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高精度ウォームホイール(はす歯歯車)

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高精度ウォームホイール(はす歯歯車)
高精度ウォームホイール(はす歯歯車)
【プロジェクト名】
オーバーモールド工法による樹脂多層歯車の開発
契約期間:平成 18 年度~20 年度(一般枠)
特定ものづくり基盤技術:動力伝達
■研究開発の成果
○射出成形によりギヤ歯面のスキン層確保(耐久性アップ)
○被覆膜により金型転写率を大幅に向上(大径化対応)
○最薄被覆部 0.25mm
○切削工具に支配されない自由な歯面、歯元形状
○ウォームホイール形状測定手法の確立
●川下の抱える課題及びニーズ
■自動車に関する事項
強度・耐久性の向上
●高度化目標
高強度化又は長寿命化
■開発した技術と製品の特徴
開発したウォームホイールは、噛み合い時の変形ヒステリ
スが小さく、表層の摺動性を併せ持つ多層歯車である。この
ため、非強化材料からなる同精度ウォームホイール
(Ref.Model)と比較して歯先温度上昇が小さく(図 2)、長
寿命で高トルクでの使用が可能である。また、熱エネルギー
として失われるロスが小さいため、本開発ホイールを使用す
ることにより駆動モーターの出力トルクを下げるなど省力化
の効果も期待できる。
■研究開発の目的
自動車用パワーステアリングは、電動化への置き換えが進
んでいる。電動パワーステアリング(EPS)は、ステアリン
グ軸に配置するウォームホイール(はす歯歯車)をモーター
により駆動させ、操舵補助する構造である。ウォームホイー
ルには静音化を目的として樹脂素材を切削加工されたものが
使用されている。
本開発では、高強度と摺動性を両立する多層構造体の樹脂
製ウォームホイールを射出成形による高い生産性で製造する
技術を開発する。
【従来技術】
<課題>
○歯切り加工により歯面のスキン層が消失(耐久性↘ダウン)
○切削加工による材料ロスが大きい
○単一素材からの仕様に限定される
【新技術】
図2
ウォームホイールの歯面温度特性
【基本諸元】
モジュール
圧 力 角
すすみ角
ピッチ円直径
歯
数
条
数
歯
幅
<開発目標>
○層間接合を利用したオーバーモールド工法の確立
○均等な二次被覆のための樹脂流動と射出成形技術の確立
○高精度ウォームホイールを実現する金型設計の確立
図3
図1
:1.9mm
:14.5°
:20.0°
:90.98mm
:45
:3
:15mm
多層ウォームホイール歯先
従来技術と新技術の比較
■知的財産権(本研究開発による特許出願等)
<課題解決の手段>
切削加工歯車と比較して遜色ない高い精度を有する歯車を
多層成形により製造するため、従来の射出成形歯車では行わ
れていない、設計から完成品に至るまでの一貫した精度管理
手法を開発した。また多層歯車を射出成形で実現するため、
層間の接合及び金型の高転写性を実現するため以下の取組み
を行った。
○極薄成形への挑戦(ボイド対策、金型転写性向上)
○安定した接合力(Cling-Aid®塗布技術の確立)
○金型設計(歯数分にセグメント化された分割金型開発)
○高分解能検証(非接触測定による測定と設計値比較)
特許出願件数(件)
なし
(2009 年 12 月現在)
論文数(件)
なし
■今後の技術課題
これまでにない多層構造体であるため、吸湿特性、長期間
の使用における耐久性や温度変動に対する接合部の信頼性な
ど実際の使用環境に応じた種々の検証が必要である。
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18 年度採択
一般枠
動力伝達
■研究開発の体制
■事業化の現状と今後の見通し
■事業化計画
【共同体】
○現時点では、当初に予定していた自動車電動パワーステア
リング用としての事業化計画は目途がたっていない。
事業管理者(プロジェクト運営・管理等)
○車載部品として事業化するために、次期モデルチェンジを
目標に継続して努力を続けていく。
(財)名古屋都市産業振興公社
○その一方で、他産業、他分野へ省力化デバイスとして PR
して行く予定である。現在自動車以外の分野に PR してい
る最中であるが、これまでこの寸法の成形ウォームホイー
ルが存在しなかったことから、市場への浸透には少々時間
がかかるものと予想している。
研究 実施者
法認定事業者(基盤技術を有する中小企業)
山清工業(株)
中小企業
(株)チバダイス
■本研究開発による売上の見通し
研究機関
名古屋市工業研究所
時
アドバイザー(開発目標明確化、市場マッチング助言等)
(株)ジェイテクト
デュポン(株)
東海精密工業(株)
アムテック(有)
(株)ソディックプラステック
三鷹光器(株)
図4
期
2009年末までに
0
①
2011年度までに
1
③
2014年度までに
3
③
(注)事業化段階 : ①試作品未完成、②試作品完成、③事業化(実
用化)達成、④事業化達成に加え、同業・他産業へ研究成果普及
2011 年度までに量産化に向けた試作品の製作等による売
上を見込むと共に、2014 年度までに量産化への生産体制を
整えてゆく計画である。
研究開発実施体制及び共同体参画者
お問い合わせ先
■キーパーソンの声
■キーパーソン
【事業管理者】財団法人
プロジェクトリーダー
山清工業
株式会社
(2009 年 12 月現在)
売上額、「共同体」
事業化段階
累積金額 (億円)
【連絡先】淺尾
技術部
友田
康治
氏
〒463-0003
名古屋都市産業振興公社
文博
愛知県名古屋市守山区下志段味字穴ヶ洞
2271-129
TEL:052-736-5680
FAX:052-736-5685
[email protected]
①プロジェクトについて誇れる点
本プロジェクトでは、素材メーカーから最終製品に至るま
で各分野のスペシャリストの参画を得ることができた。その
連携、協力の結果として、従来困難とされてきた成形ウォー
ムホイールが、当初の目標より高精度で成形でき、性能的に
おいても期待した以上の成果が得られたことは誇れる点であ
る。
当初は、樹脂接合技術のアプリケーションの一つにすぎな
かった歯車開発が、当事業の採択により大きく具現化できた
ことは、関係各位に感謝すると共に、参画した方々の知識と
知恵と実行力の集大成と考えている。
②プロジェクトについての反省点
最大の反省点は、現時点で十分な事業化が見込めないこと
である。本プロジェクトを遂行して行く中で、進捗管理や対
処に追われ、既存市況の変化や、他産業、他分野へ波及させ
るための情報収集やニーズ探索に欠けていたと反省する次第
である。
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