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9月|平和のバトン

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9月|平和のバトン
平成27年9月発行
発行責任者
辻村
一彦
【平和のバトン】
今年は戦後70年という節目の年です。この夏休み期間中には、戦争に関するテレビ番
組や日本各地からの平和について考える行事の様子が数多く報道されました。
今、戦後に生まれた世代が国民の多くを占めるようになり、戦争の記憶が私たちの社会
から急速に失われつつあります。長崎や広島の被爆体験だけでなく、東京や大阪をはじめ
多くの街を破壊した空襲、沖縄戦、そしてアジアの多くの人々を苦しめた悲惨な戦争の記
憶を忘れてはなりません。
70年を経た今、私たちに必要なことは、その記憶を語り継いでいくことです。
金剛中学校では、3年生の修学旅行の大きな目的の一つは平和学習です。長崎や鹿児島、
沖縄にも行き、直接現地で語り部の方々からの聞き取りを始め、いろいろな体験学習も行
ってきました。数年前、長崎に修学旅行に行った折に、長崎平和推進協会の下平作江さん
からお話を聞くことがありました。『平和の原点は人間の痛みがわかる心を持つことです』
という言葉を忘れることができません。
若い世代のみなさんは、過去の話だと切り捨てずに、未来のあなたの身に起こるかもし
れない話だからこそ伝えようとする、平和への思いをしっかりと受け止めてください。
「平和のために、私にできることは何だろう」と考えてみてください。
さて、先日の8月6日の平和登校日の午前8時15分に全校生徒で黙祷を捧げました。
その後、3年生の代表による修学旅行の「平和学習のまとめ」を報告してもらいました。
今年は鹿児島県の知覧にある「特攻平和会館」に行き、語り部の方からお話を聞いた後、
資料館で若い特攻隊員が残した最後の手紙「遺書」を真剣な眼差しでいつまでも読んでい
た姿が印象的でした。平和登校日に行った3年生の報告内容の一部を紹介します。
あんまり緑が美しい
今日これから死にに行くことすら 忘れてしまいそうだ
真っ青な空 ぽかんと浮かぶ白い雲
六月の知覧は もうセミの声がして 夏を思わせる
作戦命令を待っている間に 小鳥の声が楽しそう
「俺もこんどは小鳥になるよ」
日の当たる草の上に 寝転んで ○○がこんなことを言っている
笑わせるな 本日13時35分 いよいよ知覧を離陸する
懐かしの祖国よ さらば
万年筆を“かたみ”に送ります
特攻隊員 枝 幹二
知覧特攻平和会館
特 攻 隊 の 出 撃基 地 で
あ っ た 知 覧 にあ る 資
料館。特攻隊員の遺品
や関係資料、写真、遺
書、寄せ書きや戦闘機
の 復 元 模 型 など も 展
示されている。国内外
か ら 平 和 学 習に 訪 れ
る人たちも多く、語り
部 に よ る 解 説も 行 わ
れている。
枝 幹二 様
私は、あなたの手紙を読ませていただきました。
言葉にならないものが、いっぱいあふれてきました。
今日も日本は、美しい緑、真っ青な空です。
緑の美しさも、真っ青な空も、あなたはどんな風に感じられたのでしょうか。
知覧を離陸する時、どんなに悲しかったでしょう。
あなたの思いを、次の世代に伝えたいと思います。
戦争はすべての人を苦しめ、死ななくていい人が犠牲になります。
僕たちは、あんな戦争が二度と起きないようにします。
天国からあなたが見ているならば、この日本を見守ってください。
金剛中学校、3年男子生徒の文
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