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(植物) [PDFファイル/571KB]

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(植物) [PDFファイル/571KB]
平成 28 年度
上越科学館標本作品展審査講評
(よりよい作 品 にするために)
上越科学館
【植 物 標 本 の 部 】
本 年 度 は昨 年 度 に比 べて、小 学 校 では出 品 校 数 が3校 、出 品 数 も8点 増 え
て38点 となりました。中 学 校 では出 品 校 数 が2校 、出 品 数 も10点 減 り12点 と
なり、小 ・中 学 校 合 わせて、50点 の応 募 でした。中 学 生 の出 品 が減 ったのが
残 念 で す。
全 体 的 な質 は例 年 並 みでしたが、入 賞 作 品 には、調 査 対 象 を 特 定 の 地
域 に 絞 り 1年 か け て 採 集 し た も の や 、 イ ネ 科 や シ ダ 植 物 、 海 藻 な ど 植
物の種類を限定して採集したものなど、努力の跡がうかがえるすば
ら し い 作 品 が あ り ま し た 。 また、標 本 作 製 技 術 が 高 く 、 立 派 な 作 品 に
仕上げたものが多くありました。
小 学 校 低 学 年 では、例 年 のように採 集 対 象 として身 近 な草 本 類 の作 品 が
多 く見 られました。 このことは、「身 近 な植 物 を標 本 にして、名 前 を調 べてみよ
う」という意 欲 の現 れとして評 価 してよいと思 います。特 に入 賞 した作 品 には、
昨 年 も出 品 し、その成 果 や専 門 家 のアドバイスを生 かしたものが多 くあったこと
は 、た いへん 喜 ばし い こと です 。
実 物 で自 然 を語 るという意 味 で、科 学 の 世 界 で は 標 本 は 重 要 な 証 拠 とな
り ま す 。 標 本 を 使 っ て 、 新 し い 種 類 で あ る こ とを 証 明 し た り 、 分 布 を 調 べた り 、 過
去 の自 然 状 態 を知 ったり、他 の地 域 の植 物 と比 べたりすることにより、新 しいこ
とが 明 ら か に なる ので す。
また、標 本 製 作 を通 してたくさんのことを学 ぶことができます 。四 季 の自 然 の
変 化 や美 しさ、多 様 性 、不 思 議 さに触 れるとともに 、計 画 性 をもって粘 り強 く課
題 に取 り組 むこと、地 道 に作 業 を進 めることなど科 学 の学 び方 や方 法 が確 実
に身 に付 きます。また、採 集 や吸 湿 紙 の交 換 のときに植 物 をよく観 察 すること
- 1 -
に なり 、 継 続 し て取 り 組 む こ とによ っ て 植 物 を 観 察 する 力 も 付 いて き ます 。
このあと、植 物 標 本 の作 り方 について注 意 してほしい 基 本 的 なことを示 しま
すので、これらのことを参 考 にして、今 後 も標 本 製 作 を続 けてほしいと思 います。
1 研 究 テ ーマ ( 標 本 作 製 の ねら い )と 標 本 数 につ い て
・
小 学 校 低 学 年 か ら 高 学 年 、 中 学 校 へ と 進 むに 連 れて 、 ポイ ントを 絞 っ
た テーマ になっ て いく 必 要 が ある と 思 いま す。 特 に 小 学 校 低 学 年 で は 園
芸 植 物 ( 庭 の 植 物 ) 標 本 が あっ ても よ い のです が 、 中 学 年 以 上 は 野 生 植
物 を 採 集 す る よう にし ま し ょ う 。
・
研 究 テ ーマを 身 近 な 所 か ら 選 ぶ こ と は、 観 察 ・ 採 集 にた びた び 出 か け る
こ とがで き 、よ い こ とで す。 今 年 度 の 入 賞 者 の多 くは 、 1年 間 を 通 し て 採 集
に 出 か け 、秋 、 春 、 夏 の 植 物 を 採 集 し て い まし た ( 目 的 にも よ りま すが 、 旅
行 先 な ど 遠 方 を 選 ぶ と1 日 か 2 日 の採 集 になっ て し ま い 、 花 や 実 の 付 いた
