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Title 我が国におけるITプロジェクトマネージャーのマネジメント

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Title 我が国におけるITプロジェクトマネージャーのマネジメント
別表5
(3)
主
報告番号
甲 乙 第
論
文
号
要
氏 名
旨
No.1
大塚 有希子
主 論 文 題 名:
我が国における IT プロジェクトマネージャーのマネジメントコンピテンシーに関す
る研究
(内容の要旨)
卓越した業績を上げるハイ・パフォーマーが学力や人種とは関わりのない数々のスキ
ルを共通して持つことを明らかにした MacClelland の「コンピテンシー」の概念は、我
が国でも 1990 年代以降、能力主義による人事制度を導入に伴い、業績に直結する個人
の潜在および顕在能力の評価と開発の必要性から高業績者の行動特性としての「コンピ
テンシー」が利用、研究されるようになっている。また、成功するプロジェクトは3割
~4割と日本の IT プロジェクトは未だ成熟しているとはいえない状況である。
その背景には、長期雇用などの慣行を根拠とした重層化した発注構造や請負契約、オ
ーダー指向等の業界構造による問題、イノベーション型、すりあわせ型、クローズド型、
という日本の IT プロジェクトの特徴による問題の他、設計書が業界標準化されておら
ず公的規制によるチェックも無いという問題がある。これらの問題は、それぞれ複雑に
絡み合っており、他業態に比して IT プロジェクトのマネジメントの複雑性が高く、要
求に対する受発注者の共通認識が極めて重要であることに繋がっている。本研究ではこ
のような IT プロジェクトにおける要求マネジメントの重要性を実際のプロジェクトマ
ネージャー(以下 PM)に対するコンピテンシー調査とグローバル標準を比較すること
により検証し、更にコンピテンシー強化のための教育訓練プログラムを提言する。
本研究では、まず、成功する人材が持つ IT プロジェクトの成功に寄与する PM のマ
ネジメント・コンピテンシー(高業績者の行動特性)について、プロジェクトマネジメ
ント・プロセスに注目して明らかにした。日本国内の情報通信・IT 開発プロジェクトの
PM 約 200 名に対し、プロジェクトマネジメント知識体系による 42 のプロセスを自己
評価する質問紙により調査した。得られた結果を因子分析し「リスクマネジメント」「進
捗マネジメント」等の9因子を抽出した。これらの因子指数を直近プロジェクトの成果
の成功群と不成功群で比較した後、パス解析により成功・不成功に対する因果関係を調
べた。その結果、プロジェクトの時間的な成功に「引渡成果物マネジメント」の、コス
トの成功に「要求事項マネジメント」のコンピテンシーが影響することがわかったが、
2つのコンピテンシーには「進捗マネジメント」のコンピテンシーが間接的に影響して
いることも確認できた。以上よりこの3つのマネジメントコンピテンシーの IT プロジ
別表5
(3)
ェクトに対する重要性が示された。
更に、受注側と発注側のコンピテンシーの違いを明らかにするために、PM 約 520
名に対して、プロジェクトマネジメント知識体系による 42 のプロセスを自己評価する
質問紙により調査した。発注側・受注側に分け直近のプロジェクトの成果の成功群と不
成功群で比較した後、パス解析により成功・不成功に対する因果関係を調べた。その結
果、発注側の全体成果には品質成果の影響が大きいことがわかった。発注側でも受注側
でも全体成果に影響するコスト成果や品質成果に、スケジュール成果の影響が大きく、
それには、発注側 PM には調達マネジメントの、受注側 PM にはコストマネジメントの
コンピテンシーが影響することがわかった。以上より発注側 PM 受注側 PM には異なる
コンピテンシー開発目標も設定されるべきと考えられる。また、これらのマネジメント
項目には受注側と発注側の協働とコミュニケーションが不可欠であり、要求マネジメン
ト(ビジネスアナリシス)の重要性にも繋がる。
そのような PM のスキル向上ために、実務者 61 名によるブレーンストーミングを基
に、ビジネスアナリシスの標準知識体系を利用して、重要な業務を要因関連図として明
示した。具体的にスキル開発として実現する方法の提言として、その要因関連図を基に、
教育プログラムを開発した。3 回のべ 65 名の参加者によるトライアルコースの評価によ
りこのプログラムの有益性が示唆された。
以上により、この研究は、日本の IT プロジェクトのテーラリングにおいて、要求
マネジメントの重要性が客観的に確認し、更に PM の能力開発の方法を提案することに
より、我が国の IT プロジェクトの成功に寄与する分析と提言のアプローチを行ってい
る。
主
論
文
要
旨
No.2
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