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旭川市性感染症発生動向 (定点4疾患:性器クラミジア感染症,性器

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旭川市性感染症発生動向 (定点4疾患:性器クラミジア感染症,性器
○旭川市性感染症発生動向
(定点4疾患:性器クラミジア感染症,性器ヘルペスウイルス感染症,尖圭コンジ
ローマ,淋菌感染症)について
(3)男女別
・男性では性器クラミジア感染症(報告数全体の約5
2%)
,淋菌感染症(同約25%)の順,女性では性
器クラミジア感染症(同約60%)
,性器ヘルペスウ
1 把握方法
旭川市の性感染症定点医療機関3か所から,毎月年代別・男女別の発生数の報告を受けています。
イルス感染症(同約23%)の順に多くなっていま
す。
2 発生の状況
・淋菌感染症は,毎年,男性の報告が女性の約2~4
倍あります。女性の数が少数であることについては,
(1)年次推移
女性は自覚症状に極めて乏しく受診の機会が少ない
ことも要因の一つと考えられています。
「性感染症に関する特定感染症予防指針」の改正について
旭川市保健所 医師 安藤 滋敏
この度,感染症法第11条第1項に規定され,少なくとも5年毎に再検討を加えることとされていた国
の「性感染症に関する特定感染症予防指針」が改正され,平成24年1月19日に適用となったので,主
・性器クラミジア感染症は,毎年,増減はありますが減少傾向です。これは全国,北海道と同様の傾向です。
な改正事項を御紹介します。
・性器ヘルペスウイルス感染症は,年々減少しています。全国でも同様の傾向ですが,北海道では平成22年
から増加傾向です。
まず前文では,咽頭感染が増えてきている現状を踏まえ,性的接触として新たに口腔を介した性的接触
・尖圭コンジローマは,ここ3年は横ばいとなっています。全国と北海道では減少傾向です。
が明記されました。さらに,性的接触を介して感染する可能性がある感染症の例示として,B型肝炎が追
・淋菌感染症は,ここ3年横ばいでしたが,平成23年は増加しており,全国,北海道も同様の傾向です。
加されています。B型肝炎の母子感染は非常に少なくなっており,近年,成人が感染しても慢性化する「ジ
・定点 4 疾患全てにおいて,旭川市の定点あたりの月平均の報告数は,全国,北海道と比較して高くなってい
ェノタイプ Ae」
(欧米型)の感染例が日本でも増加しているなど,これからは性感染症としてのB型肝炎
ます。定点医療機関を受診していない患者の情報は得られていませんが,性感染症にかかると,性器の粘膜が
が問題になるという考えが背景にあります。
炎症を起こし HIV に感染しやすくなることから,旭川市はハイリスク状況にあることが考えられます。
続いて本文では,HPV ワクチンの国内承認を受け,性感染症の予防方法として予防接種が追記された
(2)年代別
ほか,コンドームだけでは防ぐことができない性感染症があることや,検査法として性器クラミジアと淋
・4疾患ともに20~30代の発生が多く,全体の約
50~75%を占めています。
菌は病原体検査,梅毒と性器ヘルペスは抗体検査を基本とすることなどが明記されました。クラミジア検
査は一部自治体で実施されていますが,そのうち4分の3は病原体検査ではなく抗体検査が実施されてい
・4疾患全てで 10 代の報告が認められており,性器
る現状にあるため,この改正には精度のより高い病原体検査を推進する狙いもあります。
クラミジア感染症が最も多く,平成 23 年は,平成
22 年から5.6%増加し,14.8%となっています。
その他,緊急避妊薬の承認を受けて緊急避妊という文言が加わったほか,性的接触の相手方にも必要な
厚生労働省研究班によると,性器クラミジアの無症候
情報提供等の支援を行うことや,病原体の分子疫学や薬剤耐性に関する研究を行うことなどが新たに盛り
感染者が高校生女子の 13%程度存在するとの報告も
込まれています。
あり,医療機関を受診していない隠れた感染者が数多
くいることが考えられます。
特定感染症予防指針は,数ある感染症の中でも特に対応が必要な感染症について策定されていますが,