も のが 採 集 で きな く な りま す の で要 注 意 で す ) 。
・
テ ー マ を で き る だけ 絞 り まし ょ う 。「○○ 科 の 植 物 」 「シ ダ植 物 」 「つ る 植
物 」 「帰 化 植 物 」 「休 耕 田 の 植 物 」 など で す。 ねら い がし っ か り し てい れ ば、
考 察 も し っ か りし た も のにな り ます 。 逆 に 「○○ 地 域 の 植 物 」 と いう よ う に
テーマ が 大 き す ぎ るも のがあ り まし た 。広 い 地 域 を 対 象 とし てい る 場 合 、 2
~3 回 の 採 集 では と ても テ ーマ にあっ た 採 集 は 難 し く 、よ い レ ポ ートも 書 け
ません 。い ろ い ろな 都 合 で 季 節 を 限 っ て 採 集 し た ものし か 出 せな い 場 合
は 、 「○ ○ 地 域 の 夏 の 植 物 」と 季 節 を 限 定 し た 方 が よい でし ょ う 。 また 、 中
学 生 で は 「身 近 な 植 物 」 と い う 漠 然 と し たも の で なく 、 「 上 越 市 山 屋 敷 の
植 物 」 な ど と 地 名 を 入 れ る 方 がよい でし ょ う 。
・
標 本 数 は 、小 学 校 中 学 年 以 上 は 20 点 ~ 50 点 、 中 学 生 は 40 点 ~ 10 0
点 に なるよ う にし まし ょ う 。し か し 、 数 に こだ わり す ぎて テー マか ら 外 れた も の
を 採 集 し な いよ う にし まし ょ う 。 今 年 も 、 標 本 数 を 多 く するた め に、 家 の 近 く
の 栽 培 種 を 混 ぜて い る ケ ース があ り まし た 。 一 方 、 「○○ 科 の植 物 」 と いう
し ぼっ た テー マの 場 合 は 、 標 本 数 が少 な く ても よ い です 。
・
標 本 点 数 を そろ え るた めに 、 過 去 に 出 品 し た 標 本 を 混 ぜ て出 品 する こ
とは 極 力 避 け まし ょ う 。レ ポー トを 書 く 上 で 、 資 料 とし て 必 要 な 場 合 には 、
その こと がわ か るよ う に今 年 の 作 品 と区 別 する こ とが 大 切 です 。
- 2 -
2 出 品 票 と研 究 レ ポート につ い て
・
小 学 校 高 学 年 以 上 は 、 出 品 票 のほ か に簡 単 な レ ポート を 付 けた ほ う が
よ いでし ょ う 。 サイ ズは 出 品 票 と 同 じ A4 版 がよ いで し ょ う 。
・
研 究 レ ポー ト に は、 種 類 ご との 特 徴 や環 境 面 か ら の 考 察 が書 か れて い
た り、 植 物 写 真 が あり 資 料 性 を 高 め た りし てい る 立 派 な も の が あり まし た 。
・
「 ○○ と△ △の 比 較 」 と いう 場 合 には 表 を 使 う な ど の工 夫 が ある と 分 か り
やす くな り ます 。
・
考 察 が 全 体 的 に 不 十 分 でし た 。「 山 地 と 平 地 の 植 物 」 など と いう テ ーマ
の 場 合 は 、 1~2 回 の 限 ら れた 調 査 で 行 う こ と に は 無 理 が あり ま す。 また 、
わずか なデータ で「イ ネ科 が 多 い 」 、 「キ ク 科 が 多 い」 など と 安 易 に 結 論 付
けて い るも の があ り ま し た 。
・
中 学 生 は レ ポート に 最 低 「 種 類 のリ スト 」 を 付 けまし ょ う 。 さ ら に 、生 育
環 境 な どを 表 形 式 で整 理 する と分 か りや すく なり ま す 。 環 境 条 件 ( 日 当 た
りや水 分 条 件 、地 形 など)との関 係 を調 べたレポート作 りを 心 掛 けましょう。
・
出 品 票 の 欄 は 、 研 究 の 経 過 や 観 察 し て 分 か っ た こ とや 考 え た こ とを 簡
