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中小企業におけるISO9000sへの対応 実践的取得方法のポイント 第二回

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中小企業におけるISO9000sへの対応 実践的取得方法のポイント 第二回
中小企業における
中小企業におけるISO9000s
におけるISO9000sへの
ISO9000sへの対応
への対応
実践的取得方法
的取得方法の
実践
的取得方法のポイント 第二回
アークテック㈱ ISO取得支援事業部 部長 荒川吉朗
2000/08/03
今回は、ISO9000sの文書作成の問題点を提起し、文書作成の落とし穴、文書化の過剰について解説し、中小企業に合った品質システムの文書体系、取得後の維
持・管理を楽にする方法を述べる。
Ⅰ.ISO9000s(QMS)
ISO9000s(QMS)の
(QMS)の本質の
本質の理解
現在、ISO9000s登録件数は一万件を超えた。最近は製造業に限らず様々な業種に広がり、取引先が取得したため中小下請け企業の取組みが要請される事が増え
ている。しかし、取引の都合により認証取得を急ぐあまり、取得が目的となり、ISO9000sの「マネジメントシステム」としての本質的な部分を見失い、「社内業務プロセス
の再構築や業務改革」とならないまま、品質システムが構築されてしまうケースが少なくない。取得した企業の中からも「品質の効果的な維持・改善にならない」「現場の
不要な仕事が増えて、不満が募る」「取得コストが高い」といった声が出ている。
ISO9000s教育に貴重な時間と金を、無駄に投資するのは止める。まず、ISO9000sの初期教育を経営トップ及び品質管理責任者が受け、QMSの本質を充分に理解
するのが先決だ。結論的には、この段階では規格などどうでも良い事だ。高価な参考書やビデオ、難しい規格説明セミナーや内部品質監査員セミナー参加も止めた方
が良い、最初は殆ど理解できない。2000年規格改訂説明会も後で行けば良い。参考書は「中小企業のためのISO9000:ISO/TC176からの助言」(日本規格協会訳)
を勧めたい。
(TC176/ISO9000本文作成を担当した委員会)
前回述べた様に、ISO9000sは、品質に関する企業全体の「マネジメント・システム」としての品質管理である。全社業務について「どの部門で、どの職制が、いつ、何を
(決定、指示、報告、確認など)」するかの職務分担や責任と権限の範囲、相互間の連絡手段を明確にし、それにより効率的なシステムを構築、実行、継続維持すること
である。
Ⅱ.中小企業の
中小企業の文書作成の
文書作成の問題点
問題点
ISO9000の品質システムを構築し認証取得するためには、自社の品質保証体制を文書体系で表すことが要求されるが、取得に取り組んでみると、いろいろな問題が起
こる。
品質文書を作成する場合、一般的には品質マニュアルや規定類の実例集、手引書が数多く出版され、それらを参考にして作成の準備を行うことが多い。ここで重要
な事は、これらの雛形文書の丸写しは必ず自社のシステムに適用できず、上手く運用できない。そして、見てくれに力を注ぎ、大袈裟な文書を作ると、自らの首を絞める
ことになる。くれぐれも自社の内容に合った品質文書とする事に注意しなければならない。
以前、取得準備をしている小規模企業から相談を受けた。社長から、「お宅が指導する企業の品質マニュアルの文書量は」と聞かれ、「およそ50ページ」と答えると、そ
の企業の担当者は「ウチが手に入れた中小企業向けのマニュアル集は、20ページだ」と言う。その企業では、『中小企業向けのマニュアル集』を参考にして文書作りを
進めていた。数社分の中小企業のマニュアル事例が掲載され、品質マニュアルの4.1から4.20の各項目毎に、関連規定を列記し、管理規定は別に作る〝大手企業型
