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少子化対策は、母胎の安全から -財政難、でもこれだけはー

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少子化対策は、母胎の安全から -財政難、でもこれだけはー
少子化対策は、母胎の安全から
-財政難、でもこれだけはー
10 月 24 日、市議会決算特別委員会において、妊婦検診の公費負担制度の拡大につい
て、質問いたしました。その概略を記します。
①産科医の受難 急患で、救急車で搬送された妊婦の
治療を、いくつもの病院が次々に断り、死亡した事件が
あり、病院のモラルが問われる、記事やニュースが報道
されました。お亡くなりになった方のご冥福をお祈りせ
ずにはおられません。その一方で、なぜ、このような事
件が頻発するのかという検証が大切です。
人の親ならば、みなさん経験がある通り、出産というのは、安産であることが当然
のことではなく、女性にとって命がけの大きな危険を伴う、大冒険です。
徳川時代の将軍(八代吉宗)の一代記を読むと、将軍の夫人たちが、出産時、または
産後、命を落とした例がたくさんあり、安産である事がまれであったとの記述があり
ます。将軍の夫人という、当時としては、出産時に最高の医療環境と待遇を保証され
ている女性たちにとっても、出産は、このような危険に満ちた難事業でした。
現代においても、出産時の医療事故は絶えることはありません。その事故を少しで
も防止するためには、妊婦の健康診断は欠かせない、必要な予防医療行為です。
ところが、この妊婦検診を受診しない妊婦が、この出産時の事故につながる例が多
いと、統計は物語っています。そして、もし、その妊婦である患者に、不幸にも事故
が起これば、母子ともが、またはどちらかの命にかかわる大事故につながっていきま
す。妊娠後、日頃から医師に検診を受けていれば、医療データも揃い、不測の事態に
も対処することは可能でしょうが、そのような資料がない、急患で搬送された患者に
対処、治療するには、当然大きな危険が伴うことは、私たち医療の素人にも理解でき
ます。しかし、その不測の事態に対処できなければ、全てに医師の責任が問われ、裁
判の結果、産科医や麻酔医が、実刑判決を受ける例も増えてきました。病歴や、過去
のデータの不明な妊婦を診療することを避け、急患の診療を断る事例が増えてきたの
は、このような事件の結果の一つであると、あるお医者さんは語ってくれました。
はたらく男
福岡市議会議員
おばた 久弥 レポート №189
071106
②国は今 厚生労働省は、平成 19 年 1 月 16 日付けで、都道府県、政令市などに、
「妊婦健康診査の公費負担の望ましいあり方について」という文書を送りました。
そこには、妊婦が受けるべき健康診査は、次のように、13 ないし 14 回程度が望ま
しい、としています。
Ⅰ 妊娠初期より妊娠 23 週(第 6 月末)まで :
4 週間に 1 回
Ⅱ 妊娠 24 週(第 7 月)より妊娠 35 週(第 9 月末)まで :
2 週間に 1 回
Ⅲ 妊娠 36 週(第 10 月)以降分娩まで :
1 週間に 1 回
そして、公費負担についても、14 回程度行われることが望ましいとしていますが、
「財政厳しいおり、これだけの回数の公費負担が困難であれば、最低限必要な、診査
の時期は、少なくとも次の 5 回として、経済的理由により受診をあきらめる者を生じ
させないため、その公費負担が望ましい」としています。
第 1 回 妊娠 8 週前後、第 2 回 妊娠 20 週前後 第 3 回 妊娠 24 週前後
第 4 回 妊娠 30 週前後 第 5 回 妊娠 36 週前後
③県はどうしたか 県は、国の通知を受け、県医師会と協議し、県医師会の提案を、
福岡市、北九州市を除く各市町村にアンケート調査をしました。回答した 60 市町村
のうち、県医師会の提案である、5 回の公費負担を了承したのは、36 市町村です。
④福岡市はどうするのか 同じ政令市である北九州市は、国からの文書受領後、
本年 8 月 1 日より、公費負担回数を 2 回から 3 回に拡充する決定をしました。また、
来年 4 月からは、前述の県医師会の提案を参考にして、5 回の公費負担を決定する模
様です。ところで、我が福岡市は、どうなっているのか。皆様もきっと気がかりな事
だと思いますが、誠に残念な事に、まだ、方針はおろか、はっきりとした方向性さえ
も打ち出しておりません。若い人たちの結婚年齢が上昇し、また生涯独身の人や、結
婚しても子どもは作りません、などという人たちの増加というライフスタイルの大き
な変化もあり、今や我が国の少子化問題は、国の存立にも影響を及ぼしかねない深刻
な事態になっているのに、であります。「子育て日本一」を目指すと、常日頃広言さ
れている吉田市長さんを戴く、福岡市なのですから、私の決算特別委員会総会の質問
には、はっきりと答弁して頂きたかったのですが、これでは掛け声倒れで、看板の架
け替えをせざるを得ないと思います。読者の皆様は、いかがお考えですか。
このところ、とみに吉田市長に対して辛口となるレポートを続けていますが、賢明
なる皆様には私のいら立ちが十分、理解いただけるものと確信しています。
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