潔 に 記 入 し て く ださ い 。「 研 究 内 容 ( 分 か っ た こと )」 の欄 に感 想 は 書 か な
いよ う にし まし ょ う 。
3 標 本 作 製 の技 術 面 につ い て
標 本 作 製 の 技 術 は 繰 り 返 し で 身 に 付 い てい き ます 。 以 下 の こ とを 参 考 にし な
が ら 、 最 初 はう ま く い か なく ても くじ けず 、 来 年 も 継 続 し てほ し いと 思 い ます 。
(1)全 体 として
・
何 年 も 継 続 し て 標 本 を 作 っ て いる 人 は、 作 製 技 術 が確 実 に向 上 し てい
て、 き れ いな 標 本 に なっ て い ます 。
・
よ い標 本 は、 標 本 作 りの 基 本 がよ く 理 解 さ れ て いま す ( 標 本 の 大 きさ 、
標 本 の 広 げ 方 、 押 し 方 、 乾 燥 の よさ 、 台 紙 上 の 植 物 の 配 置 の し か た 、 貼
り 方 な ど) 。
・
標 本 にす る と変 色 し てし まい 、 図 鑑 で 調 べても 分 か り に く くな りま す 。採
集 し た とき や 標 本 作 製 の 途 中 で 、 図 鑑 で 調 べ る 方 が 分 か り や すいの です 。
・
標 本 作 製 に 慣 れ な い 段 階 で は 、1 回 に 採 集 す る 標 本 の数 は 名 前 を 調
べた り 標 本 の 形 を 整 え た りす る ことを 考 え て、 少 な めにす る とよ いでし ょ う 。
- 3 -
・
上 位 入 賞 者 の 作 品 を よ く 見 て 、ど こ が優 れ てい るか を 理 解 し て、 自 分 の
作 品 作 りに 生 か し ま し ょ う 。
( 2 ) 採 集 の 仕 方 につい て
・
花 や 実 ( シ ダ 植 物 で は 胞 子 の う )が ある 植 物 を 探 し て 採 集 し まし ょ う 。 花
や実 があ る と植 物 の 名 前 を 調 べや すい で す。 反 対 に 花 や 実 が ない と 種 類
が わか ら ないも のが 多 くあ り ます 。 特 にイ ネ科 やカヤ ツ リグ サ 科 ( スゲ の 仲
間 ) では 、 葉 と 根 だ け のも のは その 植 物 の 特 徴 が わ か りに く いの でよ く あ り
ません 。
・
木 本 で は 根 は なく て よ いで す 。根 を 付 け るこ とに こだ わ り、 小 さい も の を
採 集 し て も 同 定 が 困 難 で あ まり 意 味 が あり ません 。木 本 で は 台 紙 い っぱい
に 入 る 大 きさ に 、 花 や 実 の つい た 枝 先 を 切 っ て 採 集 し まし ょ う 。
・
草 本 で は 、 そ の 植 物 と し て よく 生 長 し てい ると 思 わ れ る 大 きさ の 個 体 を
採 集 し てく ださ い 。 台 紙 に 入 り き ら ない 植 物 は 、 ジ グ ザグ に 葉 や 茎 を 折 り
曲 げ ま す 。 大 き な 植 物 に つい て は、 根 はな く て よい で す 。 小 さ い 植 物 は 1
個 体 だ け で なく 、 台 紙 に 合 わせ て 多 めに採 集 し ます 。
( 3 ) 押 し 方 に つい て
・
強 く 押 す こと が 大 切 で す。 押 し が弱 い 、つ まり 重 し が 軽 か っ た り、 初 めの
段 階 で 葉 を よ く伸 ば さなか っ た りし た た め 、 葉 が くし ゃ くし ゃ に なっ た りし て
いる も のも 目 に 付 き ま し た 。 葉 が 広 げら れ て いな い とそ の植 物 の 特 徴 が わ
か りに く くな りま す 。 ま た 、葉 の 何 枚 か は 、裏 側 を 上 にし て 押 す こ とも 大 切
です 。シ ダ 植 物 は 、 胞 子 のう が わか るよ う に葉 の 裏 側 を 上 にし ます 。
・
よ く 乾 燥 さ せまし ょ う 。乾 燥 が 不 十 分 だ とカ ビが 生 え ます 。