マニュアル〟だった。別に、管理規定を約20個作る文書体系になっている。しかし、約40名のその企業にしては大袈裟過ぎる。なぜ、この程度の中小企業が大企業型
のマニュアル事例集で文書作成するのだろうか。理由は、マニュアル事例集の作者も、それを購入する企業もISO9000sの本質を、よく理解していないからである。これ
では、企業経営の業務改革どころか効率ダウンになってしまう。ISO9000を取得しないほうが良かったという声が出ても当然だ。
Ⅲ.簡潔な
簡潔な小規模企業向け
小規模企業向けISO9000システム
ISO9000システム
筆者が提案するのは、中小企業に合った簡潔なシステムと、シンプルな文書体系である。
自社のISO9000取得に取り組んだのは、1993年だった。従業員はわずか十数人の小規模板金部品メーカーで、取引先の依頼で始まったものの、97年のISO9001取得
まで実に4年以上の年月を要した。その当時は、中小企業に合った品質システム事例が皆無だったこともあり、セミナーや参考書、大手企業の雛型文書を手本にした大
企業型ISO9000の導入で試行錯誤を繰り返していた。残業や休日出勤で文書を作り続け、本棚一杯のモノマネ文書を作成した。当然こんな非現実的な文書が現場で
通用するはずは無く、現場は大混乱、最後には従業員の出社拒否まで出る有様になった。全く惨めな状態であった。このような状態が3年続き、役に立たない膨大な文
書を全て廃棄して、やり直す決断をした。ここで諦めていれば、現在のシステムは出来上がらなかった。その後、管理技術の追求と、理論に裏付された簡潔な小企業向
けのISO9000システムを開発し、1年足らずで認証までこぎつけた。
① 「小規模企業向けの
小規模企業向けのISO9000
けのISO9000解
ISO9000 解説書」
「中小企業のISO9000」関係の本が店頭に並んでいるが、〝中小企業〟の文字があってもその内容は、所謂〝大企業型〟と変わらない物が殆どである。「50人以下の
会社のISO9000S取得マニュアル」という本がある。本書は、筆者の会社の画期的なシステムを、その後、多くの小規模企業に展開した実例、また、ISO本部や「小企業
のための助言」という資料を引用し、理論体系に基づいた簡潔システムを解説している。小規模企業にとってこの方式は非常に有効であり、ここで紹介される品質文書
は、きわめて簡潔でシステムは解り易く、作成、維持管理のコストが低いことに気がつくと思う。
② 自社業務の
自社業務の現状調査と自社システム
自社システムの
システムの整理
文書作成前に自社業務の現状分析を行わないと、システム構築は失敗する確立が大きくなる。調査計画を立て、基本業務と管理業務の整理、各業務の流れ・既存文
書の調査、システム分析、フローチャート作成を行う。 また、各顧客の要求毎に品質対応の文書を作ったり、使われないままの古い文書がたくさん有るはずだ。これを
整理、統合、修正して利用する。
③ 管理文書と
管理文書と技術文書の
技術文書の分離
「ISO10013品質マニュアルの作成の指針」には「一般に品質システムの手順には、詳細な作業指示書に通常記載されるような純粋な技術的詳細事項は含めない」と記
されている。管理的な手順と技術文書は分離しろということだ。だから、品質マニュアルで引用するのは、組立図、部品図、作業手順書、検査手順書といった技術文書
になる。ところが、ISO9000sを取得しようとすると、不要な文書の作成を強要される。『作業するには標準書が必要でしょう』『品質確保のためにも業務手順書無しでいい
んですか』と、審査員は当然のように要求する。企業の説明に、審査員は首を振って不合格をちらつかせる。担当者が『判りました、作ります』と答えると、審査員は納
得するのである。この傾向が強いのは大企業出身の人達に多い。このようにして、不必要な文書が強要される。こんな審査員の指摘には、ISO本部のガイドラインや助
