る必然性-S・D・A―(Sustainable Differential Advantage)
・ずっと存続する競争上の差別化→他にない魅力、当地の文化・風土、オリジナリティ
④コア・コンピタンス=自社の強みを相手の期待通りに発揮できる能力
4、観光資源(お宝)
①fiction ②history ③show&gamble ④rhythm&taste ⑤sightseeing
Ⅲ、加賀屋の流儀
1、本年創業104年
明治39年9月10日小田與吉郎「加賀屋」を創業12室30名収容
2、加賀屋社員としての誇り
・第36回「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」31年連続総合1位
3、日本一の根底にあるもの
・父母の存在とサービスの原点(笑顔で気働き)
、加賀屋イズム-陰日向なく
商売の鉄則-お客様第一主義の徹底、当たり前の事を当たり前に、現場に宝物あり
・社員満足(E・S )とお客様満足(C・S)
4、おもてなしを科学する=仕組み(かたち)づくり
①自動搬送システムの導入(S56:能登渚亭・平成元年:雪月花)<ハイタッチとハイテック
>
②企業内保育園の建設(S61)カンガルーハウス
③アンケート管理の徹底
・アンケート対策会議(月 1 回)・・・・・お客様の声をもとに改善と予防
・年間約2万5千枚の回収<全体の8%>→不満の3P<段取り優先・一言多い・感性>
④クレーム管理の徹底<臭いものに蓋をしない>
・クレーム報告書の提出、クレーム0大会の開催、クレーム白書の作成
5、おもてなしの心を育成する
・トップ教育 ・調理アカデミー
・加賀屋USAツアー
※耳人間から口人間の転換<幹部社員の姿勢>・・・・・・ツールボックスミーティング
Ⅳ、国際交流
1、七尾マリンシティ推進構想
・USA西海岸視察
・能登食祭市場(七尾フィッシャーマンズワーフ)
2、米国モントレー市との交流
・姉妹都市提携 ・小田禎彦の日(4月28日)
・モントレージャズフェスティバル イン 能登
・ジュニアウィングス イン アメリカ-青少年人材育成
Ⅴ、おもてなしで世界をねらえ
1、 世界に誇れる日本の「おもてなしの心」
①台湾ツアー 平成8年から毎年 7,000 人~8,000 人の受け入れ
②本物の提供(ハードよりソフト)
・浴衣を着せてくれた。乱れを直してくれた・客室係が一緒に輪踊りに参加してくれた等
③能登空港チャーター便の就航 2004 年から毎年 30~70 便
2、おもてなしの心を輸出する
・IT時代だからこそ人臭さ、おもてなしのこころが大切<加賀屋の流儀>
・台湾加賀屋(地上14F、地下3F、100室)2010年12月18日オープン
Ⅵ、分衆時代のサービス
1、サービスとは ・・・「プロとして訓練された社員が給料を頂いてお客様の為に正確にお役に
立ってお客様から感激と満足感を引き出すこと」
2、サービスの本質・・・「正確性」
「ホスピタリティ」
3、マーケッティングコンセプト
①control :管理、目標達成の組織
②target market :対象となる市場の選定
③position:よりすぐれた解決
④resource use :資源の活用、配分
Ⅶ、10年後の生き残りに向けて
1、すでに起こった未来の探索
①経営者の使命・・・既に起こってしまった事例を基に次の10年を予測すること
「the most important work of the executives is to identify the changes that have already
happened. / Peter F.Drucer」
②「今、何が起こっているか」それを知り、機会・チャンスに変える→イノベーション
※イノベーション事例A・・全く違う新しいものを作った
→スターバックス、回転寿司
※イノベーション事例B・・他分野の違うタイプの製品を持ってきた
→マイクロソフト、アップル
③経営者に必要なのもの・・・
「幅広い知識」と「観点に基づいた世界観」
→知っている人と知らない人との落差は大きい。
2、イノベーションの本質
①お客様のために新しい価値を生み出せているかどうか、それがイノベーションの全て
「Based on customers want not what we want / Peter F.Drucer」
②見えている事実と本当の事実は違う
イノベーションの価値を決めるのは経営者ではない。お客様である。そしてお客様が何を求
めているかは、お客様自身しか知りえない(経営者の事実≠お客様の事実)
」
③早く変化する⇔ゆっくりとした変化、変化が遅いとイノベーションに気づかない
3、今、何が起こっているか
①すでに起こったこと(今の子供達に起こってしまった事実、それが繰り返される未来)
・I-Pad、液晶 TV、携帯電話が物心ついた頃には当たり前のようにあった世代
・インターネットで自由に情報がやり取りできた時代から、Facebook(本当に信用できるサイト
のみが生き残る)が主流になりつつあるアメリカ
→いずれも、彼らにとっては全てが「既に起こってしまった未来」
Ⅷ、結論は人材育成
1、企業は人なり
・斉(DC7)の大宰相・管仲「一年の計は穀を樹(う)えるにしくなく、十年の計は木を樹え
るにしくなく、百年の計は人を樹えるにしくなし」
2、JTB人材育成プロジェクト
①旅館経営人材育成基金設立―総額13億7千万
②旅館経営人材育成アカデミー 米国先進事例視察(2月20日~3月1日)
・ラスベガス(日本のカジノ候補地) ・P.ドラッカー経営大学院(もしドラ)
・モントレー(地域全体での誘客、ネット、低価格化)
③日本の宿おもてなし検定(6月22日~7月10日)
3、自立人間と依存人間
4、人間の一日は24時間
主体作業・付随作業・非稼動 コモディティとプライム(企業・人間)
5、ミッション・スティトメント・・・企業の存在理由、社員が与えられるミッションの具現化
ミッション<役割・責任・機能>
①究極は部下の働き方の指導→管理職が完全燃焼すること、ひいては社員(部下)を
完全燃焼させること<労働密度の向上>
②管理職は部下の能力開発、勘違・考え方を修正<正しい道しるべの示唆・幸せな人生の導き>
③経営者と同じ危機感を持っている社員が経営者に最も近い人
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