ツ ユク サ 、 スベリヒ ユ 、 ド ク ダミ 、海 岸 の植 物 など は た い へん 乾 き にく いで
す。 さ わっ て 冷 た く 感 じ る とき は 、 まだ 乾 い てい ま せん 。 乾 きに く い 植 物 は 、
電 子 レ ン ジにか けた り 、 吸 湿 紙 には さ み そ の上 か ら 低 温 の ア イ ロ ンで 熱 を 加
え た りし て 乾 か す方 法 も あり ます 。 (小 学 生 は 必 ず おう ち の 人 と いっ し ょ に や
りまし ょ う 。 絶 対 に そ の場 か ら 離 れな い こと ! )
・
一 度 に た く さん の数 を 押 す と , 力 が よ く ゆき わた ら ず き れ い な 標 本 が でき
に く く なり ます 。 10 種 類 前 後 で 押 すの が 一 番 よ いよ う です 。
( 4 ) 標 本 の 貼 り 方 につ い て
・
耐 久 性 の上 で 問 題 が あるた め 、 和 紙 を 細 く 切 っ て 、のり で と め まし ょ う 。
- 4 -
相 変 わら ず 粘 着 テー プ 類 ( セロ ハ ン テープ 、マ スキ ン グ テープ 、 製 本 用 シ
ール 、紙 ばん そう こう ) で とめた 標 本 が あり 、 暑 さ です でには が れて い るも の
が あ りまし た 。
・
1 個 体 に 貼 るテ ープ の数 は 、 標 本 が 動 か ない 範 囲 で で きる だ け 少 な い
方 が 見 や すい です 。 何 か 所 も 粘 着 テープ で 貼 っ た り 、テ ープ の 長 さや 茎 と
の 角 度 ( 直 角 がよ い) に難 が あっ た りし た 作 品 が あっ た のが 残 念 です 。
4 ラ ベ ル につ い て
ラベルは後から標本を資料として調べる際にたいへん大切です。
ラベルに他の人が見てどこだかわかる地名を書いたり、統一して標
本の右下に貼ったりするのが原則です。
( 1 ) 植 物 名 に つい て
・
正 しい植 物 名 が記 入 されている標 本 が多 くなりました。図 鑑 で調 べたり、
教 え ていた だいた りし て、 真 剣 に ま と めに と りくん で いる こ とが わ か りま す。
・
逆 に 植 物 名 が 間 違 っ て い る 作 品 がい くつか あり まし た 。 自 分 で図 鑑 を
調 べ る こ とは 大 変 重 要 なこ と ですが 、 似 て いる 植 物 が 多 く あ る た め 、図 だ
けで は正 し く 判 定 で きな い 場 合 が 多 い の で、説 明 文 も よ く 読 み ま し ょ う 。
・
上 越 科 学 館 や上 越 教 育 セ ン タ ー 科 学 部 (理 科 セ ン タ ー )等 の標 本
相 談 会 などに出 かけて、すべての標 本 を確 かめてもらうと勉 強 になります。
た だし 、 標 本 相 談 会 で植 物 名 を 聞 い て 書 いた だ けで 、 正 し く 聞 き 取 っ て
いな いた めに まち が っ た 記 名 を し て い るも の があ りまし た 。 教 え て いた だ い
た ら 、 自 分 で 図 鑑 を 調 べ て 確 認 す るこ と も 大 切 で す 。
・
和 名 と 学 名 の 意 味 を お さえ まし ょ う ( 特 に 中 学 生 ) 。 和 名 は カタ カ ナで 記
入 し ます 。 学 名 (ラ テ ン 語 )は 、 特 に 記 入 し な くてよ いで す。
・
最 近 20 年 間 ほ どの 研 究 の 結 果 、 現 在 、 植 物 の 科 名 が 大 き く 変 更 さ れ
てい ま す。 科 名 に つ い て は 、1 冊 の 図 鑑 で 調 べ て 、 新 旧 い ずれ か に 統 一
さ れて い るこ とが 望 ま し いで す 。
例 ヤ マ モミジ → 旧 科 名 カエ デ科 、 新 科 名 ムク ロ ジ科
( 2 ) 採 集 地 や 採 集 年 月 日 に つい て
・
記 録 性 を 高 めるた めに 、 採 集 年 月 日 と 採 集 地 、採 集 者 名 は 必 ず 記 入
