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当日配布資料(582KB)
エッジ効果抑制型遮音壁の開発 研究責任者 : 河井 康人 (関西大学 環境都市工学部 教授) コーディネータ: 石原 治 (関西大学 社会連携部) 研究背景 交通量の多い幹線道路沿いでは、環境基準達成のた めに非常に高い遮音壁が設置されることが多く、景観、 日照阻害や構造的な面から設置コストの上昇などの問 題も抱えている。このような状況を緩和するため、遮音 壁の先端に断面がマッシュルーム形状等の装置を設置 した先端改良型遮音壁が種々提案されているが、その 効果は数 dB 程度と言われている。 研究開発の基礎となる知見 エッジ効果について 250 Hz 剛板のエッジ近傍の粒子速度振幅(法線微分型境界積 分方程式による解析例) 研究開発のポイント • 従来ほとんど認識されていなかったエッジ効果に着目した。 • 鏡像法を用いた境界積分方程式から、回折音場は遮音壁を上部に延長 した仮想面上の粒子速度分布の寄与で表わされ、それ故、エッジ近傍に 生じる大きな粒子速度が支配的な影響を及ぼすことを見出した。 • エッジ近傍の大きな粒子速度を適切な流れ抵抗を持つ薄い面状の吸音 材で効果的に抑制することにより、回折音を低減できることを理論的に 示した。 遮音壁先端から上への距離(m) エッジ近傍に布や 薄い吸音層を設置して 大きな粒子速度を 緩和吸音 20 10 遮音壁 0 0 0.2 粒子速度振幅(相対値) 0.4 粒子速度 の分布 研究開発成果 • 本研究開発のもう一つのポイントは、先端に設置する薄い吸音材の流れ 抵抗等を、上方へ行くに従って徐々に減少させる(グラデーション)特性 を持たせることで、大きな減音効果が得られることを理論的、実験的に 示した点である。 (a) 通常の遮音壁 (b) グラデーション特性を持つ吸音層を設置 遮音壁先端付近の音響エネルギーの時間平均流(音源は左下方) 研究開発成果 実施例 新技術の特徴、従来技術・競合技術との比較 • 従来の遮音壁は、大型、設置コストに課題 があった。 • 本技術の遮音壁は、エッジ効果を抑制する ことにより回折音のレベルを低下させること で、スリム化、小型軽量化、低コスト化を実 現できる。 • 従来のものと比較し、粒子速度を非常に効 果的に抑制することで格段の遮音性能向 上が見込まれる。 想定される用途 騒音源からの放射音によって遮音壁先 端付近に生じるエッジ効果を抑制するこ とにより、回折音場における音のレベル を低下させるという新しい発想に基づくも のであり、この原理を応用すれば道路騒 音や鉄道騒音の遮蔽のみならず、室外 に設置された設備騒音に対する囲いや 室内におけるパーティション等の遮音性 向上に寄与できるものと考えられる。 実用化に向けた課題 • 現在、理論の妥当性を種々の測定結果 から検証済みであり、既に実用化された 遮音壁製品が一部販売されている。 • 上記製品は従来の製品と比較して高性 能であるが、理論的に予測される最高 の性能は有しておらず、開発の余地が 残されている。 • より高性能化、また、十分な耐候性を持 つ適切な多孔性材料の検討が課題とし て残っている。 本技術に関する知的財産権 • • • • 発明の名称 出願番号 出願人 発明者 :吸音体を用いた遮音壁 :PCT/JP2012/51471 :関西大学 :河井 康人 想定される技術移転 ■現状 ・道路用遮音製造メーカー大手 A社 国内の道路、鉄道用の遮音壁 実施契約 商品化 「デュラカーム E-fX」 ・ゼネコン大手 B社 工事現場囲い等 共同研究 ■ライセンス活動 ・道路、鉄道以外の遮音壁(パーテーション、囲い等) ・本技術の理論を用いた室内外の騒音低減具「吸音体」 の用途開発 ■海外展開 ・道路、鉄道に限らずその他の用途を含めた遮音壁 の海外展開 ・騒音低減具「吸音体」の海外展開 お問い合わせ先 ・ 関西大学 社会連携部 ・ 産学官連携コーディネーター ・ 石原治 ・ TEL:06-6368-1245 ・ FAX:06-6368-1247 ・ E-mail:[email protected]