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平成28年9月発行 - 広島県立沼隈特別支援学校

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平成28年9月発行 - 広島県立沼隈特別支援学校
広島県立沼隈特別支援学校地域支援だより
NO.3
平成 28 年9月 15 日発行
〒720-0401 広島県福山市沼隈町上山南736-3
電話 (084)988-0888
ファクシミリ
http://www.numakuma-sh.hiroshima-c.ed.jp/
(084)988-0889
8 月 22 日(月)に3回目となる特別支援教育事例研修会を行いました。今年度も講師に,くらし
き作陽大学子ども教育学部子ども教育学科 橋本正巳教授をお迎えし,児童生徒の行動支援につい
て小,中学校と,本校高等部から1例ずつ指導に困っている事例を挙げて,指導方法や支援策につ
いて助言をいただきました。回を重ねるごとに参加者が増え,今年度は小学校,中学校,高等学校
から昨年度の2倍となる 77 名の先生方に御参加いただき本校の教員とともに研修を深めることが
できました。次に各事例と助言の要点を掲載します。
・ふとしたことに怒り,暴力をふるったり,暴言を吐いたりする。
小学校の事例
(通常学級)
・机や床に落書きをする。・水遊びを止められない。・授業中の私語。
・失敗すると,「どうせできん」と否定的な見方をすることがしばしばある。
助言
・衝動性がある,全体が見えない(シングルフォーカス),表現の仕方を1つだけしか持ち合わせていない,そう
いった特性を持っているからこの子たちはしんどいということを念頭において接すること。
・暴力,暴言などの反社会的行動に至った時は,小さい子供なら体に優しく接しながら「○○したかったんだ
ね」とその子の気持ちを言葉で表しながら落ち着かせ,次の行動を選択肢をあたえながら提案する。
・普段からクラスでどういった行動が望ましいのかについて話をする機会を持ち,絵カードを常備しておいてイラ
イラした時などに視覚的,選択的に提示する。ルール提示をどれだけ分かりやす
くできるかが鍵。
・本児に同調して授業中声を上げる等の子供たちの行動に対しては,やるべきこ
とを視覚提示し,いつまでやるのかを伝えて見通しをもたせて,少しでもできたら
褒めるといった対応をする。本児は先生にかまって欲しいという気持ちが強いが,
望ましくない注目行動については徹底してかまわず見守りのみにする。
・夏休みは個別に宿題をみたりして個別に関わって信頼関係を築くチャンス。子供ができることが増えて「これ
とこれは先生が認めてくれている」いうことが分かったら子供は変わってくる。
・不登校気味(遅刻や欠席が多い)。
中学校の事例(自閉症・情緒特別支援学級)
・学校に登校しても,飛び出していくこと。
・クラスでの授業では,自分の席に座らず,授業に参加しないことが多くなってきていること。
・課題をしない。提出しない。
・気持ちにムラがあり,ショックなことや嫌なことがあると固まり,コミュニケーションがとれない。
助言
・本人が興味をもって受けることができている授業をビデオに撮り,教職員で研修を行ったことは,教職員の共
通理解を図り,どの教科においても同じ対応をしていくという点において非常にメリットがある。
・この子は居場所がないのではないか。本音で話をする人がいない,本音を語れないというのがこの子たちの
本当のしんどさ。校内にカウンセリングマインドで話を聞くことができる先生の存在が必要。この子たちの今は一
生に1回しかない。誰かが動かないといけない。
・教室から出て行った時,全員で追うとそれがおもしろくてさらに注目行動を引き起こす場合がある。「○時にな
ったら○○をやるよ」と具体物を視覚提示し,見通しをあたえること。やるべきことを分かりやすく提案し,「こうし
たらできた」という実感をもたせる。この実感がなかったらただ居場所を作っても意味がない。
・自分を見てもらうために,特定の教員へのアピールとして
特別支援学校高等部の事例
たまに校外へ出たり,教室の前で座り込んだりウロウロしたりすることが多い。
・自分の感情をコントロールできる場面も増えてきているが,対人トラブルで相手に手を出したり物
に当たってしまうことがある。
助言
・担任が代わっても指導と関わりの一貫性があり,本生徒の成長が伺える。
【興奮して暴れた時の対応】落ち着いた後で必ず自分で片付けさせ,できたら褒める。
【いらいらした時の対応】周囲に迷惑がかからない自己表現の仕方(不要な紙を破る
など)を 具体的に伝える。
・できたことは「君が○○してくれたので,先生は○○が楽だった」というように具体的に
褒めることが大切だが,本人が「自分は何でもやってもいいんだ」と誤解釈しないようにやるべき内容を具体的
に伝えていくことも必要。
・作成された「頑張りチェックシート」について,シートを用いたことが良いのではなく,この表を使って本人と教師
がやりとりする中で,自己理解と「こうしたらいいんだ」という気づきを促すことに意味がある。
アンケートより(抜粋)
・今,目の前にいる児童と同じような事例が聞け,自分がどうあればいいのか分かったような気がして元気がでました。
ありがとうございました。2学期スタートを目前に新たにがんばっていこうという勇気がでました。(小学校)
・今回で3回目の参加です。回を重ねるごとに先生の話してくださる内容がよく分かる気がします。一昨年は情緒学級の
担任1年目で混乱していました。少しずつ子どもたちが暴れるのがどんな時か分かり,自分なりの手立てを講じることが
できるようになりました。今回の話も具体的でよく分かりました。カッとした時の言葉かけをかえていきます。(小学校)
・とても具体的内容ですぐ実践してみます。居場所をつくるだけでなく,望ましい提案をし,具体的な見通しが必要なこ
とを知りました。また同じような研修会をお願いします。参加します。(中学校)
・具体的な言葉かけや関わり方を教えていただき,2学期からの生徒対応の参考になりました。(高等学校)
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