し まし ょ う 。 「い つ」「 ど こで 」「だ れ が」 その 植 物 を 採 集 し た か の記 録 は 、 植
物 標 本 が 備 え る 最 低 条 件 で す。 その 意 味 で、ラ ベル への 記 載 はと ても 重
- 5 -
要 な こ とで す 。
・
相 変 わら ず、 採 集 地 ( 産 地 )を 「 家 の ま わり」 「 関 川 の 土 手 」 な ど と記 入 し
た も のが あり まし た 。ラ ベルを 見 て 、 他 の 人 がそ こへ 調 査 に 行 く こ とがで き る
た めの 地 名 が 必 要 で す。 地 図 で 調 べて 、 きちん と 地 名 を 記 入 し まし ょ う 。
( 例 「 新 潟 県 上 越 市 昭 和 町 1 丁 目 」・ 「 上 越 市 大 貫 ( 金 谷 山 ) 」な ど)
また 、図 鑑 に書 か れ てい る 分 布 域 を 産 地 とし て 書 か れた も の も あり まし た 。
・
標 本 台 紙 に直 接 デ ータ を 書
いた も の が数 点 あり ま し た 。 予
めラ ベ ルが 印 刷 さ れ た 標 本 台
紙 を 用 い るか 、ラ ベル を 貼 る 方
が よ いで し ょ う 。
N o. 1
ユリ 科
(学
名)
※こ こ は 記 入 し な く て よ い
(和
名)
チ ゴ ユリ
(産
地)
上 越 市 大 貫(金谷山)
(年月日)
平 成 2 8 年 5月 1 0 日
(採集者)
上 越 太 郎
(ラベルの記入例)
5 標 本 を 作 る ため に 気 を 付 け たい こと
★ よ い 標 本 とは
・その植 物 全 体 の特 徴 がわかる。
・ 葉 や 花 が 良 く 押 され 、 き ちん と のび て いる 。
・乾 燥 が十 分 である。
・ 台 紙 への 貼 り 方 がむ だ な くき ちん とし てい る 。
・ ラ ベ ルに 必 要 事 項 が 記 入 さ れ て いる 。
(1)採 集 のしかた
・
よ く 生 長 し た も の で、 花 や実 のつ いた 全 体 が わか るも のを 採 集 す る 。標
本 とし て 一 番 形 が 整 っ てい る の はど れ か を 見 分 け るよ う に し まし ょ う 。 目 的
に も よ り ますが 、 植 物 の 一 部 分 だ けを 採 集 し た のでは 、 種 類 を 決 める こ と
が 難 し く なり ます 。
・
草 刈 りを し た あ と に、 茎 が 切 ら れた 部 分 か ら わ き 芽 が 伸 び て生 長 し た も
の があ り ますが 、 標 本 とし て はあ ま りよ くあ り ません 。 根 元 か ら 葉 先 や 花 ・ 果
実 まで そろっ た も のを 採 集 す るよ う にし まし ょ う 。
・
木 本 で は 、 根 は必 要 あ り ま せん 。 よく伸 び た 枝 で 花 や 実 の付 い てい る も
の を 採 集 し まし ょ う 。
・
球 根 、 鱗 茎 、地 下 茎 な ど に特 徴 が あ る 植 物 では 、 そ れが 必 要 で す 。あ
- 6 -
とで 「カ ビ」が 生 え な いよ う に 、 別 に 乾 燥 さ せる な ど 工 夫 し まし ょ う 。
・
す ぐに 花 や葉 がし ぼん だり する 植 物 は 、 採 集 し た そ の場 で 新 聞 紙 には
さむよ う にし ま し ょ う 。
・
1種 類 について1品 でなく、 何 個 体 か予 備 も採 集 しておきます。そして、
よ いも のを 選 ん で 標 本 台 紙 には るとよ い のです 。 た だし 、 同 じ 日 に 同 一 場
所 で 採 集 し た 同 一 種 類 を 、点 数 を 増 や す 目 的 で 作 品 に 加 え る こ とは 意
味 の ない こ とで す( 同 じ 種 で あっ ても 、場 所 ご との 違 いや 、 季 節 変 化 を 調
べる 目 的 で あ ればか ま いま せん ) 。
・
小 さ い 個 体 の 植 物 は 、 同 じ 種 類 の もの を 台 紙 に 何 本 か貼 る と、 空 白 部
分 が 目 立 た な い でよ いでし ょ う 。