言で対抗するべきである。経営者、管理責任者は大手型の無駄なシステムの押し付けを回避するために、理論武装し、毅然とした姿勢で審査を受けるべきである。
④ 簡潔で
簡潔でシンプルな
シンプルな文書体系
品質マニュアル、技術文書の2階層とする。管理規定類は無しとして、品質マニュアルでISO9000sにそったすべての管理業務を文書化する。技術文書は、生産技術
の標準化という観点から、文書化は積極的に行っていく。
⑤ 図面の個別配付システム
個別配付システム
小規模企業では、その業務規模から、製造現場で図面を常備せず、作業指示書に添付して発行し、これに検査記録も兼ねることができる。図面の配付台帳管理は行
わない。これで、ISO9001の要求に対応しながら、効率的に管理することができる。
Ⅳ.文書作成のまとめ
文書作成のまとめ
① 管理文書は品質マニュアル1冊、管理規定は作らない。
② 「役に立たない標準」は作らない。
(製造仕様,作業標準,作業指導書,QC工程表,図面チェックリストなど、有効な物に絞る)
③ QC工程表は作らず、今、使っている工程表を修正して使う。
④ 理解しにくい品質保証体系図を止め、簡潔な品質計画手順書に置き換える。
⑤ 社内に工程設計があるときは、2000年改訂を見越してISO9001を取得する。
⑥ 設計審査,検証,妥当性と称したデザインレビューを何回も繰り返さない。
⑦
⑧
⑨
⑩
⑪
⑫
内部品質監査は, 品質マニュアルから作成した標準的な監査リストで行う。
製品の品質に関係無い機械は、ISOの管理対象外とし、管理台帳に登録しない。
要求事項に合わせるため、やってもいない(やれないこと)を文書化しない。
日本人の几帳面さ,モノマネ好きと、お上に弱い体質が失敗の原因となる。
品質マニュアルをどう作るかは、審査側にあるのではなく企業側が決める。。
計測機器の校正周期は自社で決め、社外委託も社内校正に切り替える
Ⅴ.小規模企業の
小規模企業の失敗例と
失敗例と打開策
九州の企業が、コンサルタント指導のもと、半年間ISO9001の準備に取り組んだが、上手く行かずに相談を受けた。地元の有力ベンチャー企業で、最近業績を伸ば
し注目される存在だった。大手企業との取引話もあり、ISO9001の取得を取引先に伝え、新聞にも発表した。取引企業の部長をヘッドハンティングして、工場長に迎
え、コンサルタントも依頼した。しかし、結果は散々だった。新任の工場長は胃腸を患い、ノイローゼの一歩手前だと訴えてきた。
コンサルタントが大手企業の品質保証部を早期退職し、独立したと聞いて、従来型の品質管理(QC)を押し付ける、大手企業型の指導を予想していたがその通りであ
った。品質マニュアルは完成し、40人の企業に29の管理規定を作成中だった。文書過剰の典型的な例で、管理規定は、品質マニュアルの内容とあまり変わらなかっ
た。この企業の仕事は優秀で、設備も整っている。品質クレームも少ないという。これなら、現在のシステムをISO9001システムとして整備できればよいはずだが、完
全な大手企業型なのだ。このコンサルは、品質マニュアルを作成するとき、ある出版社の「雛型マニュアル」を使い、書き写していた。経験も、コンサルティング力も無い
ため、その企業の生産システムを分析・考慮したうえでISO9001システムを構築できなかったようだ。また、管理規定と技術文書の区別がなく、文書体系は混乱してい
た。生産システムは、小規模企業の例にもれず生産管理が不足していた。
① システムの
システムの再構築
それまでに作った文書は全て廃棄することで、社長の了解を得て、白紙からのスタートをきった。
② 生産管理を
管理 を基礎にする
基礎にする
購入注文書(含む現品票)、作業指示書(含む現品票)などの文書による生産管理システムの基本を確立したうえで、ISO9001システム構築を目指した。
③ 工程設計
生産管理の基礎を確立するためには、部品表、部品工程表などの設計情報の提供がシステムとして確立される必要がある。また、顧客が製品設計を行い、工程設