・性器ヘルペスウイルス感染症は,他の3疾患よりも
専門家によって入念に審議された指針であっても一定の期間で見直さざるを得ないほど性感染症を取り
高齢者の報告数が多くなっています。この理由として
巻く状況が目まぐるしく変化する中,我々が効果的に啓発活動を行うには目前の対象者に応じた柔軟なア
は,本来の届け出対象ではない再発例も報告されてい
プローチが強く求められているのです。
る可能性が考えられます。
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表紙「☆Quiz!☆」の答え
○正解は「コンドームの国内出荷量」です。
平成元年頃から性感染症(定点 4 疾患)と 10 代から 20 代前半の人工妊娠中絶率が増加を始めまし
た。何れも平成 15 年頃から減少傾向にありますが,新規 HIV 感染者・AIDS 患者は増加しています。
しかしその一方で,コンドームの国内出荷量は平成 5 年の 6.8 億個から平成 19 年には 2.9 億個と約 6
割減の状況となっており,無防備な性行動の増加を示唆していると言われています。
保健事業のご紹介
旭川市保健所 健康推進課保健予防係
今回のテーマは・・・
旭 川 市 の性 感 染 症 発 生 動 向 について
です
詳細については,担当係までお気軽にお問い合わせください!
中学,高校,各種専門学校,大学,一般の方を対象に,エイズ・
HIV予防に関するビデオやDVD,パネル,
性感染症予防について,保健師などが出前講座を行います。
健康教育用具の無料貸し出しを行っていま
す。新しい DVD が入りました。
3つのグラフは関連性があります。
点線で囲ったグラフは何を表すものでしょうか?
性感染症,10代の人工妊娠中絶が増加後減少していますが,
一貫して減少を続けているのは何でしょう?
無料・匿名・結果は即日30分
HIV 検査を月に4回程度実施しています。月1回は休日・
夜間にも実施しています。完全予約制で,予約はエイズ専用相
談電話で受け付けています。
エイズ・性感染症,その他性に関する相談
を受け付けています。
~平成 24 年度子宮頸がん予防ワクチン助成のお知らせ~
対象は中学 1 年生から高校 1 年生に相当する年齢の女子及び
高校 2 年生に相当する年齢で平成 24 年 3 月 31 日までに本ワ
クチンの接種を 1 回または 2 回受けた女子です。
エイズ専用相談電話
℡26-8120
性感染症の定点医療機関あたり
10 代の人工妊娠中絶の
年間報告数
年次推移
【全国 H5~H19】
【全国 H5~H19】
?
【H5~H19】
受付時間:平日 8:45~17:15
―今号で引用及び参考とした文献・資料等―
1)NESID(感染症サーベイランス)
,2012.1.27 時点
2) 北海道感染症情報センター:定点把握感染症(月単位報告)
3)国立感染症研究所感染症情報センター:感染症発生動向調査週報,2002 年第 22 週号
4)厚生労働科学研究:
「国内外の HIV 感染症の流行動向及びリスク関連情報の戦略的収集と統合的分析に関する
研究」平成 21 年度報告書
5)国立感染症研究所感染症情報センター:病原微生物検出情報 Vol.29, 2008 年 9 月号
6)木原雅子:現代社会と若者の性行動,母子保健情報第 60 号(2009 年 11 月)
7)厚生労働省:性感染症に関する特定感染症予防指針の一部改正について
8)厚生科学審議会エイズ・性感染症ワーキンググループ議事録(第5回~第7回)
※厚生労働科学研究エイズ対策研究事業「国内外の HIV 感染症の流行動向及びリスク関連情報の戦略的収集と
統合的分析に関する研究班」
(主任研究者:木原正博)
○本誌に関するご意見,ご要望,お問い合わせは,下記連絡先まで。
旭川市保健所 健康推進課 保健予防係 ℡26-1111(内線2955)fax26-7733
正解は,4ページに・・・
ホームページ
H P :http://www.city.asahikawa.Hokkaido.jp/files/kenkousuisin/yobou/yoboutop/top-new.htm
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