(2)押 す準 備 と押 し方
・
新 聞 紙 ( 全 紙 の 新 聞 紙 を 半 分 に切 っ て、 そ れを さら に 半 分 に 折 りた た ん
だ も の の 間 に 植 物 を はさ みま す 。こ れを 標 本 紙 と い い 、標 本 が 完 全 に で き
上 が る までは その ま ま はず さな いよ う にし ま す。
・
この 標 本 紙 には さむ と きは 、 土 など の 汚 れを よ く 落 とし 形 を とと のえ ます 。
は み 出 すよ う な 長 さ な ら 適 当 に 折 り 曲 げて はさ みま す 。
・
何 種 類 か で きた ら 、 何 も は さん で な い 新 聞 紙 ( 吸 取 紙 )を 各 標 本 紙 の間
に 入 るよ う に 交 互 に 重 ね て いき ます 。
・
上 に 厚 めの 板 を 重 ね 、 お も し を のせ ます (コンク リー トブ ロ ッ ク 4個 ぐら い
が よ い) 。 軽 いとよ く 葉 が 伸 び ま せん ( 大 型 ク ラ ンプ では さん で も よ い ※ 1 )。
※ 次 ペ ージ ①( 植 物 標 本 の 押 し 方 )を 参 照 し て くだ さい 。
・
標 本 紙 の間 に入 れた新 聞 紙 が吸 取 紙 の役 目 をします。この新 聞 紙 を 、
10日 間 から2週 間 くらい毎 日 とりかえます。これは乾 かしてまた使 います。
・
そ のた びに 、 標 本 紙 を 開 いて 標 本 の 花 や 葉 の ゆ がみ やし わを 指 先 や ピ
ンセ ット で 直 し 、形 を 整 え ます 。 押 し はじ め の2~ 3 日 間 の 植 物 体 が 柔 ら か
いう ち にやら ない と 直 りま せん 。
( 3 ) 台 紙 の 大 きさ と 標 本 の はり 方
・ 台 紙 の 大 きさ は 、 八 つ 切 り ( 標 本 紙 に し た 新 聞 紙 く らい )に そ ろえ てお い
て く ださ い (ス ケ ッチ ブッ ク な ど に 貼 るの は、 極 力 避 け まし ょ う ) 。また 、台 紙
は と じ ない で くださ い 。 とじ る と 、は ぐ る とき に標 本 が いた み ま す 。
- 7 -
・ 小 学 校 低 学 年 では 、ねら いによ っ て 台 紙 の 大 き さ が小 さ く なる こ とも 考 え
ら れ ますが 、 この 場 合 も 研 究 ・ 採 集 を 始 め る 前 に 台 紙 の 大 き さ を 決 め て お
く こと が 大 切 です 。
・ 基 本 的 には、1枚 の台 紙 に2種 類 以 上 の植 物 をはることはやめましょう。
小 さい 植 物 の 場 合 は 、1 枚 の 台 紙 に 同 じ 種 類 を 2~ 3 個 体 、 は り ま す 。
・
標 本 を と める には 、 じ ょ う ぶ な 薄 紙 ( 和 紙 ) を 細 め に切 っ て 、 のり 付 け し
て、 き ちん と むだ な く とめ るの が 正 し い 方 法 で す 。と め る位 置 は葉 の 中 央
部 や 葉 柄 の つけ ねを さ け、 茎 な ど に 対 し て直 角 に と め る よ う にします 。
※ ②( 植 物 標 本 の 貼 り 方 ) ③( 植 物 標 本 のと め 方 )を 参 照 し て くだ さ い。
① (植物標本の押し方)
②(植物標本の貼り方)
③(植物標本のとめ方)
重めの重しをのせる
・
完 成 し た 標 本 は 、 台 紙 の 大 き さ に 合 っ た ビ ニ ル袋 に 入 れて お く と、 種 子
など が 落 ち ても 散 ら ばら ず 、扱 う と き にも 標 本 が 傷 まな いの で 便 利 で す。
※1 下 図 のように、2枚 の厚 い板 に標 本 をはさみ、ホームセンターなどで販 売 し
ている大 型 クランプで、四 すみをとめて標 本 づくりをすると、強 い力 が加 わり、
比 較 的 き れ いな 標 本 に仕 上 が り ます 。
四すみをしっかり押さえる
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