計を当社が行うという設計分業を明かにして、当社の設計行為は生産技術を基本とした工程設計であることを明確にする。これにより、工程設計のシステムをISO900
1の「4.4 設計管理」にそって確立した。
④ 簡潔で
簡潔でシンプルな
シンプルな文書体系
管理規定類は無しとして、品質マニュアルと技術文書の2階層とした。
⑤ 図面の個別配付
製造現場では、図面を常備せず、発行した作業指示書に図面を添付し、これに検査の記録をすることにした。これにより、図面の配付台帳管理は行わず、ISO9001
の要求に対応しながら、文書量を減らすことができた。 この他、先に挙げた中小企業のISO9000s構築のノウハウを使って、システム構築は順調に進み、指導開始後6
ヶ月で、ドイツのT審査機関からISO9001を取得した。
Ⅵ.品質マニュアル
品質マニュアルの
マニュアルのISO指針
ISO指針
品質マニュアルの作成で最も権威があるのは、「ISO10013品質マニュアルの作成の指針」である。これはISO9001/2の本文「4.2.1」の参考6にも「品質マニュアルに
ついての指針は、 ISO10013に示されている」と明記されている。企業は何故、管理規定を盲目的に作るのか。これは、ISO9001/2本文「4.2.1」で「品質マニュアルに
は、品質システムの手順を含めるか,又はその手順を引用し、」があるからだ。ところが、これは文の後半部分であり、選択を許している。主意は最初の「品質システム
には品質システムの手順を含める」である。また、「ISO10013 品質マニュアルの作成の指針」でも、「場合によっては、関連する品質システム手順書と品質マニュアル
は、同一のものとなるかもしれない」と述べている。管理規定は無くても良いという根拠である。
実例文書を参考にして、文書を作るのは安心である。全項目に関連規定を作るのも、案外簡単で、本当は知恵がいらない。中小企業のためのコンサルと称した人が
マニュアル実例を手本にして、大企業型と同じ文書を大量に作る実例が有る。如何にも仕事をしているようだが、実は非常に楽な作業だ。
中小企業で、コンサルを使わず、自ら勉強してISO9000sを取得したという例も聞くが、マニュアルを見ると、ほとんどが大手型だ。企業の担当者は苦労した分、取得で
きた満足と感動は大きいが、理論的な裏付けや専門的な工夫に欠けるため、取得後の維持に苦労することになる。
Ⅶ.電子文書管理
ISOの取得及び継続審査のためには「文書管理」が重要だ。最近では電子化する動きが増えている。
品質マニュアル(規定類)だけでなく、図面、作業手順書、製品写真等をサーバーに一括管理しておき、現場で簡単に検索・閲覧しながら作業できるようになれば、文書
の配布管理が不要というだけでなく作業効率を高める効果は大きい。筆者の工場でもネットワーク端末から作業者が生産管理システムと電子文書管理システムを利用
している。社員が自社開発したシステムであり、安い費用で構築できた。図面表示、作業進捗・実績データ収集、NCデータ転送、在庫管理等の機能を持っている。文書
の電子化と電子文書管理のポイントは、文書の閲覧だけが可能なシステムにするのが良い。書き換え可能システムでは文書の作成、照査、承認者の管理が必要にな
り、権限者以外には書き込み禁止の仕組みも必要だ。当然、管理者は必要で、バックアップも定期的に必要だ。自社構築(開発)かパッケージ・ソフトの導入を検討する
ことになるが、市販のパッケージ・ソフトは、まだ高価で大手企業向けの感が拭えない。
当社は品質文書の自動作成ソフトも開発しているが、管理能力の有る企業には非常に有効な手段になる得ると思う。あわせて、ご検討ください。
ご意見をお待ちしています。 [email protected]
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